日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の概要
老齢基礎年金の支給額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 公的年金 / 老齢基礎年金 / 保険料免除期間の反映割合
個人事業主のAさん(昭和46年7月10日生まれ・45歳)の公的年金加入歴(見込み期間を含む)は、20歳から60歳までの480月のうち、保険料納付済期間が372月(180月+見込み192月)、未納期間が36月、保険料全額免除期間(平成21年7月~平成24年7月)が36月、保険料半額免除期間(平成24年7月~平成27年7月)が36月である。Aさんが原則として65歳から受給できる老齢基礎年金の平成28年度価額に基づく年金額を試算する下記の〈計算式〉の空欄①~③に入る適切な数値を求めなさい(円未満四捨五入)。 〈計算式〉 老齢基礎年金の年金額=780,100円 × [372月 + 36月×( ① ) + 36月×(3/4)] / ( ② )月 = ( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 1/2(または0.5) ② 480 ③ 677,712
解説
老齢基礎年金の受給額は、満額の年金額に保険料納付済月数や免除期間ごとの一定の反映月数を合算した月数を乗じ、480月で除して算出します。平成21年4月以降の免除期間の評価割合は、国庫負担割合が2分の1へ引き上げられたため、全額免除が2分の1(4/8)、4分の3免除が8分の5、半額免除が4分の3(6/8)、4分の1免除が8分の7となります。
解き方
- 平成21年4月以降の全額免除期間の反映割合が「1/2(または0.5)」であることを確認して空欄①を特定する。
- 老齢基礎年金の計算式の分母である被保険者期間の上限月数「480」月を空欄②に当てはめる。
- 合算月数「372 + 36×(1/2) + 36×(3/4) = 417月」を求め、満額780,100円に乗じて480で除し、円未満を四捨五入して空欄③を計算する。
答えの内訳
- ①:1/2(または0.5)
- 平成21年4月以降の保険料全額免除期間については、国庫負担割合が2分の1であるため、老齢基礎年金の額の計算において1月を「1/2」月(または「4/8」月)として算入します。
- ②:480
- 老齢基礎年金の満額受給に必要な加入可能月数は、20歳から60歳に達するまでの40年間であり、月数に換算すると「480」月(40年×12月)となります。
- ③:677,712
- 給付算定対象月数は、納付済372月 + 全額免除36月×(1/2) + 半額免除36月×(3/4) = 372 + 18 + 27 = 417月となります。年金額は 780,100円 × (417月 / 480月) = 677,711.875円となり、円未満を四捨五入して「677,712」円です。
覚えるポイント
- 平成21年3月以前の全額免除期間は1/3、平成21年4月以降は1/2として計算する。
- 半額免除期間は残りの半額を納付していることが条件で、平成21年4月以降は3/4(6/8)として評価される。
間違えやすいところ
- 平成21年4月以降の全額免除期間に旧制度の国庫負担割合である3分の1を乗じてしまう誤り。
- 円未満の四捨五入処理を忘れ、端数のまま解答してしまう計算ミス。
出題の前提:2016年4月1日現在施行法令(平成28年度老齢基礎年金満額:780,100円)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国民年金保険料の追納・付加年金・国民年金基金
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金の追納 / 付加年金 / 国民年金基金
国民年金の年金額を増やす方法に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を〈語句群〉から選びなさい。 Ⅰ 「保険料免除の承認を受けた期間の保険料を追納することにより、将来受け取る老齢基礎年金の年金額を増やすことができます。追納ができるのは、追納が承認された月の前( ① )以内の免除期間の保険料です。また、Aさんの場合、60歳から65歳になるまでの間に国民年金に任意加入して保険料を納付し、65歳から受け取る老齢基礎年金の年金額を増やすことも可能です」 Ⅱ 「Aさんは国民年金の第1号被保険者ですので、国民年金の定額保険料に加えて付加保険料を納付する方法や国民年金基金に加入する方法があります。 付加保険料を納付すると、65歳から老齢基礎年金を受給する場合、老齢基礎年金に加えて付加年金として『( ② )×付加保険料納付済期間の月数』の算式により算出される額を受け取ることができます。付加保険料は、月額( ③ )です。 国民年金基金は、老齢基礎年金に上乗せした年金を受け取るための公的な年金制度です。国民年金基金の掛金の額は、加入者が選択した給付の型や加入口数、加入時の年齢、男女の別で決まり、掛金の拠出限度額は月額( ④ )です。ただし、国民年金基金に加入した場合は、国民年金の付加保険料を納付することができなくなります」 〈語句群〉 イ.5年 ロ.10年 ハ.15年 ニ.200円 ホ.400円 ヘ.600円 ト.800円 チ.5万1,000円 リ.6万8,000円 ヌ.7万円
- イ
- 5年
- ロ
- 10年
- ハ
- 15年
- ニ
- 200円
- ホ
- 400円
- ヘ
- 600円
- ト
- 800円
- チ
- 5万1,000円
- リ
- 6万8,000円
- ヌ
- 7万円
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ニ ③ ホ ④ リ
解説
国民年金第1号被保険者は、老齢基礎年金のみでは受給額が不足しがちであるため、過去の免除期間の保険料を追納する制度のほか、独自の上乗せ制度として付加保険料の納付や国民年金基金への加入が認められています。ただし、付加年金と国民年金基金は併用できず、国民年金基金加入者は付加保険料の納付はできません。
解き方
- 保険料免除期間の追納可能期間は過去「10年」以内であることを確認し、①に「ロ」を選ぶ。
- 付加年金の受給年額の計算式が「200円 × 納付月数」、付加保険料の月額が「400円」であることを確認し、②に「ニ」、③に「ホ」を選ぶ。
- 国民年金基金の掛金限度額が月額「6万8,000円」であることを確認し、④に「リ」を選ぶ。
- 選択肢 イ不正解
- 追納可能期間は10年以内であるため、5年は誤りです。
- 選択肢 ロ正解
- 免除を受けた国民年金保険料を追納できる期間は、追納承認月の前「10年」以内です(空欄①)。
- 選択肢 ハ不正解
- 追納可能期間は10年以内であるため、15年は誤りです。
- 選択肢 ニ正解
- 付加年金の年金額は「200円」×付加保険料納付済月数で計算されます(空欄②)。
- 選択肢 ホ正解
