日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の概要
中小企業退職金共済制度の加入要件・助成および養老保険の経理処理
中小事業主資産相談業務 · 中小企業退職金共済 / 福利厚生 / ハーフタックスプラン / 法人保険の経理処理
中小企業退職金共済制度(中退共)および養老保険の活用に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① X社のようにサービス業に該当する株式会社が中退共に加入するためには、常時雇用する従業員数が100人以下または資本金の額が5,000万円以下という加入要件を満たす必要がある。 ② 中退共の掛金は、所定の範囲内で従業員ごとに任意に選択できる。また、中退共に新たに加入する事業主は、加入後4カ月目から2年間、掛金月額の2分の1(上限5,000円)について国の助成が受けられる。 ③ X社が、被保険者を全従業員、死亡保険金受取人および満期保険金受取人をX社とする養老保険に加入すれば、支払保険料の2分の1の金額を損金として処理することができ、かつ、従業員の退職金の原資を準備することができる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
中退共は業種ごとに資本金または従業員数の加入基準が定められています。また、養老保険において支払保険料の2分の1を損金算入(ハーフタックスプラン)するには、満期保険金受取人を法人、死亡保険金受取人を被保険者の遺族とし、役員・従業員全員を対象とする福利厚生目的の加入形態をとる必要があります。
解き方
- 業種区分(サービス業)における中退共の加入要件(100人以下または5,000万円以下)を確認して記述①の正誤を判定する。
- 中退共の新加入掛金助成制度における国の助成対象期間(原則1年間)を確認して記述②の正誤を判定する。
- 契約形態(受取人等の指定)による養老保険の経理処理基準を確認し、双方受取人が法人の場合は全額資産計上となることを適用して記述③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- サービス業における中退共の加入要件は「常時雇用する従業員数100人以下」または「資本金・出資金5,000万円以下」のいずれかを満たすことであり、本記述は適切です。
- 小問 ②:×
- 新規加入助成として国から掛金月額の2分の1(上限5,000円)が助成される期間は、加入後4カ月目から「1年間」であり、「2年間」とする本記述は不適切です。
- 小問 ③:×
- 死亡保険金受取人と満期保険金受取人の双方が法人である場合、支払保険料は全額が資産(保険料積立金)に計上され、2分の1損金算入とはならないため不適切です。
覚えるポイント
- 中退共のサービス業加入要件:資本金5,000万円以下または従業員100人以下
- ハーフタックスプラン要件:死亡保険金受取人が従業員遺族、満期受取人が法人
間違えやすいところ
- 新加入掛金助成の期間は1年間(12か月分)であり、2年間ではない点に注意する。
- 法人が死亡保険金・満期保険金の双方の受取人となる場合は、支払保険料全額が資産計上となる点を見落とさないようにする。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金(企業型年金)の規約承認・掛金拠出・運用責任および給付の税務
中小事業主資産相談業務 · 確定拠出年金 / 企業型年金 / マッチング拠出 / 退職所得 / 小規模企業共済等掛金控除
確定拠出年金の企業型年金(以下、「企業型年金」という)に関する次の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 「企業型年金を実施しようとするときは、労使合意に基づいて企業型年金に係る規約を作成し、当該規約について( ① )の承認を受ける必要があります。 企業型年金を実施した場合、事業主は、規約に基づき、各加入者(従業員)の個人別専用口座に掛金を拠出します。また、規約で定めることにより、加入者も一定の範囲内で掛金を拠出することができます。事業主が拠出した掛金は全額を損金の額に算入することができ、加入者が拠出した掛金は全額が( ② )として所得控除の対象となります。 加入者が企業型年金から受け取る給付の額は、拠出された掛金の運用成果に応じて変動しますが、その運用成果については( ③ )が責任を負います。 給付には、老齢給付金、障害給付金、死亡一時金の形態があります。 老齢給付金は、通算加入者等期間が( ④ )年以上あれば、60歳から受け取ることができます。原則として年金として支給されますが、規約で定めることにより、一時金として受け取ることもできます。老齢給付金を一時金で受け取った場合は、( ⑤ )として課税の対象となります」 〈語句群〉 イ.2 ロ.5 ハ.10 ニ.内閣総理大臣 ホ.厚生労働大臣 ヘ.労働基準監督署長 ト.社会保険料控除 チ.生命保険料控除 リ.小規模企業共済等掛金控除 ヌ.事業主 ル.加入者 ヲ.事業主と加入者の双方 ワ.一時所得 カ.雑所得 ヨ.退職所得
- イ
- 2
- ロ
- 5
- ハ
- 10
- ニ
- 内閣総理大臣
- ホ
- 厚生労働大臣
- ヘ
- 労働基準監督署長
- ト
- 社会保険料控除
- チ
- 生命保険料控除
- リ
- 小規模企業共済等掛金控除
- ヌ
- 事業主
- ル
- 加入者
- ヲ
- 事業主と加入者の双方
- ワ
- 一時所得
- カ
- 雑所得
- ヨ
- 退職所得
解答・解説を表示
解答
① ホ ② リ ③ ル ④ ハ ⑤ ヨ
解説
確定拠出年金(企業型)は、労使合意を経て厚生労働大臣の承認を受けた規約に基づいて実施されます。掛金拠出時・運用時・給付時の各段階で税制上の優遇措置が設けられており、加入者掛金は小規模企業共済等掛金控除、一時金受取時は退職所得控除が適用されます。
解き方
- 企業型年金規約の認可・承認権者が厚生労働大臣であることを確認する。
- 加入者掛金(マッチング拠出)の所得税法上の控除区分(小規模企業共済等掛金控除)を特定する。
- 確定拠出年金の自己責任原則に基づき運用の責任主体(加入者本人)を特定する。
- 60歳時点で受給可能となる通算加入者等期間の要件(10年以上)を確認する。
- 老齢給付金を一時金で受領した際の税制上の所得区分(退職所得)を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ホ
- 企業型年金を実施するために労使合意に基づき作成した年金規約は、厚生労働大臣の承認を受ける必要があります。
- 小問 ②:リ
- 規約に基づいて加入者自身が拠出した掛金(マッチング拠出)は、全額が小規模企業共済等掛金控除の対象となります。
