日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
国民年金の種別変更の手続き・保険料免除と追納・一部免除の年金反映割合
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金の種別変更 / 国民年金保険料の追納 / 保険料免除期間の反映割合
会社を早期退職して個人事業主となる予定のAさんに対する国民年金の手続きおよび制度に関する説明文を読み、空欄①~③に入る適切な語句を〈語句群〉から選択しなさい。 ⅰ)「Aさんは、X社を退職後、国民年金に第1号被保険者として加入することになります。国民年金の種別変更の届出は、厚生年金保険の被保険者資格を喪失した日から、原則として( ① )以内に住所地の市町村(特別区を含む)の窓口で行います」 ⅱ)「Aさんは、個人事業主となった後、収入の減少等により国民年金の保険料を納めることが経済的に難しくなった場合は、保険料の免除を申請することができます。免除された期間の保険料は追納することができますが、追納ができるのは、追納が承認された月の前( ② )以内の免除期間の保険料です。なお、追納がない場合、その保険料免除期間は、所定の割合で老齢基礎年金の年金額に反映されます。仮に、Aさんが、保険料の4分の1免除を受け、残り4分の3の保険料を納付し、その期間に係る保険料の追納や国民年金への任意加入を行わなかった場合、その保険料免除期間の月数の( ③ )に相当する月数が、老齢基礎年金の年金額に反映されます」
- イ
- 10日
- ロ
- 14日
- ハ
- 20日
- ニ
- 5年
- ホ
- 10年
- へ
- 15年
- ト
- 2分の1
- チ
- 8分の5
- リ
- 4分の3
- ヌ
- 8分の7
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ホ ③ ヌ
解説
会社員(第2号被保険者)が退職して個人事業主(第1号被保険者)になる際は14日以内に種別変更の届出が必要です。免除された保険料は将来の年金額を増やすために10年以内であれば追納できます。追納しない場合でも国庫負担分(現行2分の1)があるため、4分の1免除期間は8分の7が年金額に反映されます。
解き方
- 種別変更の届出期間を確認する:資格喪失日から原則14日以内であるため、①は「ロ(14日)」となる。
- 保険料免除期間の追納可能期間を確認する:承認月の前10年以内であるため、②は「ホ(10年)」となる。
- 4分の1免除期間の年金額反映割合を計算・確認する:4分の1免除(4分の3納付)の場合は「8分の7」が年金額に反映されるため、③は「ヌ(8分の7)」となる。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 第2号被保険者から第1号被保険者への種別変更等の届出は、事由が生じた日(資格喪失日)から原則として14日以内に市区町村の窓口へ行います。
- 小問 ②:ホ
- 国民年金保険料の免除や猶予を受けた期間の保険料は、追納が承認された日の属する月の前10年以内の期間について追納することができます。
- 小問 ③:ヌ
- 国庫負担割合が2分の1の場合、4分の1免除(4分の3納付)期間の月数は、8分の7(=国庫負担1/2+本人負担分3/4×1/2)として老齢基礎年金の額に反映されます。
覚えるポイント
- 種別変更の届出期間は原則14日以内、保険料の追納可能期間は承認月の前10年以内。
- 一部免除期間の年金額反映月数(国庫負担1/2時):全額免除は4/8、3/4免除は5/8、半額免除は6/8(3/4)、1/4免除は7/8。
間違えやすいところ
- 保険料の追納可能期間(10年)と、通常の保険料納期限から滞納した保険料を遡って納付できる期間(原則2年)を混同しないこと。
- 4分の1免除(=4分の3を自分で納付)と4分の3免除(=4分の1のみ自分で納付)を読み間違えて年金反映割合を取り違えやすいので注意すること。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の国民年金法に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢厚生年金の年金額計算(報酬比例部分・経過的加算・加給年金)
ライフプランニングと資金計画 · 老齢厚生年金の額の計算 / 報酬比例部分 / 経過的加算額 / 配偶者加給年金額
Aさん(昭和48年4月28日生まれ)が平成30年5月末日付でX社を退職して個人事業主となった場合に、原則として65歳から受給できる老齢厚生年金の年金額(平成29年度価額)について、計算の手順に従い空欄①~④に入る適切な数値または語句を求めなさい。 〈計算の手順〉 1.報酬比例部分の額(円未満四捨五入):( ① )円 2.経過的加算額(円未満四捨五入):( ② )円 3.基本年金額(上記「1+2」の額):□□□円 4.加給年金額:Aさんの場合、加給年金額は加算( ③:される/されない )。 5.老齢厚生年金の年金額:( ④ )円
解答・解説を表示
解答
① 731,044(円) ② 19,940(円) ③ される ④ 1,140,784(円)
解説
65歳から受給する老齢厚生年金は、「報酬比例部分」に加えて、定額部分と老齢基礎年金の差額を調整する「経過的加算額」、および被保険者期間20年以上で一定の生計維持要件を満たす配偶者等がいる場合に加算される「加給年金額」の合計で算出されます。
解き方
- 報酬比例部分の額を計算する:平成15年3月以前分(乗率7.125/1000)と平成15年4月以後分(乗率5.481/1000)をそれぞれ計算し、合算して円未満を四捨五入する(731,044円)。
- 経過的加算額を計算する:被保険者月数(314月)から20歳未満の月数(12月)を除いた20歳以上60歳未満月数(302月)を求め、公式「1,625円×314月 - 779,300円×(302/480)」に代入して四捨五入する(19,940円)。
- 加給年金の支給要件を判定する:被保険者期間が20年以上あり、65歳到達時点で65歳未満の配偶者(妻Bさん)がいるため「加算される」と判定する。
- 老齢厚生年金の合計額を算出する:報酬比例部分(731,044円)+経過的加算額(19,940円)+加給年金額(389,800円)=1,140,784円を求める。
小問ごとの答え
- 小問 ①:731,044
- 報酬比例部分=平成15年3月以前分+平成15年4月以後分 平成15年3月以前分:300,000円 × (7.125 / 1,000) × 132月 = 282,150円 平成15年4月以後分:450,000円 × (5.481 / 1,000) × 182月 = 448,893.9円 合計:282,150 + 448,893.9 = 731,043.9円 → 円未満四捨五入して731,044円となります。
- 小問 ②:19,940
