日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
老齢基礎年金および付加年金の額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 付加年金
個人事業主のAさん(45歳)の老齢基礎年金と付加年金の受給見込額を試算する。平成28年度価額を基準とし、60歳までに国民年金保険料を480月全期間納付、付加保険料を240月納付し、65歳から受給開始する場合の計算式中の空欄①〜③に入る数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 780,100、② 200、③ 828,100
解説
国民年金の第1号被保険者は、定額の保険料に加えて月額400円の付加保険料を納付することができ、受給時には「200円×付加保険料納付済月数」で計算された付加年金が老齢基礎年金に上乗せされて終身受給できます。年金額は改定年度ごとの基準額に基づいて計算されます。
解き方
- 平成28年度基準の老齢基礎年金満額(780,100円)に納付月数割合(480月/480月)を乗じて基礎年金額を求める。
- 付加年金の年金額算式(200円×付加保険料納付月数)を用いて付加年金額(200円×240月=48,000円)を算出する。
- 老齢基礎年金と付加年金を合算して受給合計額(828,100円)を計算する。
答えの内訳
- ①:780,100
- 平成28年度の老齢基礎年金の満額は780,100円です。Aさんは480月全期間納付するため、満額の780,100円が支給されます。
- ②:200
- 付加年金の年金額(年額)は「200円×付加保険料納付済月数」で算出されるため、空欄②には200が入ります。
- ③:828,100
- 付加年金の年額は200円×240月=48,000円となり、老齢基礎年金額780,100円と合算すると828,100円(780,100円+48,000円)となります。
覚えるポイント
- 付加保険料は月額400円で、年金額は「200円×納付月数」となるため受給から2年で元が取れる設計であること
間違えやすいところ
- 付加年金の算式で掛ける金額(200円)と、毎月納付する付加保険料の月額(400円)を取り違えて計算すること
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(平成28年度年金額基準)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の老後資金準備制度(国民年金基金・確定拠出年金・小規模企業共済)
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金基金 / 確定拠出年金(個人型) / 小規模企業共済
個人事業主が老後資金を準備するための各種制度(国民年金基金、確定拠出年金の個人型年金、小規模企業共済制度)に関する説明文の空欄①〜③に入る最も適切な数値を、数値群(イ〜リ)の中から選びなさい。
- イ
- 55
- ロ
- 60
- ハ
- 65
- ニ
- 23,000
- ホ
- 25,500
- ヘ
- 51,000
- ト
- 55,000
- チ
- 67,000
- リ
- 70,000
解答・解説を表示
解答
① ハ、② チ、③ リ
解説
公的年金が2階建てとなる会社員と異なり、国民年金第1号被保険者である自営業者は公的年金が老齢基礎年金のみとなるため、国民年金基金、個人型確定拠出年金(iDeCo)、小規模企業共済などの上乗せ制度を活用して自助努力で退職金・老後資産を形成する仕組みが整備されています。
解き方
- 国民年金基金の終身年金の支給開始時期が原則65歳であることを確認し、ハを選択する。
- 第1号被保険者のiDeCo掛金限度額が月額68,000円であり、付加保険料(月額400円)を併用する場合は67,000円となることを確認してチを選択する。
- 小規模企業共済の月額掛金の上限が70,000円(下限1,000円)であることを確認してリを選択する。
- 選択肢 イ不正解
- 55歳は、国民年金基金の支給開始年齢や拠出限度額の数値として当てはまりません。
- 選択肢 ロ不正解
- 確定拠出年金で給付受取を開始できる最短年齢などでは登場しますが、国民年金基金の終身年金の原則的な支給開始年齢(65歳)ではありません。
- 選択肢 ハ正解
- 国民年金基金の終身年金(A型・B型)の支給開始年齢は原則として65歳であるため、空欄①の正答です。
- 選択肢 ニ不正解
- 月額23,000円は、企業年金のない会社員の個人型確定拠出年金の拠出限度額です。
- 選択肢 ホ不正解
- 月額25,500円は、いずれの制度の掛金限度額にも該当しません。
- 選択肢 ヘ不正解
- 月額51,000円は、いずれの制度の標準的な掛金上限額にも合致しません。
- 選択肢 ト不正解
- 月額55,000円は、確定給付企業年金等のない企業型確定拠出年金の拠出限度額です。
- 選択肢 チ正解
- 国民年金付加保険料(月400円)を納付する第1号被保険者のiDeCo拠出限度額は月額67,000円であるため、空欄②の正答です。
- 選択肢 リ正解
- 小規模企業共済の掛金上限額は月額70,000円(7万円)であるため、空欄③の正答です。
答えの内訳
- ①:ハ
- 国民年金基金の終身年金(A型・B型)の支給開始年齢は、原則として老齢基礎年金と同じ「65」歳です。
- ②:チ
- 第1号被保険者の確定拠出年金(個人型)の拠出限度額は国民年金基金と合算で月額68,000円です。付加保険料(月額400円)を納付している場合、千円単位で拠出するため、限度額は「67,000」円となります。
- ③:リ
- 小規模企業共済の毎月の掛金は、1,000円から「70,000」円までの範囲内(500円刻み)で自由に選択できます。
覚えるポイント
- 第1号被保険者のiDeCo掛金限度額は国民年金基金と合算で月額68,000円、小規模企業共済の掛金上限は月額70,000円
間違えやすいところ
- 国民年金基金と付加保険料は併用できないが、確定拠出年金(個人型)と付加保険料は併用可能であり、その場合拠出限度額が月額67,000円になる点を見落としやすい
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金・国民年金基金・小規模企業共済の仕組みと留意点
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金 / 国民年金基金 / 小規模企業共済