- 付加保険料の月額は「400円」です(空欄③)。
- 選択肢 ヘ不正解
- 付加年金の算定乗数や付加保険料額として600円という規定はありません。
- 選択肢 ト不正解
- 付加年金の算定乗数や付加保険料額として800円という規定はありません。
- 選択肢 チ不正解
- 5万1,000円は国民年金基金の掛金限度額ではありません。
- 選択肢 リ正解
- 国民年金基金の拠出限度額は月額「6万8,000円」です(空欄④)。
- 選択肢 ヌ不正解
- 小規模企業共済等の掛金限度額は7万円ですが、国民年金基金は6万8,000円です。
答えの内訳
- ①:ロ
- 免除や猶予の承認を受けた国民年金保険料は、追納が承認された月の前10年以内の期間について追納することが認められています。
- ②:ニ
- 付加年金の年額は「200円 × 付加保険料納付済期間の月数」により算出され、2年間の受給で納付した保険料と同額が回収できる有利な仕組みです。
- ③:ホ
- 国民年金第1号被保険者が任意で納付できる付加保険料の月額は「400円」と定められています。
- ④:リ
- 国民年金基金の掛金拠出限度額は月額「6万8,000円」であり、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している場合は合算して限度額が判定されます。
覚えるポイント
- 保険料追納は過去10年以内(3年目以降は加算額あり)。
- 付加年金は「納付月額400円、受給年額200円×月数」で2年で元が取れる。
- 国民年金基金と付加年金は重複して加入・納付できない。
間違えやすいところ
- 付加年金の掛金(月額400円)と受給年額の計算要素(200円)の数値を逆に取り違える誤り。
- 小規模企業共済の掛金月額上限(7万円)と国民年金基金の掛金限度額(6万8,000円)を混同する誤り。
出題の前提:2016年4月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国民年金の遺族給付(遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金)
年金・保険 · 遺族基礎年金 / 寡婦年金 / 死亡一時金
個人事業主であるAさん(45歳)が現時点で死亡した場合において、生計を一にする妻Bさん(45歳)および長男Cさん(10歳)に支給される国民年金の遺族給付に関する記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。
- ○
- 適切な記述である。
- ×
- 不適切な記述である。
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解答
① ○、② ×、③ ×
解説
国民年金の遺族給付には遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金があります。遺族基礎年金は受給要件を満たした被保険者が死亡した際、生計を維持されていた子のいる配偶者または子に支給されます。寡婦年金は第1号被保険者として保険料納付済期間・免除期間が通算25年以上ある夫が死亡した際に10年以上継続して婚姻関係にあった妻に60歳から65歳になるまで支給されます。死亡一時金は第1号被保険者として保険料を36月以上納めた者が年金を受けずに死亡した際に支給されますが、遺族基礎年金を受け取れる場合は支給されません。
解き方
- 死亡した被保険者の保険料納付実績および遺族の要件(配偶者・子の有無や年齢)を確認し、遺族基礎年金の受給可否と支給金額を判定する。
- 寡婦年金の必要加入期間(第1号被保険者期間通算25年以上)および遺族給付間の併給調整(遺族基礎年金と死亡一時金の関係等)を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- Aさんは保険料納付済期間と免除期間の合計が加入期間の3分の2以上あり納付要件を満たしています。死亡当時に生計を維持されていた「子のいる妻」である妻Bさんには遺族基礎年金が支給され、その額は基本額78万100円に第1子の加算額22万4,500円を加算した100万4,600円(平成28年度価額)となります。
- 小問 ②:×
- 寡婦年金の支給要件として、夫の第1号被保険者としての保険料納付済期間および免除期間の合算期間は25年以上必要とされています。「20年以上」とする記述は不適切です(なおAさんの該当期間は約22年であり25年を満たしていません)。
- 小問 ③:×
- 死亡一時金は、遺族が遺族基礎年金の支給を受けられるときは支給されません。本問では妻Bさんに遺族基礎年金の受給権が発生するため死亡一時金は支給されず、不適切です。
覚えるポイント
- 寡婦年金の受給には死亡した夫の第1号被保険者期間(納付済+免除)が25年以上必要。
- 遺族基礎年金と死亡一時金は併給されず、遺族基礎年金を受給できるときは死亡一時金は支給されない。
間違えやすいところ
- 寡婦年金と死亡一時金の両方の要件を満たす場合は選択受給となるが、遺族基礎年金を受給できる場合はそもそも死亡一時金が支給されない点を見落としやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(平成28年度年金額価額)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)の仕組み
金融資産運用 · ジュニアNISA / 非課税限度額 / 払出し制限
ジュニアNISA(未成年者口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置)の仕組みに関する説明文の空欄①~③に入る語句として最も適切なものを、語句群の中から選びなさい。
- イ
- 60万円
- ロ
- 80万円
- ハ
- 100万円
- ニ
- 120万円
- ホ
- 3年間
- ヘ
- 5年間
- ト
- 7年間
- チ
- 15歳
- リ
- 18歳
- ヌ
- 20歳
解答・解説を表示
解答
① ロ(80万円)、② ヘ(5年間)、③ リ(18歳)
解説
ジュニアNISA(未成年者少額投資非課税制度)は、2016年(平成28年)に創設された0歳~19歳の未成年者を対象とする非課税制度です。年間投資上限額は80万円、非課税期間は最長5年間とされ、進学等の資金確保という趣旨から、口座開設者が18歳に達する年の前年末(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日)まで払出し制限が課されます。
解き方
- ジュニアNISAの年間非課税投資限度額(年間80万円)を特定し、空欄①を選択する。
- 非課税となる最長保有期間(5年間)を確認し、空欄②を選択する。
- 制度趣旨に基づく払出し制限の年齢基準(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日)を確認し、空欄③を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- ジュニアNISA口座に受け入れることができる新規投資の非課税投資枠(限度額)は、年間80万円です。
