日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の概要
中小企業退職金共済制度(中退共)の加入要件と制度内容
中小事業主資産相談業務 · 中小企業退職金共済制度 / 加入要件 / 掛金月額 / 助成制度 / 分割払い
設例のX社(サービス業、資本金2,000万円、従業員50人・うちパート25人)における中小企業退職金共済制度(中退共)の導入に関する次の説明文について、空欄①~④に入る最も適切な数値を〈数値群〉の中から選びなさい。 「サービス業に該当するX社は、常用従業員数( ① )人以下または資本金・出資金の額5,000万円以下の条件を満たしていますので、中退共に加入することができます。 掛金は、被共済者(従業員)1人につき月額5,000円から( ② )円までの範囲から選択し、事業主が全額負担します。また、中退共に新たに加入する事業主に対して、掛金月額の2分の1(被共済者1人ごとに5,000円が上限)を加入後( ③ )カ月目から1年間、国が助成する制度があります。 被共済者が退職したときは本人に退職金が支給されます。また、退職金が所定の金額以上、退職日の年齢が( ④ )歳以上などの要件を満たした場合は、共済金の全部または一部を分割払いにすることもできます」
- イ
- 2
- ロ
- 4
- ハ
- 6
- ニ
- 50
- ホ
- 60
- ヘ
- 65
- ト
- 70
- チ
- 100
- リ
- 300
- ヌ
- 20,000
- ル
- 30,000
- ヲ
- 40,000
解答・解説を表示
解答
① チ、② ル、③ ロ、④ ホ
解説
中退共は単独で退職金制度を設けることが困難な中小企業のために設けられた共済制度です。業種ごとの資本金・従業員数要件を満たす事業主が加入でき、掛金の上限・助成期間・分割支給要件などが細かく定められています。
解き方
- サービス業の加入要件(常用従業員100人以下または資本金5,000万円以下)を確認して①を決定する。
- 一般従業員の掛金上限(月額30,000円)から②を決定する。
- 国による新規加入助成の開始月(加入後4カ月目から1年間)から③を決定する。
- 退職金分割払いの受給要件(退職日年齢60歳以上等)から④を決定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:チ
- 中退共の加入要件において、サービス業の基準は「資本金・出資金5,000万円以下または常用従業員数100人以下」と定められています。
- 小問 ②:ル
- 一般従業員の掛金月額は、月額5,000円から30,000円までの16種類の中から選択し、事業主が全額負担します。
- 小問 ③:ロ
- 新規加入掛金助成制度では、掛金月額の2分の1(上限5,000円)が加入後4カ月目から1年間、国から助成されます。
- 小問 ④:ホ
- 退職金共済金を分割払いで受給するためには、退職日の年齢が60歳以上であり、かつ一定額以上の退職金があること等の要件を満たす必要があります。
覚えるポイント
- 中退共の加入要件:サービス業は100人以下または5,000万円以下、小売業は50人以下または5,000万円以下、卸売業は100人以下または1億円以下、一般業種は300人以下または3億円以下です。
間違えやすいところ
- 小売業(50人)とサービス業(100人)の従業員数基準を取り違えやすいため注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令(中小企業退職金共済法)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金(企業型年金)の制度概要と拠出・給付ルール
中小事業主資産相談業務 · 確定拠出年金 / 企業型年金 / 拠出限度額 / マッチング拠出 / 投資教育 / 老齢給付金受給要件
確定拠出年金の企業型年金に関する次の記述①~④について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「企業型年金の掛金には拠出限度額が定められており、X社のように企業年金制度がない企業の拠出限度額は月額5万1,000円、他の企業年金制度がある企業の拠出限度額は月額2万5,500円です」 ② 「企業型年金の掛金は、原則として事業主が拠出しますが、企業型年金に係る規約に定めれば、加入者(従業員)も事業主掛金の2倍相当額を限度として掛金を拠出することができます」 ③ 「事業主は、その実施する企業型年金の加入者等に対し、これらの者が行う個人別管理資産の運用の指図に資するため、資産の運用に関する基礎的な資料の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければなりません」 ④ 「加入者(従業員)が確定拠出年金の老齢給付金を60歳から受給するためには、60歳時点で20年以上の通算加入者等期間が必要となります」
- ○
- 記述が適切である。
- ×
- 記述が不適切である。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ×、③ ○、④ ×
解説
確定拠出年金法に基づく企業型年金では、税制適格要件として掛金の拠出限度額が規定されており、従業員が上乗せ拠出するマッチング拠出の制限、事業主による継続的投資教育の努力義務、受給開始年齢と通算加入者等期間の要件などが細かく定められています。
解き方
- 企業型年金の法令基準日における月額拠出限度額(他制度なし55,000円/あり27,500円)を確認し、①の正誤を判定する。
- マッチング拠出における加入者掛金の上限ルール(事業主掛金額以下かつ合算して拠出限度額以下)を確認し、②の正誤を判定する。
- 事業主の運用関連資料提供等の努力義務規定を確認し、③の正誤を判定する。
- 60歳時点で老齢給付金を受給するための通算加入者等期間要件(10年以上)を確認し、④の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 法令基準日現在、他の企業年金制度がない企業の企業型年金拠出限度額は月額55,000円、他の企業年金制度がある企業は月額27,500円です(設問の51,000円・25,500円は改正前の金額です)。
- 小問 ②:×
- 加入者掛金(マッチング拠出)の額は、事業主掛金の額を超えてはならず、かつ事業主掛金と合算して拠出限度額以下でなければなりません。「事業主掛金の2倍相当額を限度」とする点は誤りです。