- Aさんの厚生年金被保険者期間は18歳~45歳までの計314月(132月+182月)。 このうち20歳未満の期間は18歳~20歳到達月前月までの12月(平成4年4月~平成5年3月)。よって20歳以上60歳未満の月数は314月-12月=302月。 昭和48年4月生まれの加入可能年数は40年(480月)。 経過的加算額=1,625円 × 314月 - 779,300円 × (302月 / 480月) = 510,250円 - 490,309.58...円 = 19,940.41...円 → 円未満四捨五入して19,940円となります。
- 小問 ③:される
- 厚生年金保険の被保険者期間が20年(240月)以上あり(Aさんは314月)、65歳到達時に生計を維持している65歳未満の配偶者(妻BさんはAさん65歳時点で62歳)がいるため、配偶者加給年金額は加算「される」となります。
- 小問 ④:1,140,784
- 老齢厚生年金の年金額=報酬比例部分の額(①)+ 経過的加算額(②)+ 加給年金額 = 731,044円 + 19,940円 + 389,800円 = 1,140,784円となります。
覚えるポイント
- 老齢厚生年金の受給額=報酬比例部分 + 経過的加算 + 加給年金(要件該当時)。
- 加給年金は厚生年金の被保険者期間が原則20年(240月)以上必要。
- 経過的加算の右側(引く側)の分子は「20歳以上60歳未満」の厚生年金被保険者期間月数(20歳未満の月数は除外)。
間違えやすいところ
- 経過的加算の計算において、引く側の月数に20歳未満の加入月数(12月)も含めてしまい、314月として計算してしまう誤りが多いので注意する。
- 加給年金額(389,800円)の足し忘れや、要件(240月以上、配偶者の年齢要件)の判定誤りに注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の厚生年金保険法および平成29年度価格に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
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個人事業主の老後資金準備(付加年金・小規模企業共済・国民年金基金)
ライフプランニングと資金計画 · 付加年金 / 小規模企業共済 / 国民年金基金
個人事業主となった場合における老後資金の準備に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
- ①
- Aさんは、国民年金の定額保険料のほかに月額400円の付加保険料を納付することができます。仮に、Aさんが付加保険料を150月納付し、65歳から老齢基礎年金を受給する場合は、年額30,000円の付加年金を受給することができます。
- ②
- Aさんは、小規模企業共済制度に加入することができます。小規模企業共済制度は、一定規模以下である個人事業主または会社等の役員が加入することができる積立てによる退職金制度です。毎月の掛金は1,000円から50,000円までの範囲内(500円単位)で選択することができ、その全額が所得控除の対象となります。
- ③
- Aさんは、国民年金基金に加入することができます。国民年金基金の毎月の掛金は、加入時の年齢や選択する給付の型などによって異なりますが、掛金の拠出限度額は月額68,000円となります。ただし、小規模企業共済制度に加入している場合は、その掛金と合わせて月額68,000円が上限となります。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
国民年金第1号被保険者は、老後資金準備として付加年金や国民年金基金、小規模企業共済などの各種任意制度を活用できます。各制度の掛金額の上限・枠の重複関係・年金額の算出方式を正しく区別して理解することが不可欠です。
解き方
- 付加年金の受給額計算式(200円×納付月数)に納付済月数150月を代入して年額を検証する。
- 小規模企業共済制度の毎月の掛金範囲(下限1,000円・上限70,000円、500円単位)と設問の記述を比較する。
- 国民年金基金の掛金枠(月額68,000円)と併用制限がある制度(iDeCoであり小規模企業共済ではない)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 付加年金の年金額は「200円×付加保険料納付済月数」で計算されます。150月納付した場合の受給額は「200円×150月=30,000円」となり、記述のとおり適切です。
- 小問 ②:×
- 小規模企業共済の掛金月額は、1,000円から70,000円までの範囲内(500円単位)で選択することができます。上限が50,000円とされているため不適切です。
- 小問 ③:×
- 国民年金基金の拠出限度額(月額68,000円)が合算対象となるのは個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金であり、小規模企業共済の掛金とは合算されず別枠で拠出可能です。
覚えるポイント
- 付加年金額=200円×付加保険料納付済月数(2年間受給すれば納付額相当を回収)
- 小規模企業共済の掛金月額は1,000円~70,000円(全額が小規模企業共済等掛金控除)
- 国民年金基金とiDeCoの掛金は合算して月額68,000円が上限(付加年金と国民年金基金は併用不可)
間違えやすいところ
- 付加年金の計算で、月額保険料400円と受給計算用単価200円を取り違えて計算してしまう。
- 小規模企業共済の掛金上限(70,000円)と、国民年金基金・iDeCoの掛金上限(68,000円)を取り違える。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式取引の仕組み(日経平均株価・売買注文の優先原則・受渡期日)
金融資産運用 · 日経平均株価 / 指値注文 / 売買成立の原則 / 受渡期日
株式取引の仕組み等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
- ①
- 代表的な株価指標のうち、日経平均株価は、東京証券取引所市場第一部と市場第二部に上場している銘柄のうち代表的な225銘柄を対象とした修正平均型の株価指標です。
- ②
- 上場株式の注文方法のうち、指値注文では、高い値段の買い注文が低い値段の買い注文に優先し、原則として、同じ値段の注文については、先に出された注文が後に出された注文に優先して売買が成立します。
- ③
- 上場株式を証券取引所の普通取引で売買したときの受渡しは、原則として、約定日(売買成立日)から起算して3営業日目に行われます。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
金融商品取引所における上場株式の取引ルール(価格優先・時間優先の原則、受渡期日)や代表的な株価指数(日経平均株価とTOPIXの母集団・算出方法の違い)を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 日経平均株価の構成対象市場(東証一部銘柄のみで第二部は含まれない)を確認する。
- 指値注文における優先順位のルール(価格優先の原則と時間優先の原則)を検証する。