個人事業主の老後資金準備に関する確定拠出年金、国民年金基金、小規模企業共済制度の留意点について、次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 確定拠出年金のデメリットとして、加入時や運用期間中に事務費などの手数料がかかること、年金資産の運用リスクは加入者が負うことなどが挙げられる。 ② 国民年金基金に加入した場合、加入員の資格喪失は限定された事由に該当した場合のみとなり、自己都合等で任意に脱退することはできない。 ③ 個人事業主の配偶者が共同経営者として事業経営に携わっていても、個人事業主または会社等の役員ではないため、小規模企業共済制度には加入できない。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
自営業者等の第1号被保険者が利用できる私的年金・共済制度(国民年金基金・確定拠出年金・小規模企業共済)には、それぞれ加入要件、脱退制限、費用・運用責任などの固有の特徴や制約が定められています。
解き方
- 確定拠出年金における加入者負担の手数料および自己責任運用の原則を確認し、①の正誤を判定する。
- 国民年金基金における任意脱退禁止の原則を確認し、②の正誤を判定する。
- 小規模企業共済制度の加入資格について、個人事業主の共同経営者も加入対象に含まれるかを確認し、③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 確定拠出年金(iDeCo等)では、口座開設時や掛金拠出時・運用期間中に加入者自身が所定の手数料を負担する必要があり、また運用の結果生じた損失等のリスクはすべて加入者本人が負うため適切です。
- 小問 ②:○
- 国民年金基金は一度加入すると、第1号被保険者の資格を喪失したときや付加保険料を納付できない状態になったときなどの法定事由に該当しない限り、任意で脱退(途中解約)することはできないため適切です。
- 小問 ③:×
- 小規模企業共済制度は、個人事業主本人だけでなく、個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)も一定の要件を満たせば加入できるため不適切です。
覚えるポイント
- 国民年金基金は原則として任意脱退が不可(掛金の減額は可能)。
- 小規模企業共済は個人事業主1人につき2人までの「共同経営者」も加入可能。
間違えやすいところ
- 小規模企業共済は個人事業主本人しか入れないと誤認しがちだが、共同経営者も加入できる点に注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金制度(遺族給付・障害給付)および公的介護保険の基本要件
リスク管理 · 遺族給付 / 障害基礎年金 / 公的介護保険
公的年金制度からの給付(遺族厚生年金、障害基礎年金)および公的介護保険の保険給付について、次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 会社員の夫が死亡した場合、子どものいない妻に対して遺族基礎年金および遺族厚生年金が支給され、遺族厚生年金の額は原則として老齢厚生年金の報酬比例部分の額の3分の2相当額になる。 ② 病気やケガ等で国民年金法上の障害等級1級と認定された場合に支給される障害基礎年金の額は、障害等級2級の場合の1.5倍相当額になる。 ③ 介護保険の第2号被保険者が要介護認定または要支援認定による保険給付を受けるためには、その要介護・要支援状態となった原因が、加齢に伴う初老期における認知症や脳血管疾患などの特定疾病によって生じたものである必要がある。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
公的年金の遺族給付は「子の有無」等によって基礎年金の受給権が左右され、障害等級1級の年金額は2級の1.25倍と規定されています。また、介護保険の第2号被保険者は特定疾病を原因とする場合に限って給付を受けられます。
解き方
- 遺族基礎年金の受給要件(子のない妻への支給可否)および遺族厚生年金の支給割合(4分の3)を確認し、①の正誤を判定する。
- 障害基礎年金における1級の支給水準(2級の1.25倍)を確認し、②の正誤を判定する。
- 公的介護保険第2号被保険者の給付要件(特定疾病による要介護・要支援状態)を確認し、③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 子のない妻には「子のない配偶者」となるため遺族基礎年金は支給されず(遺族厚生年金のみ)、また遺族厚生年金の額は原則として報酬比例部分の4分の3相当額(3分の2ではない)となるため不適切です。
- 小問 ②:×
- 国民年金法に規定される障害等級1級の障害基礎年金の額は、障害等級2級の額の「1.25倍」相当額(780,100円×1.25+子の加算)であるため、1.5倍とする本記述は不適切です。
- 小問 ③:○
- 公的介護保険の第2号被保険者(40歳以上65歳未満)が介護保険の給付対象となるには、要介護状態または要支援状態の原因が初老期認知症や脳血管疾患など政令で定められた16種類の「特定疾病」に起因している必要があるため適切です。
覚えるポイント
- 遺族厚生年金の額は報酬比例部分の4分の3相当額。
- 障害基礎年金1級の額は2級の1.25倍相当額。
- 介護保険第2号被保険者は特定疾病(16種類)が原因の場合のみ受給可能。
間違えやすいところ
- 障害基礎年金1級の額を「1.5倍」と混同しないようにする(正しくは1.25倍)。
- 子のない妻に対して遺族基礎年金が受給できると誤認しないようにする。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
必要保障額の考え方と特約の効力
リスク管理 · 生命保険の必要保障額 / 団体信用生命保険 / 保険料払込免除特約
会社員のAさん(43歳・妻42歳と2人暮らし、子なし、共働き、住宅ローンあり・団体信用生命保険加入)への生命保険の提案内容に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を判定しなさい。
- ①
- Aさんが死亡した場合、住宅ローンの残債は団体信用生命保険の保険金により弁済されます。公的年金制度からの遺族給付と妻Bさんの収入金額を考慮し、準備すべき死亡保障を葬儀費用や緊急予備資金に限定することで、医療保障や介護保障などをより充実させることも検討事項の1つになります。
