日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務の概要
遺族基礎年金および遺族厚生年金の仕組み
タックス・保険・年金プランニング · 遺族基礎年金 / 遺族厚生年金 / 中高齢寡婦加算 / 子の加算
Mさんは、Aさん(42歳)が死亡した場合に妻Bさん(38歳、子2人:長男3歳・長女0歳)に支給される公的年金の遺族給付について説明した。説明文の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選んだ組み合わせを答えなさい。 「遺族基礎年金を受けられる遺族の範囲は、死亡した被保険者によって生計を維持されていた『子のある( ① )』または『子』です。妻Bさんが受け取る遺族基礎年金の額は、( ② )円(平成30年度価額)となります。遺族厚生年金の額は、Aさんの厚生年金保険の被保険者記録を基礎として計算した老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( ③ )相当額になります。長女Dさんの18歳到達年度の末日が終了し、遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、妻Bさんが65歳に達するまでの間、遺族厚生年金の額に( ④ )が加算されます」
- イ
- 1,003,600
- ロ
- 1,078,400
- ハ
- 1,227,900
- ニ
- 妻
- ホ
- 配偶者
- ヘ
- 3分の2
- ト
- 4分の3
- チ
- 5分の4
- リ
- 経過的寡婦加算
- ヌ
- 加給年金
- ル
- 中高齢寡婦加算
解答・解説を表示
解答
① ホ、② ハ、③ ト、④ ル
解説
遺族基礎年金は被保険者により生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に支給され、基本額に子の人数に応じた加算がなされます。遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3相当額を基本とし、一定要件を満たす妻には中高齢寡婦加算が上乗せされます。
解き方
- 遺族基礎年金の受給対象者の法改正(子のある配偶者)と平成30年度価額に基づく年金額(基本額+子2人分加算)を計算する。
- 遺族厚生年金の支給割合(報酬比例部分の4分の3)および遺族基礎年金終了後の妻に対する加算給付(中高齢寡婦加算)を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 遺族基礎年金の受給権者の範囲は、法改正により平成26年4月以降、従来の「子のある妻」から「子のある配偶者」に拡大されたため、ホが適切です。
- 小問 ②:ハ
- 平成30年度の遺族基礎年金の基本額は779,300円、第1子・第2子の加算額は各224,300円です。子2人のため、779,300円+224,300円×2=1,227,900円となり、ハが適切です。
- 小問 ③:ト
- 遺族厚生年金の年金額は、原則として死亡した被保険者の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の4分の3相当額となるため、トが適切です。
- 小問 ④:ル
- 遺族基礎年金の受給権を喪失した時点で40歳以上65歳未満の妻に対して、65歳に達するまでの間支給される遺族厚生年金への加算は中高齢寡婦加算であるため、ルが適切です。
覚えるポイント
- 遺族基礎年金の受給対象は「子のある配偶者」または「子」である。
- 遺族厚生年金の額は報酬比例部分の4分の3である。
間違えやすいところ
- 遺族基礎年金の受給者を法改正前の「子のある妻」と誤答しやすい。
- 中高齢寡婦加算と65歳以降の経過的寡婦加算の対象期間を混同しやすい。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(平成30年度年金額基準)
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の年金額の計算
タックス・保険・年金プランニング · 遺族厚生年金 / 短期要件 / 300月みなし / 本来水準額の計算
Aさんが現時点(平成31年1月27日)で死亡した場合、《設例》の<Aさんとその家族に関する資料>および<資料>に基づき、妻Bさんが受給することができる遺族厚生年金の年金額(平成30年度価額・本来水準の額)を求めなさい。なお、端数処理は円未満を四捨五入すること。
解答・解説を表示
解答
484,295(円)
解説
被保険者死亡による遺族厚生年金(短期要件)では、厚生年金の被保険者期間の合計が300月未満の場合、300月とみなして老齢厚生年金の報酬比例部分を算定し、その4分の3に相当する額を支給します。
解き方
- 平成15年3月以前分ⓐと平成15年4月以後分ⓑの報酬比例額をそれぞれ計算し合算する(95,760円+414,363.6円=510,123.6円)。
- 実際の被保険者月数(48月+189月=237月)が300月未満であるため、300/237を乗じ、さらに遺族厚生年金の支給割合である4分の3を乗じて円未満を四捨五入する。
覚えるポイント
- 在職中の死亡など短期要件における遺族厚生年金の計算では、被保険者期間が300月未満の場合は300月みなしが適用される。
- 遺族厚生年金額は老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3である。
間違えやすいところ
- 被保険者月数が300月未満であるのに300月みなし(300/237)の補正計算を忘れる。
- 遺族厚生年金の支給割合である4分の3を掛け忘れて老齢厚生年金の報酬比例額をそのまま答えてしまう。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(平成30年度年金額基準)
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族年金の受給要件および税務上の取扱い
リスク管理 · 遺族年金 / 公的年金の併給調整 / 非課税所得
Aさんが現時点で死亡した場合の妻Bさんに係る公的年金からの遺族給付の各種取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 ① 「仮に、妻Bさんが厚生年金保険の被保険者として勤務した場合、遺族厚生年金の年金額の一部または全部が支給停止になることがあります。ただし、総報酬月額相当額が28万円を超えなければ、年金額が支給停止になることはありません」 ② 「仮に、妻Bさんが再婚した場合、妻Bさんの有する遺族基礎年金および遺族厚生年金の受給権は消滅しますが、子が有する受給権は消滅しません。ただし、妻Bさんが再婚後も長男Cさんおよび長女Dさんと生計を同じくしている場合、子に対する遺族基礎年金は支給停止となります」 ③ 「遺族基礎年金および遺族厚生年金の年金額は、雑所得として総合課税の対象となりますが、公的年金等控除の適用を受けることができます」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
