日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
公的年金制度の各種取扱い(特別支給・繰上げ・付加保険料)
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 繰上げ受給の減額率 / 国民年金の付加年金
公的年金制度の各種取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① Aさん(昭和37年2月21日生まれの男性)は、昭和36年4月2日以後の生まれであるため、特別支給の老齢厚生年金の支給はなく、原則として65歳から老齢基礎年金および老齢厚生年金を受給する。 ② Aさんは60歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰上げ支給を請求できるが、仮に62歳0カ月で繰上げ支給を請求した場合の減額率は12.0%となる。 ③ 国民年金の第3号被保険者である妻Bさんは、国民年金の付加保険料を納付することができる。仮に付加保険料を60月納付した場合、65歳から受給する老齢基礎年金の額に付加年金として12,000円が上乗せされる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
公的年金制度では、昭和36年4月2日以降生まれの男性には特別支給の老齢厚生年金が支給されません。また、繰上げ請求時の減額率は請求月数(1月あたり0.5%)に応じて計算され、付加年金制度は第1号被保険者等のみが加入できます。
解き方
- 受給権者の生年月日(昭和37年2月21日)から特別支給の老齢厚生年金の支給対象外であることを判定する。
- 繰上げ請求時(62歳0カ月)の繰上げ月数(36カ月)に月当たり減額率0.5%を乗じて正しい減額率(18.0%)を算出・比較する。
- 妻Bさんの被保険者種別(第3号被保険者)から付加保険料納付の可否を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 男性の場合、昭和36年4月2日以降に生まれた人は特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分含む)が支給されず、原則として65歳からの受給開始となります。
- 小問 ②:×
- 年金の繰上げ減額率は月当たり0.5%です(昭和37年4月1日以前生まれ)。62歳0カ月で繰上げ請求すると繰上げ月数は36カ月(3年)となるため、減額率は「0.5%×36カ月=18.0%」となり、12.0%ではありません。
- 小問 ③:×
- 国民年金の付加保険料を納付できるのは「国民年金第1号被保険者」および「65歳未満の任意加入被保険者」に限られ、第3号被保険者(および第2号被保険者)は付加保険料を納付することができません。
覚えるポイント
- 男性は昭和36年4月2日以降、女性は昭和41年4月2日以降生まれで特別支給の老齢厚生年金は受給不可
- 本試験基準法令下の繰上げ減額率は1月当たり0.5%
- 付加保険料(月額400円)を納められるのは第1号被保険者と任意加入被保険者のみ
間違えやすいところ
- 繰上げ月数を65歳までの36カ月(3年分)ではなく24カ月(2年分)と誤認して12.0%としてしまうミス
- 第3号被保険者でも付加保険料を納められると誤解してしまうこと
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢給付の年金額計算(老齢基礎年金・老齢厚生年金)
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金額の計算 / 報酬比例部分の額の計算 / 経過的加算額の計算 / 加給年金額の要件判定
設例の<Aさんとその家族に関する資料>および<資料>に基づき、以下の①・②を求めなさい(平成30年度価額、円未満四捨五入)。 ① 原則としてAさんが65歳から受給できる老齢基礎年金の年金額 ② 原則としてAさんが65歳から受給できる老齢厚生年金の年金額
解答・解説を表示
解答
① 737,088(円) ② 1,497,165(円)
解説
老齢基礎年金は20歳以上60歳未満の納付月数(最大480月)に比例して計算されます。老齢厚生年金は報酬比例部分、経過的加算(定額部分と基礎年金相当額の差額)、および20年以上の被保険者期間を有する受給権者が生計を維持する配偶者・子がいる場合に支給される加給年金額から構成されます。
解き方
- Aさんの被保険者期間(20歳以上60歳未満)を確認し、454月を算定して老齢基礎年金額を計算する(779,300円×454/480)。
- 平成15年3月以前と4月以降の期間に分けて報酬比例部分を算出し、合算する。
- 被保険者月数454月を用いて経過的加算額を算出し、円未満を四捨五入する。
- 被保険者期間が240月以上あり、65歳未満の生計維持配偶者がいるため加給年金額389,800円を加算して老齢厚生年金の合計額を求める。
答えの内訳
- ①:737,088(円)
- Aさんの厚生年金被保険者期間は「228月+226月=454月」であり、この期間はすべて20歳以上60歳未満の保険料納付済月数となります。したがって老齢基礎年金額は「779,300円×(454月/480月)=737,087.91...円」となり、円未満四捨五入して737,088円です。
- ②:1,497,165(円)
- 老齢厚生年金額は「報酬比例部分+経過的加算額+加給年金額」で計算します。 1) 報酬比例部分:ⓐ 300,000円×(7.125/1,000)×228月=487,350円、ⓑ 500,000円×(5.481/1,000)×226月=619,353円、合計=1,106,703円 2) 経過的加算額:1,625円×454月-779,300円×(454月/480月)=737,750円-737,087.91...円=662.08...円 → 四捨五入して662円 3) 加給年金額:被保険者期間が20年以上(454月≧240月)あり、65歳到達時に生計を維持している65歳未満の配偶者(妻Bさん)がいるため加算対象となり、389,800円。 合計:1,106,703円+662円+389,800円=1,497,165円。
覚えるポイント
- 老齢基礎年金の満額(平成30年度)は779,300円
- 経過的加算の乗数は1,625円(平成30年度)
- 加給年金の支給要件は厚生年金被保険者期間20年(240月)以上
間違えやすいところ
- 大学時代の未加入期間(26月)を納付済月数に含めて計算してしまうミス
- 配偶者が厚生年金10年加入のパート従業員であることから加給年金の対象から除外してしまうミス(受給権発生時に配偶者が20年以上の厚生年金受給権を持っていなければ対象)
- 加給年金額(389,800円)の足し忘れ
