日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
特別支給の老齢厚生年金と高年齢雇用継続給付
公的年金・社会保険 · 特別支給の老齢厚生年金 / 在職老齢年金 / 高年齢雇用継続基本給付金
公的年金制度における65歳未満の老齢給付および高年齢雇用継続基本給付金に関する次の文章の空欄①〜④に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 Ⅰ 「昭和33年8月生まれの男性であるAさんは、原則として、( ① )歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。Aさんが60歳以後も厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務した場合は、( ① )歳到達時における厚生年金保険の被保険者記録を基に年金額が計算されます。なお、( ① )歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務し、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が( ② )万円(平成29年度の支給停止調整開始額)を超える場合は、特別支給の老齢厚生年金の一部または全部が支給停止となります」 Ⅱ 「60歳以後の各月に支払われる賃金額が、60歳到達時の賃金月額の( ③ )%相当額を下回る場合、雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金が支給されます。高年齢雇用継続基本給付金の額は、支給対象月ごとに賃金額の低下率に応じて算定されますが、賃金額が60歳到達時の賃金月額の61%相当額を下回る場合、当該金額は賃金額の( ④ )%に相当する額になります。なお、厚生年金保険の被保険者が特別支給の老齢厚生年金と高年齢雇用継続基本給付金を同時に受給する場合、特別支給の老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みによる支給調整に加えて、毎月、標準報酬月額の6%を上限に支給停止されます」 〈数値群〉 イ.10 ロ.15 ハ.25 ニ.28 ホ.46 ヘ.62 ト.63 チ.64 リ.70 ヌ.75 ル.80
- イ
- 10
- ロ
- 15
- ハ
- 25
- ニ
- 28
- ホ
- 46
- ヘ
- 62
- ト
- 63
- チ
- 64
- リ
- 70
- ヌ
- 75
- ル
- 80
解答・解説を表示
解答
① ト、② ニ、③ ヌ、④ ロ
解説
厚生年金保険法における特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は生年月日および性別に応じて段階的に引き上げられており、在職中は賃金と年金の合計額に応じて支給停止が行われます。また雇用保険法では、60歳以後の賃金低下を補填する高年齢雇用継続給付が設けられています。
解き方
- Aさんの生年月日(昭和33年8月22日・男性)から報酬比例部分の支給開始年齢(63歳)を特定する。
- 60歳台前半の在職老齢年金における平成29年度の支給停止調整開始額(28万円)を確認する。
- 高年齢雇用継続給付の支給基準となる賃金低下率の境界(75%)および最大給付率が適用される水準(61%未満で賃金の15%)を当てはめる。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- 昭和33年8月生まれの男性の場合、報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は63歳となります。
- 小問 ②:ニ
- 60歳台前半の在職老齢年金では、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が支給停止調整開始額である28万円(平成29年度基準)を超えると、年金の一部または全部が支給停止されます。
- 小問 ③:ヌ
- 高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以後の各月に支払われる賃金が、60歳到達時の賃金月額の75%未満(下回る)に低下した被保険者に対して支給されます。
- 小問 ④:ロ
- 高年齢雇用継続基本給付金において、賃金が60歳到達時賃金の61%未満に低下したときは、各月の賃金額の最大15%に相当する額が支給されます。
覚えるポイント
- 男性の報酬比例部分支給開始:昭和32年4月2日〜昭和34年4月1日生は63歳
- 低在老(60〜64歳)の支給停止調整開始額は総報酬月額相当額+基本月額で28万円
- 高年齢雇用継続給付は75%未満で支給され、61%未満で上限の15%支給
間違えやすいところ
- 特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢について、男性と女性(5年遅れ)のスケジュールを取り違える。
- 高年齢雇用継続給付の支給停止(年金側)上限が標準報酬月額の6%である点と、給付金本体の上限15%を混同する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行法令(平成29年度基準)
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
定年退職に伴う公的年金・健康保険の取扱い
公的年金・社会保険 · 国民年金の種別変更 / 健康保険任意継続被保険者 / 厚生年金保険の加入効果
Aさんが定年退職してX社の継続雇用制度を利用しなかった場合の社会保険等の取扱いに関する次の記述①~③について、それぞれ適切・不適切を判定しなさい。 ① 「Aさんが定年退職によって、厚生年金保険の被保険者でなくなった場合、妻Bさんは、60歳になるまでの間、国民年金の第1号被保険者として国民年金の保険料を納付しなければなりません」 ② 「Aさんは、一定の期間内に所定の手続を行うことにより、退職日の翌日から最長で2年間、全国健康保険協会管掌健康保険に任意継続被保険者として加入することができ、妻Bさんを健康保険の被扶養者とすることができます。その場合、任意継続被保険者の保険料は、事業主と被保険者の折半となります」 ③ 「仮に、妻Bさんが週の勤務時間を増やすなどして、厚生年金保険の被保険者となった場合は、厚生年金保険の保険料の負担が生じますが、妻Bさん自身の将来の年金額を増やすことができます」
- ①
- Aさんが退職して厚生年金保険の被保険者資格を喪失した場合、被扶養配偶者である妻Bさんは60歳到達まで第1号被保険者への種別変更手続きを行い保険料を納付する必要がある。
- ②
- 健康保険の任意継続被保険者となった場合、保険料は退職前と同様に事業主と被保険者の折半負担となる。
- ③
- 妻Bさんが勤務時間を延長等して厚生年金保険に加入した場合、保険料負担が生じるものの自身の将来の年金額(老齢厚生年金)を増額できる。
