日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算額 / 加給年金額
個人事業主のAさん(49歳・昭和41年7月13日生)が原則として65歳から受給できる老齢厚生年金の年金額を計算過程を示して求めなさい。年金額は平成27年10月時点の価額(本来水準)に基づき、《設例》および資料を利用すること。答は円単位とし、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。 <Aさんの厚生年金保険加入歴> 昭和60年4月~平成8年4月(18歳~29歳):132月(平均標準報酬月額260,000円) <老齢厚生年金の計算式> ⅰ)報酬比例部分の額=①平成15年3月以前(平均標準報酬月額×7.125/1,000×被保険者期間の月数)+②平成15年4月以後(平均標準報酬額×5.481/1,000×被保険者期間の月数) ⅱ)経過的加算額=1,626円×被保険者期間の月数-780,100円×(昭和36年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者期間月数/480月) ⅲ)加給年金額=390,100円(要件を満たす場合のみ)
解答・解説を表示
解答
計算過程:ⅰ)報酬比例部分の額=260,000円×7.125/1,000×132月=244,530円、ⅱ)経過的加算額=1,626円×132月-780,100円×117月/480月=24,482.625円、ⅲ)加給年金額=0円(被保険者期間240月未満のため)、老齢厚生年金額=244,530円+24,482.625円=269,012.625円→269,013円、答:269,013円
解説
65歳以降の老齢厚生年金は「報酬比例部分+経過的加算額+加給年金額」で構成されます。経過的加算の控除計算では20歳未満の厚生年金期間は基礎年金の満額反映対象外となるため差し引く月数に含めません。また加給年金は原則として厚生年金加入期間240月以上が必要です。
解き方
- 厚生年金の加入期間132月がすべて平成15年3月以前であるため、乗率7.125/1,000を適用して報酬比例部分の額を計算する。
- 昭和41年7月13日生の20歳到達月(昭和61年7月)から退職月までの月数117月を求め、経過的加算額を計算する。
- 被保険者期間が132月で240月未満のため加給年金額が加算されないことを確認し、端数を四捨五入して合算する。
答えの内訳
- 計算過程:ⅰ)報酬比例部分の額:260,000円×7.125/1,000×132月=244,530円 ⅱ)経過的加算額:1,626円×132月-780,100円×117月/480月=24,482.625円 ⅲ)加給年金額:厚生年金保険の被保険者期間が240月未満のため加算されない(0円) 合計額:244,530円+24,482.625円=269,012.625円(円未満四捨五入)
- 報酬比例部分は全期間が平成15年3月以前のため乗率7.125/1,000を使用します。経過的加算額の控除式にある月数は20歳以上60歳未満の期間(昭和61年7月~平成8年3月の117月)のみをカウントします。厚生年金加入期間が240月未満であるため加給年金は対象外です。
- 答:269,013円
- 報酬比例部分244,530円と経過的加算額24,482.625円を合算した269,012.625円について、端数処理条件に従い円未満を四捨五入して269,013円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算額の引き算側の月数には「20歳未満および60歳以降」の被保険者期間を含めない。
- 加給年金の加算要件は、原則として厚生年金の被保険者期間が20年(240月)以上であること。
間違えやすいところ
- 経過的加算額の控除側分子に加入期間の全月数(132月)をそのまま代入してしまう。
- 18歳から20歳までの期間(15か月)を除外せずに経過的加算を誤算定する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢基礎年金の繰上げ・繰下げ受給
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 繰上げ受給 / 繰下げ受給 / 減額率 / 増額率
FPのMさんがAさんに対して説明した老齢基礎年金に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句または数値を語句群から選びなさい。 「仮に、Aさんが60歳0カ月で老齢基礎年金の繰上げ支給を請求した場合の減額率は( ① )%となります。なお、Aさんが老齢基礎年金の繰上げ支給を請求する場合、その請求と同時に老齢厚生年金の繰上げ支給の請求を( ② )。 他方、65歳以降も生活費等に困らない程度の収入を得ることができる場合には、老齢基礎年金の支給開始を繰り下げることもできます。(中略)仮に、Aさんが70歳0カ月で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合の増額率は( ③ )%となります」 〈語句群〉 イ.15 ロ.30 ハ.42 ニ.60 ホ.72 ヘ.しなければなりません ト.する必要はありません
- イ
- 15
- ロ
- 30
- ハ
- 42
- ニ
- 60
- ホ
- 72
- ヘ
- しなければなりません
- ト
- する必要はありません
解答・解説を表示
解答
① ロ、② ヘ、③ ハ
解説
老齢年金の支給開始は原則65歳ですが、希望により60歳~65歳未満への繰上げ(1月あたり0.5%減額)や、66歳~70歳への繰下げ(1月あたり0.7%増額)が可能です。繰上げ請求は老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に行う必要がありますが、繰下げは一方のみ行うことが可能です。
解き方
- 繰上げ減額率(月0.5%)に繰上げ月数(60月)を乗じて①の減額率(30%)を求める。
- 繰上げ請求時における老齢基礎年金と老齢厚生年金の同時請求義務のルールを確認して②を選択する。
- 繰下げ増額率(月0.7%)に繰下げ月数(60月)を乗じて③の増額率(42%)を求める。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 繰上げ減額率は1月あたり0.5%です。60歳0か月での請求時は60月繰り上げとなるため、0.5%×60月=30%の減額となります。
- 小問 ②:ヘ
- 老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給権を併せ持つ者が繰上げ支給を請求する場合、両方を同時に請求しなければなりません。
- 小問 ③:ハ
