日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
特別支給の老齢厚生年金と在職老齢年金・高年齢雇用継続給付の調整
公的年金・社会保険 · 特別支給の老齢厚生年金 / 在職老齢年金 / 高年齢雇用継続給付
昭和31年11月生まれの男性会社員Aさん(厚生年金保険加入歴あり)が受給できる65歳までの公的年金の給付に関して、Mさんが説明した文章の空欄①〜③に入る最も適切な数値を数値群から選択しなさい。 「老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として65歳ですが、経過的措置として、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることなどの所定の要件を満たす場合は、65歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。昭和31年11月生まれのAさんは、原則として、( ① )歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。 ただし、Aさんが( ① )歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務した場合、特別支給の老齢厚生年金は、総報酬月額相当額との間で調整が行われます。具体的には、総報酬月額相当額と基本月額との合計額が( ② )万円(平成27年度の支給停止調整開始額)を超える場合は、年金額の一部または全部が支給停止となります。 また、Aさんが雇用保険法による高年齢雇用継続基本給付金と年金を同時に受給する場合、年金は、前述した支給調整に加えて、毎月、標準報酬月額の( ③ )%を上限に支給停止されることになります」
- イ
- 6
- ロ
- 9
- ハ
- 15
- ニ
- 28
- ホ
- 38
- ヘ
- 47
- ト
- 61
- チ
- 62
- リ
- 64
解答・解説を表示
解答
① チ ② ニ ③ イ
解説
特別支給の老齢厚生年金は生年月日・性別に応じて段階的に受給開始年齢が引き上げられています。また、受給中に厚生年金に加入して就労を継続する場合、在職老齢年金の仕組みにより総報酬月額相当額と年金基本月額の合計が基準額(60歳代前半は28万円)を超えると年金が減額され、高年齢雇用継続給付を受ける場合はさらに標準報酬月額の最大6%相当が支給停止されます。
解き方
- Aさんの生年月日(昭和31年11月17日)から、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が62歳であることを導く。
- 60歳代前半の在職老齢年金における支給停止調整開始額(基準額)が28万円であることを確認する。
- 高年齢雇用継続基本給付金と特別支給の老齢厚生年金の併給調整における年金支給停止上限割合が標準報酬月額の6%であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 男性の場合、昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日生まれの者は、62歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金が支給されます。昭和31年11月17日生まれのAさんは62歳からの支給開始となります。
- 小問 ②:ニ
- 60歳代前半の在職老齢年金(低在老)において、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が28万円(支給停止調整開始額)を超える場合、年金の一部または全部が支給停止されます。
- 小問 ③:イ
- 特別支給の老齢厚生年金を受給している者が雇用保険の高年齢雇用継続給付を受給する場合、在職老齢年金の支給調整に加えて、各月の標準報酬月額の最高6%相当額がさらに年金から支給停止されます。
覚えるポイント
- 男性の報酬比例部分開始年齢:昭和28〜29年度生まれは61歳、昭和30〜31年度生まれは62歳、昭和32〜33年度生まれは63歳、昭和34〜35年度生まれは64歳。
- 60歳台前半の在職老齢年金の支給停止調整開始額は28万円、高年齢雇用継続給付との併給調整による年金停止上限は標準報酬月額の6%。
間違えやすいところ
- 高年齢雇用継続給付の最大支給率(賃金の15%)と、併給により停止される年金額の上限(標準報酬月額の6%)を混同しないように注意する。
- 60歳代前半の在職老齢年金の基準額(28万円)と65歳以後の基準額(47万円)を取り違えやすい。
出題の前提:平成27年10月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
65歳以降の老齢基礎年金および老齢厚生年金の額の計算
公的年金・社会保険 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 加給年金
設例の資料に基づいて、Aさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の年額(空欄①)および老齢厚生年金の年額(空欄②)を求めなさい。なお、年金額は平成27年10月時点の価額に基づいて計算し、端数処理は円未満を四捨五入すること。
解答・解説を表示
解答
① 732,969円 ② 1,632,047円
解説
老齢基礎年金は20歳以上60歳未満の納付済月数(第2号被保険者期間を含む)に基づき満額から比例計算されます。65歳からの老齢厚生年金は、総報酬制導入前後の報酬比例部分に加えて、老齢基礎年金との差額を埋める経過的加算額(被保険者月数は480月が上限)、および要件(厚生年金被保険者期間20年以上かつ生計維持関係にある65歳未満の配偶者等)を満たした場合に加給年金額が加算されます。
解き方
- 老齢基礎年金の計算:20歳から60歳までの480月から未加入期間29月を控除して納付済月数451月を算出し、満額780,100円に乗じて年額を求める(732,969円)。
- 報酬比例部分の計算:平成15年3月以前(平均標準報酬月額320,000円×7.125/1,000×288月)と平成15年4月以後(平均標準報酬額440,000円×5.481/1,000×223月)を合算する(1,194,435.72円)。
- 経過的加算の計算:厚生年金期間は合計511月であるが上限480月を適用し、1,626円×480月=780,480円から、20歳以上60歳未満の厚生年金期間(451月)に対応する基礎年金相当額732,968.95...円を差し引く(47,511.04...円)。