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等に基づく(平成30年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国民年金の学生納付特例制度および保険料の納付方法
公的年金・社会保険 · 学生納付特例制度 / 追納制度 / 加算額 / 国民年金保険料の前納
MさんがAさんに対して説明した、長男Cさんに係る国民年金の学生納付特例制度および保険料の納付方法等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選びなさい。 Ⅰ 「本制度は、国民年金の第1号被保険者で大学等の所定の学校に在籍する学生について、( ① )の前年所得が一定額以下の場合、被保険者等からの申請に基づき、国民年金保険料の納付を猶予する制度です」 Ⅱ 「本制度の適用を受けた期間の保険料は、( ② )年以内であれば、追納することができます。ただし、本制度の承認を受けた期間の翌年度から起算して、( ③ )年度目以降に保険料を追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます」 Ⅲ 「長男Cさんが本制度を利用しなかった場合、Aさんは長男Cさんの国民年金保険料を連帯して納付する義務を負います。保険料の納付方法には、納付書による現金納付や口座振替のほかに、クレジットカードによる納付があります。一定期間の保険料を前納することもでき、前納による割引額が最も大きいのは( ④ )による納付になります」
- イ
- 2
- ロ
- 3
- ハ
- 4
- ニ
- 5
- ホ
- 10
- ヘ
- 15
- ト
- 学生本人
- チ
- 学生本人およびその世帯主
- リ
- 口座振替
- ヌ
- クレジットカード
解答・解説を表示
解答
① ト、② ホ、③ ロ、④ リ
解説
学生納付特例制度は、第1号被保険者である学生本人の所得が一定以下である場合に申請により保険料納付が猶予される制度です。猶予期間は受給資格期間には算入されますが老齢基礎年金額には反映されないため、10年以内に追納することが認められています。ただし3年度目以降の追納には加算額が付きます。また、保険料の前納割引は口座振替が最も有利に設定されています。
解き方
- 空欄①:学生納付特例の所得要件の判定対象者を検討する。一般の免除制度と異なり学生本人の所得のみが基準となるため「ト」を選択する。
- 空欄②:国民年金保険料の免除・猶予期間にかかる追納可能期間は原則として10年以内であるため「ホ」を選択する。
- 空欄③:追納加算額が上乗せされる起算年(翌年度から起算して3年度目以降)を確認し「ロ」を選択する。
- 空欄④:国民年金保険料の前納割引において、現金・クレジットカード納付よりも口座振替の割引額が最も大きいことから「リ」を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- 学生納付特例制度の所得基準は「学生本人」の前年所得のみで判定され、親等の世帯主や配偶者の所得は問われません。
- 小問 ②:ホ
- 学生納付特例などの免除・猶予を受けた保険料は、追納が承認された日の属する月前「10」年以内の期間について追納が可能です。
- 小問 ③:ロ
- 免除・猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して「3」年度目以降に追納する場合には、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
- 小問 ④:リ
- 国民年金保険料の前納制度において、割引額が最も大きくなる納付方法は「口座振替」(2年前納等)による納付です。
覚えるポイント
- 学生納付特例の所得判定は学生本人の所得のみで行われ、世帯主等の所得は問われない。
- 追納可能期間は10年以内で、翌年度から起算して3年度目以降は加算額が発生する。
間違えやすいところ
- 一般の保険料免除制度のように親(世帯主)の所得も合算・判定されると混同しやすい点に注意する。
- 前納割引においてクレジットカードが最も割引額が大きいと誤認しやすい点に注意する。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の国民年金法および関係法令に基づく出題条件。
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的介護保険の被保険者・自己負担割合・保険料徴収
社会保険・公的介護保険 · 第1号被保険者・第2号被保険者 / 要介護認定等の申請先 / 利用者負担割合 / 特別徴収の基準年金額
MさんがAさんに対して説明した、公的介護保険(以下、「介護保険」という)に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選びなさい。 Ⅰ 「介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に区分されます。介護保険の被保険者が保険給付を受けるためには、( ① )から要介護認定または要支援認定を受ける必要があります。第2号被保険者は、要介護状態または要支援状態となった原因が加齢に伴う特定疾病である場合に限り、介護給付または予防給付を受けることができます」 Ⅱ 「介護保険の第2号被保険者が保険給付を受けた場合、原則として、実際にかかった費用(食費、居住費等を除く)の( ② )割を自己負担する必要があります。第1号被保険者については、被保険者本人の合計所得金額が( ③ )万円未満、または同一世帯の第1号被保険者の年金収入とその他の合計所得金額の合計額が一定額(単身世帯280万円、2人以上世帯346万円)未満の場合、自己負担割合は( ② )割となります。なお、平成30年8月1日以後、第1号被保険者本人の合計所得金額が220万円以上、かつ、同一世帯の第1号被保険者の年金収入とその他の合計所得金額の合計額が一定額(単身世帯340万円、2人以上世帯463万円)以上の場合、自己負担割合を3割とする改正がなされています」 Ⅲ 「第2号被保険者に係る介護保険料は、各医療保険者がそれぞれの医療保険各法に基づいて、賦課・徴収します。他方、第1号被保険者に係る介護保険料は、被保険者が公的年金制度から年額( ④ )万円以上の年金を受給している場合には、原則として公的年金から特別徴収されます」
- イ
- 1
- ロ
- 1.5
- ハ
- 2
- ニ
- 18
- ホ
- 20
- ヘ
- 25
- ト
- 103
- チ
- 130
- リ
- 160
- ヌ
- 都道府県
- ル
- 市町村(特別区を含む)
解答・解説を表示
解答
① ル、② イ、③ リ、④ ニ
解説
公的介護保険は市区町村(特別区を含む)が保険者となり運営します。介護給付を受けるには市町村への申請による要介護・要支援認定が必要です。利用者負担は原則1割ですが、第1号被保険者のうち合計所得金額が160万円以上等の高所得者には所得に応じて2割または3割負担が導入されています。保険料徴収において、第1号被保険者は年金受給額が年額18万円以上のときは年金から特別徴収されます。