- 繰下げ増額率は1月あたり0.7%です。70歳0か月での申出時は60月繰り下げとなるため、0.7%×60月=42%の増額となります。
覚えるポイント
- 繰上げ減額率は月0.5%(本試験基準)、繰下げ増額率は月0.7%。
- 繰上げ請求は基礎年金と厚生年金の「同時請求」が必須である。
間違えやすいところ
- 繰下げ請求と混同し、繰上げ請求も年金ごとに別々に請求できると勘違いすること。
- 減額率と増額率の月あたり割合(0.5%と0.7%)を取り違えて計算すること。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金等の上乗せ制度と老後資金準備
ライフプランニングと資金計画 · 付加年金 / 小規模企業共済 / 確定拠出年金(個人型)
個人事業主であるAさんの老後資金準備に関する各種制度(付加年金・小規模企業共済・確定拠出年金)についての記述①~③の正誤を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
国民年金の第1号被保険者である個人事業主は、老齢基礎年金に上乗せして給付を増やすために付加年金、国民年金基金、個人型確定拠出年金、小規模企業共済などの各種制度を組み合わせて老後資金を準備することができます。
解き方
- 付加年金の年金額の計算式(200円×付加保険料納付月数)に数値を当てはめて計算します。
- 小規模企業共済の加入対象者として事業主の共同経営者が含まれるかを確認します。
- 確定拠出年金の個人型年金と、国民年金基金および付加保険料との併用可否のルールを判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 付加年金の受給年額は「200円×付加保険料納付済月数」で算出されるため、120月納付した場合は年額24,000円(200円×120月)となり適切です。
- 小問 ②:○
- 小規模企業共済制度では、個人事業主本人だけでなく、一定の要件を満たす共同経営者(事業主1人につき2人まで)も加入できるため適切です。
- 小問 ③:×
- 国民年金の第1号被保険者は、確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)と国民年金基金または付加保険料を併用して納付・加入することができるため不適切です。
覚えるポイント
- 付加年金の年額は「200円×付加保険料納付済月数」で、保険料は月額400円であること
- 小規模企業共済は個人事業主の配偶者等でも共同経営者要件を満たせば加入できること
- 国民年金基金と付加年金は重複加入できないが、個人型確定拠出年金は併用可能であること
間違えやすいところ
- 付加年金の受給額計算で、納付保険料(月額400円)の数値と受給額計算式(200円×月数)を混同すること
- 個人型確定拠出年金と国民年金基金・付加年金が併用不可であると誤認すること(基金と付加年金の間は併用不可だがiDeCoとは併用可能)
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老後生活資金の準備と各種調査・公的データ
リスク管理 · 簡易生命表(平均寿命) / 生活保障に関する調査(老後生活費) / 厚生労働白書(公的年金水準)
老後の生活資金準備の必要性に関する各種データ(平均寿命、老後生活費、公的年金給付水準)についての記述①~③の正誤を判定しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
ライフプランニングや保険提案の場面では、公的な人口統計(平均寿命等)や意識調査(必要老後生活費)、公的年金給付の標準世帯モデルの正確な数値を正しく把握し、自助努力の根拠として適切に提示することが求められます。
解き方
- 簡易生命表における平均寿命の数値および男女差の傾向が合致しているか確認します。
- 生命保険文化センターの調査における「最低日常生活費」と「ゆとりある老後生活費」の平均月額の違いを区別します。
- 標準世帯における老齢厚生年金(公的年金受給額)の水準と老齢基礎年金満額(780,100円)の混同を識別します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 厚生労働省の平成26年簡易生命表において、男性の平均寿命は80.50年、女性は86.83年であり、女性のほうが長生きであるため老後資金準備の必要性が高いという記述は適切です。
- 小問 ②:×
- 生命保険文化センターの調査における月額平均35.4万円は「ゆとりある老後生活費」の額であり、「最低日常生活費」の平均額(月額約22.0万円)ではないため不適切です。
- 小問 ③:×
- 年額780,100円は老齢基礎年金(満額)の給付水準であり、厚生労働白書における標準世帯の夫婦2人分の老齢年金給付水準(月額約22万円、年額約260万円水準)ではないため不適切です。
覚えるポイント
- 夫婦2人の老後最低日常生活費は月額約22万円、ゆとりある老後生活費は月額約35万円であること
- 780,100円(平成27年度)は老齢基礎年金の満額であり、標準世帯の年金月額は約22万円(年額約260万円)であること
間違えやすいところ
- 生命保険文化センターの「最低日常生活費」と「ゆとりある老後生活費」の数値を混同すること
- 老齢基礎年金の満額(年額約78万円)を標準世帯の老齢厚生年金モデル額と取り違えること
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人年金保険の税制(控除限度額および受取時の課税)
リスク管理 · 個人年金保険料控除 / 確定年金の税務 / 一括受取の一時所得
提案された個人年金保険の課税関係に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 ⅰ)「私が提案している個人年金保険には個人年金保険料税制適格特約を付加しています。Aさんが支払う保険料は個人年金保険料控除の対象となり、その適用限度額は所得税で( ① )円、住民税で( ② )円です。年末調整の際に、弊社から送付する控除証明書を勤務先に提出すれば、個人年金保険料控除の適用を受けることができます」 ⅱ)「Aさんが確定年金として年金額を受け取る場合、その年金は( ③ )に該当し、所得税および住民税の課税対象となります。他方、Aさんが年金支払開始の際に年金額を一括して受け取った場合、その一時金は( ④ )に該当し、所得税および住民税の課税対象となります」
- イ
- 25,000
- ロ
- 28,000
- ハ
- 35,000
- ニ
- 40,000
- ホ
- 50,000
- へ
- 一時所得
- ト
- 雑所得
- チ
- 退職所得
- リ
- 配当所得
解答・解説を表示
解答