- 加給年金額(390,100円)を加算し、合計額の円未満を四捨五入して老齢厚生年金額を求める(1,632,047円)。
答えの内訳
- ①:732,969
- 20歳から60歳までの480月のうち、未加入期間が29月あるため、納付済月数は480月−29月=451月となります。老齢基礎年金額は、780,100円×451月/480月=732,968.95...円となり、円未満を四捨五入して732,969円です。
- ②:1,632,047
- 老齢厚生年金の本来水準額は「報酬比例部分+経過的加算+加給年金」で算出します。報酬比例部分は、平成15年3月以前分が320,000円×(7.125/1,000)×288月=656,640円、平成15年4月以後分が440,000円×(5.481/1,000)×223月=537,795.72円で、合計1,194,435.72円です。経過的加算額は、1,626円×480月(被保険者月数上限480月)−780,100円×451月/480月=780,480円−732,968.95...円=47,511.04...円です。加給年金額は390,100円です。したがって老齢厚生年金合計額は、1,194,435.72円+47,511.04...円+390,100円=1,632,046.76...円となり、円未満を四捨五入して1,632,047円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算額の計算において、乗じる被保険者月数の上限は480月である点に注意する。
- 60歳以降の厚生年金被保険者期間は老齢基礎年金の月数には含まれないが、厚生年金の報酬比例部分には全期間が含まれる。
間違えやすいところ
- 老齢基礎年金の計算月数に60歳以降の厚生年金加入期間(60歳〜65歳の60月)を含めてしまう誤り。
- 経過的加算の前半の厚生年金被保険者期間に511月をそのまま掛けてしまい、480月の上限を見落とす誤り。
出題の前提:平成27年10月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の受給(繰下げ受給・被保険者種別変更・振替加算)
タックス・保険・年金 · 老齢年金の繰下げ支給 / 国民年金の種別変更 / 加給年金と振替加算
Aさんが65歳でX社を退職した場合の公的年金の取扱いに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「Aさんが66歳に達する前に、老齢基礎年金および老齢厚生年金の裁定請求をしていなかった場合は、原則として、繰下げ支給の申出をすることができますが、その場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り下げなければなりません」 ② 「Aさんが65歳に達し、国民年金の第2号被保険者に該当しなくなった場合、妻Bさんは、60歳に達するまでの間、国民年金の第1号被保険者として保険料を納付することになります」 ③ 「Aさんの老齢厚生年金に加算されることになる加給年金額は、妻Bさんが65歳に達すると支給されなくなりますが、妻Bさんが65歳以降に受給する老齢基礎年金には振替加算の加算が行われます」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
公的年金制度では、65歳以降の老齢基礎年金と老齢厚生年金は独立した受給権として個別に繰下げ申出が可能です。また、被扶養配偶者は第2号被保険者が資格を喪失すると第1号被保険者となり、配偶者加給年金は対象者が65歳になると老齢基礎年金の振替加算へと引き継がれます。
解き方
- 繰下げ受給について、老齢基礎年金と老齢厚生年金の同時繰下げ要件の有無を確認し、別々に選択可能であることから誤りを判定する。
- 夫の退職・受給による第2号資格喪失に伴う60歳未満の被扶養妻の公的年金種別変更(第3号から第1号への変更義務)を確認する。
- 配偶者加給年金の打ち切り年齢(65歳到達)と、妻の生年月日(昭和41年4月1日以前)に基づく老齢基礎年金への振替加算要件を検証する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 老齢年金の繰下げ支給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に繰り下げる必要はなく、いずれか一方のみを繰り下げることも可能です。
- 小問 ②:○
- 第2号被保険者に扶養されていた配偶者(第3号被保険者)は、本人が65歳に達して第2号被保険者の資格を喪失した時点で第3号被保険者の要件を満たさなくなるため、60歳に達するまでの間は第1号被保険者への種別変更届を提出し、保険料を納付する必要があります。
- 小問 ③:○
- 加給年金額は配偶者が65歳に達すると支給停止(打ち切り)となり、大正15年4月2日から昭和41年4月1日生まれの要件を満たす妻Bさん(昭和39年6月7日生まれ)自身の老齢基礎年金に振替加算として加算されます。
覚えるポイント
- 老齢年金の繰下げは基礎年金と厚生年金で別々に申出が可能であること。
- 加給年金の対象配偶者が65歳になると加給年金は終了し、昭和41年4月1日以前生まれの配偶者の老齢基礎年金に振替加算がつくこと。
間違えやすいところ
- 繰上げ受給は老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に請求しなければならないのに対し、繰下げ受給は別々に選択できるという違いを混同しやすい点。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の国民年金法・厚生年金保険法
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
必要保障額の計算(生活費の推計と団体信用生命保険)
リスク管理 · 必要保障額の算出 / 生活費の算定 / 団体信用生命保険
Aさんが死亡した場合の必要保障額の試算において、<条件>および設例の資料に基づいて、必要保障額計算表の空欄①~④に入る数値を求めなさい。 <条件> ⅰ)長男Cさんが独立する年齢は、22歳(大学卒業時)とする。 ⅱ)Aさんの死亡後から長男Cさんが独立するまで(22年間)の生活費は、現在の日常生活費の70%とし、長男Cさんが独立した後の妻Bさんの生活費は、現在の日常生活費の50%とする。 ⅲ)長男Cさん独立時の妻Bさんの平均余命は、33年とする。 ※現在の日常生活費:月額30万円 ※住宅ローン(2,500万円)は団体信用生命保険に加入 ※金額がマイナスになる場合は、金額の前に「▲」を記載すること。単位:万円。
解答・解説を表示