- 試験基準日時点における普通取引の受渡日(約定日から起算して4営業日目)を確認し正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 日経平均株価は、東京証券取引所市場第一部(出題当時)に上場する銘柄の中から選定された代表的な225銘柄を対象とする修正平均型の指標であり、市場第二部の銘柄は対象に含まれません。
- 小問 ②:○
- 取引所の競争売買では「価格優先の原則(買いは高価格、売りは低価格が優先)」および「時間優先の原則(同価格なら発注時刻の早い注文が優先)」が適用されるため、記述のとおり適切です。
- 小問 ③:×
- 本試験の法令基準日(2017年10月1日)当時、株式の普通取引の受渡しは「約定日から起算して4営業日目(T+3)」に行われていたため、3営業日目とする記述は不適切です(なお2019年7月にT+2へ短縮施行)。
覚えるポイント
- 日経平均株価:東証一部の代表的な225銘柄、修正平均型株価指数
- 売買成立の優先順位:成行優先 > 指値(価格優先・時間優先)
- 基準日時点の受渡日は約定日から起算して4営業日目(2019年7月以降は3営業日目に短縮)
間違えやすいところ
- 日経平均株価の対象に市場第二部が含まれると誤認してしまう。
- 受渡期日について、法改正(2019年7月のT+2化)後の知識と当時の試験基準日(T+3)を混同してしまう。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の投資指標(PER・PBR・配当性向)の計算と企業比較
金融資産運用 · PER / PBR / 配当性向 / 投資指標の割安性判定
Mさんは、Aさんに対して、X社株式およびY社株式の投資指標のデータについて説明した。《設例》の財務データに基づき、説明文の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選択しなさい。 【設例の財務データ】 ・X社:株価1,400円、当期純利益80億円、純資産(自己資本)2,000億円、発行済株式総数2億株、1株当たり配当金10円 ・Y社:株価600円、当期純利益150億円、純資産(自己資本)3,600億円、発行済株式総数5億株、1株当たり配当金15円 【説明文】 「株式の代表的な投資指標として、PER、PBRがあります。X社株式の場合、PERは( ① )倍、PBRは( ② )倍と算出されます。この2つの指標からX社とY社の株価を比較すると、( ③ )のほうが割安であるといえます。また、配当金額から株主への利益還元度合いを測る指標として、配当性向があります。Y社株式の配当性向を算出すると、( ④ )%となります」
- イ
- 0.5
- ロ
- 0.6
- ハ
- 1.1
- ニ
- 1.4
- ホ
- 15
- ヘ
- 25
- ト
- 35
- チ
- 40
- リ
- 50
- ヌ
- 60
- ル
- X社
- ヲ
- Y社
解答・解説を表示
解答
① ト、② ニ、③ ヲ、④ リ
解説
投資指標において、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)は数値が低いほど株価が割安であると判断されます。配当性向は当期純利益に対する年間配当金総額の割合を示します。
解き方
- X社およびY社の1株当たり当期純利益(EPS)と1株当たり純資産(BPS)をそれぞれ算定する。
- 株価をEPSで除してPERを、株価をBPSで除してPBRをそれぞれ計算し、両社の割安度を比較する。
- Y社の1株当たり年間配当金額をEPSで除して配当性向を算出する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- X社の1株当たり当期純利益(EPS)は80億円÷2億株=40円です。PER(株価収益率)は株価÷EPS=1,400円÷40円=35倍となります。
- 小問 ②:ニ
- X社の1株当たり純資産(BPS)は2,000億円÷2億株=1,000円です。PBR(株価純資産倍率)は株価÷BPS=1,400円÷1,000円=1.4倍となります。
- 小問 ③:ヲ
- Y社のEPSは150億円÷5億株=30円、PERは600円÷30円=20倍です。Y社のBPSは3,600億円÷5億株=720円、PBRは600円÷720円≒0.83倍となります。PER・PBRともに数値が低いY社のほうが割安です。
- 小問 ④:リ
- 配当性向は(1株当たり配当金÷EPS)×100で計算します。Y社は(15円÷30円)×100=50%となります。
覚えるポイント
- PER=株価÷EPS(低いほど割安)
- PBR=株価÷BPS(低いほど割安)
- 配当性向=1株当たり配当金÷EPS×100
間違えやすいところ
- PER・PBRの倍率が高いほうを割安と誤認してしまうミスに注意する。
- 配当性向の計算で分母を株価(配当利回り)と混同しないようにする。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定口座(源泉徴収あり)における上場株式の譲渡益と手取金額の計算
金融資産運用 · 譲渡所得の計算 / 源泉徴収税率 / 株式売却の手取金額
Aさんが、下記の〈条件〉により平成30年中に特定口座の源泉徴収選択口座においてY社株式を購入して同年中にすべて売却した場合、Aさんが受け取ることができる手取金額(所得税および復興特別所得税と住民税の源泉徴収後の金額)を求める〈計算の手順〉の空欄①~③に入る数値を計算しなさい(円単位)。なお、Aさんは平成30年中にY社株式以外の取引はなく、売買委託手数料等は考慮しないものとする。 〈条件〉 ・購入株数(売却株数):2,000株 ・購入時の株価:600円 ・売却時の株価:700円 〈計算の手順〉 1.譲渡所得の金額:( ① )円 2.所得税および復興特別所得税と住民税の源泉徴収税額の合計額:( ② )円 3.手取金額:( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 200,000(円)、② 40,630(円)、③ 1,359,370(円)
解説
上場株式の譲渡所得は「譲渡価額-(取得費+委託手数料等)」で算定されます。源泉徴収選択口座では譲渡益に対し20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が源泉徴収され、売却代金総額から源泉徴収税額を差し引いた額が手取額となります。
解き方
- 売却総額(700円×2,000株=1,400,000円)から買付総額(600円×2,000株=1,200,000円)を控除し、譲渡所得200,000円を計算する。
- 譲渡所得200,000円に税率20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)を乗じて、源泉徴収税額の合計額40,630円を算出する。
- 売却総額1,400,000円から源泉徴収税額40,630円を差し引いて、手取金額1,359,370円を求める。
答えの内訳
- ①:200,000
