日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の概要
老齢基礎年金の受給額の計算
公的年金 · 老齢基礎年金 / 保険料免除期間 / 第2号被保険者期間
設例のAさん(昭和45年5月16日生)および妻Bさん(昭和45年8月10日生)が60歳まで国民年金保険料を納付した場合について、65歳から原則として受給できる老齢基礎年金の年金額(平成27年度価額780,100円ベース)をそれぞれ計算過程を示して求めなさい。なお、計算過程は円未満四捨五入、最終的な答は50円未満切捨て・50円以上100円未満切上げとすること。
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解答
① 700,500円 ② 780,100円
解説
老齢基礎年金の年金額は、原則として20歳以上60歳未満の40年間(480月)の保険料納付状況に応じて計算されます。平成21年3月以前の全額免除期間は国庫負担割合が3分の1として計算に反映されます。また、厚生年金保険に加入していた期間であっても、20歳未満および60歳以後の期間は老齢基礎年金の額の計算の基礎月数には含まれません。
解き方
- 対象者の20歳から60歳までの納付済月数および免除月数を整理し、平成21年3月以前の全額免除月数に3分の1を乗じて合算対象月数を算出する。
- 満額(780,100円)に「対象月数÷480月」を乗じ、指示された端数処理(計算過程の円未満四捨五入、最終額の50円未満切捨て・50円以上100円未満切上げ)を適用して年金額を求める。
答えの内訳
- ①:700,500円
- Aさんの保険料納付済月数は243月+175月=418月です。全額免除月数39月はすべて平成21年3月以前の期間であるため、給付への反映割合は3分の1となります(39月×1/3=13月分相当)。合算対象月数は418月+13月=431月となり、年金額は「780,100円×431月/480月=700,464.79…円」です。計算過程の円未満四捨五入で700,465円となり、50円以上100円未満の端数処理(切上げ)により700,500円となります。
- ②:780,100円
- 老齢基礎年金の額の計算において、厚生年金保険の被保険者期間(第2号被保険者期間)のうち20歳未満の期間は算入されません。妻Bさんの厚生年金加入84月のうち、18歳から20歳到達月前月までの16月は対象外となり、20歳以後の68月のみが算入されます。これに結婚後の納付済月数234月と納付予定178月を加えると「68月+234月+178月=480月」となり満額を満たします。したがって年金額は「780,100円×480月/480月=780,100円」となります。
覚えるポイント
- 平成21年3月以前の全額免除期間は国庫負担割合が3分の1、平成21年4月以降は2分の1として計算します。
- 厚生年金保険の加入期間のうち、20歳未満と60歳以降の期間は老齢基礎年金の額の計算対象外です。
間違えやすいところ
- 20歳未満の厚生年金加入月数(16月)をそのまま老齢基礎年金の納付済月数に含めて計算してしまうミス。
- 全額免除期間の国庫負担割合を誤って2分の1(平成21年4月以降の基準)で計算してしまうミス。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等(平成27年度老齢基礎年金満額:780,100円)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢基礎年金の繰下げ支給の要件と増額率
公的年金 · 老齢基礎年金 / 繰下げ支給 / 増額率
老齢基礎年金の繰下げ支給に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、〈数値群〉のイ~リの中から選び、その記号を答えなさい。 「仮に、Aさんが( ① )歳に達する前に老齢基礎年金の請求をしなかった場合、Aさんは( ① )歳に達した日以後の希望するときから、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることができます。繰下げによる増額率は、『□□□%×繰下げ月数』となりますが、繰下げ月数は( ② )月が上限となります。したがって、繰下げによる増額率は最高で( ③ )%となります」 〈数値群〉 イ.15 ロ.21 ハ.30 ニ.42 ホ.60 ヘ.65 ト.66 チ.84 リ.120
- イ
- 15
- ロ
- 21
- ハ
- 30
- ニ
- 42
- ホ
- 60
- ヘ
- 65
- ト
- 66
- チ
- 84
- リ
- 120
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解答
① ト ② ホ ③ ニ
解説
老齢基礎年金の繰下げ支給は、本来の支給開始年齢である65歳で年金を請求せず、66歳以後70歳までの希望する時期から増額された年金を受け取る制度です。繰下げ1月につき0.7%が増額され、生涯にわたってその増額率が適用されます。
解き方
