日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
公的年金および公的医療保険の加入要件
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金の種別変更 / 健康保険の被扶養者要件
会社員であるAさん(55歳)が死亡した場合における、妻Bさん(53歳)に係る公的年金制度および公的医療保険制度の説明について、空欄①~③に入る適切な語句を語句群(イ~チ)から選択しなさい。 ⅰ)「妻Bさんの公的年金制度への加入については、国民年金の種別変更の手続を行い、( ① )被保険者として、国民年金の保険料を納付することになります」 ⅱ)「妻Bさんの公的医療保険制度への加入については、妻Bさん自身の年間収入が( ② )未満で、かつ、長男Cさんの年間収入の2分の1未満である場合、妻Bさんは、原則として、長男Cさんが加入している健康保険の被扶養者となることができます。この際の妻Bさんの年間収入には、公的年金制度から支給される遺族厚生年金の金額は( ③ )。 なお、妻Bさんが長男Cさんの加入する健康保険の被扶養者となるための条件を満たさなかった場合、妻Bさんは、国民健康保険に加入することになります」 〈語句群〉 イ.第1号 ロ.第2号 ハ.第3号 ニ.103万円 ホ.130万円 ヘ.180万円 ト.含まれます チ.含まれません
- イ
- 第1号
- ロ
- 第2号
- ハ
- 第3号
- ニ
- 103万円
- ホ
- 130万円
- ヘ
- 180万円
- ト
- 含まれます
- チ
- 含まれません
解答・解説を表示
解答
① イ、② ホ、③ ト
解説
配偶者の死亡により国民年金の第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更が生じます。また健康保険の被扶養者認定における年間収入基準は税法上の所得とは異なり、遺族年金などの非課税所得も合算して判定します。
解き方
- 第3号被保険者は被扶養配偶者であることが要件のため、被保険者本人の死亡により第1号被保険者への変更が必要となることを確認する。
- 60歳未満の配偶者が親族の健康保険の被扶養者となる基準が「年間収入130万円未満かつ被保険者の収入の2分の1未満」であることを確認する。
- 公的医療保険の被扶養者認定における年間収入には遺族年金などの非課税給付も含まれるルールを適用する。
- 選択肢 イ正解
- 配偶者の死亡に伴い第3号の資格を喪失した者は、第1号被保険者への種別変更手続きを行います。
- 選択肢 ロ不正解
- 第2号被保険者は厚生年金保険や共済組合等の加入者本人を指すため不適切です。
- 選択肢 ハ不正解
- 配偶者が死亡した後は第2号被保険者に扶養されていないため第3号には該当しません。
- 選択肢 ニ不正解
- 103万円は所得税の配偶者控除・基礎控除等に関連する基準であり、健康保険の被扶養者基準ではありません。
- 選択肢 ホ正解
- 60歳未満の者が被扶養者となるための年間収入要件の上限額は原則として130万円未満です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 180万円は認定対象者が60歳以上または概ね障害厚生年金を受けられる程度の障害者である場合の基準です。
- 選択肢 ト正解
- 健康保険の被扶養者判定における年間収入には、非課税とされる遺族年金も含まれます。
- 選択肢 チ不正解
- 税法上は非課税であっても、社会保険の扶養認定では将来に向かって得る恒常的収入として含まれます。
答えの内訳
- ①:イ
- 会社員等の第2号被保険者の扶養に入っていた配偶者(第3号被保険者)は、扶養者が死亡すると要件を満たさなくなるため、国民年金第1号被保険者への種別変更手続きを行い、保険料を自身で納付する必要があります。
- ②:ホ
- 健康保険の被扶養者となるための年間収入要件は、原則として認定対象者が60歳未満または障害者でない場合、年額130万円未満(かつ同一世帯の場合は被保険者の年間収入の2分の1未満)と定められています。
- ③:ト
- 健康保険の被扶養者認定における年間収入には、所得税法上の非課税所得である遺族年金や障害年金、雇用保険の基本手当なども合算対象として含まれます。
覚えるポイント
- 健康保険の被扶養者認定における年収要件(60歳未満は130万円未満、60歳以上等は180万円未満)には非課税年金も含まれる。
間違えやすいところ
- 所得税の基礎控除・給与所得控除に基づく非課税枠(103万円)と、社会保険の扶養基準(130万円)を混同しないこと。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の国民年金法および健康保険法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金と老齢給付の併給調整および加算給付
ライフプランニングと資金計画 · 年金の併給調整 / 特別支給の老齢厚生年金 / 経過的寡婦加算
妻Bさんが遺族厚生年金を受給した場合の公的年金制度に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「妻Bさんは、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給することになりますが、その場合、遺族厚生年金は、その額のうち、妻Bさんの老齢厚生年金の額に相当する部分の支給が停止されます」 ② 「妻Bさんは、特別支給の老齢厚生年金の受給権を法定の支給開始年齢到達時に取得した場合、特別支給の老齢厚生年金と遺族厚生年金を同時に受給することができます」 ③ 「妻Bさんが65歳以後に受給する遺族厚生年金には、経過的寡婦加算の加算は行われません」
- ①
- 65歳以後、遺族厚生年金は自身の老齢厚生年金相当額が支給停止される
- ②
- 特別支給の老齢厚生年金と遺族厚生年金を同時に受給することができる
- ③
- 妻Bさんが65歳以後に受給する遺族厚生年金には、経過的寡婦加算の加算は行われない
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ○
解説
公的年金制度は「一人一年金」が原則ですが、65歳以降は老齢基礎年金と遺族厚生年金、または老齢厚生年金と遺族厚生年金(差額支給)の併給が認められています。また経過的寡婦加算は昭和31年4月1日以前生まれの者に限定されています。
解き方
- 65歳以降の併給調整ルールを確認する。配偶者は自身の老齢厚生年金を優先受給し、遺族厚生年金からその額面分が支給停止されるため記述①は適切。
