日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢・年金額計算・在職老齢年金
公的年金・社会保険 · 特別支給の老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 在職老齢年金
Aさん(昭和32年5月14日生まれの男性)に対して、65歳になるまでに受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した次の文章の空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、年金額は平成28年度価額に基づいて計算し、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。 「老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として65歳ですが、経過措置として、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることなどの所定の要件を満たしている方は、65歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。 昭和32年5月生まれのAさんは、原則として、( ① )歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。仮に、Aさんが【パターンⅠ】を選択し、厚生年金保険の被保険者ではなくなった場合、Aさんが( ① )歳から受給することができる特別支給の老齢厚生年金の額は、下記<資料>の計算式により、年額( ② )円となります。【パターンⅡ】を選択した場合は、( ① )歳到達時における厚生年金保険の被保険者記録を基に、年金額が計算されます。 なお、Aさんが【パターンⅡ】を選択して( ① )歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務した場合、特別支給の老齢厚生年金は、総報酬月額相当額との間で調整が行われます。具体的には、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が( ③ )万円(平成28年度の支給停止調整開始額)を超える場合は、年金額の一部または全部が支給停止となります」 <資料> ○特別支給の老齢厚生年金の計算式(本来水準の額、平成28年度価額) ・特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の額=下記の計算式のⓐ+ⓑ ⓐ 平成15年3月以前の期間分:平均標準報酬月額 × (7.125 / 1,000) × 平成15年3月以前の被保険者期間の月数 ⓑ 平成15年4月以後の期間分:平均標準報酬額 × (5.481 / 1,000) × 平成15年4月以後の被保険者期間の月数
解答・解説を表示
解答
① 63、② 1,053,095、③ 28
解説
男性の場合、昭和28年4月2日〜昭和36年4月1日生まれの特別支給の老齢厚生年金は報酬比例部分のみ支給され、生年月日に応じて支給開始年齢が段階的に引き上げられています。また、60歳台前半の厚生年金保険被保険者に対する在職老齢年金では、総報酬月額相当額と基本月額の合計が28万円を超えると年金が減額・停止されます。
解き方
- Aさんの生年月日(昭和32年5月14日生まれ・男性)から、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢が63歳であることを判定する。
- <資料>の算式に基づき、平成15年3月以前分と平成15年4月以後分の報酬比例部分の額を計算し、合算して円未満を四捨五入する。
- 60歳台前半の在職老齢年金の支給停止調整開始額が28万円(平成28年度)であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:63
- 昭和32年5月14日生まれの男性の場合、定額部分の支給はなく、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢は63歳となります。
- 小問 ②:1,053,095
- ⓐ 平成15年3月以前分:300,000円 × (7.125 / 1,000) × 276月 = 589,950円 ⓑ 平成15年4月以後分:500,000円 × (5.481 / 1,000) × 169月 = 463,144.5円 合計額は 589,950円 + 463,144.5円 = 1,053,094.5円となり、円未満を四捨五入して1,053,095円となります。
- 小問 ③:28
- 60歳台前半の在職老齢年金(低在職老齢年金)において、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が支給停止調整開始額である28万円(平成28年度価額)を超える場合、年金の一部または全部が支給停止となります。
覚えるポイント
- 男性の報酬比例部分の受給開始年齢:昭和28〜29年度生まれは61歳、30〜31年度は62歳、32〜33年度は63歳、34〜35年度は64歳、36年度以降は65歳。
- 60歳台前半の在職老齢年金における支給停止調整開始額は28万円。
間違えやすいところ
- 報酬比例部分の計算において、平成15年4月以後の計算結果(463,144.5円)の端数処理を途中で行ったり、合算後の四捨五入を忘れてしまうミスに注意する。
- 60歳台前半の在職老齢年金の基準額(28万円)と、65歳以後の基準額(46万円)を混同しないようにする。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(平成28年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
高年齢雇用継続基本給付金と特別支給の老齢厚生年金との併給調整
公的年金・社会保険 · 雇用保険 / 高年齢雇用継続基本給付金 / 併給調整 / 在職老齢年金
AさんがX社に継続雇用された場合の雇用保険の給付等に関する次の文章の空欄①〜③に入る最も適切な語句または数値を、語句群のなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。 ⅰ)「【パターンⅠ】のように、60歳以後の各月(支給対象月)に支払われる賃金額が、60歳到達時の賃金月額の75%相当額を下回る場合、Aさんは、原則として、雇用保険の( ① )を受給することができます。( ① )の額は、支給対象月ごとに、賃金額の低下率に応じて一定の方法により算定されますが、最高で賃金額の( ② )%に相当する額になります」 ⅱ)「厚生年金保険の被保険者が特別支給の老齢厚生年金と( ① )を同時に受給する場合、特別支給の老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みによる支給調整に加えて、毎月、標準報酬月額の( ③ )%を上限に支給停止されることになります。ただし、Aさんが【パターンⅠ】を選択した場合、Aさんは厚生年金保険の被保険者ではないため、特別支給の老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みによる支給調整は行われず、( ① )の支給による年金額の支給停止もありません」 <語句群> イ.6 ロ.9 ハ.10 ニ.15 ホ.25 ヘ.35 ト.高年齢雇用継続基本給付金 チ.再就職手当 リ.常用就職支度手当