- 小問 ②:ヘ
- ジュニアNISA口座に受け入れた上場株式等の配当金や譲渡益が非課税となる期間は、最長で5年間です。
- 小問 ③:リ
- ジュニアNISAでは長期的な資産形成を目的として、口座開設者が3月31日時点で18歳である年の前年12月31日(高校3年生の年末)まで原則として口座外への払出し制限が設けられています。
覚えるポイント
- ジュニアNISAの非課税投資枠は年間80万円、非課税期間は最長5年間。
- 払出し制限は「3月31日時点で18歳である年の前年12月31日まで」。
間違えやすいところ
- 一般NISA(120万円)とジュニアNISA(80万円)の年間投資枠を混同しやすい。
- 払出し制限の年齢を成人年齢(20歳)や義務教育終了(15歳)と勘違いしやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の投資指標(PER・ROE・配当性向・サスティナブル成長率)の計算
金融資産運用 · PER / ROE / 配当性向 / サスティナブル成長率
X社の概要(年間当期純利益120億円、年間1株当たり配当金10円、発行済株式数3億株、株価400円)に基づき、文章中の空欄①〜④に入る数値を求めなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第1位を四捨五入すること。 「株価の割高割安を判断する目安となる代表的な指標として、PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)があります。〈X社の概要〉に基づき、X社株式のPERを算出すると、( ① )倍となります。 次に、企業の収益性や成長性を測る代表的な指標として、ROE(自己資本利益率)があります。ROEは、PERやPBRを用いても算出することができ、X社株式のPBRを2倍、自己資本と純資産が同額であるとすると、X社のROEは( ② )%となります。 さらに、配当金額から株主への利益還元度合いを測る指標として、配当性向があります。〈X社の概要〉に基づき、X社の配当性向を算出すると、( ③ )%となります。また、企業の内部留保と利益率から今後の成長率を予測する際に用いる指標であるサスティナブル成長率は、ROEと配当性向を用いて算出することができ、X社のサスティナブル成長率を( ② )%と( ③ )%を用いて算出すると、( ④ )%となります。」
解答・解説を表示
解答
① 10 ② 20 ③ 25 ④ 15
解説
投資指標の相互関係として、PBR(株価÷BPS)をPER(株価÷EPS)で除すとEPS÷BPSとなりROE(自己資本利益率)が導かれます。また、サスティナブル成長率は外部調達に頼らず内部留保と利益率のみで達成可能な成長率を示し、ROEに内部留保率(1-配当性向)を乗じて算出します。
解き方
- まず、当期純利益と発行済株式数から1株当たり当期純利益(EPS)を算出し、株価をEPSで割ってPERを求めます。
- PBRとPERから「ROE=PBR÷PER」を用いてROEを算出します。
- 1株当たり配当金をEPSで除して配当性向を算出します。
- ROEに内部留保率(1-配当性向)を乗じてサスティナブル成長率を算出します。
答えの内訳
- ①:10
- 1株当たり当期純利益(EPS)は「当期純利益120億円÷発行済株式数3億株=40円」です。PER(株価収益率)は「株価400円÷EPS40円=10倍」となります。
- ②:20
- ROE(自己資本利益率)は「PBR÷PER」の関係式により求めることができます。したがって「2倍÷10倍=0.2」となり、20%となります。
- ③:25
- 配当性向は「1株当たり配当金÷1株当たり当期純利益(EPS)×100」で求められます。「10円÷40円×100=25%」となります。
- ④:15
- サスティナブル成長率は「ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)」で求められます。「20%×(1-0.25)=20%×0.75=15%」となります。
覚えるポイント
- ROE=PBR÷PER=(株価/BPS)÷(株価/EPS)=EPS/BPS
- サスティナブル成長率=ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)
間違えやすいところ
- 配当利回り(配当金÷株価)と配当性向(配当金÷EPS)の分母を取り違えないこと。
- サスティナブル成長率の計算でROEに配当性向そのものを掛けてしまわないように注意すること。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨建てMMFの口座管理料・ペナルティ・課税関係
金融資産運用 · 外貨建てMMF / 信託財産留保額 / 外国証券取引口座 / 公社債投資信託の税制改正
外貨建てMMFに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 外貨建てMMFは外国証券に該当しますので、その購入の際には、一般に、外国証券取引口座を開設し、外国証券口座管理料を支払う必要があります。 ② 外貨建てMMFを購入してから30日未満で換金した場合、換金代金から信託財産留保額が徴収されます。 ③ 外貨建てMMFから受け取る分配金は、20.315%の税率による源泉分離課税の対象となりますが、換金した場合の譲渡益については、為替差益部分も含めて非課税とされています。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
外貨建てMMFは外国籍の公募公社債投資信託であり、外貨普通預金に近い流動性と高い安全性を備えています。解約制限や信託財産留保額はなく、2016年1月からは金融所得一体課税の導入により、特定公社債等の税制区分として譲渡益(為替差益含む)も申告分離課税の対象となり、上場株式等との損益通算が認められています。
解き方
- 記述①:外貨建てMMF取引に必要な外国証券取引口座の口座管理料の実務上の取扱い(一般に無料)を確認し正誤を判定します。
- 記述②:国内MMF(30日未満の信託財産留保額あり)と外貨建てMMF(ペナルティなし)の換金条件の違いを対比して正誤を判定します。
- 記述③:2016年1月からの税制改正による外貨建てMMFの換金時譲渡益(為替差益を含む)の課税区分(申告分離課税)を確認し正誤を判定します。
答えの内訳
- ①:×
- 外貨建てMMFの購入にあたっては外国証券取引口座を開設する必要がありますが、一般に口座管理料は無料であり、支払う必要はありません。
- ②:×
- 国内の円建てMMFでは取得後30日未満の解約に信託財産留保額が課されますが、外貨建てMMFには信託財産留保額のペナルティがなく、いつでもペナルティなしで換金可能です。