解き方
- 空欄①:公的介護保険の保険者および要介護・要支援認定を実施する自治体組織として「市町村(特別区を含む)」を選ぶ(ル)。
- 空欄②:介護保険の給付を受ける第2号被保険者および原則的な利用者の自己負担割合は1割であるため「イ」を選ぶ。
- 空欄③:第1号被保険者が原則の1割負担にとどまる基準となる本人の合計所得金額の閾値(160万円未満)を確認して「リ」を選ぶ。
- 空欄④:第1号被保険者の公的年金からの特別徴収(天引き)基準となる受給年金額の境界(年額18万円以上)を確認して「ニ」を選ぶ。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ル
- 介護保険の保険者は市町村および特別区であり、要介護認定または要支援認定の申請先および認定を行う機関は「市町村(特別区を含む)」です。
- 小問 ②:イ
- 公的介護保険の介護サービス利用時の自己負担割合は、第2号被保険者および一般の第1号被保険者は原則「1」割です。
- 小問 ③:リ
- 第1号被保険者の自己負担が1割にとどまる本人の合計所得金額基準は「160」万円未満(160万円以上かつ一定の年金収入等がある場合は2割または3割負担)です。
- 小問 ④:ニ
- 第1号被保険者の介護保険料は、老齢・退職年金、遺族年金、障害年金などの受給額が年額「18」万円以上である場合、原則として年金からの特別徴収(天引き)となります。
覚えるポイント
- 介護保険の保険者は市町村(特別区を含む)であり、認定申請先も市町村である。
- 第1号被保険者の介護保険料は年額18万円以上の年金受給者から特別徴収(天引き)される。
間違えやすいところ
- 介護認定の申請窓口や保険者を「都道府県」と誤認しやすい。
- 年金からの特別徴収基準を「18万円以上」ではなく「月額15,000円」や別の金額と取り違えやすい。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の介護保険法および関係法令に基づく出題条件。
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
終身介護保険の保障内容および保険料払込方法
リスク管理 · 民間介護保険 / 有期払込と終身払込 / 公的介護保険の現物給付
会社員のAさん(50歳)が提案を受けた終身介護保険(終身介護年金年額60万円、介護一時金特約100万円、終身払込)に関して、ファイナンシャル・プランナーのMさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「保険料払込期間を有期払込にした場合、毎月の保険料負担は減少し、保険料の払込総額は少なくなります。払込期間を有期とすることで、将来の保険料負担の不安を解消することも検討事項の1つとなります」 ② 「Aさんが働けなくなった場合、Aさんの収入が減少するだけでなく、妻Bさんの仕事にも影響を及ぼすことになります。公的介護保険の給付は、主に訪問介護や通所介護(デイサービス)などの現物給付による介護サービスであるため、一定額の介護年金および介護一時金を準備することは検討に値すると思います」 ③ 「最近では、保険会社所定の認知症状態や、身体障害者福祉法に連動して保険金が支払われる保険商品もあります。複数(他社)の保険商品の保障内容や保険料水準を確認したうえで、加入される保険を検討することをお勧めします」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
民間介護保険の払込方法には終身払込と有期払込があり、有期払込は短期間で保険料を払い終えるため1回あたりの保険料負担は高くなります。また公的介護保険は現物給付が中心であるため、民間の現金給付による金銭的備えが検討されます。
解き方
- 終身払込と有期払込における月払保険料の負担感と払込総額の性格を比較して①の正誤を判定する。
- 公的介護保険の給付形態(現物給付)と民間介護保険の給付形態(金銭給付)の違いを踏まえて②の正誤を判定する。
- 近年の民間介護保険における支払事由(認知症や身体障害者手帳連動等)の多様化を確認して③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 保険料払込期間を有期払込にした場合、終身払込に比べて保険料を払い込む期間が短くなるため、毎月の保険料負担は増加します。
- 小問 ②:○
- 公的介護保険の給付は主に介護サービスの現物給付であるため、家族の休職や諸費用の現金支出に備えて民間保険の一時金や年金を準備することは有用です。
- 小問 ③:○
- 民間介護保険には、要介護認定連動型のほか、保険会社所定の認知症や身体障害者手帳の等級等に連動して給付される商品も存在します。
覚えるポイント
- 有期払込は終身払込と比べて、毎回の保険料負担は高くなるが、払込終了後の負担がなくなる点に特徴があります。
間違えやすいところ
- 有期払込の方が短期間で払い終えるため、月払保険料も安くなると勘違いしないように注意しましょう。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民間介護保険の税務(生命保険料控除・給付金の課税関係)
リスク管理 · 介護医療保険料控除 / 身体の傷害・疾病に基因する給付金 / 非課税所得
終身介護保険の課税関係に関して、ファイナンシャル・プランナーのMさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。なお、平成24年1月1日以後に締結した契約に基づく控除を「新制度」、平成23年12月31日以前に締結した契約に基づく控除を「旧制度」とする。 ① 「当該生命保険の保険料は、介護医療保険料控除の対象となります。新制度と旧制度の適用対象となる生命保険契約等が複数あり、新制度と旧制度を併用する場合、生命保険料控除の適用限度額の合計額は、所得税で10万円、住民税で7万円です」 ② 「Aさんが当該生命保険から介護終身年金を受け取った場合、年金額が20万円を超えますので、Aさんは所得税の確定申告をしなければなりません」 ③ 「Aさんが当該生命保険から介護一時金を受け取った場合、当該一時金は非課税所得として扱われます」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
所得税の生命保険料控除限度額は新制度で合計最大12万円です。また、心身に加えられた損害や疾病・要介護等に基因して支払われる保険金や給付金(介護年金や介護一時金等)は非課税所得となり確定申告は不要です。
解き方
- 生命保険料控除の新制度および新旧併用時における所得税・住民税の合計最高限度額を確認し、①の誤りを判定する。
- 被保険者本人が受け取る民間介護保険の介護年金が非課税所得に該当するかどうかを確認し、②の誤りを判定する。
