日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 加給年金額
X社に勤務するAさん(1971年7月12日生まれ・47歳)の公的年金加入歴および妻Bさん(1972年9月22日生まれ・46歳)の状況に基づき、Aさんが65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額(2018年度価額、円未満四捨五入)をそれぞれ求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 779,300円 ② 1,482,105円
解説
老齢厚生年金の額は、現役時代の報酬と加入月数に応じた報酬比例部分、定額部分と老齢基礎年金の差額を埋める経過的加算額、および厚生年金被保険者期間が20年以上ある者が65歳到達時に一定の要件を満たす配偶者等を有する場合に加算される加給年金額で構成されます。
解き方
- 20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者期間(第2号被保険者期間)をカウントし、老齢基礎年金の年金額を満額(480月納付)として算出する。
- 2003年3月以前と2003年4月以後に区分して報酬比例部分の年金額をそれぞれ算出し、円未満を四捨五入して合算する。
- 経過的加算額の計算式に従い、厚生年金被保険者月数(上限480月)を用いて経過的加算を計算する。
- 被保険者期間が240月以上かつ65歳到達時点で年下の生計維持関係にある配偶者がいるため、加給年金額を加算して老齢厚生年金の合計額を算出する。
答えの内訳
- ①:779,300円
- 老齢基礎年金の受給額は「779,300円×(保険料納付済月数/480月)」で計算します。Aさんは18歳から60歳まで厚生年金に加入(495月)していますが、老齢基礎年金の反映対象となるのは20歳以上60歳未満の40年間(480月)です。未納や免除期間はなく480月すべて納付済期間となるため、満額の779,300円(779,300円×480/480)となります。
- ②:1,482,105円
- 老齢厚生年金は報酬比例部分、経過的加算額、加給年金額の合計です。ⅰ)報酬比例部分:ⓐ2003年3月以前=280,000円×(7.125/1,000)×156月=311,220円、ⓑ2003年4月以後=420,000円×(5.481/1,000)×339月=780,384.78円(四捨五入して780,385円)。報酬比例部分合計=311,220+780,385=1,091,605円。ⅱ)経過的加算額:1,625円×480月(被保険者月数は上限480月)-779,300円×(480月/480)=780,000-779,300=700円。ⅲ)加給年金額:厚生年金期間が20年以上あり、Aさん65歳到達時に65歳未満の生計維持関係にある配偶者(妻Bさん)がいるため加給年金額389,800円が加算されます。合計:1,091,605円+700円+389,800円=1,482,105円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算の定額部分における厚生年金被保険者期間の月数には480月の上限がある点に注意が必要です。
- 加給年金額は、厚生年金の被保険者期間が原則20年(240月)以上あり、生計を維持している65歳未満の配偶者等がいる場合に加算されます。
間違えやすいところ
- 老齢基礎年金の月数計算で18歳から20歳未満の厚生年金加入月数(24月)を含めて480月を超えて計算してしまうミス。
- 加給年金額の加算要件(被保険者期間20年以上、配偶者の年齢要件)の確認を忘れて老齢厚生年金の合計額から漏らしてしまうミス。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(2018年度価額)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢基礎年金の繰上げ受給・繰下げ受給
ライフプランニングと資金計画 · 繰上げ支給 / 繰下げ支給 / 減額率 / 増額率
老齢基礎年金の繰上げおよび繰下げに関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群のイ~チの中から選びなさい。 「老齢基礎年金の支給開始年齢は原則65歳ですが、Aさんが希望すれば、60歳以上65歳未満の間に老齢基礎年金の繰上げ支給を請求することができます。ただし、繰り上げた月数に応じて年金額は減額されます。Aさんが60歳0カ月で老齢基礎年金の繰上げ支給を請求した場合、年金の減額率は( ① )%となります。なお、Aさんが老齢基礎年金の繰上げ支給を請求する場合、その請求と同時に老齢厚生年金の繰上げ支給の請求を( ② )。 また、老齢基礎年金の支給開始を繰り下げることもできます。支給開始を繰り下げた場合は、繰り下げた月数に応じて年金額が増額されます。Aさんが70歳0カ月で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合、年金の増額率は( ③ )%となります」
- イ
- 2.5
- ロ
- 3.5
- ハ
- 30
- ニ
- 36
- ホ
- 42
- ヘ
- 48
- ト
- しなければなりません
- チ
- するかどうか選択できます
解答・解説を表示
解答
① ハ、② ト、③ ホ
解説
公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、受給権者の希望により60歳から65歳未満の間で繰上げ受給、または66歳以降で繰下げ受給が可能です。繰上げ請求は月あたり0.5%減額かつ基礎・厚生年金を同時に行う必要がありますが、繰下げ申出は月あたり0.7%増額で基礎・厚生年金を別々に選択できます。
解き方
- 60歳0カ月から65歳到達前月までの繰上げ月数(60月)を求め、月0.5%の減額率を乗じて減額率(30%)を算定する。
- 繰上げ請求における「基礎年金と厚生年金の同時請求義務」の規定を確認する。
- 65歳到達月から70歳0カ月までの繰下げ月数(60月)を求め、月0.7%の増額率を乗じて増額率(42%)を算定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 繰上げ支給の減額率は、1月繰り上げるごとに0.5%です。60歳0カ月で請求する場合、繰上げ月数は60月となるため、減額率は0.5%×60月=30%(ハ)となります。
- 小問 ②:ト
- 老齢基礎年金の繰上げ支給を請求する場合、原則として老齢厚生年金の受給権も同時に繰上げ請求しなければなりません(ト)。
- 小問 ③:ホ