① ニ、② ロ、③ ト、④ へ
解説
平成24年以後の生命保険料控除(新制度)では所得税で各4万円・住民税で各2.8万円が上限であり、契約者と受取人が同一の個人年金保険は年金受取が雑所得、一時金受取が一括の一時所得として課税されます。
解き方
- 平成24年1月1日以後に締結した新制度の生命保険料控除(所得税最高40,000円、住民税最高28,000円)を確認し、①と②を選択する。
- 契約者=年金受取人の契約形態において、確定年金として受給する場合は雑所得、一括受取の一時金は一時所得に該当することを確認し、③と④を選択する。
- 選択肢 イ不正解
- 25,000円は旧制度(平成23年以前の契約)における住民税の控除限度額であり不適切です。
- 選択肢 ロ正解
- 新制度における住民税の個人年金保険料控除の最高限度額(28,000円)として適切です(空欄②)。
- 選択肢 ハ不正解
- 35,000円は生命保険料控除の各限度額の数値として該当しません。
- 選択肢 ニ正解
- 新制度における所得税の個人年金保険料控除の最高限度額(40,000円)として適切です(空欄①)。
- 選択肢 ホ不正解
- 50,000円は旧制度における所得税の控除限度額であり、新制度の契約では適用されません。
- 選択肢 へ正解
- 契約者本人が年金支払開始時に一括して受け取る一時金の所得区分として適切です(空欄④)。
- 選択肢 ト正解
- 契約者本人が毎年年金形式で受給する際の所得区分(雑所得)として適切です(空欄③)。
- 選択肢 チ不正解
- 個人年金保険の年金や一時金は退職手当等ではないため、退職所得には該当しません。
- 選択肢 リ不正解
- 個人年金保険の給付は株式の配当金等ではないため、配当所得には該当しません。
答えの内訳
- ①:ニ
- 新制度(平成24年1月1日以後の契約)における所得税の個人年金保険料控除の最高限度額は40,000円です。
- ②:ロ
- 新制度における住民税の個人年金保険料控除の最高限度額は28,000円です。
- ③:ト
- 契約者と年金受取人が同一人である個人年金保険から年金形式で受け取る年金は、公的年金等以外の雑所得に区分されます。
- ④:へ
- 契約者と受取人が同一人である個人年金保険において、年金開始時に年金を一括して受け取った一時金は一時所得に区分されます。
覚えるポイント
- 新制度の生命保険料控除の限度額は所得税4万円・住民税2.8万円(3区分合計で所得税12万円・住民税7万円)。
- 契約者=受取人の個人年金は年金受取なら雑所得、一時金受取なら一時所得。
間違えやすいところ
- 旧制度の限度額(所得税5万円・住民税3.5万円)と新制度(4万円・2.8万円)を取り違えないこと。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人年金保険の商品内容(税制適格特約・据置期間・解約返戻金の課税)
リスク管理 · 個人年金保険料税制適格特約の要件 / 据置期間と返戻率 / 金融類似商品と解約返戻金の課税
提案されている個人年金保険の商品内容等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 「私が提案している個人年金保険の受取方法は10年確定年金ですが、5年確定年金のタイプもあります。なお、5年確定年金とした場合、個人年金保険料税制適格特約は付加できませんのでご注意ください」 ② 「私が提案している個人年金保険の据置期間は60歳から5年間としておりますが、加入前に据置期間を変更することも可能です。仮に、据置期間を60歳からの10年間とした場合、年金受取率は高くなります」 ③ 「仮に、私が提案している個人年金保険を契約から5年以内に解約した場合、解約返戻金の額と既払込保険料相当額との差額が源泉分離課税の対象となりますが、解約返戻金の額が既払込保険料相当額を超えなければ、税金が課されることはありません」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
税制適格特約は年金支払期間10年以上等の厳格な要件を満たす必要があり、また保険料が平準払(月払)の契約は金融類似商品には該当せず5年以内解約でも源泉分離課税の対象にはなりません。
解き方
- 税制適格特約の年金受取期間の要件(10年以上の確定年金または終身年金)を確認し、5年確定年金には付加できない旨の適否(①)を判定する。
- 保険料払込満了後の据置期間を延ばすと運用期間が長くなり年金受取率が向上することを確認し、②の適否を判定する。
- 金融類似商品の範囲(一時払養老保険等の差益)を確認し、月払(平準払)個人年金保険は5年以内の解約でも源泉分離課税ではなく総合課税の一時所得となる点から③の適否を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 個人年金保険料税制適格特約を付加するためには、年金受取開始が60歳以降で受取期間が10年以上の定期(確定)年金または終身年金である必要があります。したがって受取期間が5年の確定年金では税制適格特約を付加できません。
- 小問 ②:○
- 保険料払込満了から年金支払開始までの据置期間を長く設定すると、据置期間中も積立金が保険会社によって運用されるため、受取年金総額および年金受取率(返戻率)は高くなります。
- 小問 ③:×
- 契約から5年以内に解約した際に差益が源泉分離課税(金融類似商品)となるのは一時払養老保険等に限られます。月払などの平準払の個人年金保険は金融類似商品に該当せず、解約差益が生じた場合でも一時所得として総合課税の対象となります。
覚えるポイント
- 税制適格特約の要件:年金受取人は被保険者と同一、受取開始60歳以上、年金受取期間10年以上、払込期間10年以上。
- 金融類似商品として5年以内解約が源泉分離課税となるのは一時払養老保険等であり、平準払(月払等)の保険は該当しない。
間違えやすいところ
- 月払の積立型保険を契約から5年以内に解約した場合でも、一時払商品と異なり源泉分離課税(金融類似商品)にはならない点に注意する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の金額 / 勤続年数の端数切上げ
Aさんが役員在任期間(勤続年数)30年6カ月でX社を退任し、役員退職金として6,000万円を受給した場合における退職所得の金額について、計算式の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、他に退職手当等の収入はなく、障害者となったことによる退職ではないものとする。 〈退職所得控除額〉 800万円+( ① )万円×(□□□年-20年)=( ② )万円 〈退職所得の金額〉 (6,000万円-( ② )万円)×△△△=( ③ )万円
解答・解説を表示
解答