公的年金制度の遺族給付は、受給権者の身分関係の変更(再婚等)により受給権が失権する規定や、生計を同じくする父母がいる場合の子の年金支給停止規定が置かれています。また、遺族年金や障害年金は受給者の生活補償の観点から税制上非課税所得として扱われます。
解き方
- 受給権者が65歳未満で厚生年金被保険者となった場合の遺族厚生年金の支給停止ルール(全額停止)を確認する。
- 受給権者である妻の婚姻による失権と、遺族基礎年金における子に対する支給停止(生計を同じくする父母がいる場合)の規定を確認する。
- 遺族年金および障害年金が所得税法上において非課税所得であることを確認する。
答えの内訳
- ①:×
- 65歳未満で遺族厚生年金の受給権を有する者が厚生年金保険の被保険者となった場合、遺族厚生年金はその間、全額支給停止となります。在職老齢年金のような総報酬月額相当額に応じた一部支給停止の仕組みは適用されません。
- ②:○
- 妻が再婚(婚姻)したときは遺族基礎年金および遺族厚生年金の受給権を失権(消滅)します。一方で子の受給権は消滅しませんが、子が受給権を有していても生計を同じくする父または母がいる間は子に対する遺族基礎年金は支給停止となります。
- ③:×
- 遺族基礎年金および遺族厚生年金などの公的遺族給付は、所得税法上非課税所得と定められており、課税対象(雑所得)とはならず確定申告の対象にもなりません。
覚えるポイント
- 遺族年金・障害年金は税制上非課税所得であり課税されない。
- 65歳未満の遺族厚生年金受給権者が厚生年金被保険者になると遺族厚生年金は全額支給停止となる。
間違えやすいところ
- 老齢厚生年金の在職老齢年金制度(28万円等の基準額による一部支給停止)と65歳未満の遺族厚生年金の被保険者就労時全額停止を混同しないようにする。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(国民年金法、厚生年金保険法、所得税法)
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の補償内容と保険料
リスク管理 · 自賠責保険 / 支払限度額 / 重過失減額 / 自賠責保険料
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 Ⅰ 「自賠責保険は、自動車損害賠償保障法の規定によって、原則として、すべての車に加入が義務付けられています。自賠責保険における( ① )当たりの保険金の支払限度額は、死亡の場合で3,000万円、傷害の場合で120万円です。また、後遺障害の場合は障害の程度に応じて最高で( ② )万円が支払われます。なお、自賠責保険では、被害者の過失割合が( ③ )%以上の場合、被害者の過失割合に応じて損害額または保険金額から減額されます」 Ⅱ 「 自賠責保険の保険料は、( ④ )や保険期間に応じて定められており、締結する損害保険会社による差異はありません」 〈語句群〉 イ.60 ロ.70 ハ.80 ニ.3,500 ホ.4,000 ヘ.5,000 ト.被害者1人 チ.1事故 リ.運転者の年齢 ヌ.自動車の車種 ル.運転免許証の色
- イ
- 60
- ロ
- 70
- ハ
- 80
- ニ
- 3,500
- ホ
- 4,000
- ヘ
- 5,000
- ト
- 被害者1人
- チ
- 1事故
- リ
- 運転者の年齢
- ヌ
- 自動車の車種
- ル
- 運転免許証の色
解答・解説を表示
解答
① ト ② ホ ③ ロ ④ ヌ
解説
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、自動車損害賠償保障法に基づき人身事故被害者の救済を目的として全車両に加入が義務付けられている強制保険です。支払限度額は被害者1人当たりで設定され、被害者に70%以上の重過失がある場合のみ重過失減額が適用されます。
解き方
- 自賠責保険の支払限度額の単位が「被害者1人当たり」であることを確認し、空欄①を特定する。
- 後遺障害の最高限度額(常時介護を要する場合)が4,000万円であることを確認し、空欄②を特定する。
- 自賠責保険の重過失減額が被害者の過失割合70%以上から適用されることを確認し、空欄③を特定する。
- 自賠責保険料の決定要素が自動車の車種・保険期間・地域等であり、運転者の年齢や免許証の色による差異はないことを確認し、空欄④を特定する。
- 選択肢 イ不正解
- 自賠責保険の重過失減額は被害者の過失割合が70%以上の場合に適用されるため、60%は誤りです。
- 選択肢 ロ正解
- 空欄③の正解です。自賠責保険では被害者の過失割合が70%以上の場合に損害額等からの減額が適用されます。
- 選択肢 ハ不正解
- 重過失減額が開始される基準過失割合は70%以上であるため、80%は誤りです。
- 選択肢 ニ不正解
- 後遺障害の最高支払限度額は常時介護を要する場合(第1級)の4,000万円(介護を要しない後遺障害第1級は3,000万円)であり、3,500万円ではありません。
- 選択肢 ホ正解
- 空欄②の正解です。後遺障害による支払限度額は最高で4,000万円(常時介護を要する後遺障害第1級)となります。
- 選択肢 ヘ不正解
- 自賠責保険の後遺障害の最高支払限度額は4,000万円であり、5,000万円ではありません。
- 選択肢 ト正解
- 空欄①の正解です。自賠責保険の限度額は「被害者1人」当たりで規定されています。
- 選択肢 チ不正解
- 自賠責保険の限度額は1事故当たりではなく、被害者1人当たりで適用されるため不適切です。
- 選択肢 リ不正解
- 運転者の年齢条件等によって保険料が区分されるのは任意保険(自動車保険)であり、自賠責保険では考慮されません。
- 選択肢 ヌ正解
- 空欄④の正解です。自賠責保険料は車種(自家用乗用車、軽自動車など)や保険期間等に応じて設定されます。
- 選択肢 ル不正解
- 運転免許証の色(ゴールド等)による割引は任意保険の仕組みであり、自賠責保険料には関係しません。
答えの内訳
- ①:ト
- 自賠責保険の支払限度額は「被害者1人」当たりで定められており、傷害120万円、死亡3,000万円となります。
- ②:ホ
- 後遺障害の支払限度額は等級(第1級~第14級)に応じて定められ、常時介護を要する後遺障害第1級では最高4,000万円が支払われます。
- ③:ロ
- 自賠責保険では被害者保護の目的から、被害者の過失割合が70%未満の場合は過失相殺(減額)を行わず、70%以上の場合に所定の重過失減額が行われます。
- ④:ヌ
- 自賠責保険の保険料は、ノーロス・ノープロフィットの原則に基づき、自動車の車種、保険期間、地域等によって一律に定められており損保会社間で差異はありません。