- ②
- Aさんが病気やケガ等で重度の障害状態となって働けなくなった場合、公的年金制度から障害給付を受給しても、通常の生活費に加え、療養費等の出費もかさみ、支出が収入を大きく上回る可能性があります。現在提案を受けている身体障害保障特約など、重い障害や介護に備えることができる特約(保障)を付加することも大切なことだと思います。
- ③
- Aさんが、現在提案を受けている生命保険に加入後、生まれて初めて所定のがんと医師により診断確定された場合、8大疾病保障特約から一時金が支払われます。この場合、8大疾病保障特約以外の特約は、次回の更新までの期間に限り、保険料の払込みが不要となり、その期間の保障は継続します。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
生命保険の見直しでは、公的保障(遺族給付や障害給付等)や団体信用生命保険による住居費免除、配偶者の就労収入を総合勘案して必要保障額を算出します。また、保険料払込免除特約は所定の事由該当以降の全期間にわたり保険料払込みを不要とするのが一般的です。
解き方
- 記述①について、団信完済および子なし共働き世帯という家庭環境から、死亡保障を最小限にとどめ医療・介護保障を充実させる方向性が妥当かを判定する。
- 記述②について、就労不能状態時の支出増加と公的給付の限界を踏まえ、身体障害・介護への備えの有効性を検討する。
- 記述③について、提案資料にある保険料払込免除特約の効力が適用後全期間に及ぶ原則と照らし、更新期間のみに限定されている誤りを特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 団信により死亡時に住宅ローン残債が清算されるため、共働きで子どもがいない世帯では、死亡保障を葬儀費用等の必要最小限に抑え、医療や介護の保障を重視する見直しは適切です。
- 小問 ②:○
- 就労不能・重度障害時には収入減少に加えて治療費や介護関連費用が発生するため、身体障害保障特約などによる一時金の備えを検討することは適切です。
- 小問 ③:×
- 保険料払込免除特約が適用された場合、以後の主契約および特約の保険料払込みが全期間にわたって免除され保障が継続するため、「次回の更新までの期間に限り」とする記述は不適切です。
覚えるポイント
- 住宅購入時は団信により死亡後の住居費が不要となるため必要死亡保障額が減少する点
- 保険料払込免除特約は事由該当時の次回以降の保険料払込みが原則として免除される点
間違えやすいところ
- 更新型の特約であっても払込免除事由該当後の免除期間が更新時で打ち切られると誤解すること
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険契約に係る税務(保険料控除・給付金・年金受給権)
タックスプランニング · 新生命保険料控除 / 給付金の非課税 / 指定代理請求特約 / 収入保障保険の年金課税
Aさんが提案を受けている生命保険の課税関係に関する文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群のイ~ルの中から選びなさい。 ⅰ)「支払保険料のうち、終身保険、定期保険特約および収入保障特約に係る保険料は一般の生命保険料控除の対象となり、総合医療特約等の入院・通院等に伴う給付部分に係る保険料は介護医療保険料控除の対象となります。それぞれの適用限度額は、所得税で( ① )円、住民税で( ② )円です」 ⅱ)「被保険者であるAさんが入院給付金などを請求できない特別な事情がある場合には、妻BさんがAさんに代わって請求することができます。妻Bさんが受け取る入院給付金は( ③ )となります」 ⅲ)「Aさんが死亡した場合、収入保障特約の年金額について、当該年金受給権が『定期金に関する権利の評価』に基づき評価されて相続税の課税対象となります。その後、妻Bさんが受け取る年金は、課税部分と非課税部分に振り分けられ、課税部分はお( ④ )として総合課税の対象となります」
- イ
- 25,000
- ロ
- 28,000
- ハ
- 35,000
- ニ
- 40,000
- ホ
- 50,000
- ヘ
- 贈与税の課税対象
- ト
- 相続税の課税対象
- チ
- 非課税
- リ
- 雑所得
- ヌ
- 一時所得
- ル
- 配当所得
解答・解説を表示
解答
① ニ ② ロ ③ チ ④ リ
解説
2012年以降適用の新生命保険料控除は3枠構成(所得税各4万円・計12万円、住民税各2.8万円・計7万円)です。入院・通院給付金は所得税法第9条により非課税とされ、指定代理受取でも非課税が維持されます。年金形式の死亡保険金受給権は相続税が課税された後、毎年の年金支給額のうち相続税課税分を超える増加益が雑所得として課税されます。
解き方
- 空欄①・②について、平成24年以降適用の新生命保険料控除の各控除限度額(所得税4万円=ニ、住民税2.8万円=ロ)を特定する。
- 空欄③について、指定代理請求特約によって受取人となった配偶者が受け取る入院給付金の非課税性(チ)を確認する。
- 空欄④について、相続税が課された定期金受給権から毎年生じる利益部分の所得区分が雑所得(総合課税=リ)となることを適用する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ニ
- 2012年1月1日以後に締結した新契約に基づく新生命保険料控除において、所得税における各控除(一般・介護医療・個人年金)の適用限度額は40,000円です。
- 小問 ②:ロ
- 新生命保険料控除における住民税の各控除枠の適用限度額は28,000円(合計適用限度額は70,000円)です。
- 小問 ③:チ
- 身体の傷害や疾病に起因して受領する入院給付金は非課税であり、指定代理請求人が代わりに受給した場合も非課税として扱われます。
- 小問 ④:リ
- 相続税の課税対象となった年金受給権に基づき毎年受給する年金のうち、運用益等に相当する課税部分は雑所得として所得税(総合課税)の対象となります。
覚えるポイント
- 新生命保険料控除の所得税上限は各枠4万円(合計12万円)、住民税は各枠2.8万円(合計7万円)
- 指定代理請求により受給した医療保険金・入院給付金も非課税
- 年金受給権を相続した後の各年の受取年金は二重課税部分を除き雑所得として課税
間違えやすいところ
- 旧制度の所得税限度額5万円や住民税上限3.5万円と混同すること