解答
① 11,484 ② 0 ③ ▲166 ④ 5,940
解説
必要保障額は、世帯主死亡後に遺族が必要とする総資金(生活費、住居費、教育費等)から、遺族の準備資金(公的年金、給与収入、資産等)を差し引いて算出します。団体信用生命保険加入の住宅ローンは死亡時に完済されるため遺族の負担額はゼロとなります。
解き方
- 現在の日常生活費年額(30万円×12月=360万円)をベースに、末子独立前(70%)と独立後(50%×平均余命)の生活費をそれぞれ期間に応じて計算し、合算して空欄①と④を求める。
- 団体信用生命保険の効力により住宅ローン返済額が0になることを確認して空欄②を決定する。
- 遺族に必要な資金の総額(a)を算出したうえで、準備資金(b)を控除し、必要保障額(a-b)を計算してマイナス記号「▲」を付して空欄③を求める。
答えの内訳
- ①:11,484
- 長男独立までの22年間の生活費は「30万円×12月×70%×22年=5,544万円」、独立後の妻の生活費は「30万円×12月×50%×33年=5,940万円」となり、合計は5,544万円+5,940万円=11,484万円です。
- ②:0
- 住宅ローンには団体信用生命保険がセットされており、債務者であるAさんの死亡により残債務全額が保険金で返済されるため、遺族が負担する返済額は0万円となります。
- ③:▲166
- 遺族に必要な資金の総額(a)は「11,484+0+800+750+1,500+600+1,400+300=16,834万円」、準備資金(b)は17,000万円です。必要保障額(a-b)は「16,834万円-17,000万円=▲166万円」となります。
- ④:5,940
- ケース2(長男独立時)での死亡であるため、長男独立後の妻の平均余命33年間の生活費のみとなり、「30万円×12月×50%×33年=5,940万円」となります。
覚えるポイント
- 団体信用生命保険に加入している場合、死亡後の住宅ローン返済額は0として試算すること。
- 必要保障額がマイナスとなった場合は保障が充足していることを意味し、問題の指示に従い「▲」を付けて表記すること。
間違えやすいところ
- 月額生活費(30万円)を年額に換算する際、12カ月を掛け忘れるミス。
- 住宅ローンについて、団信への加入を見落として残存返済額を算入してしまうミス。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令・標準的ファイナンシャルプランニング試算基準
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
必要保障額の算定根拠と考え方
リスク管理 · 必要保障額の計算 / 教育資金設計 / 共働き世帯のリスク
会社員Aさん(37歳)、妻Bさん(33歳、会社員・産休中)、長男Cさん(0歳)の世帯において、FPのMさんが説明した必要保障額の考え方に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
- ①
- 「<ケース1>における必要保障額はマイナスとなるため、計算上、死亡保障は必要ないことになります。しかし、今回の計算は妻Bさんが働き続けることを前提としていますので、少しでも状況が変化すれば、必要保障額の算出結果が大きく異なる可能性があることに留意してください」
- ②
- 「教育費は進路希望等により大きく変わります。特に、高校・大学と進学するにつれて高額となり、国公立と私立(文系・理系・医歯系)、自宅と下宿などの違いにより、学費等に大きな差異が生じます。教育費の概算額は、文部科学省等の統計データや各生命保険会社の資料等で確認することができますので、参考にしてください」
- ③
- 「妻Bさんが死亡あるいはケガや病気等で働けなくなった場合、世帯収入が減少するだけでなく、それまで夫婦が行ってきた家事や育児等の労力を少なからず外部に頼ることになると思います。Aさんの生命保険の見直しと同時に、妻Bさんの加入内容も確認する必要があると思います」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ○
解説
必要保障額は「遺族に必要な生活資金・教育資金等の総額」から「遺族年金・死亡退職金・配偶者の就労収入等の準備資金総額」を差し引いて算出します。共働き世帯では配偶者の就労継続を前提にすると必要保障額が低く算定されやすいため、前提条件の変化や配偶者側のリスクも考慮して柔軟に見直すことが不可欠です。
解き方
- 設例の前提に基づきケース1の支出合計(1億6,834万円)と準備資金額(1億7,000万円)を比較し、必要保障額がマイナスになることを確認する。
- 妻の就労不能リスクや教育費の進路別差異など、前提条件の変動要因を検証して記述の妥当性を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- ケース1での遺族支出総額は日常生活費1億1,484万円やその他の費用を含め1億6,834万円となる一方、準備資金は妻の給与収入や公的年金等で1億7,000万円となり、必要保障額は▲166万円(マイナス)です。ただし妻が予定通り就労を継続する前提の試算であるため、就労状況が変化すれば必要保障額が大きく変動することへの配慮は極めて適切です。
- 小問 ②:○
- 教育費は進学先が国公立か私立か、また自宅通学か自宅外通学かによって大幅に異なります。文部科学省の学校基本調査や子どもの学習費調査などの公的統計データを参照して試算・準備することは適切です。
- 小問 ③:○
- 共働き世帯において妻に万一のことがあった場合、妻の収入減少だけでなく、家事や育児の外注に伴う新たな支出が発生します。そのため夫だけでなく妻自身の保障内容を確認・準備しておくことは適切です。
覚えるポイント
- 必要保障額=(遺族生活資金+住居・教育・その他資金)-(公的年金+遺族の収入+金融資産等)
- 団体信用生命保険に加入している場合、死亡後の住宅ローン返済支出はゼロとして試算する。
間違えやすいところ
- 必要保障額がマイナスだからといって一切の保障が不要と早合点せず、収入前提の崩れや配偶者の死亡・就労不能リスクを考慮する必要がある点を見落としやすい。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の見直し(就労不能保障・予定利率・学資保険)
リスク管理 · 就業不能保障 / 標準利率と予定利率の推移 / 学資保険の返戻率
Aさんの生命保険の見直しに関して、FPのMさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
- ①
