日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算 / 加給年金額
Aさん(昭和32年6月10日生まれ・59歳)が60歳で定年退職し、その後再就職しない場合における、原則として65歳から受給できる老齢厚生年金の年金額(平成28年度価額)について、報酬比例部分の額①、経過的加算額②、基本年金額③、および加給年金額を加算した老齢厚生年金の年金額④を計算しなさい。なお、円未満の端数が生じる場合は四捨五入すること。
解答・解説を表示
解答
① 962,658、② 353、③ 963,011、④ 1,353,111
解説
老齢厚生年金は、給与水準と加入期間に応じて計算される報酬比例部分と、定額部分と老齢基礎年金との差額を調整する経過的加算から構成されます。また、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある受給権者に生計を維持されている65歳未満の配偶者等がいる場合、加給年金額が加算されます。
解き方
- 報酬比例部分について、平成15年3月以前と平成15年4月以後の2つの計算式に標準報酬額と月数を代入して合算する。
- 経過的加算額について、公式にAさんの被保険者期間446月を代入して計算し、円未満を四捨五入する。
- 報酬比例部分と経過的加算額を合算して基本年金額を算出する。
- 加給年金の支給要件(厚生年金加入20年以上、65歳到達時に生計維持する65歳未満配偶者あり、配偶者自身の被保険者期間が原則20年未満)を満たすか判定し、加給年金額を加算する。
答えの内訳
- ①:962,658
- 平成15年3月以前の分は「300,000円×(7.125/1,000)×276月=589,950円」、平成15年4月以後の分は「400,000円×(5.481/1,000)×170月=372,708円」となり、合算すると「589,950円+372,708円=962,658円」となります。
- ②:353
- Aさんの厚生年金被保険者期間は446月です。経過的加算額は「1,626円×446月-780,100円×(446月/480月)=725,196円-724,842.916…円=353.083…円」となり、円未満四捨五入により353円となります。
- ③:963,011
- 基本年金額は報酬比例部分の額と経過的加算額の合計であるため、「962,658円+353円=963,011円」となります。
- ④:1,353,111
- Aさんは厚生年金の被保険者期間が20年以上あり、65歳到達時点で生計を維持する65歳未満の配偶者(妻Bさん。被保険者期間240月以上の老齢厚生年金受給資格なし)がいるため加給年金額390,100円が加算されます。したがって、「963,011円+390,100円=1,353,111円」となります。
覚えるポイント
- 経過的加算額の乗率月数の上限は480月である点
- 配偶者加給年金は厚生年金の被保険者期間が20年以上(原則240月以上)あることが必要である点
間違えやすいところ
- 妻Bさんの被保険者期間が20年以上あると加給年金が支給停止となるが、妻の厚生年金期間は合計220月(28月+192月)で20年未満のため加給年金が加算される点を見落とすこと
- 平成15年3月以前と4月以後の乗率(7.125/1,000と5.481/1,000)を取り違えて計算してしまうこと
出題の前提:2016年4月1日現在施行法令(平成28年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
退職後の公的医療保険制度(任意継続被保険者・被扶養者)
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険 / 任意継続被保険者 / 健康保険の被扶養者
退職後の公的医療保険制度に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を語句群(イ~リ)から選びなさい。 「退職時の健康保険に任意継続被保険者として加入する場合、原則として、退職日の翌日から( ① )以内に任意継続被保険者の資格取得手続を行う必要があり、任意継続被保険者として健康保険に加入できる期間は最長で( ② )となります。また、Aさんが妻Bさんの健康保険の被扶養者となるためには、Aさんの退職後の年間収入が180万円未満の見込みで、かつ、原則として妻Bさんの年間収入の( ③ )未満の見込みであることなどの要件を満たす必要があります」 〈語句群〉 イ.10日 ロ.14日 ハ.20日 ニ.1年間 ホ.2年間 へ.3年間 ト.2分の1 チ.3分の2 リ.4分の3
- イ
- 10日
- ロ
- 14日
- ハ
- 20日
- ニ
- 1年間
- ホ
- 2年間
- へ
- 3年間
- ト
- 2分の1
- チ
- 3分の2
- リ
- 4分の3
解答・解説を表示
解答
① ハ、② ホ、③ ト
解説
退職に伴い社会保険の資格を喪失した者は、国民健康保険への加入、健康保険の任意継続、家族の健康保険の被扶養者となる選択肢があります。任意継続の手続期限(資格喪失日から20日以内)と加入期間(最長2年)、および60歳以上の被扶養者認定要件(年間収入180万円未満かつ被保険者の収入の2分の1未満)は実務上・試験上ともに極めて重要です。
解き方
- 健康保険の任意継続被保険者の申請期限(退職日の翌日から20日以内)を確認し、①に対応する語句を選ぶ。
- 任意継続被保険者の加入可能期間(最長2年間)を確認し、②に対応する語句を選ぶ。
- 60歳以上の者が健康保険の被扶養者となるための収入要件(同居の場合、年収180万円未満かつ被保険者の年収の2分の1未満)を確認し、③に対応する語句を選ぶ。
- 選択肢 イ不正解
- 10日という期間は任意継続の資格取得申請期限(20日以内)の規定には該当しません。
- 選択肢 ロ不正解
- 14日という期間は国民健康保険や国民年金の届出期間であり、健康保険の任意継続の資格取得申請期限ではありません。
- 選択肢 ハ正解
- 任意継続被保険者の資格取得手続は退職日の翌日から20日以内に行う必要があるため、①の正解として適切です。
- 選択肢 ニ不正解
- 1年間という期間は任意継続被保険者の最長加入期間(2年間)の規定として誤りです。
- 選択肢 ホ正解
- 任意継続被保険者として加入できる期間は最長で2年間であるため、②の正解として適切です。
- 選択肢 へ不正解
- 3年間という期間は任意継続被保険者の加入期間の規定として誤りです。
- 選択肢 ト正解
- 被扶養者の認定において、被保険者と同居している場合は原則として被保険者の年間収入の2分の1未満であることが求められるため、③の正解として適切です。
- 選択肢 チ不正解
- 3分の2という基準は被扶養者の収入認定要件には存在しません。
- 選択肢 リ不正解
- 4分の3という基準は被扶養者の収入認定要件には存在しません。