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ○
解説
公的医療保険および公的年金制度において、退職により被保険者区分が変更されると被扶養者の資格要件も連動して変動します。任意継続制度では事業主負担が消失し全額自己負担となる一方、自ら厚生年金に加入すると保険料負担に伴い将来の老齢年金が増加します。
解き方
- 配偶者が第2号被保険者の資格を喪失した場合における第3号被保険者の種別変更義務(第1号被保険者への移行と保険料納付)を確認する。
- 健康保険の任意継続被保険者制度における保険料負担割合(全額自己負担であり労使折半ではない点)を照合する。
- パート職員等が自ら厚生年金保険の被保険者となった場合の保険料負担と年金給付額への反映関係を判定する。
- 選択肢 ①正解
- 夫が第2号被保険者でなくなることに伴い、60歳未満の被扶養配偶者は第1号被保険者への種別変更が必要となるため適切です。
- 選択肢 ②不正解
- 任意継続被保険者の保険料は事業主との折半ではなく全額自己負担となるため不適切です。
- 選択肢 ③正解
- 厚生年金保険に加入して保険料を納めることで将来の報酬比例部分が増加するため適切です。
答えの内訳
- ①:○
- 国民年金の第3号被保険者は「第2号被保険者に扶養されている配偶者」であるため、夫のAさんが退職して第2号被保険者でなくなると、妻のBさんは第3号被保険者の資格を喪失し、60歳になるまで第1号被保険者への種別変更届を提出して保険料を納付しなければなりません。
- ②:×
- 健康保険の任意継続被保険者の保険料は、退職により事業主負担がなくなるため、全額を被保険者自身が自己負担しなければなりません(労使折半ではありません)。
- ③:○
- 妻Bさんが勤務時間を増やして自ら厚生年金保険の被保険者となった場合、厚生年金保険料の負担は生じますが、加入期間と報酬に応じた報酬比例部分が上乗せされ、将来受給する老齢厚生年金額を増やすことができます。
覚えるポイント
- 第2号被保険者の資格喪失に伴い被扶養配偶者は第1号被保険者へ切り替えが必要
- 健康保険の任意継続被保険者の保険料は全額自己負担(最長2年間)
- 厚生年金保険に加入すると報酬比例部分が加算され将来の老齢厚生年金が増加
間違えやすいところ
- 退職後も妻が第3号被保険者のままでいられると誤認する。
- 在職中の社会保険料と同様に任意継続の保険料も労使折半であると思い込む。
出題の前提:2017年10月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の受給額の計算(老齢基礎年金・老齢厚生年金)
年金・社会保険 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 加給年金
設例のAさん(昭和33年8月22日生まれ)が65歳から原則として受給できる①老齢基礎年金の年金額、および②老齢厚生年金の年金額を計算しなさい。なお、年金額は平成29年度価額に基づき、端数処理は円未満四捨五入とすること。Aさんの公的年金加入歴は20歳から22歳までの24カ月間が国民年金未加入(未加入期間32月のうち20歳以降は24月分)、22歳から60歳までの448月が厚生年金保険(平成15年3月以前が264月・平均標準報酬月額30万円、平成15年4月以後が184月・平均標準報酬額50万円)である。生計維持関係にある妻Bさん(昭和38年6月17日生まれ)がいる。
解答・解説を表示
解答
① 727,347円、② 1,459,005円
解説
65歳到達時の公的年金給付において、老齢基礎年金は20歳以上60歳未満の保険料納付済月数(厚生年金加入期間を含む)に応じて計算されます。老齢厚生年金は報酬比例部分に加え、定額部分と基礎年金相当額の差額を埋める経過的加算額、および厚生年金被保険者期間が20年以上あり生計を維持している65歳未満の配偶者がいる場合に加給年金額が加算されます。
解き方
- 老齢基礎年金の月数を算定:20歳から60歳までの厚生年金加入期間である448月(264月+184月)を納付済月数とし、779,300円×448/480=727,346.666…円より四捨五入して727,347円を求めます。
- 老齢厚生年金の報酬比例部分を算定:平成15年3月以前分は300,000円×(7.125/1,000)×264月=564,300円、平成15年4月以後分は500,000円×(5.481/1,000)×184月=504,252円、合計で1,068,552円となります。
- 経過的加算額を算定:1,625円×448月-779,300円×(448/480)=728,000円-727,346.666…円=653.333…円より四捨五入して653円となります。
- 加給年金額の加算判定と合計:被保険者期間が448月(20年以上)あり、65歳未満の配偶者Bさん(昭和38年生)がいるため加給年金額389,800円が加算され、合計で1,068,552円+653円+389,800円=1,459,005円を求めます。
答えの内訳
- ①:727,347円
- 老齢基礎年金の額は、満額779,300円×(保険料納付済月数448月/480月)=727,346.666…円となり、円未満を四捨五入して727,347円となります。
- ②:1,459,005円
- 老齢厚生年金は、報酬比例部分1,068,552円(平成15年3月以前分564,300円+平成15年4月以後分504,252円)に経過的加算653円(728,000円-727,346.666…円)および配偶者加給年金額389,800円を合算して、合計1,459,005円となります。
覚えるポイント
- 厚生年金の被保険者期間が20年以上あり、65歳到達時に生計を維持する65歳未満の配偶者がいる場合は加給年金が加算されます。
- 経過的加算は厚生年金の定額部分と老齢基礎年金相当額との差額を調整するもので、20歳以上60歳未満の被保険者月数を用いて算出します。
間違えやすいところ
- 老齢基礎年金の分子に20歳前の未加入期間を含めてしまったり、満額をそのまま答えてしまったりする誤り。
- 経過的加算の端数処理や、加給年金額の加算条件を満たしているにもかかわらず加算を忘れてしまうミス。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(年金額は平成29年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の見直し(転換・収入保障特約・リビング・ニーズ特約)
リスク管理 · 生命保険の見直し / 契約転換制度 / 収入保障特約 / リビング・ニーズ特約
設例において、FPのMさんがAさんに対して説明した生命保険の見直し等に関する記述①~③の正誤を判定しなさい。①医療・介護保障の見直しにあたり、他社商品への新規加入だけでなく既契約を転換する方法も比較検討すべきであるとする記述。②収入保障特約は年金形式に代えて一時金で受取ができないとする記述。③リビング・ニーズ特約により、いずれの契約でも余命6カ月以内と判断された場合に最大3,000万円まで請求できるとする記述。