① 70 ② 1,570 ③ 2,215
解説
退職所得の金額は、原則として「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」によって算出されます。勤続年数が20年を超える場合の退職所得控除額は「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」で計算し、勤続年数に1年未満の端数があるときは切り上げて1年として扱います。
解き方
- 勤続年数30年6カ月の1年未満の端数を切り上げて、勤続年数を31年とします。
- 退職所得控除額を「800万円+70万円×(31年-20年)=1,570万円」と計算します。
- 退職所得の金額を「(6,000万円-1,570万円)×1/2=2,215万円」と求めます。
答えの内訳
- ①:70
- 勤続年数が20年を超える場合、20年を超える年数1年あたりの退職所得控除額の加算額は70万円です。
- ②:1,570
- 勤続年数30年6カ月は端数切上げにより31年となり、800万円+70万円×(31年-20年)=1,570万円となります。
- ③:2,215
- 退職所得の金額は、(収入金額6,000万円-退職所得控除額1,570万円)×1/2=2,215万円と計算されます。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数(月数)は無条件で切り上げて1年として計算する。
- 勤続20年超の退職所得控除額は「800万円+70万円×(年数-20年)」である。
間違えやすいところ
- 端数の6カ月を切り捨てて30年として計算してしまう誤り。
- 控除後の金額に最後に1/2を乗じる計算を忘れてしまう誤り。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
長期平準定期保険の解約時における経理処理(仕訳)
リスク管理 · 長期平準定期保険 / 解約時の経理処理 / 前払保険料の取崩し / 雑収入
X社が契約している長期平準定期保険を現時点で解約した場合の経理処理(仕訳)について、次の<条件>をもとに空欄①~④に入る適切な語句または数値を語句群の中から選びなさい。 <条件> ・X社が解約時までに支払った保険料総額:4,200万円 ・解約返戻金の金額:3,400万円 ・配当等、上記以外の条件は考慮しない。 <解約返戻金受取時のX社の経理処理(仕訳)> 借方:現 金 ・ 預 金 ( ① )万円 貸方:前 払 保 険 料 ( ② )万円 ( ③ ) ( ④ )万円
- イ
- 700
- ロ
- 1,300
- ハ
- 1,400
- ニ
- 2,000
- ホ
- 2,100
- ヘ
- 3,400
- ト
- 4,200
- チ
- 雑損失
- リ
- 保険料積立金
- ヌ
- 雑収入
解答・解説を表示
解答
① ヘ ② ホ ③ ヌ ④ ロ
解説
契約日が平成12年の長期平準定期保険では、保険期間の前半6割相当期間中は支払保険料の2分の1を「前払保険料」として資産計上し、残りの2分の1を「定期保険料」として損金算入します。解約時には、それまで資産計上されていた前払保険料を取り崩し、受け取った解約返戻金との差額を雑収入(返戻金>資産計上額)または雑損失(返戻金<資産計上額)として計上します。
解き方
- 支払保険料総額4,200万円の1/2である2,100万円が前払保険料として資産計上されていることを確認します。
- 借方に受け取った解約返戻金額3,400万円(現金・預金)を計上します。
- 貸方に資産計上されていた前払保険料2,100万円を計上して取り崩します。
- 解約返戻金3,400万円から前払保険料2,100万円を控除した差額1,300万円を貸方に雑収入として計上します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ヘ
- 実際に受け取った解約返戻金の金額である3,400万円を借方の現金・預金に計上します。
- 小問 ②:ホ
- 支払保険料総額4,200万円の2分の1である2,100万円の前払保険料資産を取り崩して貸方に計上します。
- 小問 ③:ヌ
- 解約返戻金が資産計上額(前払保険料)を超過しているため、その差額は益金たる「雑収入」として処理します。
- 小問 ④:ロ
- 解約返戻金3,400万円と前払保険料2,100万円との差額である1,300万円を雑収入の金額とします。
覚えるポイント
- 長期平準定期保険の前半6割期間の資産計上勘定は「前払保険料」である。
- 解約返戻金と前払保険料累計額との差額は「雑収入」または「雑損失」となる。
間違えやすいところ
- 資産計上科目を終身保険や養老保険と同じ「保険料積立金」と混同してしまう誤り。
- 支払保険料全額が資産計上されていると誤解して差額を計算してしまう誤り。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人契約の終身保険の経理処理と活用法
リスク管理 · 法人契約の生命保険 / 終身保険 / 契約者貸付 / 契約者変更
MさんがAさんに対して説明した、提案中の終身保険(契約者・死亡保険金受取人:X社、被保険者:長男Bさん)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 「当該終身保険の保険料は、支払保険料の全額を資産に計上します。仮に、保険料払込満了時に長男Bさんが死亡した場合、配当等を考慮しなければ、X社はそれまで資産計上していた保険料積立金7,500万円を取り崩し、死亡保険金1億円との差額2,500万円を雑収入として経理処理します」 ② 「保険期間中にX社に緊急の資金需要が発生した場合、契約者貸付制度を活用することができます。ただし、契約者貸付を利用できる上限は、利用時点での解約返戻金相当額となります」 ③ 「将来、役員退職金の一部として契約者を長男Bさん、死亡保険金受取人を長男Bさんの相続人に名義変更することで、長男Bさん自身の相続対策(納税資金対策)にも活用することができます。ただし、名義変更時点において告知、診査が必要なため、長男Bさんの健康状態によっては名義変更できないこともあります」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
法人が契約者および死亡保険金受取人となり、役員等を被保険者とする終身保険では、支払保険料は全額「保険料積立金」として資産計上されます。死亡保険金受領時には、積立金を取り崩し差額を「雑収入」として処理します。また、契約者貸付の上限は解約返戻金の一定割合(一般に7~9割程度)であり、契約者の名義変更にあたって被保険者の告知や診査は原則として不要です。
解き方
- 記述①について、法人契約終身保険(契約者・受取人が法人、被保険者が役員)の保険料経理処理および死亡保険金受領時の仕訳ルールを確認し正誤を判定する。