- 繰下げ支給の増額率は、1月繰り下げるごとに0.7%です。70歳0カ月で申出をする場合、繰下げ月数は60月となるため、増額率は0.7%×60月=42%(ホ)となります。
覚えるポイント
- 繰上げは月0.5%減額(60歳で最大30%減)、老齢基礎と老齢厚生は同時請求必須です。
- 繰下げは月0.7%増額(70歳で最大42%増)、老齢基礎と老齢厚生は別々に選択可能です。
間違えやすいところ
- 繰上げと繰下げで、基礎年金と厚生年金を別々に請求・申出できるかどうかのルールの混同(繰上げは同時必須、繰下げは別々に可能)。
- 繰上げの減額率(月0.5%)と繰下げの増額率(月0.7%)の数値の取り違え。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金(個人型年金・iDeCo)の仕組みと留意点
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / iDeCo / 小規模企業共済等掛金控除
確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)に関する次の記述①~③について、それぞれ適切・不適切を判定しなさい。 ① Aさん(確定給付企業年金に加入する第2号被保険者)が個人型年金に加入した場合、拠出できる掛金の限度額は年額14万4,000円(月額1万2,000円)である。ただし、加入後は原則として掛金の拠出額を途中で変更(減額)することや掛金の拠出を停止することはできない。 ② 個人型年金に加入する税制上のメリットとして、加入者が拠出する掛金はその全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となることが挙げられる。 ③ 個人型年金に加入するにあたっての留意点として、加入時や運用期間中に各種の手数料がかかること、年金資産の運用リスクは加入者自身が負うことなどが挙げられる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
確定拠出年金(iDeCo)は拠出時・運用時・給付時のそれぞれで手厚い税制優遇が設けられている私的年金制度です。掛金の額は一定の制限の範囲内で変更や停止が可能ですが、運用リスクや各種手数料は加入者負担となる点に留意が必要です。
解き方
- 加入者の企業年金の加入状況から拠出限度額を確認し、掛金変更・停止手続きの可否を判定する。
- 拠出時の税制優遇措置として小規模企業共済等掛金控除が全額適用されるかを確認する。
- 加入時・運用時の管理手数料の発生や、自己責任原則に基づく運用リスクの所在を確認する。
答えの内訳
- ①:×
- 確定給付企業年金に加入している会社員のiDeCo拠出限度額は月額1.2万円(年額14.4万円)ですが、掛金の拠出額は年1回変更(増額・減額)でき、拠出の一時停止(加入者資格喪失・運用指図者への変更)も可能です。
- ②:○
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)で加入者本人が拠出した掛金は、その全額が所得控除の一種である「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。
- ③:○
- iDeCoでは加入時手数料や毎月の口座管理手数料等の各種コストが自己負担となるほか、運用商品の選択結果に伴う運用リスク(元本割れリスク等)はすべて加入者本人が負います。
覚えるポイント
- iDeCoの掛金は全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となる。
- iDeCoの掛金拠出額の変更は年1回可能であり、拠出の停止も可能である。
間違えやすいところ
- iDeCoの掛金控除を「一般の生命保険料控除」と混同しないように注意する。
- 途中での掛金変更や拠出停止が一切できないと誤解しないようにする。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の確定拠出年金法・所得税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
必要保障額の計算および既契約保険の死亡保険金額の算出
リスク管理 · 必要保障額 / 定期保険特約付終身保険 / 災害割増特約
下記の<算式>および<条件>を参考に、Aさんが現時点で死亡した場合の遺族に必要な生活資金等の総額(①)と必要保障額(②)を求めなさい。また、現在加入している生命保険(終身保険300万円、定期保険特約2,000万円、災害割増特約500万円)について、Aさんが不慮の事故により事故の日から180日以内に死亡した場合の死亡保険金額(③)を求めなさい。 <算式> 必要保障額 = 遺族に必要な生活資金等の総額 - 遺族の収入見込金額 <条件> 1. 現在の毎月の日常生活費は30万円であり、Aさん死亡後の妻Bさんの生活費は現在の日常生活費の50%とする。 2. 現時点の妻Bさんの平均余命は40年とする。 3. 長女Cさんの結婚援助資金の総額は200万円とする。 4. Aさんの死亡整理資金・緊急予備資金は500万円とする。 5. 住宅ローン(団体信用生命保険加入)の残高は1,500万円とする。 6. 金融資産(預貯金等)の金額は1,900万円とする。 7. Aさん死亡後に妻Bさんが受け取る公的年金等の総額は4,700万円とする。 8. 現在加入している生命保険の死亡保険金額は考慮しなくてよい。
解答・解説を表示
解答
① 7,900(万円) ② 1,300(万円) ③ 2,800(万円)
解説
遺族の必要保障額は「遺族に必要な支出総額(生活費・ライフイベント資金・整理資金等)」から「遺族の収入見込額(公的年金・準備済み金融資産等)」を差し引いて算出します。住宅ローンは団信により死亡時に清算されるため支出に含めません。生命保険の不慮の事故による死亡時には、所定の要件を満たすことで災害割増特約が上乗せされます。
解き方
- 妻の年間生活費(月額×割合×12)に平均余命を乗じ、結婚援助資金や整理資金を加算して遺族に必要な生活資金等の総額を計算する。
- 金融資産と公的年金等の総額を合算して収入見込金額を求め、生活資金等の総額から控除して必要保障額を算出する。
- 現在加入中の保険から、終身保険・定期保険特約に加えて災害割増特約の金額を合算して不慮の事故死亡時の受取額を計算する。
答えの内訳
- ①:7,900
- 妻Bさんの生活費の総額は「月30万円×50%×12カ月×40年=7,200万円」です。これに長女の結婚援助資金200万円と死亡整理・緊急予備資金500万円を加算し、合計7,900万円となります(住宅ローンは団信により完済されるため加算しません)。