- 同様に介護一時金が非課税所得として取り扱われる規定を確認し、③が正しいことを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 新制度と旧制度を併用する場合における所得税の生命保険料控除の適用限度額の合計額は12万円(住民税は7万円)となります。
- 小問 ②:×
- 被保険者の疾病や身体の傷害等に基因して支払われる介護年金は所得税法上非課税所得となるため、確定申告をする必要はありません。
- 小問 ③:○
- 被保険者の介護・疾病等に基因して受け取る介護一時金は、全額が非課税所得として取り扱われます。
覚えるポイント
- 疾病や傷害に基因して支払われる保険給付(入院給付金、手術給付金、介護一時金・年金など)は非課税所得です。
間違えやすいところ
- 公的年金や個人年金保険の年金は雑所得として課税されますが、民間介護保険の介護年金は非課税となる違いに注意してください。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の金額 / 勤続年数の端数切上げ
Aさん(53歳)はX社の代表取締役社長であり、役員在任期間(勤続年数)30年3カ月で退任し、役員退職金として5,000万円が支給された。この退職金に係る退職所得の金額を求めるにあたり、退職所得控除額および退職所得の金額の計算式中の空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、他に退職手当等の収入はなく、障害者となったことが退職の直接原因ではないものとする。 <退職所得控除額> 800万円+( ① )万円×(□□□年-20年)=( ② )万円 <退職所得の金額> (5,000万円-( ② )万円)×□□□=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 70 ② 1,570 ③ 1,715
解説
退職所得は担税力の配慮から優遇されており、勤続年数に応じた退職所得控除額を差し引いた後の金額に2分の1を乗じて計算します。勤続年数に1年未満の端数があるときは1年に切り上げます。また、役員等勤続年数が5年超の場合は特定役員退職手当等(2分の1課税の適用除外)には該当せず通常の2分の1計算が適用されます。
解き方
- 勤続年数30年3カ月の1年未満の端数を切り上げ、勤続年数を31年とします。
- 20年超の退職所得控除額の算式「800万円+70万円×(31年-20年)」より控除額1,570万円を算出します。
- 役員勤続年数は5年超であるため、「(5,000万円-1,570万円)×1/2」を計算して退職所得の金額1,715万円を求めます。
答えの内訳
- ①:70
- 勤続年数が20年を超える場合、20年を超える部分の退職所得控除額は1年あたり70万円として計算するため、①は70となります。
- ②:1,570
- 勤続年数30年3カ月は端数を切り上げて31年として計算します。退職所得控除額は「800万円+70万円×(31年-20年)=1,570万円」となり、②は1,570となります。
- ③:1,715
- 役員等としての勤続年数が5年を超えるため、退職所得の金額は「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で計算します。(5,000万円-1,570万円)×1/2=1,715万円となり、③は1,715となります。
覚えるポイント
- 退職所得控除額は勤続20年以下が40万円×年数(最低80万円)、20年超は800万円+70万円×(年数-20年)。
- 勤続年数の端数は月数にかかわらず1年に切り上げる。
間違えやすいところ
- 勤続年数30年3カ月を30年として切り捨てて計算してしまうミス。
- 役員退職金であることから一律に1/2計算ができない(特定役員退職手当等である)と誤解するミス(勤続5年超なら通常通り1/2が適用可能)。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業退職金共済制度(中退共)の仕組みと取扱要件
リスク管理 · 中小企業退職金共済 / 国の掛金助成 / 退職金の直接請求 / 事業主への貸付制度の有無
中小企業退職金共済制度(中退共)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「中退共は、退職金を社外に積み立てる退職金準備の共済制度です。新しく中退共に加入する事業主に対して、掛金月額の4分の1(従業員ごとに上限5,000円)を加入後4カ月目から3年間、国が助成します」 ② 「被共済者(従業員)が中途退職(死亡による退職ではない)したときは、退職金が事業主であるX社を経由せず、従業員本人に直接支給されます」 ③ 「X社が中退共に加入後、急な資金需要が発生した場合は、積立金残高の8割を上限に契約者貸付制度を利用することができます」
- ①
- 新しく中退共に加入する事業主に対して、掛金月額の4分の1(従業員ごとに上限5,000円)を加入後4カ月目から3年間、国が助成する。
- ②
- 被共済者(従業員)が中途退職(死亡による退職ではない)したときは、退職金が事業主を経由せず、従業員本人に直接支給される。
- ③
- 事業主に急な資金需要が発生した場合は、積立金残高の8割を上限に契約者貸付制度を利用することができる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
中小企業退職金共済制度(中退共)は、単独では退職金制度を設けることが困難な中小企業のために国が設けた共済制度です。掛金は事業主が負担し全額損金算入可能であり、新加入時の掛金助成(原則1/2・1年間)などの優遇があります。退職金は事業主を経由せず従業員に直接支払われることで従業員の権利が保護されており、事業主が共済資金から貸付を受けることはできません。
解き方
- 記述①について、新規加入時の掛金助成割合(原則1/2)および助成期間(1年間)を確認し、誤り(×)と判定します。
- 記述②について、中退共の退職金の請求・支給ルートは事業主を経由せず機構から直接従業員へ支給される点を確認し、正しい(○)と判定します。
- 記述③について、事業主に対する契約者貸付制度の有無(小規模企業共済等との相違点)を確認し、中退共には事業主向け貸付がないため誤り(×)と判定します。
- 選択肢 ①不正解
- 新しく中退共に加入する事業主への国の助成は、掛金月額の2分の1(上限5,000円)を加入後4カ月目から1年間助成する制度であるため誤りです。
- 選択肢 ②正解
- 中退共の退職金は、事業主を介さずに退職した従業員の請求に基づき機構から従業員の口座へ直接支給されるため正しい記述です。
- 選択肢 ③不正解
- 中退共には事業主に対する貸付制度は存在しないため誤りです(小規模企業共済等に存在する契約者貸付制度との混同に注意)。
答えの内訳
- ①:×
- 新しく中退共に加入する事業主に対する国の掛金助成は、掛金月額の「2分の1」(上限5,000円)を加入後4カ月目から「1年間」助成する制度であるため、不適切です。