- 譲渡収入金額は700円×2,000株=1,400,000円、取得費は600円×2,000株=1,200,000円です。譲渡所得の金額は1,400,000円-1,200,000円=200,000円となります。
- ②:40,630
- 源泉徴収税率は20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)です。源泉徴収税額の合計は、200,000円×15.315%=30,630円、住民税が200,000円×5%=10,000円となり、合計で40,630円となります。
- ③:1,359,370
- 手取金額は、株式売却金額(譲渡収入金額)から源泉徴収税額を差し引いて計算します。1,400,000円-40,630円=1,359,370円となります。
覚えるポイント
- 上場株式の譲渡所得に対する源泉徴収税率は合計20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
- 手取額は「売却代金総額-源泉徴収税額」で算出される
間違えやすいところ
- 手取金額を「譲渡所得(利益)-源泉徴収税額」と誤って計算し、元本の回収額を含め忘れるミス。
- 復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)を失念して税率20%で計算してしまうミス。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の損益通算・所得控除・扶養控除の判定
タックスプランニング · 不動産所得の損失 / 損益通算の制限 / 所得控除の順号 / 扶養控除 / 同居老親等
Aさんの平成29年分の所得税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① Aさんの平成29年分の所得税の計算において、賃貸アパートの経営による不動産所得に係る損失の金額80万円は、その全額が損益通算の対象となる。 ② Aさんの平成29年分の所得税の計算において、総所得金額から所得控除額を控除しきれなかった場合、控除しきれなかった所得控除額は、退職所得の金額から控除することができる。 ③ 母Dさんの合計所得金額は38万円以下であるため、Aさんは、母Dさんを控除対象扶養親族とする58万円の扶養控除の適用を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
不動産所得の赤字における土地取得負債利子の損益通算除外規定、総所得金額から控除しきれない所得控除の退職所得等からの控除ルール、および70歳以上の同居直系尊属に対する同居老親等扶養控除(控除額58万円)の要件を正確に理解しておく必要があります。
解き方
- 不動産所得の損失について、土地を取得するために要した負債の利子が含まれているかを確認し、損益通算対象額を判定する。
- 所得控除が総所得金額から引ききれない場合の控除順序(退職所得・山林所得等への充当可能性)を確認する。
- 母Dさんの年齢(70歳以上)・同居区分(直系尊属・同居)・合計所得金額(公的年金等控除を差し引いて38万円以下)を判定し、同居老親等としての扶養控除額を算出する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 不動産所得の金額の計算上生じた損失のうち、不動産所得を生ずべき土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額は、損益通算の対象とされません。本問では損失80万円のうち土地取得に係る借入金利子20万円が含まれているため、損益通算の対象となるのは残りの60万円(80万円-20万円)となり、全額を損益通算することはできません。
- 小問 ②:○
- 所得控除はまず総所得金額から控除し、控除しきれない控除額がある場合には、分離課税の退職所得の金額や山林所得の金額等から順次控除することができます。
- 小問 ③:○
- 母Dさん(84歳)の収入は公的年金等120万円のみであり、65歳以上であるため公的年金等控除額120万円を差し引いた公的年金等に係る雑所得の金額は0円(合計所得金額38万円以下)となります。したがって控除対象扶養親族に該当し、70歳以上の同居の直系尊属(同居老親等)に該当するため、扶養控除額は58万円となります。
覚えるポイント
- 不動産所得の赤字のうち、土地等取得に係る借入金利子は損益通算の対象外となる。
- 70歳以上の同居老親等(同居の直系尊属)の扶養控除額は58万円(一般の老人扶養親族は48万円)。
間違えやすいところ
- 土地取得に係る借入金利子を考慮せず、不動産所得の損失全額を損益通算可能と誤認してしまう。
- 老人扶養親族(48万円)と同居老親等(58万円)の控除額を混同してしまう。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 勤続年数の端数切り上げ / 退職所得の金額
AさんがX社から受け取った退職金に係る退職所得の金額を計算した次の〈計算の手順〉の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 〈計算の手順〉 1.退職所得控除額 ( ① )万円+□□□万円×{( ② )年-20年}=□□□万円 2.退職所得の金額 (2,500万円-□□□万円)×□□□=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 800 ② 36 ③ 290
解説
退職所得の金額は、「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」によって計算されます。退職所得控除額は勤続年数20年以下は「40万円×勤続年数(最低80万円)」、20年超は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で計算し、勤続年数の1年未満の端数は切り上げます。
解き方
- 勤続期間35年7カ月の端数を1年に切り上げ、勤続年数を36年と算出する。
- 勤続年数が20年超の算式「800万円+70万円×(36年-20年)」を適用し、退職所得控除額1,920万円を算出する。
- 退職金収入2,500万円から退職所得控除額1,920万円を差し引き、1/2を乗じて退職所得の金額290万円を計算する。
答えの内訳
- ①:800
- 勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額の計算式は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」であるため、空欄①には800が入ります。
- ②:36
- 退職所得控除額を計算する際の勤続年数は、1年未満の端数は1年に切り上げます。Aさんの勤務期間は35年7カ月であるため、切り上げて36年となります。したがって、空欄②には36が入ります。
- ③:290
