日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務の概要
特別支給の老齢厚生年金の受給要件・年金額・長期加入者の特例
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 受給資格期間 / 年金額の計算 / 長期加入者の特例
MさんがAさんに対して説明した特別支給の老齢厚生年金に関する次の文章の空欄①~③に入る適切な数値を求めなさい。なお、年金額は平成30年度価額に基づいて計算し、円未満を四捨五入すること。 「老齢厚生年金の支給開始年齢は原則65歳ですが、経過措置として老齢基礎年金の受給資格期間である( ① )年を満たし、かつ厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ある等の要件を満たす場合、特別支給の老齢厚生年金を受給できます。 昭和33年12月生まれのAさんは原則63歳から報酬比例部分のみを受給できます。60歳で定年退職し厚生年金の被保険者でない場合、資料の計算式に基づくと、年額( ② )円となります。 他方、継続雇用制度で勤務し満63歳で退職した場合、被保険者期間が( ③ )年以上あるため長期加入者の特例が適用され、報酬比例部分と定額部分の合計に配偶者加給年金額が加算されます」
解答・解説を表示
解答
① 10 ② 1,130,593 ③ 44
解説
特別支給の老齢厚生年金は、受給資格期間10年以上かつ被保険者期間1年以上の要件を満たすことで受給できます。昭和16年4月2日以後生まれの男性は段階的に受給開始年齢が引き上げられ、昭和33年12月生まれは63歳から報酬比例部分のみ受給可能です。さらに厚生年金被保険者期間が44年以上ある者が退職して被保険者でなくなると、長期加入者の特例として定額部分および加給年金額が上乗せ支給されます。
解き方
- 受給資格期間(10年)および長期加入者の特例要件(44年以上)の法令数値をそれぞれ特定する。
- 資料の計算式に従い、平成15年3月以前分(乗数7.125/1000)と4月以後分(乗数5.481/1000)を算出し、合算後に円未満を四捨五入する。
答えの内訳
- ①:10
- 公的年金の受給資格期間は、平成29年8月1日の法改正により従来の25年から「10年」に短縮されました。
- ②:1,130,593
- 平成15年3月以前分は300,000円×(7.125/1,000)×312月=666,900円、平成15年4月以後分は450,000円×(5.481/1,000)×188月=463,692.6円となります。合計すると666,900円+463,692.6円=1,130,592.6円となり、円未満を四捨五入して1,130,593円です。
- ③:44
- 厚生年金保険の被保険者期間が「44年」(528月)以上ある者が被保険者でない場合、長期加入者の特例により定額部分と加給年金額が支給されます。
覚えるポイント
- 年金の受給資格期間は25年から10年に短縮されている
- 特別支給の老齢厚生年金の長期加入者特例は被保険者期間44年(528月)以上
間違えやすいところ
- 平成15年3月以前と4月以後の乗数(7.125と5.481)を取り違えて計算してしまうミス
- 受給資格期間の10年と、特別支給の老齢厚生年金の厚生年金加入要件1年を混同するミス
出題の前提:平成30年4月1日現在施行の法令等(平成30年度年金価額)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
定年退職後の公的年金・健康保険(任意継続被保険者制度)の手続きと取扱い
社会保険 · 国民年金第1号被保険者への種別変更 / 健康保険の任意継続被保険者 / 任意継続被保険者の標準報酬月額
MさんがAさんに対して説明した、X社の継続雇用制度を利用せず60歳で定年退職した場合の社会保険の取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 妻Bさんは、国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更の届出を行い、60歳になるまでの間、国民年金の保険料を納付することになります。このため、当該保険料の負担が発生する点に留意が必要となります。 ② Aさんは、退職により健康保険の被保険者資格を失うことになりますが、原則として、その資格喪失日から2カ月以内に、Aさんの住所地を管轄する全国健康保険協会都道府県支部に対して任意継続被保険者の資格取得の申出をした場合、退職日の翌日から最長で2年間、健康保険に加入することができます。 ③ Aさんが健康保険の任意継続被保険者となった場合、Aさんが負担する健康保険の保険料額は、標準報酬月額に所定の料率を乗じて算出した額となります。なお、標準報酬月額には上限が設けられているため、Aさんの退職時の標準報酬月額が上限を超える場合は、上限の標準報酬月額を基に保険料が算出されます。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
退職時には被用者年金・健康保険から一般の地域保険等への切り替えが必要です。厚生年金加入者の退職に伴い扶養配偶者は第3号から第1号被保険者へ種別変更して自ら保険料を納付します。また健康保険は退職日までに継続して2カ月以上の被保険者期間があれば、資格喪失後20日以内の申出により最長2年間任意継続被保険者となることができ、その標準報酬月額には平均標準報酬月額に基づく上限が設定されています。
解き方
- 記述①について、第2号被保険者が退職した場合の第3号被扶養配偶者の種別変更義務と保険料発生の有無を判定する。
- 記述②について、任意継続被保険者の申出期限(20日以内)と被保険者期間要件(継続して2カ月以上)の相違を確認する。
- 記述③について、任意継続被保険者の標準報酬月額の算定ルール(本人の退職時額と全被保険者平均額のいずれか低い方)を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 会社員である夫が退職して第2号被保険者の資格を喪失した場合、その被扶養配偶者である妻は第3号被保険者でなくなるため、60歳未満であれば第1号被保険者への種別変更の届出を行い、国民年金保険料を納付する必要があります。
- 小問 ②:×
- 健康保険の任意継続被保険者の資格取得の申出期限は、資格喪失日から「20日以内」です。「2カ月以内」ではありません(なお、資格喪失日までに継続して2カ月以上の被保険者期間が必要という要件と混同しやすい点に注意が必要です)。
- 小問 ③:○
- 任意継続被保険者の保険料算出に用いる標準報酬月額は、「資格喪失時の本人の標準報酬月額」と「前年9月30日時点の全被保険者の平均標準報酬月額」のいずれか低い額とされるため上限が設けられており、記述は適切です。
覚えるポイント
- 任意継続被保険者の申出期限は資格喪失日から「20日以内」