- 60歳~64歳の特別支給の老齢厚生年金と遺族厚生年金は一人一年金の原則通り併給不可(選択受給)となるため記述②は不適切。
- 経過的寡婦加算の支給対象要件である生年月日(昭和31年4月1日以前生まれ)と妻Bさんの生年月日(昭和39年2月18日)を対比し、加算されないため記述③は適切。
- 選択肢 ①正解
- 65歳以降の遺族厚生年金は、自身の老齢厚生年金全額をまず受給し、その差額分のみ遺族厚生年金として支給されるため正しい記述です。
- 選択肢 ②不正解
- 65歳未満の特別支給の老齢厚生年金と遺族厚生年金は併給できず選択制となるため「同時に受給できる」とする記述は不適切です。
- 選択肢 ③正解
- 経過的寡婦加算は昭和31年4月1日以前生まれが対象であるため、昭和39年生まれの妻Bさんには加算されないとする記述は正しいです。
答えの内訳
- ①:○
- 65歳以上の配偶者が自身を権利者とする老齢厚生年金と遺族厚生年金の受給権を有する場合、自身の老齢厚生年金が全額支給され、遺族厚生年金は自身の老齢厚生年金額に相当する部分が支給停止(差額支給)となります。
- ②:×
- 60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金と遺族厚生年金は併給できず、一人一年金の原則に従っていずれか一方を選択して受給することになります。
- ③:○
- 遺族厚生年金の経過的寡婦加算は、昭和31年4月1日以前生まれの妻に加算される制度です。妻Bさんは昭和39年2月18日生まれであるため加算の対象にはなりません。
覚えるポイント
- 65歳以上の遺族厚生年金は自身の老齢厚生年金が優先支給され、差額のみ受給可能となる(60歳前半は併給不可で選択)。
- 経過的寡婦加算が受けられるのは昭和31年(1956年)4月1日以前生まれの配偶者である。
間違えやすいところ
- 中高齢寡婦加算(40歳以上65歳未満)と経過的寡婦加算(65歳以降、昭和31年4月1日以前生まれ)の要件を取り違えないように注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の厚生年金保険法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 中高齢寡婦加算 / 報酬比例部分
被保険者である会社員Aさん(55歳、被保険者期間計441月)が死亡し、妻Bさん(53歳)が遺族厚生年金の受給権を取得した場合における、妻Bさんの遺族厚生年金の年金額(平成29年度価額)の計算について、空欄①~③に入る適切な数値または語句を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 3/4 ② される ③ 1,298,766
解説
遺族厚生年金の基本額は、死亡した被保険者の厚生年金被保険者記録に基づいて計算された報酬比例部分の年金額の4分の3相当額となります。また、厚生年金の被保険者期間が原則として20年(240月)以上ある夫が死亡した際、40歳以上65歳未満で生計を同じくしている子のない妻など所定の要件を満たす場合、65歳に達するまでの間、中高齢寡婦加算が基本額に上乗せされます。
解き方
- 平成15年3月以前と4月以後の被保険者期間それぞれの報酬比例部分を計算し合算したうえで、4分の3を乗じて円未満を四捨五入し基本額を算出する。
- 被保険者期間(441月≧240月)および妻の年齢(53歳:40歳以上65歳未満かつ生計同一の子なし)から中高齢寡婦加算の要件充足を確認し、基本額に中高齢寡婦加算額を加算して遺族厚生年金額を求める。
小問ごとの答え
- 小問 ①:3/4
- 遺族厚生年金の本来水準の基本額は、被保険者であった者の老齢厚生年金の報酬比例部分の「4分の3(3/4)」に相当する額となります。
- 小問 ②:される
- 夫の厚生年金被保険者期間が20年以上(240月以上)あり、夫の死亡当時に40歳以上65歳未満で生計を維持していた子のいない妻であるため、中高齢寡婦加算額が加算されます。
- 小問 ③:1,298,766
- 報酬比例部分は、平成15年3月以前分が300,000円×(7.125/1,000)×264月=564,300円、平成15年4月以後分が400,000円×(5.481/1,000)×177月=388,054.8円で、合計952,354.8円となります。基本額は952,354.8円×3/4=714,266.1円となり、円未満四捨五入で714,266円です。これに中高齢寡婦加算額584,500円を加算すると、年金額は714,266円+584,500円=1,298,766円となります。
覚えるポイント
- 遺族厚生年金の報酬比例部分は老齢厚生年金の額の4分の3であること。
- 中高齢寡婦加算の受給要件は夫の被保険者期間20年(240月)以上かつ死亡時妻40歳以上65歳未満であること。
間違えやすいところ
- 基本額の計算で4分の3を乗じるのを忘れて報酬比例全額にしてしまうミス。
- 被保険者期間が300月未満の場合は300月みなし計算を行うが、本問は441月のため実月数で計算することを見落とすミス。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
社債投資の留意点と所有期間利回り
金融資産運用 · 債券投資 / 信用リスク / 金利変動リスク / 所有期間利回り
X社債(表面利率0.6%、購入価格101.00円、残存期間4年、格付A)を購入する場合の留意点等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「A格相当の債券は、投資適格債券に該当しますので、確実に元利金が約定どおり支払われます」 ② 「X社債の購入後に市場金利が上昇した場合、購入価格よりも高い価格で売却できる可能性があります」 ③ 「仮に、X社債を購入して、2年後に額面100円当たり102.00円で売却した場合の所有期間利回り(年率・単利)は、約1.09%となります」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
債券の信用リスクにおいて、BBB格以上は投資適格と評価されますが元利金支払いが確定的に保証されるわけではありません。また債券価格と市場金利は逆の動きを示し、金利上昇時には価格が下落します。利回り計算では保有期間中の利息収入と途中売却による売買損益を考慮して年率換算します。
解き方
- 信用格付の定義を確認し、投資適格であっても元本保証ではない点から記述①の正誤を判断する。