- イ
- 6
- ロ
- 9
- ハ
- 10
- ニ
- 15
- ホ
- 25
- ヘ
- 35
- ト
- 高年齢雇用継続基本給付金
- チ
- 再就職手当
- リ
- 常用就職支度手当
解答・解説を表示
解答
① ト、② ニ、③ イ
解説
高年齢雇用継続給付は、60歳以降も継続して働く高齢者の賃金が60歳到達時点と比べて75%未満に低下した場合に支給されます。また、厚生年金保険の被保険者として働きながら特別支給の老齢厚生年金と高年齢雇用継続基本給付金を同時に受給する場合、年金側で最大で標準報酬月額の6%分が支給停止される併給調整が行われます。
解き方
- 定年後も同一企業で継続雇用され、基本手当を受け取らず賃金が75%未満に低下した場合の給付名称が「高年齢雇用継続基本給付金」であることを特定する。
- 賃金低下率が61%以下の場合に支給される最高給付率が支払賃金額の「15%」であることを特定する。
- 厚生年金保険被保険者が受ける特別支給の老齢厚生年金との併給調整により支給停止される上限割合が標準報酬月額の「6%」であることを特定する。
- 選択肢 イ正解
- 空欄③の正答です。特別支給の老齢厚生年金から支給停止される上限率は標準報酬月額の6%です。
- 選択肢 ロ不正解
- 9%という割合は、高年齢雇用継続基本給付金や併給調整の限度額規定には存在しません。
- 選択肢 ハ不正解
- 10%という数値は、高年齢再就職給付金の支給残日数要件等とは関係しますが、本問の給付率や併給調整上限ではありません。
- 選択肢 ニ正解
- 空欄②の正答です。賃金低下率が61%以下の場合の給付率は支払賃金の最高15%です。
- 選択肢 ホ不正解
- 25%という数値は、賃金が75%未満に低下すること(低下幅が25%超)を連想させますが、給付金の支給率ではありません。
- 選択肢 ヘ不正解
- 35%という数値は、本問の給付率等の規定には当てはまりません。
- 選択肢 ト正解
- 空欄①の正答です。基本手当を受給せずに継続雇用される場合に支給される給付は「高年齢雇用継続基本給付金」です。
- 選択肢 チ不正解
- 再就職手当は、基本手当の受給資格者が早期に安定した職業に就いた場合に支給される就職促進給付です。
- 選択肢 リ不正解
- 常用就職支度手当は、障害者等の就職困難者が安定した職業に就いた場合に支給される就職促進給付です。
答えの内訳
- ①:ト
- 基本手当を受給せずに60歳以降も同一企業等で継続して雇用され、60歳到達時の賃金月額に比べて75%未満に賃金が低下した被保険者に支給されるのは「高年齢雇用継続基本給付金」です。
- ②:ニ
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給額は、低下率が61%以下の場合に各月に支払われた賃金額の最高「15%」となります。
- ③:イ
- 特別支給の老齢厚生年金と高年齢雇用継続基本給付金を併給する場合、在職老齢年金による支給停止に加え、各月の標準報酬月額の最高「6%」に相当する年金額が支給停止されます。
覚えるポイント
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給要件:60歳以上65歳未満、被保険者期間5年以上、賃金が60歳到達時の75%未満に低下。
- 給付額の上限は各月賃金額の15%(賃金低下率が61%以下の場合)。
- 特別支給の老齢厚生年金との併給調整による年金支給停止の上限は標準報酬月額の6%。
間違えやすいところ
- 高年齢雇用継続基本給付金の最高支給率(15%:支払賃金に対する割合)と、年金支給停止の上限(6%:標準報酬月額に対する割合)を取り違えないように注意する。
- 雇用保険の被保険者であっても厚生年金保険の被保険者でない場合(週所定20時間以上30時間未満等)は、在職老齢年金や年金からの併給調整は行われない点を見落とさないようにする。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
継続雇用時の社会保険(公的年金・健康保険)の適用関係
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金第3号被保険者 / 健康保険の被扶養者 / 任意継続被保険者
X社に継続雇用された場合の社会保険の取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「【パターンⅡ】を選択した場合、Aさんは、引き続き、厚生年金保険の被保険者となりますので、妻Bさんは60歳以降も国民年金の第3号被保険者として加入することになります」 ② 「【パターンⅡ】を選択した場合、Aさんは、60歳以降も全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者となりますので、妻BさんをAさんが加入する健康保険の被扶養者とすることができます」 ③ 「【パターンⅠ】を選択した場合、Aさんは健康保険の被保険者資格を失うことになりますので、国民健康保険に加入、もしくは全国健康保険協会管掌健康保険に任意継続被保険者として加入する手続が必要となります」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
公的年金制度と公的医療保険制度では被扶養者等の加入要件が異なります。国民年金の第3号被保険者は20歳以上60歳未満に限定されますが、健康保険の被扶養者には同様の年齢制限がなく原則75歳未満まで適用されます。
解き方
- 妻Bさんの年齢と国民年金第3号被保険者の要件(20歳以上60歳未満)を照合して判定します。
- 健康保険の被扶養者要件(年齢制限は原則75歳未満、生計維持関係)を確認して判定します。
- 健康保険資格喪失後の選択肢(国民健康保険への加入または任意継続被保険者制度)を確認して判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 国民年金の第3号被保険者の資格要件は、第2号被保険者に扶養されている配偶者で「20歳以上60歳未満」の者です。妻Bさんは60歳に達すると第3号被保険者の資格を喪失するため、60歳以降も第3号被保険者として加入することはできません。
- 小問 ②:○
- 健康保険の被扶養者には国民年金のような60歳未満という年齢上限はなく、後期高齢者医療制度の対象となる75歳未満で年間収入等の生計維持要件を満たしていれば被扶養者となることができます。
- 小問 ③:○
- 退職や所定労働時間の減少等により健康保険の被保険者資格を喪失した場合、資格喪失日までに継続して2カ月以上の被保険者期間があれば任意継続被保険者となることができ、任意継続を選択しない場合は市区町村の国民健康保険に加入する手続きを行います。
覚えるポイント
- 国民年金第3号被保険者は60歳到達で資格を喪失するが、健康保険の被扶養者は75歳未満まで該当可能である点。
- 健康保険の任意継続被保険者となるには、資格喪失日までに継続して2カ月以上の被保険者期間が必要である点。
間違えやすいところ
- 健康保険の被扶養者も年金と同様に60歳で外れると勘違いしやすい。
- 任意継続被保険者制度の要件(継続して2カ月以上の被保険者期間)と申出期限(20日以内)の混同。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の公的年金各法および健康保険法
