日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
特別支給の老齢厚生年金の受給要件・開始年齢および年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 公的年金 / 報酬比例部分の計算
X社に勤務するAさん(昭和33年5月21日生まれ・男性)の65歳到達前における公的年金の受給に関する次の説明文について、空欄①~③に入る適切な数値を求めなさい。なお、年金額は平成29年度価額に基づいて計算し、円未満は四捨五入すること。 「老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として65歳ですが、経過措置として、老齢基礎年金に係る( ① )年の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることなどの所定の要件を満たしている方は、65歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。 昭和33年5月生まれのAさんは、原則として、( ② )歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。Aさんが( ② )歳から受給することができる特別支給の老齢厚生年金の額は、下記<資料>の計算式により、年額( ③ )円となります」 <資料:特別支給の老齢厚生年金の計算式(本来水準の額)> ・特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の額=ⓐ+ⓑ ⓐ 平成15年3月以前の期間分:平均標準報酬月額(32万円)×(7.125/1,000)×平成15年3月以前の被保険者期間の月数(264月) ⓑ 平成15年4月以後の期間分:平均標準報酬額(48万円)×(5.481/1,000)×平成15年4月以後の被保険者期間の月数(181月)
解答・解説を表示
解答
① 10(年) ② 63(歳) ③ 1,078,109(円)
解説
特別支給の老齢厚生年金を受給するには、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)を満たし、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることが要件です。男性の場合、昭和32年4月2日〜昭和34年4月1日生まれは63歳から報酬比例部分が支給されます。
解き方
- 受給資格期間の要件を確認する(平成29年8月以降は10年)。
- 生年月日に基づき支給開始年齢を特定する(昭和33年5月生まれの男性は63歳)。
- 平成15年3月以前と4月以後の計算式に標準報酬と月数をそれぞれ代入して合算し、端数を四捨五入する。
答えの内訳
- ①:10
- 2017年(平成29年)8月施行の法改正により、老齢年金の受給資格期間は25年から10年に短縮されました。
- ②:63
- 昭和33年5月生まれの男性は、報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢が63歳からとなります。
- ③:1,078,109
- ⓐ 平成15年3月以前分:320,000円×(7.125/1,000)×264月=601,920円。ⓑ 平成15年4月以後分:480,000円×(5.481/1,000)×181月=476,189.28円。合算すると601,920円+476,189.28円=1,078,109.28円となり、円未満を四捨五入して1,078,109円です。
覚えるポイント
- 男性の報酬比例部分の支給開始年齢:昭和28〜29年生まれは61歳、昭和30〜31年生まれは62歳、昭和32〜33年生まれは63歳、昭和34〜35年生まれは64歳、昭和36年4月2日以降は65歳。
間違えやすいところ
- 法改正前の受給資格期間「25年」と混同しないように注意が必要です。
- 月数や乗率の掛け算の計算過程で四捨五入せず、合算後の最終合計額で円未満を四捨五入します。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
65歳以降の公的年金給付(老齢基礎年金額・加給年金・繰上げ支給)の正誤判定
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 加給年金 / 年金の繰上げ受給
Aさんが65歳以後に受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「Aさんが65歳に達すると、特別支給の老齢厚生年金の受給権は消滅し、新たに老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権が発生します。Aさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の額は、779,300円(平成29年度価額)となります」 ② 「妻Bさんの厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あるため、Aさんが65歳から受給する老齢厚生年金の額には、加給年金額は加算されません」 ③ 「定年退職後、Aさんは老齢厚生年金の繰上げ支給を請求することができますが、その場合、老齢厚生年金の繰上げ支給の請求と同時に老齢基礎年金の繰上げ支給の請求を行わなければなりません」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
老齢基礎年金額は480月に対する保険料納付済月数等の割合で算出され、未加入期間があると満額にはなりません。加給年金は配偶者が被保険者期間20年以上の老齢給付を受ける権利を有している間は支給停止されますが、受給権が発生していない期間は加算されます。また繰上げ受給は基礎年金と厚生年金を同時に請求する必要があります。
解き方
- 記述①:加入期間を確認し、未加入期間(35月)が存在するため老齢基礎年金が満額(779,300円)にならないことを判定する。
- 記述②:配偶者Bさんの年齢(51歳)を確認し、受給権がまだ発生していないため加給年金が停止されないことを判定する。
- 記述③:繰上げ請求における基礎年金と厚生年金の同時請求要件を確認し正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- Aさんは学生時代の国民年金未加入期間が35月あり、満額の納付済月数(480月)に達していないため、満額である779,300円を受給することはできません。
- 小問 ②:×
- 配偶者の厚生年金期間が20年以上ある場合に加給年金が支給停止されるのは配偶者が老齢厚生年金を受給できる年齢に達した時です。妻Bさんは51歳であり受給権が発生していないため、Aさんの加給年金額は加算されます。
- 小問 ③:○
- 老齢厚生年金の繰上げ支給を請求する場合、原則として老齢基礎年金の繰上げ支給の請求と同時に行わなければなりません。
覚えるポイント
