日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
老齢給付の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 報酬比例部分
設例のAさん(1973年8月12日生まれ・会社員、18歳から60歳まで厚生年金保険に496月加入:2003年3月以前132月・平均標準報酬月額28万円、2003年4月以後364月・平均標準報酬額40万円)が受給できる老齢給付の年金額(2018年度価額)について、計算の手順における空欄①~④に入る数値を求めなさい。
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解答
① 779,300 ② 1,061,374 ③ 700 ④ 1,062,074
解説
老齢厚生年金は報酬比例部分と経過的加算の合計に、要件を満たす場合に加給年金が加算されます。また加給年金は受給権者によって生計を維持している65歳未満の配偶者等がいる場合に加算されます。
解き方
- 老齢基礎年金:20歳以上60歳未満の厚生年金加入月数(480月)に基づき満額の779,300円を算定する。
- 報酬比例部分:2003年3月以前(平均標準報酬月額×7.125/1,000×月数)と4月以後(平均標準報酬額×5.481/1,000×月数)をそれぞれ計算して合算し、円未満を四捨五入する。
- 経過的加算:被保険者月数の上限480月を用いて、1,625円×480月-779,300円×(480/480)を算定する。
- 加給年金の該否を判定し(配偶者が受給権者到達時点で65歳以上の場合は加算対象外)、老齢厚生年金の総額を求める。
答えの内訳
- ①:779,300
- 老齢基礎年金の計算において、Aさんは20歳から60歳までの40年間(480月)すべて厚生年金保険の被保険者(第2号被保険者)であり、保険料納付済月数が480月となるため、満額の779,300円(779,300円×480/480)となります。
- ②:1,061,374
- 報酬比例部分はⓐとⓑの合算です。ⓐ2003年3月以前分:280,000円×(7.125/1,000)×132月=263,340円。ⓑ2003年4月以後分:400,000円×(5.481/1,000)×364月=798,033.6円。合計して263,340円+798,033.6円=1,061,373.6円となり、円未満を四捨五入して1,061,374円となります。
- ③:700
- 経過的加算額は、定額部分(1,625円×厚生年金被保険者期間月数)から老齢基礎年金相当額(779,300円×20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者期間月数/480)を控除して求めます。被保険者期間月数は132月+364月=496月(上限480月)。よって、1,625円×480月-779,300円×(480月/480)=780,000円-779,300円=700円となります。
- ④:1,062,074
- 基本年金額は報酬比例部分(1,061,374円)+経過的加算(700円)=1,062,074円です。妻BさんはAさんと同い年(生年月日が1973年6月20日でAさんより年上)であるため、Aさんが65歳到達時には妻Bさんはすでに65歳に達しており、加給年金の加算対象とはなりません。したがって老齢厚生年金の年金額は1,062,074円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算の定額部分の乗算月数は昭和21年4月2日以後生まれの場合は上限480月
- 加給年金は対象となる配偶者が65歳未満であることが要件
間違えやすいところ
- 経過的加算の計算で実月数の496月をそのまま掛けて上限480月を失念すること
- 妻の年齢確認を怠り、加給年金額389,800円をそのまま加算してしまうこと
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等および2018年度年金額価額
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出限度額と受給要件
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / iDeCo / 拠出限度額 / 通算加入者等期間
確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)に関する説明文の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉のなかから選びなさい。 Ⅰ「拠出できる掛金の限度額は、確定給付企業年金(DB)に加入している第2号被保険者であるAさんの場合は年額( ① )円、国民年金の第3号被保険者である妻Bさんの場合は年額( ② )円です。」 Ⅱ「Aさんが60歳到達時に老齢給付金を受給するためには、通算加入者等期間が( ③ )年以上必要となります。」
- イ
- 5
- ロ
- 10
- ハ
- 15
- ニ
- 144,000
- ホ
- 240,000
- ヘ
- 276,000
- ト
- 816,000
解答・解説を表示
解答
① ニ ② ヘ ③ ロ
解説
個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金拠出限度額は国民年金の被保険者区分や他の企業年金の加入状況によって異なり、老齢給付金を本来の支給開始年齢である60歳から受給するには通算加入者等期間が10年以上必要です。
解き方
- Aさんの被保険者区分(確定給付企業年金に加入する第2号被保険者)を確認し、月額1.2万円(年額14.4万円)を特定する。
- 妻Bさんの被保険者区分(第3号被保険者)を確認し、月額2.3万円(年額27.6万円)を特定する。
- 60歳到達時に老齢給付金を受給するための通算加入者等期間の原則要件(10年以上)を選択する。
- 選択肢 イ不正解
- 「5」年ではありません。通算加入者等期間が10年未満の場合は受給可能開始年齢が61歳以降に繰り下げられます。
- 選択肢 ロ正解
- 「10」年は、60歳到達時に老齢給付金の支給を受けるために必要な通算加入者等期間(③)として正しい数値です。
- 選択肢 ハ不正解
- 「15」年は、老齢給付金の受給開始要件等の基準数値として該当しません。
- 選択肢 ニ正解
- 「144,000」円は、確定給付企業年金加入者の掛金限度額(月額12,000円×12カ月=年額144,000円、①)として正しい数値です。