- 小問 ③:ル
- 確定拠出年金は加入者が自ら提示された運用商品を選択・指図するため、その運用成果の責任は加入者自身が負います。
- 小問 ④:ハ
- 老齢給付金を本来の支給開始年齢である60歳から受給するためには、通算加入者等期間が10年以上必要です。
- 小問 ⑤:ヨ
- 老齢給付金を一時金として受給した場合の所得区分は退職所得となり、年金形式で受給した場合は公的年金等控除の対象となる雑所得となります。
覚えるポイント
- 企業型確定拠出年金の加入者掛金は全額「小規模企業共済等掛金控除」
- 老齢給付金の一時金受取は「退職所得」、年金受取は「雑所得」
間違えやすいところ
- マッチング拠出の掛金を社会保険料控除や生命保険料控除と混同しないようにする。
- 老齢一時金を一時所得と誤答しやすいため、退職手当等とみなされる退職所得であることを正確に把握する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種係数を用いた積立額および年金受取額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 減債基金係数 / 年金現価係数 / 複利計算
将来の目標額を準備するために必要な毎年の積立額、および元本を複利運用しながら均等に取り崩す場合の毎年の受取額を試算する。年利率1%の各種係数表を利用し、以下の文章の空欄①および②に入る数値を求めなさい。なお、掛金は年1回拠出とし、税金・手数料は考慮せず、円未満を四捨五入すること。 Ⅰ 「1%で複利運用しながら30年後に1,500万円を準備するために必要な毎年の掛金の額(積立額)は、( ① )円と試算されます」 Ⅱ 「1,500万円を1%で複利運用しながら10年間で均等に取り崩した場合、毎年受け取れる年金額は、( ② )円と試算されます」 〈年利率1%の各種係数〉 ・10年:終価係数 1.1046/現価係数 0.9053/年金現価係数 9.4713/減債基金係数 0.0956 ・20年:終価係数 1.2202/現価係数 0.8195/年金現価係数 18.0456/減債基金係数 0.0454 ・30年:終価係数 1.3478/現価係数 0.7419/年金現価係数 25.8077/減債基金係数 0.0287
解答・解説を表示
解答
① 430,500円、② 1,583,732円
解説
将来の目標額から毎年の積立額を算出する場合は減債基金係数を乗じ、現在の元本から毎年の受取額を算出する場合は資本回収係数を乗じるか年金現価係数で除して計算します。
解き方
- 空欄①は将来目標額1,500万円に期間30年の減債基金係数0.0287を乗じて430,500円を求めます。
- 空欄②は現在の資金1,500万円を期間10年の年金現価係数9.4713で除し、四捨五入して1,583,732円を求めます。
答えの内訳
- ①:430,500
- 一定期間後に目標金額を達成するために必要な毎年の積立額を求める際には「減債基金係数」を用います。期間30年の減債基金係数は0.0287であるため、15,000,000円×0.0287=430,500円となります。
- ②:1,583,732
- 元本を一定期間複利運用しながら均等に取り崩して受け取る額を求める場合、資本回収係数を用いますが、資本回収係数は「年金現価係数」の逆数です。係数表の10年の年金現価係数9.4713で除して計算すると、15,000,000円÷9.4713=1,583,731.81...円となり、円未満四捨五入で1,583,732円となります。
覚えるポイント
- 減債基金係数は将来目標額から毎年の積立額を求める係数です。
- 年金現価係数は毎年の受取額から現在必要な原資を求める係数であり、その逆数が毎年の受取額を求める資本回収係数となります。
間違えやすいところ
- 年金終価係数と減債基金係数、または年金現価係数と資本回収係数の関係を取り違えて掛ける・割るの計算を逆にしないよう注意が必要です。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資信託の分類(組成形態・投資対象・運用方法)
金融資産運用 · 投資信託の分類 / REIT / 公社債投資信託 / インデックス運用とアクティブ運用
投資信託の分類に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「投資信託を組成形態で分類すると、契約型投資信託と会社型投資信託があります。代表的な契約型投資信託としては、東京証券取引所に上場されているETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)があります」 ② 「投資信託を投資対象で分類すると、株式投資信託と公社債投資信託があります。前者は株式の組入比率が50%を超えている投資信託であり、後者は公社債の組入比率が50%を超えている投資信託です」 ③ 「投資信託を運用方法で分類すると、インデックス型投資信託とアクティブ型投資信託があります。前者は目標となるベンチマークに連動する運用成果を目指して運用され、後者は目標となるベンチマークを上回る運用成果を目指して運用されます」
解答・解説を表示
解答
① ×、② ×、③ ○
解説
投資信託は「組織形態(契約型・会社型)」「投資対象(株式・公社債)」「運用手法(インデックス・アクティブ)」により明確に分類基準が定められています。
解き方
- 記述①:J-REITは投資法人として設立される会社型投資信託であるため不適切(×)と判断します。
- 記述②:公社債投資信託は株式を一切組み入れないものであり、組入比率基準ではないため不適切(×)と判断します。
- 記述③:インデックス型とアクティブ型の運用の目的・特徴についての説明が正確であるため適切(○)と判断します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 日本のREIT(不動産投資信託)は、投資法人という法人組織形態をとる「会社型投資信託」に分類されます。したがって、REITを契約型投資信託の代表例としている本記述は不適切です。
- 小問 ②:×
- 投資対象による分類において、公社債投資信託は「約款上、株式を一切組み入れない投資信託」を指し、株式投資信託は「約款上、株式を少しでも組み入れることができる投資信託」を指します。組入比率50%超という基準による区分ではないため不適切です。
- 小問 ③:○
- インデックス型は日経平均株価やTOPIX等のベンチマークに連動した運用成果を目指し、アクティブ型はベンチマークを上回る運用成果を目指して運用されます。記述は適切です。
覚えるポイント
- 公社債投資信託は「株式を一切組み入れない」投資信託であり、株式投資信託は「株式を少しでも組み入れることができる」投資信託です。