- 任意継続被保険者の資格要件は喪失前継続して「2カ月以上」の被保険者期間
間違えやすいところ
- 任意継続被保険者の要件である「継続して2カ月以上の被保険者期間」と申出期限「20日以内」を取り違えるミス
- 配偶者が60歳未満の専業主婦であっても夫の退職時に自動的に第1号へ切り替わると誤認し、届出が必要な点を見落とすミス
出題の前提:平成30年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
継続雇用時の高年齢雇用継続給付と在職老齢年金の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 高年齢雇用継続基本給付金 / 在職老齢年金 / 年金と雇用保険の併給調整
X社の継続雇用制度を利用して勤務を継続した場合における、雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金および特別支給の老齢厚生年金に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。 ① 「60歳以後の各月(支給対象月)に支払われる賃金額が、60歳到達時の賃金月額の75%相当額を下回りますので、Aさんは、原則として、雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金を受給することができます。Aさんに支給される当該給付金の額は賃金額の15%に相当する額になります」 ② 「特別支給の老齢厚生年金は、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が28万円(平成30年度の支給停止調整開始額)を超えると、所定の算式により、年金額の一部または全部が支給停止となります」 ③ 「雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金を受給した場合、特別支給の老齢厚生年金の年金額の全部が支給停止となります。特別支給の老齢厚生年金の支給開始後は、高年齢雇用継続基本給付金の支給を止める手続をX社(事業主)経由で行うようにしてください」
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解答
① × ② ○ ③ ×
解説
60歳以降も継続雇用されて被保険者として働く場合、賃金の低下度合いに応じた高年齢雇用継続給付の支給や、賃金と年金額の合計に応じた在職老齢年金の支給停止調整、さらに両者の併給調整が行われます。
解き方
- 設例の賃金低下率(70%)を確認し、高年齢雇用継続基本給付金の最大支給率(15%)が適用される要件(61%以下)を満たしているかを検証する。
- 60歳台前半の在職老齢年金における平成30年度の支給停止調整開始額が28万円であることを確認する。
- 高年齢雇用継続給付と特別支給の老齢厚生年金の併給調整ルール(最高で標準報酬月額の6%が年金から支給停止)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給率は、賃金の低下率に応じて決まり、60歳到達時賃金の61%以下に低下した場合は各月の賃金額の15%となります。Aさんの賃金は70%(月額28万円)であり、61%超75%未満の低下率であるため、給付金の支給率は15%ではなく逓減された率となります。
- 小問 ②:○
- 60歳台前半の在職老齢年金では、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が28万円(平成30年度の支給停止調整開始額)を超えると、所定の計算式に基づいて年金額の一部または全部が支給停止となります。
- 小問 ③:×
- 雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金を受給する場合、特別支給の老齢厚生年金は標準報酬月額の最高6%相当額が支給停止される調整が行われますが、年金額の全額が支給停止となるわけではありません。また、給付金の支給を停止する手続を行う必要もありません。
覚えるポイント
- 高年齢雇用継続給付の最大支給率15%は賃金低下率61%以下の場合に適用される。
- 60歳台前半の在職老齢年金の基準額(支給停止調整開始額)は28万円である。
間違えやすいところ
- 高年齢雇用継続給付と年金が併給される際、年金が「全額停止」になると誤解しやすい(停止されるのは標準報酬月額の最大6%)。
- 賃金が75%未満であれば一律に15%支給されると誤認しやすい(61%超75%未満は段階的に逓減する)。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地震保険の契約内容・割引制度・損害認定基準
リスク管理 · 地震保険の保険金額 / 免震建築物割引 / 地震保険の損害区分(全損・小半損)
地震保険の商品内容等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉から選びなさい。 Ⅰ 「地震保険は、単独での加入ができないため、火災保険に付帯する形で加入しなければなりません。地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の( ① )の範囲内での設定となり、限度額は建物で5,000万円、家財で1,000万円となります」 Ⅱ 「地震保険の保険料は、建物の構造および所在地(都道府県別)に応じて決まりますが、4種類(建築年割引・耐震等級割引・免震建築物割引・耐震診断割引)の割引制度が設けられています。対象建物が住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に規定された免震建築物である場合に適用される免震建築物割引の割引率は( ② )%となります。それぞれの割引制度の重複適用はできませんので、複数の割引制度の要件を満たす場合は、割引率の高いものを選択してください」 Ⅲ 「地震保険は、損害の程度により、保険金額の一定割合が支払われます。損害の程度が全損に該当した場合は保険金額の100%、大半損に該当した場合は保険金額の60%、小半損に該当した場合は保険金額の( ③ )%が支払われます。なお、全損とは、建物の場合、主要構造部(基礎・柱・壁等)の損害額が建物の時価額の( ② )%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積が建物の延べ床面積の( ④ )%以上となった場合を指します」 〈語句群〉 イ.30 ロ.40 ハ.45 ニ.50 ホ.70 ヘ.80 ト.90 チ.25%から50% リ.30%から50% ヌ.30%から60%
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解答
① リ ② ニ ③ イ ④ ホ
解説