- 選択肢 ホ不正解
- 「240,000」円(月額20,000円)は、企業型確定拠出年金のみに加入している場合等の限度額であり、設問のいずれにも該当しません。
- 選択肢 ヘ正解
- 「276,000」円は、国民年金第3号被保険者の掛金限度額(月額23,000円×12カ月=年額276,000円、②)として正しい数値です。
- 選択肢 ト不正解
- 「816,000」円(月額68,000円)は、国民年金第1号被保険者の拠出限度額であり、設問の対象者には該当しません。
答えの内訳
- ①:ニ
- 確定給付企業年金等の他制度に加入している厚生年金被保険者(第2号被保険者)のiDeCoの掛金拠出限度額は、月額12,000円(年額144,000円)です。
- ②:ヘ
- 国民年金の第3号被保険者(専業主婦等)のiDeCoの掛金拠出限度額は、月額23,000円(年額276,000円)です。
- ③:ロ
- 確定拠出年金の老齢給付金を60歳から受給するためには、通算加入者等期間が10年以上必要となります。
覚えるポイント
- 第3号被保険者のiDeCo上限は月額2.3万円(年額27.6万円)
- 確定給付企業年金(DB)併図の第2号被保険者のiDeCo上限は月額1.2万円(年額14.4万円)
- 60歳受給には通算加入者等期間10年以上が必要
間違えやすいところ
- 月額の数値と年額(12倍)の換算を取り違えること
- 企業型DC加入者や企業年金なしの第2号被保険者の限度額(月額2.3万円/2.0万円)と混同すること
出題の前提:2018年10月1日現在施行の確定拠出年金法
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の受給要件および個人型確定拠出年金の税制
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 在職定時改定 / 小規模企業共済等掛金控除
Aさんに対するファイナンシャル・プランナーMさんのアドバイスに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「仮に、Aさんが65歳になるまで厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務した場合、65歳から支給される老齢厚生年金は、65歳到達時における厚生年金保険の被保険者記録を基に計算されます」 ② 「妻Bさんは、Aさんと同様、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給はなく、原則として、65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給することになります」 ③ 「妻Bさんが確定拠出年金の個人型年金に加入し、Aさんが生計を一にする妻Bさんの掛金を拠出した場合、Aさんはその全額を小規模企業共済等掛金控除の対象とすることができます」
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解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
公的年金の受給開始年齢の生年月日要件や在職中の年金額改定時期、確定拠出年金の掛金にかかる所得控除の帰属基準を正確に理解しておくことが重要です。
解き方
- 60歳から65歳までの厚生年金被保険者記録が65歳到達時の本来支給の年金額に反映されるルールを確認する。
- 妻Bさんの生年月日(1973年6月20日)から特別支給の老齢厚生年金の対象外であることを判定する。
- 社会保険料控除とは異なり、iDeCoの小規模企業共済等掛金控除は加入者本人しか適用できない原則を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 60歳以後も厚生年金保険の被保険者として勤務を継続した場合、65歳到達月までの被保険者期間および報酬記録を反映して65歳からの本来支給の老齢厚生年金額が計算されます。
- 小問 ②:○
- 女性の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)は、昭和41年(1966年)4月2日以降生まれには支給されません。1973年生まれの妻Bさんには支給がなく、原則65歳からの受給開始となります。
- 小問 ③:×
- 確定拠出年金(iDeCo)の掛金に係る小規模企業共済等掛金控除は、加入者本人の所得からのみ控除可能です。配偶者が拠出を負担した場合でも、配偶者自身の所得控除とすることはできません。
覚えるポイント
- 女性の特別支給の老齢厚生年金は昭和41年4月2日以降生まれには支給されない。
- 小規模企業共済等掛金控除は生計を一にする親族の分を支払っても契約者本人以外は控除できない。
間違えやすいところ
- 社会保険料控除では生計を一にする配偶者の保険料を支払った場合に自己の控除にできるため、iDeCoの掛金も同様に控除できると誤認しやすい。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資指標(ROEおよびPER)の計算
金融資産運用 · ROE(自己資本当期純利益率) / PER(株価収益率)
《設例》の<X社株式およびY社株式の情報>および<X社およびY社の財務データ>に基づいて算出される次の①、②を求めなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。 ① X社およびY社のROE ② X社およびY社のPER
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解答
① X社:12.08(%) Y社:9.69(%) ② X社:11.03(倍) Y社:9.68(倍)
解説
ROEは自己資本に対する収益性を示す指標であり、PERは企業の利益水準に対して株価が何倍まで買われているかを表す投資指標です。
解き方
- 設例の財務データから純資産(自己資本)と当期純利益を取得し、当期純利益÷純資産×100により各社のROEを算出する。
- 当期純利益÷発行済株式総数により1株当たり当期純利益(EPS)を算出し、株価÷EPS(または株式時価総額÷当期純利益)によりPERを算出する。
- 算出結果の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで端数処理を行う。
答えの内訳
- ①:X社:12.08(%) Y社:9.69(%)