- 「死亡保障の準備と同じく、Aさんがケガや病気等で働けなくなった場合の保障を検討することも大切です。最近では、公的介護保険制度や身体障害者福祉法に連動して保険金が支払われる保険商品もありますので、生命保険の見直しの際には、それらの保険商品の保障内容を確認してみるとよいでしょう」
- ②
- 「Aさんが加入している終身保険の予定利率は、契約時期から判断して、現在よりも高く、少なくとも3.75%以上であることが推察されるため、終身保険についてはそのまま継続されたほうがよいでしょう」
- ③
- 「学資(こども)保険は、教育資金の準備に適した貯蓄性の比較的高い保険商品です。学資(こども)保険は、生命保険会社によって、返戻率(受取総額÷既払込保険料総額)や保障内容が異なりますので、加入を検討される際には、返戻率に加えて、保障内容も十分に確認する必要があります」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
生命保険の見直しでは、死亡リスクへの備えだけでなく病気・ケガ・要介護状態による就業不能リスクも総合的に勘案します。既存契約の予定利率は加入時期の市場金利水準を反映しており、高金利時代の契約(お宝保険)か近年の低金利下の契約かを見極めて解約や継続を判断します。
解き方
- 記述①について、公的介護保険や身体障害者手帳の基準等に連動した就業不能・生前給付商品の実情を確認し妥当性を判断する。
- 記述②について、設例の終身保険加入年月(平成19年4月)を確認し、当時の予定利率(1.5%程度)と記述の3.75%以上を照らし合わせて誤りを特定する。
- 記述③について、学資保険の返戻率の定義(受取総額÷既払込保険料総額)と保障内容比較の重要性を確認して妥当性を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 死亡保障だけでなく、長期間働けなくなった場合の収入減少に備える就業不能保険や、介護保険・身体障害者福祉法等の基準に連動して給付される生前給付型保険の検討は適切です。
- 小問 ②:×
- Aさんの終身保険は平成19年(2007年)4月加入です。当時の標準利率は1.5%程度であり、予定利率が「3.75%以上」だったのは1990年代前半以前(いわゆるお宝保険)に限られるため、不適切です。
- 小問 ③:○
- 学資保険は教育資金準備を目的とした貯蓄性の高い保険であり、商品により返戻率や育英年金・医療特約などの保障内容が異なるため、返戻率と保障内容の双方を確認して選定することは適切です。
覚えるポイント
- 契約時期別の標準利率の目安:1996年4月以降は2.75%以下、2001年4月以降は1.5%、2013年4月以降は1.0%。
- 返戻率=受取総額÷既払込保険料総額×100(%)。
間違えやすいところ
- 平成19年(2007年)加入の保険をいわゆるバブル期前後の高予定利率契約(お宝保険)と誤認して適切と判断してしまうミスが多い。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の金額 / 役員退職金
Aさんが役員在任期間(勤続年数)25年6カ月でX社を退任し、役員退職金として5,000万円の支給を受けた場合における、退職所得の金額の計算式中の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、他に退職手当等の収入はなく、障害者となったことによる退職ではないものとする。 〈退職所得控除額〉 800万円+( ① )万円×(□□□年-20年)=( ② )万円 〈退職所得の金額〉 (5,000万円-( ② )万円)×△△△=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 70 ② 1,220 ③ 1,890
解説
退職所得控除額は、勤続年数20年以下の期間は1年あたり40万円(最低80万円)、20年を超える期間は1年あたり70万円として計算され、勤続年数の1年未満の端数は切り上げられます。通常の退職手当等(勤続年数5年超の役員等を含む)の退職所得の金額は、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した後の残額に2分の1を乗じて算出します。
解き方
- 勤続年数25年6カ月の端数を切り上げて26年とする。
- 退職所得控除額を「800万円+70万円×(26年-20年)」により計算し、1,220万円を求める。
- 退職所得の金額を「(5,000万円-1,220万円)×1/2」により計算し、1,890万円を求める。
答えの内訳
- ①:70
- 勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額は、「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で計算するため、①には「70」が入ります。
- ②:1,220
- 勤続年数25年6カ月の端数は1年に切り上げられて26年となります。したがって退職所得控除額は、800万円+70万円×(26年-20年)=1,220万円となります。
- ③:1,890
- 退職所得の金額は、(収入金額-退職所得控除額)×1/2で計算します。したがって、(5,000万円-1,220万円)×1/2=1,890万円となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月単位であっても切り上げて1年として計算する。
- 勤続年数20年超の退職所得控除額の加算額は1年あたり70万円である。
間違えやすいところ
- 25年6カ月の端数を切り捨てて25年として計算してしまう誤り。
- 最後に2分の1を掛け忘れて退職所得控除後の全額を退職所得としてしまうミス。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の所得税法等法令
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が契約する逓増定期保険の経理処理と活用法
リスク管理 · 逓増定期保険 / 経理処理 / 払済終身保険 / 解約返戻金
契約者および死亡保険金受取人をX社、被保険者を代表取締役社長Aさんとする無配当逓増定期保険に関する記述①~③の正誤について答えなさい。 ① 「当該生命保険の保険料は、保険期間開始のときから当該保険期間の6割に相当するまでの期間においては、その3分の2を資産に計上し、残りの3分の1を期間の経過に応じて損金の額に算入します」 ② 「返戻率がピークの時期に払済終身保険に変更した場合でも、逓増定期保険から払済終身保険への変更に限り、経理処理の必要はありません」 ③ 「X社が当該生命保険契約を解約した場合にX社が受け取る解約返戻金は、Aさんに支給する役員退職金の原資として活用する以外に、設備投資等の事業資金としても活用することができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