- ③:×
- 平成28年1月1日以後の税制改正により、外貨建てMMFの換金時の譲渡益(為替差益を含む)は申告分離課税(20.315%)の対象となり、非課税ではありません。
覚えるポイント
- 外貨建てMMFは購入後30日未満の解約でも信託財産留保額が徴収されない。
- 2016年1月1日以降、外貨建てMMFの換金差益(為替差益を含む)は申告分離課税(20.315%)となり非課税制度は廃止された。
間違えやすいところ
- 円建てMMFの30日未満解約の信託財産留保額の規定と外貨建てMMFの規定を混同しないこと。
- 2015年以前の税制(外貨建てMMFの換金・為替差益が非課税であった制度)の知識を2016年以後の試験に適用しないこと。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務諸表分析(所要運転資金・安全性分析)
中小事業主資産相談業務 · 所要運転資金 / 流動比率 / 当座比率 / 固定比率 / 固定長期適合率
X株式会社の平成28年3月期の貸借対照表および損益計算書に基づき、X社の各種経営指標等に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① X社の所要運転資金は23,500千円であり、X社の売上高が4%増加すると所要運転資金は940千円増加する。 ② X社の流動比率は約129.07%、当座比率は約120.04%であり、いずれも100%を上回っているため、短期の支払能力に対する懸念は少ないと判断することができる。 ③ X社の固定比率は約53.78%、固定長期適合率は約83.79%であり、いずれも100%を下回っているため、長期の支払能力に対する懸念は少ないと判断することができる。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
企業の財務安全性分析では、流動比率や当座比率による短期の支払能力、固定比率や固定長期適合率による中長期の資金調達バランスを評価します。また、所要運転資金の算出において割引手形が存在する場合は、実質的な手形売却(借入れ)とみなして売上債権額に足し戻して計算する必要があります。
解き方
- 割引手形22,800千円を売上債権57,200千円に加算し、所要運転資金(売上債権+棚卸資産-買入債務)を計算して正誤を判定します。
- 流動資産・当座資産と流動負債から流動比率と当座比率を計算し、設例の数値と比較します。
- 固定資産・純資産・固定負債から固定比率および固定長期適合率を算定し、100%との高低および数値の正誤を判定します。
答えの内訳
- ①:×
- 所要運転資金は「売上債権+棚卸資産-買入債務」で算出しますが、割引手形がある場合は実質的な借入れであるため売上債権に加算します。したがって売上債権は57,200千円+22,800千円=80,000千円となり、所要運転資金は80,000千円+39,800千円-73,500千円=46,300千円となります。記述の23,500千円は割引手形を加算しておらず誤りです。
- ②:×
- 流動比率は「流動資産÷流動負債×100」=130,100÷100,800×100≒129.07%で100%を上回っていますが、当座比率は「当座資産(現預金+売上債権)÷流動負債×100」=(24,000+57,200)÷100,800×100≒80.56%であり、100%を下回っています。記述の120.04%は誤りです。
- ③:×
- 固定長期適合率は「固定資産÷(純資産+固定負債)×100」=151,400÷(100,700+80,000)×100≒83.79%で100%を下回っていますが、固定比率は「固定資産÷純資産×100」=151,400÷100,700×100≒150.35%で100%を大きく上回っています。記述の53.78%は総資産に対する固定資産構成比率(151,400÷281,500≒53.78%)であり誤りです。
覚えるポイント
- 所要運転資金=(売上債権+受取手形割引高)+棚卸資産-買入債務
- 当座比率は当座資産(現預金+売上債権等)÷流動負債×100
- 固定比率は固定資産÷純資産×100、固定長期適合率は固定資産÷(純資産+固定負債)×100
間違えやすいところ
- 所要運転資金の計算で、注記に記載された割引手形を加算し忘れる誤り。
- 固定比率の計算において、分母を純資産ではなく総資産(固定資産構成比率)と取り違える誤り。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等および中小企業財務分析の標準的定義に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
インタレスト・カバレッジ・レシオの計算と分析
中小事業主資産相談業務 · インタレスト・カバレッジ・レシオ / 財務分析 / 金利負担能力
インタレスト・カバレッジ・レシオに関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。なお、空欄③の算定にあたっては、表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 「インタレスト・カバレッジ・レシオは、( ① )に金融収益を加えた金額を金融費用で除して求めることができる。この指標は、企業の金利負担能力を分析するうえで重要な指標であり、一般に、この値が( ② )ほど、企業の金利負担能力が高いことを示している。 X社のインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業外収益をすべて金融収益、営業外費用をすべて金融費用とした場合、( ③ )倍となる」
- イ
- 当期純利益
- ロ
- 経常利益
- ハ
- 営業利益
- ニ
- 売上総利益
- ホ
- 低い
- ヘ
- 高い
- ト
- 3.92
- チ
- 5.61
- リ
- 6.50
- ヌ
- 40.94
解答・解説を表示
解答
① ハ ② ヘ ③ リ
解説
インタレスト・カバレッジ・レシオは、企業が事業活動によって生み出した利益(営業利益+金融収益)で、支払利息等の金融費用をどれだけまかなえるかを示す財務指標です。一般に倍率が高いほど金利負担の余裕が大きく、財務的な安全性が高いと評価されます。
解き方
- インタレスト・カバレッジ・レシオの算式「(営業利益+金融収益)÷金融費用」およびその指標の意味(倍率が高いほど安全)を確認します。
- 損益計算書から営業利益23,000千円、営業外収益(金融収益)400千円、営業外費用(金融費用)3,600千円を抽出し、算式に代入して倍率を計算します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子は、本業の収益力を示す「営業利益」に、受取利息等の「金融収益」を加算した金額(事業利益)を用います。
- 小問 ②:ヘ
- インタレスト・カバレッジ・レシオは借入金等の金利費用に対して事業利益が何倍あるかを示すため、数値が「高い」ほど金利負担能力が高いと判断されます。