- ROE(%)=当期純利益÷自己資本(純資産)×100により計算します。X社:290,000百万円÷2,400,000百万円×100≒12.083%より12.08%。Y社:46,500百万円÷480,000百万円×100=9.6875%より9.69%となります。
- ②:X社:11.03(倍) Y社:9.68(倍)
- PER(倍)=株価÷1株当たり当期純利益(EPS)により計算します。X社のEPS=290,000百万円÷8億株=362.5円、PER=4,000円÷362.5円≒11.034倍より11.03倍。Y社のEPS=46,500百万円÷3億株=155円、PER=1,500円÷155円≒9.677倍より9.68倍となります。
覚えるポイント
- ROE=当期純利益÷自己資本×100
- PER=株価÷EPS(1株当たり当期純利益)=時価総額÷当期純利益
間違えやすいところ
- ROEの計算で営業利益や経常利益を使用してしまうミスや、四捨五入の桁指定(小数点以下第3位を四捨五入して第2位まで求める)を誤るケースが見られます。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資指標(PER・ROE・配当性向)の判定
金融資産運用 · PER / ROE / 配当性向
設例のX社およびY社の財務データや株式情報を踏まえ、ファイナンシャル・プランナーのMさんが説明した株式の投資指標等に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 一般に、PERが高い銘柄ほど、株価は割安で今後の高い利益成長が期待されていると考えることができる。 ② 一般に、ROEが高い会社ほど、資産の効率的な活用がなされていると考えることができる。 ③ 一般に、配当性向が高いほど、株主に対する利益還元の度合いが高いと考えることができる。配当性向は、Y社の数値がX社の数値を上回っている。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
株式の各種財務指標は、株価の割高・割安感を測るPERやPBR、企業の資本効率を測るROE、利益還元姿勢を測る配当性向などを目的に応じて使い分けて評価します。
解き方
- PERは「株価÷1株当たり当期純利益」で求められ、倍率が高いほど利益水準に対して株価が割高と判断される原則を確認します。
- ROEは自己資本に対する利益の割合であり、資本を効率的に活用して収益を稼得できているかを表すことを確認します。
- 設例の財務データからX社とY社の配当性向(配当金総額÷当期純利益)をそれぞれ計算し、大小関係を比較します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- PER(株価収益率)は株価を1株当たり当期純利益で除して算出し、数値が高いほど割高、低いほど割安と判断されます。したがって「割安」とする記述は不適切です。
- 小問 ②:○
- ROE(自己資本利益率)は当期純利益を自己資本で除して算出し、株主が出資した自己資本を使って効率的に利益を上げているかを示すため、記述は適切です。
- 小問 ③:×
- 配当性向は配当金総額÷当期純利益×100で計算します。X社は約41.38%(1,200億円÷2,900億円)、Y社は約32.26%(150億円÷465億円)であり、X社のほうが高い(Y社はX社を下回っている)ため不適切です。
覚えるポイント
- PERは低いほど割安、高いほど割高と評価されます。
- 配当性向(%)=配当金総額÷当期純利益×100(または1株当たり配当金÷EPS×100)
間違えやすいところ
- PERが高い銘柄は将来の成長期待が高い場合もありますが、指標上の判断としては「割高」と表す点を取り違えないように注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定口座の税率・権利付き最終日・譲渡損失の繰越控除
金融資産運用 · 特定口座(源泉徴収あり) / 権利付き最終日 / 上場株式の譲渡損失の繰越控除
Mさんが説明したX社株式の購入および税制に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉から選びなさい。 Ⅰ 「Aさんが特定口座(源泉徴収あり)において、X社株式を購入し、その配当金を特定口座に受け入れた場合、所得税および復興特別所得税と住民税の合計で、配当金額の( ① )%相当額が源泉徴収等されます。AさんがX社株式の次回の配当金を受け取るためには、権利付き最終日である6月( ② )までにX社株式を購入する必要があります」 Ⅱ 「Aさんが特定口座(源泉徴収あり)において、仮にX社株式を株価4,000円で100株購入し、同年中に株価4,400円で全株売却した場合、所得税および復興特別所得税と住民税の合計で、譲渡益に対して( ① )%相当額が源泉徴収等されます。他方、譲渡損失が生じ、同年中にX社株式の配当金を特定口座に受け入れた場合、譲渡損失の金額と配当金額は特定口座内で損益通算されます。なお、控除しきれない上場株式等の譲渡損失の金額については、確定申告をすることにより、翌年以降( ③ )年間の繰越控除が可能です」 〈語句群〉 イ.1 ロ.3 ハ.5 ニ.15.315 ホ.20.315 ヘ.20.42 ト.25日(火) チ.27日(木) リ.28日(金)
- イ
- 1
- ロ
- 3
- ハ
- 5
- ニ
- 15.315
- ホ
- 20.315
- ヘ
- 20.42
- ト
- 25日(火)
- チ
- 27日(木)
- リ
- 28日(金)
解答・解説を表示
解答
① ホ ② ト ③ ロ
解説
上場株式の配当所得や譲渡所得は原則として20.315%の申告分離課税が適用されます。また、配当受取のための権利付き最終日は権利確定日から数えた受渡日基準で決まり、損失は翌年以降3年間の繰越控除が認められています。
解き方
- 上場株式の配当金および譲渡所得に係る源泉徴収税率(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%=20.315%)を特定します。
- 次回決算日(2019年6月30日・日曜日)から直前営業日である6月28日(金)を特定し、3営業日前(起算して4営業日前)となる権利付き最終日の6月25日(火)を算出します。
- 上場株式等の譲渡損失の繰越控除期間が「翌年以後3年間」である規定を適用します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 上場株式等の配当金および譲渡益に対する源泉徴収税率は、所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%の合計で20.315%となります。