- ②:○
- 中退共の退職金は、従業員(被共済者)が退職した際、事業主を経由することなく機構から退職した従業員本人(または遺族)に直接支払われるため、適切です。
- ③:×
- 中退共は従業員の退職金を確保するための共済制度であり、事業主に対する契約者貸付制度は設けられていないため、不適切です。
覚えるポイント
- 中退共の新規加入助成は「掛金月額の1/2(上限5,000円)」「加入後4カ月目から1年間」。
- 中退共の退職金は従業員に直接支給され、事業主への契約者貸付制度はない。
間違えやすいところ
- 小規模企業共済(事業主自身の退職金制度)の契約者貸付制度と中退共(従業員の退職金制度)を混同してしまうミス。
- 中退共の掛金助成の助成期間を3年(月額変更助成などの一部要件と混同)と誤認するミス。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
養老保険を利用した福利厚生プラン(ハーフタックスプラン)の経理処理と留意点
リスク管理 · ハーフタックスプラン / 福利厚生規程 / 損金算入要件 / 資産計上額の取崩し
法人が契約者(保険料負担者)、全従業員が被保険者、死亡保険金受取人が被保険者の遺族、満期保険金受取人が法人とする養老保険(福利厚生プラン)に関する次の記述①〜④の正誤を判定しなさい。
- ①
- 福利厚生プランは、原則として、被保険者を従業員全員とする等の普遍的加入でなければ、支払保険料の2分の1を福利厚生費として損金の額に算入することはできない。
- ②
- 役員や部課長など、特定の者のみを被保険者とする加入であれば、支払保険料の全額を被保険者に対する給与として損金の額に算入する。ただし、合理的な格差であれば2分の1損金が認められる可能性がある。
- ③
- 死亡保険金が被保険者の遺族に支払われた場合、法人は当該契約に係る資産計上額を取り崩し、当該金額を雑損失として損金の額に算入する。
- ④
- 福利厚生プランを導入する際は、退職金の支給根拠を明確にするため退職金規程を整え、導入後に入社した従業員の加入漏れがないように注意する必要がある。
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ○、④ ○
解説
法人契約の養老保険で死亡保険金受取人が役員・従業員の遺族、満期保険金受取人が法人である契約形態は福利厚生プラン(ハーフタックスプラン)と呼ばれます。従業員全員を対象とする等の普遍的加入要件を満たすことで、支払保険料の2分の1を資産計上、残る2分の1を損金算入(福利厚生費)とすることができます。
解き方
- 契約形態(契約者・被保険者・各保険金受取人)を確認し、ハーフタックスプランの要件(普遍的加入、退職金規程の整備等)を照合する。
- 死亡保険金受取時の経理処理(遺族受取時に法人が資産計上額を取り崩して雑損失に計上する処理)の妥当性を確認する。
- 特定者のみ加入時の取扱い(遺族受取分相当額のみが役員・従業員への給与課税となり、法人受取部分は資産計上となること)を確認して正誤を判定する。
- 選択肢 ①正解
- 普遍的加入が損金算入の基本要件となるため、記述内容は適切です。
- 選択肢 ②不正解
- 特定者のみの加入の場合、遺族受取分(2分の1)は給与となりますが、法人受取分(2分の1)は資産計上となるため記述は誤りです。
- 選択肢 ③正解
- 死亡保険金が遺族に支払われた際、法人は積立保険料を取り崩して雑損失に算入するため記述は適切です。
- 選択肢 ④正解
- 福利厚生プランの運用にあたり退職金規程の整備や新入社員の加入漏れ防止が必要となるため適切です。
答えの内訳
- ①:○
- 養老保険の支払保険料の2分の1を福利厚生費として損金算入するためには、役員・従業員の全員を対象とする等の普遍的加入が要件となります。
- ②:×
- 特定の者のみを加入させた場合、法人が受取人となる満期部分(保険料の2分の1)は資産計上(保険料積立金)となり、全額が給与となるわけではないため不適切です。
- ③:○
- 被保険者の死亡により遺族へ死亡保険金が支払われた場合、法人はそれまで資産計上していた保険料積立金を取り崩し、全額を雑損失として損金に算入します。
- ④:○
- 福利厚生費としての損金算入を税務上認められるためには、退職金規程等を整備し、中途採用者等を含めて普遍的加入の条件を維持・管理することが求められます。
覚えるポイント
- ハーフタックスプランは「半分資産(積立金)、半分損金(福利厚生費)」となる福利厚生制度です。
- 被保険者が死亡して遺族が保険金を受け取った場合、法人は資産計上額を取り崩して「雑損失」とします。
間違えやすいところ
- 特定者のみを対象にした場合、全額が給与損金になるのではなく、2分の1が給与、2分の1は法人の資産計上となる点を見落としやすいです。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
年末調整の対象外となる所得控除とセルフメディケーション税制の控除限度額
タックスプランニング · 確定申告が必要な所得控除 / 医療費控除 / セルフメディケーション税制
所得税の各種控除および医療費控除の特例(セルフメディケーション税制)に関する次の文章の空欄①〜③に入る最も適切な語句または数値を語句群から選択しなさい。 Ⅰ 「所得控除のうち、雑損控除、医療費控除および( ① )控除については、年末調整では適用を受けることができないため、これらの控除の適用を受けるためには所得税の確定申告が必要となります」 Ⅱ 「通常の医療費控除との選択適用となるセルフメディケーション税制では、一定の取組みを行っている者が特定一般用医薬品等購入費を支払った場合、その額が( ② )円を超えるときは、その超える部分の金額(最高( ③ )円)を総所得金額等から控除することができます」
- イ
- 12,000
- ロ
- 24,000
- ハ
- 38,000
- ニ
- 68,000
- ホ
- 88,000
- ヘ
- 120,000
- ト
- 住宅借入金等特別
- チ
- 配当
- リ
- 寄附金
解答・解説を表示
解答
① リ、② イ、③ ホ
解説
給与所得者の所得控除のうち、年末調整で控除を受けられない項目(雑損控除・医療費控除・寄附金控除)を適用するためには確定申告を行う必要があります。また、医療費控除の特例であるセルフメディケーション税制は、対象医薬品購入費(補填額控除後)から12,000円を差し引いた額(最高88,000円)を控除できる制度です。
解き方
- 所得控除14種類のうち、年末調整で適用できず確定申告を要する3項目(雑損控除・医療費控除・寄附金控除)を特定して空欄①を判定する。
- セルフメディケーション税制の控除算式「(支払った特定一般用医薬品等購入費-保険金等で補填される金額)-12,000円」から空欄②を判定する。
- セルフメディケーション税制の控除最高限度額である88,000円から空欄③を判定する。