- 小問 ③:○
- 事業主は、加入者等に対して資産の運用に関する基礎的な資料の提供その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないと定められています(継続的な投資教育の努力義務)。
- 小問 ④:×
- 確定拠出年金の老齢給付金を60歳から受給するために必要な通算加入者等期間は、20年以上ではなく「10年以上」です。
覚えるポイント
- マッチング拠出の制限:加入者掛金 ≦ 事業主掛金、かつ、加入者掛金 + 事業主掛金 ≦ 拠出限度額(月額55,000円等)。老齢給付金の60歳受給には通算加入者等期間10年以上が必要です。
間違えやすいところ
- 企業型年金の拠出限度額は過去に引き上げ(51,000円→55,000円)が行われているため、旧制度の数値を誤って適用しないよう注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令(確定拠出年金法)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種係数を活用した積立額および年金受取額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 減債基金係数 / 年金現価係数 / 資本回収
係数を活用して毎年の掛金の額(積立額)等を試算した以下の文章の空欄①および②に入る最も適切な数値を、資料の係数表から適切な係数をそれぞれ1つ利用して求めなさい。なお、掛金は年1回拠出するものとし、税金や手数料等は考慮せず、答は円未満を四捨五入すること。 Ⅰ「2%で複利運用しながら20年後に1,200万円を準備するために必要な毎年の掛金の額(積立額)は、( ① )円と試算されます」 Ⅱ「1,200万円を2%で複利運用しながら10年間で均等に取り崩した場合、毎年受け取れる年金額は、( ② )円と試算されます」 〈年利率2%の各種係数〉 10年:終価係数 1.2190、現価係数 0.8203、年金現価係数 8.9826、減債基金係数 0.0913 20年:終価係数 1.4859、現価係数 0.6730、年金現価係数 16.3514、減債基金係数 0.0412
解答・解説を表示
解答
① 494,400(円) ② 1,335,916(円)
解説
将来の目標額を積み立てるには減債基金係数を掛け、現在の元本から一定期間取り崩す年金額は年金現価係数で除して計算します。
解き方
- 空欄①は将来の目標額1,200万円に対する積立額なので、20年・2%の減債基金係数0.0412を乗じて算出します。
- 空欄②は現在の元本1,200万円を取り崩す年金額なので、10年・2%の年金現価係数8.9826で元本を除して円未満を四捨五入します。
答えの内訳
- ①:494,400
- 将来の目標額1,200万円を用意するための毎年の積立額を求めるため、20年・2%の減債基金係数(0.0412)を用います。12,000,000円×0.0412=494,400円となります。
- ②:1,335,916
- 手持ち資金1,200万円を元本として10年間で均等に取り崩す年金額を求めるため、10年・2%の年金現価係数(8.9826)で割ります。12,000,000円÷8.9826=1,335,916.10…円となり、円未満四捨五入で1,335,916円となります。
覚えるポイント
- 減債基金係数は将来の目標金額から毎年の積立額を求める際に乗じる係数です。
- 年金原資から毎年の受取年金額を求める際は資本回収係数を乗じるか年金現価係数で除します。
間違えやすいところ
- 空欄②で資本回収係数が表にない場合に混乱しやすいですが、年金現価係数の逆数関係を利用して除算で求めます。
- 期間の取り違え(10年と20年)に注意して適切な行の係数を選択する必要があります。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人向け国債の商品性(発行頻度・下限金利・中途換金ルール)
金融資産運用 · 個人向け国債 / 中途換金 / 下限金利
個人向け国債の特徴について説明した以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、下記の〈語句群〉のイ~ヌのなかから選び、その記号を解答用紙に記入しなさい。 「個人向け国債には、変動金利型10年満期、固定金利型5年満期、固定金利型3年満期があります。個人向け国債は、その種類にかかわらず、購入単位は( ① )万円単位で、( ② )発行されます。 固定金利型5年満期と固定金利型3年満期は、発行時に決定された利率が満期まで変わりません。他方、変動金利型10年満期は、適用利率が半年ごとに見直されますが、適用利率は( ③ )が下限とされています。 個人向け国債は、原則として、発行後1年を経過すればいつでも中途換金することができ、換金代金は、額面金額に経過利子相当額を加えた額から直前( ④ )回分の利子相当額を控除した金額となります」 〈語句群〉 イ.1 ロ.2 ハ.5 ニ.10 ホ.毎月 ヘ.四半期ごとに ト.半年ごとに チ.0.01% リ.0.05% ヌ.0.10%
- イ
- 1
- ロ
- 2
- ハ
- 5
- ニ
- 10
- ホ
- 毎月
- ヘ
- 四半期ごとに
- ト
- 半年ごとに
- チ
- 0.01%
- リ
- 0.05%
- ヌ
- 0.10%
解答・解説を表示
解答
① イ ② ホ ③ リ ④ ロ
解説
個人向け国債は個人が手軽に購入できるよう1万円単位・毎月発行で設計され、元本割れを防ぐ最低保証金利や中途換金ルールが整備されています。
解き方
- 購入単位(額面1万円)および発行スケジュール(毎月発行)の基本スペックを確認して空欄①にイ、空欄②にホを選びます。
- 変動金利型10年満期の利率の下限保証が年0.05%であることを確認して空欄③にリを選びます。
- 原則として発行後1年経過後に中途換金が可能であり、控除される利子が直前2回分であることから空欄④にロを選びます。
- 選択肢 イ正解
- 購入単位は額面「1」万円単位であるため、空欄①の正答として適切です。
- 選択肢 ロ正解
- 中途換金時の調整額として控除されるのは直前「2」回分の利子相当額であるため、空欄④の正答として適切です。
- 選択肢 ハ不正解
- 個人向け国債の購入単位や控除される利子の回数として5は誤りです。
- 選択肢 ニ不正解