地震保険は被災者の生活再建を支える公共性の高い保険であり、火災保険の付帯契約として保険金額の割合・上限や、割引制度の割引率、明確な損害区分(全損・大半損・小半損・一部損)が全国共通で法令に基づいて設計されています。
解き方
- 火災保険の保険金額に対する地震保険の付帯割合(30%~50%)を特定する。
- 地震保険の割引制度(建築年10%、耐震等級10%~50%、免震建築物50%、耐震診断10%)から免震建築物の割引率50%を選択する。
- 損害認定基準(全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%)から小半損の支払割合30%を選択する。
- 建物の全損認定基準である「主要構造部の損害額が時価額の50%以上」または「焼失・流失部分の床面積が延べ床面積の70%以上」の数値を当てはめる。
小問ごとの答え
- 小問 ①:リ
- 地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で設定し、限度額は建物5,000万円、家財1,000万円と定められています。
- 小問 ②:ニ
- 品確法に規定された免震建築物である場合の免震建築物割引の割引率は50%です。また、建物の全損認定基準における主要構造部の損害割合も時価額の50%以上です。
- 小問 ③:イ
- 地震保険の損害区分において、小半損に該当した場合は保険金額の30%(大半損は60%、全損は100%、一部損は5%)が支払われます。
- 小問 ④:ホ
- 建物が全損と認定される焼失・流失の基準は、焼失または流失した部分の床面積が建物の延べ床面積の70%以上となった場合です。
覚えるポイント
- 地震保険の保険金額は火災保険の30%~50%(上限:建物5,000万円、家財1,000万円)。
- 損害認定区分と支払割合:全損100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%。
間違えやすいところ
- 小半損の支払割合(30%)を大半損(60%)や一部損(5%)と取り違える。
- 全損の床面積基準(70%以上)と主要構造部損害割合(50%以上)の数値を混同する。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地震保険の補償対象および地震保険料控除
リスク管理 · 地震保険の対象 / 地震保険の補償範囲 / 地震保険料控除
ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した地震保険の補償内容および保険料控除に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「家財の場合、保険の対象は生活用動産に限られているため、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属や美術品等は、保険の対象には含まれません。また、住宅の敷地内に置いてある自動車も対象となりません」 ② 「地震保険では、建物の主要構造部の損害状況に基づいて保険金が支払われますので、門や塀、給排水設備などが単独で損害を受けた場合は保険金の支払対象にはなりません」 ③ 「Aさんが、平成31年中に地震保険料を5万円支払った場合、平成31年分の所得税に係る地震保険料控除の額は5万円、平成32年度分の住民税に係る地震保険料控除の額は3万5,000円となります」
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解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
地震保険は被災者の生活安定に寄与することを目的としており、補償対象は居住用建物および生活用動産に限られ、主要構造部の損害程度に応じて保険金が支払われます。また、地震保険料控除は所得税が最高5万円、住民税が最高2万5,000円と定められています。
解き方
- 地震保険の対象となる家財の範囲(生活用動産に限定、30万円超の貴金属や自動車は除外)および建物の主要構造部損害の原則を確認します。
- 所得税と住民税における地震保険料控除の算定方法と最高限度額(所得税は全額で最高5万円、住民税は1/2で最高2万5,000円)を適用して正誤を判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 地震保険における家財の補償対象は居住用の生活用動産に限定されており、1個または1組の価額が30万円を超える貴金属・宝石・美術品等や、自動車は補償の対象外となります。
- 小問 ②:○
- 地震保険は建物の主要構造部(基礎・柱・壁・屋根等)の損害割合等に応じて保険金が支払われるため、主要構造部に損害がなく門・塀・給排水設備等のみが単独で損害を受けた場合は支払対象外となります。
- 小問 ③:×
- 地震保険料を年間5万円支払った場合、所得税に係る控除額は最高限度額である5万円(全額控除)ですが、住民税に係る控除額は支払保険料の2分の1(最高2万5,000円)であるため2万5,000円となります。
覚えるポイント
- 地震保険料控除の限度額は所得税が最高5万円、住民税が最高2万5,000円です。
- 地震保険の家財では、30万円超の貴金属・美術品や自動車は対象外となります。
間違えやすいところ
- 火災保険では明記物件として特約付帯できる貴金属等であっても、地震保険では対象外となる点に注意が必要です。
- 住民税の地震保険料控除の限度額を、旧長期損害保険料控除や所得税の限度額と混同しないようにします。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令・基準に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自動車保険のノンフリート等級別料率制度
リスク管理 · ノンフリート等級制度 / 事故あり係数適用期間 / 新規加入時の等級 / 等級すえおき・ダウン事故
ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した自動車保険のノンフリート等級に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「自動車保険のノンフリート等級別割引・割増制度においては、同じ等級であっても、『過去に事故のない10等級』と『事故あり等級適用期間の10等級』では、保険料の割引率が異なりますので、保険料負担に差が生じます」 ② 「新たに自動車を購入し、新規で自動車保険に加入する場合、ノンフリート等級は6等級(S)が適用され、運転者の年齢条件に応じた割引率となります。運転者の年齢を問わず補償する契約の場合、9%の割引率が適用されます」 ③ 「1年間保険事故がなかった場合、等級は1つ上がり、更新後の保険料は安くなります。一方、対人賠償や対物賠償の保険事故があった後に更新する場合は等級が3つ下がり、盗難・台風・落書き等による車両保険金を受け取った場合は等級が1つ下がりますので、更新後の保険料は高くなります」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