- 年金形式の死亡保険金受取による年金を一時所得と誤認すること
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金の退職所得控除額および退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の計算 / 勤続年数の端数処理
Aさんが役員在任期間(勤続年数)27年3カ月でX社を退任し、役員退職金として5,000万円の支給を受けた。この退職手当等に係る退職所得控除額および退職所得の金額を求める計算式の空欄①~③に入る適切な数値を求めなさい。なお、他の退職手当等はなく、障害による退職ではないものとする。 〈退職所得控除額〉 800万円+□□□万円×(( ① )年-20年)=( ② )万円 〈退職所得の金額〉 (5,000万円-( ② )万円)×△△△=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 28、② 1,360、③ 1,820
解説
退職手当等の支払を受ける者が受け取る退職所得の金額は、原則として「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で算出されます。勤続年数の計算にあたっては1年未満の端数は1年に切り上げます。また、勤続年数が20年を超える場合の控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」となります。なお、特定役員退職手当等(役員等としての勤続年数が5年以下)に該当しない場合は通常の1/2計算が適用されます。
解き方
- 勤続年数27年3カ月の1年未満の端数を切り上げ、28年とする(①)。
- 勤続20年超の算式「800万円+70万円×(28年-20年)」を計算し、退職所得控除額1,360万円を求める(②)。
- 退職金5,000万円から退職所得控除額1,360万円を差し引き、1/2を乗じて退職所得の金額1,820万円を算出する(③)。
答えの内訳
- ①:28
- 勤続年数に1年未満の端数がある場合は切り上げて1年として計算するため、27年3カ月は28年となります。
- ②:1,360
- 勤続年数が20年超の場合の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で求められます。800万円+70万円×(28年-20年)=1,360万円となります。
- ③:1,820
- 役員等としての勤続年数が5年を超えるため、退職所得の金額は「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」により求められます。(5,000万円-1,360万円)×1/2=1,820万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数は1日でも端数があれば1年に切り上げる。
- 勤続年数20年以下の退職所得控除は年40万円(最低80万円)、20年超は800万円+年70万円。
- 役員等勤続年数が5年以下の「特定役員退職手当等」を除き、退職所得控除後の金額に1/2を乗じる。
間違えやすいところ
- 27年3カ月の端数を切り捨てて27年としてしまう計算ミス。
- 退職所得控除額を引いた後の金額に1/2を乗じるのを忘れてしまうミス。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人加入の生命保険の見直しおよび払済保険への変更
保険顧客資産相談業務 · 定期保険の見直し / 払済保険への変更 / 現物支給 / 保険契約変更時の経理処理
MさんのAさんに対する生命保険の見直しに関するアドバイス(記述①~③)について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「毎年の払込保険料を軽減しつつ、当面の死亡保障を確保するのであれば、保険期間が短い定期保険に見直す方法があります。ただし、保険期間が5年・10年等の短い定期保険は、現在加入している生命保険のような解約返戻金(返戻率)は期待できません」 ② 「現在加入している生命保険を解約せず、払済終身保険に変更することも検討事項の1つとなります。将来、Aさんが勇退する際に、契約者をAさん、死亡保険金受取人をAさんの配偶者等に名義変更し、当該払済終身保険契約を役員退職金の一部として現物支給することができます」 ③ 「現在加入している生命保険を現時点で払済終身保険に変更した場合、変更した事業年度において多額の雑損失が計上されます。したがって、変更した事業年度の経常利益が大きく減少する可能性があります」
解答・解説を表示
解答
① ○、② ○、③ ×
解説
定期保険は保険期間の設定によって貯蓄性が大きく異なり、短期定期保険は掛け捨ての傾向が強くなります。保険料払込を中止して払済保険へ変更する場合、その時点の解約返戻金額で新たな保険に加入したものとして資産計上を行い、それまでの資産計上額との差額を雑収入(または雑損失)として計上します。また、法人が保有する保険契約は役員退任時に名義変更を行い、退職金の現物支給として充当することが可能です。
解き方
- 記述①:短期定期保険の特性(解約返戻金が期待できない点)を確認し、適切と判断する。
- 記述②:払済終身保険への変更後に役員退職金として契約を名義変更・現物支給できる手続きの妥当性を確認し、適切と判断する。
- 記述③:現在の解約返戻金(2,200万円)と既往の資産計上額(支払保険料2,800万円の半額である1,400万円)を比較すると差額800万円は雑収入となり、多額の雑損失が発生することはないため不適切と判断する。
答えの内訳
- ①:○
- 保険期間が5年や10年といった短い定期保険は、解約返戻金がほとんどないか極めて少額となるいわゆる掛け捨て型となるため、長期平準定期保険のような解約返戻金(返戻率)は期待できません。
- ②:○
- 法人が契約する生命保険を払済終身保険に変更したうえで、役員の退任時に契約者・保険金受取人を名義変更し、解約返戻金相当額で評価して役員退職金の一部として現物支給することができます。
- ③:×
- 払済終身保険に変更した場合、その時点の解約返戻金(2,200万円)を保険料積立金として資産計上し、既往の資産計上額(前払保険料1,400万円)との差額(800万円)は雑収入(益金)として計上されるため、雑損失が計上されるとする記述は不適切です。
覚えるポイント
- 払済保険への変更時は、解約返戻金額を新たな保険料積立金として計上する。