- 市場金利と債券価格の逆相関関係に基づき、金利上昇時の価格変動から記述②の正誤を判断する。
- 所有期間利回りの計算式「[表面利率+(売却価格-購入価格)/所有年数]÷購入価格×100」に各数値を代入して年率を算出し、記述③の正誤を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 格付がBBB以上の債券は投資適格債券とされますが、信用リスク(債務不履行リスク)が皆無というわけではなく、元利金の支払いが確実に保証されているわけではありません。
- 小問 ②:×
- 市場金利が上昇すると、一般に債券価格は下落するため、購入価格よりも高い価格で売却できる可能性は低くなります。
- 小問 ③:○
- 所有期間利回り(単利・年率)は、[表面利率+(売却価格-購入価格)/所有年数]÷購入価格×100=[0.6+(102.00-101.00)/2]÷101.00×100=(0.6+0.5)÷101.00×100=1.1÷101.00×100≒1.0891…%となり、約1.09%で適切です。
覚えるポイント
- 債券価格と市場金利はシーソーの関係(金利上昇なら債券価格下落、金利低下なら債券価格上昇)。
- 所有期間利回りの分母は「購入価格」、分子の売買損益の分母は「所有年数」であること。
間違えやすいところ
- 投資適格債(BBB格以上)を元利金確実の元本保証と誤認してしまうミス。
- 所有期間利回りの計算で分母を額面100円にして計算してしまうミス。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨預金の預金保険制度および税務上の取扱い
金融資産運用 · 外貨預金 / 預金保険制度 / 為替差益の課税
日本国内に所在する金融機関で取り扱う外貨預金の仕組み、預金保険制度における保護の有無、および満期時に生じる為替差益の所得税法上の取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
- ①
- 日本国内に本店を有する金融機関に預け入れた外貨預金は、預金保険制度の保護の対象となります。
- ②
- 外国銀行の在日支店に預け入れた外貨預金は、預金保険制度の保護の対象となります。
- ③
- 日本国内に所在する金融機関に預け入れた外貨定期預金(為替予約なし)の満期による為替差益は、一時所得として総合課税の対象となります。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
預金保険制度において外貨預金は保護対象外と定められています。また、為替予約を締結していない外貨預金から発生する為替差益は、所得税法上、雑所得に区分されて他の所得と合算して総合課税されます。
解き方
- 預金保険制度の対象預金と対象外預金(外貨預金、譲渡性預金等)および対象金融機関の範囲を確認して記述①・②の適否を判断する。
- 外貨預金に係る利息(利子所得・源泉分離課税)と為替差益(雑所得・総合課税)の税制上の区分を整理して記述③の適否を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 外貨預金は、預け入れ先が国内に本店を有する金融機関であっても、預金保険制度による保護の対象外とされています。
- 小問 ②:×
- 外国銀行の在日支店に対する預金は円貨・外貨を問わず預金保険制度の対象外であり、外貨預金も保護の対象とはなりません。
- 小問 ③:×
- 為替予約のない外貨預金の満期や払戻しによって生じた為替差益は、一時所得ではなく「雑所得」として総合課税の対象となります。
覚えるポイント
- 外貨預金はいかなる金融機関であっても預金保険制度の対象外であること
- 為替予約なしの外貨預金の為替差益は雑所得(総合課税)、利息は利子所得(源泉分離課税)となること
間違えやすいところ
- 為替予約を締結している場合の為替差益は源泉分離課税となるが、予約なしの場合は総合課税の雑所得となる点を混同しやすい
- 国内大手銀行の外貨預金であっても預金保険制度で1,000万円まで保護されると誤解しやすい
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
米ドル建て定期預金の元利金および円ベース運用利回りの計算
金融資産運用 · 外貨預金 / TTS / TTB / 利回り計算
下記の資料に基づき、円貨を米ドルに換えて米ドル建て定期預金に20,000米ドルを預け入れ、満期を迎えた場合の円ベースでの運用利回り(単利による年換算)を計算し、〈計算の手順〉の空欄①~④に入る数値を求めなさい。なお、預入期間6カ月は0.5年とし、手数料や税金は考慮しない。④は%表示の小数点以下第3位を四捨五入して第2位まで解答すること。 〈米ドル建て定期預金に関する資料〉 ・預入金額:20,000米ドル ・預入期間:6カ月満期 ・利率(年率):0.5%(満期時一括支払) ・為替予約なし ・適用為替レート(円/米ドル) 預入時:TTS 108.00円、TTM 107.00円、TTB 106.00円 満期時:TTS 111.00円、TTM 110.00円、TTB 109.00円
解答・解説を表示
解答
① 2,160,000 ② 20,050 ③ 2,185,450 ④ 2.36
解説
円貨から外貨に交換して預け入れる際は顧客が外貨を買うためTTSを適用し、満期時に外貨を円貨に戻す際は顧客が外貨を売るためTTBを適用します。円ベースの運用利回りは、円換算した満期元利金と当初投資円資金との差額から収益額を算出し、投資元本および運用年数(0.5年)で除して年換算の単利利回りを求めます。
解き方
- 預入時の円貨投資額を求めるため、預入金額20,000米ドルに預入時のTTS(108.00円)を乗じる(①)。
- 米ドルベースの利息(年率0.5%×0.5年)を計算し、預入金額20,000米ドルに加算して満期元利金を求める(②)。
- 満期時の元利金に満期時のTTB(109.00円)を乗じて、円ベースの元利金を計算する(③)。
- 円ベースの獲得利益(③-①)を当初投資額(①)と運用期間(0.5年)で除して年換算利回りを求め、指定の桁数に四捨五入する(④)。
答えの内訳
- ①:2,160,000
- 円を米ドルに換える預入時にはTTS(108.00円)を適用するため、20,000米ドル×108.00円=2,160,000円となります。
- ②:20,050
- 6カ月間の受取利息は20,000米ドル×0.5%×(6/12)=50米ドルとなるため、元利金合計は20,000米ドル+50米ドル=20,050米ドルとなります。
- ③:2,185,450