- ②:1,300
- 遺族の収入見込金額の合計は「金融資産1,900万円+公的年金等4,700万円=6,600万円」です。必要保障額は「生活資金等の総額7,900万円-収入見込金額6,600万円=1,300万円」となります。
- ③:2,800
- 不慮の事故により事故の日から180日以内に死亡した場合、主契約(終身保険300万円)と定期保険特約(2,000万円)に加えて災害割増特約(500万円)が支払われるため、「300万円+2,000万円+500万円=2,800万円」となります。
覚えるポイント
- 団体信用生命保険に加入している住宅ローン残高は、死亡時に保険金で一括返済されるため遺族の支出には含めない。
- 災害割増特約は不慮の事故から180日以内の死亡・所定の障害状態の際に上乗せして支払われる。
間違えやすいところ
- 団信に加入している住宅ローン残高を誤って遺族の必要資金に加算してしまう。
- 不慮の事故による死亡時に、災害割増特約を合算し忘れて主契約と定期特約のみで計算してしまう。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等および一般的な生命保険商品性に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の見直しと就労不能・医療保障・告知義務
リスク管理 · 必要保障額 / 患者調査の入院日数傾向 / 告知義務と健康増進型保険
Aさんの生命保険見直しに関するファイナンシャル・プランナーMさんの次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 必要保障額の計算はAさんが死亡した場合を想定したものであり、病気やケガ等で働けなくなったケースは想定していない。介護保障特約以外にも、所定の身体障害状態や認知症状態に対して保険金が支払われる保険への加入検討も一案である。 ② 厚生労働省の患者調査等のデータでは入院日数が年々長期化しており、退院後の通院療養に係る費用負担も大きいため、入院や退院後の通院保障を充実させることが必要である。 ③ 生命保険の契約の際には傷病歴等を事実のまま正しく告知する必要がある。最近では健康診断書の提出や契約後の健康状態改善により保険料が割安となる保険商品も販売されている。
- ①
- 必要保障額は死亡時を想定した試算であり、就労不能状態には対応していないため、身体障害や認知症をカバーする保障の検討も選択肢となる。
- ②
- 厚生労働省の患者調査等の各種データにおいて、入院日数は年々長期化している。
- ③
- 契約時の正確な告知が義務づけられる一方、健康診断結果の提出や健康増進によって保険料が割安になる商品も存在する。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
生命保険の見直しでは、死亡リスクに対する必要保障額だけでなく、入院・就労不能・介護等の生存リスクを切り分けて検討することが重要です。また近年の医療実態(在院日数の短期化)や最新の保険商品の特徴(健康増進型割引等)を正しく把握する必要があります。
解き方
- 死亡保障の必要保障額と就労不能保障の対象範囲の違いを整理し、記述①の正否を判定する。
- 厚生労働省「患者調査」における近年の入院日数の推移(短期化傾向)と照らして記述②の誤りを指摘する。
- 契約時の告知義務の原則および近年の健康状態改善連動型商品の実態を確認して記述③の正否を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 必要保障額の算定は世帯主死亡時の遺族生活資金を前提としているため、就労不能リスク(働けなくなる状態)には対応していません。障害・要介護・認知症状態等に備える保障の検討は適切です。
- 小問 ②:×
- 厚生労働省「患者調査」によると、医療技術の進歩や国の在宅医療推進等により、平均在院日数(入院日数)は年々「短期化」しています。「長期化している」とする記述は不適切です。
- 小問 ③:○
- 保険契約時の告知義務に加え、近年は優良体(非喫煙者・健康体)割引や、健康増進活動・健康診断結果の改善度合いに応じて保険料が割引・還付されるリスク細分型・健康増進型保険が普及しています。
覚えるポイント
- 厚生労働省「患者調査」における平均在院日数は一貫して短期化傾向にある点。
- 必要保障額は世帯主死亡時の遺族収支差額から算定されるため、就労不能時の保障は別途確保が必要である点。
間違えやすいところ
- 入院保障のニーズの高まりから「入院日数が長期化している」と錯覚しやすいが、実態は医療技術進歩等により短期化している。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等および公的調査データ
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
提案された生命保険の課税関係(控除限度額・リビングニーズ特約・収入保障特約)
タックスプランニング · 生命保険料控除限度額 / リビング・ニーズ特約の非課税 / 収入保障特約の相続税と雑所得
提案を受けている生命保険の課税関係に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群(イ~ル)の中から選びなさい。 Ⅰ 「支払保険料のうち、終身保険、定期保険特約および収入保障特約に係る保険料は一般の生命保険料控除の対象となり、8大疾病保障特約、介護保障特約および総合医療特約に係る保険料は介護医療保険料控除の対象となります。それぞれの適用限度額は、所得税で( ① )円、住民税で( ② )円です」 Ⅱ 「当該生命保険にはリビング・ニーズ特約が付加されているため、Aさんが余命6カ月以内と判断された場合、所定の範囲内で死亡保険金の一部または全部を受け取ることができます。Aさんが受け取る当該保険金は( ③ )となります」 Ⅲ 「Aさんが死亡した場合、収入保障特約の年金額について、当該年金受給権が『定期金に関する権利の評価』に基づき評価されて相続税の課税対象となります。その後、妻Bさんが受け取る年金は、課税部分と非課税部分に振り分けられ、課税部分は( ④ )として総合課税の対象となります」
- イ
- 25,000
- ロ
- 28,000
- ハ
- 35,000
- ニ
- 40,000
- ホ
- 50,000
- へ
- 贈与税の課税対象
- ト
- 相続税の課税対象
- チ
- 非課税
- リ
- 雑所得
- ヌ
- 一時所得
- ル
- 配当所得
解答・解説を表示
解答
① ニ ② ロ ③ チ ④ リ
解説