ノンフリート等級制度は1~20等級に区分され、前年の事故の有無や事故内容に応じて次契約の等級と「事故あり係数適用期間」が決まります。新規加入は原則6等級(一定条件下で7等級)からスタートし、年齢条件等により割増または割引が適用されます。
解き方
- 同一等級における「無事故」と「事故あり」の割引率・割増率の差異に関するルールを確認します。
- 新規加入(純新規6S等級)における年齢条件区分ごとの割増・割引の適用関係(全年齢担保は割増)を確認します。
- 無事故(1等級アップ)、対人・対物賠償事故(3等級ダウン)、車両の盗難・台風等の事故(1等級ダウン)の各事故区分を確認して正誤を判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- ノンフリート等級別割引・割増制度では、同一等級であっても「無事故」の等級と「事故あり等級適用期間」の等級で適用される割引・割増率が異なり、無事故等級の方が有利になります。
- 小問 ②:×
- 新規加入時に適用される6等級(6S等級)において、年齢を問わず補償する契約(全年齢補償)の場合は割引ではなく割増率が適用されるため、9%の割引率とする記述は誤りです。
- 小問 ③:○
- 1年間無事故であれば等級は1つ上がります。対人賠償事故や対物賠償事故は3等級ダウン事故となり、盗難・台風・落書き等による車両保険の事故は1等級ダウン事故として等級が1つ下がります。
覚えるポイント
- 純新規契約(6S等級)で「年齢を問わず補償(全年齢担保)」とする場合は割増となります。
- 対人・対物賠償事故は3等級ダウン、火災・爆発・盗難・台風・落書き等による車両事故は1等級ダウン事故となります。
間違えやすいところ
- 新規加入時は無条件に割引が適用されると誤認しやすいですが、全年齢補償などの場合は割増が適用されます。
- 台風や飛来中・落下中の他物との衝突、落書きなどの車両損害は、かつて等級すえおき事故でしたが、現行制度では1等級ダウン事故となる点に注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令・基準に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の金額 / 勤続年数の端数切上げ
Aさんが役員在任期間(勤続年数)30年4カ月でX社を退任し、X社から役員退職金として5,000万円の支給を受けた。Aさんが受け取る役員退職金に係る退職所得の金額を算出する以下の計算式において、空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、他に退職手当等の収入はなく、障害を直接の原因とする退職ではないものとする。 〈退職所得控除額〉 ( ① )万円 + 70万円 × (( ② )年 - 20年) = □□□万円 〈退職所得の金額〉 (5,000万円 - □□□万円) × △△△ = ( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 800 ② 31 ③ 1,715
解説
退職所得は、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を差し引いた金額に2分の1を乗じて計算します。勤続年数が20年を超える場合の控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」となり、勤続年数の端数は1年に切り上げます。また、勤続年数5年以下の特定役員等に対する退職金には2分の1を乗じる措置が適用されませんが、勤続5年を超える場合は通常の2分の1課税が適用されます。
解き方
- 勤続年数30年4カ月の端数を切り上げて31年とし、20年以下の部分(40万円×20年=800万円)と20年超の部分(70万円×(31年-20年)=770万円)から退職所得控除額(1,570万円)を算出する。
- 役員在任期間が5年を超えているため通常の2分の1課税を適用し、(収入金額5,000万円-退職所得控除額1,570万円)×1/2により退職所得の金額(1,715万円)を算出する。
答えの内訳
- ①:800
- 勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額の計算において、勤続年数20年以下の部分に対応する控除額は「40万円×20年=800万円」となります。
- ②:31
- 退職所得控除額の計算における勤続年数は、1年未満の端数を切り上げて1年として計算するため、30年4カ月は31年となります。
- ③:1,715
- 退職所得控除額は800万円+70万円×(31年-20年)=1,570万円です。勤続年数が5年を超える役員退職金には通常の2分の1課税が適用されるため、(5,000万円-1,570万円)×1/2=1,715万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月単位であっても切り上げて1年として計算する
- 勤続年数20年超の退職所得控除額の算式は800万円+70万円×(勤続年数-20年)
間違えやすいところ
- 勤続年数の端数(4カ月)を切り捨てて30年としてしまうミス
- 役員退職金であることを理由に、勤続年数が5年超であるにもかかわらず1/2の乗算を忘れてしまうミス
出題の前提:2018年4月1日現在施行の所得税法令(退職所得の計算)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働災害総合保険の補償内容と契約・税務上の取扱い
リスクマネジメント · 労働災害総合保険 / 法定外補償保険 / 使用者賠償責任保険 / 完成工事高 / 損金算入
労働災害総合保険の商品内容等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、〈語句群〉の中から選び、その記号を解答しなさい。 Ⅰ 「労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の上乗せ補償を目的とした法定外補償保険と、労働災害について被災した( ① )からの損害賠償請求により、使用者が法律上の損害賠償責任を負うことによる損害を補償する使用者賠償責任保険の2つの補償から構成されています」 Ⅱ 「法定外補償保険の保険金額の設定には、定額で保険金額を定める定額方式と1日当たりの平均賃金に対する日数で保険金額を定める定率方式があります。定額方式と定率方式の組合せにより保険金額を設定することは( ② )」 Ⅲ 「保険料については、契約時に平均被用者数または賃金総額の見込額に基づき算出された暫定保険料を支払い、保険期間終了後に実際の数値に基づき算出された確定保険料と暫定保険料の差額を精算する契約方式があります。建設事業の契約では、( ③ )から平均被用者数または賃金総額を算出する場合があります。なお、保険料は( ④ )を損金に算入することができます」 〈語句群〉 イ.第三者 ロ.従業員またはその遺族 ハ.可能です ニ.できません ホ.経常利益 ヘ.完成工事高 ト.2分の1 チ.全額