法人が加入する逓増定期保険は、契約時の最高解約返戻率に応じて保険料の損金算入割合(全額損金、1/2損金、1/3損金など)が定められています。払済保険へ変更する際には解約返戻金相当額に基づき資産・損益の振替処理を行う必要があり、受け取った解約返戻金は使途が制限されない会社の資金となります。
解き方
- 資料よりピーク時解約返戻率を計算し(85%超)、保険期間の前半6割期間における2/3資産計上・1/3損金算入の適否を判断する。
- 払済終身保険への変更に伴う税務上の経理処理(資産振替および差額の損益計上)の要否を確認する。
- 法人が受け取る解約返戻金の使途の自由度(事業資金としての活用可否)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 本契約のピーク時返戻率は8,000万円÷(980万円×9年)≒90.7%となり85%超に該当するため、保険期間開始から保険期間の6割相当期間においては保険料の3分の2を資産計上し、残りの3分の1を損金算入します。
- 小問 ②:×
- 定期保険等から払済終身保険へ変更した場合は、変更時点の解約返戻金相当額と既積立保険料等の差額について益金または損金に算入する経理処理が必要です。
- 小問 ③:○
- 法人が受領した解約返戻金は使途が限定されない法人の資金となるため、役員退職金の財源のみならず設備投資や運転資金等の事業資金としても自由に活用できます。
覚えるポイント
- 払済保険への変更時には解約返戻金相当額による権利移転の経理処理が必要となる。
- 法人が受け取った保険金や返戻金は使途を限定されず事業資金全般に活用できる。
間違えやすいところ
- 保険料払込を停止して払済保険に変更しただけなので経理処理は不要と誤認してしまうこと。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法人税法基本通達等の税法規定
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業退職金共済制度および福利厚生プラン(養老保険)の取扱い
リスク管理 · 中小企業退職金共済制度 / 福利厚生プラン / 養老保険 / ハーフタックスプラン
MさんがAさんに対して説明した、中小企業退職金共済制度(中退共)および<資料2>の養老保険を活用した福利厚生プランに関する次の記述①~④について、適切なものには○、不適切なものには×をそれぞれ判定しなさい。 ① 中退共は、退職金を社外に積み立てる退職金準備の共済制度である。法人が支出した掛金は、全額損金の額に算入する。 ② 中退共に加入後、急な資金需要が生じた場合、福利厚生プランと同様に、契約者貸付制度を利用することができる。 ③ 従業員が中途退職(生存退職)した場合、中退共の退職金および福利厚生プランの解約返戻金はX社が受け取ることになる。 ④ 福利厚生プランの保険料は、原則として、その2分の1を福利厚生費として損金の額に算入する。ただし、役員または部課長など、特定の者のみを被保険者とする場合は、保険料の全額を資産に計上することになる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ × ④ ×
解説
法人が導入する福利厚生目的の退職金準備制度には、外部拠出型の中小企業退職金共済制度と、生命保険を活用したハーフタックスプラン(養老保険)があります。それぞれの制度における掛金・保険料の税務処理、解約・退職時の受取人の違い、従業員に対する資金直接交付原則についての正確な理解が求められます。
解き方
- 中退共の掛金税務(全額損金算入)および貸付制度の有無(事業主向け貸付は不可)を確認する。
- 退職時の受取先について、中退共は従業員直接請求・受取、養老保険の解約返戻金は契約者(法人)受取であることを区別する。
- 福利厚生プラン(ハーフタックス)の要件を欠き特定の者のみを対象とした場合の税務処理(給与課税等)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 中小企業退職金共済(中退共)制度は、中小企業のための国の退職金共済制度であり、掛金は事業主が全額負担し、法人が支出した掛金は全額損金(個人事業主の場合は必要経費)に算入されます。
- 小問 ②:×
- 養老保険等の生命保険には解約返戻金の一定範囲内で契約者貸付制度がありますが、中退共は従業員の退職金受給権を保護するための共済制度であり、事業主に対する契約者貸付制度はありません。
- 小問 ③:×
- 福利厚生プラン(満期保険金受取人=法人)の解約返戻金は契約者である法人が受け取りますが、中退共の退職金は退職した従業員本人に直接支払われるため、事業主(X社)が受け取ることはできません。
- 小問 ④:×
- 被保険者を全役員・従業員とせず特定の役員や部課長などのみとした場合、死亡保険金受取人が役員・従業員の遺族であるときは、法人が負担した保険料のうち福利厚生費とされていた2分の1相当額は給与(役員賞与等)として取り扱われ、全額を資産計上するわけではありません。
覚えるポイント
- 中退共の掛金は事業主全額負担・全額損金算入、退職金は従業員に直接支給される。
- ハーフタックスプランで普遍的加入要件を満たさない場合、損金部分は従業員・役員への給与課税となる。
間違えやすいところ
- 中退共の退職金を法人が一度受領して退職者に渡すことができると誤認しやすい。
- 普遍的加入要件を満たさない養老保険の保険料処理を、単なる資産計上と混同しやすい。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産所得に係る青色申告制度
タックスプランニング · 青色申告特別控除 / 不動産所得の事業的規模 / 5棟10室基準 / 純損失の繰戻還付