- 小問 ③:リ
- 分子は営業利益23,000千円+金融収益400千円=23,400千円、分母は金融費用3,600千円となり、23,400÷3,600=6.50倍と算出されます。
覚えるポイント
- インタレスト・カバレッジ・レシオ=(営業利益+金融収益)÷金融費用
- 倍率が高いほど企業の金利負担能力・信用度が高いと評価される
間違えやすいところ
- 分子の利益に経常利益や税引前当期純利益を用いてしまう誤り。
- 分子に加算する営業外収益(受取利息・配当金等)を合算し忘れる誤り。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等および財務諸表分析の基準に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
平成28年度税制改正における法人課税
タックスプランニング · 法人税率 / 減価償却制度 / 雇用促進税制 / 企業版ふるさと納税
平成28年度税制改正における法人課税に係る改正事項に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 期末資本金の額が1億円を超える普通法人の場合、平成28年4月1日から平成29年3月31日までの事業年度の所得金額に対する法人税の税率は、23.4%である。 ② 平成28年4月1日以後に取得をする建物附属設備および機械装置(鉱業用減価償却資産を除く)の減価償却方法について、定率法が廃止され、定額法に統一された。 ③ 雇用促進税制(特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)について、一定の調整措置を講じたうえ、所得拡大促進税制(雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)と重複して適用を受けることができる。 ④ 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)が創設され、一定の地方公共団体に寄附を行った法人は、当該寄附金が損金不算入となる代わりに、法人税、法人住民税および法人事業税の合計で寄附額の3割に相当する額の税額控除を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○ ④ ×
解説
平成28年度税制改正では、企業の稼ぐ力を高めるため法人実効税率の引き下げが進められる一方、課税ベース拡大策として建物附属設備や構築物の減価償却方法の見直しが行われました。あわせて地方創生や賃上げ・雇用促進を支援する優遇税制が拡充・整理されています。
解き方
- 普通法人の法人税率の引き下げスケジュールと適用年度の税率を確認する。
- 減価償却の定額法一本化の対象となった資産区分(建物附属設備・構築物)を機械装置等と区別する。
- 雇用促進税制と所得拡大促進税制の重複適用の可否および地方創生応援税制(損金算入+税額控除)の構造を照合する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 資本金1億円超の普通法人の法人税率は、平成28年度税制改正により引き下げられ、平成28年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度は23.4%とされたため適切です。
- 小問 ②:×
- 平成28年4月1日以後に取得する資産で定率法が廃止され定額法に一本化されたのは「建物附属設備」および「構築物」であり、機械装置は含まれないため不適切です。
- 小問 ③:○
- 平成28年度税制改正により、所定の調整措置を講じることで雇用促進税制と所得拡大促進税制の重複適用が可能となったため適切です。
- 小問 ④:×
- 企業版ふるさと納税は、寄附金額が損金算入されることに加え、法人住民税・法人税・法人事業税の税額控除(3割)が上乗せされる仕組みであり、損金不算入とされるわけではないため不適切です。
覚えるポイント
- 平成28年4月1日以後に取得した「建物附属設備」および「構築物」の減価償却は定額法のみ(機械装置は定率法も選択可)。
- 企業版ふるさと納税は「全額損金算入」+「税額控除」の組み合わせにより税負担が軽減される。
間違えやすいところ
- 建物附属設備とともに定額法一本化となった対象を「機械装置」と誤認しやすいが、正しくは「構築物」である点に注意する。
- 企業版ふるさと納税を通常の寄附金控除のように損金算入に制限がかかると誤解しないようにする。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(平成28年度税制改正)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法(用途制限・建ぺい率・高さ制限・防火規制)
不動産 · 用途地域にまたがる敷地 / 建ぺい率の緩和 / 建築物の高さ制限 / 防火地域内外にわたる建築物
甲土地(面積300㎡、近隣商業地域・指定建ぺい率80%・防火地域)および乙土地(面積200㎡、第一種住居地域・指定建ぺい率60%・準防火地域)に関する建築基準法の規定についての次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 甲土地と乙土地を一体とした土地上に建築物を建築する場合、建築物の用途制限については、甲土地と乙土地の一体の土地の全部について、近隣商業地域の建築物の用途に関する規定が適用される。 ② 甲土地上のみに耐火建築物を建築する場合、建ぺい率の制限はなく、建築可能な建築面積の上限は300㎡となる。 ③ 乙土地上のみに建築物を建築する場合、建築物の高さは、10mまたは12mのうち、当該地域に関する都市計画において定められた建築物の高さの限度を超えてはならない。 ④ 甲土地と乙土地を一体とした土地上に建築物を建築する場合、防火地域または準防火地域に属する建築物の各部分について、それぞれの地域の防火規制が適用される。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ × ④ ×
解説
建築基準法では、敷地や建築物が複数の異なる規制区域にまたがる場合の適用関係がルール化されています。用途制限は敷地の過半が属する地域の規定が全体に適用され、防火規制はより厳しい地域の規定が建築物全体に適用されます。また、指定建ぺい率80%地域かつ防火地域内の耐火建築物は建ぺい率制限が撤廃(100%)されます。
解き方
- 敷地面積の過半(甲土地300㎡/合計500㎡)を判定し、用途地域の適用ルール(過半主義)を適用する。
- 甲土地の指定建ぺい率(80%)と防火地域・耐火建築物の要件を確認し、建ぺい率制限の適用除外(100%)を判定する。
- 乙土地の用途地域(第一種住居地域)に低層住居専用地域等の絶対的高さ制限(10m/12m)が及ぶかを検討する。