- 解約返戻金額が既積立額を上回る場合は「雑収入」、下回る場合は「雑損失」を計上する。
- 役員退職金として保険契約の権利を現物支給する場合、解約返戻金相当額で評価して退職金に充当できる。
間違えやすいところ
- 保険料払込を中止して払済保険にすると損失が出ると思い込み、雑損失と雑収入の発生判定を誤るミス。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が契約する長期平準定期保険の中途解約時の経理処理(仕訳)
リスク管理 · 長期平準定期保険 / 法人契約の経理処理 / 解約返戻金の仕訳 / 益金算入
X社が現在加入している生命保険(長期平準定期保険:加入時年齢40歳、保険期間95歳満了、解約時までに支払った保険料総額2,800万円、解約返戻金額2,200万円)を現時点で解約した場合の経理処理(仕訳)の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群(イ~ヌ)の中から選びなさい。 <解約返戻金受取時のX社の経理処理(仕訳)> [借方]現金・預金 ( ① )万円 [貸方]前払保険料 ( ② )万円 / ( ③ ) ( ④ )万円
- イ
- 200
- ロ
- 600
- ハ
- 800
- ニ
- 1,100
- ホ
- 1,400
- ヘ
- 1,700
- ト
- 2,200
- チ
- 2,800
- リ
- 雑損失
- ヌ
- 雑収入
解答・解説を表示
解答
① ト、② ホ、③ ヌ、④ ハ
解説
法人が契約者かつ受取人となる長期平準定期保険を前半6割期間内に解約した場合、それまで資産計上(前払保険料)してきた金額を取り崩し、受け取った解約返戻金との差額を雑収入(益金)または雑損失(損金)として計上します。
解き方
- 受取額である解約返戻金額2,200万円を借方の現金・預金に計上する。
- 支払保険料総額2,800万円のうち資産計上されていた前払保険料(1/2相当の1,400万円)を貸方に計上して取り崩す。
- 受取額2,200万円と資産計上額1,400万円の差額800万円を貸方に雑収入として計上し、貸借を一致させる。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- 受け取った解約返戻金の額面そのものが現金・預金として計上されるため、2,200万円(記号:ト)となります。
- 小問 ②:ホ
- 契約時の加入年齢40歳+保険期間55年×2=150>105、かつ保険期間30年超であり、長期平準定期保険に該当します。保険期間の前半6割期間中における支払保険料は2分の1を資産(前払保険料)計上するため、支払保険料累計2,800万円×1/2=1,400万円(記号:ホ)を取り崩します。
- 小問 ③:ヌ
- 受取解約返戻金(2,200万円)が資産計上額(前払保険料1,400万円)を上回っているため、差額は益金となり勘定科目は「雑収入」(記号:ヌ)となります。
- 小問 ④:ハ
- 解約返戻金2,200万円から資産計上額1,400万円を控除した差額である800万円(記号:ハ)を雑収入として計上します。
覚えるポイント
- 長期平準定期保険の前半6割期間は支払保険料の2分の1を資産計上(前払保険料)、2分の1を損金算入する。
- 解約返戻金を受け取った際は、前払保険料を取り崩し、差額を雑収入または雑損失として処理する。
間違えやすいところ
- 支払保険料総額と解約返戻金の差額(2,800万円-2,200万円=600万円の損失)と勘違いし、雑損失を計上してしまう誤りに注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(法人税基本通達9-3-5の2:長期平準定期保険の保険料等の取扱い)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の所得控除(年末調整対象外控除・ふるさと納税ワンストップ特例・医療費控除の足切り額)
タックスプランニング · 所得控除 / 年末調整 / ふるさと納税ワンストップ特例 / 医療費控除
所得税の所得控除に関する文中の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群(イ~リ)の中から選びなさい。 「所得控除は基礎控除を含め14種類あるが、そのうち( ① )、医療費控除および寄附金控除の3種類の所得控除については、年末調整では適用を受けることができないため、確定申告が必要となる。 ただし、寄附金控除については給与所得者等を対象とした『ふるさと納税ワンストップ特例制度』が創設されている。なお、寄附者が確定申告を行った場合、または1年間に( ② )団体を超える地方自治体に対して寄附を行った場合は、この特例制度は適用されない。 医療費控除は、総所得金額等の合計額が( ③ )万円以上である者の場合、支払った医療費の総額から保険金補てん額を引いた額が10万円を超えていなければ適用を受けられない。」
- イ
- 5
- ロ
- 7
- ハ
- 10
- ニ
- 100
- ホ
- 200
- ヘ
- 300
- ト
- 雑損控除
- チ
- 配偶者特別控除
- リ
- 住宅借入金等特別控除
解答・解説を表示
解答
① ト、② イ、③ ホ
解説
所得税の所得控除のうち、事実関係の調査や要件確認が複雑な雑損控除・医療費控除・寄附金控除は年末調整の対象外であり確定申告が必要です。また、ふるさと納税の特例要件(自治体数5以内)や医療費控除の足切り基準(200万円以上で10万円)など明確な基準値が定められています。
解き方
- 年末調整で適用できず確定申告が必要な3つの所得控除(医療費控除・寄附金控除・雑損控除)を特定する。
- ふるさと納税ワンストップ特例制度の適用要件となる自治体の上限数(5団体)を確認する。
- 医療費控除において足切り額が10万円となる総所得金額等の境界(200万円以上)を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- 年末調整で適用を受けることができず確定申告が必要な所得控除は、「雑損控除」「医療費控除」「寄附金控除」の3種類です(記号:ト)。
- 小問 ②:イ
- ふるさと納税ワンストップ特例制度は、寄附先が年間「5」団体以下である場合に適用可能であり、5団体を超える場合は確定申告が必要となります(記号:イ)。
- 小問 ③:ホ
- 医療費控除の足切り額は、総所得金額等が200万円以上の者は10万円、200万円未満の者は総所得金額等の5%相当額となります(記号:ホ)。