- 繰下げ支給の申出可能期間の始期(65歳から1年経過した66歳到達日以後)を確認し、空欄①を特定する。
- 繰下げ可能月数の上限(65歳から70歳までの60月)を確認し、空欄②を特定する。
- 1月あたりの増額率(0.7%)に上限月数(60月)を乗じて、最大増額率(42%)を計算し空欄③を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ト
- 老齢基礎年金の繰下げ支給の申出は、受給権を取得した日(65歳に達した日)から1年を経過した日(66歳に達した日)以後に行うことができます。したがって①は「66」(記号ト)が入ります。
- 小問 ②:ホ
- 当時の制度における繰下げ可能上限年齢は70歳までであり、65歳到達月から70歳到達月までの繰下げ月数は最大「60」月となります。したがって②は「60」(記号ホ)が入ります。
- 小問 ③:ニ
- 繰下げによる年金の増額率は1月あたり0.7%です。上限である60月繰り下げた場合の最大増額率は「0.7%×60月=42%」となります。したがって③は「42」(記号ニ)が入ります。
覚えるポイント
- 繰下げ支給の申出ができるのは、受給権を取得した日から1年を経過した日(66歳到達日)以後です。
- 繰下げ増額率は「0.7%×繰下げ月数」で算出され、最大60月で42%となります(2015年基準)。
間違えやすいところ
- 繰下げ申出の開始可能年齢を本来の支給開始年齢である「65歳」と混同するミス。
- 繰上げ減額率(1月あたり0.5%減)と繰下げ増額率(1月あたり0.7%増)の数値を混同するミス。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
自営業者の老後資金準備制度(小規模企業共済・確定拠出年金・国民年金基金)
ライフプランニングと資金計画 · 小規模企業共済 / 確定拠出年金(個人型) / 国民年金基金
自営業者であるAさんに対する老後の年金収入を増やす各種制度(小規模企業共済制度、確定拠出年金の個人型年金、国民年金基金)についての次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 小規模企業共済制度は、個人事業主等が廃業や退職をした場合の資金準備のための制度であり、個人事業を廃業した場合に一括で受け取る共済金は、税法上、退職所得として課税対象となる。 ② Aさん(45歳)が確定拠出年金の個人型年金に現時点から60歳に達するまで掛金を拠出した場合、通算加入者等期間が10年以上となるため、60歳から老齢給付金を受け取ることができる。 ③ 国民年金基金の掛金の拠出限度額は月額68,000円であり、小規模企業共済制度に加入している場合は、その掛金と合わせて月額68,000円が上限となる。
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解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
第1号被保険者(自営業者等)には厚生年金がないため、公的年金の上乗せや廃業・老後資金に備える私的制度(国民年金基金、確定拠出年金iDeCo、小規模企業共済)の併用ルールや税制上の優遇措置を正しく把握しておく必要があります。
解き方
- 小規模企業共済の共済金の受取方法に応じた税法上の所得区分(一括受取=退職所得、分割受取=公的年金等雑所得)を確認する。
- 確定拠出年金の老齢給付金の受給可能年齢と通算加入者等期間(10年以上で60歳受給可能)の要件を確認する。
- 国民年金基金と合算枠(月額68,000円)が適用されるのは個人型確定拠出年金であり、小規模企業共済(月額70,000円限度)は別枠であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 小規模企業共済制度において、個人事業の廃業等により一括で受給する共済金(共済金A・B等)は、税制上「退職所得」として取り扱われます。なお、分割受給を選択した場合は公的年金等の「雑所得」となります。
- 小問 ②:○
- 確定拠出年金(個人型)の老齢給付金を60歳から受給するためには通算加入者等期間が10年以上必要です。45歳のAさんが60歳まで拠出すれば通算加入者等期間は15年となり、10年以上を満たすため60歳から受給可能です。
- 小問 ③:×
- 月額68,000円の上限枠を合算して管理するのは「国民年金基金」と「確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)」の掛金です。小規模企業共済制度の掛金限度額は月額70,000円であり、国民年金基金の拠出限度額とは合算されず別枠です。
覚えるポイント
- 国民年金基金とiDeCoの掛金限度額は合算で月額68,000円である。
- 小規模企業共済の一括受取共済金は退職所得控除が適用される退職所得となる。
間違えやすいところ
- 月額68,000円の枠を国民年金基金と小規模企業共済で合算すると誤解しやすい。
- 確定拠出年金の受給開始可能年齢を通算加入者等期間に関わらず一律60歳と勘違いしやすい。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の遺族給付(遺族基礎年金・遺族厚生年金・中高齢寡婦加算)