- ①
- Aさんが提案を受けた生命保険は医療保障・介護保障が充実していると思いますので、X生命保険の保険に加入することは検討に値すると思います。しかし、保障の見直しは、既契約を転換して新しい保障内容に変更する方法もありますので、Y生命保険の保障見直しの提案を受けたうえで、判断したほうがよいと思います。
- ②
- 収入保障特約の初年度の年金受取総額と定期保険特約の一時金の額が同額の場合、収入保障特約の保険料は定期保険特約の保険料に比べて割安となりますが、収入保障特約は受取時に年金に代えて一時金で受け取ることができませんので、年金受取人である妻Bさんの意向を聞いて見直しを検討するほうがよいと思います。
- ③
- Aさんが加入している生命保険と同様、Aさんが提案を受けた生命保険にもリビング・ニーズ特約が付加されており、いずれの契約も余命6カ月以内と判断された場合に最大で3,000万円を請求することができます。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
生命保険の見直しでは、解約新規だけでなく転換等の選択肢も含めて比較検討します。収入保障保険・特約は一時金受取の選択肢も備えており、リビング・ニーズ特約の請求限度額は最高3,000万円であるものの主契約等の死亡保険金額の範囲内に限られます。
解き方
- 記述①の確認:保険の見直し手法として下取り(転換制度)の提案を比較することは適切であるため○と判断します。
- 記述②の確認:収入保障特約は年金受給に代えて一時金受取を選択することができるため×と判断します。
- 記述③の確認:リビング・ニーズ特約は最高3,000万円かつ死亡保険金額の範囲内での請求となるため、死亡保障額が小さい提案内容では3,000万円請求できず×と判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 生命保険の見直し方法には、現在の契約を解約して他社で新規加入するだけでなく、現在の契約の積立部分等を下取りにして新たな保険を契約する転換制度もあるため、記述の内容は適切です。
- 小問 ②:×
- 収入保障特約(または収入保障保険)は、年金形式で受け取るほか、受取人の希望により将来の年金現価を一括して一時金として受け取ることも可能であるため不適切です。
- 小問 ③:×
- リビング・ニーズ特約の前払請求上限額は被保険者1人につき通算3,000万円ですが、指定できるのは死亡保険金額の範囲内です。提案を受けたX生命保険の死亡保障額は合計600万円程度であり、3,000万円を請求することはできないため不適切です。
覚えるポイント
- 収入保障保険(特約)は年金形式だけでなく一時金受取も選択可能です(一時金の場合は受取総額が減少します)。
- リビング・ニーズ特約の支払限度額は被保険者1人につき通算3,000万円かつ「死亡保険金額の範囲内」です。
間違えやすいところ
- 収入保障保険は年金受取しかできないと思い込んでしまう誤り。
- リビング・ニーズ特約の限度額3,000万円という規定だけを覚えてしまい、死亡保険金額を超える金額は請求できない点を見落とすミス。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
医療保障・介護保障の見直しに関する留意点
リスク管理 · 就労不能保障 / がん保障 / 特定疾病保障
MさんがAさんに対して説明した、医療保障および介護保障の見直しに関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 ① 「Aさんが病気やケガ等で重度の障害状態となって働けなくなった場合の保障を検討する際には、保険金額に加え、保険金等の支払事由が保険会社独自のものか、公的介護保険等の社会保障制度と連動しているものか等、どのような場合に保険金・給付金が支払われるか、加入前に確認しておきましょう」 ② 「最近では、がんの治療(抗がん剤治療等)は、入院を必要とする治療に加え、退院後の通院による治療で行われる場合が多くなっています。そのため、がん保障を検討する場合は、入院日額やがん診断給付金の内容に加え、退院後の通院保障の有無や内容を確認することが大切です」 ③ 「がん等の重度疾病については、再発のリスクも高く、治療期間も長期にわたるケースがあります。そのため、重度疾病の保障を準備する際には、再発時の保障の有無や保険金等が支払われる疾病の種類を確認する必要があります」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ○
解説
医療・介護・重度疾病に対する保険を見直す際は、近年の医療実態(通院治療の増加・短期入院化)や公的保障制度との連動性、支払要件や再発時の保障条件を総合的に比較検討することが重要です。
解き方
- 就労不能・重度障害保障における支払事由(独自基準か公的制度連動か)を確認し、記述①の妥当性を判定する。
- がん治療の実態(通院治療へのシフト)を踏まえた通院保障の必要性を確認し、記述②の妥当性を判定する。
- 重度疾病保障における対象疾病の範囲や再発時の複数回支払要件の必要性を確認し、記述③の妥当性を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 就労不能や重度障害を保障する商品では、保険金等の支払事由が保険会社所定の独自基準によるものと、公的介護保険や障害等級などの社会保障制度に連動するものがあるため、事前の確認が重要です。
- 小問 ②:○
- 近年の医療事情では入院日数が短期化し、外来・通院による抗がん剤治療が増加しているため、入院保障だけでなく通院治療に対する保障の有無や給付日数・限度額の確認が欠かせません。
- 小問 ③:○
- 重度疾病(特定疾病)は再発や長期療養のリスクがあるため、保障対象となる疾病の範囲に加えて、診断給付金が複数回(再発時)支払われる条件などを確認しておく必要があります。
覚えるポイント
- 医療保険の保障内容は入院給付金だけでなく通院保障や一時金給付の有無も重要
- 特定疾病保障では複数回支払の特約や支払事由となる状態要件を必ず確認する
間違えやすいところ
- すべての就労不能保険や介護特約が公的介護保険の要介護度に完全連動していると思い込まないこと
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険料控除と収入保障保険の税務
リスク管理 · 新生命保険料控除 / 収入保障保険 / 年金受給権の課税関係