- 小問 ②:ト
- 2019年6月30日(日)が決算期の場合、直前の営業日である28日(金)が権利確定日となります。受渡期間が4営業日目(T+3)の制度下では、その3営業日前である25日(火)が権利付き最終日となります。
- 小問 ③:ロ
- 上場株式等に係る譲渡損失の金額のうち、その年に損益通算しても控除しきれなかった金額は、確定申告により翌年以後3年間にわたり繰越控除できます。
覚えるポイント
- 上場株式等の配当・譲渡益の税率は合計20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%)。
- 上場株式等の譲渡損失の繰越控除期間は「3年間」(連続して確定申告書を提出する必要あり)。
間違えやすいところ
- 税率で所得税・復興特別所得税(15.315%)のみを選んでしまい、住民税を含めた20.315%を見落とすミスに注意が必要です。
- 権利確定日が日曜日(休業日)の場合、直前の平日である金曜日が基準日となる点に留意してください。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(株式の受渡期日は約定日から起算して4営業日目[T+3])
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税における損益通算の対象所得と通算順序
タックスプランニング · 損益通算 / 経常所得 / 所得税法
所得税における損益通算に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群のなかから選びなさい。 「損益通算の対象となる不動産所得、( ① )所得、譲渡所得、( ② )所得の4つの所得金額の計算上生じた損失の金額がある場合には、一定の順序に従ってこれを他の各種所得の金額から控除します。損益通算は、第一次通算、第二次通算、第三次通算の順に行われます。第一次通算では、不動産所得または( ① )所得の金額の計算上生じた損失の金額を、給与所得などの経常所得の金額から控除します。また、譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、( ③ )所得の金額から控除します。第一次通算によってもなお控除しきれない損失の金額がある場合は、第二次通算および第三次通算を行うことになります」
- イ
- 山林
- ロ
- 退職
- ハ
- 一時
- ニ
- 事業
- ホ
- 雑
解答・解説を表示
解答
① ニ ② イ ③ ハ
解説
所得税の損益通算は、一定の所得で損失が生じた場合に他の所得の黒字と相殺できる制度です。対象となる所得は「不動産所得」「事業所得」「山林所得」「譲渡所得」の4つに限られ、経常所得グループ同士、資産性一時所得グループ同士で通算する第一次通算から順次行われます。
解き方
- 損益通算の対象となる4つの所得(不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得)を確認し、空欄①と②に当てはまる所得を特定する。
- 第一次通算において、経常所得同士(不動産・事業と給与など)で通算することから空欄①が事業所得であることを確定する。
- 第一次通算におけるもう一つのグループとして、譲渡所得の損失を一時所得から控除するルールを適用し、空欄③を一時所得と判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ニ
- 損益通算が認められる4つの所得は「不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得」(覚え方:富士山譲)です。第一次通算において、不動産所得や事業所得の損失は経常所得グループ(利子・配当・不動産・事業・給与・雑)の黒字から差し引きます。
- 小問 ②:イ
- 損益通算の対象となる4つの所得のうち、①の事業所得と並んで挙げられるのは「山林所得」です。山林所得の損失は、まず譲渡所得や一時所得のグループから控除されます。
- 小問 ③:ハ
- 第一次通算において、譲渡所得の金額の計算上生じた損失がある場合は、同じ資産性・一時的所得グループである「一時所得」の金額から控除します。
覚えるポイント
- 損益通算の対象所得は「不・事・山・譲(富士山譲)」の4種類のみです。
間違えやすいところ
- 雑所得や一時所得の赤字は損益通算できない点に注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配偶者控除・扶養控除および純損失の繰越控除の適用要件
タックスプランニング · 配偶者控除 / 老人扶養親族 / 純損失の繰越控除
設例の条件に基づき、Aさんの2018年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「Aさんは配偶者控除の適用を受けることができ、その控除額は38万円です」 ② 「Aさんが適用を受けることができる母Cさんに係る扶養控除の額は、48万円です」 ③ 「Aさんは不動産所得の金額に損失が生じているため、確定申告をすることによって、純損失の繰越控除の適用を受けることができます」
- ①
- Aさんは配偶者控除の適用を受けることができ、その控除額は38万円である。
- ②
- Aさんが適用を受けることができる母Cさんに係る扶養控除の額は、48万円である。
- ③
- Aさんは不動産所得の金額に損失が生じているため、確定申告をすることによって、純損失の繰越控除の適用を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
配偶者控除は配偶者の合計所得金額38万円以下かつ納税者本人の合計所得金額900万円以下で満額38万円が控除されます。扶養控除では同居する70歳以上の直系尊属(同居老親等)の控除額が58万円となります。また、純損失の繰越控除は原則として青色申告者が対象です。
解き方
- 妻Bさんの給与所得(100万円-65万円=35万円)と雑所得(30万円-70万円≦0円)から合計所得金額を求め、38万円以下かつ夫の所得要件を満たすため配偶者控除38万円と判定する。
- 母Cさん(88歳)が同居の直系尊属(同居老親等)であることを確認し、控除額が58万円(同居老親等以外は48万円)であることを判定する。