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族の必要保障額の計算
リスク管理 · 必要保障額 / 生活費の算出 / 団体信用生命保険
設例の条件に基づき、Aさんが死亡した場合の必要保障額の計算表の空欄①~④に入る金額(単位:万円)を求めなさい。 <条件> ⅰ)長男Cさんが独立する年齢は、22歳(大学卒業時)とする。 ⅱ)Aさんの死亡後から長男Cさんが独立するまで(22年間)の生活費の総額は、現在の日常生活費の70%とし、長男Cさんが独立した後の妻Bさんの生活費の総額は、現在の日常生活費の50%として計算する。 ⅲ)長男Cさん独立時の妻Bさんの平均余命は、31年とする。 現在の日常生活費:月額25万円
解答・解説を表示
解答
① 9,270(万円) ② 0(万円) ③ 2,970(万円) ④ 4,650(万円)
解説
必要保障額は「遺族に必要な生活資金・支出等の総額(支出見込額)」から「公的年金・死亡退職金・現預金などの準備資金の総額(収入見込額)」を差し引いて算出します。住宅ローンに団信が付保されている場合、死亡後の返済負担は発生しません。
解き方
- 設例の日常生活費(月額25万円)に基づき、子どもの独立前(70%・22年間)と独立後(50%・31年間)の生活費総額を算定します。
- 団信加入による住宅ローンの免除を踏まえ、死亡後のローン返済額を0とします。
- ケース1の支出項目を合算して遺族に必要な資金の総額を求め、準備資金を減算して必要保障額を算出します。
- ケース2(独立後)の生活費総額を妻Bさんの平均余命31年分で計算します。
答えの内訳
- ①:9,270(万円)
- 長男独立までの22年間の生活費は月25万円×70%×12カ月×22年=4,620万円。独立後の31年間の生活費は月25万円×50%×12カ月×31年=4,650万円。合計で4,620万円+4,650万円=9,270万円となります。
- ②:0(万円)
- 住宅ローンは団体信用生命保険(団信)に加入して借り入れるため、主債務者であるAさんが死亡した場合は団信の保険金によって債務残額が全額弁済され、遺族の返済負担額は0円となります。
- ③:2,970(万円)
- 遺族に必要な資金の総額(a)は、生活費9,270万円+住宅ローン0万円+修繕500万円+公課700万円+教育1,500万円+耐久消費財500万円+その他1,000万円+葬儀300万円=13,770万円。準備資金(b)10,800万円を差し引いて、必要保障額は13,770万円-10,800万円=2,970万円となります。
- ④:4,650(万円)
- ケース2は長男Cさん独立後であるため、妻Bさんの平均余命31年間の生活費のみとなり、月25万円×50%×12カ月×31年=4,650万円となります。
覚えるポイント
- 団信に加入している住宅ローンは、死亡時に保険金で残債が相殺されるため死亡後の返済額は0万円として計上する点。
- 生活費の計算では「月額×割合×12カ月×年数」で正確に年換算する点。
間違えやすいところ
- ケース1の生活費総額で独立前のみを計算し、独立後の妻の生活費を合算し忘れる誤り。
- 住宅ローンの返済額に本来免除されるローン残高や返済総額を誤って算入してしまうミス。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等および設例の条件に基づく
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
必要保障額の考え方と遺族給付
リスク管理 · 必要保障額 / 収入保障保険 / 遺族基礎年金 / 遺族厚生年金
MさんがAさんに対して説明した必要保障額の考え方に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「<ケース1>における必要保障額はプラス、<ケース2>における必要保障額はマイナスとなります。一般に、必要保障額は子どもの成長とともに逓減していきますので、期間の経過に応じて年金受取総額が逓減する収入保障保険に新規加入することも検討事項の1つとなります」 ② 「必要保障額の計算結果は、妻Bさんの就労スタイル(正社員・パート等)により差異が生じますので、現実的な範囲内の金額を妻Bさんの収入金額として、準備資金のなかに加算するようにしてください」 ③ 「必要保障額を計算するうえで、公的年金の遺族給付の概要について理解する必要があります。仮に、現時点でAさんが死亡した場合、妻Bさんに対して、遺族基礎年金および遺族厚生年金が支給されますが、遺族基礎年金および遺族厚生年金の給付は長男Cさんが18歳に到達した年度の3月末までとなります」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
必要保障額は、世帯主死亡後の遺族の総支出見込額から公的遺族年金・勤労収入・金融資産などの準備資金を差し引いて算出します。遺族基礎年金は子の高校卒業相当までですが、妻への遺族厚生年金は原則終身給付となる点に留意します。
解き方
- 各時期における遺族必要資金と準備資金を対比し、必要保障額が逓減する実態と収入保障保険の適性を判定する。
- 遺族基礎年金(子の要件あり)と遺族厚生年金(配偶者は原則終身)の受給期間の違いを正確に照合する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 試算上、<ケース1>の必要保障額は+2,970万円、<ケース2>は▲2,050万円となります。子どもの独立に向けて必要保障額は年々減少していくため、受取総額が逓減する収入保障保険の活用は適切です。
- 小問 ②:○
- 必要保障額は「遺族に必要な支出総額-準備資金」で算出するため、妻の就労スタイルによる収入見込み額は準備資金に直結し、現実的な見積もりを反映させる必要があります。
- 小問 ③:×
- 子が18歳到達年度末(3月31日)を迎えることで支給が終了するのは遺族基礎年金です。妻に支給される遺族厚生年金は子の年齢にかかわらず、原則として妻の生涯にわたって支給されます。
覚えるポイント
- 遺族基礎年金は子が18歳到達年度の3月末まで支給され、遺族厚生年金は妻に対して原則として終身支給される。
間違えやすいところ
- 遺族厚生年金までもが子の18歳到達年度末で給付終了してしまうと混同しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の見直しと各種保険の特徴
リスク管理 · 就業不能リスク / 学資保険 / 保険料払込免除 / 終身保険
MさんがAさんに対して説明した生命保険の見直しに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「今回の必要保障額の計算は、あくまでもAさんが死亡した場合を想定しており、Aさんがケガや病気等で働けなくなったケースは想定していません。死亡保障の準備と同時に、公的介護保険制度や身体障害者福祉法に連動して保険金が支払われる保険商品などへの加入を検討してみるとよいと思います」 ② 「学資(こども)保険は、保険期間中に契約者が死亡した場合でも、通常、以後の保険料払込が免除されたうえで、学資祝金や満期祝金を受け取ることができる生命保険です。貯蓄性の比較的高い保険商品と比較的安い保険料で高額の保険金が確保できる定期保険を上手に組み合わせて、必要な保障額を準備されることをお勧めします」 ③ 「Aさんが加入している終身保険は、死亡保障だけでなく、将来の資金需要に対応できる貯蓄性を兼ね備えています。老後の生活資金を準備する目的を兼ねて、終身保険は継続されることをお勧めします」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ○