答えの内訳
- ①:ハ
- 健康保険の任意継続被保険者の資格取得手続は、原則として被保険者資格を喪失した日(退職日の翌日)から20日以内に保険者へ申請書を提出して行う必要があります。
- ②:ホ
- 健康保険の任意継続被保険者として加入できる期間は、法律により資格取得日から最長で2年間と定められています。
- ③:ト
- 60歳以上の者または障害厚生年金受給要件該当者が被扶養者となる場合、年間収入が180万円未満かつ原則として被保険者の年間収入の2分の1未満であることが要件とされています。
覚えるポイント
- 任意継続被保険者の手続期限は資格喪失日(退職日翌日)から20日以内
- 任意継続の継続可能期間は最長2年間
- 60歳以上または障害者の健康保険被扶養者基準は年収180万円未満かつ被保険者年収の2分の1未満(同居時)
間違えやすいところ
- 任意継続の手続期限を国民健康保険の加入届出期限である「14日以内」と混同すること
- 60歳以上の被扶養者認定要件における収入限度(180万円未満)を60歳未満の基準(130万円未満)と混同すること
出題の前提:2016年4月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
退職金の複利運用と取崩し(諸係数の計算)
ライフプランニングと資金計画 · 終価係数 / 資本回収係数 / 複利計算
Aさんは、X社から支給される予定の退職金のうち1,500万円を活用して老後資金を準備したいと考えている。年率1%の諸係数早見表を用いて、(1)元金1,500万円を利率1%で10年間複利運用した場合の10年後の元利合計金額(空欄①)、(2)2,000万円を利率1%で複利運用しながら15年間にわたり毎年一定額を取り崩す場合の毎年の取崩し金額の上限(空欄②)をそれぞれ求めなさい。なお、答は万円未満を四捨五入して万円単位とすること。
解答・解説を表示
解答
① 1,657(万円) ② 144(万円)
解説
将来の資金計画のシミュレーションには6つの係数(終価・現価・年金終価・減債基金・年金現価・資本回収)を用います。現在のまとまった手元資金を複利運用して将来の額を求める場合は「終価係数」を、現在ある元金を運用しながら一定期間で均等に取り崩す毎年の金額を求める場合は「資本回収係数」を乗じて算出します。
解き方
- (1)元金1,500万円を複利運用した将来の元利合計額を求めるため、期間10年・利率1%の終価係数「1.1046」を乗じ、1,500万円×1.1046=16,569,000円(1,656.9万円)を求め、万円未満を四捨五入して1,657万円とします。
- (2)元金2,000万円を複利運用しながら毎年均等に取り崩す金額を求めるため、期間15年・利率1%の資本回収係数「0.0721」を乗じ、2,000万円×0.0721=1,442,000円(144.2万円)を求め、万円未満を四捨五入して144万円とします。
答えの内訳
- ①:1,657
- 元金1,500万円を年利1%で10年間複利運用した将来の元利合計額を求めるため、10年の終価係数1.1046を用います。1,500万円×1.1046=1,656.9万円となり、万円未満を四捨五入して1,657万円となります。
- ②:144
- 元金2,000万円を年利1%で複利運用しながら15年間で均等に取り崩す毎年の金額を求めるため、15年の資本回収係数0.0721を用います。2,000万円×0.0721=144.2万円となり、万円未満を四捨五入して144万円となります。
覚えるポイント
- 終価係数は「現在の元金を一定利率で複利運用した将来の額」を求める際に用います。
- 資本回収係数は「現在の元金を運用しながら一定期間で均等に取り崩す額(年金額)」を求める際に用います。
間違えやすいところ
- 将来の一定額を積み立てるための毎年の積立額を求める「減債基金係数」と、元金を取り崩す「資本回収係数」を取り違えないように注意が必要です。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
シャープ・レシオとポートフォリオの期待収益率
金融資産運用 · シャープ・レシオ / ポートフォリオの期待収益率 / 投資信託の運用パフォーマンス評価
X投資信託(平均収益率3%、標準偏差2%)およびY投資信託(平均収益率7%、標準偏差4%)について、無リスク資産利子率を1%と仮定した場合のX投資信託のシャープ・レシオ(空欄①)、両ファンドの運用パフォーマンスの比較(空欄②)、ならびにX投資信託を60%、Y投資信託を40%の比率で組み入れたポートフォリオの期待収益率(空欄③)を語句群からそれぞれ選びなさい。
- イ
- 1.0
- ロ
- 1.5
- ハ
- 2.0
- ニ
- 4.6
- ホ
- 5.4
- ヘ
- 10.0
- ト
- X
- チ
- Y
解答・解説を表示
解答
① イ ② チ ③ ニ
解説
シャープ・レシオは「(リターン-無リスク資産利子率)÷リスク(標準偏差)」で算出され、リスク1単位あたりに獲得した超過リターンを示します。この数値が大きいほど投資効率が優れていると判断されます。また、複数資産からなるポートフォリオの期待収益率は、各資産の期待収益率をその組入比率によって加重平均して求めます。
解き方
- X投資信託のシャープ・レシオを公式「(平均収益率-無リスク資産利子率)÷標準偏差」に当てはめて計算し、(3%-1%)÷2%=1.0(空欄①:イ)を導きます。
- Y投資信託のシャープ・レシオを同様に計算して(7%-1%)÷4%=1.5を求め、Xの1.0と比較して値が大きい「Y」(空欄②:チ)を選択します。
- ポートフォリオの期待収益率を各資産の期待収益率の加重平均として計算し、3%×0.60+7%×0.40=1.8%+2.8%=4.6%(空欄③:ニ)を算出します。
- 選択肢 イ正解
- X投資信託のシャープ・レシオの計算結果である(3-1)÷2=1.0と一致するため、空欄①として適切です。
- 選択肢 ロ不正解
- 1.5はY投資信託のシャープ・レシオ(7-1)÷4の計算結果であり、空欄①のX投資信託の値としては不適切です。
- 選択肢 ハ不正解
- 2.0はX投資信託の標準偏差そのものの数値、または無リスク利子率を引かずに3%÷1.5%等とした誤りです。
- 選択肢 ニ正解
- 3%×60%+7%×40%=4.6%となり、ポートフォリオの期待収益率の計算結果と一致するため、空欄③として適切です。
- 選択肢 ホ不正解
- 5.4%は組入比率を取り違えて計算した場合(3%×40%+7%×60%=5.4%)の数値であり、不適切です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 10.0%はX投資信託とY投資信託の平均収益率を単純合算(3%+7%)した数値であり、不適切です。
- 選択肢 ト不正解