- 日本のREITは投資法人制度を利用した「会社型投資信託」です。
間違えやすいところ
- 公社債投資信託と株式投資信託の区分を、実際の組入比率(50%超など)による区分と誤認しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
NISA(一般NISA)の制度概要と要件
金融資産運用 · 少額投資非課税制度 / 非課税限度額 / 非課税期間 / 株式数比例配分方式
中小事業主のAさん(40歳)に対するファイナンシャル・プランナーMさんによるNISA(一般NISA)の仕組みに関する説明文について、文中の空欄①~④に入る最も適切な語句を〈語句群〉から選びなさい。 「NISAは、NISA口座に受け入れた上場株式や公募株式投資信託等について、通常は課税される配当金等や譲渡益が非課税となる制度です。 NISA口座に平成29年中に受け入れることができる上場株式等の限度額(非課税枠)は、( ① )です。仮に、平成29年分の非課税枠を使い切らなかった場合、その未使用分を翌年以降に繰り越すことは( ② )。また、NISA口座に平成29年中に受け入れた上場株式等の配当金等や譲渡益について非課税となる期間は、当該非課税管理勘定が設けられた日の属する年の1月1日から最長で( ③ )です。 なお、NISA口座で購入した上場株式の配当金を非課税とするためには、配当金の受取方法として( ④ )を選択する必要があります」 〈語句群〉 イ.60万円 ロ.80万円 ハ.100万円 ニ.120万円 ホ.1年間に限り可能です ヘ.3年間に限り可能です ト.できません チ.3年間 リ.5年間 ヌ.7年間 ル.株式数比例配分方式 ヲ.配当金領収証方式 ワ.個別銘柄指定方式
- イ
- 60万円
- ロ
- 80万円
- ハ
- 100万円
- ニ
- 120万円
- ホ
- 1年間に限り可能です
- ヘ
- 3年間に限り可能です
- ト
- できません
- チ
- 3年間
- リ
- 5年間
- ヌ
- 7年間
- ル
- 株式数比例配分方式
- ヲ
- 配当金領収証方式
- ワ
- 個別銘柄指定方式
解答・解説を表示
解答
① ニ、② ト、③ リ、④ ル
解説
NISA(少額投資非課税制度)は、個人投資家の資産形成を支援するための税制優遇制度であり、年間投資限度額、非課税保有期間、配当金の受取方式のルールがあらかじめ定められています。
解き方
- 一般NISAにおける年間の非課税投資上限額(平成28年以降は120万円)と未使用枠の繰越不可ルールを確認する。
- 非課税となる期間(最長5年間)および株式配当金を非課税とするための必須要件(株式数比例配分方式の選択)を当てはめて各記号を特定する。
- 選択肢 イ不正解
- 60万円はNISAの非課税投資枠の金額ではありません。
- 選択肢 ロ不正解
- 80万円はジュニアNISAの年間非課税限度額などであり、一般NISAの限度額ではありません。
- 選択肢 ハ不正解
- 100万円は平成27年(2015年)以前の旧限度額であり、平成29年分としては誤りです。
- 選択肢 ニ正解
- 平成28年以降の一般NISAの年間非課税限度額は120万円となります。
- 選択肢 ホ不正解
- NISAの未使用枠はいかなる期間であっても翌年以降に繰り越すことは認められていません。
- 選択肢 ヘ不正解
- 非課税枠の未使用分を繰り越す特例制度は存在しません。
- 選択肢 ト正解
- NISA口座の年間非課税枠の未使用分を翌年以降に繰り越すことはできません。
- 選択肢 チ不正解
- 一般NISAの非課税期間は3年間ではなく最長5年間です。
- 選択肢 リ正解
- 一般NISAにおける上場株式等の非課税期間は最長で5年間です。
- 選択肢 ヌ不正解
- 非課税期間は最長5年間であり、7年間ではありません。
- 選択肢 ル正解
- 上場株式の配当金を非課税とするには、株式数比例配分方式の指定が必要です。
- 選択肢 ヲ不正解
- 配当金領収証方式を選択すると、配当金が非課税とならず源泉徴収(課税)されてしまいます。
- 選択肢 ワ不正解
- 登録配当金受領口座方式や個別銘柄指定方式等を選択した場合は、配当金が非課税扱いになりません。
答えの内訳
- ①:ニ
- NISA(一般NISA)の年間非課税投資枠は、平成28年(2016年)以降は年120万円(当初は年100万円)とされています。
- ②:ト
- 非課税枠の未使用分が生じた場合であっても、その残枠を翌年以降に繰り越して利用することはできません。
- ③:リ
- NISA口座内に受け入れた上場株式等の配当や譲渡益が非課税となる期間は、投資した日の属する年の1月1日から最長で5年間です。
- ④:ル
- 上場株式等の配当金をNISA口座内で非課税とするためには、証券会社の口座を通じて受け取る「株式数比例配分方式」を選択しておく必要があります。
覚えるポイント
- 一般NISAの年間投資枠は120万円・最長5年間非課税・残枠の翌年繰越は不可。
- 株式の配当金を非課税にするには「株式数比例配分方式」の選択が必須。
間違えやすいところ
- 配当金の受取方法を従来型の配当金領収証方式や銀行口座振込にしてしまい、非課税にならず源泉徴収されてしまう点。
- 年間の未使用枠が翌年へロールオーバー(繰越)できると誤認してしまう点。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第37条の14等)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
サスティナブル成長率の計算
金融資産運用 · サスティナブル成長率 / 自己資本利益率(ROE) / 配当性向 / 内部留保率
設例の〈X社の財務データ等〉(総資産8,000億円、自己資本2,500億円、当期純利益200億円、1株当たり年間配当金10円、発行済株式数4億株、株価400円)に基づき、X社のサスティナブル成長率を計算する〈計算式〉の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第2位を四捨五入すること。 〈計算式〉 ・サスティナブル成長率 ( 200億円 / ( ① )億円 × 100 )× ( 1 - ( ② )億円 / 200億円 )= ( ③ )%
解答・解説を表示
解答
① 2,500、② 40、③ 6.4
解説
サスティナブル成長率は、外部からの増資等を行わずに内部留保された資金のみを元手として企業が持続的に達成可能な成長率を示し、「ROE(自己資本利益率)× 内部留保率(1-配当性向)」で算出されます。
解き方
- 計算式の前半からROEを求めるため、当期純利益200億円に対する自己資本(純資産)2,500億円を空欄①に当てはめる(ROE=200/2,500×100=8%)。