2012年以降の新生命保険料控除は各控除枠ごとに所得税40,000円・住民税28,000円が限度となります。被保険者本人が受け取るリビング・ニーズ特約給付金は非課税です。被保険者死亡による年金受給権は相続税の課税対象となり、以降毎年受け取る年金は相続税課税対象部分を除いた運用益部分が雑所得として総合課税されます。
解き方
- 新生命保険料控除(2012年1月1日以降契約)の所得税限度額(40,000円)および住民税限度額(28,000円)を確認する。
- リビング・ニーズ特約保険金の税法上の取扱い(受取人が本人・生計一の遺族の場合は全額非課税)を特定する。
- 被保険者=保険料負担者死亡に伴う年金形式の給付金について、1年目の権利評価(相続税)と受取各年の運用益部分の所得区分(雑所得・総合課税)を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ニ
- 2012年1月1日以後に締結した新契約の生命保険料控除において、各控除(一般・介護医療・個人年金)の所得税における適用限度額はそれぞれ最高40,000円です。
- 小問 ②:ロ
- 新契約の生命保険料控除において、各控除(一般・介護医療・個人年金)の個人住民税における適用限度額はそれぞれ最高28,000円(合計限度額は70,000円)です。
- 小問 ③:チ
- リビング・ニーズ特約によって被保険者が生前に受け取る給付金は、重度慢性疾患等に基因して受ける給付として所得税法上「非課税」と規定されています。
- 小問 ④:リ
- 契約者=被保険者=Aさんの死亡により妻Bさんが年金形式で受給する収入保障特約の年金受給権は相続税の課税対象となり、2年目以降に受領する年金の運用益相当額(課税部分)は「雑所得」として総合課税されます。
覚えるポイント
- 新生命保険料控除の限度額:所得税各4万円(合計12万円)、住民税各2.8万円(合計7万円)。
- リビング・ニーズ特約保険金は被保険者本人が受け取る場合、非課税となる。
- 相続税課税後の年金受給では、二重課税排除のため課税部分のみが雑所得(総合課税)となる。
間違えやすいところ
- 新制度の所得税限度額(4万円)と旧制度の所得税限度額(5万円)を取り違えるミスが多い。
- 年金受取時の所得区分を一時所得や非課税と混同しやすいが、相続税対象外となった運用益部分は雑所得となる。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の所得税法および相続税法
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の計算 / 役員退職金
Aさんが役員在任期間(勤続年数)32年3カ月でX社を退任し、X社から役員退職金として8,000万円が支給された。この役員退職金に係る退職所得の金額を算出するための計算式について、空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、障害者となったことが退職の直接の原因ではなく、他に退職手当等の収入はないものとする。 <退職所得控除額> 800万円+□□□万円×(( ① )年-20年)=( ② )万円 <退職所得の金額> (8,000万円-( ② )万円)×□□□=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 33、② 1,710、③ 3,145
解説
退職所得は担税力への配慮から他の所得と分離して課税され、勤続年数に応じた退職所得控除および2分の1を乗じる優遇措置が設けられています。勤続年数の端数は月単位で切り上げます。
解き方
- 勤続年数32年3カ月の1年未満の端数月数を切り上げて勤続年数を33年と算出する。
- 勤続年数20年超の算式「800万円+70万円×(33年-20年)」に当てはめて退職所得控除額1,710万円を算出する。
- 役員在任期間が5年超であるため通常の退職所得の算式「(8,000万円-1,710万円)×1/2」を計算し、3,145万円を求める。
答えの内訳
- ①:33
- 退職所得控除額の計算における勤続年数は、1年未満の端数月数を切り上げて1年として計算します。役員在任期間32年3カ月の端数を切り上げるため、勤続年数は33年となります。
- ②:1,710
- 勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で求められます。したがって、800万円+70万円×(33年-20年)=1,710万円となります。
- ③:3,145
- 退職所得の金額は「(収入金額-退職所得控除額)×2分の1」で求められます(特定役員退職手当等に該当しないため1/2が適用されます)。したがって、(8,000万円-1,710万円)×1/2=3,145万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数は1日でもあれば1年に切り上げて計算する。
- 勤続年数20年超の退職所得控除額は800万円+70万円×(勤続年数-20年)。
間違えやすいところ
- 勤続年数の月数を四捨五入や切り捨てして32年としてしまうミス。
- 退職所得控除後の金額に2分の1を掛け忘れてしまうミス。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
養老保険を活用した福利厚生プランの特徴と税務処理
リスク管理 · 養老保険 / ハーフタックスプラン / 福利厚生費 / 普遍的加入
法人が契約する養老保険を活用した福利厚生プラン(ハーフタックスプラン)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「福利厚生プランは、原則として、従業員全員を被保険者とする等の普遍的加入でなければなりませんので、制度導入後に入社した従業員について加入漏れがないように注意してください」 ② 「福利厚生プランの保険料は、その2分の1を資産計上し、残りの2分の1を福利厚生費として損金の額に算入します」 ③ 「部課長以上など、一定以上の役職者のみを被保険者とする場合は、保険料の全額を給与として損金の額に算入します」
解答・解説を表示
解答
① ○、② ○、③ ×
解説
法人が契約する養老保険で死亡保険金受取人を遺族、満期受取人を法人とする形態はハーフタックスプランと呼ばれ、従業員の普遍的加入を条件に保険料の半額を福利厚生費として損金算入できます。
解き方
- 普遍的加入要件(役員・従業員の全員加入)および事後加入管理の必要性を確認し①を適切と判定する。
- 受取人の構成に基づく2分の1資産計上・2分の1損金算入の経理処理ルールを確認し②を適切と判定する。