- 加給年金の支給停止事由は「配偶者が20年以上の被保険者期間に基づく老齢厚生年金等の受給権を有するとき」であり、単に被保険者期間が20年以上あっても年金受給前であれば支給停止されない。
間違えやすいところ
- 配偶者の厚生年金加入期間が20年以上あるという記述だけで直ちに加給年金が全額停止になると早合点しないよう、配偶者の実年齢・受給状況を確認すること。
- 繰下げは老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々に請求できますが、繰上げは両者同時に行わなければならない点を取り違えやすい。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
健康保険の任意継続と介護保険制度
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険の任意継続被保険者 / 介護保険の被保険者区分 / 介護保険料の特別徴収
定年退職後の公的医療保険および公的介護保険に関する次の文章の空欄①〜③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉の中から選びなさい。 Ⅰ 「Aさんが定年退職により健康保険の被保険者資格を喪失した場合、退職後の公的医療保険については、『国民健康保険に加入する』『退職時の健康保険に任意継続被保険者として加入する』『妻Bさんが加入する健康保険の被扶養者となる』等の方法があります。退職時の健康保険に任意継続被保険者として加入する場合、その手続は、原則として退職日の翌日から20日以内に行う必要があり、任意継続被保険者として健康保険に加入できる期間は最長( ① )年間です。また、妻Bさんが加入する健康保険の被扶養者となるためには、一定の要件を満たす必要があります」 Ⅱ 「介護保険の被保険者は、( ② )歳以上の第1号被保険者と40歳以上( ② )歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に分けられます。第2号被保険者に係る介護保険料は、各医療保険者がそれぞれの医療保険各法に基づいて、賦課・徴収します。また、第1号被保険者に係る介護保険料は、当該被保険者が公的年金制度から年額( ③ )万円以上の年金を受給している場合には、原則として公的年金から特別徴収されます」
- イ
- 1
- ロ
- 2
- ハ
- 5
- ニ
- 12
- ホ
- 15
- ヘ
- 18
- ト
- 65
- チ
- 70
- リ
- 75
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ト ③ ヘ
解説
退職後の公的医療保険には任意継続(最長2年)等の選択肢があり、公的介護保険は65歳を境界に第1号と第2号に区分され、保険料徴収方法も異なります。
解き方
- 健康保険の任意継続被保険者の要件(退職前2か月以上の被保険者期間、退職翌日から20日以内の届出、最長2年間の加入)を確認して空欄①を特定します。
- 介護保険の被保険者区分(第1号は65歳以上、第2号は40歳以上65歳未満)を確認して空欄②を導きます。
- 第1号被保険者の介護保険料の徴収方法(年金受給額が年額18万円以上で原則特別徴収、18万円未満は普通徴収)を整理して空欄③を特定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 健康保険の任意継続被保険者として加入できる期間は、資格取得日から最長で2年間となります。
- 小問 ②:ト
- 介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40歳以上65歳未満の医療保険加入者である第2号被保険者に区分されます。
- 小問 ③:ヘ
- 第1号被保険者の介護保険料は、受給している老齢・退職年金等の額が年額18万円以上の場合は原則として年金から天引き(特別徴収)されます。
覚えるポイント
- 健康保険の任意継続は最長2年、手続は退職翌日から20日以内に行う必要があります。
- 介護保険は65歳以上が第1号被保険者、年額18万円以上の年金受給者は特別徴収となります。
間違えやすいところ
- 第1号被保険者の特別徴収基準である年額「18万円」を「10万円」や「12万円」と取り違えないように注意が必要です。
- 任意継続の申請期限「退職翌日から20日以内」と被保険者期間「最長2年」の数字を混同しないように整理しましょう。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の健康保険法および介護保険法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨建て終身保険の特徴とリスク
リスク管理 · 外貨建て保険の為替リスク / 市場価格調整(MVA) / アセットアロケーション / 生命保険契約者保護機構
外貨建て一時払終身保険に加入する際の注意点等に関する次の文章の空欄①〜④に入る最も適切な語句を、〈語句群〉の中から選びなさい。 「当該生命保険の積立金は期間の経過とともに増加しますが、死亡保険金や解約返戻金の受取時に適用される為替レートが契約時に適用された為替レートに比べて( ① )になれば、円換算の金額において、損失を被る可能性があります。また、市場価格調整(MVA)機能を有する外貨建て終身保険は、市場金利に応じた運用資産の価格変動に伴い、解約返戻金額が増減します。仮に、市場価格調整が行われる期間において解約時の市場金利が3%の場合と4%の場合を比較すると、外貨建ての解約返戻金額は3%の場合のほうが4%の場合に比べて( ② )なります。 保有する金融資産の( ③ )を考えた場合、一部を外貨建て商品で運用することは検討事項の1つとなります。( ③ )とは、運用資産を株式、債券、短期金融商品など、どの資産分類にどの程度の割合で資産を配分するかに関する決定を行うことです。外貨建て終身保険は、予定利率等が高く、運用商品の1つとなりますが、預貯金と異なり、外貨建ての積立金が一定期間、基本保険金額を下回ります。また、諸費用の内容を十分に確認する必要もあります。他の金融商品とは異なる生命保険の仕組み・特徴を理解し、加入にあたっては、長期的な視点で検討することが大切です。 なお、AさんがX銀行の窓口において外貨建て一時払終身保険に加入する場合、当該契約は生命保険契約者保護機構による保護の対象と( ④ )」
- イ
- 円安
- ロ
- 円高
- ハ
- 多く
- ニ
- 少なく
- ホ
- シャープレシオ
- ヘ
- アセットアロケーション
- ト
- デュレーション
- チ
- なりません
- リ
- なります
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ハ ③ ヘ ④ リ
解説
外貨建て保険は円高による為替差損リスクや市場金利変動による市場価格調整(MVA)リスクがあり、銀行窓口で販売された契約も国内生保のものであれば保護機構の対象です。
解き方
- 外貨から円へ換算する際の為替リスク(円高進行で円換算額が目減りする)を確認し、空欄①に「円高」を当てはめます。