- かつての国債や他の商品にある単位ですが、個人向け国債の購入単位(1万円)としては誤りです。
- 選択肢 ホ正解
- 個人向け国債は現在「毎月」発行されているため、空欄②の正答として適切です。
- 選択肢 ヘ不正解
- 以前は年4回(四半期ごと)発行されていましたが、現在は毎月発行に変更されているため誤りです。
- 選択肢 ト不正解
- 利払いは半年ごとに行われますが、新規発行の頻度としては誤りです。
- 選択肢 チ不正解
- 最低保証利率は0.01%ではなく0.05%であるため誤りです。
- 選択肢 リ正解
- 個人向け国債の適用利率の下限は「0.05%」と定められているため、空欄③の正答として適切です。
- 選択肢 ヌ不正解
- 最低保証利率は0.10%ではなく0.05%であるため誤りです。
答えの内訳
- ①:イ
- 個人向け国債は、変動10年・固定5年・固定3年のいずれも額面1万円単位で購入可能です。
- ②:ホ
- 個人向け国債の発行頻度は、2014年以降すべてのタイプで「毎月」発行となっています。
- ③:リ
- 個人向け国債の最低金利保証(下限)は、年0.05%(税引前)に設定されています。
- ④:ロ
- 発行後1年経過後に中途換金する場合の中途換金調整額は、直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685となります。
覚えるポイント
- 個人向け国債の購入単位は1万円単位、発行頻度は毎月発行です。
- 個人向け国債の最低保証金利は年0.05%、中途換金調整額は直前2回分の各利子相当額×0.79685です。
間違えやすいところ
- 中途換金調整額で差し引かれる利子回数は「直前1回分」ではなく「直前2回分(1年分)」です。
- 下限金利を0.01%や0.10%と混同しないよう0.05%を確実に覚える必要があります。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資指標の比較と企業分析(PER・PBR・ROE・配当利回り・配当性向)
金融資産運用 · 株式投資指標 / PER / PBR / ROE / 配当利回り / 配当性向
次の財務データに基づき、株式の投資指標に関する記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 〈財務データ〉 ・X社:総資産5,000億円、自己資本1,500億円、当期純利益100億円、年間配当金1株当たり6円、発行済株式数3億9,000万株、株価700円 ・Y社:総資産8,000億円、自己資本3,000億円、当期純利益180億円、年間配当金1株当たり8円、発行済株式数6億5,000万株、株価1,000円 ① X社株式とY社株式を、株式の代表的な投資指標であるPERとPBRで比較すると、いずれもX社株式のほうが低いため、Y社株式よりもX社株式のほうが相対的に割安であるといえます。 ② X社とY社を、企業の収益性を測る指標の1つであるROEで比較すると、Y社のほうが高いため、X社よりもY社のほうが相対的に収益性は高いといえます。 ③ X社とY社を、配当金額から企業を評価する代表的な指標である配当性向と配当利回りで比較すると、いずれもX社のほうが高いため、Y社よりもX社のほうが相対的に株主への利益還元が高いといえます。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
PER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)は数値が低いほど割安と判断されます。一方、ROE(自己資本利益率)は自己資本を活用してどれだけ効率的に利益を稼ぎ出したかを示すため高いほど収益性が優れます。配当性向は当期純利益に占める配当金の割合であり、配当利回りは株価に対する年間配当金の割合を表します。
解き方
- 1株当たり純利益(EPS)や1株当たり純資産(BPS)または時価総額を求め、各社のPERおよびPBRを算出して割安度を比較する。
- 「当期純利益÷自己資本」によりROEを計算し、どちらの収益性が高いかを確認する。
- 配当性向(配当総額÷純利益)および配当利回り(1株配当÷株価)を計算し、還元度の記述の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 時価総額÷当期純利益で求めるPERは、X社が約27.3倍、Y社が約36.1倍です。また時価総額÷自己資本で求めるPBRは、X社が1.82倍、Y社が約2.17倍です。いずれもX社株式のほうが低いため割安と評価できます。
- 小問 ②:×
- ROE(自己資本利益率)は「当期純利益÷自己資本×100」で算出します。X社は100億円÷1,500億円×100≒6.67%、Y社は180億円÷3,000億円×100=6.00%となり、X社のほうが高いため収益性はX社のほうが高くなります。
- 小問 ③:×
- 配当性向は「年間配当総額÷当期純利益×100」で求められ、X社は(6円×3.9億株)÷100億円=23.4%、Y社は(8円×6.5億株)÷180億円≒28.89%となり、Y社のほうが高いため誤りです。
覚えるポイント
- PERとPBRは値が小さいほど株価が割安であると評価される。
- ROEは「当期純利益÷自己資本×100」で計算し、値が高いほど資本効率・収益性が高い。
間違えやすいところ
- 配当利回りと配当性向を混同しやすい。利回りは株価基準、性向は純利益基準である。
- ROEの分母に総資産(ROAの分母)を使って計算してしまう誤りに注意する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
債券の各種利回り計算(直接利回り・最終利回り・所有期間利回り)
金融資産運用 · 債券投資 / 直接利回り / 最終利回り / 所有期間利回り / 単利計算
《設例》の〈Z社社債の条件〉に基づいて算出されるZ社社債の利回りに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。なお、税金や手数料等は考慮せず、いずれも表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 〈Z社社債の条件〉 購入価格 : 額面100円当たり102.50円 表面利率 : 1.50% 残存期間 : 5年 ① Z社社債を購入した場合の直接利回りは、1.46%である。 ② Z社社債を購入し、償還まで保有した場合の最終利回り(単利)は、0.98%である。 ③ Z社社債を購入し、3年後に額面100円当たり103.50円で売却した場合の所有期間利回り(単利)は、1.95%である。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