- X投資信託のシャープ・レシオ(1.0)はY投資信託(1.5)を下回っているため、パフォーマンスが優れているとはいえません。
- 選択肢 チ正解
- Y投資信託のシャープ・レシオ(1.5)はX投資信託(1.0)より大きく、効率的な運用がなされていたといえるため、空欄②として適切です。
答えの内訳
- ①:イ
- X投資信託のシャープ・レシオは、(平均収益率3%-無リスク資産利子率1%)÷標準偏差2%=1.0となるため、イが適切です。
- ②:チ
- Y投資信託のシャープ・レシオは、(7%-1%)÷4%=1.5です。シャープ・レシオは値が大きいほど優れているため、1.5>1.0よりY投資信託のほうが過去のパフォーマンスは優れており、チが適切です。
- ③:ニ
- ポートフォリオの期待収益率は各資産の期待収益率の加重平均となるため、3%×60%+7%×40%=1.8%+2.8%=4.6%となり、ニが適切です。
覚えるポイント
- シャープ・レシオ=(超過リターン)÷(標準偏差)であり、数値が大きいほど運用効率が良好です。
- ポートフォリオの期待収益率は、各資産の期待収益率を組入比率で加重平均して求めます。
間違えやすいところ
- シャープ・レシオの計算において、分子から無リスク資産利子率を差し引くことを忘れないようにしましょう。
- ポートフォリオ期待収益率の計算で、各ファンドの組入比率を逆に掛け合わせてしまう計算ミスに注意が必要です。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資信託の仕組みと開示資料
金融資産運用 · 投資信託 / 為替ヘッジ / 運用管理費用(信託報酬) / 目論見書
X投資信託およびY投資信託に関してMさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。①「将来的に円高を予想するときは、X投資信託において、為替ヘッジなしのファンドを選択すべきです」 ②「Aさんは投資信託を保有している期間中、運用管理費用(信託報酬)を負担する必要があります。この運用管理費用(信託報酬)は決算日に前決算日以降の期間分がまとめて控除されるため、決算日の基準価額はその分下がります」 ③「金融商品取引法において、投資信託の販売資料として目論見書の交付が義務付けられています。目論見書には、投資家に原則としてあらかじめまたは販売と同時に交付しなければならない『交付目論見書』と、投資家の請求に基づき交付される『請求目論見書』があります」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
外貨建て投資信託の為替ヘッジ機能、日々の信託財産から差し引かれる運用管理費用(信託報酬)の費用構造、および金融商品取引法における目論見書の交付義務に関する基礎知識を理解しているかが問われます。
解き方
- 外貨建て資産への投資における円高時の影響(為替差損)と、為替変動リスクを抑える為替ヘッジの仕組みを確認する。
- 運用管理費用(信託報酬)は決算日の一括控除ではなく、日々の基準価額の算出過程で既に差し引かれている費用であることを確認する。
- 金融商品取引法が義務付ける交付目論見書(必須交付)と請求目論見書(請求時に交付)の区分と特徴を整理する。
答えの内訳
- ①:×
- 円高が進むと外貨建て資産の円換算価値が下落するため、円高を予想する局面では為替リスクを低減する「為替ヘッジあり」を選択するのが適切です。
- ②:×
- 運用管理費用(信託報酬)は決算日に一括控除されるのではなく、日々の信託財産から日割り計算で自動的に差し引かれて基準価額に反映されています。
- ③:○
- 投資信託の目論見書には、購入時に原則として事前にまたは同時に交付が義務付けられている交付目論見書と、請求時に交付する請求目論見書の2種類があります。
覚えるポイント
- 運用管理費用(信託報酬)は日々信託財産から控除されており、決算日に一括で差し引かれるわけではありません。
間違えやすいところ
- 円高予想時に「為替ヘッジなし」を選ぶと為替差損を直接被ってしまうため、「為替ヘッジあり」を選ぶべきである点を取り違えないように注意が必要です。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
追加型株式投資信託の収益分配金と課税
金融資産運用 · 普通分配金 / 元本払戻金(特別分配金) / 配当所得 / 源泉徴収税率
Aさんが特定口座(源泉徴収あり)を利用してX投資信託を500万口購入し(購入時基準価額9,500円/1万口)、最初の収益分配金600円(税引前・1万口当たり)を受け取り、分配落ち後の基準価額が9,400円となった。Mさんが説明した文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選びなさい。「普通分配金は( ① )円(1万口当たり)、元本払戻金(特別分配金)は( ② )円(1万口当たり)です。普通分配金による所得は( ③ )所得とされ、分配金受取時に所得税および復興特別所得税と住民税の合計で( ④ )%の税率により源泉徴収(特別徴収)されます」
- イ
- 利子
- ロ
- 配当
- ハ
- 雑
- ニ
- 10.147
- ホ
- 20.315
- へ
- 20.42
- ト
- 100
- チ
- 500
- リ
- 600
解答・解説を表示
解答
① チ ② ト ③ ロ ④ ホ
解説
公募追加型株式投資信託の収益分配金は、個別元本を下回らない部分から支払われる「普通分配金(配当所得として20.315%課税)」と、個別元本を下回る元本の払い戻し部分である「元本払戻金(特別分配金・非課税)」に明確に区分されます。
解き方
- 分配金落ち後の基準価額(9,400円)と個別元本(9,500円)を比較し、下回る100円分を元本払戻金(特別分配金)と算出する。
- 受取分配金合計(600円)から元本払戻金(100円)を減算し、普通分配金(500円)を算出する。
- 普通分配金が配当所得に該当すること、および源泉徴収税率が所得税・復興特別所得税15.315%+住民税5%の計20.315%であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 収益分配金600円のうち、元本払戻金に該当する100円を除いた残額500円が普通分配金(課税対象)となります。
- 小問 ②:ト
- 分配金落ち後の基準価額(9,400円)が購入時の個別元本(9,500円)を下回るため、下回る差額の100円が非課税の元本払戻金(特別分配金)となります。
- 小問 ③:ロ
- 公募株式投資信託の普通分配金は、税法上の所得分類において「配当所得」として扱われます。
- 小問 ④:ホ
- 上場株式等の配当所得に対する源泉徴収税率は、所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%を合わせた合計20.315%です。
覚えるポイント