- 市場価格調整(MVA)の仕組み(市場金利が低下すれば解約返戻金が増加し、上昇すれば減少する)に基づき、3%と4%を比較して空欄②に「多く」を当てはめます。
- 資産ごとの配分割合を決める概念の定義から空欄③に「アセットアロケーション」を特定します。
- 銀行窓口販売の生命保険契約に対する生命保険契約者保護機構の適用可否(窓口に関わらず国内生命保険会社の契約は対象となる)を確認し、空欄④に「なります」を導きます。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 外貨建て商品を受け取って円に換算する場合、為替レートが契約時よりも円高になると円換算額が減少し、為替差損を被るリスクがあります。
- 小問 ②:ハ
- 市場価格調整(MVA)では、解約時の市場金利が契約時より低下すると債券価格の上昇に伴い解約返戻金が増加し、金利が高いほど解約返戻金は減少するため、3%のときの解約返戻金は4%のときより多くなります。
- 小問 ③:ヘ
- 株式、債券、短期金融商品などの資産分類(アセットクラス)へ資金をどのような割合で配分するかを決定することを「アセットアロケーション(資産配分)」といいます。
- 小問 ④:リ
- 銀行窓口等の保険募集代理店で加入した生命保険契約であっても、引受保険会社が日本で事業を行う生命保険会社であれば生命保険契約者保護機構の保護の対象となります。
覚えるポイント
- 市場価格調整(MVA)は「市場金利低下=解約返戻金増加」「市場金利上昇=解約返戻金減少」となります。
- 銀行窓口で加入した生命保険も生命保険契約者保護機構の保護対象です。
間違えやすいところ
- 外貨受け取りから円貨換算時の為替リスクについて、円安と円高を逆に取り違えやすいため注意が必要です。
- 銀行窓口で加入すると預金保険制度の対象になると勘違いしたり、保護機構の対象外になると誤解しないようにしましょう。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の保険業法および関連法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨建て一時払終身保険に係る税務
リスク管理 · 生命保険の税務 / 外貨建て保険 / 死亡保険金の非課税限度額 / 一時所得 / 金融類似商品
個人で賃貸アパートを所有するAさん(65歳)が、銀行窓口で提案を受けた外貨建て一時払終身保険(契約者・被保険者:Aさん、死亡保険金受取人:妻Bさん)に係る課税関係等に関する記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
外貨建て生命保険であっても、所得税や相続税における基本的な税法上の取扱いは円建て生命保険と同様です。ただし、所得税の計算にあたっては外貨ベースではなく、受取時の為替レートを用いて円換算した金額を基準に計算する必要があります。また、金融類似商品として5年以内解約時に源泉分離課税が適用されるのは一時払養老保険等であり、保険期間が終身である終身保険は対象外です。
解き方
- 死亡保険金受取人が相続人である場合の相続税の非課税規定(500万円×法定相続人の数)の適用可否を確認する。
- 外貨で受け取った解約返戻金の所得計算における邦貨換算の必要性を確認する。
- 一時払終身保険が金融類似商品(5年以内解約の源泉分離課税)に該当するかどうかを契約類型から判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 外貨建て終身保険であっても、契約者と被保険者が同一で受取人が相続人である場合、円建て終身保険と同様に「500万円×法定相続人の数」を限度とする死亡保険金の非課税金額の規定が適用されます。
- 小問 ②:○
- 契約者である個人が解約返戻金を外貨(指定通貨)のまま受け取った場合であっても、日本の所得税法上の所得金額(一時所得)を計算する際には、着金日・支払期日等の為替レート(TTB等)により円換算して算出します。
- 小問 ③:×
- 保険期間が5年以下のものや契約から5年以内に解約された一時払養老保険等は金融類似商品として源泉分離課税の対象となりますが、一時払終身保険は保険期間が終身であるため金融類似商品には該当せず、5年以内の解約であっても一時所得として総合課税(確定申告の対象)となります。
覚えるポイント
- 一時払終身保険は保険期間が終身であるため、加入後5年以内に解約しても金融類似商品としての源泉分離課税の対象にはならず一時所得となる。
間違えやすいところ
- 一時払養老保険(5年以内解約で源泉分離課税)と一時払終身保険(5年以内解約でも総合課税の一時所得)の税務上の取扱いを混同しやすい。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
終身保険の一般的な活用方法と相続対策
相続・事業承継 · 生命保険の活用 / 遺産分割対策 / 遺留分 / 契約形態と課税関係 / 暦年贈与
Aさん(65歳)に対する終身保険の一般的な活用方法(遺産分割対策・税負担軽減・遺留分等)に関する記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
生命保険契約において指定された死亡保険金受取人が受け取る保険金は、民法上は相続財産ではなく受取人固有の財産とみなされます。したがって、遺産分割協議や遺留分算定の基礎財産には原則として含まれません(最高裁判例)。また、契約形態(契約者・被保険者・受取人の組み合わせ)を変えることで課税区分(相続税・所得税・贈与税)をコントロールできるため、生前贈与と組み合わせた相続対策に広く利用されます。
解き方
- 死亡保険金が民法上の遺産分割協議の対象になるか否か(受取人固有の財産性)を判定する。
- 契約形態による課税関係の違い(相続税対象か所得税・一時所得対象か)と暦年贈与を併用した節税効果を検討する。
- 最高裁判例に基づき、死亡保険金が遺留分算定の基礎財産に含まれるか否かの原則と例外(特段の事情)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 死亡保険金請求権は保険契約の効果として指定受取人に直接帰属する受取人固有の財産であり、原則として遺産分割協議の対象外となるため、特定の人に確実に資産を遺す遺産分割対策として活用できます。
- 小問 ②:○
- 契約者・受取人を相続人、被保険者を被相続人とし、保険料を被相続人からの暦年贈与で賄うプランでは、保険金が所得税(一時所得)の対象となります。多額の遺産があり相続税の実効税率が高い場合、50万円控除後に2分の1課税される一時所得のほうが税負担を抑えられるケースがあります。
- 小問 ③:×
- 死亡保険金は受取人固有の財産であるため、共同相続人間に著しい不公平が生じるなど「特段の事情」がない限り、原則として遺留分算定の基礎となる財産(基礎財産)には含まれません。
覚えるポイント
- 死亡保険金は受取人固有の財産であり、原則として遺産分割協議の対象外かつ遺留分算定の基礎財産にも含まれない。
間違えやすいところ