- 満期時に米ドルを円に換える際はTTB(109.00円)を適用するため、20,050米ドル×109.00円=2,185,450円となります。
- ④:2.36
- 収益額は2,185,450円-2,160,000円=25,450円です。単利・年換算利回りは(25,450円÷2,160,000円)÷0.5年×100=2.3564…%となり、四捨五入して2.36%となります。
覚えるポイント
- 円から外貨へ換えるときはTTS(Telegraphic Transfer Selling rate)を適用すること
- 外貨から円へ戻すときはTTB(Telegraphic Transfer Buying rate)を適用すること
- 半年満期の外貨定期預金の利息計算では、年利率に(6/12)または0.5を掛けること
間違えやすいところ
- 預入時と満期時のレートでTTSとTTBを取り違えて適用してしまう
- 年換算利回りの計算において、預入期間が6カ月(0.5年)であることによる「÷0.5」(または「×2」)の年換算処理を忘れてしまう
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の青色申告制度の要件と特典
タックスプランニング · 青色申告承認申請手続 / 純損失の繰越控除 / 青色申告特別控除
所得税における青色申告制度に関する次の文章の空欄①〜③に入る最も適切な語句を語句群の中から選びなさい。 ⅰ)その年の1月16日以後に新たに業務を開始した者が、その年分から所得税の青色申告の適用を受けようとする場合、その業務を開始した日から( ① )以内に青色申告承認申請書を所轄税務署長に提出して承認を受けなければならない。 ⅱ)青色申告者が受けられる特典として、青色申告特別控除や青色事業専従者給与の必要経費算入、最長で( ② )年間にわたる純損失の繰越控除などがある。事業所得の取引を正規の簿記の原則に従って記帳し、貸借対照表等を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出した場合、最高で( ③ )を所得金額から控除できる。
- イ
- 2カ月
- ロ
- 3カ月
- ハ
- 4カ月
- ニ
- 3年
- ホ
- 5年
- へ
- 7年
- ト
- 9年
- チ
- 10万円
- リ
- 38万円
- ヌ
- 65万円
- ル
- 103万円
解答・解説を表示
解答
① イ、② ニ、③ ヌ
解説
所得税の青色申告制度は、一定水準の帳簿書類を備え付け適正に記帳・申告する納税者に対し、税制上の優遇措置(最高65万円の特別控除、専従者給与の必要経費算入、純損失の3年間繰越控除など)を与える制度です。
解き方
- 1月16日以降に新規開業した場合の青色申告承認申請書の提出期限(業務開始日から2カ月以内)を確認する。
- 青色申告の特典である純損失の繰越控除の適用可能期間(最長3年間)を確認する。
- 正規の簿記の原則(複式簿記)による記帳および貸借対照表等の添付、期限内申告の要件を満たす青色申告特別控除の最高限度額(65万円)を導く。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- その年の1月16日以後に新規開業した場合、青色申告承認申請書の提出期限は業務を開始した日から2カ月以内です(1月15日以前に開業した場合はその年の3月15日まで)。
- 小問 ②:ニ
- 青色申告者は、損益通算してもなお控除しきれない純損失の金額を、翌年以後最長3年間にわたって繰り越して各年分の所得金額から控除できます。
- 小問 ③:ヌ
- 事業所得または不動産所得(事業的規模)を有し、正規の簿記の原則に従って記帳を行い、貸借対照表および損益計算書を添付して法定申告期限内に確定申告書を提出した場合、最高65万円の青色申告特別控除が受けられます。
覚えるポイント
- 1月16日以降開業の青色申告申請は「開業日から2カ月以内」
- 青色申告の純損失繰越控除は「最長3年間」
- 複式簿記+貸借対照表添付+期限内申告による特別控除は「最高65万円」
間違えやすいところ
- 青色申告承認申請書の提出期限について、1月15日以前開業の場合は「その年の3月15日まで」、1月16日以降開業の場合は「開業日から2カ月以内」と基準日が異なる点に注意する。
- 法人の青色欠損金の繰越期間(9年〜10年)と、個人の所得税の純損失繰越期間(3年)を混同しない。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(所得税法第144条、第57条、第70条、租税特別措置法第25条の2)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配偶者控除・扶養控除および確定申告義務の判定
タックスプランニング · 配偶者控除 / 特定扶養親族 / 確定申告の要件
Aさんの平成29年分の所得税額の計算等に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×をつけなさい。 ① 妻Bさんの合計所得金額は38万円以下であるため、Aさんは、妻Bさんを控除対象配偶者とする配偶者控除の適用を受けることができる。 ② 長女Cさんの合計所得金額は38万円以下であるため、Aさんは、長女Cさんを控除対象扶養親族とする38万円の扶養控除の適用を受けることができる。 ③ Aさんは、原則として、平成30年2月16日から3月15日までの間に、納税地の所轄税務署長に対して確定申告書を提出しなければならない。
- ○
- 記述が適切である。
- ×
- 記述が不適切である。
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ○
解説
所得控除における配偶者控除は合計所得金額38万円以下の生計を一にする配偶者が対象です。扶養親族のうち年末時点で19歳以上23歳未満の子は「特定扶養親族」となり控除額が63万円に加算されます。給与所得者であっても給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える場合は確定申告義務が生じます。
解き方
- 妻Bさんの収入・所得状況を確認し、合計所得金額が38万円以下であることから控除対象配偶者に該当すると判断する。
- 長女Cさんの給与収入80万円から給与所得控除65万円を差し引いた所得金額(15万円)が38万円以下であること、および年末時点の年齢(20歳)から特定扶養親族(控除額63万円)に該当することを確認し、一般扶養控除38万円とする記述を誤りと判定する。