- 選択肢 イ正解
- セルフメディケーション税制の下限額(足切り額)である12,000円に該当するため空欄②の正解です。
- 選択肢 ロ不正解
- 本問の算式や要件には該当しない数値です。
- 選択肢 ハ不正解
- 基礎控除等の金額で用いられる数値であり、本問の空欄には該当しません。
- 選択肢 ニ不正解
- 本問の算式や限度額には該当しない数値です。
- 選択肢 ホ正解
- セルフメディケーション税制の控除限度額である88,000円に該当するため空欄③の正解です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 生命保険料控除等の最大控除額などで用いられる数値であり、本問には該当しません。
- 選択肢 ト不正解
- 住宅借入金等特別控除は税額控除であり、所得控除ではありません。
- 選択肢 チ不正解
- 配当控除は税額控除であり、所得控除ではありません。
- 選択肢 リ正解
- 年末調整で適用できない所得控除(雑損控除、医療費控除、寄附金控除)のひとつである寄附金控除に該当し、空欄①の正解です。
答えの内訳
- ①:リ
- 年末調整で控除できない所得控除は、雑損控除、医療費控除、寄附金控除の3種類であり、これらを適用するには確定申告が必要です。
- ②:イ
- セルフメディケーション税制の控除額計算において、対象医薬品購入額から差し引く足切り額は12,000円です。
- ③:ホ
- セルフメディケーション税制による医療費控除の特例の最高限度額は88,000円です。
覚えるポイント
- 年末調整で受けることができない所得控除は「雑損控除」「医療費控除」「寄附金控除」の3つです。
- セルフメディケーション税制の控除額計算は「対象医薬品等の支払額-12,000円」、上限は88,000円です。
間違えやすいところ
- 住宅借入金等特別控除は初年度に確定申告が必要ですが、「所得控除」ではなく「税額控除」であるため誤って選択しないよう注意が必要です。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
平成30年分の所得税の課税関係(保険差損・配偶者控除・扶養控除)
タックスプランニング · 損益通算 / 配偶者控除 / 扶養控除
会社員のAさん(45歳、給与収入900万円、不動産所得40万円)の平成30年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。なお、Aさんは満期保険金220万円(正味払込済保険料240万円)を受け取っており、妻Bさん(43歳・専業主婦・収入なし)、長女Cさん(17歳・高校生・収入なし)、二女Dさん(14歳・中学生・収入なし)と生計を一にしている。
- ①
- 養老保険の満期保険金に係る保険差損の金額は、所得税の確定申告をすることにより、不動産所得の金額と損益通算することができます。
- ②
- Aさんの平成30年分の合計所得金額は900万円以下となりますので、Aさんは38万円の配偶者控除の適用を受けることができます。
- ③
- 長女Cさんは特定扶養親族に該当しますので、Aさんが適用を受けることができる長女Cさんに係る扶養控除の額は63万円です。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
所得税の損益通算の対象となる損失は不動産・事業・山林・譲渡所得に限られ、一時所得の損失は通算できません。所得控除では扶養親族等の年齢判定(12月31日時点)および納税者本人の合計所得金額に応じた控除額の判定が基準となります。
解き方
- 一時所得の損失について、損益通算の対象となる4所得(不・事・山・譲)に該当するかを確認し通算の可否を判定する。
- 給与所得と不動産所得から本人の合計所得金額を算出し、配偶者の所得要件と照らし合わせて配偶者控除の適用可否を判定する。
- 扶養親族の12月31日時点の年齢を確認し、一般控除対象扶養親族か特定扶養親族かを区分して控除額を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 契約者と満期保険金受取人が同一人である養老保険の満期保険金は一時所得となりますが、一時所得の計算上生じた損失(差損)は他の所得と損益通算することができません。損益通算が認められる所得は、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得(生活に通常必要でない資産等を除く)の4つに限られます。
- 小問 ②:○
- 給与収入900万円に対する給与所得控除額は「900万円×10%+120万円=210万円」であり、給与所得は690万円となります。これに不動産所得40万円を加算した合計所得金額は730万円となり、900万円以下です。また、控除対象配偶者である妻Bさんの合計所得金額は38万円以下(0円)であるため、配偶者控除38万円の適用を受けられます。
- 小問 ③:×
- 扶養控除において特定扶養親族とされるのは、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の扶養親族です。長女Cさんは17歳であるため「一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満)」に該当し、扶養控除の控除額は38万円(特定扶養親族の63万円ではない)となります。
覚えるポイント
- 損益通算ができる所得は「不・事・山・譲(富士山乗)」の4つのみで、一時所得や雑所得の損失は通算不可。
- 特定扶養親族は19歳以上23歳未満(控除額63万円)、一般控除対象扶養親族は16歳以上19歳未満および23歳以上70歳未満(控除額38万円)。
間違えやすいところ
- 一時所得で生じた差損を他の黒字所得から控除できると誤認しやすい点に注意する。
- 高校生である16歳~18歳の扶養親族を特定扶養親族と混同し、控除額を63万円と間違えないようにする。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(平成30年分所得税法)
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
平成30年分の所得税の算出税額の計算
タックスプランニング · 給与所得控除 / 総所得金額 / 扶養控除 / 所得税額の計算
会社員のAさんの平成30年分の所得税の算出税額を計算した表の空欄①~③に入る数値を求めなさい。 ・給与収入金額:900万円 ・不動産所得の金額:40万円 ・平準払養老保険の満期保険金:220万円(正味払込済保険料240万円) ・家族構成:妻Bさん(43歳・専業主婦・収入なし)、長女Cさん(17歳・高校生・収入なし)、二女Dさん(14歳・中学生・収入なし) ・所得控除の額の合計額:3,000,000円
解答・解説を表示
解答
① 7,300,000(円) ② 380,000(円) ③ 432,500(円)