- 記述②について、契約者貸付制度の貸付可能限度額が解約返戻金の100%相当額か、一定割合の範囲内かを確認し正誤を判定する。
- 記述③について、生命保険契約の契約者・受取人の名義変更時の要件(告知・診査の要否)を確認し正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 契約者・受取人が法人、被保険者が役員・従業員の終身保険の保険料は全額を資産(保険料積立金)に計上します。被保険者死亡時に法人が受け取った死亡保険金と資産計上額との差額は雑収入(益金)として処理するため適切です。
- 小問 ②:×
- 契約者貸付制度において借入れができる上限額は、利用時点での解約返戻金の全額(100%)ではなく、一定の範囲内(一般的には解約返戻金の70~90%程度)となります。
- 小問 ③:×
- 契約者および保険金受取人の名義変更は、保険契約上の権利義務の承継・移転手続きであり、被保険者自身の健康状態に関する告知や医師の診査は不要であるため不適切です。
覚えるポイント
- 法人契約の終身保険は全額資産計上(保険料積立金)。
- 契約者貸付の限度額は解約返戻金の一定範囲内(70~90%程度)。
- 生命保険の契約者名義変更には被保険者の告知・診査は不要。
間違えやすいところ
- 契約者貸付を解約返戻金の満額(100%)まで利用可能と誤認しないように注意する。
- 契約者変更の手続きと、新規加入や復活時の告知・診査手続きを混同しないようにする。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令・税制等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税における青色申告制度の要件と特典
タックスプランニング · 青色申告制度 / 青色申告特別控除 / 青色事業専従者給与 / 純損失の繰戻還付 / 帳簿書類の保存期間
所得税における青色申告制度に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 「寿司店を営むAさんは、開業時に所得税の青色申告の承認を受け、それ以来、毎年青色申告をしている。平成27年分の所得税においても、事業所得に係る取引を正規の簿記の原則により記録し、その記帳に基づいて作成された貸借対照表、損益計算書その他の計算明細書を確定申告書に添付して、申告期限内に提出すれば、青色申告特別控除として、最高( ① )万円を控除することができる。 Aさんが長男Cさんに支払う平成28年分以後の各年分の青色事業専従者給与額を必要経費に算入するためには、Aさんは青色事業専従者を有することとなった日から( ② )カ月以内に「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を提出しなければならない。 青色申告者が適用を受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除の適用、青色事業専従者給与の必要経費算入、( ③ )などが挙げられる。なお、青色申告者が備え付けるべき決算関係書類などの帳簿書類は、原則として( ④ )年間保存しなければならない。」 〈語句群〉 イ.1 ロ.2 ハ.3 ニ.4 ホ.7 ヘ.10 ト.55 チ.65 リ.損益通算 ヌ.雑損失の繰越控除 ル.純損失の繰戻還付
- イ
- 1
- ロ
- 2
- ハ
- 3
- ニ
- 4
- ホ
- 7
- ヘ
- 10
- ト
- 55
- チ
- 65
- リ
- 損益通算
- ヌ
- 雑損失の繰越控除
- ル
- 純損失の繰戻還付
解答・解説を表示
解答
① チ ② ロ ③ ル ④ ホ
解説
青色申告制度は、一定水準の記帳を行い確定申告書を提出する納税者に対して、税金計算上の各種特典を認める制度です。特典には最高65万円の青色申告特別控除、適正な青色事業専従者給与の全額必要経費算入、純損失の繰越控除および前年分への繰戻還付などがあります。帳簿書類の保存期間は原則として7年です。
解き方
- 空欄①:正規の簿記の原則により記帳し申告期限内に貸借対照表等を提出した場合の青色申告特別控除の最高限度額(65万円)を特定する。
- 空欄②:年の中途で新たに事業専従者を有することとなった場合の変更届出書の提出期限(その日から2カ月以内)を特定する。
- 空欄③:語句群から青色申告者固有の特典(純損失の繰戻還付)を選択する(損益通算や雑損失の繰越控除は白色申告でも可能)。
- 空欄④:青色申告者が備え付けるべき帳簿書類の原則的な保存期間(7年間)を特定する。
- 選択肢 イ不正解
- 青色事業専従者を有することとなった場合の提出期限は1カ月ではなく2カ月以内です。
- 選択肢 ロ正解
- 空欄②に該当します。青色事業専従者を有することとなった日から2カ月以内に届出書を提出します。
- 選択肢 ハ不正解
- 純損失の繰越期間は3年間ですが、空欄の選択肢としては該当しません。
- 選択肢 ニ不正解
- 4はいずれの空欄の数値にも該当しません。
- 選択肢 ホ正解
- 空欄④に該当します。青色申告の帳簿および決算関係書類等の保存期間は原則7年間です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 10万円の青色申告特別控除もありますが、正規の簿記の原則による申告期限内提出では最高65万円となります。
- 選択肢 ト不正解
- 平成27年当時の要件に基づく青色申告特別控除の最高額は55万円ではなく65万円です。
- 選択肢 チ正解
- 空欄①に該当します。正規の簿記の原則に従い貸借対照表等を添付して申告期限内に提出する場合の青色申告特別控除の最高額は65万円です。
- 選択肢 リ不正解
- 損益通算は青色申告者に限られた特典ではなく、白色申告者でも適用されます。
- 選択肢 ヌ不正解
- 雑損失の繰越控除は白色申告者でも適用が認められている制度であり、青色申告固有の特典ではありません。
- 選択肢 ル正解
- 空欄③に該当します。純損失の繰戻還付は青色申告者のみに認められた税務上の特典です。
答えの内訳
- ①:チ
- 事業所得または不動産所得を生ずべき事業を営む青色申告者が、正規の簿記の原則に従って記帳し、貸借対照表および損益計算書を添付して申告期限内に申告した場合、最高65万円(チ)の青色申告特別控除が受けられます(2015年当時)。
- ②:ロ
- 年の中途で新たに青色事業専従者を有することとなった場合、その専従者を有することとなった日から2カ月(ロ)以内に「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければなりません。
- ③:ル