債券の利回り計算(単利)では、年ごとの利子収入に加えて年換算した償還差損益(または売却差損益)を合算し、それを投資元本である購入価格で除して100を乗じることで投資利回りを求めます。
解き方
- 直接利回りの式(表面利率÷購入価格×100)に数値を代入し、端数処理を行う。
- 最終利回りの式([表面利率+(100-購入価格)÷残存年数]÷購入価格×100)を計算し、端数処理を行う。
- 所有期間利回りの式([表面利率+(売却価格-購入価格)÷所有年数]÷購入価格×100)を計算し、端数処理を行って正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 直接利回りは「表面利率÷購入価格×100」で算出します。1.50÷102.50×100≒1.4634%となり、小数点以下第3位を四捨五入すると1.46%となるため適切です。
- 小問 ②:○
- 最終利回りは「[表面利率+(償還価格100円-購入価格)÷残存年数]÷購入価格×100」で算出します。[1.50+(100-102.50)÷5]÷102.50×100=1.00÷102.50×100≒0.9756%となり、四捨五入して0.98%となるため適切です。
- 小問 ③:×
- 所有期間利回りは「[表面利率+(売却価格-購入価格)÷所有年数]÷購入価格×100」で算出します。[1.50+(103.50-102.50)÷3]÷102.50×100≒1.8333÷102.50×100≒1.7886%となり、四捨五入すると1.79%となるため不適切です。
覚えるポイント
- 債券利回り(単利)の分母は常に「購入価格」である(額面100円ではない)。
- 直接利回りには償還差損益は含めず、インカムゲイン(表面利率)のみを対象とする。
間違えやすいところ
- 分母を購入価格ではなく額面(100円)で割ってしまうミスが多い。
- 償還差損益を計算する際に、残存年数や所有年数で割り忘れて年換算しない誤りに注意する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の申告調整(別表四の処理)
タックスプランニング · 減価償却の償却不足と認容 / 交際費等の損金不算入 / 所得税額控除の別表四加算
製造業を営むX株式会社(資本金5,000万円、青色申告法人)の当期(平成27年4月1日~平成28年3月31日)における法人税の所得金額計算(別表四)に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を解答しなさい。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
法人税の所得金額は、企業会計上の当期純利益を基礎として、税法上の規定に基づく加算・減算の申告調整(別表四)を行って算出します。過去に損金否認された償却超過額は当期の償却不足額の範囲内で認容減算され、税額控除を受ける源泉所得税額は損金不算入として加算調整します。
解き方
- 減価償却について、当期の償却不足額(720万円-670万円=50万円)と繰越償却超過額60万円を比較し、認容額50万円の別表四減算を確認します。
- 交際費について、資本金1億円以下の中小法人の定額控除限度額(800万円)と当期支出額(700万円)を比較し、全額損金算入で加算調整が不要であることを判断します。
- 所得税額控除について、損金経理された源泉所得税額を税額控除する場合の別表四での加算(損金不算入)処理を確認します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 当期の償却限度額720万円に対し、損金経理額が670万円であるため、50万円の償却不足が生じています。前期からの繰越償却超過額60万円のうち、当期の償却不足額50万円に達するまでの金額が認容され、損金の額に算入(別表四で減算)されるため適切です。
- 小問 ②:○
- 期末資本金1億円以下の中小法人は、交際費等の損金算入限度額として定額控除限度額(年800万円)を選択できます。X社の交際費等の額は700万円であり限度額以下となるため全額が損金算入され、会社が費用処理していれば別表四での加算調整は不要となるため適切です。
- 小問 ③:×
- 損益計算書で費用計上されている源泉所得税等について法人税額から控除(所得税額控除)を受ける場合、その控除額は法人税の前払としての性格を有するため損金不算入となり、別表四において加算(社外流出等)調整を行う必要があるため不適切です。
覚えるポイント
- 中小法人の交際費等の損金算入限度額は定額控除年800万円まで全額損金算入可能。
- 法人税額から控除する源泉所得税等は、損金不算入として別表四で加算する。
間違えやすいところ
- 償却不足額があっても、過去の償却超過額がなければ当期は切り捨てられ翌期以降に繰り越せない点に注意が必要です。
- 所得税額控除は税額計算で引かれるため、別表四でも減算すると誤認しやすいですが、費用計上分は加算(損金不算入)します。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の課税所得金額および税額計算
タックスプランニング · 課税所得金額の計算 / 中小法人の軽減税率 / 法人税率
《設例》の〈資料〉に基づき、X社(資本金5,000万円)の当期(平成27年4月1日~平成28年3月31日)の法人税額を計算する計算式の空欄①~③に入る数値を求めなさい。 ・課税所得金額:( ① )万円 ・法人税額:( ② )万円×15.0%+(( ① )万円-( ② )万円)×( ③ )%
解答・解説を表示
解答
① 5,500 ② 800 ③ 23.9
解説
法人税の課税所得金額は「当期利益+益金算入額+損金不算入額-益金不算入額-損金算入額」で計算します。期末資本金1億円以下の普通法人の場合、年800万円以下の課税所得には軽減税率(15.0%)が適用され、年800万円を超える部分には本則税率(平成27年4月1日以後開始事業年度は23.9%)が適用されます。
解き方