- イ
- 第三者
- ロ
- 従業員またはその遺族
- ハ
- 可能です
- ニ
- できません
- ホ
- 経常利益
- ヘ
- 完成工事高
- ト
- 2分の1
- チ
- 全額
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ハ ③ ヘ ④ チ
解説
労働災害総合保険は、政府労災保険の給付に上乗せして法定外補償金を給付する「法定外補償保険」と、被災した従業員や遺族からの損害賠償請求による事業主の賠償責任を補償する「使用者賠償責任保険」から構成されます。保険料は企業の福利厚生費等として全額が損金算入されます。
解き方
- 使用者賠償責任保険の補償対象が「従業員またはその遺族」からの賠償請求であることを確認する。
- 法定外補償保険の設計において、定額方式と定率方式の併用が可能であることを確認する。
- 建設業における暫定保険料の基礎数値として「完成工事高」が用いられること、および法人が支払った保険料が「全額」損金算入されることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 使用者賠償責任保険は、労働災害によって被災した従業員またはその遺族から損害賠償請求を受け、事業主が法律上の損害賠償責任を負った場合の損害を補償します。
- 小問 ②:ハ
- 法定外補償保険の保険金額設定において、定額方式と定率方式を組み合わせて保険金額を設定することは可能です。
- 小問 ③:ヘ
- 建設事業等においては、被用者数や賃金総額を直接把握することが難しいため、年間完成工事高を基準として平均被用者数や賃金総額を算出する方式が認められています。
- 小問 ④:チ
- 法人が契約者(保険料負担者)となって加入する労働災害総合保険の保険料は、全額を損金に算入することができます。
覚えるポイント
- 労働災害総合保険は「法定外補償」と「使用者賠償責任」の2階建て補償
- 法人が負担した労働災害総合保険の保険料は全額損金算入が可能
間違えやすいところ
- 使用者賠償責任保険の相手方を「第三者」と混同してしまうミス
- 保険料の損金算入割合を養老保険のハーフタックスプラン等と混同して「2分の1」としてしまうミス
出題の前提:損害保険商品規定および法人税法令(労働災害総合保険の取扱い)
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業活動に関わる損害保険の補償内容
リスク管理 · 会社役員賠償責任保険 / 建設工事保険 / 請負業者賠償責任保険
X社に対するアドバイスに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「会社役員賠償責任保険(D&O保険)は、被保険者である会社役員が役員の業務に係る行為に起因して損害賠償請求がなされたことにより被る法律上の損害賠償金および争訟費用等の損害に対して、保険金が支払われます。なお、被保険者の範囲は会社法上の取締役に限定されており、監査役や執行役のほか、子会社の役員を含めることはできません」 ② 「建設工事保険は、住宅等の建設工事において、工事期間中に発生した火災、台風、盗難等の不測かつ突発的な事故によって、工事の目的物について生じた損害を補償するための保険商品です。機械を据え付ける組立工事や道路や上下水道を建設する土木工事は、この保険の対象になりません」 ③ 「請負業者賠償責任保険は、工事完了後、工事結果の不良のために住民が転倒し、ケガをしたケースのように、工事の結果によって法律上の賠償を負った場合に補償の対象となります」
- ○
- 適切
- ×
- 不適切
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
企業活動を取り巻くリスクに応じた損害保険には、役員の業務責任を補償する保険、工事目的物の物損を補償する保険、工事遂行中や引渡し後の賠償責任を補償する各種賠償責任保険があり、それぞれ補償の対象となる時期・主体・損害範囲が明確に区分されています。
解き方
- 記述①:D&O保険の被保険者範囲に監査役・執行役・子会社役員を含められるかを確認し、限定列挙の誤りを判定する。
- 記述②:建設工事保険の対象範囲を確認し、組立工事(組立保険)や土木工事(土木工事保険)との棲み分けが正しいか判定する。
- 記述③:請負業者賠償責任保険(工事遂行中)と生産物賠償責任保険(工事完了・引渡し後)の補償時期・対象の違いを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 会社役員賠償責任保険(D&O保険)の被保険者の範囲は会社法上の取締役だけでなく、監査役や執行役、さらに特約により子会社の役員等も含めることができます。
- 小問 ②:○
- 建設工事保険は建物等の建築工事を対象とし、機械を据え付ける組立工事は組立保険、道路や上下水道等の工事は土木工事保険の補償対象となるため記述は適切です。
- 小問 ③:×
- 請負業者賠償責任保険は工事遂行中の事故を補償するものであり、工事完了・引渡し後の仕事の結果や目的物に起因する事故は生産物賠償責任保険(PL保険)の補償対象となります。
覚えるポイント
- 請負業者賠償責任保険は工事中(作業遂行中)、生産物賠償責任保険(PL保険)は工事完了後の事故を対象とします。
間違えやすいところ
- D&O保険の被保険者は取締役に限定されず、監査役や執行役、子会社役員も対象にできる点を見落としがちです。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の所得控除(年末調整対象外・配偶者控除)および年金雑所得の源泉徴収
タックスプランニング · 年末調整で適用できない所得控除 / 配偶者控除の所得要件 / 個人年金保険の源泉徴収
Aさんの平成30年分の所得税の計算における所得控除等に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のイ~リのなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。 Ⅰ 「所得控除は基礎控除を含め14種類ありますが、そのうち( ① )、医療費控除および寄附金控除の3種類の所得控除については、年末調整では適用を受けることができません。Aさんがふるさと納税に係る寄附金控除の適用を受けるためには、所得税の確定申告が必要となります」 Ⅱ 「妻Bさんの合計所得金額は( ② )万円以下となりますので、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます」 Ⅲ 「個人年金保険に係る確定年金の額からその年金額に対応する払込保険料を控除した額が年間( ③ )万円以上になる場合、その額の10.21%が所得税および復興特別所得税として源泉徴収されます」 〈語句群〉 イ.20 ロ.25 ハ.30 ニ.38 ホ.65 へ.103 ト.配当控除 チ.雑損控除 リ.小規模企業共済等掛金控除