- 年間の配当金総額を「1株当たり配当金10円×発行済株式数4億株=40億円」と計算し、配当性向の分子である空欄②に40億円を代入する。
- 内部留保率(1-40/200=1-0.2=0.8)を求め、ROEの8%に乗じて「8.0%×0.80=6.4%」を算出して空欄③とする。
答えの内訳
- ①:2,500
- サスティナブル成長率の前半部分はROE(当期純利益/自己資本×100)であるため、分母には自己資本の額である2,500(億円)が入ります。
- ②:40
- 後半部分は内部留保率(1-配当性向)であり、配当性向の分子は配当金総額となります。1株当たり配当金10円×発行済株式数4億株=40億円が入ります。
- ③:6.4
- サスティナブル成長率=(200億円/2,500億円×100)×(1-40億円/200億円)=8.0%×(1-0.20)=8.0%×0.80=6.4%となります。
覚えるポイント
- サスティナブル成長率 = ROE × 内部留保率 = ROE × (1 - 配当性向)
- 配当金総額 = 1株当たり年間配当金 × 発行済株式数
間違えやすいところ
- ROEの分母に自己資本(2,500億円)ではなく総資産(8,000億円)を誤って代入してしまう点。
- 配当性向の分子に1株当たり配当金(10円)をそのまま入れてしまい、配当金総額(40億円)と混同してしまう点。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等・財務指標計算基準
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の所得計算(交際費・役員給与・租税公課)
タックスプランニング · 法人税 / 交際費等の損金不算入 / 役員給与 / 租税公課
小売業を営むX株式会社(資本金3,000万円、同族会社かつ非上場会社)の法人税における所得金額の計算に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① X社が当期において支出した交際費等の金額が1,000万円であり、そのうち接待飲食費の額が500万円である場合、支出した交際費等の金額の全額を損金の額に算入することができる。 ② X社が当期において役員に支給した給与が、当期の利益の状況を示す指標を基礎として算定された利益に連動する給与である場合、その全額を損金の額に算入することができる。 ③ X社が新たに取得した不動産に係る不動産取得税や所有している不動産に係る固定資産税および都市計画税は、その全額を損金の額に算入することができる。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
法人税の課税所得計算では、会計上の費用がすべて税務上の損金になるわけではなく、交際費等の損金算入制限や同族会社における役員給与の損金不算入規定などの別段の定めが置かれています。
解き方
- 資本金1億円以下の中小法人における交際費等の損金算入限度額のルール(年800万円までの定額控除または接待飲食費の50%)を確認する。
- 利益連動給与の損金算入対象から同族会社が除外されている要件を確認する。
- 固定資産税や都市計画税、不動産取得税などの租税公課が損金算入可能であるかを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 資本金1億円以下の中小法人における交際費等の損金算入は、年間800万円までの定額控除限度額、または接待飲食費の50%相当額のいずれかを選択適用するため、全額を損金算入することはできません。
- 小問 ②:×
- 利益連動給与(業績連動給与)が損金算入の対象となるのは、同族会社以外の内国法人等に限定されているため、同族会社であるX社が支給する利益連動給与は全額損金不算入となります。
- 小問 ③:○
- 不動産の取得に伴う不動産取得税や、保有期間中に課税される固定資産税および都市計画税は、法人税法上の損金算入が認められる租税公課に該当するため全額損金の額に算入できます。
覚えるポイント
- 資本金1億円以下の中小法人の交際費は「800万円まで全額」または「接待飲食費の50%」の選択適用
- 同族会社は業績連動給与(利益連動給与)を損金算入できない
間違えやすいところ
- 中小法人の定額控除枠(800万円)を超えているのに全額損金算入できると誤認しやすい
- 利益連動給与が上場企業等の非同族会社に限定される点を見落としやすい
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税額の計算(課税所得金額と中小法人の税率)
タックスプランニング · 法人税 / 申告調整 / 課税所得金額 / 中小法人の軽減税率
設例の〈X社の当期における法人税の課税所得金額の計算に関する資料〉(当期利益3,900万円、益金算入額1,600万円、益金不算入額700万円、損金算入額2,800万円、損金不算入額4,500万円)に基づき、X社の当期の法人税額を計算する計算式の空欄①~③に入る数値を求めなさい。 〈計算式〉 ・課税所得金額 ( ① )万円 ・法人税額 ( ② )万円×( ③ )%+(( ① )万円-( ② )万円)×23.4%
解答・解説を表示
解答
① 6,500 ② 800 ③ 15
解説
法人税の課税所得は「当期利益+加算項目(益金算入・損金不算入)-減算項目(益金不算入・損金算入)」で算出し、中小法人では年800万円以下の所得に対して軽減税率15%が適用されます。
解き方
- 当期利益3,900万円に加算項目(1,600万円+4,500万円)を足し、減算項目(700万円+2,800万円)を差し引いて課税所得金額6,500万円を求める。
- 中小法人の軽減税率対象となる限度額(年800万円)およびその適用税率(15%)を特定して計算式に当てはめる。
答えの内訳
- ①:6,500
- 課税所得金額は、当期利益3,900万円+益金算入額1,600万円+損金不算入額4,500万円-益金不算入額700万円-損金算入額2,800万円=6,500万円となります。
- ②:800
- 資本金1億円以下の中小法人に対する法人税の軽減税率は、所得金額のうち年800万円以下の部分に適用されるため、800が入ります。
- ③:15
- 中小法人の年800万円以下の所得金額に適用される法人税の軽減税率は15%であるため、15が入ります。
覚えるポイント
- 課税所得金額=当期利益+益金算入+損金不算入-益金不算入-損金算入
- 資本金1億円以下の中小法人の軽減税率は年800万円以下の部分について15%
間違えやすいところ
- 加算項目と減算項目を取り違えて申告調整の計算を誤る
- 年800万円以下の部分に適用される軽減税率(15%)と本則税率を混同する