MさんがAさんに対して説明した、提案を受けた生命保険の課税関係に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 Ⅰ 「支払保険料のうち、終身保険、定期保険特約および収入保障特約に係る保険料は一般の生命保険料控除の対象となります。他方、身体障害保障特約、介護保障特約および重度疾病保障特約等に係る保険料は介護医療保険料控除の対象となります。それぞれの適用限度額は、所得税で( ① )円、住民税で( ② )円です」 Ⅱ 「Aさんが死亡した場合、収入保障特約から受け取る年金額について、当該年金受給権が『定期金に関する権利の評価』に基づき評価されて相続税の課税対象となります。なお、当該年金受給権は、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることが( ③ )。その後、妻Bさんが受け取る年金は、課税部分と非課税部分に振り分けられ、課税部分は( ④ )として総合課税の対象となります」
- イ
- 28,000
- ロ
- 35,000
- ハ
- 40,000
- ニ
- 50,000
- ホ
- できます
- へ
- できません
- ト
- 雑所得
- チ
- 一時所得
- リ
- 配当所得
解答・解説を表示
解答
① ハ ② イ ③ ホ ④ ト
解説
平成24年以後に契約した保険料控除は新制度(所得税各4万円・住民税各2.8万円が上限)が適用されます。また、死亡保険金を年金形式で受け取る場合の年金受給権は相続税の対象(非課税枠の適用可)となり、その後の各年の受取年金は二重課税を排除したうえで課税部分が雑所得となります。
解き方
- 新契約の生命保険料控除における各控除枠の所得税限度額(40,000円)および住民税限度額(28,000円)を当てはめる。
- 被保険者死亡に伴い相続人が取得する年金受給権に対して、死亡保険金の非課税規定が適用できることを確認する。
- 年金受取時の課税部分が該当する所得区分(雑所得・総合課税)を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 新制度の生命保険料控除における所得税の各控除(一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除)の最高限度額はそれぞれ40,000円です。
- 小問 ②:イ
- 新制度の生命保険料控除における住民税の各控除(一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除)の最高限度額はそれぞれ28,000円です。
- 小問 ③:ホ
- 被保険者の死亡により相続人が取得した収入保障保険の年金受給権はみなし相続財産となるため、死亡保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)の適用を受けることができます。
- 小問 ④:ト
- 相続税の課税対象となった年金受給権に基づいて2年目以降に受給する年金のうち、課税部分(運用益相当分)は雑所得として毎年の所得税(総合課税)の対象となります。
覚えるポイント
- 新制度の生命保険料控除の上限は所得税各4万円(計12万円)、住民税各2.8万円(計7万円)
- 収入保障保険の年金受給権には死亡保険金の非課税枠が使え、2年目以降の年金課税部分は雑所得となる
間違えやすいところ
- 旧制度の限度額(所得税5万円・住民税3.5万円)と新制度の限度額(所得税4万円・住民税2.8万円)を混同しやすい
- 年金受領時の課税部分を一時所得と誤認しやすい
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の金額 / 勤続年数の端数切上げ
Aさんが役員在任期間(勤続年数)30年3カ月でX社を退任し、X社から役員退職金として8,000万円の支給を受けた場合における、退職所得の金額を算出するための計算式中の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、他に退職手当等の収入はなく、障害者になったことによる退職ではないものとする。 〈退職所得控除額〉 800万円+( ① )万円×(□□□年-20年)=( ② )万円 〈退職所得の金額〉 (8,000万円-( ② )万円)×△△△=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 70(万円) ② 1,570(万円) ③ 3,215(万円)
解説
退職所得控除額の計算において、勤続年数に1年未満の端数がある場合は切り上げて1年として扱います。勤続年数が20年以下の期間は年40万円、20年を超える期間は年70万円で計算し、退職所得の金額は原則として控除後の残額の2分の1となります。
解き方
- 勤続年数30年3カ月の端数を1年に切り上げ、勤続年数を31年と判定する。
- 退職所得控除額の算式「800万円+70万円×(31年-20年)」に当てはめて1,570万円を算出する。
- 収入金額8,000万円から控除額1,570万円を差し引き、2分の1を乗じて退職所得の金額3,215万円を算出する。
答えの内訳
- ①:70
- 勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額の計算式は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」であるため、空欄①には「70」が入ります。
- ②:1,570
- 役員在任期間30年3カ月は端数を切り上げて31年として計算します。退職所得控除額=800万円+70万円×(31年-20年)=800万円+770万円=1,570万円となります。
- ③:3,215
- 退職所得の金額=(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2より、(8,000万円-1,570万円)×1/2=6,430万円×1/2=3,215万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月数にかかわらず切り上げて1年として計算する。
- 勤続20年超の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」。
間違えやすいところ
- 30年3カ月の端数3カ月を切り捨てて30年として計算してしまう誤り。
- 控除後の残額に2分の1を掛け忘れて退職所得の金額としてしまう計算ミス。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人契約の長期平準定期保険解約時における経理処理(仕訳)
リスク管理 · 長期平準定期保険 / 解約返戻金 / 資産計上額(前払保険料) / 益金算入(雑収入)
設例の生命保険を現時点で解約した場合のX社の経理処理(仕訳)について、下記の条件を基に空欄①~③に入る数値を求めなさい。 <条件> ・X社が解約時までに支払った保険料の総額は3,150万円である。 ・上記以外の条件は考慮しないものとする。 <解約返戻金受取時のX社の経理処理(仕訳)> 借方:現金・預金 ( ① )万円 貸方:前払保険料 ( ② )万円、雑収入 ( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 2,700(万円) ② 1,575(万円) ③ 1,125(万円)