覚えるポイント
- 自賠責保険の限度額(被害者1人):傷害120万円、死亡3,000万円、後遺障害最高4,000万円。
- 過失割合が70%未満では減額されず、70%以上で重過失減額が行われる。
間違えやすいところ
- 任意自動車保険のように「1事故当たり」で限度額を適用すると誤認しやすい点に注意する。
- 運転者の年齢や免許証の色による割引・割増が自賠責保険にもあると誤解しないようにする。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(自動車損害賠償保障法)
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車保険の補償内容とノンフリート等級制度
リスク管理 · 人身傷害保険 / 車両保険 / ノンフリート等級制度
自動車保険の商品性等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
- ①
- 人身傷害保険は、被保険者が被保険自動車の運転中に事故を起こして、被保険者や同乗者に生じたケガによる治療費や休業損害等、死亡等による逸失利益等を補償するものである。
- ②
- 車両保険は、契約方式により対象となる事故の範囲が異なるが、「車対車+A」「エコノミー」等の補償範囲が限定されたタイプでは、台風や洪水による損害は補償されない。
- ③
- 新たに自動車を購入し、新規で自動車保険に加入する場合、ノンフリート等級は6等級(S)が適用され、運転者の年齢条件に応じた割増・割引率がある。満期更新の際、対人・対物賠償の保険事故があった場合は等級が2つ下がる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
自動車保険は、相手方への賠償(対人・対物)、自身のケガ(人身傷害・搭乗者傷害)、自身の車両(車両保険)から構成されます。また事故を起こした際の翌年度等級の下がり幅は、事故の種類(3等級ダウン・1等級ダウン・ノーカウント)によって規定されています。
解き方
- 人身傷害保険が自身の過失割合にかかわらず実損額(治療費や逸失利益)を填補する保険であることを確認します。
- エコノミー型車両保険で補償対象外となるのは主に当て逃げや自損事故であり、自然災害である台風・洪水は補償されることを判断します。
- 対人賠償・対物賠償保険を使用した事故は3等級ダウン事故に該当することを確認し、記述の誤りを判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 人身傷害保険は、被保険自動車の搭乗中等の事故により被保険者や同乗者が死傷した場合に、過失割合に関わらず実際の損害額(治療費、休業損害、逸失利益など)が保険金額の限度内で支払われます。
- 小問 ②:×
- 限定特約(車対車+Aやエコノミー等)が付帯された車両保険であっても、台風や洪水、高潮、火災・爆発、盗難などの損害は補償対象となります。補償対象外となるのは主に単独事故(自損事故)や当て逃げ等です。
- 小問 ③:×
- 自動車保険の対人賠償事故や対物賠償事故により保険金が支払われた場合は「3等級ダウン事故」に該当し、契約更新時に等級が3等級下がります(2等級下がるわけではありません)。
覚えるポイント
- 対人・対物賠償の保険金請求は原則として3等級ダウン事故に該当する
- エコノミー型車両保険でも台風・洪水・火災・盗難は補償対象となる
間違えやすいところ
- 車両保険の限定タイプ(エコノミー)で台風や水災まで対象外になると誤解しやすいので注意が必要です。
- 事故の種類による等級ダウン数を「2等級ダウン」と混同しないようにしましょう(原則は3等級ダウン、飛来中衝突等は1等級ダウン)。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令・約款等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人賠償責任保険(特約)の補償範囲と活用
リスク管理 · 個人賠償責任特約 / 自転車事故 / 日常生活の賠償責任
個人賠償責任の補償等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
- ①
- 最近では、自転車利用者に自転車保険等の加入を義務付ける自治体が増えている。自転車の利用中の事故により、高額な賠償責任を負うケースがあるため、賠償事故に備える保険に加入することが推奨される。
- ②
- 火災保険、自動車保険に個人賠償責任(補償)特約を付帯することで、自転車事故による法律上の損害賠償責任に備えることができる。
- ③
- 火災保険、自動車保険に個人賠償責任(補償)特約を付帯することで、飼い犬が他人に噛みつきケガをさせた場合や店頭の陳列商品を壊してしまった場合など、日常生活に起因する偶然な事故による損害賠償責任に備えることができる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ○
解説
個人賠償責任保険(特約)は、被保険者が日常生活に起因する偶然の事故により他人の身体を害したり他人の財物を損壊したりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる保険です。同居の親族等も被保険者の範囲に含まれます。
解き方
- 自転車利用中の重大事故および各地方自治体における自転車損害賠償保険加入義務化の現状を確認します。
- 個人賠償責任特約が自動車保険や火災保険に付帯可能であり、自転車事故による賠償も対象となることを確認します。
- 飼い犬の咬傷事故や買物中の商品破損事故など、日常生活における典型的な賠償責任事故が補償範囲に含まれることを確認します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 近年、自転車事故による高額賠償事例が発生していることを受け、自転車損害賠償責任保険等への加入を条例で義務付ける自治体が増加しています。
- 小問 ②:○
- 個人賠償責任特約は火災保険や自動車保険等に特約として付帯でき、自転車運転中の対人・対物事故による法律上の損害賠償責任も補償対象となります。
- 小問 ③:○
- 個人賠償責任特約は、飼い犬の散歩中に他人にケガを負わせた場合や買物中に誤って陳列商品を破損させた場合など、日常生活に起因する偶然の賠償事故全般を幅広く補償します。
覚えるポイント
- 個人賠償責任特約は契約者本人だけでなく同居の親族や別居の未婚の子まで広く補償される
- 業務中の事故や職務上の賠償責任、預かった物の破損(受託品)は原則として個人賠償責任の対象外
間違えやすいところ
- 自転車保険という単体の保険に加入していなくても、火災保険や自動車保険に付帯する個人賠償責任特約で条例の義務化基準を満たせる点を見落とさないようにしましょう。