- 退職所得控除額=800万円+70万円×(36年-20年)=800万円+1,120万円=1,920万円となります。退職金の額は2,500万円であるため、退職所得の金額=(収入金額2,500万円-退職所得控除額1,920万円)×1/2=580万円×1/2=290万円となります。したがって、空欄③には290が入ります。
覚えるポイント
- 退職所得控除の勤続年数は端数切り上げ(例:35年7カ月→36年)。
- 退職所得控除額=800万円+70万円×(勤続年数-20年)[20年超の場合]。
- 退職所得の金額=(退職手当等の収入金額-退職所得控除額)×1/2。
間違えやすいところ
- 勤続年数の1年未満の端数を切り捨てて35年で計算してしまう。
- 退職手当等の収入金額から退職所得控除額を差し引いた後、1/2を掛け忘れて580万円としてしまう。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得・一時所得および総所得金額の計算
タックスプランニング · 給与所得控除 / 一時所得の金額 / 損益通算 / 総所得金額
設例のAさん(会社員・平成29年10月に退職)の平成29年分の各種所得の金額および総所得金額を求めるにあたり、次の空欄①〜③に入る数値を計算しなさい(単位:万円)。 ・給与収入金額:600万円(給与所得控除額の速算表を用いて算出) ・不動産所得に係る損失:80万円(土地取得に係る負債利子20万円を含む) ・一時払変額個人年金保険(確定年金・平成20年4月1日契約)の解約返戻金:580万円、一時払保険料:500万円 1. 給与所得の金額:( ① )万円 2. 総所得金額に算入される一時所得の金額:( ② )万円 3. 平成29年分の総所得金額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 426(万円)、② 15(万円)、③ 381(万円)
解説
総所得金額は、総合課税の対象となる各種所得(給与所得、不動産所得、一時所得の2分の1など)を合算し、損益通算を行って算出します。不動産所得で生じた損失のうち、土地取得に係る負債利子に相当する部分は損益通算の対象外とされます。
解き方
- 給与所得控除額の速算表に基づき、給与収入600万円から給与所得426万円を算出する。
- 生命保険解約返戻金に係る一時所得を「(580万円-500万円-特別控除50万円)×1/2=15万円」と計算する。
- 不動産所得の損失80万円から土地取得負債利子20万円を除外した60万円を他の所得と損益通算し、総所得金額381万円を求める。
答えの内訳
- ①:426
- 給与収入金額が600万円の場合、給与所得控除額は「600万円×20%+54万円=174万円」です。したがって、給与所得の金額は「給与収入金額600万円-給与所得控除額174万円=426万円」となります。
- ②:15
- 一時払変額個人年金保険の解約返戻金は一時所得に該当します。一時所得の総収入金額は580万円、支出金額は500万円、特別控除額は最高50万円(差引額が80万円のため全額控除)となり、一時所得の金額は「580万円-500万円-50万円=30万円」です。総所得金額に算入される一時所得の金額は、その2分の1である「30万円×1/2=15万円」となります。
- ③:381
- 不動産所得の損失80万円のうち、土地取得に要した負債の利子20万円は損益通算の対象外となるため、通算可能な不動産所得の損失額は「80万円-20万円=60万円」です。したがって、総所得金額は「給与所得426万円-不動産所得の損失通算分60万円+総所得金額算入一時所得15万円=381万円」となります。
覚えるポイント
- 一時所得を総所得金額に算入する際は、特別控除(最高50万円)を差し引いた後の金額の2分の1とする。
- 不動産所得の赤字のうち土地取得のための借入金利子分は損益通算できない。
間違えやすいところ
- 不動産所得の損失80万円の全額を給与所得等から差し引いてしまい、土地利子20万円を除外するのを忘れる。
- 一時所得の特別控除後金額(30万円)をそのまま総所得金額に合算し、2分の1にするのを忘れる。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
第一種住居地域における建築基準法上の規制
不動産 · 建築基準法 / 用途地域 / 絶対高さ制限 / 日影規制 / 準防火地域の建築制限
Aさんが第一種住居地域・準防火地域に所在する甲土地上に住宅を新築する場合における建築基準法上の規制に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 甲土地が所在する第一種住居地域内においては、都市計画により、10mまたは12mの絶対高さ制限が適用される。 ② 甲土地が所在する第一種住居地域は、地方公共団体の条例により日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)の対象区域として指定することができる。 ③ 甲土地上に住宅を新築する場合、原則として耐火建築物または準耐火建築物としなければならない。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ×
解説
建築基準法では、用途地域や防火規制の指定内容に応じて建物の高さ制限(絶対高さ、道路斜線、隣地斜線、北側斜線、日影規制)や構造制限(耐火・準耐火の義務付け)が個別に規定されています。
解き方
- 絶対高さ制限が第一種・第二種低層住居専用地域等の固有規制であることを確認し、第一種住居地域には適用されないと判断する。
- 日影規制の対象となり得る用途地域を確認し、第一種住居地域が条例指定の対象に含まれることを判定する。
- 準防火地域内における規模別の耐火制限を確認し、住宅新築で直ちに耐火・準耐火が義務付けられるわけではないと判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 建築物の高さの限度を10mまたは12mとする絶対高さ制限が適用される地域は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域に限られます。第一種住居地域には絶対高さ制限は適用されません。
- 小問 ②:○
- 日影規制の対象区域は、地方公共団体が条例で指定することとされており、第一種住居地域も条例により日影規制の対象区域として指定することができます。
- 小問 ③:×
- 準防火地域内において耐火建築物または準耐火建築物としなければならないのは、地階を除く階数が4以上または延べ面積が1,500㎡を超える建築物です。一般的な一般住宅(木造2階建て等)であれば、所定の防火措置を講じることで耐火建築物等としなくても建築が可能です。
覚えるポイント
- 10m・12mの絶対高さ制限が適用されるのは低層住居専用地域および田園住居地域のみ。
- 商業地域、工業地域、工業専用地域以外の用途地域は、条例により日影規制の対象区域として指定可能。
間違えやすいところ
- 住居系地域全般に絶対高さ制限が適用されると誤解する。
- 準防火地域内に建築する建物はすべて耐火建築物または準耐火建築物にしなければならないと混同する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築面積および延べ面積の最高限度の計算