- Aさんの生命保険解約による一時所得の金額(1,100万円-1,000万円-特別控除50万円=50万円、総所得算入は1/2の25万円)を計算し、給与以外の所得が20万円を超えるため確定申告義務があることを確認する。
- 選択肢 ○正解
- 記述①および記述③は法令の規定に合致しており適切です。
- 選択肢 ×正解
- 記述②は特定扶養親族の控除額(63万円)を一般の扶養控除額(38万円)としているため不適切です。
答えの内訳
- ①:○
- 妻Bさんは収入がなく合計所得金額が38万円以下であり、控除対象配偶者の要件を満たすため、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができます。
- ②:×
- 長女Cさんは12月31日現在の年齢が20歳(19歳以上23歳未満)であり特定扶養親族に該当するため、扶養控除の控除額は38万円ではなく63万円となります。
- ③:○
- 給与所得者であるAさんは、同年中に生命保険の一時払変額個人年金保険を解約し、給与所得以外の所得(一時所得)が20万円を超えるため、翌年2月16日から3月15日までに確定申告書を提出する義務があります。
覚えるポイント
- 特定扶養親族は年末時点で19歳以上23歳未満、控除額は63万円
- 給与所得以外の所得が年間20万円を超える給与所得者は確定申告が必要
間違えやすいところ
- 大学生の長女の年齢(20歳)を見落として一般の控除対象扶養親族(控除額38万円)と誤認しないように注意する。
- 生命保険の解約返戻金は一時所得に該当し、特別控除50万円を差し引いた後の金額の2分の1が総所得金額に算入される。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等(所得税法第2条、第84条、第85条、第120条、第121条)
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税における各種所得の金額および総所得金額の計算
タックスプランニング · 給与所得控除 / 一時所得 / 総所得金額 / 損益通算の制限
設例のAさん(平成29年分)の資料に基づき、給与所得の金額、総所得金額に算入される一時所得の金額、および総所得金額をそれぞれ求めなさい。なお、上場株式の譲渡損失▲20万円がある。
解答・解説を表示
解答
① 600(万円)、② 25(万円)、③ 625(万円)
解説
総所得金額は、総合課税の対象となる各種所得金額を合算して計算します。一時所得は「総収入金額-支出金額-特別控除額(最高50万円)」で算出し、その2分の1の金額を総所得金額に算入します。また、株式等に係る譲渡損失は分離課税の対象であり、総合課税グループの所得との損益通算は認められません。
解き方
- 給与収入金額800万円から速算表に基づき給与所得控除額200万円を差し引き、給与所得金額600万円を求めます。
- 生命保険の解約返戻金から払込保険料と特別控除50万円を控除して一時所得50万円を算出し、その2分の1である25万円を総所得算入額とします。
- 上場株式の譲渡損失は損益通算できないことを確認し、給与所得600万円と一時所得25万円を合計して総所得金額625万円を算出します。
答えの内訳
- ①:600
- 給与収入金額800万円に対する給与所得控除額は「800万円×10%+120万円=200万円」です。したがって、給与所得の金額は「800万円-200万円=600万円」となります。
- ②:25
- 一時払変額個人年金保険の解約返戻金に係る一時所得の金額は「1,100万円-1,000万円-特別控除50万円=50万円」です。総所得金額に算入される金額はその2分の1となるため、「50万円×1/2=25万円」となります。
- ③:625
- 上場株式等に係る譲渡損失(▲20万円)は申告分離課税であり、給与所得や一時所得などの総合課税の所得と損益通算することはできません。したがって、総所得金額は給与所得600万円と一時所得算入額25万円を合算した「600万円+25万円=625万円」となります。
覚えるポイント
- 一時所得の総所得金額への算入割合は2分の1(特別控除額は最高50万円)です。
- 上場株式等の譲渡損失は、申告分離課税を選択した配当所得等とは通算可能ですが、給与所得などの総合課税の所得とは損益通算できません。
間違えやすいところ
- 一時所得の特別控除50万円を引いた後の金額をそのまま合算し、2分の1にする処理を忘れるミス。
- 上場株式等の譲渡損失20万円を給与所得などから差し引いて損益通算してしまう誤り。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の税法基準
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
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建築基準法における複数地域にわたる敷地の用途制限・防火規制・建蔽率
不動産 · 用途地域(過半主義) / 防火地域内の耐火建築物 / 建蔽率の緩和
甲土地(第一種住居地域、140㎡、指定建蔽率60%、準防火地域)と乙土地(近隣商業地域、150㎡、指定建蔽率80%、防火地域)を一体とした土地上に耐火建築物である賃貸アパートを新築する場合について、建築基準法上の用途制限の適用、防火地域の耐火義務の基準、および当該建築物の最大建築面積(㎡)に該当する語句または数値を語句群から選びなさい。
- イ
- 第一種住居
- ロ
- 近隣商業
- ハ
- 準住居
- ニ
- 100
- ホ
- 232
- ヘ
- 233
- ト
- 247
- チ
- 248
- リ
- 262
- ヌ
- 500
- ル
- 1,000
- ヲ
- 1,500
解答・解説を表示
解答
① ロ、② ニ、③ リ
解説
建築基準法において、敷地が複数の用途地域にまたがる場合は「過半が属する地域の規定」が敷地全体に適用されます(過半主義)。一方、防火規制が異なる地域にまたがる場合は「最も厳しい地域の規定」が全体に適用されます。また、建蔽率は地域ごとに緩和要件を判定して按分計算を行い、指定80%地域で防火地域かつ耐火建築物の場合は建蔽率制限が適用除外(100%)となります。
解き方
- 甲土地(140㎡)と乙土地(150㎡)の面積を比較し、過半を占める乙土地の「近隣商業地域」が敷地全体の用途制限として適用されることを確認します(空欄①)。
- 防火地域の耐火建築物義務規定(地階を含む階数3以上または延べ面積100㎡超)から空欄②に100を当てはめます。