- 当期利益3,260万円に益金算入110万円と損金不算入2,440万円を加算し、益金不算入40万円と損金算入270万円を減算して課税所得金額5,500万円を算出します。
- 中小法人の軽減税率が適用される所得基準額が年800万円であることを確認します。
- 平成27年4月1日開始事業年度の800万円超の部分に適用される法人税率が23.9%であることを確認して各数値を式に当てはめます。
答えの内訳
- ①:5,500
- 課税所得金額は、当期利益3,260万円+加算項目(益金算入110万円+損金不算入2,440万円)-減算項目(益金不算入40万円+損金算入270万円)=5,500万円と求められます。
- ②:800
- 資本金1億円以下の中小法人の法人税率は、年800万円以下の所得金額部分について軽減税率が適用されるため、800が入ります。
- ③:23.9
- 平成27年4月1日以後に開始する事業年度において、年800万円を超える所得金額部分に適用される法人税率は23.9%であるため、23.9が入ります。
覚えるポイント
- 中小法人(期末資本金1億円以下)の軽減税率適用限度額は年800万円以下。
- 平成27年4月1日以後に開始する事業年度の法人税の基本税率は23.9%。
間違えやすいところ
- 課税所得金額の計算時に加算項目と減算項目の符号を逆にしてしまう誤りに注意が必要です。
- 税制改正により引き下げられた法人税率(25.5%から23.9%への改定)を適用時期と合わせて正確に覚える必要があります。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生産性向上設備投資促進税制における要件と優遇措置
タックスプランニング · 生産性向上設備投資促進税制 / 特別償却 / 税額控除
生産性向上設備投資促進税制(生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、語句群から選択しなさい。 「本制度は、青色申告法人が一定期間内に特定生産性向上設備等の取得等をして国内にある当該法人の事業の用に供した場合に、その事業の用に供した日を含む事業年度において、特別償却または税額控除をすることができる制度である。 本制度の適用対象資産となる特定生産性向上設備等とは、生産性向上設備等に該当する一定の規模以上の『( ① )』または『生産ラインやオペレーションの改善に資する設備』をいう。 X社が当期(平成27年4月1日~平成28年3月31日)に取得して事業の用に供した機械装置が特定生産性向上設備等に該当し、本制度の適用を受ける場合、X社は、取得価額の( ② )を償却するか、取得価額の( ③ )の税額控除のいずれかを選択することができる。ただし、税額控除は、法人税額の( ④ )が限度となる」
- イ
- 研究開発用設備
- ロ
- 先端設備
- ハ
- 経営革新設備
- ニ
- 5%相当額
- ホ
- 15%相当額
- ヘ
- 20%相当額
- ト
- 25%相当額
- チ
- 50%相当額
- リ
- 75%相当額
- ヌ
- 全額
解答・解説を表示
解答
① ロ、② ヌ、③ ニ、④ ヘ
解説
生産性向上設備投資促進税制は、企業の設備投資を促すために設けられた優遇税制であり、一定の先端設備等の導入に対して即時償却(取得価額の全額)または取得価額の一定割合(5%等)の税額控除の選択適用が認められています。
解き方
- 対象資産の区分として、A類型が「先端設備」、B類型が「生産ラインやオペレーション改善に資する設備」であることを確認して空欄①を特定する。
- 適用期間(平成28年3月31日まで)における特別償却割合が「全額(即時償却)」、税額控除割合が「5%相当額」、法人税額の限度が「20%相当額」であることを確認して空欄②~④を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 生産性向上設備投資促進税制の対象資産は、最新モデルかつ生産性向上要件を満たす「先端設備(A類型)」と、投資利益率要件を満たす「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備(B類型)」です。
- 小問 ②:ヌ
- 平成28年3月31日までに取得等をして事業供用した場合、特定生産性向上設備等に係る特別償却は取得価額の「全額(即時償却)」が認められます。
- 小問 ③:ニ
- 特別償却に代えて税額控除を選択する場合、機械装置等の取得価額の「5%相当額」(建物・構築物は3%)を法人税額から控除できます。
- 小問 ④:ヘ
- 生産性向上設備投資促進税制における税額控除の限度額は、当該事業年度の「法人税額の20%相当額」と定められています。
覚えるポイント
- 生産性向上設備投資促進税制(拡充期)の優遇割合は「全額(即時償却)」または「5%税額控除(法人税額の20%限度)」である。
間違えやすいところ
- 税額控除の控除割合(5%)と、税額控除の法人税額に対する限度割合(20%)を混同しないように注意する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の租税特別措置法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
防火地域内の建築制限・建ぺい率の制限・不動産取得に伴う租税公課の取扱い
不動産 · 防火地域の建築制限 / 建ぺい率の緩和 / 2項道路とセットバック / 租税公課の損金算入
甲土地(商業地域、指定建ぺい率80%、指定容積率400%、防火地域、敷地面積440㎡の長方形で北側に幅員3mの建築基準法第42条第2項道路、南側に幅員6m市道に接面)に関する建築基準法の規定および租税公課の取扱いについての記述①~③の正誤を判定しなさい。
- ①
- 甲土地に階数が3以上または延べ面積が100㎡を超える建築物を建築する場合、原則として、当該建築物は耐火建築物としなければならない。
- ②
- 甲土地に耐火建築物を建築する場合、建ぺい率の制限はなく、建築可能な建築面積の上限は440㎡となる。
- ③
- X社が甲土地を購入し、納付した不動産取得税や固定資産税は、全額を損金の額に算入することができる。
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ○
解説
防火地域内では階数3以上または延べ面積100㎡超の建築物は耐火建築物とする必要があります。また商業地域(建ぺい率80%)かつ防火地域内の耐火建築物は建ぺい率の制限がなくなりますが、2項道路のセットバック部分は道路とみなされ敷地面積から除外されます。