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得拡大促進税制の要件と税額控除限度額
タックスプランニング · 法人税 / 所得拡大促進税制 / 税額控除
設例のX社(資本金3,000万円の中小企業者等、3月決算法人)が平成29年3月期において所得拡大促進税制の適用を受ける場合の要件および控除限度額に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選びなさい。 「本制度は、青色申告法人が国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、適用対象年度の給与支給額や平均給与支給額などに基づく一定の要件を満たすときは、税額控除が認められる制度である。 X社が当期において本制度の適用を受けるための要件としては、雇用者給与等支給額が基準事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額と比較して( ① )%以上増加していること、雇用者給与等支給額が前事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額以上であることなどがある。なお、基準事業年度とは、X社の場合、( ② )に開始した事業年度となる。 X社が当期において本制度の適用を受けた場合、税額控除限度額は、雇用者給与等支給増加額の( ③ )%相当額となる。ただし、その税額控除限度額が当期における法人税額の( ④ )%相当額を超える場合には、その相当額が限度となる」 〈語句群〉 イ.1 ロ.3 ハ.5 ニ.10 ホ.15 ヘ.20 ト.30 チ.平成24年4月1日 リ.平成25年4月1日 ヌ.平成26年4月1日
解答・解説を表示
解答
① ロ(3) ② チ(平成24年4月1日) ③ ニ(10) ④ ヘ(20)
解説
所得拡大促進税制(雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)は、青色申告法人が一定の給与等支給額の増加要件を満たした場合に、給与等支給増加額の一定割合を法人税額から特別控除できる制度です。中小企業者等には要件や控除上限額において優遇措置が講じられています。
解き方
- 法人の規模(中小企業者等)と適用対象事業年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)を確認し、適用要件となる給与増加割合を判定する。
- 基準事業年度の定義(平成25年4月1日以後開始の初年度の直前事業年度)に基づき、事業年度開始日を特定する。
- 税額控除限度額の計算割合(給与増加額の10%)および中小企業者等に対する法人税額上限割合(20%)を当てはめる。
答えの内訳
- ①:ロ(3)
- 中小企業者等の平成28年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)開始事業年度における基準事業年度からの給与等支給額の増加割合要件は「3%以上」です。
- ②:チ(平成24年4月1日)
- 基準事業年度とは平成25年4月1日以後に開始する最初の事業年度の前事業年度であり、3月決算法人であるX社では「平成24年4月1日」に開始した事業年度となります。
- ③:ニ(10)
- 所得拡大促進税制の税額控除限度額は、雇用者給与等支給増加額(適用事業年度の給与等支給額-基準事業年度の給与等支給額)の「10%」相当額です。
- ④:ヘ(20)
- 税額控除限度額の上限は、大企業等では当期の法人税額の10%相当額ですが、中小企業者等の場合は「20%」相当額が上限とされています。
覚えるポイント
- 基準事業年度は「平成25年4月1日以後に開始する最初の事業年度の直前の事業年度」であること。
- 税額控除上限は一般企業が法人税額の10%、中小企業者等は20%であること。
間違えやすいところ
- 基準事業年度を「平成25年4月1日」開始年度と混同しやすいので、その直前事業年度であることを確認する。
- 控除限度額の上限割合について、一般企業の10%と中小企業の20%を取り違えやすいので注意する。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第42条の12の5)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における用途規制・建ぺい率・容積率不算入の規定
不動産 · 建築基準法 / 用途地域 / 建ぺい率の緩和 / 容積率の車庫不算入
甲土地(商業地域200㎡、指定建ぺい率80%、防火地域)と乙土地(商業地域100㎡・近隣商業地域100㎡、指定建ぺい率80%、防火地域)を一体とした土地に商業ビル(耐火建築物)を建築する場合に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 甲土地と乙土地を一体とした土地上に建築物を建築する場合、用途地域による建築物の制限については、甲土地と乙土地の一体の土地の全部について、商業地域の建築物の用途に関する規定が適用される。 ② 甲土地と乙土地を一体とした土地上に耐火建築物を建築する場合、防火地域内にある耐火建築物に該当するため、指定建ぺい率に10%が加算され、建ぺい率の限度は90%となる。 ③ 甲土地と乙土地を一体とした土地上に建築物を建築する場合、建築物の中にある駐車場の床面積については、当該建築物の各階の床面積の合計の3分の1を限度として、容積率算定上の延べ面積から除外することができる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
建築基準法において、敷地が複数の用途地域にまたがる場合の用途制限は「過半の属する地域」の規定に従います。建ぺい率は「指定80%地域かつ防火地域内の耐火建築物」であれば制限が撤廃(100%)されます。また、車庫等の容積率不算入枠は延べ面積の「5分の1」が上限とされています。
解き方
- 敷地全体における用途地域の面積を按分・比較し、過半が商業地域(300㎡/400㎡)に属することを用途制限の判定に適用する。
- 指定建ぺい率80%および防火地域・耐火建築物の条件から、建ぺい率適用除外(100%)のルールを確認する。
- 容積率計算における自動車車庫等の床面積不算入限度(延べ面積の5分の1)と問題文の記述(3分の1)を比較検証する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 建築物の敷地が異なる用途地域にまたがる場合、用途地域の制限はその敷地の過半が属する地域の規定が適用されます。一体敷地400㎡のうち商業地域が300㎡(75%)で過半を占めるため、敷地の全部に商業地域の用途規定が適用されます。