解説
法人が契約者および死亡保険金受取人となっている長期平準定期保険では、保険期間の前半6割相当期間において支払保険料の2分の1を資産(前払保険料)計上します。解約時には、入金された解約返戻金を現金・預金として計上し、これまで積み立ててきた前払保険料を取り崩し、その差額を雑収入(または雑損失)として計上します。
解き方
- 資料より現時点の解約返戻金額が2,700万円であることを確認し、借方の現金・預金とする。
- 支払保険料総額3,150万円の2分の1である1,575万円を算出し、貸方の前払保険料の取崩額とする。
- 解約返戻金2,700万円から前払保険料1,575万円を控除した差額1,125万円を貸方の雑収入として算出する。
答えの内訳
- ①:2,700
- 借方の現金・預金には、設例の資料に記載された現時点の解約返戻金額である「2,700(万円)」が計上されます。
- ②:1,575
- 平成15年契約の長期平準定期保険では、保険料支払時に支払保険料の2分の1を前払保険料として資産計上しているため、貸方の前払保険料の取崩額は3,150万円×1/2=1,575万円となります。
- ③:1,125
- 受け取った解約返戻金額と取り崩す前払保険料との差額が雑収入として益金算入されるため、2,700万円-1,575万円=1,125万円となります。
覚えるポイント
- 長期平準定期保険の保険料は前半6割期間で1/2資産計上・1/2損金算入。
- 解約返戻金受取時の差額(解約返戻金-前払保険料)は雑収入(益金)となる。
間違えやすいところ
- 支払保険料総額の全額または解約返戻金全額を前払保険料として取り崩してしまう誤り。
- 単純返戻率や65歳時点の数値を誤って使用してしまうミス。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法人税法基本通達等の税制に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人契約の生命保険の見直しと活用
リスク管理 · 法人保険の見直し / 払済保険 / 生前給付保険 / 定期保険の活用
法人が契約者・受取人となっている生命保険の見直しに関するFPのアドバイスについて、記述①~④の正誤の組み合わせとして最も適切なものを判定しなさい。
- ①
- 解約をせず払済終身保険に変更した場合でも、65歳時の解約返戻金額は契約時に確定している4,800万円が確保される。
- ②
- 払済終身保険に変更した場合、変更時点の解約返戻金相当額と加入時からの払込保険料累計額との差額を、変更日の属する事業年度の益金または損金に算入する。
- ③
- 経営者の長期不在等による業況悪化に備え、重い病気等になった場合に法人が一時金を受け取れる生前給付タイプの生命保険に新規加入することも検討事項となる。
- ④
- 死亡時の事業保障資金確保のみを目的とする場合、保険期間が短い定期保険に見直す方法があり、割安な保険料で高額保障を準備できるがキャッシュバリューは期待できない。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○ ④ ○
解説
法人契約の生命保険を払済保険に変更した場合、以後の保険料払込みを中止して変更時の解約返戻金を原資に保障を買い取るため、保障額や将来の返戻金は減少します。また税務上は変更時解約返戻金額と既往の資産計上額との差額を損益処理します。
解き方
- 払済保険への変更に伴う将来の返戻金額への影響を正確に確認する。
- 払済保険変更時の税務上の経理処理(資産計上額との差額計上)を確認する。
- 法人のリスクマネジメントにおける生前給付保障および短期定期保険の特性を検証する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 払済保険への変更は以後の保険料払込みを中止し、その時点の解約返戻金を原資として同種類の保険等に変更する手続きであるため、以後の解約返戻金は当初の予定額(4,800万円)を下回ります。
- 小問 ②:×
- 法人が生命保険を払済保険へ変更した際は、変更時の解約返戻金相当額とそれまでに計上されていた「資産計上額(前払保険料等)」との差額を益金または損金に算入します。「払込保険料累計額」との差額ではありません。
- 小問 ③:○
- 経営者が重度の疾患や要介護状態となり就労不能となった場合、法人の収益低下や資金繰り悪化が想定されるため、法人を受取人とする三大疾病保障保険等の生前給付型保険の導入は有効なリスク対策となります。
- 小問 ④:○
- 役員の死亡退職金・弔慰金や事業保障資金の確保に特化する場合、掛け捨てとなる短期定期保険を利用することで、低コストで高額な保障を確保できますが、解約返戻金等の資産形成効果はありません。
覚えるポイント
- 払済保険に変更した際の経理処理は「解約返戻金相当額」と「資産計上額」の差額を益金または損金に算入する。
間違えやすいところ
- 払済保険変更時の損益計上で、「資産計上額」と「払込保険料累計額」を取り違えないよう注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税における青色申告制度の特典
タックスプランニング · 青色申告特別控除 / 帳簿書類の保存期間 / 純損失の繰越控除
所得税における青色申告制度に関する文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、指定の数値群から選んだ記号の組み合わせを答えなさい。 Ⅰ 「事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することにより、事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① )万円を控除することができます。なお、青色申告者が備え付けるべき決算関係書類などの帳簿書類は、原則として( ② )年間保存しなければなりません」 Ⅱ 「青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の( ③ )年間の繰越控除、純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について低価法を選択できることなどが挙げられます」 〈数値群〉 イ.2 ロ.3 ハ.7 ニ.9 ホ.10 ヘ.11 ト.38 チ.55 リ.65
- イ
- 2
- ロ
- 3
- ハ
- 7
- ニ
- 9
- ホ
- 10
- ヘ
- 11
- ト
- 38
- チ
- 55
- リ
- 65
解答・解説を表示
解答
① リ ② ハ ③ ロ
解説
所得税の青色申告制度は、適正な記帳慣行を確立するために様々な税制上の特典(青色申告特別控除最高65万円、純損失の3年間繰越控除、青色専従者給与等)を認める制度です。特典の適用には帳簿書類の7年間保存などの要件を満たす必要があります。