不動産所得に係る青色申告制度に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を、語句群のイ~ヌのなかから選びなさい。 「建物の貸付が事業的規模に該当する場合、不動産所得に係る取引を正規の簿記の原則に従い記帳し、その記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出することにより、不動産所得の金額の計算上、青色申告特別控除として最高( ① )万円を控除することができる。なお、不動産所得を生ずべき業務が事業的規模でない場合、青色申告特別控除額は最高10万円である。 不動産所得の金額の計算において、建物の貸付が事業的規模に該当するか否かについては、社会通念上、事業と称するに至る程度の規模かどうかにより実質的に判断するが、形式基準によれば、独立した家屋の貸付についてはおおむね( ② )棟以上、アパート等については貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であれば、特に反証のない限り、事業的規模として取り扱われる。 なお、青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除の適用、青色事業専従者給与の必要経費算入、( ③ )などが挙げられる。」 〈語句群〉 イ.5 ロ.12 ハ.15 ニ.25 ホ.38 ヘ.55 ト.65 チ.雑損失の繰越控除 リ.純損失の繰戻還付 ヌ.損益通算
- イ
- 5
- ロ
- 12
- ハ
- 15
- ニ
- 25
- ホ
- 38
- ヘ
- 55
- ト
- 65
- チ
- 雑損失の繰越控除
- リ
- 純損失の繰戻還付
- ヌ
- 損益通算
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解答
① ト ② イ ③ リ
解説
所得税法における不動産所得の青色申告では、事業的規模で正規の簿記の原則に基づく記帳等の要件を満たす場合に最高65万円の青色申告特別控除が認められます。事業的規模の判定には形式基準(5棟10室基準)が用いられ、青色申告固有の特典として純損失の繰戻還付などが規定されています。
解き方
- 青色申告特別控除の要件(事業的規模+複式簿記+貸借対照表等添付+期限内申告)から最高控除額65万円を選択する。
- 不動産貸付の事業的規模判定における形式基準「5棟10室基準」から、家屋の基準である「5」棟を選択する。
- 青色申告者のみに認められている税務上の特典の中から「純損失の繰戻還付」を選択する(雑損失の繰越控除や損益通算は白色申告者でも適用可能)。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- 事業的規模の不動産所得について正規の簿記の原則に従い記帳し、貸借対照表・損益計算書を添付して法定申告期限内に申告した場合の青色申告特別控除の最高限度額は65万円(ト)です。
- 小問 ②:イ
- 建物の貸付けが事業的規模かどうかの形式基準(いわゆる5棟10室基準)では、独立した家屋の貸付けについてはおおむね5棟(イ)以上とされています。
- 小問 ③:リ
- 青色申告者の税務上の主な特典には、青色申告特別控除、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の繰越しと繰戻し(純損失の繰戻還付:リ)などがあります。
覚えるポイント
- 不動産所得の青色申告特別控除:事業的規模+複式簿記+期限内申告で65万円、それ以外は10万円。
- 事業的規模の形式基準は「5棟10室基準」(一戸建て5棟以上、アパート等10室以上)。
- 青色申告の主な特典:青色申告特別控除、青色事業専従者給与、純損失の繰越控除(3年)・繰戻還付(前年)。
間違えやすいところ
- 事業的規模でない(業務的規模の)不動産所得でも65万円控除が受けられると誤認しやすい(10万円控除にとどまる)。
- 損益通算や雑損失の繰越控除を青色申告限定の特典と混同しやすい。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の所得税(一時所得・扶養控除・損益通算)
タックスプランニング · 一時所得 / 扶養控除 / 損益通算
個人で不動産賃貸業を営むAさんの平成27年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×をつけなさい。 ①「Aさんが受け取った一時払終身保険および一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象になります」 ②「長女Cさんは特定扶養親族に該当するため、Aさんは、長女Cさんについて63万円の扶養控除の適用を受けることができます」 ③「上場株式の譲渡損失の金額は、不動産所得や一時所得の金額と損益通算することができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
所得税において各種所得の区分・損益通算の制限、および扶養親族の区分判定(年齢要件等)は個別の規定に厳格に従って判定されます。
解き方
- 保険契約の内容(保険期間、契約からの経過年数)を確認し、金融類似商品の源泉分離課税に該当するか一時所得(総合課税)かを判断する。
- 扶養親族の年末時点の年齢から一般の控除対象扶養親族か特定扶養親族かを判定する。
- 株式等に係る譲渡損失が他の各種所得と通算可能であるか損益通算の範囲を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 一時払終身保険は保険期間が終身であり金融類似商品に該当しないため、契約から5年以内の解約であっても一時所得(総合課税)となります。また、一時払変額個人年金保険(確定年金)は契約から5年超が経過して解約されているため、金融類似商品に該当せず一時所得(総合課税)の対象となります。
- 小問 ②:×
- 特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうちその年の12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の者を指します。長女Cさんは24歳であるため特定扶養親族には該当せず、一般の控除対象扶養親族(控除額38万円)に該当します。
- 小問 ③:×
- 上場株式等の譲渡損失の金額は、申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等との損益通算は可能ですが、総合課税の対象となる不動産所得や一時所得の金額と損益通算することはできません。
覚えるポイント
- 一時払終身保険は5年以内解約でも金融類似商品にならず一時所得扱い。
- 特定扶養親族の対象年齢はその年12月31日現在で19歳以上23歳未満。
間違えやすいところ
- 一時払養老保険等と一時払終身保険の金融類似商品の判定基準を混同しないようにする。
- 大学・大学院に通っていることではなく、12月31日時点の年齢で特定扶養親族を判定する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額・扶養控除額・所得税算出税額の計算