- 小問 ②:×
- 指定建ぺい率が80%と定められている地域内で、かつ防火地域内にある耐火建築物については、建ぺい率の制限自体が適用除外(建ぺい率100%)となります。10%が加算されて90%となるわけではありません。
- 小問 ③:×
- 建築物内の自動車車庫等の用途に供する部分の床面積は、容積率算定上の延べ面積から除外できますが、その限度は当該建築物の各階の床面積の合計(延べ面積)の「5分の1」までです。「3分の1」ではありません。
覚えるポイント
- 建築物の用途制限は敷地の過半(50%超)が属する地域の規定が適用されること。
- 「指定建ぺい率80%+防火地域内の耐火建築物」は建ぺい率制限なし(100%)となること。
- 自動車車庫等の容積率不算入限度は延べ面積の「5分の1」であること。
間違えやすいところ
- 用途地域がまたがる場合、建ぺい率・容積率は按分計算するのに対し、用途制限は「過半主義」であることを混同しやすい。
- 指定建ぺい率80%地域での防火地域内耐火建築物は10%加算ではなく制限撤廃(100%)となる点を見落としやすい。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(建築基準法第53条、第91条、同法施行令第2条)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
複数用途地域にまたがる土地の延べ面積の限度計算
不動産 · 建築基準法 / 前面道路幅員制限 / セットバック / 容積率
甲土地(商業地域200㎡、北側6m市道)と乙土地(商業地域100㎡・近隣商業地域100㎡、南側3m指定道路・2項道路)を一体とした敷地(計400㎡)に耐火建築物を建築する場合、容積率の上限となる延べ面積を求める計算式の空欄①~③に入る数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 360 ② 90 ③ 1,350
解説
建築物の敷地が異なる用途地域にわたる場合、容積率の限度は各地域ごとの敷地面積にそれぞれの地域の上限容積率を乗じた延べ面積を合算して求めます。前面道路が2以上あるときは最も幅員の広い道路の幅員を採用し、2項道路に面する部分はセットバック面積を敷地面積から除外します。
解き方
- 敷地が接する道路(6m市道と3m市道)のうち、広い方である6m市道を基準として前面道路幅員による容積率制限を計算します。
- 3m市道(建築基準法第42条第2項道路)の後退幅(0.5m)と後退面積(10㎡)を求め、近隣商業地域の有効敷地面積(90㎡)を算出します。
- 商業地域(300㎡)と近隣商業地域(90㎡)のそれぞれについて指定容積率と道路制限容積率の小さい方を乗じて延べ面積上限を計算し、合算します。
答えの内訳
- ①:360
- 敷地が2つ以上の道路に接する場合、幅員の広い方の道路幅員(6m)を前面道路とみなします。商業地域の法定乗数は6/10であるため、前面道路制限による容積率は 6m × (6/10) = 360% となります。
- ②:90
- 幅員3mの2項道路の中心線から2m後退(セットバック)する必要があり、後退幅は (4m-3m)÷2=0.5m です。間口20m×後退幅0.5m=10㎡が敷地面積から除外されるため、有効敷地面積は 100㎡-10㎡=90㎡ となります。
- ③:1,350
- 商業地域部分は指定400%と道路制限360%の小さい方(360%)が適用され 300㎡×360%=1,080㎡、近隣商業地域部分は指定300%と道路制限360%の小さい方(300%)が適用され 90㎡×300%=270㎡ となり、合計延べ面積の上限は 1,080㎡+270㎡=1,350㎡ となります。
覚えるポイント
- 2項道路の中心線後退は、幅員4m未満の道路において中心線から2m後退するため、(4m-道路幅員)÷2 が後退幅となります。
- 敷地が2以上の道路に面する場合、原則として最も広い道路の幅員を前面道路幅員として容積率制限を判定します。
間違えやすいところ
- セットバックが必要なのは3m市道に面する近隣商業地域部分のみである点を見落とし、甲土地まで後退させてしまうミス。
- 近隣商業地域の容積率判定で道路幅員制限(360%)と指定容積率(300%)の小さい方(300%)を選択せず、商業地域と同じ360%を掛けてしまうミス。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の建築基準法(第42条第2項、第52条)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の資産の買換えの場合の課税の特例
タックスプランニング · 法人税 / 特定の資産の買換えの特例 / 圧縮限度額 / 差益割合
「特定の資産の買換えの場合の課税の特例」(租税特別措置法第65条の7)に関する文章中の空欄①~④に入る最も適切な数値を、指定された〈数値群〉の中から選びなさい。
- イ
- 0.2
- ロ
- 0.5
- ハ
- 0.8
- ニ
- 1
- ホ
- 3
- ヘ
- 5
- ト
- 10
- チ
- 20
- リ
- 50
- ヌ
- 80
- ル
- 100
解答・解説を表示
解答
① ニ ② ト ③ ヌ ④ ハ
解説
法人税における特定の資産の買換えの特例は、事業用資産を譲渡して一定の買換資産を取得した場合に、譲渡益の一定割合(原則80%)に対する課税を将来に繰り延べる(圧縮記帳を行う)制度です。これにより資産の買い換えに伴う一時的な税負担を軽減します。
解き方
- 買換資産の使用開始要件(取得の日から1年以内)および長期保有資産の要件(所有期間10年超)を確認します。
- 同一地域内の買換えにおける圧縮割合(課税繰延割合=80%)を確認します。
- 差益割合の計算式[譲渡対価の額-(帳簿価額+譲渡費用)]÷譲渡対価の額に数値を代入して差益割合(0.8)を算出します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ニ
- 買換特例の適用を受けるためには、買換資産を取得した日から「1年以内」に事業の用に供するか、供する見込みである必要があります。
- 小問 ②:ト
- 長期保有資産の買換え(いわゆる9号買換え)における譲渡資産は、譲渡した日の属する年の1月1日時点での所有期間が「10年」を超える土地等であることが要件です。
- 小問 ③:ヌ
- 特定の資産の買換えの場合の課税繰延割合(圧縮割合)は、原則として「80%」(地域間移動の要件等により異なるが、同一地域内買換え等は80%)とされています。
- 小問 ④:ハ
- 差益割合は[譲渡対価の額-(帳簿価額+譲渡経費)]÷譲渡対価の額で算出します。[5億円-(0.8億円+0.2億円)]÷5億円=4億円÷5億円=「0.8」となります。