- Aさんの申告区分が白色申告であること、および通算後の総所得金額が黒字で純損失が発生しないことから、繰越控除の可否を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 妻Bさんの合計所得金額は給与所得35万円(給与収入100万円-給与所得控除65万円)および公的年金等に係る雑所得0円(年金額30万円<控除額70万円)の合計35万円で38万円以下です。また控除を受けるAさんの合計所得金額は900万円以下であるため、配偶者控除38万円が適用されます。
- 小問 ②:×
- 母Cさん(88歳)の公的年金等に係る雑所得は0円(年金額50万円<控除額120万円)で控除対象扶養親族に該当します。70歳以上で同居している直系尊属であるため「同居老親等」に該当し、扶養控除の額は48万円ではなく58万円となります。
- 小問 ③:×
- 純損失の繰越控除は原則として青色申告者に認められる特典です。Aさんは白色申告であるため通常の純損失の繰越控除は受けられません。また、給与所得や雑所得と通算した後の総所得金額が黒字となるため純損失自体が生じません。
覚えるポイント
- 老人扶養親族の控除額は、同居老親等なら58万円、同居老親等以外なら48万円です。
間違えやすいところ
- 純損失の繰越控除(3年間繰越)は青色申告者の特例であり白色申告では原則適用できないことを見落としがちです。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雑所得および総所得金額の計算
タックスプランニング · 雑所得 / 公的年金等控除 / 不動産所得の損失の損益通算 / 総所得金額
設例のAさんの2018年分の収入等に関する資料に基づき、次の①「総所得金額に算入される雑所得の金額」および②「総所得金額」を求めなさい(単位:万円)。 <Aさんの2018年分の収入等> ・給与所得の金額:192万円 ・不動産所得の金額:▲120万円(白色申告、土地等の取得に係る負債の利子20万円を含む) ・特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分):80万円 ・確定拠出年金の老齢給付:30万円 ・個人年金保険契約に基づく年金収入:100万円(必要経費60万円) ※Aさんは63歳(65歳未満)である。
解答・解説を表示
解答
① 80(万円)、② 172(万円)
解説
所得税において、公的年金等と私的年金等の年金収入はともに雑所得に区分され、公的年金等については所定の公的年金等控除額を差し引いて計算します。また、総所得金額を算出する際の損益通算において、不動産所得の赤字のうち土地等を取得するための負債の利子は通算対象外となる点に留意が必要です。
解き方
- 公的年金等(特別支給の老齢厚生年金と確定拠出年金)の合計額を算出し、控除額を差し引いた公的年金等雑所得を求め、私的年金(個人年金)の雑所得と合算して雑所得の金額を算出する。
- 不動産所得の損失から土地等取得負債利子を除外して損益通算可能な損失額を求め、給与所得および雑所得と合算して総所得金額を算出する。
答えの内訳
- ①:80(万円)
- 公的年金等控除前の公的年金等の収入金額は、特別支給の老齢厚生年金80万円と確定拠出年金の老齢給付30万円の合計110万円です。65歳未満で130万円未満の場合、公的年金等控除額は70万円となるため、公的年金等に係る雑所得は110万円-70万円=40万円です。業務・その他に係る雑所得(個人年金保険)は、総収入金額100万円-必要経費60万円=40万円です。したがって、雑所得の金額は40万円+40万円=80万円となります。
- ②:172(万円)
- 不動産所得の赤字(損失)のうち、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分(20万円)は損益通算の対象外となります。そのため、損益通算の対象となる不動産所得の損失は▲120万円+20万円=▲100万円です。総所得金額は、給与所得192万円+不動産所得▲100万円+雑所得80万円=172万円となります。
覚えるポイント
- 公的年金等控除は65歳未満と65歳以上で控除額の算出基準が異なる。
- 不動産所得の赤字のうち、土地等の取得に要した負債の利子部分は損益通算できない。
間違えやすいところ
- 確定拠出年金の老齢給付を公的年金等控除の対象に含め忘れるミス。
- 不動産所得の損失▲120万円を負債利子20万円を除外せずにそのまま全額損益通算してしまうミス。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく建築面積および延べ面積の上限計算
不動産 · セットバック(2項道路) / 建蔽率の緩和 / 道路幅員による容積率制限 / 延べ面積の上限
Aさんが甲土地に耐火建築物を建築する場合における、建蔽率の上限となる建築面積と容積率の上限となる延べ面積を求める次の<計算の手順>の空欄①~④に入る数値を求めなさい。 <計算の手順> 1.建蔽率の上限となる建築面積 (480㎡-( ① )㎡)×( ② )%=□□□㎡ 2.容積率の上限となる延べ面積 ・指定容積率:400% ・前面道路幅員による容積率の制限:( ③ )% したがって、上限となる容積率は、□□□% (480㎡-( ① )㎡)×□□□%=( ④ )㎡
解答・解説を表示
解答
① 20(㎡)、② 100(%)、③ 360(%)、④ 1,656(㎡)
解説
建築基準法において、2項道路に面する敷地はセットバック部分を敷地面積から除外して建蔽率・容積率を計算します。また、指定建蔽率80%地域で防火地域内に耐火建築物を建てる場合は建蔽率制限が撤廃(100%)され、容積率は指定容積率と前面道路幅員制限の厳しい方が適用されます。
解き方
- 2項道路のセットバック幅および接道長さからセットバック面積を計算し、有効敷地面積を算出する。
- 用途地域の指定建蔽率および防火地域の耐火建築物緩和規定を適用して建蔽率を決定する。
- 複数ある前面道路のうち広い方の幅員に法定乗数を乗じて道路幅員制限を求め、指定容積率と比較して適用容積率を決定し、有効敷地面積に乗じて延べ面積の上限を計算する。
答えの内訳
- ①:20(㎡)
- 甲土地の東側に接する幅員2mの道路は建築基準法第42条第2項道路であり、道路中心線から2m後退(セットバック)する必要があります。反対側が宅地であるため、甲土地側は(4m-2m)÷2=1m後退します。後退部分の長さは20mなので、セットバック面積は1m×20m=20㎡となります。
- ②:100(%)
- 甲土地は用途地域が近隣商業地域で指定建蔽率が80%であり、かつ防火地域内に位置しています。指定建蔽率80%の地域内かつ防火地域内において耐火建築物を建築する場合、建蔽率の制限は適用されず100%となります。