リスク管理 · 遺族基礎年金 / 遺族厚生年金 / 中高齢寡婦加算
会社員Aさん(厚生年金被保険者)が死亡した場合に、妻Bさん(36歳)、長女Cさん(3歳)、二女Dさん(0歳)が受給できる公的年金制度の遺族給付に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を、語句群の中から選びなさい。 「現時点において、Aさんが死亡した場合、妻Bさんに対して遺族基礎年金および遺族厚生年金が支給されます。遺族基礎年金を受けられる遺族の範囲は、死亡した被保険者によって生計を維持されていた『子のある配偶者』または『子』です。『子』とは、( ① )歳到達年度の末日までの間にあり、かつ、現に婚姻していない子を指します。なお、妻Bさんが受け取る遺族基礎年金の額は、『子』が2人のため、( ② )円(平成27年度価額)になります。 遺族厚生年金の額は、原則として老齢厚生年金の報酬比例部分の額の( ③ )相当額になります。また、二女Dさんについて( ① )歳到達年度の末日が終了し、妻Bさんの有する遺族基礎年金の受給権が消滅したときは、妻Bさんが65歳に達するまでの間、妻Bさんに支給される遺族厚生年金の額に( ④ )が加算されます。なお、( ④ )の額は585,100円(平成27年度価額)になります」
- イ
- 15
- ロ
- 18
- ハ
- 20
- ニ
- 854,900
- ホ
- 1,004,600
- へ
- 1,229,100
- ト
- 2分の1
- チ
- 3分の2
- リ
- 4分の3
- ヌ
- 経過的寡婦加算
- ル
- 中高齢寡婦加算
- ヲ
- 寡婦年金
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解答
① ロ ② へ ③ リ ④ ル
解説
会社員等の死亡時に支給される遺族給付には遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。子の要件(18歳年度末)、遺族基礎年金の加算額、遺族厚生年金の報酬比例部分の割合(4分の3)、子の要件終了後の40歳以上65歳未満の妻に対する中高齢寡婦加算の仕組みを体系的に理解する必要があります。
解き方
- 遺族基礎年金における子の年齢要件が18歳到達年度の末日までであることを確認し、①に「18」を選択する。
- 平成27年度基準の遺族基礎年金(基本額780,100円+第1子・第2子の加算額各224,500円)に基づき、子2人の場合の受取総額を計算(1,229,100円)して②を選択する。
- 遺族厚生年金の額が老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3相当額であることを確認し、③を選択する。
- 子が18歳年度末に達して遺族基礎年金が消滅した際、40歳以上65歳未満の妻に加算される給付が中高齢寡婦加算であることを確認し、④を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 遺族基礎年金の対象となる「子」とは、18歳到達年度の末日(3月31日)までの間にある子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある障害者を指します。
- 小問 ②:へ
- 平成27年度の遺族基礎年金は、基本額780,100円に子の加算額(第1子・第2子は各224,500円)が上乗せされるため、子が2人の場合の年金額は 780,100円 + 224,500円 × 2 = 1,229,100円 となります。
- 小問 ③:リ
- 遺族厚生年金の年金額は、原則として死亡した被保険者の老齢厚生年金の報酬比例部分の計算式の「4分の3」に相当する額となります。
- 小問 ④:ル
- 夫の死亡時に40歳以上65歳未満で子のない妻、または遺族基礎年金を受給していた妻の子が要件から外れ遺族基礎年金が受給できなくなった時点で妻が40歳以上65歳未満である場合、65歳まで遺族厚生年金に「中高齢寡婦加算」が支給されます。
覚えるポイント
- 遺族基礎年金の子の要件は「18歳到達年度の末日(3月31日)までにある子」である。
- 遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3相当額が支給される。
- 40歳以上65歳未満で子の要件を満たさなくなった妻には中高齢寡婦加算が支給される。
間違えやすいところ
- 子の加算額を子の人数にかかわらず一律と誤認したり、加算後の計算(子2人分)を間違えやすい。
- 中高齢寡婦加算(65歳未満の妻)と経過的寡婦加算(昭和31年4月1日以前生まれの妻に対する65歳以降の加算)を混同しやすい。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等(平成27年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の特約と保障内容の理解
リスク管理 · 収入保障特約 / 総合医療特約 / 先進医療特約