覚えるポイント
- 買換えの特例における長期保有土地等の要件は、譲渡年の1月1日において所有期間10年超です。
- 課税繰延割合は原則80%であり、全額非課税になるわけではなく20%相当分には当期課税されます。
間違えやすいところ
- 差益割合の分母に買換資産の取得価額(3億円)を用いてしまう計算ミス(正しくは譲渡資産の譲渡対価5億円)。
- 所有期間10年の判定基準日を「譲渡日現在」と誤認し、「譲渡した日の属する年の1月1日現在」であることを見落とすミス。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の租税特別措置法第65条の7(特定の資産の買換えの場合の課税の特例)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の類似業種比準価額および併用方式の評価計算
事業承継・相続 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準方式 / 併用方式
《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの「類似業種比準価額」および「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額」を算定するための計算式中の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 〈計算式〉 ・類似業種比準価額 190円 × [{(3.5円/2.8円) + (20円/16円) × ( ① ) + (253円/220円)}/ ( ② )] × ( ③ ) × (50円/50円) = □□□円 ・類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額 □□□円 × ( ④ ) + 300円 × (1 - ( ④ )) = □□□円
解答・解説を表示
解答
① 3 ② 5 ③ 0.6 ④ 0.75
解説
財産評価基本通達において、取引相場のない株式の類似業種比準方式(平成28年10月1日現在施行)は、配当・利益(3倍加重)・純資産の比準割合の合計を5で除し、会社規模に応じた斟酌率(大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5)を乗じて計算します。中会社の評価額は類似業種比準価額に規模に応じたL割合を乗じ、純資産価額に(1-L)を乗じて合算する併用方式で求めます。
解き方
- 比準要素の算式を確認し、利益のウェイトが3倍、全体の除数が5であることを適用して空欄①に3、空欄②に5を導きます。
- X社の会社規模「中会社の中」に基づき、中会社の斟酌率が0.6(空欄③)、中会社の中のL割合が0.75(空欄④)であることをそれぞれ判定します。
答えの内訳
- ①:3
- 平成28年10月1日現在の類似業種比準方式における比準要素の計算では、年利益金額の比準割合に3を乗じるため、空欄①には「3」が入ります。
- ②:5
- 比準割合の合計を算出する分母は、配当(ウェイト1)、利益(ウェイト3)、純資産(ウェイト1)の合計である「5」となるため、空欄②には「5」が入ります。
- ③:0.6
- X社は「中会社の中」に該当します。中会社の斟酌率は大・中・小の区分にかかわらず一律0.6であるため、空欄③には「0.6」が入ります。
- ④:0.75
- 中会社の類似業種比準価額の適用割合(Lの割合)は、「中会社の大」が0.90、「中会社の中」が0.75、「中会社の小」が0.60です。X社は「中会社の中」であるため、空欄④には「0.75」が入ります。
覚えるポイント
- 平成28年10月時点の類似業種比準方式の配分は「(配当+利益×3+純資産)÷5」であること。
- 中会社の斟酌率は0.6、L割合は「大:0.90」「中:0.75」「小:0.60」となること。
間違えやすいところ
- 平成29年税制改正後の算式(1:1:1で除数3)と改正前の算式(利益3倍で除数5)を混同しないようにすること。
- 斟酌率(中会社は一律0.6)とLの割合(中の中は0.75)を取り違えて代入しないようにすること。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達178~180)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自己株式の取得手続きおよび所得税法上の適正な時価算定
事業承継・税務 · 自己株式の取得 / 株主総会特別決議 / 所得税基本通達59-6 / 純資産価額方式
X社の自己株式の買取りに関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、〈語句群〉の中から選びなさい。 「X社が二男DさんからX社株式を買い取るためには、特定の株主からの取得となるため、X社の株主総会の( ① )が必要となる。 自己株式(金庫株)の売買価額については、税法上、適正な時価に基づくこととされている。 適正な時価について、当該株式の売買実例等がなく、財産評価基本通達による評価方法に基づいて算定した価額による場合に、譲渡する個人が中心的な同族株主であるときは、発行会社が( ② )に該当するものとして評価することになる。また、1株当たりの純資産価額(相続税評価額)の計算にあたって、発行会社が有する土地等または上場有価証券については譲渡時における価額によること、評価差額に( ③ )を乗じて算出する『評価差額に対する法人税額等に相当する金額』は控除しないことに注意する必要がある」
- イ
- 普通決議
- ロ
- 特別決議
- ハ
- 特殊決議
- ニ
- 大会社
- ホ
- 中会社
- ヘ
- 小会社
- ト
- 特定の評価会社
- チ
- 37%
- リ
- 40%
- ヌ
- 42%
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ヘ ③ チ
解説
会社法上、特定の株主から自己株式を取得する場合は株主平等の原則の例外となるため株主総会の特別決議が必要です。また所得税法における非上場株式の適正時価の算定では、中心的な同族株主からの譲渡の場合、会社規模にかかわらず「小会社」として評価し、純資産価額算定時に評価差額に対する法人税額等相当額(平成28年4月以降は37%)を控除しないなどの調整を行います。
解き方
- 会社法における特定の株主からの自己株式取得要件を確認し、株主総会の特別決議(ロ)であることを導きます。
- 所得税基本通達59-6を適用し、中心的な同族株主が譲渡する際の会社規模判定が「小会社」(ヘ)とされる規定を確認します。