- 敷地全体に防火地域の規制が及ぶことを確認し、耐火建築物における甲土地(指定60%+角地10%+耐火10%=80%)と乙土地(指定80%+防火耐火により100%)の建築面積をそれぞれ計算して合計262㎡を求めます(空欄③)。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 敷地が2以上の異なる用途地域にまたがる場合、敷地全体に対して過半の属する用途地域の規定が適用されます。本件の一体敷地は甲土地140㎡、乙土地150㎡(合計290㎡)であり、過半(150㎡)が属する近隣商業地域の用途制限が適用されるため、「ロ」が適切です。
- 小問 ②:ニ
- 防火地域内においては、地階を含む階数が3以上または延べ面積が100㎡を超える建築物は耐火建築物としなければならないと規定されているため、「ニ(100)」が適切です。
- 小問 ③:リ
- 敷地が防火地域と準防火地域にまたがる場合、厳しい方の防火地域の規制が敷地全体に適用されます。甲土地部分(指定60%)は角地緩和10%+防火地域内耐火建築物緩和10%で適用建蔽率80%となり、建築面積上限は140㎡×80%=112㎡です。乙土地部分(指定80%)は防火地域内耐火建築物により建蔽率制限なし(100%)となり、150㎡×100%=150㎡です。合計最大建築面積は「112㎡+150㎡=262㎡」となり、「リ」が適切です。
覚えるポイント
- 用途地域の制限は敷地の過半が属する地域の規定が適用されます(過半主義)。
- 防火地域内かつ指定建蔽率80%の地域で耐火建築物を建築する場合、建蔽率の制限はなくなります(100%)。
間違えやすいところ
- 防火地域の規制において「過半主義」を適用してしまい、準防火地域の規制を適用してしまう誤り(防火規制は厳しい地域が全体に適用)。
- 指定建蔽率80%の乙土地に角地緩和+10%を機械的に加算して90%などと誤認するミス(80%地域+防火地域+耐火建築物は100%)。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の建築基準法基準
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸アパート建築に係る税務(不動産取得税・登録免許税)
不動産 · 不動産取得税 / 登録免許税 / 課税標準の特例
Aさんが、甲土地と乙土地を一体とした土地上に賃貸アパートを建築する場合の税金に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① Aさんが建築する賃貸アパートについて、「不動産取得税の課税標準の特例」の適用を受けるためには、建築する賃貸アパートの独立的に区画された1室ごとの床面積が50㎡以上240㎡以下でなければならない。 ② Aさんが相続により取得した甲土地および乙土地に対しては、その取得した敷地の価格の2分の1を課税標準額とし、これに3%を乗じた金額が不動産取得税として課税される。 ③ Aさんが相続により取得した甲土地および乙土地の所有権移転登記や新築した賃貸アパートの所有権保存登記を行う場合に課される登録免許税の税額を算出する際の税率は、いずれも固定資産税評価額の1,000分の4である。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
不動産取得税は売買や贈与などで不動産を取得した際に課される地方税ですが、相続による取得は非課税とされています。また、新築住宅の課税標準の特例における床面積要件は、賃貸共同住宅等では1戸あたり40㎡以上240㎡以下に緩和されています。登録免許税は登記の種類や取得原因によって税率が定められています。
解き方
- 不動産取得税の課税標準の特例について、賃貸共同住宅に適用される床面積要件(40㎡以上240㎡以下)を確認する。
- 相続を原因とする不動産の取得が不動産取得税の非課税事由に該当することを確認する。
- 相続による所有権移転登記および新築家屋の所有権保存登記(本則)の登録免許税率がともに1,000分の4(0.4%)であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例(1戸当たり1,200万円控除)において、賃貸用共同住宅等の場合、独立して区画された1室ごとの床面積は40㎡以上240㎡以下であることが要件とされています。一般住宅の要件である50㎡以上240㎡以下と異なるため不適切です。
- 小問 ②:×
- 相続(包括遺贈および相続人に対する特定遺贈を含む)による不動産の取得に対しては、形式的な所有権の移転とみなされるため、不動産取得税は非課税となります。したがって課税されるとする本記述は不適切です。
- 小問 ③:○
- 相続による土地の所有権移転登記に係る登録免許税の税率は固定資産税評価額の1,000分の4(0.4%)です。また、新築した賃貸アパートの所有権保存登記の本則税率も固定資産税評価額(新築建物課税標準価格)の1,000分の4(0.4%)であり、いずれも1,000分の4であるため適切です。
覚えるポイント
- 相続による不動産取得は不動産取得税が非課税となること、登録免許税は1,000分の4(0.4%)であることを押さえる。
- 新築賃貸住宅に対する不動産取得税の1,200万円控除の床面積要件は「40㎡以上240㎡以下」である。
間違えやすいところ
- 不動産取得税の特例床面積要件について、一般住宅の「50㎡以上240㎡以下」と賃貸共同住宅等の「40㎡以上240㎡以下」を取り違えやすい。
- 相続による不動産取得に不動産取得税が課されると誤認しやすい。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の地方税法および登録免許税法
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2以上の用途地域にわたる一体地の指定容積率と延べ面積の限度
不動産 · 建築基準法 / 容積率制限 / 前面道路幅員 / 延べ面積の最高限度
Aさんが、甲土地(敷地面積140㎡、第一種住居地域、指定容積率200%、法定乗数4/10)と乙土地(敷地面積150㎡、近隣商業地域、指定容積率300%、法定乗数6/10)を一体とした土地上に耐火建築物を建築する場合、容積率の上限となる延べ面積を求める下記の〈計算の手順〉の空欄①~④に入る最も適切な数値を解答しなさい。敷地は南側幅員4m公道および東側幅員6m公道に接している。 〈計算の手順〉 1.容積率の判定 (1)甲土地部分 ・指定容積率:200% ・前面道路幅員による容積率の制限:□□□% したがって、甲土地部分において上限となる容積率は( ① )%である。 (2)乙土地部分 ・指定容積率:300% ・前面道路幅員による容積率の制限:□□□% したがって、乙土地部分において上限となる容積率は( ② )%である。 2.容積率の上限となる延べ面積 (1)甲土地部分 ・140㎡×( ① )%=□□□㎡ (2)乙土地部分 ・150㎡×( ② )%=( ③ )㎡ したがって、□□□㎡+( ③ )㎡=( ④ )㎡である。