不動産 · 建ぺい率 / 角地緩和 / 容積率 / 前面道路幅員制限
Aさんが甲土地(敷地面積:15m×16m=240㎡、第一種住居地域、指定建ぺい率60%、指定容積率200%、準防火地域、特定行政庁が指定する角地、幅員6mおよび4mの公道に接面)上に住宅を新築する場合における、建ぺい率の上限となる建築面積および容積率の上限となる延べ面積を求める次の計算手順の空欄①〜④に入る数値を答えなさい。
解答・解説を表示
解答
① 70、② 168、③ 200、④ 480
解説
建ぺい率は敷地条件に応じた緩和規定(特定行政庁の指定する角地による+10%など)を反映して決定します。容積率は、都市計画で定められた指定容積率と、前面道路幅員に法定乗数を乗じた基準値(2つ以上の道路がある場合は広い方の幅員を採用)を比較し、小さい方が上限となります。
解き方
- 甲土地の面積(15m×16m=240㎡)を計算し、特定行政庁の指定角地による建ぺい率の緩和(+10%)を適用して上限建築面積を算出する。
- 前面道路が2つあるため広い方の6mを採用し、幅員による制限(6m×4/10=240%)と指定容積率(200%)を比較して小さい方を上限延べ面積の計算に用いる。
答えの内訳
- ①:70
- 指定建ぺい率は60%ですが、甲土地は特定行政庁が指定する角地であるため10%の建ぺい率緩和が適用され、適用される建ぺい率は60%+10%=70%となります。
- ②:168
- 敷地面積240㎡(15m×16m)に適用建ぺい率70%を乗じることで、建築面積の最高限度は240㎡×70%=168㎡と計算されます。
- ③:200
- 前面道路幅員による制限値は、幅員の広い道路(6m)を用いて6m×4/10=240%です。指定容積率200%と比較していずれか低い方が上限となるため、適用される容積率は200%となります。
- ④:480
- 敷地面積240㎡に適用される上限容積率200%を乗じることで、延べ面積の最高限度は240㎡×200%=480㎡と計算されます。
覚えるポイント
- 2面以上道路に接する角地等では、容積率の前面道路制限は幅員の広い方を適用する。
間違えやすいところ
- 建ぺい率の角地緩和で+10%加算するのを忘れたり、道路幅員制限の計算で狭い方の幅員を使ってしまったりするミスに注意が必要です。
出題の前提:建築基準法第52条(容積率)、第53条(建ぺい率)
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅新築に係る税金(固定資産税・不動産取得税・登録免許税)
不動産 · 住宅用地の固定資産税の特例 / 不動産取得税の課税標準の特例 / 登録免許税の軽減税率
Aさんが甲土地上に住宅(認定長期優良住宅には該当しない)を新築した場合の税金に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
- ①
- 「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」の適用を受けた場合、当該敷地(240㎡)に係る固定資産税の課税標準は、当該敷地の全部について課税標準となるべき価格の6分の1の額となる。
- ②
- 「不動産取得税の課税標準の特例」の適用を受けた場合、不動産取得税の課税標準の算定上、住宅の課税標準から最大で1,000万円までを控除することができる。
- ③
- 床面積270㎡の住宅を新築し、所有権の保存登記を新築後1年以内に受けた場合、この登記に係る登録免許税の税率について「住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減」の適用を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ×、③ ○
解説
住宅取得や住宅用地の保有に関しては様々な税制上の軽減措置が設けられています。固定資産税の住宅用地特例は200㎡を境に減額割合が異なり、新築住宅の不動産取得税の課税標準控除は1,200万円、登録免許税の保存登記軽減の床面積要件は下限50㎡以上で上限はありません。
解き方
- 記述①:固定資産税の住宅用地特例の減額区分(200㎡以下は1/6、200㎡超は1/3)を確認し正誤を判定する。
- 記述②:新築住宅の不動産取得税の控除限度額(1,200万円)と設問の記述(1,000万円)を比較する。
- 記述③:登録免許税の軽減要件における床面積基準(50㎡以上、上限なし)および期間要件(1年以内)を照合する。
- 選択肢 ①不正解
- 小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は課税標準の6分の1となりますが、200㎡を超える一般住宅用地の部分は3分の1となるため、「敷地の全部について6分の1」とする本記述は不適切です。
- 選択肢 ②不正解
- 新築住宅における不動産取得税の課税標準の特例控除額は、一般住宅の場合は最大1,200万円であるため、最大1,000万円とする記述は不適切です。
- 選択肢 ③正解
- 住宅用家屋の所有権保存登記の軽減税率の適用要件は床面積が50㎡以上であり上限は定められていないため、新築後1年以内に行われる登記であれば床面積270㎡の住宅でも軽減税率が適用されます。
答えの内訳
- ①:×
- 住宅用地の固定資産税の特例では、住宅1戸あたり200㎡以下の小規模住宅用地部分は価格の6分の1となりますが、200㎡を超える部分(本問では40㎡)は3分の1となるため、敷地の全部が6分の1となるわけではありません。
- ②:×
- 新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例控除額は、認定長期優良住宅以外の一般の新築住宅の場合、最大1,200万円(1,000万円ではない)です。
- ③:○
- 住宅用家屋の所有権保存登記の軽減税率の要件は、自己居住用であること、新築または取得後1年以内の登記であること、床面積が50㎡以上であること(上限なし)等であり、床面積270㎡でも軽減の対象となります。
覚えるポイント
- 固定資産税の住宅用地特例は200㎡まで1/6、200㎡超は1/3となる。
間違えやすいところ
- 住宅用家屋の登録免許税の床面積要件には上限がない点(下限50㎡以上のみ)を、他の税制特例と混同して誤認しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:地方税法(固定資産税、不動産取得税)、租税特別措置法(登録免許税)
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公正証書遺言の作成要件と効力
相続・事業承継 · 公正証書遺言 / 遺言の証人の欠格事由 / 遺言の撤回