- 分配落ち後の基準価額が個別元本を下回る場合、その差額部分は非課税の元本払戻金(特別分配金)となり個別元本も同額減額されます。
間違えやすいところ
- 分配金落ち前の基準価額で計算したり、普通分配金と元本払戻金の数値を逆にしてしまう誤りに注意しましょう。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の各種所得控除(基礎控除・配偶者控除・扶養控除)
タックスプランニング · 基礎控除 / 配偶者控除 / 扶養控除 / 特定扶養親族
Aさんの平成28年分の所得税の計算等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① Aさんは、所得税の基礎控除の適用を受けることができる。 ② 妻Bさんの合計所得金額は38万円を超えているため、Aさんは妻Bさんについて配偶者控除の適用を受けることはできないが、配偶者特別控除の適用を受けることができる。 ③ 長女Cさんの合計所得金額は38万円以下であるため、Aさんは長女Cさんについて63万円の扶養控除の適用を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
所得控除のうち配偶者控除や扶養控除は、対象者の合計所得金額が38万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)であることが要件です。また控除対象扶養親族のうち年末時点で19歳以上23歳未満の子は特定扶養親族となり控除額が63万円に加算されます。
解き方
- 妻Bさんおよび長女Cさんの給与収入から給与所得控除額(最低65万円)を控除し、それぞれの合計所得金額を計算する。
- 合計所得金額が38万円以下であるかを確認し、配偶者控除の該否および年齢に応じた扶養控除の区分(特定扶養親族)と控除額を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 平成28年分において所得税の基礎控除(38万円)はすべての納税者に一律に適用されるため、会社員であるAさんも適用を受けることができます。
- 小問 ②:×
- 妻Bさんの給与収入は80万円であり、給与所得控除額65万円を差し引いた合計所得金額は15万円(38万円以下)となります。したがって配偶者控除の適用対象となり、配偶者特別控除ではありません。
- 小問 ③:○
- 長女Cさんは22歳であり、給与収入20万円から給与所得控除65万円を引くと所得は0円(38万円以下)です。19歳以上23歳未満の特定扶養親族に該当するため、控除額は63万円となります。
覚えるポイント
- 給与所得控除の最低保障額(65万円)により、給与収入103万円以下なら合計所得金額は38万円以下となる。
- 特定扶養親族は19歳以上23歳未満で控除額は63万円である。
間違えやすいところ
- 給与収入そのものを合計所得金額と混同して38万円を超えていると誤認しないように注意する。
- 特定扶養親族の年齢要件(19歳以上23歳未満)と一般の扶養親族(16歳以上)の控除額(38万円)を取り違えやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(平成28年分所得税法)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅借入金等特別控除の主な適用要件
タックスプランニング · 住宅借入金等特別控除 / 住宅ローン控除 / 居住要件 / 床面積要件 / 償還期間
所得税における住宅借入金等特別控除に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群のなかから選びなさい。 住宅借入金等特別控除は、住宅ローン等を利用して居住用住宅の新築、取得または増改築等をし、自己の居住の用に供した場合で一定の要件を満たすとき、借入金等の年末残高を基として計算した金額をその年分以後の各年分の所得税額から控除するものであり、その主な適用要件は、以下のとおりである。 ・新築または取得の日から( ① )以内に居住の用に供し、原則として適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること ・適用を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下であること ・新築または取得をした住宅の床面積が( ② )㎡以上であり、床面積の( ③ )の部分がもっぱら自己の居住の用に供するものであること ・借入金等は、新築または取得のための一定の借入金等で、( ④ )年以上にわたり分割して返済する方法になっているものであること
- イ
- 3カ月
- ロ
- 4カ月
- ハ
- 6カ月
- ニ
- 10
- ホ
- 20
- ヘ
- 30
- ト
- 40
- チ
- 50
- リ
- 3分の1以上
- ヌ
- 2分の1以上
- ル
- 全部
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解答
① ハ ② チ ③ ヌ ④ ニ
解説
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は、個人が住宅ローン等を利用してマイホームを新築・取得・増改築した際に税額控除を受けられる制度です。取得後6カ月以内の居住、合計所得金額3,000万円以下、登記簿面積50㎡以上、居住用割合2分の1以上、借入金の返済期間10年以上などの法定要件が定められています。
解き方
- 住宅借入金等特別控除における居住開始期限(新築・取得日から6カ月以内)を確認し空欄①を選択する。
- 住宅の規模・用途要件(登記簿床面積50㎡以上、自己居住割合2分の1以上)を確認し空欄②および③を選択する。
- 借入金の返済要件(償還期間10年以上の分割返済)を確認し空欄④を選択する。
- 選択肢 イ不正解
- 居住開始の要件は取得日から6カ月以内であり、3カ月ではありません。
- 選択肢 ロ不正解
- 居住開始の要件は6カ月以内であり、4カ月ではありません。
- 選択肢 ハ正解
- 空欄①の居住要件である「6カ月」以内に合致するため適切です。
- 選択肢 ニ正解
- 空欄④の返済期間要件である「10」年以上に合致するため適切です。
- 選択肢 ホ不正解
- 借入金の返済期間要件は10年以上であり、20年ではありません。
- 選択肢 ヘ不正解
- 床面積要件や償還期間のいずれの数値(50㎡、10年)にも該当しません。
- 選択肢 ト不正解
- 床面積要件は50㎡以上であり、40㎡ではありません。
- 選択肢 チ正解
- 空欄②の床面積要件である「50」㎡以上に合致するため適切です。
- 選択肢 リ不正解
- 自己居住用の床面積割合は2分の1以上が必要であり、3分の1以上ではありません。
- 選択肢 ヌ正解
- 空欄③の居住用割合要件である「2分の1以上」に合致するため適切です。