- 当時の財産評価基本通達に定める法人税額等相当額の控除割合が37%(チ)であることを確認します。
- 選択肢 イ不正解
- 特定の株主からの自己株式取得には普通決議ではなく、株主総会の特別決議が必要です。
- 選択肢 ロ正解
- 会社法第160条第1項・第309条第2項第2号に基づき、特定の株主からの自己株式取得には特別決議が必要です。
- 選択肢 ハ不正解
- 特定の株主からの自己株式取得に要求される決議要件は特殊決議ではなく特別決議です。
- 選択肢 ニ不正解
- 所得税基本通達59-6において、中心的な同族株主が譲渡する際は大会社ではなく小会社として評価します。
- 選択肢 ホ不正解
- 所得税基本通達59-6において、中心的な同族株主が譲渡する際は中会社ではなく小会社として評価します。
- 選択肢 ヘ正解
- 所得税基本通達59-6により、中心的な同族株主が譲渡する非上場株式の時価評価は「小会社」に該当するものとして行います。
- 選択肢 ト不正解
- 中心的な同族株主からの譲渡におけるみなし評価区分は特定の評価会社ではなく小会社です。
- 選択肢 チ正解
- 平成28年4月1日以降施行の法令等における評価差額に対する法人税額等相当額の割合は37%です。
- 選択肢 リ不正解
- 40%は平成28年3月31日以前に適用されていた古い法人税額等相当額の割合です。
- 選択肢 ヌ不正解
- 42%は評価差額に対する法人税額等相当額の割合として過去に適用されていたさらに古い数値です。
答えの内訳
- ①:ロ
- 会社法第160条第1項および第309条第2項第2号により、株式会社が特定の株主から自己株式を有償取得する場合、株主総会の特別決議が必要です。
- ②:ヘ
- 所得税基本通達59-6に基づき、中心的な同族株主が株式を譲渡する場合の適正な時価は、会社の規模にかかわらず「小会社」として評価します。
- ③:チ
- 平成28年10月1日現在の財産評価基本通達185における評価差額に対する法人税額等相当額の割合は37%であり、譲渡所得の計算上はこれを控除しません。
覚えるポイント
- 特定の株主からの自己株式買い取りは株主総会の「特別決議」が必要であること。
- 所得税基本通達59-6により中心的な同族株主の譲渡株式は「小会社」として評価すること。
間違えやすいところ
- 全株主対象の取得(普通決議)と特定株主からの取得(特別決議)の手続きを混同しないこと。
- 法人税額等相当額の割合の改正推移(42%→40%→37%)について、基準日時点の数値を正しく選ぶこと。
出題の前提:2016年10月1日現在施行の法令等(会社法160条、所得税基本通達59-6、財産評価基本通達185)
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例
相続・事業承継 · 住宅取得等資金の贈与税の非課税特例 / 受贈者の所得要件 / 住宅資金非課税限度額 / 相続開始前3年以内の生前贈与加算の特例
二男Dさんが父であるAさんから住宅取得等資金の援助を受けるにあたり、「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例」に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① Aさんから住宅取得等資金の贈与を受けた年分の二男Dさんに係る所得税の合計所得金額が1,000万円を超えている場合、二男Dさんは本特例の適用を受けることはできない。 ② 二男DさんがAさんから住宅取得等資金の贈与を受け、住宅用家屋の取得に係る契約を平成29年4月に締結し、本特例の適用を受ける場合、取得する住宅用家屋が一定の省エネ等基準を満たすときの住宅資金非課税限度額は、1,200万円である。 ③ 二男DさんがAさんから住宅取得等資金の贈与を受け、本特例の適用を受けた後、Aさんが当該贈与の日から3年以内に死亡し、二男Dさんが当該相続により財産を取得する場合、二男DさんがAさんから贈与を受けた当該財産は、その全額を相続税の課税価格に加算する。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例は、父母や祖父母などの直系尊属から居住用家屋の新築・取得・増改築のための資金の贈与を受けた場合に、一定の要件を満たすことで所定の限度額まで贈与税が非課税となる制度です。受贈者の所得要件、契約締結時期や住宅性能に応じた限度額、および相続開始前3年以内の生前贈与加算の対象外となる規定を正しく理解する必要があります。
解き方
- 受贈者の所得要件について、贈与年分の合計所得金額が2,000万円以下であるかを確認し、記述①の正誤を判定する。
- 契約締結時期(平成29年4月)および住宅の性能(省エネ等住宅)に応じた非課税限度額を確認し、記述②の正誤を判定する。
- 贈与者が3年以内に死亡した場合の相続税の課税価格への加算規定(生前贈与加算の特例適用除外)を確認し、記述③の正誤を判定する。
答えの内訳
- ①:×
- 本特例の受贈者の所得要件は、贈与を受けた年分の合計所得金額が2,000万円以下であることです。したがって、合計所得金額が1,000万円を超えていても2,000万円以下であれば本特例の適用を受けることができます。
- ②:○
- 住宅用家屋の取得に係る契約を平成28年1月1日から平成29年9月30日までに締結する場合(消費税率8%等の場合)、非課税限度額は質の高い住宅(省エネ等住宅)で1,200万円、一般住宅で700万円となります。
- ③:×
- 本特例の適用を受けて非課税となった金額については、贈与者が贈与の日から3年以内に死亡した場合であっても、相続税の課税価格への加算(生前贈与加算)の対象とはなりません。
覚えるポイント
- 住宅取得等資金の贈与税非課税の特例における受贈者の所得要件は合計所得金額2,000万円以下(本試験基準日時点)。
- 本特例によって非課税となった金額は、贈与後3年以内に贈与者が死亡しても相続税の生前贈与加算の対象外となる。
間違えやすいところ
- 暦年課税の基礎控除内での贈与と異なり、本特例で非課税となった財産は相続開始前3年以内の贈与であっても加算されない点を見落とすミスが多い。
- 契約締結時期や住宅の区分(省エネ等住宅か一般住宅か、消費税率の適用区分)によって非課税限度額が異なるため混同しやすい。
出題の前提:2016年10月1日(平成28年10月1日)現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2017年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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