解説
生命保険の見直しでは、死亡保障だけでなく就業不能や介護などの生前リスクも網羅して検討します。また、予定利率が高い時期に契約した既契約の終身保険は解約せず、割安な掛捨て型定期保険と組み合わせて不足額を補うのが基本です。
解き方
- 死亡保障だけでなく病気やケガ・介護による就労不能リスクに対する保障の要否を確認する。
- 学資保険の保険料払込免除機能と、過去の予定利率の高い終身保険を継続するメリットを評価して判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 必要保障額の計算は死亡時を想定したものであるため、傷病による就労不能や長期療養・介護リスクに対する生前保障の追加検討を勧めることは適切です。
- 小問 ②:○
- 学資保険には契約者死亡時に以後の保険料払込が免除される仕組みがあり、割安な定期保険と組み合わせて教育費や死亡保障を確保する手法は適切です。
- 小問 ③:○
- 平成11年加入の既契約終身保険は予定利率が比較的高く貯蓄性に優れているため、老後資金の原資等としても活用可能であり解約せず継続することが適切です。
覚えるポイント
- 契約者の死亡時に保険料払込が免除され満額の祝金が受け取れるのが学資保険の特徴である。
- 予定利率の高い過去に加入した終身保険は安易に解約・転換せず、継続保有を優先する。
間違えやすいところ
- 保険見直しの際に古い終身保険まで一律に解約して掛け捨て型にまとめてしまう提案は誤りとなりやすいです。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業退職金共済制度の仕組みと税務
タックスプランニング・退職給付 · 中小企業退職金共済制度 / 国の掛金助成 / 退職金受給形態と課税関係
中小企業退職金共済制度(中退共)の特徴に関する次の文章について、空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選択しなさい。 「中退共は、中小企業の事業主が独立行政法人勤労者退職金共済機構と雇用者(従業員)を被共済者とする退職金共済契約を締結して、退職金を社外に積み立てる退職金準備の共済制度です。 毎月の掛金は、被共済者(従業員)1人につき月額5,000円から30,000円までの16種類のなかから任意に選択することができます。また、新しく中退共に加入する事業主に対して、掛金月額の( ① )分の1(従業員ごと上限5,000円)を加入後4カ月目から( ② )年間、国が助成する制度があります。 被共済者(従業員)が中途(生存)退職したときは、退職金が勤労者退職金共済機構から一時金として( ③ )支給され、退職所得として課税の対象となります。なお、所定の要件を満たした場合は、一時金を分割払いとすることができます。分割払いの支払を受けた場合、当該金額は( ④ )所得として総合課税の対象となります」
- イ
- 1
- ロ
- 2
- ハ
- 3
- ニ
- 4
- ホ
- 5
- ヘ
- 従業員本人に直接
- ト
- 法人を経由して従業員に
- チ
- 配当
- リ
- 雑
- ヌ
- 給与
解答・解説を表示
解答
① ロ、② イ、③ ヘ、④ リ
解説
中小企業退職金共済制度(中退共)は、単独では退職金制度を設けることが困難な中小企業のために設けられた共済制度です。新規加入時には掛金月額の2分の1(上限5,000円)が1年間国から助成されます。退職金は勤労者退職金共済機構から退職した従業員本人へ直接支払われ、一時金受給時は退職所得、分割受給時は雑所得として課税されます。
解き方
- 新規加入掛金助成の助成割合(2分の1)および助成期間(1年間)を確認して空欄①と②を特定する。
- 退職金の支払経路が事業主経由ではなく機構から退職者直接である点を確認して空欄③を特定する。
- 分割払いで受け取る退職給付が税務上どの所得区分(雑所得)に分類されるかを照合して空欄④を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 中退共の新規加入助成では、国が掛金月額の「2分の1」(被共済者ごと上限5,000円)を助成するため、空欄①には「2(ロ)」が入ります。
- 小問 ②:イ
- 新規加入助成の助成期間は、加入後4カ月目から「1年間」であるため、空欄②には「1(イ)」が入ります。
- 小問 ③:ヘ
- 中退共の退職金は、機構から事業主を経由することなく「従業員本人に直接」支払われる仕組みとなっているため、空欄③には「従業員本人に直接(ヘ)」が入ります。
- 小問 ④:リ
- 中退共の退職金を分割払いで受給する場合、その受取金は公的年金等以外の「雑所得」として総合課税の対象となるため、空欄④には「雑(リ)」が入ります。
覚えるポイント
- 中退共の新規加入助成は掛金月額の2分の1(上限5,000円)で、期間は加入4カ月目から1年間です。
- 中退共の退職金は機構から従業員へ直接支給され、一時金は退職所得、分割払いは雑所得となります。
間違えやすいところ
- 退職金が会社を経由して支給されると誤認しやすいですが、中退共は機構から従業員本人に直接支給されます。
- 分割払いで受け取る中退共の退職金を退職所得と混同しやすいですが、年金形式・分割払いは雑所得となります。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
養老保険(ハーフタックスプラン)の経理処理と税務
リスク管理・法人契約の生命保険 · ハーフタックスプラン / 福利厚生費 / 役員への適用 / 死亡時の経理処理
<資料1>の福利厚生プラン(契約者=X社、被保険者=全従業員35名、死亡保険金受取人=被保険者の遺族、満期保険金受取人=X社、60歳満期の養老保険)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「<資料1>の福利厚生プランに加入した場合、X社は支払う年払保険料の額のうち、その2分の1に相当する金額は資産に計上し、残りの金額は福利厚生費として損金の額に算入します」 ② 「仮に、被保険者に全役員を加えて、保険金額等の契約内容を従業員と同様に設定した場合は、当該役員に係る保険料の2分の1に相当する金額は資産に計上し、残りの金額は給与として損金の額に算入することになります」 ③ 「死亡保険金が支払われた場合、当該契約に係る保険料積立金および配当金積立金を取り崩し、死亡保険金等との差額を雑収入として益金の額に算入します」
- ①
- 年払保険料の2分の1を資産計上し、残りを福利厚生費として損金算入する
- ②
- 全役員を同一条件で加えた場合、役員分保険料の2分の1は給与として損金算入される
- ③
- 死亡保険金が支払われた場合、保険料積立金等を取り崩し差額を雑収入として益金算入する
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ×
解説
養老保険を用いた福利厚生プラン(ハーフタックスプラン)は、被保険者を全役員・全従業員(普遍的加入)、満期保険金受取人を法人、死亡保険金受取人を遺族とすることで、支払保険料の2分の1を保険料積立金(資産計上)、2分の1を福利厚生費(損金算入)とする経理処理が認められます。被保険者死亡時には死亡保険金が遺族に直接支払われるため、法人は資産計上していた保険料積立金を取り崩して雑損失(損金)を計上します。