Aさんが検討している公正証書遺言の作成手続きおよび効力に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×と判定しなさい。 ① Aさんが公正証書遺言を作成する場合、長女Cさんの配偶者Hさんは、遺言書により財産を取得する受遺者でない限り、公正証書遺言を作成する際の証人となることができる。 ② 公正証書遺言は、遺言者が自ら書いた遺言書の内容および形式の適法性を公証人および証人が確認し、承認する方式で作成される。 ③ Aさんが公正証書遺言を作成した後に、その遺言の内容を撤回したい場合、自筆証書遺言では撤回することができない。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
公正証書遺言は、公証人が遺言者から口授された内容を筆記して作成する厳格な要式行為です。不正や不当な影響を防止するため、推定相続人や受遺者およびその配偶者・直系血族は証人になることができません。また、遺言は遺言者の最終意思を尊重するため、方式の相違に関係なく後の有効な遺言によっていつでも自由に撤回できます。
解き方
- 民法における遺言の証人・立会人の欠格事由を確認し、推定相続人の配偶者が該当するかを判定する。
- 公正証書遺言の作成手続(遺言者の口授と公証人による筆記)が記述と合致しているかを確認する。
- 遺言の撤回に関する規定を確認し、前の遺言の方式と後の遺言の方式による撤回制限の有無を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 民法第974条により、推定相続人および受遺者ならびにこれらの配偶者および直系血族は、遺言の証人または立会人となることができません。長女Cさんは推定相続人であるため、その配偶者であるHさんは受遺者であるかどうかにかかわらず証人になることはできません。
- 小問 ②:×
- 公正証書遺言は、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して本人および証人に読み聞かせまたは閲覧させて作成する方式です。遺言者が自ら作成した遺言書を公証人および証人が確認・承認するものではありません。
- 小問 ③:×
- 遺言者は、いつでも遺言の方式に従って前の遺言を撤回することができます。遺言の種類による効力の優劣はないため、公正証書遺言の内容をその後に適法に作成された自筆証書遺言によって撤回することも可能です。
覚えるポイント
- 推定相続人・受遺者およびその配偶者・直系血族は遺言の証人になれない。
- 遺言の方式に優劣はなく、後の遺言で前の遺言を撤回できる。
間違えやすいところ
- 受遺者でない親族であれば公正証書遺言の証人になれると誤解しやすい点。
- 公正証書遺言を撤回するには同じ公正証書遺言でなければならないと誤認する点。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の民法第969条、第974条、第1022条
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険金の非課税限度額、小規模宅地等の特例および生前贈与加算
相続・事業承継 · 死亡保険金の非課税限度額 / 小規模宅地等の特例 / 住宅取得等資金の贈与税の非課税 / 法定相続人の数
Aさんの相続が平成30年5月27日に開始した場合の相続税に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉から選びなさい。 ⅰ)妻BさんがAさんの相続により財産を取得した場合、妻Bさんが受け取る死亡保険金のうち、相続税の課税価格に算入される金額は、( ① )万円である。 ⅱ)妻Bさんが自宅の敷地のすべてを相続により取得し、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用をその限度額まで受けた場合、自宅の敷地についてAさんに係る相続における相続税の課税価格に算入すべき価額は、( ② )万円である。 ⅲ)二女DさんがAさんの相続により財産を取得した場合、二女Dさんが平成28年にAさんから住宅取得の資金として贈与を受けた現金500万円は、相続税の課税価格に( ③ )。 〈語句群〉 イ.500 ロ.1,000 ハ.1,500 ニ.2,000 ホ.2,500 ヘ.3,400 ト.4,800 チ.5,200 リ.6,600 ヌ.8,000 ル.加算される ヲ.加算されない
- イ
- 500
- ロ
- 1,000
- ハ
- 1,500
- ニ
- 2,000
- ホ
- 2,500
- ヘ
- 3,400
- ト
- 4,800
- チ
- 5,200
- リ
- 6,600
- ヌ
- 8,000
- ル
- 加算される
- ヲ
- 加算されない
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ヘ ③ ヲ
解説
死亡保険金の非課税限度額や遺産に係る基礎控除額を計算する際、被相続人に実子がいる場合は法定相続人の数に含められる養子の数は1人までに制限されます。また、小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等は限度面積330㎡まで80%の評価減額が適用されます。住宅取得等資金の贈与税の非課税特例を受けた資金は、相続開始前3年以内であっても相続税の生前贈与加算の対象外です。
解き方
- 被相続人に実子がいる場合の養子の算入制限(1人)を適用し、法定相続人の数を4人と算定して死亡保険金の非課税限度額および課税算入額を計算する。
- 特定居住用宅地等の限度面積(330㎡)と減額割合(80%)から評価減額を計算し、敷地全体の評価額から差し引いて課税価格に算入する額を算出する。
- 「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用分が相続開始前3年以内の生前贈与加算の対象となるか否かを判断する。
- 選択肢 イ不正解
- 500万円は1人当たりの非課税枠等を示す数値であり、いずれの空欄の計算結果としても誤りです。
- 選択肢 ロ正解
- 空欄①の正答です。死亡保険金3,000万円から非課税枠2,000万円(500万円×4人)を控除した課税算入額1,000万円を示します。
- 選択肢 ハ不正解
- 1,500万円は養子2人を両方算入した場合の非課税枠(2,500万円)から算出した誤った金額です。
- 選択肢 ニ不正解
- 2,000万円は死亡保険金の非課税限度額そのものであり、課税価格に算入される金額ではありません。
- 選択肢 ホ不正解
- 2,500万円はいずれの空欄の正答とも一致しない数値です。
- 選択肢 ヘ正解
- 空欄②の正答です。敷地評価額1億円から特例による減額額6,600万円を控除した課税価格に算入すべき価額3,400万円を示します。
- 選択肢 ト不正解
- 4,800万円はいずれの空欄の正答とも一致しない数値です。
- 選択肢 チ不正解
- 5,200万円はいずれの空欄の正答とも一致しない数値です。
- 選択肢 リ不正解
- 6,600万円は特例により減額される金額そのものであり、課税価格に算入すべき価額ではありません。
- 選択肢 ヌ不正解
- 8,000万円は敷地全体に80%減額を適用してしまった場合の減額額であり誤りです。
- 選択肢 ル不正解