解き方
- 複式簿記・期限内申告における青色申告特別控除の最高限度額(65万円)を特定する。
- 青色申告者の帳簿および決算関係書類の法定保存期間(原則7年間)を確認する。
- 青色申告者の特典である純損失の繰越控除期間(3年間)を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:リ
- 正規の簿記の原則(複式簿記)による記帳を行い、貸借対照表および損益計算書を添付して法定申告期限内に申告することで、青色申告特別控除として最高65万円(リ)が控除されます。
- 小問 ②:ハ
- 青色申告者が備え付けるべき総勘定元帳や仕訳帳などの帳簿、決算関係書類、現金預金取引等関係書類は、原則として7年間(ハ)保存する必要があります。
- 小問 ③:ロ
- 青色申告者の事業から生じた純損失の金額は、その損失が生じた年の翌年以後3年間(ロ)にわたって繰り越して各年分の所得金額から控除できます。
覚えるポイント
- 青色申告特別控除は最高65万円(複式簿記・期限内申告)、帳簿書類保存は原則7年間、純損失の繰越は3年間。
間違えやすいところ
- 簡易簿記による控除額(10万円)や白色申告の保存期間等と青色申告の特典を混同しないようにする。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金等の雑所得・金融類似商品・同居老親等に係る扶養控除
タックスプランニング · 雑所得 / 一時所得 / 扶養控除
個人事業主のAさん(62歳)の平成29年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 ① 「Aさんの場合、公的年金等の収入金額の合計額が70万円以下であるため、公的年金等に係る雑所得の金額は算出されません」 ② 「一時払養老保険の満期保険金に係る保険差益は、源泉分離課税の対象となりますので、確定申告をする必要はありません」 ③ 「母Cさんの合計所得金額は38万円以下となりますので、Aさんは母Cさんに係る扶養控除の適用を受けることができます。母Cさんに係る扶養控除の額は48万円となります」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
公的年金等控除は受給者の年齢(65歳未満は最低70万円、65歳以上は最低120万円)に応じて控除額が定められています。また、一時払養老保険の差益は契約から5年以内の差益のみ源泉分離課税とされ、5年超は一時所得となります。70歳以上の同居老親等に係る扶養控除額は58万円です。
解き方
- 公的年金等の収入金額(老齢厚生年金25万円+確定拠出年金40万円=65万円)と65歳未満の公的年金等控除最低額(70万円)を比較して雑所得が0円になることを確認する。
- 契約期間10年の一時払養老保険の満期保険金差益が一時所得(総合課税)に分類されることを判定する。
- 母Cさんの合計所得金額を計算して扶養控除の該否を判定し、同居老親等の扶養控除額が58万円であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 65歳未満の公的年金等控除額の最低額は70万円です。Aさんの公的年金等の収入金額は、特別支給の老齢厚生年金25万円と確定拠出年金の老齢給付金40万円の合計65万円であり、控除額70万円を下回るため、公的年金等に係る雑所得の金額は算出されません(0円となります)。したがって適切です。
- 小問 ②:×
- 保険期間が5年を超える一時払養老保険を満期まで保有して受け取った満期保険金に係る差益は、金融類似商品の源泉分離課税(20.315%)の対象ではなく、一時所得として総合課税の対象となり、原則として確定申告が必要です。したがって不適切です。
- 小問 ③:×
- 母Cさん(83歳)の収入は老齢基礎年金60万円と非課税である遺族厚生年金50万円のみであり、公的年金等控除額(65歳以上は最低120万円)を差し引いた合計所得金額は0円となり、扶養親族の要件(合計所得金額38万円以下)を満たします。しかし、母Cさんは70歳以上で同居している「同居老親等」に該当するため、控除額は48万円ではなく58万円となります。したがって不適切です。
覚えるポイント
- 65歳未満の公的年金等控除の最低額は70万円、65歳以上は120万円
- 一時払養老保険は保険期間5年以内(または5年以内解約)のみ源泉分離課税で、5年超満期は一時所得(総合課税)
- 同居老親等(70歳以上で同居している直系尊属)の扶養控除額は58万円(別居老親等は48万円)
間違えやすいところ
- 一時払養老保険を無条件に金融類似商品として源泉分離課税の対象と判断してしまう誤り
- 同居老親等の扶養控除額(58万円)と同居以外の老人扶養控除額(48万円)を取り違えるミス
出題の前提:2017年10月1日現在施行の所得税法および関係法令
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
平成29年分所得税の総所得金額および算出税額の計算
タックスプランニング · 一時所得 / 雑所得 / 配偶者控除 / 所得税額の計算
Aさんの平成29年分の所得税の算出税額を計算した表の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 ・事業所得の金額:3,000,000円 ・総所得金額に算入される一時所得の金額:( ① )円 ・雑所得の金額:( ② )円 ・(a)総所得金額:□□□円 ・所得控除の額の合計額:(b)2,100,000円(内訳:配偶者控除( ③ )円など) ・(c)課税総所得金額((a)-(b)):□□□円 ・(d)算出税額((c)に対する所得税額):( ④ )円
解答・解説を表示
解答
① 500,000(円) ② 400,000(円) ③ 380,000(円) ④ 90,000(円)
解説
総所得金額は総合課税の対象となる各所得を合算して求めます。一時所得は特別控除(最高50万円)を差し引いた後の金額の2分の1を算入します。総所得金額から所得控除を差し引いて課税総所得金額(1,000円未満切捨て)を算出し、超過累進税率の速算表を適用して税額を計算します。
解き方
- 一時払終身保険の解約返戻金差益(100万円)と一時払養老保険の満期保険金差益(50万円)を合算し、特別控除50万円を引いて2分の1を乗じ、総所得金額算入額を求める(500,000円)。
- 公的年金等の雑所得(0円)と個人年金保険の雑所得(収入100万円-経費60万円=400,000円)を合算して雑所得の金額を求める(400,000円)。
- 妻Bさんの給与所得が35万円で合計所得金額38万円以下であることを確認し、一般の配偶者控除額380,000円を特定する。
- 事業所得300万円、一時所得50万円、雑所得40万円を合算して総所得金額390万円を算出し、所得控除210万円を差し引いて課税総所得金額180万円を求める。