- 業務遂行中の賠償事故は対象外となるため、個人賠償特約の対象が「日常生活」に限定されている点に注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令・約款等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金の退職所得控除額および退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得 / 退職所得控除額 / 勤続年数 / 役員退職金
役員在任期間(勤続年数)が28年3カ月であるAさんが退職し、退職金4,000万円が支給された。この退職手当等に係る退職所得控除額および退職所得の金額を求める計算式中の空欄①~③に入る適切な数値を計算しなさい。なお、障害者となったことによる退職ではなく、他の退職所得等はないものとする。 <退職所得控除額> ( ① )万円+( ② )万円×(29年-20年)=□□□万円 <退職所得の金額> (4,000万円-□□□万円)×□□□=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 800 ② 70 ③ 1,285
解説
退職所得控除額の計算において、勤続年数に1年未満の端数がある場合は切り上げて計算します。勤続年数が20年以下の期間は年40万円(最低80万円)、20年を超える期間は年70万円を控除します。退職所得の金額は原則として「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で求めます。
解き方
- 勤続年数28年3カ月を端数切り上げにより「29年」と判定します。
- 20年以下の部分(40万円×20年=800万円)と20年超の部分(70万円×9年=630万円)を合算し、退職所得控除額1,430万円を算出します。
- 収入金額4,000万円から控除額1,430万円を差し引き、1/2を乗じて退職所得の金額1,285万円を導きます。
答えの内訳
- ①:800
- 勤続年数が20年以下の部分に対する退職所得控除額は「40万円×勤続年数」であり、20年分で「40万円×20年=800万円」となります。
- ②:70
- 勤続年数が20年を超える部分については、1年につき70万円を加算して計算するため、②に入る数値は70となります。
- ③:1,285
- 退職所得控除額は800万円+70万円×9年=1,430万円です。役員としての勤続年数が5年超であるため一般の退職所得の計算式が適用され、(4,000万円-1,430万円)×1/2=1,285万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月単位であっても切り上げて1年として計算します。
- 勤続年数20年以下の部分は年40万円、20年を超える部分は年70万円を加算します。
間違えやすいところ
- 勤続年数28年3カ月の端数を切り捨てて28年として計算してしまう誤り。
- 退職所得の計算で最後に1/2を乗じる手順を忘れてしまうミス。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の所得税法および関連法令
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働災害総合保険の補償内容・契約方式・経理処理
リスク管理 · 損害保険 / 労働災害総合保険 / 使用者賠償責任保険 / 法定外補償保険 / 経理処理
労働災害総合保険に関する次の文章の空欄①~④に入る適切な語句を語句群から選びなさい。 Ⅰ「労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の上乗せ補償を目的とした法定外補償保険と、労働災害について被災した( ① )からの損害賠償請求により、使用者が法律上の損害賠償責任を負うことによる損害を補償する使用者賠償責任保険の2つの補償から構成されています。労働災害総合保険は、法定外補償保険と使用者賠償責任保険のいずれか一方のみに加入することは( ② )」 Ⅱ「保険料はその全額を( ③ )します。保険料については、契約時に平均被用者数または( ④ )の見込額に基づき算出された暫定保険料を支払い、保険期間終了後に実際の数値に基づき算出された確定保険料と暫定保険料の差額を精算する契約方式があります」
- イ
- 従業員またはその遺族
- ロ
- 第三者
- ハ
- 可能です
- ニ
- できません
- ホ
- 資産に計上
- ヘ
- 損金に算入
- ト
- 賃金総額
- チ
- 営業利益
解答・解説を表示
解答
① イ ② ハ ③ ヘ ④ ト
解説
労働災害総合保険は法定外補償条項と使用者賠償責任条項で構成され、必要に応じて単独加入も可能です。法人が負担する保険料は全額損金算入でき、被用者数や賃金総額に応じた保険料精算制度が設けられています。
解き方
- 使用者賠償責任保険の補償対象が「被災した従業員またはその遺族」からの賠償請求であることを確認します。
- 労働災害総合保険の契約形態として各特約・補償の単独加入が可能であることを確認します。
- 法人が支払う保険料の税務上の取扱い(全額損金算入)を判定します。
- 保険料算出および精算の基準となる指標(平均被用者数または賃金総額)を特定します。
- 選択肢 イ正解
- 使用者賠償責任保険は、業務上の事故で被災した従業員またはその遺族からの損害賠償請求に対応する補償であるため適切です。
- 選択肢 ロ不正解
- 第三者に対する賠償責任は施設所有(管理)者賠償責任保険等の対象であり、使用者賠償責任保険の主たる対象ではありません。
- 選択肢 ハ正解
- 労働災害総合保険は、法定外補償保険と使用者賠償責任保険のいずれか一方のみを単独で契約することが可能です。
- 選択肢 ニ不正解
- 法定外補償保険と使用者賠償責任保険のいずれか一方のみの加入は可能であるため、「できません」は不適切です。
- 選択肢 ホ不正解
- 労働災害総合保険は掛け捨ての損害保険であり、資産計上ではなく損金算入するため不適切です。
- 選択肢 ヘ正解
- 法人が支払った労働災害総合保険の年間保険料は、全額を損金の額に算入することができます。
- 選択肢 ト正解
- 労働災害総合保険の暫定保険料の算出基礎には、平均被用者数のほか「賃金総額」が用いられます。
- 選択肢 チ不正解
- 保険料の算出基礎として企業の「営業利益」が用いられることはないため不適切です。
答えの内訳
- ①:イ
- 使用者賠償責任保険は、労働災害により被災した従業員またはその遺族から損害賠償請求を受けた場合に備える保険です。
- ②:ハ
- 労働災害総合保険では、法定外補償保険と使用者賠償責任保険のいずれか一方のみを選択して加入することも可能です。
- ③:ヘ
- 法人が契約者(保険料負担者)となって支払った労働災害総合保険の保険料は、全額を損金に算入することができます。
- ④:ト