- イ
- 20
- ロ
- 25
- ハ
- 30
- ニ
- 38
- ホ
- 65
- へ
- 103
- ト
- 配当控除
- チ
- 雑損控除
- リ
- 小規模企業共済等掛金控除
解答・解説を表示
解答
① チ ② ニ ③ ロ
解説
給与所得者の所得控除のうち雑損・医療費・寄附金の3控除は確定申告が必須です。また、配偶者控除の対象となる合計所得金額には法定の上限基準が定められており、私的年金の年金受給時には一定額以上の差益に対して源泉徴収が義務付けられています。
解き方
- 空欄①:年末調整の適用対象外となる3種類の所得控除(雑損控除、医療費控除、寄附金控除)を照合し、「チ.雑損控除」を選択する。
- 空欄②:平成30年分の配偶者控除の対象となる合計所得金額要件(38万円以下)を導き、「ニ.38」を選択する。
- 空欄③:個人年金保険の年金(雑所得)にかかる源泉徴収義務の基準額(年金年額から対応保険料を控除した額が25万円以上)を確認し、「ロ.25」を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 年末調整で控除を受けることができず確定申告が必要な所得控除は、雑損控除・医療費控除・寄附金控除の3種類です。
- 小問 ②:ニ
- 平成30年分において控除対象配偶者となるための合計所得金額の要件は38万円以下(給与収入のみなら103万円以下)です。
- 小問 ③:ロ
- 個人年金保険の確定年金において、受取年金額から対応する払込保険料を控除した差引余剰金額(雑所得の金額)が年額25万円以上である場合、10.21%の源泉徴収が行われます。
覚えるポイント
- 年末調整で受けることができない所得控除は「雑損控除」「医療費控除」「寄附金控除」の3つです。
間違えやすいところ
- 配偶者控除の所得要件を問われた際に、給与「収入」基準(103万円)と合計「所得」基準(38万円、現行48万円)を混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得者の確定申告義務・一時払終身保険の課税関係・扶養控除の判定
タックスプランニング · 確定申告義務 / 一時払終身保険の税務 / 扶養控除の要件
会社員のAさんの平成30年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 確定年金として受領する年金額から必要経費を控除した額が20万円を超えるため、所得税の確定申告義務が生じる。 ② 一時払終身保険の解約返戻金は契約から5年以内の解約のため源泉分離課税の対象となり、保険差損は他の所得と損益通算できない。 ③ 長男Eさんは特定扶養親族に該当するため、Aさんが適用を受けられる扶養控除の額は63万円となる。
- ①
- Aさんの場合、確定年金として支払を受ける年金額から必要経費を控除した金額が20万円を超えるため、所得税の確定申告をする義務が生じます。
- ②
- Aさんが受け取った一時払終身保険の解約返戻金は、契約から5年以内の解約のため、源泉分離課税の対象となります。したがって、一時払終身保険の解約に係る保険差損は、他の所得金額と損益通算することはできません。
- ③
- 長男Eさんは特定扶養親族に該当しますので、Aさんが適用を受けることができる長男Eさんに係る扶養控除の額は63万円となります。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
給与所得者の確定申告義務は副業等の所得が20万円超で生じ、扶養親族の適用判定は合計所得金額(38万円以下)に基づき、保険の解約返戻金は契約形態に応じて一時所得または源泉分離課税に区分されます。
解き方
- 給与以外の所得金額(個人年金保険の雑所得40万円)を計算し、20万円超の基準に照らして確定申告義務を判定する。
- 一時払終身保険の解約返戻金が金融類似商品(源泉分離課税)に該当するか総合課税の一時所得に該当するかを確認する。
- 扶養親族候補者の年間給与収入から給与所得控除を控除して合計所得金額を計算し、控除対象扶養親族の要件を満たすか判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 給与所得者で給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える者は確定申告義務があります。Aさんの雑所得は100万円-60万円=40万円で20万円を超えるため、確定申告義務が生じます。
- 小問 ②:×
- 一時払終身保険の解約返戻金は、契約から5年以内であっても源泉分離課税の対象(金融類似商品)にはならず、一時所得として総合課税の対象となります。したがって不適切です。
- 小問 ③:×
- 長男Eさん(21歳)は給与収入が130万円あり、給与所得控除額65万円を差し引いた合計所得金額が65万円となります。控除対象扶養親族の所得要件(38万円以下)を満たさないため扶養控除の適用は受けられません。
覚えるポイント
- 一時払養老保険の5年以内解約は源泉分離課税だが一時払終身保険は総合課税の一時所得となる点
- 控除対象扶養親族の合計所得金額要件は38万円以下(給与収入のみなら103万円以下)である点
間違えやすいところ
- 一時払終身保険を一時払養老保険と混同して5年以内の源泉分離課税対象と誤認しやすい
- 特定扶養親族の年齢(19歳以上23歳未満)だけに注目し、合計所得金額要件(38万円以下)の充足確認を見落としやすい
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額・扶養控除額・所得税の算出税額の計算
タックスプランニング · 給与所得の計算 / 扶養控除額 / 所得税額の速算
設例の資料に基づき、Aさんの平成30年分の所得税の計算における(a)総所得金額、(b)扶養控除の額、(c)算出税額について、指定の空欄①~③に入る数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 5,500,000(円) ② 380,000(円) ③ 212,500(円)
解説
総所得金額は各総合課税の所得を合算して求め、扶養控除は所得要件を満たす扶養親族の区分に応じた控除額を適用し、課税総所得金額に超過累進税率を適用して算出税額を計算します。
解き方
- 給与所得控除額を速算表から計算し、給与所得および雑所得を合算して総所得金額を算出する。
- 親族それぞれの合計所得金額を判定し、控除対象扶養親族に該当する者の控除額を合計して扶養控除額を求める。
- 総所得金額から所得控除合計額を差し引いて課税総所得金額を求め、速算表を適用して算出税額を計算する。
答えの内訳