- 普遍的加入を満たさない場合の税務処理(満期受取人=法人の部分は依然として資産計上、遺族受取部分のみ給与損金)を確認し③を不適切と判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 福利厚生プランとして認められるためには、役員・従業員全員を対象とする普遍的加入が要件とされます。したがって、導入後に入社した従業員も加入漏れのないよう適格時に加入させる必要があります。
- 小問 ②:○
- 契約者および満期保険金受取人を法人、被保険者を役員・従業員、死亡保険金受取人を被保険者の遺族とする養老保険の支払保険料は、2分の1を資産計上(保険料積立金)、2分の1を損金算入(福利厚生費)とします。
- 小問 ③:×
- 役職者のみなど普遍的加入を満たさない場合でも、法人が受け取る満期保険金に対応する2分の1部分は資産計上(保険料積立金)となり、給与課税されて損金算入されるのは死亡保障部分に対応する2分の1のみです。
覚えるポイント
- 福利厚生プランの受取人形態:死亡=被保険者の遺族、満期=法人。
- 普遍的加入を満たさない場合でも、満期保険金に対応する2分の1は法人の資産(保険料積立金)として計上する。
間違えやすいところ
- 普遍的加入を満たさない場合に保険料全額が給与になると勘違いしてしまうミス(資産計上部分は給与にならない)。
- 役員のみを被保険者とする養老保険でハーフタックスが適用できると誤解するミス。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法人税基本通達に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
低解約返戻金型終身保険の特徴と法人の税務・活用法
リスク管理 · 低解約返戻金型終身保険 / 法人契約の生命保険 / 役員退職金 / 高度障害保険金の法人税務
設例の<資料2>に基づき、法人が契約する低解約返戻金型終身保険(契約者・死亡保険金受取人:X社、被保険者:代表取締役社長Aさん)の特徴および税務上の取扱い等に関する記述①~④の正誤を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ × ④ ○
解説
法人が契約する低解約返戻金型終身保険は、払込期間中の解約返戻金を抑制することで保険料を抑え、払込完了後に返戻率が上昇する仕組みです。法人が受け取る保険金は、死亡保険金だけでなく身体の傷害・高度障害に起因するものであっても、全額が益金算入される点に注意が必要です。
解き方
- 低解約返戻金型終身保険の保険料払込期間中における解約返戻金と保険料設定の仕組みを確認します。
- 役員勇退時における生命保険契約の権利移転(名義変更による退職金現物支給)と個人での相続税法上の効用を判定します。
- 個人受取と法人受取における保険金の税務上の取扱いの違い(法人の高度障害保険金は益金算入)を判別します。
- 法人が受取人となる死亡保険金の事業上の使途(借入金返済や運転資金)を確認します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間中の解約返戻金を通常の終身保険より低く(一般に7割程度に)抑えることで、その分保険料が割安に設定されています。
- 小問 ②:○
- 役員の勇退時に契約者を役員本人、死亡保険金受取人をその相続人に名義変更(現物支給)することで、役員退職金の一部に充てることができ、個人の相続対策(死亡保険金の非課税枠の活用等)にもつながります。
- 小問 ③:×
- 個人が受け取る高度障害保険金は所得税法上非課税ですが、法人が保険金受取人として受け取る高度障害保険金は益金の額に算入され、法人税の課税対象となります。
- 小問 ④:○
- 法人受取の死亡保険金は、役員死亡時における借入金の返済や当面の運転資金、事業防衛資金、遺族への死亡退職金・弔慰金の原資として幅広く活用できます。
覚えるポイント
- 個人受取の入院給付金や高度障害保険金は非課税だが、法人が受け取る保険金は理由を問わず全額益金算入となる。
- 保険契約の権利を現物支給する場合、解約返戻金相当額で役員退職金として評価・支給する。
間違えやすいところ
- 個人の所得税法上の非課税規定(身体の傷害等に起因する給付金・保険金)を法人の税務にも適用できると誤認しやすい。
- 低解約返戻金型終身保険は払込期間中に解約すると返戻率が大幅に低くなるリスクを見落としやすい。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人年金保険・終身保険の解約返戻金に係る所得税の課税関係と確定申告
タックスプランニング · 一時所得 / 変額個人年金保険 / 一時払終身保険 / 金融類似商品 / 確定申告要件
設例の<Aさんの2018年分の収入等に関する資料>に基づき、Aさんが受け取った一時払変額個人年金保険の解約返戻金および一時払終身保険の解約返戻金に係る所得税の課税に関する記述①~③の正誤を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
生命保険の解約返戻金は契約者本人が受取人の場合、原則として一時所得として総合課税されます。保険期間が5年以下のものや、一時払養老保険等で5年以内に解約されたものは金融類似商品として源泉分離課税(20.315%)となりますが、一時払終身保険は期間が終身であるため金融類似商品には該当しません。同一年に複数の一時所得がある場合は損益を通算し、特別控除(最大50万円)を差し引いた後の金額の2分の1を総所得金額に算入します。
解き方
- 一時払変額個人年金保険の解約返戻金が一時所得(総合課税)に該当することを確認します。
- 一時払終身保険の5年以内解約が金融類似商品に該当するかどうかを保険期間(終身)から判定します。
- 2件の保険解約に係る差益・差損を通算し、一時所得の特別控除額(50万円)を控除したうえで2分の1を乗じて総所得金額算入額を計算します。
- 給与所得者における給与以外の所得金額が20万円を超えているかを確認し、確定申告義務の有無を判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 契約者と受取人が同一である一時払変額個人年金保険の解約返戻金は、一時金として受け取るため一時所得に該当し、総合課税の対象となります。
- 小問 ②:×
- 一時払終身保険は保険期間が終身であるため、契約から5年以内に解約した場合であっても金融類似商品(保険期間5年以下のもの等)には該当せず、源泉分離課税の対象にはなりません。
- 小問 ③:○
- 一時所得の金額は「(650万円-500万円)+(480万円-500万円)-50万円=80万円」となり、総所得金額への算入額はその2分の1の40万円です。給与所得者において給与以外の所得が20万円を超えるため、確定申告が必要です。