解答・解説を表示
解答
① 200(%) ② 300(%) ③ 450(㎡) ④ 730(㎡)
解説
建築物の敷地が2以上の道路に接する場合、前面道路幅員は最も広い道路の幅員が敷地全体に適用されます。各地域の上限容積率は「指定容積率」と「前面道路幅員×法定乗数」の小さい方となり、敷地全体の延べ面積の限度は各地域の敷地面積にそれぞれの上限容積率を乗じて算出した面積の合計となります。
解き方
- 敷地が接する道路(4mと6m)のうち、最も広い道路幅員である6mを前面道路幅員として特定する。
- 甲土地・乙土地それぞれについて、指定容積率と前面道路幅員制限(6m×法定乗数)を比較し、小さい方の上限容積率を決定する。
- 各大地の敷地面積に上限容積率を乗じて延べ面積の上限を算出し、それらを合算して全体の最高延べ面積を求める。
答えの内訳
- ①:200
- 前面道路幅員は広い方の6mを用います。甲土地の道路幅員による容積率制限は6m×4/10=240%です。指定容積率200%と制限240%の小さい方を適用するため、上限容積率は200%となります。
- ②:300
- 乙土地についても広い方の前面道路幅員6mを用います。道路幅員による容積率制限は6m×6/10=360%です。指定容積率300%と制限360%の小さい方を適用するため、上限容積率は300%となります。
- ③:450
- 乙土地部分の容積率の上限となる延べ面積は、乙土地の敷地面積150㎡に上限容積率300%を乗じて、150㎡×300%=450㎡となります。
- ④:730
- 甲土地部分の上限延べ面積は140㎡×200%=280㎡です。敷地全体の延べ面積の上限は、甲土地部分280㎡と乙土地部分450㎡を合算して、280㎡+450㎡=730㎡となります。
覚えるポイント
- 敷地が2つ以上の道路に接する場合、容積率計算の前面道路幅員は最も広い方の幅員を採用する。
- 異なる用途地域にまたがる敷地の延べ面積限度は、各大地の敷地面積×各地域の上限容積率の合計(加重平均)で計算する。
間違えやすいところ
- 甲土地が直接接している道路幅員4mを用いて道路制限(4m×4/10=160%)を誤って計算してしまう。
- 住居系地域と商業系地域で前面道路幅員に乗じる法定乗数(4/10または6/10)を取り違える。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の建築基準法第52条
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続時精算課税制度の適用要件と選択の手続き
資産設計提案業務・相続・事業承継 · 相続時精算課税制度 / 贈与税申告 / 課税方式の選択
Aさんからの賃貸マンション建物の贈与について、長男Cさんが相続時精算課税制度の適用を受けることに関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 長男Cさんが相続時精算課税制度の適用を受けるためには、贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期限内に一定の必要事項を記載した相続時精算課税選択届出書を贈与税の申告書に添付して、納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。 ② 長男Cさんが平成29年の賃貸マンションの建物の贈与について相続時精算課税制度の適用を受けた場合、同年以後に行われるAさんからの贈与については、暦年課税を選択することができなくなる。 ③ 長男Cさんが平成29年の賃貸マンションの建物の贈与について相続時精算課税制度の適用を受けた場合、同年以後に行われる母親であるBさんからの贈与については、暦年課税を選択することができなくなる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
相続時精算課税制度は受贈者が贈与者ごとに選択できる制度であり、一度選択するとその贈与者からの贈与財産については暦年課税に戻すことができません。適用の開始には法定申告期限内に選択届出書の提出が必要です。
解き方
- 受贈者と特定贈与者ごとの適用要件および手続き方法(申告期限内の選択届出書の提出)を確認する。
- 制度選択後の課税方式の変更不可ルール(同一贈与者については暦年課税への変更不可)を確認する。
- 別の贈与者(父と母など)に対する課税方式選択の独立性を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 相続時精算課税制度の適用を受けるためには、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの申告期限内に、相続時精算課税選択届出書を贈与税の申告書に添付して所轄税務署長へ提出する必要があります。
- 小問 ②:○
- 相続時精算課税制度を選択した受贈者は、その選択に係る特定贈与者からの贈与については、その年以後、相続開始まで暦年課税へ戻す(変更する)ことができなくなります。
- 小問 ③:×
- 相続時精算課税制度は受贈者(子など)が贈与者(父・母など)ごとに選択して適用できるため、父Aさんからの贈与で同制度を選択した場合でも、母Bさんからの贈与については暦年課税を選択し継続することができます。
覚えるポイント
- 相続時精算課税は贈与者ごとに選択可能で、一度選ぶとその贈与者からは暦年課税に戻せない。
間違えやすいところ
- 父からの贈与で相続時精算課税を選択したからといって、母からの贈与まで自動的に相続時精算課税になるわけではない点に注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続時精算課税制度における贈与税額の計算
資産設計提案業務・相続・事業承継 · 相続時精算課税制度 / 特別控除額 / 贈与税率