- ①:5,500,000(円)
- 給与所得控除額は700万円×10%+120万円=190万円となり、給与所得は700万円-190万円=510万円です。雑所得は100万円-60万円=40万円、一時払終身保険の解約は損失(-10万円)のため一時所得は0円です。総所得金額は510万円+40万円=550万円(5,500,000円)となります。
- ②:380,000(円)
- 妻Bさんは配偶者控除の対象、長女Cさんは所得要件超過、長男Eさんも給与所得65万円で所得要件(38万円以下)を超過し対象外です。二女Dさん(24歳、収入なし)のみが一般の控除対象扶養親族(控除額38万円)に該当するため、扶養控除額は380,000円となります。
- ③:212,500(円)
- 課税総所得金額は総所得金額550万円-所得控除合計額240万円=310万円です。速算表より税率10%・控除額9万7,500円を適用し、310万円×10%-9万7,500円=212,500円となります。
覚えるポイント
- 一時所得の損失(保険差損)は他の所得との損益通算ができないため0円として扱う点
- 扶養控除の一般控除対象扶養親族は38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)は63万円である点
間違えやすいところ
- 長男が21歳であっても所得要件(38万円以下)を満たさないため特定扶養控除を適用してはならない
- 一時払終身保険の解約差損10万円を給与所得や雑所得から差し引いて損益通算してしまう誤り
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応じた取得金額
現時点(平成30年9月9日)において、Aさんに相続が開始した場合における相続税の総額について試算した表の空欄①~③に入る適切な数値を計算しなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は4億円とする。 (a)相続税の課税価格の合計額:4億円 (b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 課税遺産総額((a)-(b)):□□□万円 相続税の総額の基となる税額 ・妻Bさん:□□□万円 ・長男Cさん:( ② )万円 ・長女Dさん:□□□万円 (c)相続税の総額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円)、② 1,940(万円)、③ 9,220(万円)
解説
相続税の総額を算出する際は、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、それを実際の遺産分割割合に関わらず民法上の法定相続分で按分した上で各人の税額を速算表から計算し、最後に合算します。
解き方
- 法定相続人の人数を把握し、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で遺産に係る基礎控除額を算出する。
- 課税価格の合計額から基礎控除額を控除して課税遺産総額を求め、法定相続分に応じて各相続人の取得金額を按分する。
- 各相続人の法定相続分に応じた取得金額に相続税の速算表の税率と控除額を適用して税額を算出し、全員分を合計して相続税の総額を求める。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:1,940
- 課税遺産総額は4億円-4,800万円=3億5,200万円です。長男Cさんの法定相続分は4分の1なので、取得金額は3億5,200万円×1/4=8,800万円となります。速算表より税率30%・控除額700万円を適用し、8,800万円×30%-700万円=1,940万円となります。
- ③:9,220
- 妻Bさんの法定相続分は2分の1(1億7,600万円)で、税額は1億7,600万円×40%-1,700万円=5,340万円。長女Dさんは長男Cと同額の1,940万円です。これらを合算して、相続税の総額は5,340万円+1,940万円+1,940万円=9,220万円となります。
覚えるポイント
- 相続税の基礎控除額の計算式は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」である。
- 相続税の総額の計算では、実際の分割割合に関係なく、いったん法定相続分通りに按分して税額を計算する。
間違えやすいところ
- 基礎控除額の計算で平成27年改正前の「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」と混同しないように注意する。
- 長男Cさんの法定相続分を計算する際、配偶者分を除いた残りを均等按分するため「1/4」となる点を見落とさないようにする。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の相続税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
青空駐車場への賃貸アパート建築と相続税評価・特例
相続・事業承継 · 貸家建付地 / 債務控除 / 小規模宅地等の減額特例の併用
Aさんが所有する青空駐車場に賃貸アパートを建築することに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「青空駐車場として利用している宅地上に、賃貸アパートを建築した場合、その敷地は貸家建付地として評価されます。貸家建付地の相続税評価額は、『自用地評価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合』の算式により評価されます」 ② 「ローンを活用して賃貸アパートを建築した場合、相続税額の計算上、当該借入金は債務控除の対象となります。しかし、空室が多くなれば、ローン返済が滞る可能性もありますので、有効活用には慎重な対応が求められます」 ③ 「貸付事業用宅地等(賃貸アパートの敷地)と特定居住用宅地等(自宅の敷地)について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けようとする場合、適用対象面積の調整はせず、それぞれの宅地等の適用対象の限度面積まで適用を受けることができます」
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ×
解説
不動産の有効活用による相続税対策では、貸家建付地評価による土地評価減や建築ローンの債務控除が認められますが、小規模宅地等の特例において貸付事業用宅地等と特定居住用宅地等を併用する際は限度面積の調整計算が必要です。
解き方
- 貸家建付地の相続税評価額の計算式が「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」であることを確認する。
- アパート建築に伴う金融機関等からの借入金が相続税の債務控除の対象になることを確認する。