覚えるポイント
- 一時払終身保険は5年以内に解約しても金融類似商品にはならず、一時所得(総合課税)となる。
- 同一年中の一時所得同士は差益と差損の内部通算が可能である。
間違えやすいところ
- 一時払養老保険等の5年以内解約と一時払終身保険の解約を混同し、終身保険も源泉分離課税になると誤認しやすい。
- 一時所得の金額(収入-支出-50万円)そのものではなく、総所得金額に算入されるのは「2分の1」した後の金額であることを忘れがちである。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配偶者控除の所得制限と扶養控除額の判定
タックスプランニング · 所得税の所得控除 / 配偶者控除の所得要件 / 特定扶養親族の控除額
所得税の所得控除に関する次の文中の空欄①~③に入る適切な数値を、選択肢(〈数値群〉イ~チ)の中から選びなさい。 Ⅰ 「Aさんの合計所得金額は( ① )万円以下であるため、Aさんは38万円の配偶者控除の適用を受けることができます。仮に、Aさんの合計所得金額が( ① )万円を超えると、配偶者控除の額は段階的に縮小し、合計所得金額が( ② )万円を超えると、適用を受けることができません」 Ⅱ 「長男Cさんの合計所得金額は38万円以下となりますので、Aさんは長男Cさんについて( ③ )万円の扶養控除の適用を受けることができます」
- イ
- 48
- ロ
- 58
- ハ
- 63
- ニ
- 900
- ホ
- 950
- ヘ
- 1,000
- ト
- 1,200
- チ
- 2,000
解答・解説を表示
解答
① ニ、② ヘ、③ ハ
解説
所得税の配偶者控除は納税者本人の合計所得金額に応じて控除額が段階的に減額され、1,000万円超では適用対象外となります。また扶養控除は扶養親族の年末時点の年齢等によって控除額が区分され、19歳以上23歳未満は特定扶養親族として63万円が控除されます。
解き方
- 納税者本人の配偶者控除の適用要件を確認し、満額適用の上限(900万円)と適用除外となる下限(1,000万円超)を特定する。
- 扶養親族である長男Cさんの年末時点の年齢(19歳)を確認し、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額である63万円を導く。
- 選択肢 イ不正解
- 48は控除額・所得制限のいずれの数値にも合致しません(基礎控除等の現行基準額などとは無関係です)。
- 選択肢 ロ不正解
- 58は老人扶養親族(同居老親等以外)の控除額(48万円)や同居老親等(58万円)にみられる数値ですが、本問の特定扶養親族の控除額ではありません。
- 選択肢 ハ正解
- 空欄③の正答です。19歳以上23歳未満の特定扶養親族に係る扶養控除額は63万円です。
- 選択肢 ニ正解
- 空欄①の正答です。配偶者控除の最高額(38万円)が適用される納税者本人の合計所得金額の上限は900万円です。
- 選択肢 ホ不正解
- 950万円は配偶者控除が26万円から13万円に段階的に引き下げられる区分の基準値です。
- 選択肢 ヘ正解
- 空欄②の正答です。納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えると配偶者控除は適用できなくなります。
- 選択肢 ト不正解
- 1,200万円は配偶者特別控除の上限(給与収入換算時の目安)等と混同しやすい数値ですが、合計所得金額の制限基準ではありません。
- 選択肢 チ不正解
- 2,000万円は給与所得者が確定申告を要する給与収入金額の基準であり、本問の所得控除の数値ではありません。
答えの内訳
- ①:ニ
- 控除を受ける本人の合計所得金額が900万円以下の場合に配偶者控除は最高額(38万円)が適用されます。
- ②:ヘ
- 控除を受ける本人の合計所得金額が1,000万円を超えると、配偶者控除の適用を受けることができなくなります。
- ③:ハ
- 長男Cさんは年末時点で19歳(19歳以上23歳未満)であり、特定扶養親族に該当するため控除額は63万円となります。
覚えるポイント
- 配偶者控除の本人の合計所得金額制限:900万円以下は38万円、900万円超950万円以下は26万円、950万円超1,000万円以下は13万円、1,000万円超は適用なし。
- 扶養控除額:一般扶養親族(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満)は38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)は63万円。
間違えやすいところ
- 特定扶養親族の対象年齢は19歳以上23歳未満であり、高校生(16歳以上19歳未満)は一般扶養親族(38万円)である点と混同しないように注意する。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(2018年分所得税法)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額・扶養控除額および所得税額の計算
タックスプランニング · 給与所得の計算 / 一時所得の計算と通算 / 扶養控除の合算 / 課税総所得金額と算出税額
設例に基づき、Aさんの2018年分の所得税の算出税額を計算する表の空欄①~③に入る適切な数値を計算しなさい。 ・(a)総所得金額:( ① )円 ・扶養控除:( ② )円 ・(d)算出税額((c)に対する所得税額):( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 8,200,000(円)、② 1,010,000(円)、③ 612,500(円)
解説
総所得金額を求める際は、給与所得(収入金額-給与所得控除額)と一時所得(総収入金額-支出金額-特別控除50万円)の2分の1の金額を合算します。同一年中に生じた一時所得の利益と損失は内部通算できます。算出税額は課税総所得金額に超過累進税率を乗じて控除額を引くことで求められます。
解き方
- 給与所得控除額を資料の速算表から算出し、給与収入1,000万円から220万円を差し引いて給与所得(780万円)を計算する。
- 変額個人年金の解約返戻金と終身保険の解約返戻金から各支払保険料を差し引き、一時所得の内部通算を行って特別控除50万円を控除後、2分の1にして一時所得の算入額(40万円)を求め、給与所得と合算して総所得金額(820万円)を算出する。
- 19歳の長男C(特定扶養:63万円)と16歳の長女D(一般扶養:38万円)の扶養控除を合算して101万円を求める。
- 総所得金額から所得控除額300万円を差し引いた課税総所得金額(520万円)に速算表の税率20%を乗じ、控除額427,500円を引いて算出税額を求める。