- 課税総所得金額180万円に税率5%を乗じて所得税の算出税額90,000円を計算する。
答えの内訳
- ①:500,000
- 一時所得の対象となるのは、一時払終身保険の解約返戻金差益(1,100万円-1,000万円=100万円)と、一時払養老保険の満期保険金差益(550万円-500万円=50万円)の合計150万円です。一時所得の金額=150万円-特別控除50万円=100万円。総所得金額に算入される金額はその2分の1であるため、1,000,000円×1/2=500,000円となります。
- ②:400,000
- 公的年金等に係る雑所得は、収入合計65万円から控除額70万円を引いて0円です。生命保険契約に基づく個人年金保険に係る雑所得は、年金収入100万円-必要経費60万円=400,000円となります。したがって雑所得の合計額は400,000円です。
- ③:380,000
- 妻Bさん(60歳)の給与収入は100万円であり、給与所得控除額65万円を差し引いた給与所得金額は35万円(38万円以下)となるため、控除対象配偶者に該当します。妻Bさんは70歳未満(一般控除対象配偶者)であるため、配偶者控除の額は380,000円となります。
- ④:90,000
- 総所得金額(a)=事業所得300万円+一時所得50万円+雑所得40万円=390万円。所得控除合計(b)=210万円。課税総所得金額(c)=390万円-210万円=180万円。速算表より、課税総所得金額が195万円以下の場合の税率は5%、控除額は0円であるため、算出税額(d)=1,800,000円×5%=90,000円となります。
覚えるポイント
- 一時所得の総所得金額算入額=(総収入金額-支出金額-特別控除最高50万円)×1/2
- 年金形式の個人年金保険は公的年金等以外の雑所得として(総収入金額-必要経費)で計算する
- 課税総所得金額195万円以下の税率は5%(控除額なし)
間違えやすいところ
- 一時所得の特別控除を引いた後に2分の1を掛けるのを忘れて100万円を算入してしまうミス
- 一時払養老保険の満期差益を一時所得に含めずに計算してしまうミス
- 妻Bさん(60歳)の配偶者控除に老人控除対象配偶者の控除額を適用してしまうミス
出題の前提:2017年10月1日現在施行の所得税法および関係法令
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額・申告期限および相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 相続税の申告期限 / 相続税の総額の計算
母Cさんの相続に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 Ⅰ 「母Cさんの相続における遺産に係る基礎控除額は、( ① )万円です。課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額を上回りますので、相続税の申告が必要となります。相続税の申告書の提出期限は、相続の開始のあったことを知った日の翌日から( ② )カ月以内となります」 Ⅱ 「仮に、課税価格の合計額を1億3,000万円として計算した場合の相続税の総額は、( ③ )万円となります。相続により取得する預貯金および死亡保険金の額が相続税の総額を超えていますので、Aさんおよび妹Bさんがご自身の預貯金等から納税資金を捻出する必要はないと思われます」 <資料>相続税の速算表(一部抜粋) [法定相続分に応ずる取得金額:税率:控除額] 1,000万円以下:10%:- 1,000万円超3,000万円以下:15%:50万円 3,000万円超5,000万円以下:20%:200万円 5,000万円超1億円以下:30%:700万円 1億円超2億円以下:40%:1,700万円
解答・解説を表示
解答
① 4,200 ② 10 ③ 1,360
解説
相続税の総額は、課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を控除して課税遺産総額を求め、それを民法に定める法定相続分に従って按分した各取得金額に速算表の税率を乗じて各税額を算出し、それらを合算して求めます。
解き方
- 法定相続人の数を確認し、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を算出する。
- 課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、法定相続分に応じて按分する。
- 法定相続分に応じた各取得金額に税率・控除額を適用して各人の税額を算出し、合算して相続税の総額を導く。
答えの内訳
- ①:4,200
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。本問の法定相続人は長男Aさんと長女妹Bさんの2人であるため、3,000万円+600万円×2人=4,200万円となります。
- ②:10
- 相続税の申告書の提出および納付の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内です。
- ③:1,360
- 課税価格の合計額1億3,000万円から基礎控除額4,200万円を差し引いた課税遺産総額は8,800万円となります。これを法定相続分(Aさん1/2、Bさん1/2)で按分すると、それぞれ4,400万円です。速算表(3,000万円超5,000万円以下:税率20%、控除額200万円)を適用すると、各人の算出税額は4,400万円×20%-200万円=680万円となります。これらを合計した相続税の総額は、680万円+680万円=1,360万円となります。
覚えるポイント
- 基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 相続税の申告・納期限=相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内
間違えやすいところ
- 法定相続人の数に受取人や相続放棄者の扱いを誤ること
- 課税遺産総額を実際の遺産分割割合ではなく必ず「法定相続分」で按分して税額を算出すること
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
準確定申告の期限・貸付事業用宅地等の小規模宅地特例・死亡保険金の非課税限度額
相続・事業承継 · 準確定申告の期限 / 小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等) / 生命保険金の非課税限度額