- 小規模宅地等の特例において、特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等を併用する場合の完全併用の可否(調整計算の要否)を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 貸家建付地の相続税評価額は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」によって算出されます。問題文に記載された算式は減額される金額そのものの算式であり、不適切です。
- 小問 ②:○
- アパートローン等の借入金は、相続開始時において被相続人が負担すべき確実な債務であるため、相続税の課税価格の計算上、債務控除の対象となります。したがって適切です。
- 小問 ③:×
- 特定居住用宅地等と貸付事業用宅地等を併用する場合、それぞれの限度面積まで無条件に併用することはできず、所定の調整計算式に基づいた限度面積の制限を受けます。したがって不適切です。
覚えるポイント
- 貸家建付地の評価減割合は「借地権割合×借家権割合×賃貸割合」であり、評価額は「自用地価額×(1-評価減割合)」となる。
- 小規模宅地等の特例において、特定居住用宅地等(330㎡)と特定事業用等宅地等(400㎡)は完全併用可能だが、貸付事業用宅地等(200㎡)を併用する場合は調整計算が必要となる。
間違えやすいところ
- 貸家建付地の評価額算式と、評価額から控除する減額分の算式を取り違えて正誤を誤らないようにする。
- 特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の完全併用ルールと、貸付事業用宅地等が絡む場合の併用調整ルールを混同しないようにする。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の租税特別措置法および相続税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の評価、相続時精算課税および遺留分の計算
相続・事業承継 · 類似業種比準価額 / 相続時精算課税制度 / 遺留分の計算
X社株式に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群のなかから選びなさい。 Ⅰ 「大会社であるX社株式の価額は、原則として、類似業種比準価額により算出されます。類似業種比準価額は、類似業種の株価ならびに1株当たりの配当金額、( ① )および簿価純資産価額を基として計算します。Aさんに役員退職金を支給することで、X社の株価を引き下げることができます」 Ⅱ 「X社株式を移転する方法として、非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例の活用、相続時精算課税制度の活用、長男CさんがAさんから買い取る等が考えられます。相続時精算課税は、( ② )万円を超える金額について( ③ )%の税率で贈与税が課されますが、その後、X社株式の評価額が上昇しても、相続財産に加算されるX社株式の評価は贈与時の価額とされるなどのメリットがあります」 Ⅲ 「Aさんの所有財産に占めるX社株式の割合が高いため、X社株式を中心に多くの財産を長男Cさんが相続により取得した場合、長女Dさんの遺留分を侵害するおそれがあります。仮に、遺留分算定の基礎となる財産が4億円の場合、長女Dさんの遺留分の金額は( ④ )となります。代償交付金を確保するための必要な対策を講じておくことをお勧めします」
- イ
- 10
- ロ
- 20
- ハ
- 25
- ニ
- 2,000
- ホ
- 2,500
- ヘ
- 3,000
- ト
- 4,000万円
- チ
- 5,000万円
- リ
- 1億円
- ヌ
- 資本金等の額
- ル
- 利益金額
解答・解説を表示
解答
① ル、② ホ、③ ロ、④ チ
解説
非上場株式の評価において大会社は原則として類似業種比準方式を用い、配当・利益・純資産の3要素を比準します。事業承継で利用される相続時精算課税は特別控除2,500万円・超過分20%税率です。また遺留分は配偶者・子がある場合は全体の1/2となり各人の法定相続分に応じて按分されます。
解き方
- 類似業種比準価額の計算要素を確認し、1株当たりの配当金額、純資産価額とともに比準される要素(利益金額)を特定する。
- 相続時精算課税制度の特別控除限度額(2,500万円)および超過分の適用税率(20%)を確認する。
- 法定相続分(妻1/2、長男1/4、長女1/4)と全体の遺留分割合(1/2)から長女の遺留分割合(1/8)を求め、基礎財産4億円に乗じて遺留分額を計算する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ル
- 類似業種比準方式における比準要素は、1株当たりの「配当金額」「利益金額」「純資産価額(簿価)」の3要素です。したがって空欄①には「ル(利益金額)」が入ります。
- 小問 ②:ホ
- 相続時精算課税制度における特別控除の限度額は、同一の特定贈与者からの贈与につき累計で2,500万円となります。したがって空欄②には「ホ(2,500)」が入ります。
- 小問 ③:ロ
- 相続時精算課税制度では、累計贈与額のうち特別控除額2,500万円を超えた部分に対して一律20%の税率で贈与税が課されます。したがって空欄③には「ロ(20)」が入ります。
- 小問 ④:チ
- 相続人が配偶者と子の場合、全体の総遺留分は財産の2分の1です。長女Dさんの法定相続分は4分の1(1/2×1/2)であるため、長女Dさんの遺留分割合は「1/2×1/4=8分の1」となります。遺留分算定の基礎となる財産が4億円の場合、4億円×1/8=5,000万円となります。したがって空欄④には「チ(5,000万円)」が入ります。
覚えるポイント
- 類似業種比準価額の3つの比準要素は「配当金額」「利益金額」「純資産価額(簿価)」である。
- 相続時精算課税の特別控除額は2,500万円、超過部分の税率は一律20%である。
- 兄弟姉妹以外の法定相続人の総遺留分割合は原則1/2であり、各人の遺留分は「総遺留分×法定相続分」で算出する。
間違えやすいところ
- 遺留分の計算で、法定相続分の割合そのものを掛けてしまい、全体の遺留分割合(1/2)を掛け忘れるミスが多い。
- 類似業種比準価額の比準要素に「資本金」や「売上高」が使われると勘違いしやすいので注意が必要である。
出題の前提:2018年4月1日現在施行の法令等(相続税法、租税特別措置法、民法)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2018年9月 2級 実技 損保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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