- 税法上のみなし相続財産(相続税の課税対象)という概念と、民法上の相続財産・遺留分の基礎財産の概念を取り違えて、死亡保険金が当然に遺留分の対象になると誤解しやすい。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得控除額および退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得 / 退職所得控除額 / 役員退職金
Aさんが役員在任期間(勤続年数)33年3カ月でX社を退任し、X社から役員退職金として7,000万円の支給を受けた。この役員退職金に係る退職所得控除額および退職所得の金額を求める計算式中の空欄①~③に入る適切な数値を計算しなさい。なお、Aさんには他に退職手当等の収入はなく、障害者となったことが退職の直接原因ではないものとする。 〈退職所得控除額〉 ( ① )万円+70万円×(□□□年-20年)=( ② )万円 〈退職所得の金額〉 (7,000万円-( ② )万円)×△△△=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 800 ② 1,780 ③ 2,610
解説
退職所得控除額の計算において、勤続年数に1年未満の端数がある場合は一律に切り上げて1年として扱います。勤続年数が20年を超える場合の控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」となります。また、役員等としての勤続年数が5年以下の場合は1/2を乗じる措置が排除される特定役員退職手当等の規定がありますが、5年を超える場合は通常の2分の1課税が適用されます。
解き方
- 役員在任期間(勤続年数)33年3カ月の1年未満の端数を切り上げ、勤続年数を34年と判定する。
- 退職所得控除額の算式「800万円+70万円×(34年-20年)」を計算し、空欄①の800万円および空欄②の1,780万円を導く。
- 収入金額7,000万円から退職所得控除額1,780万円を控除した残額5,220万円に2分の1を乗じて、退職所得の金額2,610万円を算出する。
答えの内訳
- ①:800
- 勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で計算されるため、空欄①は40万円×20年=800(万円)となります。
- ②:1,780
- 勤続年数は33年3カ月であり、1年未満の端数は切り上げて34年として計算します。したがって、退職所得控除額は 800万円+70万円×(34年-20年) = 800万円+980万円 = 1,780(万円)となります。
- ③:2,610
- Aさんの勤続年数は5年を超えているため特定役員退職手当等には該当せず、通常の退職所得の計算(2分の1課税)が適用されます。退職所得の金額は (7,000万円-1,780万円)×1/2 = 5,220万円×1/2 = 2,610(万円)となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月単位であっても切り上げて1年単位として計算する。
- 勤続年数20年超の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」。
- 役員等勤続年数が5年以下の場合は1/2掛けが適用されないが、5年超であれば通常通り1/2を乗じる。
間違えやすいところ
- 勤続年数33年3カ月の端数を切り捨てて33年として計算してしまう誤り。
- 役員退職金であることを理由に、勤続年数が5年超であるにもかかわらず1/2計算を行わない誤り。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人契約の終身保険の経理処理と名義変更に伴う取扱い
リスク管理 · 法人保険の解約時経理処理 / 契約者変更による役員退職金支給 / 死亡保険金の非課税限度額
X社が加入している終身保険(契約者・受取人:X社、被保険者:Aさん、保険料払込満了済、資産計上額1,800万円、現時点の解約返戻金1,980万円)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
法人が契約者かつ死亡保険金受取人である終身保険を解約した際、解約返戻金額が資産計上額(保険料積立金)を上回る場合の差額は雑収入(益金)となります。また、法人保険の契約者・受取人を役員やその相続人に変更して現物支給することで役員退職金とすることが可能であり、契約者変更後に被保険者の死亡により相続人が受け取る死亡保険金には相続税の非課税枠が適用されます。
解き方
- 記述①:解約返戻金額(1,980万円)と資産計上額(1,800万円)を比較し、返戻金のほうが大きいため差額180万円は雑収入となることを確認して不適切と判定する。
- 記述②:役員退職金として保険契約の権利を現物支給(名義変更)することが可能であること、および高利率保険の維持メリットの妥当性を確認して適切と判定する。
- 記述③:被保険者=契約者=被相続人、受取人=相続人となる形態の死亡保険金について、相続税のみなし相続財産としての非課税規定が適用できることを確認して適切と判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 現時点で解約した場合、受け取る解約返戻金1,980万円と資産計上されている保険料積立金1,800万円との差額180万円は、資産計上額を上回っているため「雑収入(益金)」として経理処理します。「雑損失」とする本記述は不適切です。
- 小問 ②:○
- 法人が契約者となっている生命保険は、解約返戻金相当額で評価して契約者を役員本人、死亡保険金受取人を遺族等に名義変更することにより、役員退職金の現物支給として活用することができます。高予定利率の保険を個人で継続する合理的な選択肢となります。
- 小問 ③:○
- 契約者を被相続人(Aさん)、被保険者をAさん、受取人を相続人(長男Bさん)とする生命保険契約において、相続人が受け取る死亡保険金はみなし相続財産となり、「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額の適用対象となります。
覚えるポイント
- 法人の解約返戻金受取時:解約返戻金>保険料積立金なら差額は雑収入、逆なら雑損失。
- 法人契約の生命保険は名義変更により退職金の現物支給として支給可能。
- 相続人が受け取るみなし相続財産の死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税限度額がある。
間違えやすいところ
- 解約返戻金が積立金を超過しているのに雑損失と処理してしまう誤り。
- 名義変更によって取得した契約からの死亡保険金について、相続税の非課税限度額が適用できないと誤解すること。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
長期平準定期保険の経理処理と解約時の仕訳
リスク管理 · 長期平準定期保険 / 法人の生命保険の経理処理 / 解約返戻金と仕訳