解説
所得税額の計算では、まず各種所得金額を算定・合算して総所得金額を求め、そこから各種所得控除額を差し引いて課税総所得金額を算出します。最後に超過累進税率の速算表を適用して算出税額を導きます。
解き方
- 給与所得控除額を求めて給与所得を計算し、不動産所得と合算して総所得金額(空欄①)を算出する。
- 控除対象親族の年齢区分を判定し、16歳以上の扶養親族に応じた扶養控除額(空欄②)を求める。
- 総所得金額から所得控除合計額を差し引いて課税総所得金額を求め、速算表の税率と控除額を適用して算出税額(空欄③)を計算する。
答えの内訳
- ①:7,300,000
- 給与所得控除額は「900万円×10%+120万円=210万円」です。給与所得=900万円-210万円=690万円。不動産所得は40万円。養老保険の満期保険金は差損が生じており一時所得は0円です。よって、総所得金額は「690万円+40万円=730万円(7,300,000円)」となります。
- ②:380,000
- 扶養控除の対象となる親族のうち、長女Cさん(17歳)は一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満)に該当し控除額は38万円です。二女Dさん(14歳)は16歳未満の年少扶養親族であるため扶養控除の対象外(0円)となります。よって扶養控除の合計額は380,000円です。
- ③:432,500
- 課税総所得金額は「総所得金額730万円-所得控除合計額300万円=430万円」です。速算表より、課税総所得金額330万円超695万円以下の区分に該当するため、算出税額は「430万円×20%-42万7,500円=86万円-42万7,500円=432,500円」となります。
覚えるポイント
- 16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)は所得税法上の扶養控除の対象外(控除額0円)。
- 課税総所得金額に千円未満の端数がある場合は切り捨ててから税率を適用する(本問では端数なし)。
間違えやすいところ
- 16歳未満の二女(14歳)を扶養控除の対象に含めて控除額を過大に計算してしまう誤り。
- 課税総所得金額から税額を求める際に速算表の控除額を引き忘れてしまう計算ミス。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(平成30年分所得税法)
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額および相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額 / 相続税の総額
現時点(平成31年1月27日)において、Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額を試算した表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は5億2,000万円とし、推定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人である。
解答・解説を表示
解答
① 4,800 ② 3,020 ③ 13,960
解説
相続税の総額の計算は、課税価格の合計額から基礎控除額を控除した課税遺産総額を求め、これを実際の遺産分割割合ではなく法定相続分どおりに各法定相続人が取得したものと仮定して各人の税額を速算表から算出し、それらを合計して求めます。
解き方
- 法定相続人の人数を数え、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を計算して課税遺産総額を算出する。
- 課税遺産総額を法定相続分で按分し、速算表の税率・控除額を適用して各人の相続税額を計算し、合算して総額を求める。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:3,020
- 課税遺産総額は、課税価格の合計額5億2,000万円-基礎控除額4,800万円=4億7,200万円です。これを各人の法定相続分(妻B:1/2、長男C:1/4、長女D:1/4)で按分すると、長男Cさんの法定相続分に応ずる取得金額は4億7,200万円×1/4=1億1,800万円となります。速算表より税額は、1億1,800万円×40%-1,700万円=3,020万円です。
- ③:13,960
- 相続税の総額は、各法定相続人の税額の合計です。妻Bさんの取得金額は4億7,200万円×1/2=2億3,600万円、税額は2億3,600万円×45%-2,700万円=7,920万円。長女Dさんの税額は長男Cさんと同じ3,020万円です。したがって、合計は7,920万円+3,020万円+3,020万円=13,960万円となります。
覚えるポイント
- 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
間違えやすいところ
- 実際の分割割合で按分して税率を掛けてしまう間違い(相続税の総額は必ず法定相続分で按分して計算する)。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業承継税制(非上場株式等についての贈与税の納税猶予・免除の特例)
相続・事業承継 · 法人版事業承継税制の特例 / 納税猶予割合 / 対象贈与者 / 雇用確保要件
平成30年度税制改正により創設された非上場株式等についての贈与税の納税猶予および免除の特例(事業承継税制の特例)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
平成30年度税制改正で創設された特例事業承継税制は、後継者への円滑な事業承継を後押しするため、対象株式の上限撤廃、納税猶予割合を100%への引き上げ、先代経営者以外の複数株主からの贈与への対象拡大、雇用維持要件の実質的な緩和措置など、大幅な拡充が行われました。
解き方
- 特例措置における猶予割合が100%であることを確認して①の正誤を判定する。
- 特例措置では先代経営者以外の複数株主からの贈与も対象となることを確認して②の正誤を判定する。
- 雇用確保要件の期間(5年)および未達成時の救済措置(報告書提出による猶予継続)を確認して③の正誤を判定する。
答えの内訳
- ①:×
- 事業承継税制の特例措置では、対象株式の全株(対象株式数に上限なし)について、贈与税額の全額(100%)に相当する納税が猶予されます。90%相当額とする記述は誤りです(一般措置では発行済議決権株式総数の3分の2まで・80%猶予)。
- ②:×
- 特例措置においては、代表権を有していた先代経営者以外の複数の株主(親族等)からの贈与についても本特例の対象とすることができます。したがって、後継者である長男Cさんが母である妻Bさんから贈与を受けた株式も本特例の適用対象となるため、記述は誤りです。
- ③:×