解き方
- 契約形態(契約者=法人、満期保険金=法人、死亡保険金=遺族)からハーフタックスプランの損金・資産処理要件を確認する(記述①は適切)。
- 役員を含める場合の取扱い(普遍的加入かつ格差がない場合は役員分も福利厚生費として損金算入可能)を確認する(記述②は不適切)。
- 従業員死亡時の保険金の受取先(遺族)と法人の経理処理(保険料積立金の取崩しと雑損失計上)を確認する(記述③は不適切)。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 契約者が法人、被保険者が全従業員、満期保険金受取人が法人、死亡保険金受取人が従業員の遺族である養老保険(いわゆるハーフタックスプラン)では、支払保険料の2分の1を資産(保険料積立金)に計上し、残り2分の1を福利厚生費として損金の額に算入します。
- 小問 ②:×
- 役員を含めた全役員・全従業員を対象として、保険金額等において役員と従業員との間で不相当な格差がないなど合理的な基準で加入している場合、役員に係る保険料についても従業員と同様に2分の1を損金(福利厚生費)算入することが認められ、役員給与として課税されることはありません。
- 小問 ③:×
- ハーフタックスプランにおいて被保険者が死亡した場合、死亡保険金は被保険者の遺族に直接支払われるため法人は受け取りません。法人は資産に計上されていた保険料積立金を取り崩し、同額を雑損失として損金の額に算入します。
覚えるポイント
- 養老保険のハーフタックスプランは、満期受取人=法人、死亡保険金受取人=遺族、被保険者=全従業員・全役員です。
- ハーフタックスプランで死亡保険金が支払われた場合、法人は死亡保険金を受け取らず、積立金を全額取り崩して雑損失(損金)とします。
間違えやすいところ
- 役員が加入すると直ちに役員給与課税になると誤認しがちですが、普遍的加入で従業員と同等の合理的基準であれば福利厚生費として認められます。
- 死亡保険金が法人に支払われる契約(定期保険など)と混同し、死亡時に雑収入・益金が発生すると誤認しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
長期平準定期保険の税務処理と特徴
リスク管理 · 法人保険 / 長期平準定期保険 / 経理処理 / 契約者貸付
X社の代表取締役社長Aさん(45歳)を被保険者として加入する無配当定期保険(99歳満了、死亡・高度障害保険金額1億円、年払保険料240万円、受取人X社)について、ファイナンシャル・プランナーのMさんが説明した次の記述①~③の正誤を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
法人が契約者となる定期保険で、保険期間満了時の被保険者の年齢が一定基準を超える長期平準定期保険では、前半6割期間は保険料の半分を前払保険料として資産計上し半分を損金算入、後半4割期間で取り崩します。また定期保険であるため満了時には解約返戻金が消滅する点に注意が必要です。
解き方
- 被保険者の加入時年齢と保険期間から長期平準定期保険の該当性を判定し、前半6割・後半4割の経理処理ルールを確認します。
- 契約者貸付制度の仕組みと、定期保険における解約返戻金推移の特性(満了に向けて逓減しゼロになること)を確認して各記述の正誤を判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 契約時年齢45歳、保険期間54年であり「加入時年齢+保険期間×2=153>105」を満たすため長期平準定期保険に該当します。保険期間の前半6割相当期間は支払保険料の2分の1を資産計上し2分の1を損金算入、後半4割相当期間は支払保険料全額を損金算入するとともに資産計上額を取り崩して損金算入するため適切です。
- 小問 ②:○
- 契約者貸付制度を利用することで、保険契約を解約することなく解約返戻金の一定範囲内で資金調達が可能です。ただし、貸付金には保険会社所定の利息が発生するため記述は適切です。
- 小問 ③:×
- 定期保険の解約返戻金および返戻率は、ピークを迎えた後に満了時に向けて急激に逓減し、最終的には0になります。90歳前後まで同水準を維持するわけではないため不適切です。
覚えるポイント
- 長期平準定期保険の経理処理は前半6割が半損・半資産計上、後半4割で取崩し損金算入となること
- 定期保険の解約返戻金はピークを過ぎると保険期間満了に向けてゼロへ逓減すること
間違えやすいところ
- 終身保険のように解約返戻金が長期間一定水準を維持し続けると誤認してしまうこと
- 契約者貸付制度が無利息で利用できると誤解してしまうこと
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税における青色申告制度の特典
タックスプランニング · 所得税 / 青色申告特別控除 / 純損失の繰越控除 / 棚卸資産の評価
所得税における青色申告制度に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群のイ~リの中から選びなさい。 事業所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することにより、事業所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① )万円を控除することができる。なお、確定申告書を法定申告期限後に提出した場合、青色申告特別控除額は最高10万円となる。 また、青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除のほかに、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の( ② )年間の繰越控除、純損失の繰戻還付、棚卸資産の評価について( ③ )を選択できることなどが挙げられる。
- イ
- 3
- ロ
- 5
- ハ
- 7
- ニ
- 10
- ホ
- 55
- ヘ
- 65
- ト
- 低価法
- チ
- 先入先出法
- リ
- 最終仕入原価法
解答・解説を表示
解答
① ヘ ② イ ③ ト
解説
青色申告制度は、適正な記帳を促進するために設けられた制度であり、正規の簿記の原則による記帳や期限内申告を行うことで最高65万円の特別控除、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の3年間の繰越控除や前年繰戻還付、低価法による棚卸資産の評価などの各種税制上の特典が認められています。
解き方
- 空欄①について、正規の簿記の原則に従い貸借対照表等を添付して期限内に申告した場合の青色申告特別控除の上限額(65万円)を特定します。
- 空欄②について、青色申告者における純損失の繰越控除の適用可能年数(3年間)を特定します。
- 空欄③について、青色申告者に認められている棚卸資産の評価方法の特典(低価法の選択)を特定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ヘ
- 正規の簿記の原則による記帳を行い、貸借対照表および損益計算書を添付して法定申告期限内に申告することで、最高65万円の青色申告特別控除が受けられます。
- 小問 ②:イ
- 青色申告者は、事業から生じた純損失の金額を翌年以後3年間にわたって繰り越して各年分の所得金額から控除することができます。
- 小問 ③:ト