MさんがAさんに対して説明した、長男Bさんを被保険者とする無配当定期保険(99歳満了、契約者・死亡保険金受取人:X社)の経理処理に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉の中から選びなさい。 「当該定期保険の場合、保険期間開始時から当該保険期間の( ① )割に相当する期間においては、支払保険料の( ② )を前払保険料として資産計上し、残りの支払保険料については、一般の定期保険の支払保険料の取扱い同様、期間の経過に応じて損金の額に算入します。なお、( ① )割に相当する期間を経過した後の期間においては、支払保険料の全額を損金の額に算入するとともに、それまでに資産に計上した前払保険料の累積額をその期間の経過に応じ取り崩して損金の額に算入します。 当該定期保険の単純返戻率(解約返戻金÷払込保険料累計額)は、契約の当初から上昇し、65歳から70歳前後にピークを迎えます。その解約返戻金は、役員退職金の原資や設備投資等の事業資金として活用することができます。仮に、65歳時において当該定期保険を解約した場合(X社が解約時までに支払った保険料の総額は5,100万円とする)のX社の経理処理は、以下のようになります」 <解約返戻金受取時のX社の経理処理(仕訳)> [借方]現金・預金 4,750万円 [貸方]前払保険料( ③ )万円 / ( ④ ) □□□万円 〈語句群〉 イ.4 ロ.5 ハ.6 ニ.1,700 ホ.2,550 ヘ.3,400 ト.2分の1 チ.3分の1 リ.3分の2 ヌ.雑損失 ル.雑収入
- イ
- 4
- ロ
- 5
- ハ
- 6
- ニ
- 1,700
- ホ
- 2,550
- ヘ
- 3,400
- ト
- 2分の1
- チ
- 3分の1
- リ
- 3分の2
- ヌ
- 雑損失
- ル
- 雑収入
解答・解説を表示
解答
① ハ、② ト、③ ホ、④ ル
解説
法人が契約する長期平準定期保険(保険期間満了時の被保険者の年齢が70歳超かつ加入時年齢+保険期間×2が105超などの要件を満たす定期保険)は、保険期間の前半6割相当期間中は支払保険料の2分の1を前払保険料として資産計上し、2分の1を損金算入します。解約時には計上済みの前払保険料を取り崩し、受取額との差額を雑収入(益金)または雑損失(損金)として処理します。
解き方
- 加入時年齢40歳・99歳満了(保険期間59年)より長期平準定期保険に該当することを確認し、前半6割期間(59年×0.6=35.4年)において保険料の2分の1を前払保険料として資産計上するルール(①は6、②は2分の1)を特定します。
- 65歳時点での解約(加入から25年経過)は前半6割(35.4年)の期間内であるため、資産計上額は支払保険料総額5,100万円の半額である2,550万円(③)と計算します。
- 受け取った解約返戻金4,750万円から前払保険料2,550万円を差し引いた差額2,200万円はプラスとなるため、貸方に「雑収入」(④)として計上します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 長期平準定期保険では、保険期間開始時から保険期間の6割(0.6)に相当する期間において、支払保険料の一部を前払保険料として資産計上します。
- 小問 ②:ト
- 保険期間の前半6割相当期間においては、支払保険料の2分の1を資産(前払保険料)に計上し、残りの2分の1を損金算入します。
- 小問 ③:ホ
- 65歳時の解約時点までに支払った保険料総額5,100万円は前半6割の期間内であるため、資産計上されている前払保険料累計額は5,100万円×1/2=2,550万円となります。
- 小問 ④:ル
- 受取解約返戻金4,750万円が前払保険料2,550万円を上回るため、差額の2,200万円は貸方に「雑収入」として益金算入されます。
覚えるポイント
- 長期平準定期保険の経理処理:前半6割期間は支払保険料の1/2を資産計上・1/2を損金算入、後半4割期間は全額損金算入+前払保険料均等取崩。
間違えやすいところ
- 逓増定期保険の経理処理区分(解約返戻率に応じた1/2、2/3、3/4資産計上など)と長期平準定期保険のルール(6割期間・1/2資産計上)を混同しないこと。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等に基づく(法人税基本通達9-3-5の2等の改正前取扱基準)。
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得控除の申告要件と医療費控除・セルフメディケーション税制
タックスプランニング · 確定申告を要する所得控除 / 従来の医療費控除 / セルフメディケーション税制
所得税における所得控除等に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、〈語句群〉の中から選びなさい。 Ⅰ 「所得控除のうち、( ① )、医療費控除および寄附金控除については、年末調整では適用を受けることができないため、これらの控除の適用を受けるためには所得税の確定申告が必要となります。 Aさんの平成29年分の医療費控除額を求める計算式は、下記の算式のとおりとなります。医療費控除は、総所得金額等の合計額が200万円以上である者の場合、その年中に支払った医療費の総額が( ② )万円を超えていなければ、適用を受けることはできません」 <従来の医療費控除額の算式> [その年中に支払った医療費の総額]-[保険金などで補填される金額]-( ② )万円 = 医療費控除額(最高200万円) Ⅱ 「平成28年度税制改正により、セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)が創設されています。定期健康診断や予防接種などの一定の取組みを行っている者が自己または自己と生計を一にする配偶者等のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合、その額が12,000円を超えるときは、その超える部分の金額を総所得金額等から控除することができます。本税制に係る控除額は( ③ )円が上限となります。なお、本税制は、従来の医療費控除と( ④ )」 <セルフメディケーション税制に係る医療費控除額の算式> [その年中に支払った特定一般用医薬品等購入費の総額]-[保険金などで補填される金額]-12,000円 = セルフメディケーション税制に係る医療費控除額(最高( ③ )円) 〈語句群〉 イ.10 ロ.20 ハ.30 ニ.38,000 ホ.68,000 ヘ.88,000 ト.雑損控除 チ.小規模企業共済等掛金控除 リ.住宅借入金等特別控除 ヌ.の選択適用となります ル.併用して適用を受けることができます
- イ
- 10
- ロ
- 20
- ハ
- 30
- ニ
- 38,000
- ホ
- 68,000
- ヘ
- 88,000
- ト
- 雑損控除
- チ
- 小規模企業共済等掛金控除
- リ
- 住宅借入金等特別控除
- ヌ
- の選択適用となります
- ル
- 併用して適用を受けることができます
解答・解説を表示
解答
① ト、② イ、③ ヘ、④ ヌ
解説