覚えるポイント
- 年末調整で受けられない所得控除3つ:医療費控除、寄附金控除、雑損控除。
- ワンストップ特例は寄附先が年間5団体以内(確定申告を行わない給与所得者等)。
- 医療費控除の足切り額:総所得金額等200万円以上は10万円、200万円未満は総所得金額等の5%。
間違えやすいところ
- 住宅借入金等特別控除を所得控除と混同しないよう注意する(税額控除)。
- ワンストップ特例の制限を「寄附回数」と混同しない(同一自治体に複数回寄附しても1団体としてカウント)。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(所得税法第72条、第73条、第78条、地方税法附則第7条等)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
平成28年分の所得税の課税関係(一時所得・扶養控除)
タックスプランニング · 一時所得 / 特定扶養親族 / 同居老親等 / 扶養控除
設例の会社員Aさんの平成28年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 平成28年中に解約した一時払終身保険の解約返戻金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象になる。 ② 長男Cさんは特定扶養親族に該当するため、Aさんは、長男Cさんについて63万円の扶養控除の適用を受けることができる。 ③ 母Eさんの合計所得金額は38万円以下となるため、Aさんは、母Eさんについて扶養控除の適用を受けることができる。母Eさんに係る扶養控除の控除額は48万円になる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
所得税において、生命保険の一時金や解約返戻金は契約形態や保険種類により一時所得または源泉分離課税に区分されます。また、扶養控除は年齢や同居関係により一般(38万円)、特定(63万円)、老人(同居58万円/別居48万円)に区分されます。
解き方
- 一時払終身保険の解約返戻金が金融類似商品に該当するかを確認し、一時所得として総合課税されるか判定する。
- 長男Cさんの年齢(21歳)と所得状況から特定扶養親族に該当することを確認し、控除額を判定する。
- 母Eさん(79歳)の所得要件と同居関係を確認し、同居老親等に適用される控除額が58万円であることを確認する。
答えの内訳
- ①:○
- 一時払養老保険等の差益で保険期間5年以下のもの等は金融類似商品として源泉分離課税の対象となりますが、一時払終身保険は契約から5年以内に解約された場合であっても金融類似商品には該当せず、一時所得として総合課税の対象となります。
- ②:○
- 長男Cさん(21歳)は、19歳以上23歳未満の控除対象扶養親族であるため「特定扶養親族」に該当します。特定扶養親族に係る扶養控除の控除額は63万円となります。
- ③:×
- 母Eさん(79歳)の公的年金収入は90万円であり、公的年金等控除額(120万円)を差し引くと雑所得は0円となり扶養親族の要件を満たします。しかし、70歳以上で納税者と同居している直系尊属は「同居老親等」に該当するため、扶養控除の額は48万円ではなく58万円となります。
覚えるポイント
- 一時払終身保険は5年以内解約でも金融類似商品(源泉分離課税)にはならず一時所得となる。
- 老人扶養親族の控除額は、同居老親等の場合は58万円、同居老親等以外の場合は48万円となる。
間違えやすいところ
- 一時払養老保険の5年以内解約と一時払終身保険を混同して源泉分離課税と誤認しやすい。
- 同居老親等の控除額58万円と、同居以外の老人扶養親族の控除額48万円を取り違えやすい。
出題の前提:平成28年4月1日現在施行の法令
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
平成28年分の所得税の算出税額の計算
タックスプランニング · 総所得金額 / 一時所得の計算 / 配偶者控除 / 扶養控除 / 所得税の算出税額
設例の資料に基づき、Aさんの平成28年分の所得税の算出税額の計算における空欄①~④に入る数値を求めなさい。 ・(a)総所得金額:( ① )円 ・配偶者控除:( ② )円 ・扶養控除:( ③ )円 ・(d)算出税額(課税総所得金額に対する所得税額):( ④ )円
解答・解説を表示
解答
① 10,650,000 ② 380,000 ③ 1,590,000 ④ 1,008,500
解説
総所得金額の算定では、一時所得の金額(総収入金額-支出金額-特別控除50万円)を求めたうえで、その2分の1相当額を他の総合課税の所得と合算します。課税総所得金額に速算表の税率を乗じて控除額を差し引くことで算出税額を計算します。
解き方
- 一時所得の収入金額と支出金額を通算し、特別控除額50万円を控除した一時所得の金額の2分の1を求め、給与所得と合算して総所得金額を算出する。
- 妻Bさん(収入なし)に係る配偶者控除額(38万円)を特定する。
- 長男C(特定63万円)、二男D(一般38万円)、母E(同居老親等58万円)の扶養控除額を合計する。
- 課税総所得金額(総所得金額-所得控除合計額)を求め、速算表を適用して算出税額を計算する。
答えの内訳
- ①:10,650,000
- 一時払変額個人年金保険の解約差益は700万円-500万円=200万円、一時払終身保険の差損は980万円-1,000万円=▲20万円であり、一時所得の内部通算後は200万円-20万円=180万円。特別控除額50万円を控除すると一時所得の金額は130万円。総所得金額に算入する額は130万円×1/2=65万円。給与所得1,000万円と合算して、総所得金額は1,000万円+65万円=10,650,000円。
- ②:380,000
- 妻Bさんは平成28年中の収入がなく合計所得金額38万円以下であるため、一般の控除対象配偶者に該当します。適用される配偶者控除の額は380,000円です。
- ③:1,590,000
- 扶養控除の合計は、長男Cさん(特定扶養親族:63万円)+二男Dさん(一般の控除対象扶養親族:38万円)+母Eさん(同居老親等:58万円)=1,590,000円となります。
- ④:1,008,500
- 課税総所得金額は総所得金額10,650,000円-所得控除合計3,500,000円=7,150,000円。速算表より「695万円超900万円以下」の区分を適用し、7,150,000円×23%-636,000円=1,008,500円となります。