- 建築物が防火地域と準防火地域にわたる場合の統一ルール(厳しい防火地域の規定が全部に及ぶ)を照合する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 建築物の敷地が異なる用途地域にまたがる場合、敷地の過半(300㎡/500㎡=60%)が属する近隣商業地域の用途制限が敷地全体に適用されるため適切です。
- 小問 ②:○
- 指定建ぺい率80%の地域内で、かつ防火地域内にある耐火建築物には建ぺい率制限が適用されず100%となるため、建築面積の上限は敷地面積全額の300㎡となり適切です。
- 小問 ③:×
- 建築物の絶対的高さ制限(10mまたは12m)が適用されるのは低層住居専用地域等であり、第一種住居地域である乙土地には適用されないため不適切です。
- 小問 ④:×
- 建築物が防火地域と準防火地域にまたがる場合、建築物の全部について、規制の厳しい「防火地域」の規定が適用されるため不適切です。
覚えるポイント
- 敷地が用途地域にまたがる場合:敷地の「過半」が属する地域の用途制限を敷地全体に適用。
- 建築物が防火地域と準防火地域にまたがる場合:建築物の「全部」について厳しい「防火地域」の規定を適用。
- 「指定建ぺい率80%+防火地域内の耐火建築物」は建ぺい率100%(制限なし)。
- 絶対的高さ制限(10m・12m)は低層住居専用地域・田園住居地域のみに適用される。
間違えやすいところ
- 防火規制のまたがりを「それぞれの地域の規制が各部分に適用される」と過半主義や按分と混同しやすい。
- 第一種住居地域と第一種低層住居専用地域を混同して高さ制限(10m/12m)があると誤認しやすい。
出題の前提:建築基準法第53条、第56条の2、第67条、第91条
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
複数用途地域および前面道路が2つある敷地の延べ面積(容積率)の計算
不動産 · 容積率制限 / 複数道路に接する敷地 / 延べ面積の限度 / 用途地域
甲土地(面積300㎡、近隣商業地域、指定容積率400%、法定乗数6/10、幅員6m県道および幅員4m市道に接面)と乙土地(面積200㎡、第一種住居地域、指定容積率200%、法定乗数4/10、幅員4m市道に接面)を一体とした土地上に耐火建築物を建築する場合、容積率の上限となる延べ面積を求める計算式の空欄①~③に入る数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 1,080 ② 240 ③ 1,480
解説
建築物の敷地が2以上の道路に接する場合、前面道路の幅員は最も広い道路の幅員が敷地全体に適用されます。また、敷地が異なる用途地域にわたる場合、容積率の限度は各地域ごとの容積率限度にそれぞれの敷地面積を乗じた延べ面積を合計して求めます。
解き方
- 一体利用する敷地の前面道路幅員として、2つの道路のうち広い方の幅員(6m)を決定します。
- 近隣商業地域部分(甲土地)について、幅員制限6m×6/10=360%と指定容積率400%を比較し、小さい360%から延べ面積限度(300㎡×360%=1,080㎡)を算出します。
- 第一種住居地域部分(乙土地)について、幅員制限6m×4/10=240%と指定容積率200%を比較し、小さい200%から延べ面積限度(200㎡×200%=400㎡)を算出します。
- 両地域の延べ面積限度を合算し、敷地全体の延べ面積限度(1,080㎡+400㎡=1,480㎡)を求めます。
答えの内訳
- ①:1,080
- 甲土地(近隣商業地域)の前面道路は広い方の6m県道が基準となります。前面道路幅員制限は6m×6/10=360%となり、指定容積率400%より小さいため適用容積率は360%です。延べ面積の限度は300㎡×360%=1,080㎡となります。
- ②:240
- 敷地が一体として利用される場合、乙土地部分(第一種住居地域)にも広い方の幅員6mが前面道路として適用されます。第一種住居地域の法定乗数は4/10であるため、前面道路幅員による容積率制限は6m×4/10=240%となります。
- ③:1,480
- 乙土地の適用容積率は、指定容積率200%と前面道路制限240%の小さい方である200%となり、延べ面積限度は200㎡×200%=400㎡です。敷地全体の延べ面積限度は甲土地部分1,080㎡+乙土地部分400㎡=1,480㎡となります。
覚えるポイント
- 2以上の前面道路があるときは、敷地全体に最大幅員の道路が前面道路として適用されます。
- 住居系地域の法定乗数は原則4/10、その他の地域は原則6/10です。
間違えやすいところ
- 乙土地が幅員4mの市道にしか直接面していないからといって、乙土地部分の前面道路幅員を4mとして計算してしまうミスが多いです(一体利用の場合は広い方の幅員が適用されます)。
- 指定容積率と前面道路制限容積率を比較せず、指定容積率をそのまま掛けてしまう誤りに注意が必要です。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の建築基準法第52条第2項(前面道路幅員制限)、同条第7項(敷地が2以上の地域にわたる場合の延べ面積)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人の収用等の場合の課税の特例(圧縮記帳と特別控除)
不動産 · 収用等に伴う課税の特例 / 圧縮記帳 / 5,000万円特別控除
法人の所有する資産が収用等された場合の課税の特例に関する文章中の空欄①~③に入る語句として最も適切な組み合わせを選択肢の中から選びなさい。
解答・解説を表示
解答
ロ
解説
法人所有の資産が公共事業等のために収用された場合、税負担を軽減するために「代替資産を取得した場合の圧縮記帳の特例」または「収用換地等の場合の5,000万円特別控除の特例」のいずれかの適用を選択することができます。
解き方
- 収用等の圧縮記帳における代替資産の取得期限要件を確認し、「2年以内」であることを特定します。
- 圧縮記帳を受けない場合の特別控除について、最初の申出から「6カ月以内」に譲渡する必要があることを確認します。
- 特別控除により損金算入できる上限額が「5,000万円」であることを特定し、適切な語句の組み合わせを選択します。
- 選択肢 イ不正解
- 圧縮記帳の取得期限は3カ月ではなく2年以内、特別控除の限度額は3,000万円ではなく5,000万円であるため誤りです。
- 選択肢 ロ正解
- 代替資産の取得期限は原則2年以内、特別控除の譲渡期限は最初の買取り申出から6カ月以内、特別控除額は5,000万円であり、すべて適切です。
- 選択肢 ハ不正解
- 圧縮記帳における代替資産の取得期限は原則2年以内、特別控除の申出からの譲渡期限は6カ月以内であるため誤りです。
- 選択肢 ニ不正解
- 特別控除の申出からの譲渡期限は3カ月ではなく6カ月以内、特別控除の限度額は2,000万円ではなく5,000万円であるため誤りです。
答えの内訳
- ①:ニ(2年)