タックスプランニング · 総所得金額 / 一時所得の計算 / 扶養控除 / 所得税額の計算
Aさんの平成27年分の所得税の算出税額を計算した表の空欄①~③に入る数値を求めなさい。 ・(a)総所得金額( ① )円 ・扶養控除( ② )円 ・(d)算出税額((c)課税総所得金額に対する所得税額)( ③ )円 (前提:所得控除合計300万円、速算表適用)
解答・解説を表示
解答
① 10,300,000 ② 1,010,000 ③ 1,043,000
解説
一時所得は総収入金額から支出金額と特別控除(最高50万円)を控除した残額の2分の1を総所得金額に算入し、所得控除を差し引いた課税総所得金額に超過累進税率を適用して算出税額を計算します。
解き方
- 一時所得の内部通算を行って一時所得の金額を算出し、その1/2を不動産所得に合算して総所得金額を求める。
- 親族の年齢・所得要件を確認して扶養控除額を計算する。
- 総所得金額から所得控除合計を差し引いて課税総所得金額を求め、速算表を適用して税額を算出する。
答えの内訳
- ①:10,300,000
- 一時所得の総収入金額は940万円+670万円=1,610万円、支出金額は1,000万円+500万円=1,500万円です。一時所得の金額は(1,610万円-1,500万円)-特別控除50万円=60万円となり、総所得金額に算入する額はその2分の1の30万円です。不動産所得1,000万円と合算して、総所得金額は1,000万円+30万円=10,300,000円となります。
- ②:1,010,000
- 長女Cさん(24歳)は一般の控除対象扶養親族となり38万円、二女Dさん(20歳)は特定扶養親族となり63万円が控除されます(妻Bさんは給与収入650万円のため控除対象外)。合計の扶養控除額は38万円+63万円=1,010,000円となります。
- ③:1,043,000
- 課税総所得金額は、総所得金額1,030万円-所得控除合計300万円=730万円です。速算表より「695万円超900万円以下」の税率23%・控除額63万6,000円を適用し、7,300,000円×23%-636,000円=1,043,000円となります。
覚えるポイント
- 一時所得の総所得金額への算入は「(総収入金額-支出金額-特別控除最高50万円)×1/2」。
- 扶養控除額は一般の控除対象扶養親族が38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)が63万円。
間違えやすいところ
- 一時所得の特別控除50万円を引いた後に2分の1することを忘れるミスが多い。
- 複数の解約返戻金がある場合、収入と支出をそれぞれ合算して通算することを失念しやすい。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額
現時点(平成28年5月22日)において、Aさんに相続が開始した場合における相続税の総額を試算した下記の表の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、相続税の課税価格の合計額は3億5,000万円とし、Aさんの相続に係る法定相続人は、妻Bさんおよび長男Cさんの2人である。 (a)相続税の課税価格の合計額:3億5,000万円 (b)遺産に係る基礎控除額:( ① )万円 課税遺産総額(a-b):□□□万円 相続税の総額の基となる税額 妻Bさん:( ② )万円 長男Cさん:□□□万円 (c)相続税の総額:( ③ )万円 <資料>相続税の速算表(一部抜粋) 1,000万円超~3,000万円以下:税率15%、控除額50万円 3,000万円超~5,000万円以下:税率20%、控除額200万円 5,000万円超~10,000万円以下:税率30%、控除額700万円 10,000万円超~20,000万円以下:税率40%、控除額1,700万円
解答・解説を表示
解答
① 4,200 ② 4,460 ③ 8,920
解説
相続税の総額は、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、それを各法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとして税額を計算し、合算して求めます。
解き方
- 基礎控除額「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を求め、課税遺産総額を算出する。
- 法定相続分に従って按分した各人の取得金額に速算表の税率・控除額を適用し、それらを合算して相続税の総額を算出する。
答えの内訳
- ①:4,200
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人は妻Bさんと長男Cさんの2人であるため、3,000万円+600万円×2人=4,200万円となります。
- ②:4,460
- 課税遺産総額は3億5,000万円-4,200万円=3億800万円です。これを法定相続分(妻Bさん2分の1、長男Cさん2分の1)で按分すると、妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は1億5,400万円となります。速算表より「1億5,400万円×40%-1,700万円=4,460万円」となります。
- ③:8,920
- 長男Cさんの法定相続分に応ずる取得金額も同額の1億5,400万円であるため、税額は4,460万円となります。したがって、相続税の総額は妻Bさん分と長男Cさん分を合算して「4,460万円+4,460万円=8,920万円」となります。
覚えるポイント
- 平成27年1月以降の相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
間違えやすいところ
- 改正前の基礎控除額(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)と混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業承継と相続税対策
相続・事業承継 · 死亡保険金の非課税限度額 / 配偶者の税額軽減 / 自社株評価引下げ / 相続時精算課税制度