- 住宅取得等資金の贈与税非課税の適用を受けた金額は相続前3年以内であっても加算されないため、「加算される」は誤りです。
- 選択肢 ヲ正解
- 空欄③の正答です。非課税特例の適用を受けた贈与財産は相続開始前3年以内の生前贈与加算の対象外であるため「加算されない」となります。
答えの内訳
- ①:ロ
- 実子がいる場合、相続税法上の法定相続人の数に含めることができる養子の数は1人までです。したがって法定相続人の数は配偶者+実子2人+養子1人の計4人となり、死亡保険金の非課税限度額は「500万円×4人=2,000万円」です。死亡保険金3,000万円から2,000万円を控除した1,000万円(ロ)が課税価格に算入されます。
- ②:ヘ
- 特定居住用宅地等の限度面積は330㎡、減額割合は80%です。自宅敷地(400㎡、評価額1億円)のうち330㎡相当分について80%が減額されます。減額される金額は「10,000万円 × (330㎡ / 400㎡) × 80% = 6,600万円」となり、課税価格に算入すべき価額は「10,000万円 - 6,600万円 = 3,400万円」(ヘ)となります。
- ③:ヲ
- 「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」の適用を受けた金額は、たとえ相続開始前3年以内の贈与であっても、相続税の課税価格には加算されない(ヲ)こととされています。
覚えるポイント
- 実子がいる場合の養子の法定相続人算入制限は1人まで。
- 特定居住用宅地等は限度面積330㎡まで80%減額。
- 住宅取得等資金贈与の非課税枠部分は相続開始前3年以内の加算対象外。
間違えやすいところ
- 実子がいるのに養子を2人とも法定相続人の数に含めて非課税限度額を計算してしまう誤り。
- 小規模宅地等の特例で「減額される額」と「課税価格に算入する額」を取り違えてしまう誤り。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の相続税法第12条、第15条、第19条、租税特別措置法第69条の4、第70条の2
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額および総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続人の数 / 養子の算入制限
設例において、Aさんの相続が平成30年5月27日に開始し、課税遺産総額が2億4,000万円であった場合の相続税の総額を計算するにあたり、表の空欄①~④に入る数値を求めなさい(単位:万円)。 表: (a)課税価格の合計額:□□□万円 (b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 課税遺産総額(a-b):2億4,000万円 相続税の総額の基となる税額 妻Bさん:( ② )万円 長女Cさん:( ③ )万円 … (c)相続税の総額:( ④ )万円 〈資料〉相続税の速算表(一部抜粋) 法定相続分に応ずる取得金額/税率/控除額 ~1,000万円以下:10%/- 1,000万円超~3,000万円以下:15%/50万円 3,000万円超~5,000万円以下:20%/200万円 5,000万円超~1億円以下:30%/700万円 1億円超~2億円以下:40%/1,700万円 2億円超~3億円以下:45%/2,700万円
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解答
① 5,400、② 3,100、③ 600、④ 4,900
解説
相続税の基礎控除や相続税の総額の計算において、被相続人に実子がいる場合、法定相続人の数に含めることができる普通養子の数は1人に制限されます。相続税の総額は、課税遺産総額を民法上の法定相続人の数(制限適用後)の法定相続分で按分し、各取得金額に速算表の税率を適用して算出した各税額を合計して求めます。
解き方
- 法定相続人の数を判定する:被相続人に実子(長女C・二女D)がいるため、養子(孫F・孫G)のうち法定相続人の数に算入できるのは1人のみ。配偶者(妻B)+実子2人+養子1人の計4人となる。
- 遺産に係る基礎控除額を計算する:3,000万円+600万円×4人=5,400万円(①の解答)。
- 課税遺産総額(2億4,000万円)を各人の法定相続分で按分する:妻Bは1/2(1億2,000万円)、子3人(長女C、二女D、養子1人)は各1/6(4,000万円)。
- 速算表を適用して各人の基となる税額を算出し、合計する:妻Bは1億2,000万円×40%-1,700万円=3,100万円(②の解答)。長女Cは4,000万円×20%-200万円=600万円(③の解答)。他の子2人も各600万円。相続税の総額は3,100万円+600万円×3=4,900万円(④の解答)。
答えの内訳
- ①:5,400
- 実子がいる場合、相続税の基礎控除額の計算における法定相続人の数に算入できる養子の数は1人までです。したがって法定相続人の数は「配偶者+実子2人+養子1人」の計4人となり、遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×4人=5,400万円」となります。
- ②:3,100
- 法定相続分に応ずる取得金額において、妻Bさんの法定相続分は1/2です。取得金額は「2億4,000万円×1/2=1億2,000万円」となり、速算表より「1億2,000万円×40%-1,700万円=3,100万円」となります。
- ③:600
- 子側の法定相続分1/2を基礎控除上の法定相続人である子3人(長女C、二女D、養子1人)で均等分割すると、長女Cさんの法定相続分は「1/2×1/3=1/6」です。長女Cさんの法定相続分に応ずる取得金額は「2億4,000万円×1/6=4,000万円」となり、税額は速算表より「4,000万円×20%-200万円=600万円」となります。
- ④:4,900
- 妻Bさんの税額は3,100万円、子3人(長女C・二女D・養子1人)の税額は各自600万円ずつ(合計1,800万円)となります。これらを合算した相続税の総額は「3,100万円+600万円×3=4,900万円」となります。
覚えるポイント
- 被相続人に実子がいる場合に法定相続人の数に含められる養子は1人まで(実子がいない場合は2人まで)。
- 遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数。
間違えやすいところ
- 実子がいるにもかかわらず養子2人とも法定相続人の数に含めてしまい、法定相続人を5人と誤認すること。
- 長女Cの法定相続分を計算する際、養子を考慮せず実子2人のみで分けると誤認すること。
出題の前提:特に指示のない限り、2017年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2018年5月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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