- 選択肢 ル不正解
- 店舗併用住宅等の場合でも2分の1以上が居住用であれば対象となるため、全部である必要はありません。
答えの内訳
- ①:ハ
- 住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、住宅の新築または取得の日から「6カ月」以内に自己の居住の用に供する必要があります。
- ②:チ
- 住宅の床面積要件は、登記簿上の床面積が「50」㎡以上であることです。
- ③:ヌ
- 取得した住宅の床面積の「2分の1以上」に相当する部分が専ら自己の居住の用に供されている必要があります。
- ④:ニ
- 住宅借入金等の償還期間は「10」年以上にわたり分割して返済する方法である必要があります。
覚えるポイント
- 住宅ローン控除の基本要件:取得後6カ月以内に居住、床面積50㎡以上、居住用割合1/2以上、償還期間10年以上、合計所得3,000万円以下。
間違えやすいところ
- マンションの床面積要件はパンフレット記載の壁芯面積ではなく、登記簿上の内法面積(50㎡以上)で判定する点に注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第41条)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の総所得金額・算出税額・住宅借入金等特別控除額の計算
タックスプランニング · 給与所得控除 / 所得税の税額計算 / 住宅借入金等特別控除
設例のAさん(会社員・給与収入830万円、課税総所得金額422万2,000円、年末借入金残高3,130万円の新築マンションを取得・居住)の平成28年分の所得税について、次の表の空欄①~③に入る数値を求めなさい。 (a)総所得金額 :( ① )円 (c)課税総所得金額 : 4,222,000円 (d)算出税額(cに対する所得税額):( ② )円 (e)税額控除(住宅借入金等特別控除):( ③ )円
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解答
① 6,270,000(円)、② 416,900(円)、③ 313,000(円)
解説
給与所得は給与収入から給与所得控除額を差し引いて求め、所得控除後の課税総所得金額に超過累進税率を適用して算出税額を計算します。住宅借入金等特別控除は税額から直接差し引く税額控除です。
解き方
- 給与収入830万円を給与所得控除額の速算表に当てはめ、給与所得控除額(203万円)を控除して総所得金額(627万円)を算出します。
- 課税総所得金額422万2,000円に所得税の速算表(税率20%、控除額42.75万円)を適用して算出税額(416,900円)を計算します。
- 年末借入金残高3,130万円に控除率1.0%を乗じて住宅借入金等特別控除額(313,000円)を算出します。
答えの内訳
- ①:6,270,000
- 給与収入830万円に対する給与所得控除額は「収入金額×10%+120万円」より、830万円×10%+120万円=203万円となります。したがって、総所得金額(給与所得の金額)は、給与収入830万円-203万円=627万円(6,270,000円)です。
- ②:416,900
- 課税総所得金額4,222,000円に対する所得税額は、所得税の速算表(330万円超695万円以下:税率20%、控除額427,500円)を適用し、4,222,000円×20%-427,500円=844,400円-427,500円=416,900円となります。
- ③:313,000
- 消費税率8%が適用された住宅取得(特定取得)における住宅借入金等特別控除の借入金限度額は4,000万円、控除率は1.0%です。年末借入金残高3,130万円は限度額以下であるため、控除額は3,130万円×1.0%=313,000円となります。
覚えるポイント
- 住宅借入金等特別控除の控除率は原則1%(一般住宅の特定取得時の年末残高上限は4,000万円)。
間違えやすいところ
- 住宅借入金等特別控除は所得控除ではなく税額控除であるため、税額から直接差し引く点に注意します。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
宅地建物取引業法(自ら貸借・媒介報酬の制限・業者名簿の閲覧)
不動産 · 宅地建物取引業法 / 自ら貸借 / 媒介報酬の限度額 / 宅地建物取引業者名簿
宅地建物取引業者との関わりについての次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① Aさんが自らアパートの賃借人を募集し、建物賃貸借契約を締結することは、宅地建物取引業に該当しないため、宅地建物取引業の免許を取得する必要はない。 ② Aさんが宅地建物取引業者にアパートの賃貸の媒介を委託する場合、その媒介に係る報酬については売買の媒介とは異なり宅地建物取引業法等に報酬額の限度の規定がないため、事後に想定外に高額の請求を受けることがあることに注意しなければならない。 ③ 国土交通大臣および都道府県知事は、宅地建物取引業者名簿をその閲覧所に備え、請求があった時は、一般の閲覧に供しなければならないが、この名簿には、業務停止処分を受けたことがある業者については、処分の内容等も記載されている。
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解答
① ○、② ×、③ ○
解説
宅建業法における宅地建物取引業の定義(自ら貸借の除外)、法令で定められた報酬額の制限、および業者名簿の一般閲覧制度に関する知識を問う問題です。
解き方
- 記述①:自ら所有する不動産の賃貸業務が宅建業に該当するか否か(免許の要否)を判定します。
- 記述②:賃貸の媒介における報酬額の法的規制・限度額の有無について正誤を判定します。
- 記述③:宅地建物取引業者名簿の登載事項および閲覧制度の規定について正誤を判定します。
答えの内訳
- ①:○
- 自己が所有する建物の賃貸(自ら貸借)は宅地建物取引業法の「取引」に該当しないため、宅地建物取引業の免許は不要です。
- ②:×
- 宅地建物取引業法および国土交通省告示により、賃貸借の媒介に関する報酬の限度額は借賃の1カ月分(消費税等別)以内と定められています。
- ③:○
- 国土交通大臣および都道府県知事が一般の閲覧に供する宅地建物取引業者名簿には、指示処分や業務停止処分等の監督処分の内容が記載されます。
覚えるポイント
- 不動産の所有者が「自ら賃貸」する場合は宅建業の免許は不要です(売買・交換と異なる点に注意)。
- 賃貸借媒介の報酬限度額は、依頼者双方から受ける合計で借賃の1カ月分(税別)以内です。
間違えやすいところ
- 「自ら売買」は宅建業に該当しますが、「自ら賃貸」は宅建業に該当しないという区別を混同しないようにします。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