給与所得者の所得控除のうち、雑損控除・医療費控除・寄附金控除の3つは年末調整では適用できず、確定申告を行う必要があります。従来の医療費控除は正味支払医療費から10万円(または総所得金額等×5%のいずれか低い額)を控除した額(上限200万円)です。特定一般用医薬品等購入費を対象とするセルフメディケーション税制は上限88,000円であり、従来の医療費控除との選択適用となります。
解き方
- 年末調整で受けることができない3つの所得控除(雑損控除・医療費控除・寄附金控除)を思い出し、①に雑損控除(ト)を当てはめます。
- 総所得金額等が200万円以上の場合の医療費控除額の計算式における控除基準額(足切り額)が10万円(イ)であることを確認します。
- セルフメディケーション税制の最高控除額が88,000円(ヘ)であること、および従来の医療費控除との重複適用は不可で「選択適用」(ヌ)となることを確認します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- 所得控除のうち、年末調整では適用できず確定申告が必要なものは「雑損控除」「医療費控除」「寄附金控除」の3つです。
- 小問 ②:イ
- 総所得金額等が200万円以上の場合、従来の医療費控除の足切り額は「10」万円(総所得金額等が200万円未満の場合はその5%)となります。
- 小問 ③:ヘ
- セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)の控除限度額は「88,000」円です。
- 小問 ④:ヌ
- セルフメディケーション税制と従来の医療費控除は重複適用できず、どちらか一方「の選択適用となります」。
覚えるポイント
- 年末調整不可の所得控除3種:雑損控除、医療費控除、寄附金控除。
- セルフメディケーション税制:支払額-12,000円(最高88,000円)、従来の医療費控除との選択適用。
間違えやすいところ
- セルフメディケーション税制の控除上限額(88,000円)と購入上限額(10万円)を混同しないように注意する。
- 住宅借入金等特別控除は税額控除であり所得控除ではない点に注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の一時所得・扶養控除・電子申告の取扱い
タックスプランニング · 一時所得 / 扶養控除 / e-Tax
設例に基づき、会社員Aさんの平成29年分の所得税の課税に関する記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「一時払養老保険(10年満期)の満期保険金および一時払変額個人年金保険(確定年金)の解約返戻金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となります」 ② 「長女Cさんの合計所得金額は38万円以下となりますので、Aさんは長女Cさんに係る扶養控除の適用を受けることができます」 ③ 「確定申告を行う場合、確定申告書を税務署に持参または送付して提出する方法のほかに、e-Taxを利用する方法があります。しかし、医療費控除の適用を受けるためには、原則として確定申告書に医療費等の領収書を添付しなければなりませんので、e-Taxを利用して確定申告をすることはできません」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
一時所得は保険料負担者と受取人が同一の満期金等に適用され、5年超の契約は総合課税となります。また扶養控除は合計所得金額38万円以下が要件です。
解き方
- 一時払養老保険および変額個人年金保険の課税区分(金融類似商品に該当しないことによる総合課税の一時所得)を確認する。
- 長女Cの給与収入から給与所得控除(65万円)を差し引いた所得金額を算出し、扶養控除の所得要件(38万円以下)と比較する。
- e-Taxにおける医療費控除の取扱い(領収書原本の提出省略と明細書の送信)を確認して記述の正誤を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 保険期間が5年を超える一時払養老保険の満期保険金や変額個人年金保険の解約返戻金(契約者と受取人が同一)は、金融類似商品としての源泉分離課税の対象外であり、一時所得として総合課税の対象となります。
- 小問 ②:×
- 長女Cさんの給与収入は140万円であり、給与所得控除額65万円を差し引いた給与所得の金額は75万円となります。控除対象扶養親族の要件である合計所得金額38万円以下を満たさないため、扶養控除の適用を受けることはできません。
- 小問 ③:×
- e-Taxを利用して確定申告を行う場合、医療費の明細書等を入力・送信することで医療費控除の適用を受けることができ、領収書の提出・提示は省略(5年間の保存義務)できます。したがって、e-Taxによる申告は可能です。
覚えるポイント
- 給与収入103万円以下で給与所得38万円以下となり、扶養控除等の対象基準を満たします。
- 保険期間5年以下または5年以内に解約された一時払養老保険等は源泉分離課税(20.315%)となります。
間違えやすいところ
- 給与収入額そのものを合計所得金額と混同し、給与所得控除を差し引く計算を失念するミスに注意が必要です。
- e-Taxで医療費領収書の提出が必要であると誤認しないようにします。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(平成29年分所得税法)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額・扶養控除額・所得税の算出税額の計算
タックスプランニング · 総所得金額 / 一時所得の金額 / 特定扶養親族 / 所得税額の速算表
設例の資料に基づいて、Aさんの平成29年分の所得税の算出税額を計算するにあたり、表の空欄①~③に入る適切な数値を求めなさい。 給与所得の金額:□□□円 一時所得の金額:□□□円 (a)総所得金額:( ① )円 扶養控除:( ② )円 (b)所得控除の額の合計額:3,200,000円 (c)課税総所得金額((a)-(b)):□□□円 (d)算出税額((c)に対する所得税額):( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 10,300,000(円) ② 630,000(円) ③ 997,000(円)
解説
総所得金額は各種所得の合計(一時所得は特別控除後1/2)で求め、所得控除合計を差し引いた課税総所得金額に税率を乗じて速算控除額を差し引きます。
解き方
- 給与所得(給与収入1,100万円-控除上限220万円=880万円)を計算する。
- 養老保険満期金および変額年金解約返戻金の一時所得を算出し、特別控除50万円を引いた後の金額の1/2(150万円)を求めて総所得金額を算出する。
- 扶養親族の所得・年齢条件を確認し、二女Dが特定扶養親族(控除額63万円)であることを判定する。
- 総所得金額から所得控除合計(320万円)を差し引いた課税総所得金額(710万円)に速算表を適用して税額を計算する。
答えの内訳
- ①:10,300,000