- 青色申告の主な特典には、青色申告特別控除、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の繰越控除(3年間)、純損失の繰戻還付(ル)などがあります(損益通算や雑損失の繰越控除は白色申告でも適用可能です)。
- ④:ホ
- 青色申告者が備え付けるべき帳簿書類(帳簿、決算関係書類、現金預金取引等関係書類)の保存期間は、原則として7年間(ホ)と定められています。
覚えるポイント
- 青色申告特別控除の最高額は65万円(複式簿記・貸借対照表添付・期限内申告)。
- 青色専従者給与の変更届出書は専従者を有することとなった日から2カ月以内。
- 青色申告の特典:純損失の繰越控除(3年)・純損失の繰戻還付(前年分)。
- 青色申告の帳簿書類保存期間は原則7年間。
間違えやすいところ
- 損益通算や雑損失の繰越控除を青色申告固有の特典と誤認しないように注意する(純損失の繰越し・繰戻しが青色申告の特典)。
- 年の途中で専従者が増えた場合の提出期限を「1カ月以内」や「申告期限まで」と勘違いしないようにする。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の所得税法・法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主が支払う保険料の税務上の取扱い
タックスプランニング · 事業所得の必要経費 / 生命保険料控除 / 個人事業主の保険料
個人事業主であるAさんが支払う生命保険および損害保険の保険料に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人をAさん、被保険者を青色事業専従者である妻Bさんとする定期保険(10年更新)に加入した場合、Aさんが支払う保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費として認められる。 ② 契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を妻Bさんとする終身保険に加入した場合、Aさんが支払う保険料は、生命保険料控除の対象となる。 ③ 契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさん、死亡保険金受取人を法定相続人とする傷害保険に加入した場合、Aさんが支払う保険料は、事業所得の金額の計算上、必要経費として認められる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
個人事業主が支払う保険料が必要経費になるのは、生計を一にしない従業員等の福利厚生等に充てる場合に限られ、事業主自身や専従者(生計を一にする親族)を被保険者とする生命保険・傷害保険の保険料は必要経費にならず、要件を満たせば生命保険料控除等の対象となります。
解き方
- 各保険契約における契約者、被保険者、受取人の関係および対象者が事業主本人や親族であるかを確認する。
- 事業主本人や生計を一にする専従者の身体事故・死亡を対象とする保険料は必要経費にならず家計費(事業主貸)となるルールを適用する。
- 受取人が配偶者等の親族である生命保険契約について、所得控除(生命保険料控除)の対象となるか判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 個人事業主が生計を一にする配偶者や親族(青色事業専従者を含む)を被保険者とし、自己を受取人とする定期保険に加入して支払った保険料は、事業上の必要経費には算入されず、家計上の支出(事業主貸)として処理されます。
- 小問 ②:○
- 契約者(保険料負担者)が本人で、保険金受取人が本人または配偶者その他の親族となっている終身保険の保険料は、所得控除のうち一般生命保険料控除の対象となります。
- 小問 ③:×
- 個人事業主自身を被保険者とする傷害保険等の保険料は、事業主個人の身体の危険に備える家計上の支出であり、事業所得の必要経費には算入できません。
覚えるポイント
- 個人事業主本人や生計を一にする専従者親族を被保険者とする生命保険・傷害保険の保険料は事業の必要経費にならない
間違えやすいところ
- 法人が役員・従業員を被保険者として加入する場合の経理処理と混同しないように注意する
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の総所得金額および所得税の算出税額の計算
タックスプランニング · 雑所得の計算 / 一時所得の計算 / 総所得金額 / 超過累進税率
Aさんの平成27年分の収入等に関する資料に基づき、下記の空欄①~③に入る数値を求めなさい。なお、所得控除の合計額は1,500,000円とする。 <資料> ・事業所得の金額:4,000,000円(青色申告特別控除後) ・個人年金保険の年金額:1,000,000円(必要経費800,000円) ・満期保険金(養老保険):4,400,000円(正味払込済保険料3,600,000円、契約者・被保険者・満期受取人はAさん) <計算表> 事業所得の金額:4,000,000円 雑所得の金額:( ① )円 一時所得の金額:□□□円 (a)総所得金額:( ② )円 (b)所得控除の額の合計額:1,500,000円 (c)課税総所得金額((a)-(b)):□□□円 (d)算出税額((c)に対する所得税額):( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 200,000 ② 4,350,000 ③ 187,500
解説
総所得金額の算定では、各種所得を合算する際に一時所得の金額(収入-支出-特別控除最高50万円)を2分の1にして総所得金額に含めます。求めた総所得金額から所得控除額を差し引いて課税総所得金額を算出し、速算表の超過累進税率を適用して所得税額を計算します。
解き方
- 個人年金保険の雑所得(収入金額-必要経費)を計算する。
- 養老保険の満期保険金の一時所得(収入金額-支出金額-特別控除50万円)を算出し、総所得金額算入時に2分の1にする。
- 事業所得、雑所得、一時所得の1/2を合算して総所得金額(a)を算出する。
- 総所得金額から所得控除額1,500,000円を差し引いて課税総所得金額(c)を求める。
- 課税総所得金額に速算表の税率を乗じ、控除額を差し引いて算出税額(d)を計算する。
答えの内訳
- ①:200,000
- 個人年金保険の確定年金に係る雑所得の金額は、総収入金額1,000,000円から必要経費800,000円を差し引いた200,000円となります。
- ②:4,350,000
- 満期保険金に係る一時所得の金額は、収入金額4,400,000円-払込保険料3,600,000円-特別控除500,000円=300,000円です。総所得金額に算入するのは一時所得の2分の1である150,000円となるため、総所得金額は事業所得4,000,000円+雑所得200,000円+一時所得の1/2相当額150,000円=4,350,000円となります。