- 棚卸資産の評価方法として、青色申告者はあらかじめ届け出ることにより取得原価基準のほか低価法を選択することができます。
覚えるポイント
- 青色申告特別控除の最高額は65万円(複式簿記・貸借対照表等添付・期限内申告)であること
- 青色申告者の純損失の繰越控除期間は3年間であること
- 棚卸資産の評価で低価法を選択できるのは青色申告者の特典であること
間違えやすいところ
- 法人の青色申告の欠損金繰越控除期間(9年または10年)と個人事業主の純損失繰越期間(3年)を混同すること
- 法定申告期限後に提出した場合でも65万円控除が受けられると誤認すること
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の所得税における所得区分と各種控除の判定
タックスプランニング · 一時所得 / 扶養控除 / 青色事業専従者給与 / 配偶者控除
個人事業主であるAさんの平成28年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「一時払養老保険の満期保険金および一時払終身保険の解約返戻金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象になります」 ② 「中学生の二女Dさんは一般の控除対象扶養親族に該当しますので、二女Dさんに係る扶養控除の額は38万円になります」 ③ 「妻Bさんは、青色事業専従者として給与の支払を受けていますので、妻Bさんの合計所得金額の多寡にかかわらず、控除対象配偶者には該当せず、Aさんは配偶者控除の適用を受けることはできません」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
所得税の所得区分において、保険契約者本人が受け取る生命保険の満期保険金や解約返戻金は原則として一時所得となり総合課税されます。また、扶養控除は16歳以上の親族が対象とされ、青色事業専従者給与の支給対象となっている配偶者は配偶者控除の対象から除外されます。
解き方
- 一時払養老保険(5年超経過)と一時払終身保険の解約返戻金の所得区分が総合課税の一時所得に該当するか確認する。
- 親族の年齢(12月31日現在)から年少扶養親族(16歳未満)の扶養控除適用の有無を判定する。
- 青色事業専従者給与の支払を受けている配偶者が配偶者控除の対象となるかどうかを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 契約者と受取人が同一である生命保険の一時払満期保険金や解約返戻金は一時所得となります。本問の一時払養老保険は保険期間が5年を超えており金融類似商品による源泉分離課税の対象外であるため、総合課税の一時所得の収入金額となります。
- 小問 ②:×
- 扶養控除の対象となる控除対象扶養親族は、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の親族に限られます。13歳の中学生である二女Dさんは年少扶養親族に該当するため、扶養控除の対象外(控除額0円)となります。
- 小問 ③:○
- 青色事業専従者として給与の支払を受けている者は、所得税法上の控除対象配偶者には該当しません。妻Bさんの所得金額の高低にかかわらず、Aさんは配偶者控除の適用を受けることができません。
覚えるポイント
- 16歳未満の扶養親族(年少扶養親族)は扶養控除の適用対象外(控除額0円)。
- 青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける者は配偶者控除や扶養控除の対象になれない。
間違えやすいところ
- 中学生以下の子どもに対しても一般の扶養控除(38万円)が適用できると誤解しやすい。
- 一時払養老保険であっても保険期間が5年超(または5年超経過後の解約等)であれば金融類似商品の一律20.315%源泉分離課税ではなく総合課税の一時所得となる点を見落としやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の所得税における総所得金額・扶養控除額・算出税額の計算
タックスプランニング · 総所得金額 / 一時所得 / 扶養控除 / 所得税の速算表
Aさんの平成28年分の所得税の算出税額を計算した表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 事業所得の金額:13,000,000円 一時所得の金額:□□□円 (a)総所得金額:( ① )円 社会保険料控除:□□□円 生命保険料控除:□□□円 扶養控除:( ② )円 基礎控除:380,000円 (b)所得控除の額の合計額:2,950,000円 (c)課税総所得金額((a)-(b)):□□□円 (d)算出税額((c)に対する所得税額):( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 13,250,000 ② 380,000 ③ 1,863,000
解説
一時所得は、総収入金額から支出金額の合計を控除し、さらに特別控除額(最高50万円)を差し引いて算出します。総所得金額を求める際は、この一時所得の金額の2分の1を他の総合課税の所得と合算します。その後、所得控除を差し引いた課税総所得金額に超過累進税率を適用して算出税額を計算します。
解き方
- 一時所得の対象となる2契約の収入・支出を合算し、特別控除50万円を差し引いて一時所得の金額を求め、その2分の1を事業所得に加算して総所得金額(①)を算出する。
- 親族の年齢と状況から控除対象扶養親族を特定し、扶養控除額(②)を決定する。
- 総所得金額から所得控除合計額を差し引いて課税総所得金額を求め、所得税速算表を用いて算出税額(③)を計算する。
答えの内訳
- ①:13,250,000
- 一時所得の総収入金額は1,110万円+990万円=2,100万円、支出金額は1,000万円+1,000万円=2,000万円です。一時所得の金額=2,100万円-2,000万円-特別控除50万円=50万円。総所得金額に算入する額はその2分の1の25万円となり、事業所得1,300万円+25万円=1,325万円(13,250,000円)となります。
- ②:380,000
- 長女Cさん(17歳)は一般の控除対象扶養親族(控除額38万円)に該当し、二女Dさん(13歳)は年少扶養親族のため控除対象外です。妻Bさんは青色事業専従者のため対象外となり、扶養控除の合計額は38万円(380,000円)となります。
- ③:1,863,000
- 課税総所得金額(c)=1,325万円-295万円=1,030万円(1,000円未満の端数なし)。速算表(900万円超1,800万円以下)より、算出税額=1,030万円×33%-153万6,000円=3,399,000円-1,536,000円=186万3,000円(1,863,000円)となります。
覚えるポイント
- 一時所得の金額の計算式は「総収入金額-支出金額-特別控除(最高50万円)」。
- 総所得金額に合算される一時所得は「一時所得の金額×1/2」。
- 一般の控除対象扶養親族(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満)の控除額は38万円。
間違えやすいところ
- 一時所得の計算において、一時払終身保険のマイナス分(990万-1,000万=▲10万円)を通算から除外してしまう誤り。
- 総所得金額の計算時に一時所得の金額を2分の1にし忘れて全額を合算してしまうミス。