- 保険料算出の基礎として、平均被用者数または年間の賃金総額の見込額を用いて暫定保険料を算出し、期末に確定精算する方式があります。
覚えるポイント
- 労働災害総合保険の保険料は全額を損金に算入できます。
- 法定外補償保険と使用者賠償責任保険は単独での加入も可能です。
間違えやすいところ
- 使用者賠償責任保険の請求者を一般の第三者と混同してしまうこと。
- 両補償がセットでなければ加入できないと誤解してしまうこと。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の各種損害保険約款および法人税法関連規程
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
企業の各種損害保険の補償内容と適用関係
リスク管理 · 施設所有(管理)者賠償責任保険 / 企業費用・利益総合保険 / 生産物賠償責任保険(PL保険)
弁当製造・販売・配達を行うX社に対する損害保険を活用したリスクマネジメントに関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 ① 従業員が自動車で弁当の配達中に運転を誤り、通行人に接触してケガをさせてしまった場合に備える保険として、施設所有(管理)者賠償責任保険がある。 ② 火災等による工場の物的損害よりも喪失する利益の額のほうが大きくなる事故が発生する可能性に備え、利益損失および事業を継続するために必要となる費用を補償する企業費用・利益総合保険への加入を検討することは適切である。 ③ 顧客に販売した弁当が原因で顧客が食中毒を起こし身体に損害を与えたことにより、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償する保険として、生産物賠償責任保険(PL保険)がある。
- ①
- 従業員が配達中の自動車事故で通行人を負傷させた場合に備える保険は施設所有(管理)者賠償責任保険である(○か×か)
- ②
- 工場の火災等による利益損失や事業継続費用を補償する保険として企業費用・利益総合保険がある(○か×か)
- ③
- 販売した弁当による食中毒事故で負う法律上の損害賠償責任を補償する保険として生産物賠償責任保険(PL保険)がある(○か×か)
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
企業活動に伴うリスクは、施設の管理や業務遂行に起因するもの、自動車の運行に起因するもの、製造・販売した生産物に起因するもの、物的損害に伴う間接損害(喪失利益・継続費用)など多岐にわたるため、リスクの原因ごとに適切な損害保険を選択して手当てする必要があります。
解き方
- 各事故の原因(自動車の運行、操業停止による利益喪失、販売商品の欠陥・食中毒)を特定する。
- それぞれの事故に対応する適切な損害保険の補償対象および免責事項を照らし合わせて正誤を判定する。
- 選択肢 ①不正解
- 施設所有(管理)者賠償責任保険は施設の欠陥や施設内外での業務遂行に起因する事故を対象としますが、自動車事故による賠償責任は免責事項となっているため不適切です。
- 選択肢 ②正解
- 火災等の物的事故に伴って事業活動が中断したことによる利益損失や事業継続費用を補償する保険として企業費用・利益総合保険が適しているため適切です。
- 選択肢 ③正解
- 製造・販売・提供した食品を原因として発生した食中毒等の賠償リスクに備える保険は生産物賠償責任保険(PL保険)であるため適切です。
答えの内訳
- ①:×
- 施設所有(管理)者賠償責任保険では、施設外における自動車の所有・使用・管理に起因する賠償責任は補償の対象外(免責)とされています。配達中の自動車事故による対人・対物賠償事故に備えるには、自動車保険(一般自動車保険等)に加入する必要があります。
- ②:○
- 企業費用・利益総合保険は、火災などの物的な事故によって工場の操業が停止・阻害された結果生じる喪失利益や、営業を早期に継続・復旧するために支出した追加費用などを補償する保険です。
- ③:○
- 生産物賠償責任保険(PL保険)は、製造・販売した商品や仕事の結果に起因して他人の生命・身体を害したり財物を損壊させたりした場合に、企業が負担する法律上の損害賠償責任や争訟費用を補償する保険であり、飲食物による食中毒事故も対象となります。
覚えるポイント
- 自動車の所有・使用・管理に起因する事故は施設賠償の免責となり、自動車保険で備える必要があります。
間違えやすいところ
- 配達中の事故であっても自動車事故は施設所有者賠償責任保険ではカバーされない点に注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅借入金等特別控除の控除期間・限度額・適用要件
タックスプランニング · 住宅借入金等特別控除 / 住宅借入金等の年末残高限度額 / 床面積要件 / 返済期間要件
住宅借入金等特別控除(以下、「本控除」という)に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、下記の〈数値群〉のイ~ヌのなかから選び、その記号を答えなさい。 「平成30年中に住宅ローンを利用して自己の居住用住宅の取得等をした場合、所定の要件を満たせば、住宅ローンの年末残高に所定の割合(控除率)を乗じて得た金額を、居住の用に供した年分以後( ① )年間、各年分の所得税額から控除することができます。住宅ローンの年末残高には限度額が設けられていますが、住宅の取得等が特定取得に該当し、当該住宅が認定長期優良住宅および認定低炭素住宅に該当しない場合の年末残高の限度額は( ② )万円となります。なお、本控除の適用を受けるための要件には、『取得した住宅の床面積は( ③ )㎡以上であること』『住宅ローンの返済期間が( ① )年以上であること』などが挙げられます」 〈数値群〉 イ.10 ロ.15 ハ.20 ニ.25 ホ.40 へ.50 ト.70 チ.2,000 リ.3,000 ヌ.4,000
- イ
- 10
- ロ
- 15
- ハ
- 20
- ニ
- 25
- ホ
- 40
- ヘ
- 50
- ト
- 70
- チ
- 2,000
- リ
- 3,000
- ヌ
- 4,000
解答・解説を表示
解答
① イ ② ヌ ③ ヘ
解説
住宅借入金等特別控除は、居住者が一定の新築住宅等を取得して居住用とした場合に、10年以上の分割返済借入金の年末残高(特定取得の一般住宅は上限4,000万円)の1%を最長10年間にわたり所得税額から控除できる税額控除制度です。適用には床面積50㎡以上などの要件を満たす必要があります。
解き方
- 平成30年当時の住宅ローン控除の控除期間および返済期間の基本要件が10年であることを確認する。
- 特定取得かつ一般住宅における対象借入金年末残高の限度額が4,000万円であることを特定する。
- 対象家屋の専有床面積要件が50㎡以上であることを確認し、各空欄に対応する記号を語句群から選択する。