- 給与所得=1,100万円-220万円=880万円。一時所得の総収入金額は満期保険金550万円+解約返戻金1,300万円=1,850万円、支出金額は500万円+1,000万円=1,500万円。一時所得の金額=1,850万円-1,500万円-特別控除50万円=300万円。総所得金額に算入する額は300万円×1/2=150万円。よって総所得金額は880万円+150万円=10,300,000円となります。
- ②:630,000
- 長女Cさんは合計所得金額が38万円超のため扶養控除の対象外です。二女Dさん(20歳)は収入がなく、年齢が19歳以上23歳未満に該当するため「特定扶養親族」となり、扶養控除額は630,000円となります。
- ③:997,000
- 課税総所得金額は(a)1,030万円-(b)320万円=710万円(1,000円未満の端数なし)。速算表より税率は23%、控除額は636,000円であるため、算出税額=7,100,000円×23%-636,000円=997,000円となります。
覚えるポイント
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額は63万円、一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満)は38万円です。
- 総所得金額を求める際、総合課税の一時所得は特別控除額(最高50万円)控除後の残額に1/2を乗じて合算します。
間違えやすいところ
- 一時所得の1/2課税を忘れて300万円全額を給与所得に足してしまう計算ミスが頻発します。
- 二女(20歳)の扶養控除額を一般扶養の38万円としてしまう誤りに注意が必要です。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(平成29年分所得税法)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額
Aさんの相続が開始した場合における相続税の総額の試算について、次の表の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は4億4,000万円とし、推定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人である。 (a)相続税の課税価格の合計額:4億4,000万円 (b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 課税遺産総額((a)-(b)):□□□万円 相続税の総額の基となる税額 妻Bさん:□□□万円 長男Cさん:( ② )万円 長女Dさん:□□□万円 (c)相続税の総額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800(万円)、② 2,240(万円)、③ 10,620(万円)
解説
相続税の総額の計算では、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、それを各法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定して各人の税額を速算表から算出した後、それらを合計します。
解き方
- 法定相続人の数から基礎控除額を算出し、課税価格合計額から控除して課税遺産総額を求めます(4億4,000万円-4,800万円=3億9,200万円)。
- 民法上の法定相続分(配偶者1/2、子各1/4)に応じて各人の取得金額を按分計算します。
- 速算表を適用して各相続人の税額を計算し、合算して相続税の総額を導き出します。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:2,240
- 課税遺産総額は4億4,000万円-4,800万円=3億9,200万円です。長男Cさんの法定相続分は4分の1なので、法定相続分に応ずる取得金額は3億9,200万円×1/4=9,800万円となります。速算表より5,000万円超1億円以下の税率は30%、控除額700万円を適用し、9,800万円×30%-700万円=2,240万円となります。
- ③:10,620
- 妻Bさんの取得金額1億9,600万円に対する税額は1億9,600万円×40%-1,700万円=6,140万円、長女Dさんの税額は長男Cさんと同じく2,240万円となります。したがって、相続税の総額は6,140万円+2,240万円+2,240万円=10,620万円となります。
覚えるポイント
- 基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算する。
- 相続税の総額は実際の按分割合ではなく、民法の法定相続分で按分して算出する。
間違えやすいところ
- 実際の遺産分割割合で課税遺産総額を按分して速算表を適用してしまう誤り。
- 法定相続分の計算で配偶者と子の配分割合を混同してしまうミス。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の税制・法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺産分割および遺言・生前対策
相続・事業承継 · 未分割遺産の特例適用 / 公正証書遺言 / 生命保険を活用した遺留分・代償分割対策
Aさんの相続対策等に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を解答しなさい。 ① 長男Cさんと長女Dさんとの間で争いが起こり、相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わなかった場合、相続税の申告時において、未分割の財産に対して「配偶者に対する相続税額の軽減」や「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることができないというデメリットが生じる。 ② 遺産分割をめぐる争いを防ぐために、遺言により遺産の分割の方法を指定されることをお勧めする。形式不備による無効や遺言書の紛失等を考えると公正証書遺言が望ましい。公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成する。 ③ 自宅や賃貸マンション等の相続財産の大半を長男Cさんに相続させた場合、長女Dさんの遺留分を侵害する可能性がある。代償交付金の準備を目的として、契約者および死亡保険金受取人を長男Cさん、被保険者をAさんとする終身保険に加入することも検討事項の1つとなる。その場合、Aさんが長男Cさんの負担する保険料を暦年課税で贈与するプランも検討できる。
- ①
- 相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わない場合、申告時において未分割財産に対して「配偶者に対する相続税額の軽減」や「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることはできない。
- ②