Aさんからの賃貸マンション建物の贈与(贈与時点の相続税評価額3,000万円)について、長男Cさんが相続時精算課税制度の適用を受けた場合の贈与税額を求める次の計算式の空欄①~③に入る数値を計算しなさい。なお、長男CさんはこれまでAさんからの贈与について相続時精算課税制度の適用を受けたことはない。 〈計算式〉 ・3,000万円-( ① )万円=□□□万円 ・□□□万円×( ② )%=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 2,500(万円)、② 20(%)、③ 100(万円)
解説
相続時精算課税制度では、贈与財産の価額から通算2,500万円の特別控除額を差し引き、控除しきれなかった残額に対して一律20%の税率を乗じて贈与税額を算出します。
解き方
- 贈与財産の価額(3,000万円)から特別控除限度額(2,500万円)を控除し、課税対象額(500万円)を算出する。
- 算出された課税対象額(500万円)に一律税率20%を乗じて贈与税額(100万円)を計算する。
答えの内訳
- ①:2,500
- 相続時精算課税制度における特別控除額は、同一の贈与者からの贈与につき累計で2,500万円です。過去に適用を受けていないため全額が控除対象となります。
- ②:20
- 相続時精算課税制度において、特別控除額2,500万円を超えた部分に対して適用される税率は一律20%です。
- ③:100
- 課税価格3,000万円から特別控除2,500万円を差し引いた課税価格500万円に税率20%を乗じることで、贈与税額は100万円(500万円×20%=100万円)と算出されます。
覚えるポイント
- 相続時精算課税の特別控除額は累計2,500万円、超過部分にかかる税率は一律20%である。
間違えやすいところ
- 暦年課税の基礎控除110万円や累進税率と混同して計算しないように注意する。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算(相続時精算課税適用財産の加算)
相続・事業承継 · 相続税の総額の計算 / 課税価格の合計額 / 遺産に係る基礎控除額 / 相続時精算課税
Aさんに相続が開始した場合において、長男Cさんが生前に相続時精算課税制度の適用を受けていたことを踏まえ、次の表の空欄①~④に入る適切な数値を計算しなさい。 〈前提条件〉 ・Aさんの相続財産(相続税評価額): 預貯金 2億4,000万円、有価証券 6,000万円、自宅の敷地 3,200万円(小規模宅地等の特例適用後)、自宅の建物 2,000万円、賃貸マンションの敷地 1億円 ・生前贈与財産(長男Cが相続時精算課税適用): 賃貸マンションの建物(贈与時点の価額 3,000万円、相続開始時点の価額 2,900万円) ・法定相続人:妻Bさん、長男Cさん、二男Dさんの計3名 〈計算表〉 (a)課税価格の合計額:( ① )万円 (b)遺産に係る基礎控除額:( ② )万円 課税遺産総額(a-b):□□□万円 相続税の総額の基となる税額: 妻Bさん:□□□万円 二男Dさん:( ③ )万円 (c)相続税の総額:( ④ )万円
解答・解説を表示
解答
① 48,200(万円)、② 4,800(万円)、③ 2,640(万円)、④ 12,345(万円)
解説
相続時精算課税制度を適用して取得した財産は、特定贈与者が死亡した際の相続税の課税価格に「贈与時の価額」で加算されます。相続税の総額は、課税遺産総額(課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額)を各法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定して各人の税額を速算表により計算し、それらを合算して求めます。
解き方
- 本来の相続財産(45,200万円)に、相続時精算課税の適用を受けた財産の贈与時の評価額(3,000万円)を加算して、課税価格の合計額(①)を算出する。
- 法定相続人3名に基づき遺産に係る基礎控除額(②)を計算し、課税遺産総額(43,400万円)を求める。
- 課税遺産総額を法定相続分で按分し、各人の取得金額に応じた相続税額(妻B:7,065万円、長男C:2,640万円、二男D:2,640万円(③))を算出する。
- 各法定相続人の税額を合算して、相続税の総額(④)を求める。
答えの内訳
- ①:48,200
- 相続開始時の本来の相続財産の合計額(2億4,000万円+6,000万円+3,200万円+2,000万円+1億円=4億5,200万円)に、相続時精算課税適用財産を「贈与時の価額」である3,000万円で加算するため、45,200万円+3,000万円=48,200万円となります。
- ②:4,800
- 法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、二男Dさんの3人です。遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算するため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ③:2,640
- 課税遺産総額は48,200万円-4,800万円=43,400万円です。二男Dさんの法定相続分は4分の1なので、法定相続分に応ずる取得金額は43,400万円×1/4=10,850万円となります。速算表より、10,850万円×40%-1,700万円=2,640万円となります。
- ④:12,345
- 妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は43,400万円×1/2=21,700万円であり、税額は21,700万円×45%-2,700万円=7,065万円です。長男Cさんの税額は二男Dさんと同じ2,640万円となるため、相続税の総額は7,065万円+2,640万円+2,640万円=12,345万円となります。
覚えるポイント
- 相続時精算課税の適用財産は、相続開始時の時価ではなく「贈与時の価額」で相続税の課税価格に加算する。
- 基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」である。
間違えやすいところ
- 精算課税適用財産を相続開始時点の評価額(2,900万円)で加算してしまう誤り。
- 相続税の総額を計算する際、実際の遺産分割割合ではなく「法定相続分」で按分して速算表を適用することを失念する誤り。
出題の前提:2017年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2018年1月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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