- 二女(13歳)に対しても扶養控除を適用して控除額を76万円としてしまうミス。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額および総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額の計算 / 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額
Aさんの相続が開始し、相続税の課税価格の合計額が3億円である場合における、相続税の総額の試算に関する次の表の空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい。 【試算表】 (a)相続税の課税価格の合計額:3億円 (b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 課税遺産総額(a-b):□□□万円 [相続税の総額の基となる税額] ・妻Bさん:□□□万円 ・長男Cさん:( ② )万円 ・二男Dさん:□□□万円 (c)相続税の総額:( ③ )万円 <資料:相続税の速算表(一部抜粋)> ・1,000万円超〜3,000万円以下:税率15%、控除額50万円 ・3,000万円超〜5,000万円以下:税率20%、控除額200万円 ・5,000万円超〜1億円以下:税率30%、控除額700万円 ・1億円超〜2億円以下:税率40%、控除額1,700万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800 ② 1,190 ③ 5,720
解説
相続税の総額の計算では、まず課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、それを実際の分割割合に関わらず各法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定して税額を算出し、それらを合算します。
解き方
- 法定相続人の数(配偶者と子2人の計3人)から基礎控除額(3,000万円+600万円×3人=4,800万円)を算出する。
- 課税価格の合計額3億円から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額(2億5,200万円)を求める。
- 各法定相続人の法定相続分(妻1/2、長男1/4、二男1/4)に応じて取得金額を按分し、速算表を適用して各人の税額を計算する。
- 算出した各人の税額を合計して相続税の総額(3,340万円+1,190万円+1,190万円=5,720万円)を求める。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、二男Dさんの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:1,190
- 課税遺産総額は3億円-4,800万円=2億5,200万円です。長男Cさんの法定相続分は4分の1なので、法定相続分に応じた取得金額は2億5,200万円×1/4=6,300万円となります。速算表を適用すると、6,300万円×30%-700万円=1,190万円となります。
- ③:5,720
- 妻Bさんの法定相続分は1/2(1億2,600万円)で算出税額は1億2,600万円×40%-1,700万円=3,340万円、二男Dさんの税額は長男Cさんと同額の1,190万円です。これらを合算して、相続税の総額は3,340万円+1,190万円+1,190万円=5,720万円となります。
覚えるポイント
- 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 相続税の総額は実際の遺産分割割合ではなく、法定相続分で按分した取得金額に基づき算出して合計する
間違えやすいところ
- 基礎控除額の計算式で改正前の「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」を誤って用いてしまうミス
- 長男Cさんの税額計算において控除額700万円の引き忘れや計算間違いをするミス
出題の前提:2016年10月1日現在施行の税制・法令(平成27年1月1日施行の相続税法改正後)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺産分割における遺留分・申告期限後3年以内の分割見込書・公正証書遺言
相続・事業承継 · 遺留分 / 遺留分減殺請求権の行使期間 / 申告期限後3年以内の分割見込書 / 公正証書遺言
Aさんの相続に係る遺産分割に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群のイ~ヌの中から選びなさい。 Ⅰ「仮に、Aさんの相続に係る遺留分算定の基礎となる財産の価額を3億円とした場合、二男Dさんの遺留分の金額は、( ① )万円になります。Aさんについて相続が開始し、長男Cさんが賃貸ビルなど相続財産の大部分を取得したならば、二男Dさんの遺留分は侵害される可能性があります。遺留分が侵害された場合、遺留分権利者である二男Dさんは、Aさんの相続の開始を知った時から( ② )年以内に遺留分減殺請求権を行使することにより、遺留分を保全することができます」 Ⅱ「Aさんの相続開始後、相続税の申告期限までに遺産分割協議が調わなかった場合、『配偶者に対する相続税額の軽減』『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることはできません。ただし、相続税の申告の際に『申告期限後( ③ )年以内の分割見込書』を提出し、申告期限後( ③ )年以内に遺産分割協議が成立したならば、これらの特例の適用を受けることが可能となり、分割後4カ月以内に更正の請求を行うことができます」 Ⅲ「遺産分割を巡る争いを防ぐ手段として遺言書の作成をお勧めします。遺言の効力を確かなものにすることを考えると、( ④ )証書遺言の作成が望ましいと思います。( ④ )証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成します」 <語句群> イ.1 ロ.3 ハ.5 ニ.10 ホ.3,750 ヘ.7,500 ト.1億5,000 チ.自筆 リ.秘密 ヌ.公正
- イ
- 1
- ロ
- 3
- ハ
- 5
- ニ
- 10
- ホ
- 3,750
- ヘ
- 7,500
- ト
- 1億5,000
- チ
- 自筆
- リ
- 秘密
- ヌ
- 公正
解答・解説を表示
解答
① ホ ② イ ③ ロ ④ ヌ
解説
民法では法定相続人(兄弟姉妹を除く)に最低限の遺産取得分として遺留分を保障しており、権利行使には短期消滅時効があります。また、税法上の遺産分割未了時の救済措置や、民法所定の確実性の高い遺言形式(公正証書遺言)の要件を理解することが重要です。
解き方
- 二男Dさんの遺留分割合(総遺留分1/2×法定相続分1/4=1/8)を算出し、基礎財産3億円に乗じて遺留分額3,750万円(ホ)を求める。
- 遺留分減殺請求権の短期消滅時効期間が、相続開始等の事実を知った時から「1年」(イ)であることを確認する。
- 申告期限後未分割の特例適用要件である見込書の名称が「申告期限後3年以内の分割見込書」(ロ)であることを確認する。
- 公証人への口授および証人2人以上の立会いが要件とされる遺言方式が「公正」証書遺言(ヌ)であることを確認する。
- 選択肢 イ正解
- 空欄②に当てはまります。遺留分減殺請求権の短期消滅時効は「1年」です。
- 選択肢 ロ正解