答えの内訳
- ①:8,200,000
- 給与所得控除額は220万円であるため給与所得は1,000万円-220万円=780万円です。一時所得は、変額個人年金解約差益(650万円-500万円=150万円)と終身保険解約差損(480万円-500万円=-20万円)を通算した130万円から特別控除50万円を差し引いた80万円となり、総所得金額への算入額はその2分の1の40万円です。したがって総所得金額は780万円+40万円=8,200,000円となります。
- ②:1,010,000
- 長男Cさん(19歳)は特定扶養親族として控除額63万円、長女Dさん(16歳)は一般扶養親族として控除額38万円となります。よって扶養控除の合計額は63万円+38万円=1,010,000円です。
- ③:612,500
- 課税総所得金額(c)は総所得金額8,200,000円-所得控除合計3,000,000円=5,200,000円です。速算表より税率20%、控除額427,500円を適用し、5,200,000円×20%-427,500円=612,500円となります。
覚えるポイント
- 一時所得の課税対象への算入額は「(総収入金額-支出金額-特別控除上限50万円)× 1/2」となる点に注意する。
- 同一年中に複数の解約等がある場合、一時所得の収入金額と必要経費は合算(内部通算)して計算する。
間違えやすいところ
- 一時所得の2分の1課税を忘れて80万円をそのまま給与所得に足してしまう誤りが多い。
- 扶養親族の判定で16歳の高校生を見落として長男のみの63万円にしてしまうミスに注意する。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(2018年分所得税法)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額
現時点(2019年5月26日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額を試算した表の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人とし、相続税の課税価格の合計額は3億8,000万円とする。 (a)相続税の課税価格の合計額:3億8,000万円 (b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 課税遺産総額(a)-(b):□□□万円 相続税の総額の基となる税額 ・妻Bさん:( ② )万円 ・長男Cさん:□□□万円 ・長女Dさん:( ③ )万円 (c)相続税の総額:( ④ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円) ② 4,940(万円) ③ 1,790(万円) ④ 8,520(万円)
解説
相続税の総額は、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、それを実際の分割割合ではなく民法上の法定相続分で按分した上で、速算表の超過累進税率を適用して各人分の税額を計算し、最後にそれらを合計して算出します。
解き方
- 法定相続人の人数(3人)から基礎控除額(3,000万円+600万円×3=4,800万円)を計算し、課税遺産総額(3億3,200万円)を導きます。
- 課税遺産総額を法定相続分(配偶者1/2、子各1/4)に按分し、各人の法定相続分に応ずる取得金額を算出します。
- 速算表に基づき各相続人の税額(妻4,940万円、長男1,790万円、長女1,790万円)を計算し、すべて合算して相続税の総額(8,520万円)を導きます。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:4,940
- 課税遺産総額は3億8,000万円-4,800万円=3億3,200万円です。妻Bさんの法定相続分は2分の1なので、取得金額は3億3,200万円×1/2=1億6,600万円となります。速算表(1億円超2億円以下:税率40%、控除額1,700万円)より、1億6,600万円×40%-1,700万円=4,940万円となります。
- ③:1,790
- 長女Dさんの法定相続分は4分の1なので、取得金額は3億3,200万円×1/4=8,300万円です。速算表(5,000万円超1億円以下:税率30%、控除額700万円)より、8,300万円×30%-700万円=1,790万円となります(長男Cさんも同額)。
- ④:8,520
- 相続税の総額は、各法定相続人の取得金額に応じた税額を合算して求めます。妻Bさんの税額4,940万円+長男Cさんの税額1,790万円+長女Dさんの税額1,790万円=8,520万円となります。
覚えるポイント
- 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 配偶者の税額軽減等の特例を控除する前に、法定相続分に応じた「相続税の総額」をまず確定させる
間違えやすいところ
- 法定相続分の按分において、実際の遺産分割割合や保険金受取割合をそのまま使ってしまう誤り
- 子の法定相続分を計算する際に、全体の1/2を子の数で均等割(1/2×1/2=1/4)にするのを忘れてしまうこと
出題の前提:2018年10月1日現在施行の相続税法および設例の条件
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自社株の評価と承継手法(事業承継税制・相続時精算課税)
相続・事業承継 · 類似業種比準方式 / 事業承継税制の特例措置 / 相続時精算課税制度
X社株式に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉の中から選びなさい。 Ⅰ 「X社株式の相続税評価額は、原則として類似業種比準方式により評価されます。類似業種比準価額は、類似業種の株価ならびに1株当たりの( ① )、1株当たりの利益金額、1株当たりの純資産価額の3つの比準要素を基に計算されます」 Ⅱ 「長男CさんにX社株式を移転する方法として、『非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例』の活用が考えられます。本特例の適用を受けた場合、贈与者の死亡時まで本特例の対象となる非上場株式等の贈与に係る贈与税額の全額の納税が猶予されます。なお、発行済議決権株式の( ② )が本特例の対象となります」 Ⅲ 「長男CさんにX社株式を移転する方法として、相続時精算課税制度の活用が考えられます。本制度を選択した場合、累計で( ③ )万円までの贈与について贈与税は課されませんが、その額を超える部分については、一律20%の税率により贈与税が課されます」 〈語句群〉 イ.2,000 ロ.2,500 ハ.3,000 ニ.3分の2 ホ.4分の3 ヘ.すべて ト.売上金額 チ.配当金額 リ.資本金等の額