- ③:360(%)
- 甲土地は幅員6mの市道と幅員2mの市道に接していますが、前面道路が2つ以上ある場合は幅員の広い方(6m)を前面道路幅員として採用します。近隣商業地域における法定乗数は6/10であるため、前面道路幅員による制限は6m×(6/10)=360%となります。
- ④:1,656(㎡)
- 容積率は指定容積率400%と前面道路幅員制限360%のいずれか小さい方となるため360%が適用されます。敷地面積はセットバック後の面積(480㎡-20㎡)=460㎡となるため、延べ面積の上限は460㎡×360%=1,656㎡となります。
覚えるポイント
- 建蔽率80%地域+防火地域+耐火建築物の組み合わせでは建蔽率制限なし(100%)となる。
- 前面道路が2つ以上ある場合、容積率の前面道路幅員制限には最も幅員の広い道路の幅員を用いる。
間違えやすいところ
- セットバック前の総土地面積(480㎡)のまま容積率を乗じて延べ面積を計算してしまうミス。
- 角地指定ではないため建蔽率緩和がないと誤認し、防火地域+耐火建築物による建蔽率100%特例を見落とすミス。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建設協力金方式の仕組みと税務・契約上の特徴
不動産 · 土地の有効活用 / 建設協力金方式 / 貸家建付地
土地所有者AさんがドラッグストアX社から提案されている建設協力金方式による土地活用について、次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ①「建設協力金方式とは、入居予定のテナント(事業会社)が建設資金をAさんに貸し付け、Aさんがこの資金を利用してテナント(事業会社)の希望する貸店舗を建設し、その建物を借主であるテナント(事業会社)に賃貸する手法である」 ②「建設協力金方式により、Aさんが建物を借主であるテナント(事業会社)に賃貸した後にAさんの相続が開始した場合、相続税の課税価格の計算上、甲土地は貸家建付地として評価される」 ③「建設協力金方式により建設した建物については、契約期間満了後に借主であるテナント(事業会社)が撤去し、土地を貸主に更地で返還する手法が一般的である」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
建設協力金方式とは、テナントから提供される建設協力金(預託金・敷金・差入保証金等の名目)を資金として土地所有者が建物を建築・所有し、そのテナントに賃貸する事業手法です。建物の所有者は土地所有者となるため、土地は貸家建付地として評価され、契約終了時の建物処分権・保有権も土地所有者に帰属します。
解き方
- 建設協力金方式における資金調達の流れ(テナントからの貸付)と建物の所有者(土地所有者)を確認する。
- 建物の所有者が土地所有者であることから、相続税評価上の土地区分が「貸家建付地」となることを判定する。
- 契約終了時の建物の扱い(土地所有者の所有物であり、テナントが更地返還する借地権方式との相違点)を検討して正誤を判断する。
答えの内訳
- ①:○
- 建設協力金方式は、将来入居予定のテナント(事業会社)から建設資金の一部または全部を無利息または低利で借り入れ(建設協力金)、土地所有者がそのテナントの仕様に合わせた店舗・建物を建築して賃貸する方式です。記述のとおり適切です。
- ②:○
- 建設協力金方式では、建物の所有者は土地所有者であるAさんとなります。自己が所有する土地の上に自己所有の建物を建てて他人に賃貸している状態となるため、土地の相続税評価額は「貸家建付地」として自用地評価額から借地権割合×借家権割合×賃貸割合を控除して評価されます。
- ③:×
- 建設協力金方式において建物を所有しているのは土地所有者(貸主)であるため、借主(テナント)が建物を解体撤去して更地で返還するわけではありません。建物を解体して更地返還するのは「定期借地権方式」等の特徴であり、記述は不適切です。
覚えるポイント
- 建設協力金方式:建物所有者は土地所有者、土地は「貸家建付地」評価。
- 定期借地権方式:建物所有者はテナント(借地人)、契約終了時は借地人が更地にして返還。
間違えやすいところ
- 建設協力金方式と事業用定期借地権方式で、建物の所有権がどちらにあるかを混同しないように注意する。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
借地借家法における事業用定期借地権等の要件
不動産 · 借地借家法 / 事業用定期借地権等 / 公正証書
借地借家法の事業用定期借地権等に係る借地契約に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を群から選定しなさい。 Ⅰ 「事業用定期借地権等は、事業用に限定して土地を定期で貸し出す方式です。事業用定期借地権等において、居住の用に供する賃貸マンションの事業運営を目的とする設定契約を締結すること( ① )」 Ⅱ 「事業用定期借地権等は、存続期間が10年以上( ② )年未満の事業用借地権と( ② )年以上50年未満の事業用定期借地権に区別されます。事業用定期借地権等の設定契約は、公正証書( ③ )」 〈語句群〉イ.20 ロ.25 ハ.30 ニ.ができます ホ.はできません ヘ.により作成しなければなりません ト.などの書面により作成します
- イ
- 20
- ロ
- 25
- ハ
- 30
- ニ
- ができます
- ホ
- はできません
- ヘ
- により作成しなければなりません
- ト
- などの書面により作成します
解答・解説を表示
解答
① ホ ② ハ ③ ヘ
解説
借地借家法第23条に規定される事業用定期借地権等は、専ら事業の用に供する建物の所有を目的とする定期借地権です。契約存続期間は10年以上50年未満であり、30年を基準に特約の要件(更新なし・建物買取請求なし・再築による期間延長なし等の定め)が条項として区分されています。また、契約締結は「公正証書によらなければならない」という厳格な方式が求められます。
解き方
- 事業用定期借地権等の利用目的が「専ら事業用」に限定されており、居住用賃貸物件には適用できないことを確認する(①:ホ)。
- 存続期間の区分基準が「30年」であることを確認する(10年以上30年未満、30年以上50年未満)(②:ハ)。
- 契約締結方式として「公正証書」が必須である旨の法的要件を確認する(③:ヘ)。
- 選択肢 イ不正解
- 20年は事業用定期借地権等の存続期間の境界値ではありません。
- 選択肢 ロ不正解
- 25年は事業用定期借地権等の存続期間の境界値ではありません。