覚えるポイント
- 一時所得の総所得金額への算入割合は2分の1(一時所得の金額×1/2)。
- 同一年中に複数の一時所得がある場合は、総収入金額から支出金額をそれぞれ差し引いて内部通算できる。
間違えやすいところ
- 一時所得の特別控除50万円を差し引いた後、2分の1にするのを忘れて全額を総所得金額に算入してしまう。
- 一時払終身保険のマイナス20万円を通算せず、変額年金の利益200万円だけで一時所得を計算してしまう。
出題の前提:平成28年4月1日現在施行の法令
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 基礎控除額 / 法定相続分 / 相続税の総額
現時点(2016年9月11日)において、Aさんに相続が開始した場合における相続税の総額の試算について、次の表の空欄①〜③に入る数値を求めなさい。なお、課税価格の合計額は4億5,000万円とし、推定相続人は妻Bさん、長男Cさん、長女Dさんの3人とする。 ・相続税の課税価格の合計額:4億5,000万円 ・遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 ・課税遺産総額:□□□万円 ・相続税の総額の基となる税額 妻Bさん:( ② )万円 長男Cさん:□□□万円 長女Dさん:□□□万円 ・相続税の総額:( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 4,800 ② 6,345 ③ 10,985(または 1億985)
解説
相続税の総額は、課税遺産総額を民法上の法定相続分で按分した額に各累進税率を乗じて算出した各相続人の仮の税額を合算して求めます。
解き方
- 法定相続人の数(3人)に基づき、遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×3人=4,800万円)および課税遺産総額(4億200万円)を算出する。
- 課税遺産総額を法定相続分(妻1/2、子各1/4)に応じて按分し、相続税の速算表を適用して各人の税額を計算し、合算して総額を導く。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻B、長男C、長女Dの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:6,345
- 課税遺産総額は4億5,000万円-4,800万円=4億200万円です。妻Bさんの法定相続分は2分の1であるため取得金額は4億200万円×1/2=2億100万円となります。速算表より税率45%、控除額2,700万円を適用し、2億100万円×45%-2,700万円=6,345万円と算出されます。
- ③:10,985
- 長男Cおよび長女Dの法定相続分は各4分の1で取得金額は各1億50万円です。各人の税額は1億50万円×40%-1,700万円=2,320万円となります。したがって相続税の総額は、妻Bの6,345万円と子の各2,320万円を合算した1億985万円(10,985万円)です。
覚えるポイント
- 遺産に係る基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数である。
- 相続税の総額の算出では、実際の遺産分割割合ではなく法定相続分で按分して計算する。
間違えやすいところ
- 法定相続分の計算時に配偶者控除などの税額軽減を総額計算の段階で差し引いてしまう誤り。
- 速算表の控除額を引き忘れて税率のみを乗じてしまう計算ミス。
出題の前提:2016年4月1日施行の相続税法および平成28年度税制規程
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分・小規模宅地等の特例・生命保険の非課税枠
相続・事業承継 · 遺留分 / 小規模宅地等の特例 / 死亡保険金の非課税金額
Aさんの相続等に関する次の記述①〜③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「仮に、Aさんの相続に係る遺留分算定の基礎となる財産の価額を4億5,000万円とした場合、長男Cさんの遺留分の金額は、1億1,250万円となる。」 ② 「《設例》の相続税評価額に基づき、小規模宅地等の特例の適用を受ける場合、特定居住用宅地等に該当する自宅の敷地の評価減の金額よりも、貸付事業用宅地等に該当する賃貸マンションの敷地の評価減の金額のほうが多額であると判断できる。」 ③ 「Aさんの相続開始前に、契約者および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を推定相続人とする終身保険に加入した場合、相続人が受け取る死亡保険金は『500万円×法定相続人の数』を限度として、非課税金額の規定の適用を受けることができる。」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
遺留分の割合は直系尊属のみが相続人の場合は3分の1、それ以外の場合は2分の1となり、小規模宅地等の特例は対象宅地の区分(特定居住用は330㎡まで80%減、貸付事業用は200㎡まで50%減)によって減額規模が異なります。
解き方
- 各記述の前提条件(相続人の構成、土地の地目・面積・評価額、生命保険の契約形態)を整理する。
- 民法の遺留分規定、租税特別措置法上の小規模宅地等の特例、相続税法上の生命保険金非課税枠の各条文に基づいて整合性を確認する。
答えの内訳
- ①:×
- 相続人が配偶者と子である場合、全体の遺留分は財産の2分の1です。長男Cさんの法定相続分は4分の1であるため、長男Cさんの遺留分は「4億5,000万円×1/2×1/4=5,625万円」となり、1億1,250万円ではありません。
- ②:×
- 自宅敷地(特定居住用宅地等)の評価減額は7,000万円×(330㎡/330㎡)×80%=5,600万円です。一方、賃貸マンション敷地(貸付事業用宅地等)の評価減額は限度面積200㎡・減額率50%のため1億円×(200㎡/400㎡)×50%=2,500万円です。自宅敷地の減額の方が多額となります。
- ③:○
- 被相続人が保険料を負担していた生命保険契約において、相続人が受け取った死亡保険金については「500万円×法定相続人の数」までが相続税の非課税財産となります。
覚えるポイント
- 配偶者と子が相続人の場合の総遺留分は2分の1であり、各人の遺留分は「1/2×法定相続分」である。