普通借家契約の更新拒絶と品確法に基づく請負人の瑕疵担保責任
不動産 · 借地借家法 / 普通借家契約 / 正当事由 / 立退料 / 住宅品質確保法
賃貸アパートを建て替える場合における、賃借人や工事請負人との間の留意点に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。なお、本問における普通借家契約とは、借地借家法における建物賃貸借契約のうち定期借家契約以外の契約を指す。
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解答
① ○ ② ○ ③ ○
解説
普通借家契約では借主の居住権が強く保護されており、貸主側から解約や更新拒絶をするには借地借家法第28条に定める正当事由が必要です。正当事由の判断には、貸主・借主双方の建物使用の必要性のほか、立退料等の財産上の給付も補強材料として考慮されます。また、住宅の品質確保の促進等に関する法律では、新築住宅の基本構造部分について10年間の瑕疵担保責任が義務付けられています。
解き方
- 普通借家契約の更新拒絶要件として、借地借家法上の正当事由が必要であるかを確認する。
- 正当事由の判断要素として立退料の提供による補強が認められているかを検討する。
- 住宅品質確保法における新築住宅の請負人の瑕疵担保責任期間(10年)および対象部位の規定を確認する。
答えの内訳
- ①:○
- 借地借家法において、普通借家契約の更新を賃貸人(家主)から拒絶するためには、建物の老朽化や自己使用の必要性など客観的な「正当事由」が必要と規定されています。
- ②:○
- 家主側が普通借家契約の賃借人に明渡しを求める際、正当事由が単独で十分でない場合でも、立退料や移転費用の負担など財産上の給付を申し出ることで正当事由を補強することができます。
- ③:○
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)により、新築住宅の請負人は、住宅を引き渡した時から10年間、構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分について瑕疵担保責任(契約不適合責任)を負う義務があります。
覚えるポイント
- 借地借家法第28条の正当事由(建物の明渡し・更新拒絶)
- 立退料は正当事由を補強する判断材料となる
- 品確法に基づく新築住宅の基本構造部分の瑕疵担保責任期間は10年間
間違えやすいところ
- 立退料を支払えば無条件・一方的に更新拒絶できると誤認しやすいが、あくまで正当事由を補強する一要素である点に注意する。
- 定期借家契約と普通借家契約を混同し、普通借家契約でも期間満了で当然に終了すると誤解しやすい。
出題の前提:借地借家法第28条、住宅の品質確保の促進等に関する法律第94条第1項、2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地更地譲渡時の概算取得費・譲渡費用および長期譲渡所得税額の計算
不動産 · 譲渡所得 / 概算取得費 / 譲渡費用 / 長期譲渡所得の税率 / 復興特別所得税
賃借人の明渡し完了に伴い、所有する賃貸アパートを取り壊して甲土地を更地にして売却した場合における所得税、復興特別所得税および住民税の合計額について、与えられた資料に基づき、次の手順1~4に従って①~④の数値を円単位で求めなさい。 〈甲土地を更地で売却する場合の資料〉 ・譲渡価額:1億2,000万円 ・賃貸アパートおよび敷地は10年前に父から相続したもので、土地の取得価額等は不明である。 ・支払った譲渡費用:立退き料500万円、建物の取壊し費用600万円、土地の売買媒介(仲介)手数料300万円 〈計算の順序〉 1.土地の概算取得費:( ① )円 2.譲渡費用:( ② )円 3.譲渡益:( ③ )円 4.税額(所得税、復興特別所得税および住民税の合計額):( ④ )円
解答・解説を表示
解答
① 6,000,000 ② 14,000,000 ③ 100,000,000 ④ 20,315,000
解説
土地建物の譲渡所得の計算では、実際の取得費が不明な場合に譲渡価額の5%相当額を概算取得費として控除できます。借家人がいる建物を更地にして土地を譲渡するために支出した立退料や建物の取壊し費用、媒介手数料は譲渡費用として認められます。譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得となり、税率は所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計20.315%が適用されます。
解き方
- 譲渡価額1億2,000万円に5%を乗じて土地の概算取得費を計算する。
- 立退料、建物取壊し費用、売買媒介手数料を合算して譲渡費用を算出する。
- 譲渡価額から概算取得費および譲渡費用を差し引いて課税譲渡所得金額(譲渡益)を求める。
- 相続による所有期間の引き継ぎを確認し、長期譲渡所得の合計税率(20.315%)を譲渡益に乗じて税額を算出する。
答えの内訳
- ①:6,000,000
- 土地の取得費が不明な場合、譲渡価額の5%を概算取得費とすることができます。したがって、120,000,000円 × 5% = 6,000,000円となります。
- ②:14,000,000
- 土地を更地として売却するために直接要した立退き料(500万円)、建物取壊し費用(600万円)、土地売買仲介手数料(300万円)の全額が譲渡費用となります。合計は 500万円 + 600万円 + 300万円 = 14,000,000円です。
- ③:100,000,000
- 譲渡益(課税長期譲渡所得金額)は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。120,000,000円 - 6,000,000円 - 14,000,000円 = 100,000,000円となります。
- ④:20,315,000
- 被相続人の所有期間を引き継ぐため所有期間5年超の長期譲渡所得となります。税率は所得税15%、復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)、住民税5%の合計20.315%です。したがって、税額は 100,000,000円 × 20.315% = 20,315,000円となります。
覚えるポイント
- 概算取得費は譲渡価額の5%
- 土地を更地で売却するための建物取壊し費用や立退料は譲渡費用に含まれる
- 長期譲渡所得の税率は合計20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
間違えやすいところ
- 更地売却のための建物取壊し費用や立退料を譲渡費用から除外してしまうミス。