- 選択肢 ハ正解
- 事業用定期借地権等は存続期間「10年以上30年未満」と「30年以上50年未満」に区分されるため、②に適合します。
- 選択肢 ニ不正解
- 賃貸マンション等の居住用建物には事業用定期借地権等を設定できません。
- 選択肢 ホ正解
- 事業用定期借地権等は専ら事業用建物を目的とするため、居住用賃貸マンション目的の設定は「できません」。①に適合します。
- 選択肢 ヘ正解
- 事業用定期借地権等の設定契約は「公正証書により作成しなければなりません」。③に適合します。
- 選択肢 ト不正解
- 一般定期借地権とは異なり、単なる書面ではなく公正証書が必須要件です。
答えの内訳
- ①:ホ
- 事業用定期借地権等は「専ら事業の用に供する建物」の所有を目的とするものであり、居住の用に供する賃貸マンション等の建築・運営を目的として設定することはできません。
- ②:ハ
- 事業用定期借地権等は、存続期間が「10年以上30年未満」の事業用借地権(第23条第2項)と、「30年以上50年未満」の事業用定期借地権(第23条第1項)に区分されます。したがって空欄には30(ハ)が入ります。
- ③:ヘ
- 事業用定期借地権等の設定契約は、必ず「公正証書」によって作成しなければ効力を生じません(借地借家法第23条第3項)。一般定期借地権のように「書面(公正証書等)」では足りず、公正証書による作成が必須です。
覚えるポイント
- 事業用定期借地権等の用途:専ら事業用(居住用は不可)。
- 期間:10年以上50年未満(10~30年未満、30~50年未満の2区分)。
- 契約方式:必ず公正証書による。
間違えやすいところ
- 一般定期借地権の「公正証書等の書面」と、事業用定期借地権等の「公正証書(限定)」の要件差を混同しないように注意する。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(借地借家法第23条)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額の計算 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額
現時点(2019年5月26日)において、設例のAさんに相続が開始した場合における相続税の総額の試算について、表中の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は2億円とする。
解答・解説を表示
解答
① 4,800 ② 560 ③ 2,700
解説
相続税の総額を計算する際は、まず課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、それを実際の遺産分割割合にかかわらず各法定相続人の法定相続分に応じて按分した上で税率を適用し、合算します。
解き方
- 法定相続人の数を確認し、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×人数)を計算して課税遺産総額を算出します。
- 課税遺産総額を各法定相続人の法定相続分で按分し、それぞれの取得金額に速算表の税率・控除額を適用して税額を計算します。
- 各法定相続人の税額を合計して相続税の総額を導き出します。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:560
- 課税遺産総額は2億円-4,800万円=1億5,200万円です。長女Dさんの法定相続分は1/4なので、法定相続分に応ずる取得金額は1億5,200万円×1/4=3,800万円となります。速算表より、3,800万円×20%-200万円=560万円です。
- ③:2,700
- 各法定相続人の税額を合計します。妻Bさん(法定相続分1/2:7,600万円)は7,600万円×30%-700万円=1,580万円、長男Cさん(1/4:3,800万円)は560万円、長女Dさんは560万円となり、相続税の総額は1,580万円+560万円+560万円=2,700万円となります。
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
- 相続税の総額計算では、実際の取得割合ではなく「法定相続分」で仮に按分して各人の税額を求めます。
間違えやすいところ
- 基礎控除額の計算で法定相続人の数に被相続人を含めてしまわないように注意が必要です。
- 各人の税額計算において、速算表の控除額の引き忘れに注意しましょう。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分・公正証書遺言・小規模宅地等の特例
相続・事業承継 · 遺留分 / 公正証書遺言の証人欠格 / 小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)
設例のAさんの相続等に関する記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
相続における遺留分の権利割合は法定相続分と総遺留分割合を掛け合わせて算定されます。また公正証書遺言では利益相反を防ぐため推定相続人等は証人になれず、小規模宅地等の3年以内貸付制限には経過措置が存在します。
解き方
- 記述①:法定相続人と法定相続分を確認し、総遺留分(1/2)に長女Dの法定相続分(1/4)を乗じて遺留分割合(1/8)と遺留分額を計算します。
- 記述②:民法上の公正証書遺言の作成手続きと証人の欠格事由(推定相続人等)を確認して正誤を判定します。
- 記述③:賃貸アパートの貸付開始時期(2017年3月)を確認し、3年以内貸付宅地の除外規定(2018年4月1日以後貸付開始が対象)の適用関係を判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 配偶者と子が相続人である場合、総遺留分は被相続人の財産の2分の1です。子である長女Dさんの法定相続分は4分の1であるため、遺留分の割合は1/2×1/4=1/8となります。遺留分算定の基礎となる財産が2億4,000万円の場合、長女Dさんの遺留分の金額は2億4,000万円×1/8=3,000万円となり、6,000万円とする記述は不適切です。
- 小問 ②:○
- 公正証書遺言を作成する際には、証人2人以上の立会いが必要ですが、民法の規定により未成年者、推定相続人および受遺者並びにこれらの配偶者および直系血族は証人になることができません。したがって、推定相続人が証人になれないとする記述は適切です。
- 小問 ③:×