- 特例措置では、贈与後5年間の平均で8割の雇用確保要件を満たせなかった場合でも、経営環境の変化等の理由を記載した報告書等を都道府県知事に提出して確認を受ければ、直ちに納税猶予が取り消されて全額を納付しなければならないわけではありません。また期間も「10年以内」ではなく「5年間」です。
覚えるポイント
- 特例事業承継税制は全株式(上限なし)について納税猶予割合100%
間違えやすいところ
- 一般措置(対象株式上限2/3・猶予割合80%)と特例措置(上限なし・100%猶予)の条件を混同すること。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の法令等(平成30年度税制改正後の特例措置)
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続対策(遺言、遺留分、生命保険非課税限度額、小規模宅地特例)
相続・事業承継 · 公正証書遺言 / 遺留分の計算 / 死亡保険金の非課税限度額 / 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
Aさんの相続対策等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を、語句群(イ~ル)の中から選び、その記号を答えなさい。 Ⅰ 「遺産分割をめぐる争いを防ぐために、遺言により遺産の分割の方法を指定しておくことをお勧めします。遺言の普通方式には、自筆証書遺言、公正証書遺言等がありますが、形式不備による無効や遺言書の紛失等を考えると、公正証書遺言が望ましいと思います。公正証書遺言とは、証人( ① )人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成するものです」 Ⅱ 「X社関連の資産(X社株式、X社本社敷地・建物)を中心に相続財産の大半を長男Cさんに相続させた場合、妻Bさんおよび長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産が5億円の場合、長女Dさんの遺留分の金額は、( ② )万円となります」 Ⅲ 「納税資金の確保を目的として、契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を長男Cさんとする終身保険に加入することも検討事項の1つとなります。終身保険に加入後、Aさんの相続が開始した場合、長男Cさんが受け取る死亡保険金は( ③ )万円を限度として、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができます」 Ⅳ 「長男Cさんが相続により取得するX社本社敷地は、所定の要件を満たすことにより、特定同族会社事業用宅地等として、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けることができます。特定同族会社事業用宅地等に該当するX社本社敷地は、( ④ )㎡までの部分について、通常の価額から80%相当額を減額した金額を、相続税の課税価格に算入すべき価額とすることができます」 <数値群> イ.1 ロ.2 ハ.3 ニ.200 ホ.330 ヘ.400 ト.500 チ.1,500 リ.6,250 ヌ.10,000 ル.12,500
- イ
- 1
- ロ
- 2
- ハ
- 3
- ニ
- 200
- ホ
- 330
- ヘ
- 400
- ト
- 500
- チ
- 1,500
- リ
- 6,250
- ヌ
- 10,000
- ル
- 12,500
解答・解説を表示
解答
① ロ、② リ、③ チ、④ ヘ
解説
公正証書遺言の作成には証人2人以上の立会いが義務付けられています。遺留分は直系尊属のみが相続人の場合(1/3)を除き原則として財産の1/2が総遺留分となり、各人の法定相続分を乗じて算出します。死亡保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」であり、特定同族会社事業用宅地等の小規模宅地特例の限度面積は400㎡(減額割合80%)です。
解き方
- 公正証書遺言の要件を確認し、必要な証人の人数(2人以上)を選択する。
- 相続人の構成(配偶者・子2人)から長女Dの個別遺留分割合(1/2×1/4=1/8)を求め、基礎財産5億円に乗じて遺留金額(6,250万円)を算出する。
- 法定相続人の数(3人)を確認し、死亡保険金の非課税限度額(500万円×3人=1,500万円)を計算する。
- 小規模宅地等の特例における特定同族会社事業用宅地等の限度面積(400㎡)を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 民法上、公正証書遺言を作成する際には証人2人以上の立会いが必要です。したがって「ロ(2)」が正解です。
- 小問 ②:リ
- 配偶者と子(長男C・長女D)が相続人の場合、全体の遺留分割合は2分の1です。長女Dの法定相続分は4分の1(1/2×1/2)なので、個別遺留分割合は1/2×1/4=8分の1となります。遺留分算定の基礎財産が5億円の場合、5億円×1/8=6,250万円となります。したがって「リ(6,250)」が正解です。
- 小問 ③:チ
- 相続人が受け取る生命保険金(死亡保険金)の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」で計算されます。法定相続人は妻B・長男C・長女Dの3人であるため、非課税限度額は500万円×3人=1,500万円となります。したがって「チ(1,500)」が正解です。
- 小問 ④:ヘ
- 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例において、特定同族会社事業用宅地等の限度面積は400㎡であり、減額割合は80%です。したがって「ヘ(400)」が正解です。
覚えるポイント
- 公正証書遺言の証人は2人以上必要。
- 死亡保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」。
- 小規模宅地等の特例の限度面積:特定居住用は330㎡、特定事業用・特定同族会社事業用は400㎡、貸付事業用は200㎡(減額割合は特定が80%、貸付が50%)。
間違えやすいところ
- 特定同族会社事業用宅地等の限度面積を特定居住用宅地等の「330㎡」と混同しやすい。
- 遺留分の計算で、全体の遺留分割合(1/2)を掛け忘れて法定相続分(1/4)のまま計算してしまう。
出題の前提:2018年10月1日現在施行の民法および相続税法等の規定に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2019年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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