解き方
- 記述①:防火地域内における耐火建築物の建築義務(階数3以上または延べ面積100㎡超)の要件を確認し、正しいことを判定する。
- 記述②:甲土地北側の3m道路(2項道路)について、道路中心線から2m後退するため0.5m×20m=10㎡のセットバックが必要となり、建築基準法上の敷地面積が430㎡となることから、上限が440㎡とする記述の誤りを判定する。
- 記述③:法人が納付した不動産取得税・固定資産税の法人税法上の取扱い(取得価額への算入不要、損金算入可)を確認し、正しいことを判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 建築基準法第61条の規定により、防火地域内において階数が3以上または延べ面積が100㎡を超える建築物を建築する場合、原則として耐火建築物としなければなりません。
- 小問 ②:×
- 商業地域かつ防火地域内の耐火建築物は建ぺい率の制限を受けませんが、幅員3mの2項道路に接するため中心線から2m後退(0.5m後退×間口20m=10㎡除外)が必要となり、建築面積の上限は敷地面積430㎡となります。
- 小問 ③:○
- 法人が土地等の取得に際して納付した不動産取得税や固定資産税は、土地の取得価額に算入せず、支出時の事業年度において全額を損金の額に算入することができます。
覚えるポイント
- 建築基準法第42条第2項道路のセットバック部分は敷地面積から除外して建築面積・延べ面積を算定する。
間違えやすいところ
- 建ぺい率制限なし(100%)であっても、長方形全体の土地面積(公簿等)をそのまま建築面積の上限としてしまうミスに注意する。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の建築基準法および法人税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
耐火建築物を建築する場合の延べ面積の最高限度の計算
不動産 · 容積率 / セットバック / 道路幅員制限
甲土地(敷地面積440㎡、長方形:奥行22m・間口20m、商業地域・指定建ぺい率80%・指定容積率400%・防火地域)に耐火建築物を建築する場合、容積率の上限となる延べ面積を求めなさい。なお、甲土地は幅員3mの建築基準法第42条第2項道路(中心線は道路中心、反対側は宅地)および幅員6mの市道に接しており、前面道路の幅員による容積率の低減係数は6/10とする。計算過程を示し、答は㎡単位で解答しなさい。
解答・解説を表示
解答
1,548㎡
解説
建築基準法上の容積率は、敷地面積に対する建築物の延べ面積の割合です。幅員4m未満の2項道路に面している場合は中心線から2m後退した線が道路境界線とみなされ、後退部分は敷地面積から除外されます。また、敷地が2つ以上の道路に接する場合は最も広い幅員の道路を基準とし、指定容積率と「前面道路幅員×法定乗数」のいずれか小さい数値を上限として延べ面積を算定します。
解き方
- 2項道路の後退距離(0.5m)に間口(20m)を乗じてセットバック面積(10㎡)を求め、敷地面積440㎡から差し引いて有効敷地面積430㎡を算出する。
- 2つの前面道路のうち広い方(6m)を採用し、前面道路制限による容積率(6m×6/10=360%)と指定容積率(400%)の小さい方(360%)を特定する。
- 有効敷地面積430㎡に適用容積率360%を乗じて、延べ面積の最高限度(1,548㎡)を算出する。
答えの内訳
- 計算過程:① セットバック後の有効敷地面積の計算 幅員3mの2項道路に面しているため、道路中心線から2m後退(セットバック)する必要がある。 セットバック幅:2m - (3m ÷ 2) = 0.5m セットバック面積:20m × 0.5m = 10㎡ 有効敷地面積:440㎡ - 10㎡ = 430㎡ ② 適用される容積率の計算 2以上の前面道路がある場合、幅員の大きい方の道路幅員(6m)を適用する。 前面道路幅員制限による容積率:6m × (6/10) = 36/10 = 360% 指定容積率(400%)と前面道路幅員制限(360%)を比較し、小さい方の360%が適用容積率となる。 ③ 延べ面積の最高限度の計算 延べ面積の上限 = 有効敷地面積 × 適用容積率 = 430㎡ × 360% = 1,548㎡
- 2項道路に接する敷地はセットバック部分を敷地面積から除外して有効敷地面積を算定し、複数接道の場合は最大幅員を基準に道路幅員制限による容積率と指定容積率を比較して小さい方を適用します。
- 答:1,548㎡
- 有効敷地面積430㎡に適用容積率360%を乗じることで、延べ面積の上限は1,548㎡と算出されます。
覚えるポイント
- 建築基準法第42条第2項道路のセットバック部分は敷地面積に算入されない。
- 2以上の前面道路がある場合の道路幅員制限は最も広い道路幅員を採用する。
間違えやすいところ
- セットバック面積を差し引かずに当初の敷地面積440㎡のまま計算してしまう。
- 前面道路幅員制限において狭い方の3m道路を基準にして計算してしまう。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(建築基準法第42条第2項、第52条)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の資産の買換えの場合の課税の特例における圧縮限度額の計算
タックスプランニング · 特定の資産の買換えの場合の課税の特例 / 圧縮限度額 / 法人税法
X社が所有する土地を譲渡して甲土地を取得し、「特定の資産の買換えの場合の課税の特例」(租税特別措置法第65条の7)の適用を受けた場合の圧縮限度額を求めなさい。計算過程を示し、答は万円単位で解答しなさい。 〈条件〉 ・譲渡資産の譲渡価額:2億円(20,000万円) ・譲渡資産の帳簿価額:7,000万円 ・譲渡費用:1,000万円 ・買換資産の取得価額:1億円(10,000万円) ※譲渡資産および買換資産は、いずれも地域再生法に規定する集中地域以外の地域内に所在しているものとする。
解答・解説を表示
解答
4,800万円
解説
法人が事業用資産を譲渡して一定の買換資産を取得した場合、特定の資産の買換えの場合の課税の特例により、譲渡益の一定割合(原則として80%)について圧縮記帳を行って課税を将来に繰り延べることができます。買換資産の取得価額が譲渡資産の譲渡価額以下の場合は、買換資産の取得価額に見合う譲渡益に課税繰延割合を乗じて圧縮限度額を求めます。