- 公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成する。
- ③
- 長女Dさんの遺留分侵害に対応する代償交付金の準備として、契約者・死亡保険金受取人を長男Cさん、被保険者をAさんとする生命保険に加入し、保険料相当額をAさんから長男Cさんへ生前贈与するプランが検討できる。
解答・解説を表示
解答
① ○、② ○、③ ○
解説
遺産分割が未了の財産には重要な税額軽減・特例が即座に適用できないため、遺言による分割指定や、相続人を受取人とする生命保険を活用した代償資金の準備が円滑な資産承継において有効です。
解き方
- 未分割財産に対する税制上の特例適用の可否と申告期限における取扱いを確認します。
- 民法に定められた公正証書遺言の作成手続き(証人2人以上、公証人の口授筆記)の正当性を判断します。
- 遺留分減殺(侵害額)請求に対する代償交付金の準備として、生命保険契約形態と生前贈与のスキームが適切であるかを評価します。
- 選択肢 ①正解
- 申告期限時点で分割されていない遺産に対しては、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は原則として申告時に適用できません。
- 選択肢 ②正解
- 公正証書遺言は証人2人以上の立会いを要し、遺言者の口授に基づき公証人が筆記・作成するため正しい記述です。
- 選択肢 ③正解
- 後継者が取得する死亡保険金(一時所得扱い)を他の相続人への代償分割資金として準備し、保険料を生前贈与する手法は極めて実用的で適切です。
答えの内訳
- ①:○
- 記述のとおりです。申告期限までに遺産分割が調わない未分割財産については、原則として配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用を受けることができません(申告後3年以内の分割見込書を提出して後日適用を受ける手続は可能です)。
- ②:○
- 記述のとおりです。公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成するため、形式不備による無効リスクを防ぐことができます。
- ③:○
- 記述のとおりです。長男を契約者・受取人、父を被保険者とする生命保険に加入し、受取保険金を長女に対する遺留分減殺請求等の代償金原資に充てる手法は有効であり、保険料を暦年贈与することも可能です。
覚えるポイント
- 未分割のままでは配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は当初申告で適用できない。
- 公正証書遺言には証人2人以上の立会いが必要で、検認は不要である。
間違えやすいところ
- 申告後3年以内の分割見込書を出せば申告時点で特例適用を受けられると誤認すること。
- 公正証書遺言の証人の人数要件(2人以上)を1人と勘違いすること。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の税制・民法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生前贈与の非課税制度および基礎控除
相続・事業承継 · 暦年課税の基礎控除 / 教育資金の一括贈与の非課税特例 / 住宅取得等資金の贈与税の非課税特例
生前贈与に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 Ⅰ 「Aさんが生前贈与を実行するにあたっては、長男Cさん、長女Dさんおよび孫に対する暦年贈与、孫への教育資金の贈与、長女Dさんへの住宅取得等資金の贈与が考えられます。暦年贈与の場合、その年分の贈与税の課税価格から基礎控除額として最高( ① )万円を控除することができます」 Ⅱ 「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の適用を受けた場合、受贈者1人につき( ② )万円までは贈与税が非課税となります。本制度の非課税拠出額の限度額は、受贈者ごとに( ② )万円となりますが、学習塾などの学校等以外の者に対して直接支払われる金銭については( ③ )万円が限度となります」 Ⅲ 「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度の適用を受けた場合、所定の非課税限度額までの金額が非課税となります。住宅用家屋の取得等に係る契約の締結日が平成30年中の場合、その非課税限度額は省エネ等住宅で( ④ )万円、一般住宅で700万円となります」
解答・解説を表示
解答
① 110(万円) ② 1,500(万円) ③ 500(万円) ④ 1,200(万円)
解説
贈与税の軽減制度には、毎年活用できる暦年課税の基礎控除(110万円)のほか、直系尊属からの特定の使途に限定した教育資金の一括贈与(最大1,500万円、学校等以外は500万円)や住宅取得等資金の贈与(住宅性能・契約時期に応じた限度額)などの非課税特例が設けられています。
解き方
- 暦年贈与の基礎控除額が年間110万円であることを確認して①に当てはめる。
- 教育資金の一括贈与の非課税限度額(受贈者1人あたり最大1,500万円、学校等以外は500万円)を確認して②・③に当てはめる。
- 平成30年中に契約を締結した場合の住宅取得等資金の贈与税の非課税限度額について、省エネ等住宅の場合は1,200万円であることを確認して④に当てはめる。
答えの内訳
- ①:110
- 暦年課税における贈与税の基礎控除額は、受贈者1人につき年間(1月1日~12月31日)110万円です。
- ②:1,500
- 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税限度額は、受贈者(30歳未満の者)1人につき1,500万円です。
- ③:500
- 教育資金の一括贈与特例において、学校等以外の者(学習塾や習い事など)に対して直接支払われる金銭の非課税限度額は500万円です。
- ④:1,200
- 平成30年(2018年)中に契約締結した場合の住宅取得等資金の贈与税の非課税限度額は、良質な住宅(省エネ等住宅)では1,200万円(一般住宅は700万円)となります。
覚えるポイント
- 暦年課税の基礎控除額は受贈者1人あたり年間110万円であること。
- 教育資金一括贈与は最大1,500万円(学校等以外は500万円限度)であること。
- 住宅取得等資金贈与の非課税限度額は契約締結時期や住宅性能(省エネ等住宅か一般住宅か)によって異なること。
間違えやすいところ
- 暦年課税の基礎控除110万円は「贈与者ごと」ではなく「受贈者ごと」に年間で判定する点を取り違えやすい。
- 教育資金一括贈与の限度額1,500万円のうち、塾や習い事など学校等以外の費用は500万円が限度であることを見落としやすい。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2018年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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