- 復興特別所得税(基準所得税額の2.1%=税率0.315%)を計算に含めず、税率を20%としてしまうミス。
出題の前提:租税特別措置法第31条、所得税法、2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続放棄の手続き・効力と相続税の申告期限
相続・事業承継 · 相続の放棄 / 代襲相続の原因 / 相続税の申告期限
Aさんの相続開始後の手続に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 ⅰ)三女Eさんは相続を放棄する予定であるが、相続の放棄をするためには、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則として( ① )以内に、家庭裁判所にその旨を申述しなければならない。この場合、三女Eさんの子である孫Gさんおよび孫Hさんは代襲相続人と( ② )。 ⅱ)相続財産の分割方法には、一般に、指定分割、協議分割、調停分割および審判分割があるが、相続税の申告義務を有する者は、遺産が分割されたか否かにかかわらず、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から( ③ )以内に相続税の申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
- イ
- 2カ月
- ロ
- 3カ月
- ハ
- 4カ月
- ニ
- 6カ月
- ホ
- 8カ月
- ヘ
- 10カ月
- ト
- 1年
- チ
- なる
- リ
- ならない
解答・解説を表示
解答
① ロ、② リ、③ ヘ
解説
相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内(熟慮期間)に単純承認・限定承認・放棄を選択します。放棄した者は最初から相続人にならなかったものとみなされるため代襲相続は生じません。また、相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内と規定されています。
解き方
- 相続の放棄の申述期限が「自己のために相続開始があったことを知った時から原則3カ月以内」であることを確認し、①にロを選択する。
- 代襲相続の原因は被相続人の子の「死亡」「相続欠格」「廃除」に限られ、相続放棄では代襲相続が生じないことを確認し、②にリを選択する。
- 相続税の申告および納付期限が「相続開始を知った日の翌日から10カ月以内」であることを確認し、③にヘを選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ(3カ月)
- 民法上、相続の放棄をしようとする者は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則として3カ月以内に、家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。
- 小問 ②:リ(ならない)
- 相続を放棄した者は初めから相続人とならなかったものとみなされ、代襲相続の原因(死亡・相続欠格・廃除)には該当しないため、その子(孫Gさん・孫Hさん)は代襲相続人になりません。
- 小問 ③:ヘ(10カ月)
- 相続税の申告義務がある者は、遺産分割が未了であっても、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に申告書を税務署長へ提出する必要があります。
覚えるポイント
- 相続放棄の熟慮期間は相続開始を知った時から原則3カ月以内。
- 代襲相続の原因は「死亡」「欠格」「廃除」のみであり、「相続放棄」では代襲相続は発生しない。
- 相続税の申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内(所得税の準確定申告は4カ月以内)。
間違えやすいところ
- 準確定申告の期限(4カ月以内)と相続税の申告期限(10カ月以内)を取り違えないように注意する。
- 相続放棄をした場合でも子が代襲できると勘違いしやすいが、相続放棄によって代襲相続権は生じない。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生前贈与加算の特例・相続放棄の撤回・配偶者の税額軽減
相続・事業承継 · 生前贈与加算 / 贈与税の配偶者控除 / 相続放棄の撤回禁止 / 配偶者に対する相続税額の軽減
Aさんの相続に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 妻Bさんが相続によりAさんの財産を取得した場合、「贈与税の配偶者控除」の適用を受けて取得した自宅の敷地および建物については、相続開始前3年以内の贈与に該当するので、その受贈財産の相続時の価額のすべてが相続税の課税価格に加算される。 ② 三女Eさんが家庭裁判所に相続の放棄を申述し受理された場合は、放棄を撤回することはできない。 ③ Aさんの相続に係る相続税の課税価格の合計額に妻Bさんの法定相続分を乗じた金額が仮に1億4,000万円を超える場合、妻Bさんが「配偶者に対する相続税額の軽減」の規定を受けることができるときであっても、納付すべき相続税額が算出される。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ×
解説
生前贈与加算では贈与税の配偶者控除の控除対象額は加算対象から除外されます。また、相続の承認・放棄は利害関係人の法的安定性を保つため原則として撤回できません。配偶者の税額軽減は「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか多い額まで非課税となる強力な特例です。
解き方
- 記述①:贈与税の配偶者控除の適用を受けた部分が生前贈与加算の対象外となる規定と照らし合わせ、誤り(×)と判定する。
- 記述②:家庭裁判所に受理された相続放棄は熟慮期間内でも撤回できない民法の規定と照らし合わせ、正しい(○)と判定する。
- 記述③:配偶者の税額軽減の限度額が「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」の大きい方であることを確認し、法定相続分相当額以下または1億6,000万円以下であれば納税額は0円となるため、誤り(×)と判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 相続開始前3年以内に被相続人から贈与された財産は原則として生前贈与加算の対象となりますが、「贈与税の配偶者控除」の適用を受けた部分(最高2,000万円)については相続税の課税価格に加算されません。
- 小問 ②:○
- 民法第919条第1項により、相続の承認および放棄は、3カ月の熟慮期間内であっても原則として撤回することができません。
- 小問 ③:×