- 選択肢 イ正解
- 空欄①に入る控除期間および返済期間要件の「10」(年)に該当します。
- 選択肢 ロ不正解
- 15年は過去の特例措置等で存在した期間であり、平成30年居住開始の基本控除期間(10年)には該当しません。
- 選択肢 ハ不正解
- 20年は設例の住宅ローン借入期間ですが、法令上の要件である控除期間や最短返済期間(10年)とは異なります。
- 選択肢 ニ不正解
- 25年は本控除の控除期間・返済期間・床面積要件・借入限度額のいずれの数値にも該当しません。
- 選択肢 ホ不正解
- 40㎡は後の税制改正で合計所得金額制限付きで導入された床面積要件であり、基準日(平成30年)の要件(50㎡)には該当しません。
- 選択肢 ヘ正解
- 空欄③に入る取得住宅の床面積要件である「50」(㎡以上)に該当します。
- 選択肢 ト不正解
- 70は本問の控除期間・床面積・限度額の要件数値には該当しません。
- 選択肢 チ不正解
- 2,000万円は特定取得以外の場合における一般住宅の年末残高限度額であり、特定取得である本問には該当しません。
- 選択肢 リ不正解
- 3,000万円は特定取得以外の認定長期優良住宅等の年末残高限度額であり、本問の特定取得・一般住宅には該当しません。
- 選択肢 ヌ正解
- 空欄②に入る特定取得における一般住宅の年末残高限度額である「4,000」(万円)に該当します。
答えの内訳
- ①:イ
- 平成30年中の居住開始における住宅借入金等特別控除の控除期間および住宅ローンの返済期間要件は、ともに「10」年以上(年間)と定められています。
- ②:ヌ
- 特定取得(消費税率8%適用等)による一般住宅(認定長期優良住宅および認定低炭素住宅以外)の年末残高限度額は「4,000」万円です(認定住宅の場合は5,000万円)。
- ③:ヘ
- 住宅借入金等特別控除の適用を受ける住宅の床面積要件は、原則として「50」㎡以上(登記事項証明書上の専有面積等で判断)である必要があります。
覚えるポイント
- 特定取得の一般住宅の借入限度額は4,000万円、床面積要件は50㎡以上、返済期間は10年以上です。
間違えやすいところ
- 特定取得でない場合の限度額(2,000万円)や、認定長期優良住宅等の限度額(5,000万円)と混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得者の確定申告・扶養控除・住宅ローン控除の適用手続き
タックスプランニング · 確定申告の要否 / 扶養控除 / 住宅借入金等特別控除の手続き
Aさんの平成30年分の所得税の課税等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える場合、Aさんは所得税の確定申告をしなければならない。一時所得の場合、一時所得の金額を2分の1した後の金額で確定申告の要否を判断する。 ② 長男Cさんは特定扶養親族に該当するため、Aさんが適用を受けることができる長男Cさんに係る扶養控除の額は63万円となる。 ③ Aさんが平成30年分の所得税において住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、一定の書類を添付して納税地の所轄税務署長に確定申告書を提出する必要があるが、平成31年分以後の所得税については年末調整においてその適用を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
給与所得者は原則として年末調整で納税が完結しますが、給与・退職以外の所得が20万円を超える場合等は確定申告が必要です。また、控除対象扶養親族は年齢区分により控除額が異なり、住宅借入金等特別控除は初年度のみ確定申告が義務付けられています。
解き方
- 一時所得の20万円超判定は、総所得金額に算入される2分の1後の金額で判定することを確認する。
- 長男Cさんの年齢(16歳)に基づき、一般の扶養控除(38万円)と特定扶養親族(19歳以上23歳未満・63万円)の区分を判定する。
- 給与所得者の住宅ローン控除の手続き(1年目は確定申告、2年目以降は年末調整可能)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 給与所得者が確定申告を要するかどうかの基準において、一時所得は総所得金額に算入される金額(特別控除後の金額を2分の1にした後の額)で20万円超か否かを判定するため適切です。
- 小問 ②:×
- 特定扶養親族は年末時点の年齢が19歳以上23歳未満の扶養親族が対象です。長男Cさんは16歳であるため一般の控除対象扶養親族(控除額38万円)に該当し、63万円ではありません。
- 小問 ③:○
- 給与所得者が住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合、初年度は確定申告を行う必要がありますが、2年目以降は年末調整で控除の適用を受けることができるため適切です。
覚えるポイント
- 給与所得者の申告不要基準(20万円以下)の判定では一時所得は2分の1後の金額で判定する
- 扶養親族の区分:一般(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満)は38万円、特定(19歳以上23歳未満)は63万円
間違えやすいところ
- 一時所得の申告要否判定を2分の1する前の金額で行ってしまうミス
- 高校生(16歳)を特定扶養親族(19歳以上23歳未満)と混同してしまう誤り
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額、配偶者控除額、住宅借入金等特別控除額の計算
タックスプランニング · 総所得金額の計算 / 配偶者控除 / 住宅借入金等特別控除
Aさんの平成30年分の所得税額の計算にあたり、下記の表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 ・(a)総所得金額:( ① )円 ・配偶者控除:( ② )円 ・(e)税額控除(住宅借入金等特別控除):( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 9,250,000(円) ② 260,000(円) ③ 165,000(円)
解説
総所得金額は給与所得と一時所得(総所得金額算入額は2分の1)等を合算して計算します。配偶者控除額は納税者本人の合計所得金額および配偶者の所得状況に応じて段階的に適用され、住宅ローン控除額は年末残高(限度額あり)に所定の控除率(1%)を乗じて算出します。
解き方
- 給与所得控除を差し引いて給与所得金額を計算する(1,020万円-220万円=800万円)。
- 個人年金保険解約返戻金から一時所得を計算し、2分の1を総所得金額算入額として給与所得と合算する(800万円+125万円=925万円)。