- 収用等により交付を受けた補償金で代替資産を取得して圧縮記帳の適用を受ける場合、代替資産の取得は原則として収用等のあった日から2年以内に行う必要があります。
- ②:ロ(6カ月)
- 収用等の特別控除(5,000万円特別控除)の特例の適用を受けるためには、公共事業の施行者から買取り等の最初の申出があった日から6カ月以内に譲渡を行う必要があります。
- ③:リ(5,000万円)
- 収用等の特別控除の特例により損金の額に算入できる限度額は、譲渡益の金額と5,000万円とのいずれか低い金額とされています。
覚えるポイント
- 収用等の代替資産取得による圧縮記帳の取得期限は原則2年以内です。
- 収用等の特別控除は最初の買取り申出から6カ月以内の譲渡が要件で、上限は5,000万円です。
間違えやすいところ
- 居住用財産の3,000万円特別控除と収用等の5,000万円特別控除の控除上限額を混同しないように注意が必要です。
- 圧縮記帳の特例と5,000万円特別控除の特例は選択適用であり、重複して適用することはできません。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の租税特別措置法第64条(収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例)、第65条の2(収用換地等の場合の所得の特別控除)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の類似業種比準価額および併用方式による相続税評価額の算定
事業承継・資産税 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準方式 / 会社規模区分とLの割合
非上場会社であるX社の概要に基づき、X社株式の1株当たりの「類似業種比準価額」と「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額」を算定する計算式の空欄①~④に入る数値を求めなさい。 〈資料:X社および類似業種の比準要素等〉 ・類似業種の株価:296円 ・1株(50円)当たりの年配当金額:X社4.1円、類似業種3.5円 ・1株(50円)当たりの年利益金額:X社23円、類似業種18円 ・1株(50円)当たりの簿価純資産価額:X社316円、類似業種239円 ・規模区分:中会社の大 ・純資産価額方式による1株当たりの評価額:386円 〈計算式〉 ・類似業種比準価額 ( ① )円 × [ (4.1円/3.5円 + 23円/18円 × ( ② ) + 316円/239円) / □□□ ] × ( ③ ) × (50円 / 50円) = □□□円 ・類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による相続税評価額 □□□円 × ( ④ ) + 386円 × (1 - ( ④ )) = □□□円
解答・解説を表示
解答
① 296、② 3、③ 0.6、④ 0.90(または0.9)
解説
取引相場のない株式の原則的評価方法において、類似業種比準価額は類似業種の株価に「配当」「利益」「純資産」の3要素の比準割合を乗じ、規模に応じた斟酌率を掛けて計算します。中会社は類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式で評価し、会社規模区分に応じたLの割合を適用します。
解き方
- 資料の比準要素表から類似業種株価(①=296円)および比準要素の利益倍率(②=3)を特定する。
- 中会社の斟酌率(③=0.6)および「中会社の大」に対応するLの割合(④=0.90)を特定して各空欄に当てはめる。
答えの内訳
- ①:296
- 類似業種比準価額の算定に用いる類似業種の株価は、設例の表「類似業種の株価」より296円となります。
- ②:3
- 類似業種比準方式における各比準要素のウエイトは、配当が1倍、年利益金額が3倍、純資産価額が1倍(分母は5)であるため、②に入る数値は3です。
- ③:0.6
- 会社規模による斟酌率は、大会社が0.7、中会社が0.6、小会社が0.5と定められているため、中会社であるX社の斟酌率③は0.6(0.60)となります。
- ④:0.90
- 中会社の併用割合(L)は、中会社の大が0.90、中会社の中が0.75、中会社の小が0.60と定められており、X社は「中会社の大」であるため④は0.90(0.9)です。
覚えるポイント
- 類似業種比準の比準要素のウエイト(配当1・利益3・純資産1、分母5)および斟酌率(大0.7・中0.6・小0.5)を押さえること。
- 中会社のL値(大0.90・中0.75・小0.60)を会社規模ごとに正確に暗記すること。
間違えやすいところ
- 中会社の大だからといって斟酌率を大会社の0.7と取り違えないように注意する。
- L値(併用割合)の0.90、0.75、0.60を他の規模区分の数値と混同しないようにする。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の財産評価基本通達(平成29年改正前の類似業種比準方式計算式に準拠)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の評価方法および株価引き下げ対策の適否
事業承継・資産税 · 取引相場のない株式の評価方式の選択 / 配当政策による株価引き下げ / 役員退職金と株価
X社株式の評価および株価対策に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① X社の従業員数が100人以上となり、X社株式の相続財産評価上の規模区分が「大会社」となった場合、同族株主が取得するX社株式の価額は、純資産価額によって評価しなければならず、類似業種比準価額による評価を選択することはできない。 ② 類似業種比準価額は、経常的な配当を低く抑えることによって引き下げることができ、経常的な配当に代えて記念配当や特別配当などの非経常的な配当とした場合にも、類似業種比準価額を引き下げる効果が期待できる。 ③ Aさんの勇退にあたり、X社が役員退職金規程に基づきAさんに対して役員退職金を支給した場合、X社の利益金額および純資産価額が引き下がるため、類似業種比準価額を引き下げる効果が期待できる。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ○
解説
非上場株式の評価において、大会社は原則として類似業種比準方式(純資産価額方式の選択も可)を適用します。また、類似業種比準価額の比準要素(配当・利益・純資産)を引き下げる対策として、非経常的配当への振替や役員退職金の損金算入が有効に機能します。
解き方
- 大会社における原則的評価方式(原則:類似業種比準方式、選択:純資産価額方式)のルールを確認して記述①の正誤を判定する。
- 比準要素である配当から非経常的な配当が除外されるルールを確認して記述②の正誤を判定する。