解き方
- 譲渡資産の譲渡価額(2億円)から帳簿価額(7,000万円)および譲渡費用(1,000万円)を控除して譲渡利益(12,000万円)を計算する。
- 買換資産取得価額(1億円)が譲渡価額以下であることを確認し、課税繰延割合80%を用いて「譲渡利益×(買換資産取得価額÷譲渡価額)×80%」により圧縮限度額(4,800万円)を算出する。
答えの内訳
- 計算過程:① 譲渡利益金額の計算 譲渡利益 = 譲渡価額 - (帳簿価額 + 譲渡費用) = 20,000万円 - (7,000万円 + 1,000万円) = 12,000万円 ② 圧縮限度額の計算 買換資産の取得価額(1億円)が譲渡価額(2億円)以下であり、集中地域以外の地域間での買換えであるため課税繰延割合は80%となる。 圧縮限度額 = 譲渡利益 × (買換資産の取得価額 ÷ 譲渡資産の譲渡価額) × 80% = 12,000万円 × (10,000万円 ÷ 20,000万円) × 80% = 12,000万円 × 0.5 × 0.8 = 4,800万円 (別解:圧縮基礎取得価額 10,000万円 × 80% = 8,000万円、差益割合 12,000万円 ÷ 20,000万円 = 60%、8,000万円 × 60% = 4,800万円)
- 買換資産の取得価額が譲渡価額以下の場合、譲渡益のうち買換えに対応する部分に課税繰延割合80%を乗じて圧縮限度額を計算します。
- 答:4,800万円
- 算定式に基づき、圧縮限度額は4,800万円となります。
覚えるポイント
- 集中地域以外の地域間における買換えの課税繰延割合(圧縮割合)は原則80%である。
- 買換資産の取得価額が譲渡価額以下の場合は、買換取得割合(買換資産取得価額/譲渡価額)を乗じる必要がある。
間違えやすいところ
- 譲渡利益の計算時に譲渡費用(1,000万円)を差し引くのを忘れてしまう。
- 買換資産の取得価額が譲渡価額以下であるにもかかわらず、譲渡益全体に80%を掛けて計算してしまう。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第65条の7)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準価額の計算
相続・事業承継 · 類似業種比準方式 / 非上場株式の評価 / 比準要素
《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を計算する下記の計算式の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 ・類似業種比準価額 280円 × [ { (4.2円 / 3.5円) + (27円 / 15円) × ( ① ) + (396円 / 220円) } / ( ② ) ] × ( ③ ) × [ ( ④ )円 / 50円 ]
解答・解説を表示
解答
① 3、② 5、③ 0.6、④ 500
解説
類似業種比準方式は、事業内容が類似する上場会社の株価を基礎とし、評価会社と類似業種の「配当」「利益」「簿価純資産」を比準して1株当たりの評価額を計算する方式です。基準日当時の算式では利益金額の比準割合を3倍して加重平均し、中会社の場合は斟酌率0.6を乗じて算出します。
解き方
- 比準要素(配当・利益・簿価純資産)の比準割合のウエイトを確認し、利益のウエイトである3および分母の合計である5を特定する。
- X社の規模区分(中会社の大)から、類似業種比準方式で適用される斟酌率が0.6であることを確認する。
- 資本金等の額(8,000万円)を発行済株式総数(160,000株)で除して、X社の1株当たりの資本金等の額500円を算定する。
答えの内訳
- ①:3
- 2015年10月現在の法令基準において、類似業種比準価額の計算式における1株当たりの年利益金額の比準割合にはウエイトとして「3」を乗じます。
- ②:5
- 比準要素のウエイトは配当が1、利益が3、簿価純資産が1であるため、比準割合を合計して除する分母は「5」となります。
- ③:0.6
- 類似業種比準価額の斟酌率は会社の規模区分に応じて大会社は0.7、中会社は0.6、小会社は0.5と定められており、X社は中会社であるため「0.6」となります。
- ④:500
- X社の1株当たりの資本金等の額は、資本金等の額8,000万円を発行済株式総数160,000株で除した「500」円となります。
覚えるポイント
- 当時の類似業種比準価額の計算式:株価×{(配当比準+利益比準×3+純資産比準)/5}×斟酌率×(1株当たり資本金等の額/50円)
間違えやすいところ
- 現行制度(配当・利益・純資産が1:1:1で分母3、斟酌率一律0.7等)と基準日当時の算式(利益3倍、分母5、中会社0.6)を混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
純資産価額方式による株式評価
相続・事業承継 · 純資産価額方式 / 非上場株式の評価 / 評価差額に対する法人税額等相当額
《設例》の〈X社の概要〉および〈参考〉純資産価額の計算式を基に、X社株式の1株当たりの純資産価額を求めなさい。解答にあたっては〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。
解答・解説を表示
解答
計算過程:・相続税評価額による純資産価額:102,150万円-21,500万円=80,650万円、・帳簿価額による純資産価額:84,650万円-21,500万円=63,150万円、・評価差額に対する法人税額等相当額:(80,650万円-63,150万円)×38%=6,650万円、・1株当たりの純資産価額:(80,650万円-6,650万円)÷160,000株=4,625円、答:4,625円
解説
純資産価額方式は、課税時期における会社の純資産の清算価値に着目して評価する方法です。総資産の相続税評価額から負債総額を差し引いた純資産価額から、資産の含み益(相続税評価額による純資産価額-帳簿価額による純資産価額)に対して課される法人税額等相当額(38%)を控除し、発行済株式総数で除して1株当たりの評価額を算出します。
解き方
- 相続税評価額による総資産価額(102,150万円)から負債合計額(21,500万円)を控除して相続税評価額による純資産価額(80,650万円)を計算する。