- 妻の合計所得金額(35万円)と夫の合計所得金額(925万円)から資料の表を参照して配偶者控除額(26万円)を特定する。
- 住宅ローンの年末残高1,650万円に控除率1%を乗じて住宅借入金等特別控除額(16.5万円)を計算する。
答えの内訳
- ①:9,250,000(円)
- 給与所得は給与収入1,020万円から給与所得控除220万円を控除して800万円となります。一時所得は解約返戻金1,300万円から払込保険料1,000万円および特別控除50万円を差し引いた250万円であり、総所得金額への算入額はその2分の1の125万円です。合計した総所得金額は 800万円 + 125万円 = 9,250,000円 です。
- ②:260,000(円)
- 妻Bさんのパート収入100万円から給与所得控除65万円を引いた合計所得金額は35万円(38万円以下)で控除対象配偶者に該当します。Aさんの合計所得金額は925万円であるため、資料の表の「900万円超950万円以下」の区分が適用され、配偶者控除額は260,000円となります。
- ③:165,000(円)
- 住宅借入金等特別控除額は、年末借入金残高(限度額4,000万円以下)に控除率1%を乗じて求めます。年末残高1,650万円 × 1% = 165,000円 です。
覚えるポイント
- 一時所得の総所得金額算入額は「(総収入金額-支出金額-特別控除50万円)× 1/2」
- 配偶者控除は本人の合計所得金額が900万円超950万円以下の場合は控除額が26万円に減額される
- 一般住宅の住宅借入金等特別控除額は年末残高(上限4,000万円)× 1%
間違えやすいところ
- 一時所得を2分の1にせずに総所得金額へ全額算入してしまうミス
- 納税者本人の所得制限を見落として配偶者控除を満額の38万円としてしまうミス
- 住宅ローンの借入当初額(1,700万円)をベースに控除額を計算してしまうミス(年末残高1,650万円を使う)
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生前贈与における贈与税額の計算および教育資金一括贈与の非課税制度
実技 損保顧客資産相談業務 · 贈与税の計算(特例税率) / 教育資金の一括贈与非課税特例
Aさんの生前贈与に関する次の説明文について、空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 Ⅰ 「仮に、長女Cさんが暦年課税(各種非課税制度の適用はない)により、平成31年中にAさんから現金700万円の贈与を受けた場合、贈与税額は( ① )万円となります」 Ⅱ 「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の適用を受けた場合、受贈者1人につき1,500万円までは贈与税が非課税となります。非課税拠出額の限度額は、受贈者ごとに1,500万円となりますが、学習塾などの学校等以外の者に対して直接支払われる金銭については( ② )万円が限度となります。本特例の適用後、受贈者であるAさんのお孫さんが( ③ )歳に達すると教育資金管理契約は終了します。そのとき、当該贈与財産から教育資金に充当した金額を控除した残額がある場合、当該残額はその年分の贈与税の課税価格に算入されるため、贈与税の申告義務が発生した場合は、その申告をする必要があります」
解答・解説を表示
解答
① 88(万円)、② 500(万円)、③ 30(歳)
解説
直系尊属からその年の1月1日時点で20歳以上の子や孫への贈与には軽減された特例税率が適用されます。また教育資金一括贈与の特例は学校等以外の使途制限や30歳での契約終了要件が定められています。
解き方
- 受贈者が該当年1月1日時点で20歳以上であるか確認し、一般税率ではなく特例税率の速算表を適用して税額を計算します。
- 教育資金の一括贈与非課税特例における学校等以外の非課税限度額(500万円)および契約終了年齢(30歳)の規定を当てはめます。
答えの内訳
- ①:88
- 直系尊属(父Aさん)から贈与を受ける年の1月1日において20歳以上の子(長女Cさん:45歳)に対する贈与であるため特例税率を適用します。課税価格は700万円-基礎控除110万円=590万円となり、速算表より「590万円×20%-30万円=88万円」と算出されます。
- ②:500
- 教育資金の一括贈与に係る非課税制度において、受贈者1人につき非課税限度額は1,500万円ですが、学校等以外の学習塾や習い事等に直接支払われる金銭については500万円が限度とされています。
- ③:30
- 教育資金管理契約は受贈者が30歳に達した日等に終了します。終了時に使い切れずに残った管理残額は、その年の受贈者の贈与税の課税価格に算入されます。
覚えるポイント
- 特例贈与財産は「直系尊属から受贈年の1月1日時点で20歳以上(現行法では18歳以上)の直系卑属への贈与」に適用されます。
- 教育資金一括贈与は全体で1,500万円、学校等以外(塾など)は500万円まで非課税で、30歳到達時に終了します。
間違えやすいところ
- 一般贈与財産の速算表を誤って適用して計算しないよう注意が必要です。
- 結婚・子育て資金の一括贈与(限度額1,000万円・50歳終了)と要件を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生前贈与における税制(精算課税・孫への贈与・申告手続)の正誤判定
実技 損保顧客資産相談業務 · 相続時精算課税制度 / 贈与税の仕組み / 贈与税の申告手続
生前贈与に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 「Aさんが長女Cさんに現金を贈与し、長女Cさんが相続時精算課税制度を選択した場合、累計で3,500万円までの贈与について贈与税は課されませんが、当該贈与財産の価額はAさんの相続税の課税価格に加算されます」 ② 「Aさんが孫Eさんおよび孫Fさんに贈与することは、相続税の課税の機会が減ることを意味し、相続税額を低減する効果が期待できます。ただし、孫への贈与は、贈与税額の2割加算の対象になります」 ③ 「暦年課税において、長女Cさんが取得した贈与財産の価額が基礎控除額を超えるときは、原則として、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、贈与税の申告書を長女Cさんの住所地の所轄税務署長に提出しなければなりません」
解答・解説を表示
解答
① ×、② ×、③ ○
解説
贈与税の暦年課税・相続時精算課税の各要件や控除額、申告先(受贈者の所轄税務署長)、ならびに相続税特有の規定(2割加算)と贈与税の規定の違いを理解する必要があります。
解き方
- 記述①の相続時精算課税制度の特別控除限度額(2,500万円)を確認し誤りを判定します。
- 記述②の2割加算が相続税の規定であり贈与税には存在しない点を確認して誤りを判定します。