- 空欄③に当てはまります。未分割財産の特例適用に必要な書類は「申告期限後3年以内の分割見込書」です。
- 選択肢 ハ不正解
- いずれの空欄の数値(遺留分額・時効年数・分割見込年数)にも該当しません。
- 選択肢 ニ不正解
- 遺留分減殺請求権の除斥期間(相続開始時から10年)には該当しますが、本問の空欄②は「知った時からの期間」であるため該当しません。
- 選択肢 ホ正解
- 空欄①に当てはまります。3億円×1/8=3,750(万円)となります。
- 選択肢 ヘ不正解
- 7,500万円は配偶者Bさんの遺留分額(3億円×1/4)であり、二男Dさんの遺留分額ではありません。
- 選択肢 ト不正解
- 1億5,000万円は相続人全体の総遺留分額(3億円×1/2)であり、二男Dさんの遺留分額ではありません。
- 選択肢 チ不正解
- 自筆証書遺言は遺言者が全文・日付・氏名を自書して押印するものであり、公証人に口授するものではありません。
- 選択肢 リ不正解
- 秘密証書遺言は遺言者が署名押印した証書を封じ、公証人および証人2人以上に提出して自己の遺言書である旨等を申述する方式です。
- 選択肢 ヌ正解
- 空欄④に当てはまります。証人2人以上の立会いのもと公証人に趣旨を口授して作成するのは「公正証書遺言」です。
答えの内訳
- ①:ホ(3,750)
- 配偶者と子がいる場合の総遺留分は被相続人の財産の2分の1です。二男Dさんの法定相続分は1/4であるため、二男Dさんの遺留分割合は1/2×1/4=1/8となります。遺留分算定の基礎財産3億円に1/8を乗じると3,750万円となります。
- ②:イ(1)
- 遺留分減殺請求権(現行法上の遺留分侵害額請求権)は、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅します。
- ③:ロ(3)
- 申告期限までに分割されていない財産について、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用を受けるためには、当初申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して提出する必要があります。
- ④:ヌ(公正)
- 公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者がその趣旨を公証人に口授し、公証人が筆記・読み聞かせを行って作成される遺言形式です。
覚えるポイント
- 直系尊属のみが相続人の場合は総遺留分1/3、それ以外(配偶者や子)は総遺留分1/2
- 遺留分の請求権は相続開始及び減殺(侵害)を知った時から1年、相続開始から10年で消滅する
- 申告期限後3年以内の分割見込書を提出すれば、期限後3年以内の分割により配偶者軽減や小規模宅地等の特例が適用可能
間違えやすいところ
- 二男の遺留分計算において、総遺留分割合(1/2)を掛け忘れて法定相続分(1/4)のまま計算してしまうミス
- 遺留分請求の時効期間について、知った時からの「1年」と相続開始時からの「10年(除斥期間)」を混同するミス
出題の前提:2016年10月1日現在施行の民法および相続税法(当時の遺留分減殺請求権に基づく規定)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の特例・死亡保険金の非課税枠・生命保険を活用した相続対策
資産設計提案業務・相続 · 小規模宅地等の特例 / 生命保険金の非課税限度額 / 生命保険を活用した代償分割
個人で不動産賃貸業を営むAさんの相続対策および税務に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「仮に、妻Bさんが『特定居住用宅地等』に該当する自宅の敷地(330㎡)と『貸付事業用宅地等』に該当する賃貸ビルの敷地(400㎡)を相続により取得した場合には、それぞれの適用対象面積(730㎡)まで『小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例』の適用を受けることができます」 ② 「現時点(平成29年1月22日)において、Aさんの相続が開始した場合、妻Bさんが受け取る死亡保険金のうち、相続税の課税価格に算入される金額は500万円となります」 ③ 「契約者および死亡保険金受取人を長男Cさん、被保険者をAさんとする終身保険に加入し、長男Cさんが負担する保険料相当額の現金をAさんが贈与することも検討事項の1つです。納税資金の確保に加えて、二男Dさんに対する代償交付金の準備もできます」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
相続税対策において、小規模宅地等の特例の併用限度面積、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)、および契約形態ごとの保険金の課税関係と代償分割資金としての活用法を正しく理解しておくことが重要です。
解き方
- 小規模宅地等の特例における貸付事業用宅地等との併用制限ルール(完全併用不可)を確認して正誤を判定する。
- 法定相続人の人数を数え、生命保険金の非課税限度額(500万円×3人=1,500万円)と受取保険金額を比較して課税価格算入額を判定する。
- 契約者・受取人を推定相続人、被保険者を被相続人とする生命保険を活用した代償交付金準備の有効性を確認して正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 特定居住用宅地等(限度面積330㎡)と貸付事業用宅地等(限度面積200㎡)を併用する場合、それぞれの限度面積を合算して適用することはできず、一定の調整算式に基づき合計で最大200㎡までしか適用できません。したがって、730㎡まで適用を受けることはできません。
- 小問 ②:×
- 被相続人の死亡によって取得した生命保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」までの金額が非課税となります。Aさんの法定相続人は妻Bさん、長男Cさん、二男Dさんの3人であるため、非課税限度額は1,500万円(500万円×3人)です。受取額1,500万円全額が非課税となるため、課税価格に算入される金額は0円です。
- 小問 ③:○
- 契約者・受取人を長男Cさん、被保険者をAさんとする生命保険に加入し、保険料相当額を生前贈与することで、将来長男Cさんが受け取る死亡保険金(一時所得扱い)を、自身の相続税の納税資金や、賃貸ビルを相続した際に二男Dさんへ支払う代償交付金(代償分割の代償金)の原資として有効に活用できます。
覚えるポイント
- 貸付事業用宅地等を含む併用の限度面積は調整計算が必要であり、特定居住用宅地等と単純合算できない。
- 死亡保険金の非課税枠は「500万円×法定相続人の数」であり、相続を放棄した者がいても法定相続人の数に含めて計算する。
間違えやすいところ
- 特定事業用宅地等と特定居住用宅地等は完全併用(最大730㎡)できるが、貸付事業用宅地等との併用では完全併用できない点を取り違えやすい。
- 契約者・受取人が長男で被保険者が親の場合、受け取る死亡保険金は相続税ではなく長男の一時所得(所得税・住民税)となる点を見落としやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2017年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