- イ
- 2,000
- ロ
- 2,500
- ハ
- 3,000
- ニ
- 3分の2
- ホ
- 4分の3
- ヘ
- すべて
- ト
- 売上金額
- チ
- 配当金額
- リ
- 資本金等の額
解答・解説を表示
解答
① チ ② ヘ ③ ロ
解説
大会社の非上場株式は類似業種比準方式を原則とし、配当・利益・純資産の3要素で評価します。また、事業承継税制の特例措置では全株式・全税額の猶予が可能とされ、相続時精算課税制度では累計2,500万円の特別控除枠を利用して自社株を生前贈与することができます。
解き方
- 類似業種比準方式の3つの比準要素(配当金額、利益金額、純資産価額)を想起し、空欄①に「配当金額(チ)」を当てはめます。
- 平成30年度税制改正による事業承継税制の特例措置の対象株式数要件(全株式対象)を確認し、空欄②に「すべて(ヘ)」を選択します。
- 相続時精算課税制度の特別控除限度額(累計2,500万円)を確認し、空欄③に「2,500(ロ)」を選択します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 類似業種比準価額は、類似業種の株価に対して評価会社の「1株当たりの配当金額」「1株当たりの利益金額」「1株当たりの純資産価額(簿価)」の3要素を比準させて算定します。
- 小問 ②:ヘ
- 平成30年度税制改正で創設された事業承継税制の「特例措置」では、従来の一般措置にあった上限(発行済議決権株式総数の3分の2)が撤廃され、発行済議決権株式の「すべて」が納税猶予の対象となります。
- 小問 ③:ロ
- 相続時精算課税制度を選択した場合、同一の贈与者からの贈与について特別控除額として累計「2,500」万円までは贈与税が非課税となり、超過部分には一律20%の税率が適用されます。
覚えるポイント
- 類似業種比準方式の3比準要素は「配当金額」「利益金額」「純資産価額」
- 事業承継税制の特例措置では、対象株式上限が「すべて」、猶予割合が「全額(100%)」に拡大
- 相続時精算課税制度の特別控除限度額は累計2,500万円(超過分は一律20%)
間違えやすいところ
- 事業承継税制の一般措置(上限2/3、猶予割合80%)と特例措置(上限なし全株、猶予割合100%)の規定を混同すること
- 類似業種比準要素に「売上高」や「純資産」の区分(簿価)を取り違えてしまうこと
出題の前提:2018年10月1日現在施行の租税特別措置法および相続税法
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺言の証人適格・配偶者の小規模宅地特例・死亡保険金の非課税金額の計算
相続・事業承継 · 公正証書遺言の証人欠格事由 / 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / 生命保険金の非課税限度額
Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を付けなさい。 ① 公正証書遺言を作成する場合、後継者である長男Cさんが証人になることが望ましい。 ② 自宅敷地・建物を妻Bさんが相続で取得した場合、申告期限までに自宅敷地を売却しても、特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例の適用を受けられる。 ③ Aさん加入の一時払終身保険の死亡保険金について、長男Cさんが受け取る4,000万円のうち、相続税の課税価格に算入される金額は1,500万円である。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
相続における公正証書遺言作成時の証人資格、小規模宅地等の特例における取得者別の要件(配偶者の無条件適用)、および生命保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)の正しい計算方法を理解しておく必要があります。
解き方
- 公正証書遺言において推定相続人や受遺者およびその近親者は証人欠格者となる民法の規定を確認する。
- 小規模宅地等の特例で配偶者が取得する場合、居住要件および申告期限までの所有継続要件が不要であることを確認する。
- 生命保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人3人=1,500万円)を算出し、保険金額4,000万円から差し引いて課税価格算入額(2,500万円)を求める。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 民法上、推定相続人や受遺者、ならびにその配偶者および直系血族は公正証書遺言の証人または立会人になることができません。長男CさんはAさんの推定相続人であるため、証人になることはできません。
- 小問 ②:○
- 被相続人の配偶者が取得した特定居住用宅地等については、相続開始前後の居住要件や相続税申告期限までの保有継続要件が課されていません。そのため、申告期限までに売却した場合であっても小規模宅地等の特例の適用を受けることができます。
- 小問 ③:×
- 生命保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」であり、法定相続人は妻B・長男C・長女Dの3人であるため、非課税限度額は1,500万円(500万円×3人)となります。したがって、課税価格に算入される金額は受取額4,000万円から非課税枠1,500万円を控除した2,500万円です。
覚えるポイント
- 配偶者が取得する特定居住用宅地等は、申告期限までの居住・所有継続要件がなく無条件で特例対象となる。
- 生命保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」であり、控除後の残額が課税価格に算入される。
間違えやすいところ
- 生命保険金の非課税限度額そのもの(1,500万円)を課税価格に算入される金額と取り違えるミスが多い。
- 親族なら誰でも遺言の証人になれると誤認し、推定相続人の証人欠格を見落とすミスに注意する。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2019年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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