- 特定居住用宅地等は限度面積330㎡・減額率80%、貸付事業用宅地等は限度面積200㎡・減額率50%である。
間違えやすいところ
- 特定居住用宅地等の限度面積を240㎡(旧制度)と混同しないよう注意する。
- 各相続人の遺留分を計算する際に、全体の遺留分割合(1/2)を掛け忘れて法定相続分のまま計算してしまう誤り。
出題の前提:2016年4月1日施行の民法および租税特別措置法・相続税法
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
相続・事業承継 · 教育資金の一括贈与の非課税 / 贈与税の特例 / 契約終了事由
個人で不動産賃貸業を営むAさんは、孫2人への教育資金支援として「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の活用を検討している。本制度に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 「本制度は、受贈者が教育資金に充てるためにその直系尊属(父母・祖父母など)から信託受益権を付与された場合や書面による贈与により取得した金銭を金融機関に預け入れた場合等は、信託受益権または金銭の価額のうち、受贈者1人につき( ① )万円までは贈与税が非課税となります。本制度の適用対象となる学校等に支払われる入学金や授業料は、( ② )。なお、本制度の非課税拠出額の限度額は、受贈者ごとに( ① )万円ですが、学習塾やピアノ教室などの学校等以外に対して直接支払われる金銭については( ③ )万円が限度となります。 本制度の適用後、受贈者であるAさんのお孫さんが( ④ )歳に達すると教育資金管理契約は終了します。そのとき、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額は、贈与税の課税価格に算入されるため、贈与税の申告義務が発生した場合は、その申告をする必要が生じます」
- イ
- 20
- ロ
- 25
- ハ
- 30
- ニ
- 500
- ホ
- 1,000
- ヘ
- 1,500
- ト
- 2,000
- チ
- 2,500
- リ
- 3,000
- ヌ
- 学校教育法に定める高等学校、大学などの国内の学校等に限られます
- ル
- 国内の学校等に加え、外国の大学等の一定の教育施設も適用対象となります
解答・解説を表示
解答
① ヘ、② ル、③ ニ、④ ハ
解説
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度は、30歳未満の子や孫に対して祖父母などの直系尊属が教育資金を一括信託・預入等した場合に、受贈者ごとに1,500万円(学校等以外は500万円)まで贈与税が非課税となる制度です。30歳到達時等の契約終了時に残額がある場合、その残額は終了した年に贈与があったものとして贈与税の課税対象となります。
解き方
- 受贈者1人あたりの全体の非課税限度額(1,500万円)を確認して空欄①に該当する記号を選びます。
- 教育資金の支払対象となる教育施設の範囲に外国の大学等の一定施設も含まれることを確認して空欄②の記号を選びます。
- 学校等以外の習い事や学習塾等に対する支払の限度額(500万円)を確認して空欄③の記号を選びます。
- 教育資金管理契約の満了年齢が受贈者の30歳到達時であることを確認して空欄④の記号を選びます。
- 選択肢 イ不正解
- 20歳は契約終了年齢の基準ではありません。本制度の終了年齢は30歳です。
- 選択肢 ロ不正解
- 25歳は本制度の要件や終了年齢とは関係のない数値です。
- 選択肢 ハ正解
- 空欄④の正解です。受贈者が30歳に達した日に教育資金管理契約は終了します。
- 選択肢 ニ正解
- 空欄③の正解です。学校等以外に直接支払われる教育資金の非課税限度額は500万円です。
- 選択肢 ホ不正解
- 1,000万円は結婚・子育て資金一括贈与の非課税限度額であり、本制度の限度額ではありません。
- 選択肢 ヘ正解
- 空欄①の正解です。本制度における受贈者1人あたりの非課税拠出限度額は1,500万円です。
- 選択肢 ト不正解
- 2,000万円は配偶者控除(おしどり贈与)の最高限度額であり、本制度には適用されません。
- 選択肢 チ不正解
- 2,500万円は相続時精算課税の特別控除限度額であり、教育資金の一括贈与の金額ではありません。
- 選択肢 リ不正解
- 3,000万円は本制度の限度額とは関係のない数値です。
- 選択肢 ヌ不正解
- 対象は国内の学校等に限られず、一定の外国の大学等の施設も対象に含まれます。
- 選択肢 ル正解
- 空欄②の正解です。本制度の適用対象は国内の学校等に加え、外国の一定の教育施設も含まれます。
答えの内訳
- ①:ヘ
- 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度において、受贈者1人あたりの非課税拠出額の限度額は最高1,500万円となります。
- ②:ル
- 教育資金の対象となる教育施設は、国内の幼稚園・小・中・高・大学等だけでなく、一定の要件を満たす外国の大学や日本人学校等の教育施設も含まれます。
- ③:ニ
- 学校等以外の学習塾、そろばん、水泳、ピアノなどの習い事に直接支払われる金銭については、非課税限度額1,500万円のうち500万円が限度となります。
- ④:ハ
- 教育資金管理契約は、受贈者が30歳に達した日、受贈者が死亡した日、または口座等の残高がゼロになり契約終了の届出をした日に終了します。
覚えるポイント
- 教育資金一括贈与の非課税限度額は受贈者ごとに1,500万円(学校等以外は500万円)であること。
- 教育資金管理契約は受贈者が30歳に達した日に終了し、使い残しがあれば残額に贈与税が課税されること。
間違えやすいところ
- 結婚・子育て資金の一括贈与(限度額1,000万円、対象50歳未満)と限度額や終了年齢を混同しないように注意が必要です。
- 学校等以外の習い事等(塾・ピアノ教室等)への支払は1,500万円全額を使えるわけではなく、500万円が上限となる点を見落としやすいです。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第70条の2の2)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2016年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