- 配偶者に対する相続税額の軽減により、配偶者が取得した遺産の額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額までは配偶者に相続税がかかりません。法定相続分相当額以下であれば1億4,000万円を超えていても納付すべき税額は算出されません(0円となります)。
覚えるポイント
- 贈与税の配偶者控除を受けた財産は、相続開始前3年以内の贈与であっても控除相当分は相続税の課税価格に加算されない。
- 相続放棄・承認は、一度有効に成立すると熟慮期間内であっても撤回できない(詐欺や強迫による取消しは例外)。
- 配偶者の税額軽減は「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」のいずれか大きい方まで無税となる。
間違えやすいところ
- 3年以内の生前贈与加算の原則にとらわれて、配偶者控除の特例による加算除外を見落とさないようにする。
- 配偶者の税額軽減の「1億6,000万円」という固定枠だけに気を取られ、それを超えても「法定相続分相当額」までなら全額非課税になる点を見落としやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額および相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の基礎控除 / 法定相続分に応ずる取得金額 / 相続税の総額 / 相続の放棄と法定相続人の数
Aさんの相続における課税遺産総額が2億7,000万円であった場合の相続税の総額を計算した表の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、三女Eさんは相続を放棄するものとする。 〈計算表〉 ・課税価格の合計額:□□□万円 ・遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 ・課税遺産総額:2億7,000万円 ・相続税の総額の基となる税額 妻Bさん:( ② )万円 長女Cさん:( ③ )万円 …… ・相続税の総額:( ④ )万円 〈相続税の速算表(一部抜粋)〉 ・1,000万円以下:10%(控除額なし) ・1,000万円超3,000万円以下:15%(控除額50万円) ・3,000万円超5,000万円以下:20%(控除額200万円) ・5,000万円超1億円以下:30%(控除額700万円) ・1億円超2億円以下:40%(控除額1,700万円) ・2億円超3億円以下:45%(控除額2,700万円)
解答・解説を表示
解答
① 5,400 ② 3,700 ③ 700 ④ 5,800
解説
相続税の総額を算出するにあたっては、課税価格の合計額から基礎控除額を控除して課税遺産総額を求めます。相続の放棄をした者がいる場合であっても、基礎控除額の計算および法定相続分に応ずる取得金額の計算における「法定相続人の数」ならびに「各人の法定相続分」は、相続の放棄がなかったものとして扱われます。各法定相続人が法定相続分に応じて遺産を取得したものとみなして速算表から税額を計算し、それらを合算したものが「相続税の総額」となります。
解き方
- 法定相続人の数を判定する:三女Eさんが相続放棄をしても放棄がなかったものとして扱うため、妻Bさん、長女Cさん、二女Dさん、三女Eさんの計4人となる。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 4人 = 5,400万円」を求める(空欄①)。
- 課税遺産総額2億7,000万円を民法上の法定相続分(妻1/2、子各1/6)で按分し、各人の取得金額を算出する。
- 妻Bさんの取得金額1億3,500万円に速算表を適用し、「13,500万円 × 40% - 1,700万円 = 3,700万円」を求める(空欄②)。
- 長女Cさんの取得金額4,500万円に速算表を適用し、「4,500万円 × 20% - 200万円 = 700万円」を求める(空欄③)。
- 法定相続人全員の税額(妻3,700万円 + 子3人×各700万円)を合計し、相続税の総額「5,800万円」を求める(空欄④)。
小問ごとの答え
- 小問 ①:5,400
- 相続税法上の遺産に係る基礎控除額を計算する際、相続の放棄があった場合でも、その放棄がなかったものとして法定相続人の数をカウントします。本問の法定相続人は妻Bさん、長女Cさん、二女Dさん、三女Eさんの4人となります。したがって、基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 4人 = 5,400万円」となります。
- 小問 ②:3,700
- 相続税の総額の計算においても、相続放棄がなかったものとして各法定相続人の法定相続分で課税遺産総額を按分します。妻Bさんの法定相続分は2分の1であるため、法定相続分に応ずる取得金額は「2億7,000万円 × 1/2 = 1億3,500万円」です。速算表より税率40%、控除額1,700万円を適用して、「1億3,500万円 × 40% - 1,700万円 = 3,700万円」となります。
- 小問 ③:700
- 子の法定相続分は合計で2分の1であり、3人で均等に分けるため1人当たり6分の1となります(放棄がなかったものとして計算)。長女Cさんの法定相続分に応ずる取得金額は「2億7,000万円 × 1/6 = 4,500万円」です。速算表より税率20%、控除額200万円を適用して、「4,500万円 × 20% - 200万円 = 700万円」となります。
- 小問 ④:5,800
- 各法定相続人の法定相続分に応じた税額を合算して相続税の総額を求めます。二女Dさんおよび三女Eさんの取得金額・税額も長女Cさんと同様に各700万円となります。したがって、相続税の総額は「妻Bさん3,700万円 + 長女Cさん700万円 + 二女Dさん700万円 + 三女Eさん700万円 = 5,800万円」となります。
覚えるポイント
- 基礎控除および相続税の総額計算における法定相続人の数は、相続放棄がなかったものとしてカウントする。
間違えやすいところ
- 相続放棄者がいる場合に、法定相続人の数から除外して基礎控除を3人(4,800万円)としてしまったり、法定相続分を妻1/2・子2人で各1/4として計算したりする誤りに注意する。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(平成27年1月1日施行の相続税法改正に基づく基礎控除額「3,000万円+600万円×法定相続人の数」および速算表)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2016年9月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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