- 記述③の贈与税の法定申告期間(翌年2月1日~3月15日)および提出先(受贈者の住所地の所轄税務署長)が正しいかを確認します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 相続時精算課税制度の特別控除額は同一の特定贈与者からの贈与につき累計で「2,500万円」までです。3,500万円ではありませんので不適切です。
- 小問 ②:×
- 相続税には一親等の血族および配偶者以外の者が財産を取得した場合に税額が加算される「2割加算」がありますが、贈与税には2割加算制度はありませんので不適切です。
- 小問 ③:○
- 暦年課税において年間の取得財産が基礎控除額(110万円)を超える場合、受贈者は原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、受贈者の住所地を所轄する税務署長に申告書を提出しなければならず適切です。
覚えるポイント
- 相続時精算課税の特別控除額は累計2,500万円(それを超える部分は一律20%の税率)です。
- 「2割加算」は相続税の制度であり、贈与税には2割加算はありません。
- 贈与税の申告先は「受贈者(もらった人)」の住所地の所轄税務署長です。
間違えやすいところ
- 贈与税の申告書の提出先を贈与者(あげる人)の住所地と取り違えないように注意してください。
- 相続税の2割加算の知識に引きずられて、孫への生前贈与でも2割加算があると誤認しないようにしましょう。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額・小規模宅地等の特例・死亡保険金の非課税限度額
相続・事業承継 · 相続税の基礎控除 / 小規模宅地等の特例 / 生命保険金の非課税枠
Aさんの相続等に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉のなかから選びなさい。 Ⅰ 「仮に、Aさんの相続が現時点(平成31年1月27日)で開始した場合、Aさんの相続における遺産に係る基礎控除額は( ① )万円となります。課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を上回りますが、Aさんが所有する財産のすべてを妻Bさんが相続により取得した場合、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例や配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けることで相続税額は算出されません」 Ⅱ 「妻Bさんが自宅の敷地および建物を相続により取得した場合、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けることで、自宅の敷地(相続税評価額5,000万円)について、課税価格に算入すべき価額を( ② )万円とすることができます」 Ⅲ 「生命保険に加入していないのであれば、契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を相続人とする終身保険に加入することをお勧めします。終身保険に加入後、Aさんの相続が開始した場合、相続人が受け取る死亡保険金は( ③ )万円を限度として、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができます」
- イ
- 500
- ロ
- 1,000
- ハ
- 1,500
- ニ
- 1,700
- ホ
- 2,000
- ヘ
- 3,300
- ト
- 3,600
- チ
- 4,200
- リ
- 5,400
解答・解説を表示
解答
① チ、② ニ、③ ロ
解説
相続税の計算では、まず法定相続人の数を確定させることが基礎控除額や非課税枠の算出の前提となります。小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等は、配偶者が取得する場合に要件が緩和されており、330㎡まで80%減額されます。課税価格に算入する額は、評価額から減額金額を差し引いた残額となります。
解き方
- 設例の親族関係図から法定相続人を特定する。Aさんの法定相続人は妻Bさんと長女Cさんの2人である。
- 遺産に係る基礎控除額を「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」と計算し、①に該当する記号を選択する。
- 特定居住用宅地等の減額額「5,000万円×(330㎡/400㎡)×80%=3,300万円」を求め、敷地評価額から控除して課税価格に算入する価額「5,000万円-3,300万円=1,700万円」を算出して②の記号を選択する。
- 死亡保険金の非課税限度額を「500万円×法定相続人の数(2人)=1,000万円」と計算し、③の記号を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 法定相続人は妻Bさんと長女Cさんの2人です。遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されるため、3,000万円+600万円×2人=4,200万円となります。
- 小問 ②:ニ
- 特定居住用宅地等の適用面積は330㎡までで、減額割合は80%です。減額金額は「5,000万円×(330㎡/400㎡)×80%=3,300万円」となり、課税価格に算入すべき価額は「5,000万円-3,300万円=1,700万円」となります。
- 小問 ③:ロ
- 相続人が受け取る生命保険の死亡保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」で計算されます。法定相続人は2人であるため、500万円×2人=1,000万円となります。
覚えるポイント
- 相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」である。
- 特定居住用宅地等の小規模宅地特例は、限度面積330㎡まで80%の評価減である。
- 死亡保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」である。
間違えやすいところ
- 小規模宅地等の特例で「減額される額」と「課税価格に算入すべき額」を混同して3,300万円と答えてしまうミスが多い。
- 孫(直系卑属)がいる場合に、親(長女Cさん)が健在であるにもかかわらず代襲相続人と誤認して法定相続人の数を増やしてしまう誤り。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2019年1月 2級 実技 損保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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