- 平成30年度税制改正により相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等は原則として貸付事業用宅地等の対象外とされましたが、この改正は2018年4月1日以後に貸付けを開始した宅地等に適用されます。Aさんのアパートは2017年3月から全室賃貸しているため除外規定の対象外であり、特例の対象から除外されるとする記述は不適切です。
覚えるポイント
- 兄弟姉妹以外の法定相続人には遺留分があり、直系卑属・配偶者が相続人の場合の総遺留分は財産の2分の1です。
- 推定相続人や受遺者、その配偶者・直系血族は遺言の証人・立会人になることができません。
間違えやすいところ
- 遺留分の計算において、総遺留分(1/2)を掛けるのを忘れて単なる法定相続分(1/4)で計算してしまうミスに注意しましょう。
- 貸付事業用宅地等の3年以内貸付けの除外要件について、2018年3月31日以前から貸し付けている宅地等に対する経過措置を見落としがちです。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の特例・配偶者の税額軽減・未分割時の申告手続き
相続・事業承継 · 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / 配偶者に対する相続税額の軽減 / 申告期限後3年以内の分割見込書 / 更正の請求
Aさんの相続等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、〈語句群〉の中から選び、その記号を答えなさい。 Ⅰ 「妻Bさんが自宅の敷地および建物を相続により取得し、自宅の敷地(相続税評価額7,500万円)のすべてについて、『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき価額を( ① )とすることができます。また、『配偶者に対する相続税額の軽減』の適用を受けた場合、妻Bさんが相続により取得した財産の金額が、配偶者の法定相続分相当額と( ② )とのいずれか多い金額までであれば、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されません」 Ⅱ 「相続人間で争いが起こり、相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わなかった場合、相続税の申告時において、未分割の財産に対して『配偶者に対する相続税額の軽減』や『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることができません。その場合、相続税の申告の際に『申告期限後( ③ )以内の分割見込書』を提出し、申告期限後( ③ )以内に遺産分割協議が成立すれば、これらの特例の適用を受けることが可能となり、分割後( ④ )以内に更正の請求を行うことができます」 〈語句群〉 イ.1,500万円 ロ.3,750万円 ハ.6,000万円 ニ.1億2,000万円 ホ.1億6,000万円 ヘ.1億8,000万円 ト.4カ月 チ.10カ月 リ.1年 ヌ.3年 ル.5年
- イ
- 1,500万円
- ロ
- 3,750万円
- ハ
- 6,000万円
- ニ
- 1億2,000万円
- ホ
- 1億6,000万円
- ヘ
- 1億8,000万円
- ト
- 4カ月
- チ
- 10カ月
- リ
- 1年
- ヌ
- 3年
- ル
- 5年
解答・解説を表示
解答
① イ ② ホ ③ ヌ ④ ト
解説
小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)では最大330㎡まで80%が減額され、配偶者の税額軽減では1億6,000万円または法定相続分のいずれか大きい額まで無税となります。未分割時は特例を適用できませんが、申告期限後3年以内の分割見込書を提出し、分割成立後4カ月以内に更正の請求を行えば特例の遡及適用が可能です。
解き方
- 自宅敷地(330㎡、7,500万円)に対する特定居住用宅地等の80%減額を計算し、課税価格に算入すべき価額(20%)を求める。
- 配偶者の税額軽減の非課税枠の定額基準(1億6,000万円)を当てはめる。
- 未分割申告時の手続きとして「申告期限後3年以内の分割見込書」の年数(3年)を確認する。
- 分割成立に伴う更正の請求の提出期限(分割があったことを知った日の翌日から4カ月以内)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 特定居住用宅地等(限度面積330㎡)に該当し、減額割合は80%です。課税価格に算入すべき価額は、減額後の20%相当額となるため、7,500万円×(1-0.8)=1,500万円となります。
- 小問 ②:ホ
- 配偶者に対する相続税額の軽減(配偶者控除)は、配偶者が取得した正味の遺産額が法定相続分相当額または1億6,000万円のいずれか多い金額までであれば、配偶者の納税額がゼロとなります。
- 小問 ③:ヌ
- 申告期限までに遺産分割が調わない場合、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告し、申告期限後3年以内に分割が成立すれば特例を適用できます。
- 小問 ④:ト
- 申告期限後に遺産分割が成立したときは、分割が行われた日の翌日から4カ月以内に更正の請求を行うことで、過納となった相続税の還付を受けることができます。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等は330㎡まで80%減額(算入額は20%)
- 配偶者の税額軽減は法定相続分または1億6,000万円まで無税
- 未分割時は「3年以内の分割見込書」を提出し、分割後「4カ月以内」に更正の請求
間違えやすいところ
- 「減額される額(6,000万円)」と「課税価格に算入する額(1,500万円)」を取り違えること
- 分割後の更正の請求期限を、相続税申告期限の「10カ月」や通則法の「5年」と混同すること
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(相続税法第19条の2、租税特別措置法第69条の4等)
出典:金融財政事情研究会『2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2019年5月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
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