- ③:187,500
- 課税総所得金額は総所得金額4,350,000円-所得控除1,500,000円=2,850,000円です。速算表(195万円超330万円以下:税率10%、控除額97,500円)を適用し、2,850,000円×10%-97,500円=187,500円となります。
覚えるポイント
- 一時所得を総所得金額へ合算する際は必ず2分の1(損益通算後の残額×1/2)にすることを忘れない
間違えやすいところ
- 満期保険金の一時所得の特別控除(最高50万円)の控除漏れや、総所得金額合算時の1/2計算忘れに注意する
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 法定相続人 / 死亡保険金の非課税限度額 / 基礎控除額 / 相続税の総額
設例のAさんの親族関係および各人が取得予定の相続財産等の資料に基づき、相続税の総額の試算表における空欄①~④に入る数値を求めなさい(単位:万円)。 <親族関係・取得財産> ・被相続人Aさん、妻Bさん、長女Cさん、二女Dさん、孫Eさん(Aさんの普通養子、二女Dさんの子) ・妻Bさん取得財産:現預金2,000万円、自宅敷地2,000万円(小規模宅地特例適用後)、自宅建物1,000万円、X社株式1億5,000万円、死亡退職金5,000万円 ・長女Cさん取得財産:現預金1,000万円、死亡保険金2,000万円 ・二女Dさん取得財産:現預金3,000万円 ・孫Eさん取得財産:現預金600万円
解答・解説を表示
解答
① 1,000 ② 5,400 ③ 540 ④ 4,360
解説
相続税の総額を計算する際は、まず法定相続人の数を正確に確定し、みなし相続財産の非課税限度額や遺産に係る基礎控除額を算出します。課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を求め、それを法定相続分に応じて按分した上で各人ごとの仮の税額を計算し、合算して総額を求めます。
解き方
- 実子がいる場合の普通養子の算入制限(1人まで)に基づき、法定相続人の数を4人と確定する。
- 死亡保険金および死亡退職金の非課税限度額(500万円×4人=2,000万円)を適用し、各人の課税価格を計算する。
- 課税価格の合計額(2億7,600万円)から基礎控除額(5,400万円)を控除して課税遺産総額(2億2,200万円)を算出する。
- 課税遺産総額を法定相続分で按分し、相続税の速算表を適用して各人の税額を求め、それらを合計して相続税の総額を算出する。
答えの内訳
- ①:1,000
- 被相続人には実子(長女C、二女D)がいるため、法定相続人に含められる養子の数は1人です。したがって法定相続人は妻B、長女C、二女D、普通養子Eの計4人となります。死亡保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数(4人)=2,000万円」です。長女Cさんが受け取った死亡保険金2,000万円は非課税限度額の全額控除により課税価格への算入額が0円となるため、長女Cさんに係る課税価格は現預金1,000万円のみとなり、1,000万円です。
- ②:5,400
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出されます。本問の法定相続人の数は4人(配偶者、実子2人、普通養子1人)であるため、「3,000万円+600万円×4人=5,400万円」となります。
- ③:540
- 課税価格の合計額は、妻Bさん2億3,000万円(現預金2,000万+敷地2,000万+建物1,000万+株式1億5,000万+死亡退職金課税分3,000万)、長女Cさん1,000万円、二女Dさん3,000万円、孫Eさん600万円の合計2億7,600万円です。課税遺産総額は「2億7,600万円-基礎控除5,400万円=2億2,200万円」となります。二女Dさんの法定相続分は「1/2×1/3=1/6」であり、法定相続分に応ずる取得金額は「2億2,200万円×1/6=3,700万円」です。速算表より税額は「3,700万円×20%-200万円=540万円」となります。
- ④:4,360
- 各人の法定相続分に応ずる取得金額に対応する税額は、妻Bさんが「2億2,200万円×1/2=1億1,100万円」より「1億1,100万円×40%-1,700万円=2,740万円」、長女Cさん・二女Dさん・普通養子Eさんは各「2億2,200万円×1/6=3,700万円」よりそれぞれ540万円となります。したがって、相続税の総額は「2,740万円+540万円×3=4,360万円」となります。
覚えるポイント
- 実子がいる場合の法定相続人に含められる養子の数は1人まで。
- 死亡保険金および死亡退職金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」。
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。
間違えやすいところ
- 実子がいるにもかかわらず養子を複数人カウントしてしまう誤り。
- 死亡退職金や死亡保険金の非課税限度額の計算で法定相続人の数を誤るミス。
- 相続税の総額計算において実際の遺産分割割合で按分して税率を掛けてしまう間違い。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配偶者の税額軽減・2割加算・申告期限
相続・事業承継 · 配偶者に対する相続税額の軽減 / 相続税額の2割加算 / 相続税の申告期限
Aさんの相続に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「配偶者に対する相続税額の軽減の規定の適用を受けた場合、妻Bさんが納付すべき相続税額は算出されません」 ② 「孫Eさんは、いわゆる孫養子に該当しますので、相続税額の2割加算の対象になります」 ③ 「相続税の申告書の提出期限は、原則として、平成28年10月4日となります」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
相続税法において、配偶者控除(税額軽減)は1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い額まで税額が免除される仕組みです。また、一親等の血族であっても代襲相続人でない孫養子は2割加算の対象となり、申告期限は相続開始を知った翌日から10カ月以内と規定されています。
解き方
- 妻Bさんの課税価格と配偶者の税額軽減限度額(1億6,000万円または法定相続分相当額)を比較し、納付税額が生じるかを判断する。