母Cさんの相続等に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 Ⅰ 「賃貸アパートを経営していた母Cさんが平成30年分の所得税および復興特別所得税について確定申告書を提出しなければならない場合に該当するとき、相続人は、原則として、相続の開始のあったことを知った日の翌日から( ① )カ月以内に準確定申告書を提出しなければなりません」 Ⅱ 「Aさんが母Cさんの貸付事業を相続税の申告期限までに承継する等の所定の要件を満たせば、賃貸アパートの敷地は、貸付事業用宅地等として『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることができます。Aさんが当該敷地について本特例の適用を受けた場合に減額される金額は、( ② )万円となります」 Ⅲ 「Aさんが受け取る死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。Aさんが受け取った死亡保険金のうち、相続税の課税価格に算入される金額は、( ③ )万円となります」
解答・解説を表示
解答
① 4 ② 1,000 ③ 200
解説
被相続人の死亡に伴う申告手続きには期限が定められており、所得税の準確定申告は4カ月以内です。また、貸付事業用宅地等に対する小規模宅地等の特例では200㎡を上限に50%評価減が行われ、生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が設けられています。
解き方
- 被相続人の死亡に伴う所得税の準確定申告期限(4カ月以内)を確認する。
- 貸付事業用宅地等の限度面積(200㎡)および減額割合(50%)を用いて敷地全体の評価額から減額金額を計算する。
- 法定相続人の数から生命保険金の非課税限度額(500万円×2人=1,000万円)を求め、受取保険金額から差し引いて課税価格算入額を算出する。
答えの内訳
- ①:4
- 納税義務者が年の中途で死亡した場合の所得税の確定申告(準確定申告)は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に提出しなければなりません。
- ②:1,000
- 貸付事業用宅地等についての小規模宅地等の特例は、限度面積200㎡までについて50%の減額が適用されます。賃貸アパートの敷地(300㎡、3,000万円)について適用する場合、減額される金額は、3,000万円×(200㎡/300㎡)×50%=1,000万円となります。
- ③:200
- 相続人が受け取った死亡保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」です。本問の法定相続人は2人なので非課税枠は500万円×2人=1,000万円となります。Aさんが受け取った死亡保険金1,200万円から非課税限度額1,000万円を控除した200万円が課税価格に算入されます。
覚えるポイント
- 準確定申告の申告・納期限=相続開始を知った日の翌日から4カ月以内
- 貸付事業用宅地等の小規模宅地特例=限度面積200㎡、減額率50%
- 死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
間違えやすいところ
- 準確定申告の期限(4カ月)と相続税の申告期限(10カ月)の混同
- 小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等(330㎡・80%減)と貸付事業用宅地等(200㎡・50%減)の限度面積や減額割合の混同
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
相続・事業承継 · 空き家の3000万円特別控除 / 譲渡所得の特例 / 相続空き家
母Cさんの相続財産である実家(敷地および建物)の売却に関して、「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「実家の敷地および建物をAさんと妹Bさんが共有名義で取得し、本特例の適用を受けた場合、各人がそれぞれ最高3,000万円(2人で最高6,000万円)の特別控除の適用を受けることができます」 ② 「Aさんが老朽化した実家の建物を解体して更地で譲渡した場合には、本特例の適用を受けることができません。本特例の適用を受けるためには、そのほかの要件もありますので、税理士等の専門職業家に相談することをお勧めします」 ③ 「本特例の適用を受けるためには、確定申告書に被相続人居住用家屋等確認書を添付する必要があります。当該確認書は実家が所在するX市に申請し、交付を受けてください」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
被相続人の居住用財産(空き家)を譲渡した場合の3,000万円特別控除は、昭和56年5月31日以前に建築された一定の空き家等について、耐震改修して譲渡するか更地にして譲渡した場合に適用できます。本特例は相続人1人ごとに最高3,000万円が適用され、申告には所在市区町村が発行する確認書が必要です。
解き方
- 共有名義で相続した空き家を譲渡した場合の特例控除限度額が各人ごとに適用されるかを確認します。
- 家屋を取り壊して敷地等のみを譲渡する場合にも本特例が適用できるかを確認します。
- 特例適用のための必要書類(被相続人居住用家屋等確認書)の申請先・発行主体を確認します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例は、相続人が複数(共有)で相続・遺贈により取得して譲渡した場合、適用要件を満たす各相続人がそれぞれ最高3,000万円の特別控除の適用を受けることができます。したがって、Aさんと妹Bさんの2人で合計最高6,000万円の控除を受けることが可能であり、記述は適切です。
- 小問 ②:×
- 本特例は、耐震基準に適合するようリフォームして家屋と敷地を譲渡する場合だけでなく、相続人が家屋を取り壊して更地(敷地のみ)として譲渡した場合も適用の対象となります。したがって、「更地で譲渡した場合には本特例の適用を受けることができない」とする記述は不適切です。
- 小問 ③:○
- 本特例の適用を受けるためには、確定申告書に対象家屋の所在する市区町村長から交付を受けた「被相続人居住用家屋等確認書」等の必要書類を添付して申告する必要があります。したがって、実家が所在するX市に申請して交付を受けるという記述は適切です。
覚えるポイント
- 空き家の3,000万円特別控除は、家屋を取り壊して敷地のみを譲渡する場合にも適用可能
- 特例の適用には家屋が所在する市区町村長から「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受ける必要がある
間違えやすいところ
- 家屋の取り壊しによる更地譲渡は特例対象外と誤認しやすいが、取壊し後の敷地譲渡も対象となる
- 確認書の申請・交付先を税務署と誤認しやすいが、正しくは家屋所在地の市区町村である
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2018年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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