Aさんの相続等に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 「生命保険に加入していないのであれば、契約者および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を長男Cさんとする一時払終身保険への加入を検討してください。長男Cさんが受け取る死亡保険金は『500万円×法定相続人の数』を限度として、死亡保険金の非課税金額の規定の適用を受けることができます」 ② 「配偶者に対する相続税額の軽減の適用を受けた場合、妻Bさんが取得した財産の金額が、相続税の課税価格の合計額に対する妻Bさんの法定相続分相当額までの金額であれば、相続税はかかりません。また、たとえその金額を超えたとしても、1億8,000万円までの金額であれば、相続税はかかりません」 ③ 「Aさんおよび弟Dさんの勇退にあたり、2人に役員退職金を支給した場合、X社株式の相続税評価額を引き下げる効果があります。Aさんが所有するX社株式を長男Cさんに生前贈与する場合は、X社株式の相続税評価額が下がったタイミングが望ましいでしょう」 ④ 「Aさんの所有財産を長男Cさんに贈与する場合は、相続時精算課税制度の活用が考えられます。当該制度を選択した場合、累計で3,500万円までの贈与について贈与税が課されず、それを超えた部分について一律20%の税率で贈与税が課されます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○ ④ ×
解説
相続対策および事業承継においては、生命保険の非課税枠の活用、配偶者の税額軽減(1億6,000万円または法定相続分)、役員退職金支給による自社株評価引下げ、相続時精算課税(特別控除限度額2,500万円)などの制度要件を正しく把握することが重要です。
解き方
- 生命保険金および配偶者の税額軽減の非課税要件・限度額を確認する。
- 自社株評価引下げ対策の仕組みと、相続時精算課税制度の特別控除限度額の数値を確認して正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 相続人が受け取った死亡保険金については、「500万円×法定相続人の数」を限度として非課税限度額の適用を受けることができます。設問の記述は適切です。
- 小問 ②:×
- 配偶者に対する相続税額の軽減において、非課税となる限度額は「配偶者の法定相続分相当額」または「1億6,000万円」のいずれか大きい方の金額までです。「1億8,000万円」とする記述は誤りです。
- 小問 ③:○
- 役員退職金を支給すると会社の純資産や利益が減少するため、自社株式の相続税評価額を引き下げる効果があります。評価額が下がったタイミングで生前贈与を行うことは有効な対策です。
- 小問 ④:×
- 相続時精算課税制度を選択した場合の特別控除限度額は、累計で「2,500万円」までです。「3,500万円」とする記述は誤りです。
覚えるポイント
- 配偶者の税額軽減は「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」まで、相続時精算課税の特別控除額は「累計2,500万円」です。
間違えやすいところ
- 配偶者控除の限度額1億6,000万円と設問の1億8,000万円、相続時精算課税の2,500万円と3,500万円の数字の誤りに気をつける必要があります。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の株主からの自己株式取得の手続きとみなし配当課税
事業承継・相続 · 自己株式の取得 / 株主総会の特別決議 / みなし配当 / 資本金等の額
X社が弟DさんからX社株式を自己株式として買い取る場合における会社法上の決議要件および税法上の取扱いについて、文章中の空欄①~③に入る最も適切な語句を〈語句群〉の中から選びなさい。 「X社が、弟DさんからX社株式を自己株式として買い取る場合、当該行為は、特定の株主からの取得に該当するため、X社の株主総会の( ① )が必要となります。なお、X社が取得することができる自己株式の対価の総額は、会社法の定める分配可能額の範囲内とする必要があります。弟Dさんが、X社株式をX社に譲渡した場合、その譲渡価額のうち当該株式に対応する( ② )を超える部分の金額については、( ③ )所得として総合課税の対象となります」
- イ
- 普通決議
- ロ
- 特別決議
- ハ
- 特殊決議
- ニ
- 資本金等の額
- ホ
- 経常利益
- ヘ
- 利益積立金
- ト
- 配当
- チ
- 一時
- リ
- 譲渡
解答・解説を表示
解答
① ロ、② ニ、③ ト
解説
株式会社が市場外で特定の株主から自己株式を買い取る際は、他の株主の権利を保護するため株主総会の特別決議が義務付けられています。また、税務上は交付された対価を元本払戻し部分(資本金等の額に対応)と利益の分配部分(資本金等の額を超える部分)に区分し、利益分配に相当する部分はみなし配当として総合課税の配当所得に区分されます。
解き方
- 特定の株主からの自己株式取得に必要な会社法上の株主総会決議(特別決議)を特定する。
- 個人株主が自己株式を譲渡した際の対価の区分基準が「資本金等の額」であることを確認する。
- 資本金等の額を超える金額が税務上「みなし配当」となり「配当所得」として総合課税されることを導く。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 株式会社が特定の株主から自己株式を有償取得する場合、株主平等の原則の例外となるため、株主総会の特別決議(会社法第160条第1項、第309条第2項第2号)を経る必要があります。
- 小問 ②:ニ
- 個人株主が発行会社に株式を譲渡した場合、譲渡対価のうち発行会社の「資本金等の額」に対応する部分は株式の譲渡対価となり、これを超える部分は利益の配当とみなされます。
- 小問 ③:ト
- 自己株式の譲渡対価のうち資本金等の額を超える部分は、実質的に会社の剰余金が分配されたもの(みなし配当)として取り扱われ、配当所得として総合課税の対象となります。
覚えるポイント
- 特定の株主からの自己株式取得には株主総会の特別決議が必要である。
- 自己株式取得の譲渡対価のうち資本金等の額を超える部分は「みなし配当」として配当所得になる。
間違えやすいところ
- 市場外での特定の株主からの自己株式取得を通常の自己株式取得と混同して普通決議と誤認しやすい。
- 自己株式の売却対価の全額が株式譲渡所得になると誤認し、みなし配当(配当所得)の発生を見落としやすい。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の会社法および所得税法
出典:金融財政事情研究会『2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2016年5月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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