- 帳簿価額による総資産価額(84,650万円)から負債合計額(21,500万円)を控除して帳簿価額による純資産価額(63,150万円)を計算する。
- 評価差額(80,650万円-63,150万円=17,500万円)に38%を乗じて法人税額等相当額(6,650万円)を算出する。
- 相続税評価額による純資産価額から法人税額等相当額を控除した差引純資産額(74,000万円)を発行済株式総数(160,000株)で除して、1株当たりの純資産価額4,625円を算出する。
答えの内訳
- 計算過程:・相続税評価額による純資産価額: 102,150万円-21,500万円=80,650万円 ・帳簿価額による純資産価額: 84,650万円-21,500万円=63,150万円 ・評価差額に対する法人税額等相当額: (80,650万円-63,150万円)×38%=6,650万円 ・1株当たりの純資産価額: (80,650万円-6,650万円)÷160,000株=4,625円
- 相続税評価額による純資産価額から評価差額に対する法人税額等相当額(38%)を控除した金額を、発行済株式総数160,000株で除して求めます。
- 答:4,625円
- 計算過程によって求められた1株当たりの純資産価額は4,625円となります。
覚えるポイント
- 純資産価額方式の計算式:{相続税評価額純資産-(相続税評価額純資産-帳簿価額純資産)×38%}/発行済株式総数
間違えやすいところ
- 分母に用いる株式数を資本金等の額と混同したり、評価差額に対する法人税額等相当額の控除計算を省いてしまうミスが多く見られます。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属からの贈与税の各種非課税特例の要件
資産承継・事業承継 · 住宅取得等資金の贈与税の非課税 / 教育資金の一括贈与の非課税 / 結婚・子育て資金の一括贈与の非課税
直系尊属からの贈与税の非課税措置に関する以下の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 二男Dさんは、Aさんから住宅取得等資金の贈与を受けた。二男Dさんが「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用を受けるためには、贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が3,000万円以下でなければならない。 ② 長女Eさんの子が、Aさんから教育資金の贈与を受けた。長女Eさんの子が「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用を受けた後、25歳に達した日において当該贈与財産から教育資金に充当した金額を控除した残額がある場合、当該残額はその年分の贈与税の課税価格に算入される。 ③ 二女Fさんは、Aさんから結婚・子育て資金の贈与を受けた。二女Fさんが「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」の適用を受けた場合、当該贈与財産は、1,500万円を限度として、贈与税の課税価格に算入されない。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
直系尊属(父母・祖父母等)からの資金贈与に係る特例(住宅取得等資金、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与)は、それぞれ受贈者の所得制限、対象年齢、非課税限度額、契約終了事由が明確に定められています。
解き方
- 住宅取得等資金贈与の非課税特例における受贈者の所得要件(合計所得金額2,000万円以下)を確認し、記述①の正誤を判定する。
- 教育資金一括贈与特例の終了事由(受贈者が30歳に達した日等)および残額の課税関係を確認し、記述②の正誤を判定する。
- 結婚・子育て資金一括贈与特例の非課税限度額(受贈者1人につき1,000万円)を確認し、教育資金(1,500万円)との違いから記述③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の適用を受けるためには、受贈者の贈与を受けた年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下である必要があります。設問の「3,000万円以下」は誤りです。
- 小問 ②:×
- 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度において、教育資金管理契約は受贈者が30歳に達した日等に終了し、その時点で教育資金に充当されなかった残額がある場合に贈与税の課税価格に算入されます。設問の「25歳に達した日」は誤りです。
- 小問 ③:×
- 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税限度額は、受贈者ごとに1,000万円(うち結婚関係は300万円)までです。1,500万円を限度とするのは教育資金の一括贈与であり、設問の記述は誤りです。
覚えるポイント
- 住宅取得等資金非課税の所得制限は合計所得金額2,000万円以下であること。
- 教育資金一括贈与は限度額1,500万円・契約終了は原則30歳であること。
- 結婚・子育て資金一括贈与は限度額1,000万円(結婚費用は300万円)・契約終了は原則50歳であること。
間違えやすいところ
- 住宅ローン控除の所得制限(3,000万円以下)と住宅取得等資金贈与の非課税の所得制限(2,000万円以下)を混同すること。
- 教育資金一括贈与の非課税限度額(1,500万円)と結婚・子育て資金一括贈与の非課税限度額(1,000万円)を逆に覚えてしまうこと。
出題の前提:2015年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第70条の2、第70条の2の2、第70条の2の3)
出典:金融財政事情研究会『2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2016年1月 2級 実技 中小事業主資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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