- 養子である孫Eさんについて代襲相続人に該当するかを確認し、2割加算の対象かを判定する。
- 被相続人の死亡日(平成28年1月4日)から翌日起算で10カ月後の申告期限(平成28年11月4日)を算出して正誤を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 配偶者に対する相続税額の軽減では、配偶者の取得した正味の遺産額が「1億6,000万円」または「課税価格の合計額に対する法定相続分相当額(2億7,600万円×1/2=1億3,800万円)」のいずれか多い金額まで非課税となります。妻Bさんの課税価格は2億3,000万円であり、この非課税枠(1億6,000万円)を超えているため、妻Bさんにも納付すべき相続税額が算出されます。
- 小問 ②:○
- 被相続人の養子となった孫(孫養子)は、一親等の血族であっても、代襲相続人である場合を除き相続税額の2割加算の対象となります。孫Eさんの親である二女Dさんは生存しており代襲相続人ではないため、孫Eさんは2割加算の対象となります。
- 小問 ③:×
- 相続税の申告書の提出期限は、原則として「相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内」です。Aさんは平成28年1月4日に死亡しているため、申告期限は平成28年11月4日となります。記述の「平成28年10月4日」は誤りです。
覚えるポイント
- 配偶者の税額軽減は「1億6,000万円」または「法定相続分相当額」の大きい方まで非課税。
- 代襲相続人ではない孫養子は相続税額の2割加算の対象。
- 相続税の申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から「10カ月以内」。
間違えやすいところ
- 配偶者であれば財産の全額が無条件で非課税になると勘違いするミス。
- 孫養子は一親等の養子であるため2割加算の対象外であると誤解するパターン。
- 相続税の申告期限を「10カ月」ではなく所得税の準確定申告(4カ月)や民法の放棄・限定承認(3カ月)と混同する誤り。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の特例・事業承継税制・相続税の非課税限度額
相続・事業承継 · 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / 非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例 / 死亡保険金の非課税限度額 / 法定相続人の数に含める養子の数
Aさんの相続(一次相続)および妻Bさんの相続(二次相続)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「Aさんの相続において、妻Bさんが取得する自宅の敷地が『特定居住用宅地等』に該当する場合、相続税の課税価格の計算上、330㎡までの部分について80%の減額が受けられます。仮に、妻Bさんが相続税の申告期限まで居住を継続しなかった場合、あるいは当該宅地を売却した場合でも、当該宅地は『特定居住用宅地等』として適用を受けることができます」 ② 「妻Bさんの相続が開始する前に、孫EさんにX社株式を生前贈与する方法として、『非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例』の適用が考えられます。本特例の適用を受けた場合、孫Eさんが納付すべき贈与税額のうち、対象となる非上場株式等に対応する贈与税額の80%を限度として納税が猶予されます」 ③ 「妻Bさんの相続が開始する前に、妻Bさんを契約者および被保険者、法定相続人を死亡保険金受取人とする終身保険に加入し、相続における『死亡保険金の非課税金額の規定』を活用することをお勧めします。妻Bさんが孫Eさんだけでなく、孫Fさんおよび孫Gさんも普通養子にすれば、死亡保険金の非課税限度額を増やすことができます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
相続税の実務では、配偶者に対する優遇(小規模宅地等の要件緩和)、事業承継税制における猶予割合(贈与税は全額・相続税は8割)、および税負担軽減目的の養子縁組を抑制するための法定相続人算入制限(実子ありの場合は養子1人まで)を正しく区別して把握する必要があります。
解き方
- 記述①について、配偶者が取得する特定居住用宅地等の適用要件(居住継続・所有継続要件の有無)を確認し、適否を判定する。
- 記述②について、非上場株式等の贈与税の納税猶予特例における納税猶予割合が全額(100%)である点を確認し、適否を判定する。
- 記述③について、被相続人に実子がいる場合に法定相続人の数に含められる養子の数(1人まで)を確認し、生命保険金の非課税枠が増加するか判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 被相続人の配偶者が取得する特定居住用宅地等については、居住継続要件や所有継続要件が課されていないため、申告期限までに転居・売却した場合でも80%減額(限度面積330㎡)の適用を受けることができます。
- 小問 ②:×
- 非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例において、納税猶予される贈与税額は、対象となる非上場株式等に対応する贈与税の「全額(100%)」です。80%ではありません。
- 小問 ③:×
- 被相続人に実子がいる場合、相続税法上の法定相続人の数に算入できる普通養子の数は1人までに制限されます。妻Bさんには実子(長女Cさん・二女Dさん)がいるため、養子を複数人に増やしても非課税限度額は増額されません。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等:配偶者取得なら無条件で適用可能(居住・所有継続要件なし)。
- 事業承継税制(一般措置):贈与税の猶予割合は100%、相続税の猶予割合は80%。
- 相続税法上の法定相続人の数に算入できる養子:実子がいるときは1人、実子がいないときは2人まで。
間違えやすいところ
- 事業承継税制において贈与税と相続税の猶予割合を取り違える誤り。
- 配偶者の特定居住用宅地等にも同居親族と同様の申告期限までの居住継続要件が必要であると勘違いする誤り。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2016年1月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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