- 役員退職金の損金算入が利益および純資産に与える影響を確認して記述③の正誤を判定する。
答えの内訳
- ①:×
- 大会社の株式を同族株主が取得する場合、原則として「類似業種比準方式」により評価しますが、納税者の選択により「純資産価額方式」によることも認められています。純資産価額で評価しなければならないとする記述は誤りです。
- ②:○
- 類似業種比準価額の計算において、比準要素の1株当たりの年配当金額には記念配当や特別配当等の非経常的な配当は含めません。そのため経常的な配当を減らし非経常的な配当に振り替えることで、類似業種比準価額を引き下げる効果があります。
- ③:○
- 適正な役員退職金の支給は損金に算入されるため、法人の利益金額を減少させるとともに純資産価額を減少させます。これらは類似業種比準方式の比準要素を引き下げるため、株価引き下げ効果が期待できます。
覚えるポイント
- 大会社は原則として類似業種比準方式だが、純資産価額方式を選択することも可能であること。
- 類似業種の配当要素には記念配当・特別配当等の非経常的な配当は含まれないこと。
- 役員退職金の支給は利益・純資産を圧縮し、類似業種比準価額と純資産価額の両方を引き下げる効果があること。
間違えやすいところ
- 大会社は純資産価額方式で評価しなければならないと原則と例外を取り違えてしまう誤り。
- 記念配当などの特別配当も比準要素の配当金額に含まれると誤認してしまうこと。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の財産評価基本通達
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式等についての贈与税の納税猶予制度
事業承継・資産承継 · 事業承継税制 / 経営承継円滑化法 / 贈与税の納税猶予
「非上場株式等についての贈与税の納税猶予制度」に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、〈語句群〉の中から選び、その記号を解答しなさい。 「本制度は、後継者である受贈者(経営承継受贈者)が、『中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律』に基づく( ① )の認定を受けた非上場会社の先代経営者である贈与者から、贈与によりその会社の株式等の全部または一定数以上を取得し、その会社を経営していく場合に、受贈者が納付すべき贈与税額のうち、猶予対象株式等に対応する贈与税の( ② )の納税が猶予される制度である。猶予の対象となる株式等は、受贈者がその贈与前から既に有していたものを含めて発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分に限られる。 本制度の適用を受けるためには、受贈者は、贈与の時において認定贈与承継会社の代表権を有し、かつ、役員等に就任して( ③ )以上経過しており、受贈者および受贈者と特別の関係がある者で総議決権数の50%超の議決権数を有し、かつ、これらの者のなかで最も多くの議決権数を有することとなるなどの所定の要件を満たしている必要がある」
- イ
- 所轄税務署長
- ロ
- 都道府県知事
- ハ
- 経済産業大臣
- ニ
- 5割相当額
- ホ
- 8割相当額
- ヘ
- 全額
- ト
- 1年
- チ
- 2年
- リ
- 3年
- ヌ
- 5年
解答・解説を表示
解答
① ハ ② ヘ ③ リ
解説
事業承継税制(贈与税の納税猶予制度)は、後継者が非上場株式の生前贈与を受けた際、多額の贈与税負担によって円滑な事業承継が妨げられるのを防ぐ特例措置です。経営承継円滑化法の認定を受けた会社を対象に、発行済議決権株式総数の最大3分の2まで贈与税の全額が納税猶予されます。
解き方
- 空欄①について、2016年4月1日現在の経営承継円滑化法に基づく認定機関(経済産業大臣)を判断する。
- 空欄②について、相続税の猶予割合(80%)と混同せず、贈与税の猶予割合(全額)を選択する。
- 空欄③について、後継者(受贈者)が贈与前に役員として継続勤務していなければならない要件期間(3年以上)を選択する。
- 選択肢 イ不正解
- 所轄税務署長は贈与税の申告書提出先ですが、円滑化法の認定を行う機関ではありません。
- 選択肢 ロ不正解
- 都道府県知事への認定事務移譲は2017年4月1日施行のため、本問の基準日(2016年4月1日)現在では誤りです。
- 選択肢 ハ正解
- 2016年4月1日現在の経営承継円滑化法に基づく認定機関は経済産業大臣であるため適切です。
- 選択肢 ニ不正解
- 納税猶予制度における猶予割合に5割相当額という規定はありません。
- 選択肢 ホ不正解
- 8割(80%)相当額の納税猶予がなされるのは、一般措置における「相続税」の納税猶予制度です。
- 選択肢 ヘ正解
- 贈与税の納税猶予制度における猶予割合は対象株式に対応する贈与税の「全額」であるため適切です。
- 選択肢 ト不正解
- 後継者の役員在任要件は1年ではなく、3年以上です。
- 選択肢 チ不正解
- 後継者の役員在任要件は2年ではなく、3年以上です。
- 選択肢 リ正解
- 経営承継受贈者の要件として、役員等に就任して「3年」以上経過している必要があるため適切です。
- 選択肢 ヌ不正解
- 5年は納税猶予期間中の雇用維持や継続保有を審査する雇用確保要件等の年数であり、役員就任要件ではありません。
答えの内訳
- ①:ハ
- 2016年4月1日現在の経営承継円滑化法における認定権限者は経済産業大臣です(※平成29年4月1日以後は都道府県知事へ移譲)。
- ②:ヘ
- 贈与税の納税猶予制度において、発行済議決権株式等の総数の3分の2に達するまでの対象株式に係る贈与税は全額(100%)が納税猶予されます。
- ③:リ
- 経営承継受贈者の要件として、贈与の時において会社の代表権を有し、かつ贈与の時まで引き続き3年以上役員の地位にあったことが求められます。
覚えるポイント
- 贈与税の納税猶予割合は「全額」、従来の相続税の納税猶予割合は「80%」であること。
- 受贈後継者の役員歴要件は贈与直前まで引き続き「3年以上」であること。
間違えやすいところ
- 相続税の納税猶予制度(80%猶予)と贈与税の納税猶予制度(全額猶予)の割合を混同しやすい。
- 事業承継後5年間の事業継続要件(5年間)と受贈者の就任期間要件(3年以上)を取り違えやすい。
出題の前提:2016年4月1日現在施行の法令等(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律、租税特別措置法第70条の7)
出典:金融財政事情研究会『2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2016年9月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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