Aさんが生命保険会社から提案を受けている「5年ごと配当付終身保険(主契約:終身保険100万円、特約:定期保険900万円、収入保障年額120万円・65歳まで・最低支払保証5年、特定疾病保障定期200万円、総合医療日額10,000円、先進医療)」の内容に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「Aさんが40歳(保険支払対象期間である65歳まで25年0カ月)で死亡した場合、妻Bさんが収入保障特約から受け取る年金受取総額は3,000万円となり、Aさんが63歳(保険支払対象期間まで2年0カ月)で死亡した場合の年金受取総額は600万円となります」 ② 「総合医療特約において、疾病・災害入院給付金、手術給付金等の保障はカバーされています。そのほか、がん保障に特化したもの、退院後の通院保障など、Aさんのニーズにあわせて医療保障を充実させることを検討してください」 ③ 「陽子線治療や重粒子線治療などの先進医療の技術に係る費用は200万~300万円を超える場合があります。なお、先進医療特約の支払対象となる先進医療は、入院を伴う治療に限られ、外来での治療は対象外となるため注意が必要です」
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解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
生命保険の各種特約では、特約ごとの給付要件や支払期間・最低保証期間、対象となる医療行為(通院・外来の可否を含む)の範囲を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 収入保障特約の受取総額について、残存期間の計算と最低支払保証期間(5回・5年保証)を適用して算出する。
- 先進医療特約の保障範囲が入院を伴う治療に限定されているか(外来治療も対象となるか)を確認して正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 収入保障特約では、死亡時から保険支払対象期間満了(65歳)までの残存期間にわたり年金が支払われます。40歳死亡時は残り25年であるため120万円×25年=3,000万円となります。また、最低支払保証期間(5年)が設定されているため、満了直前の63歳で死亡した場合でも最低5年分が保証され、120万円×5年=600万円が支払われます。したがって適切です。
- 小問 ②:○
- 総合医療特約は一般的に疾病・災害による入院給付金や手術給付金を包括的に保障します。特定疾病(がん等)の手厚い一時金や通院治療の保障など、個別のニーズに応じた特約の追加・見直しを提案することはFPのアドバイスとして適切です。
- 小問 ③:×
- 先進医療特約の給付対象となる先進医療は、入院を伴う治療に限られず、通院(外来)で行われる治療についても対象となります。したがって、「外来での治療は対象外となる」とする記述は不適切です。
覚えるポイント
- 収入保障特約は年金支払満了までの残存期間が最低支払保証期間未満となった場合でも、保証期間分の年金が支払われます。
- 先進医療特約は、療養を受けた時点で厚生労働大臣に承認されている先進医療が対象となり、入院だけでなく外来診療も給付対象です。
間違えやすいところ
- 収入保障特約の保証期間を見落とし、残存期間2年だから120万円×2年=240万円と誤算してしまうミスに注意が必要です。
- 先進医療給付金を通院・外来では受け取れないと誤解しないように注意しましょう。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等および一般的な生命保険商品約款に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険金・給付金に係る税務上の取扱い
リスク管理 · 死亡保険金の年金受取 / 死亡保険金の非課税限度額 / 特定疾病保険金の非課税
Aさんが提案を受けている生命保険(契約者・被保険者:Aさん、死亡保険金受取人:妻Bさん)の保険金に係る課税関係に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 「Aさんが死亡した場合、妻Bさんが収入保障特約から受け取る年金は、相続税額の計算上は年金受給権として評価されます。当該年金受給権は『500万円×法定相続人の数』に係る非課税金額の規定の適用を受けることができませんので、一時金で受け取る定期保険特約等の死亡保険金と比較して、相続税額の計算上、不利になります」 ② 「Aさんが死亡した場合、妻Bさんが収入保障特約から毎年受け取る年金は、所得税額の計算上は非課税となります。したがって、受け取った年金は全額を残された家族の生活費や教育資金に活用することができます」 ③ 「Aさんが急性心筋梗塞により所定の状態になり、特定疾病保険金を受け取った場合、受け取った特定疾病保険金は一時所得として所得税の課税対象となります。そのため、所得税の確定申告が必要となります」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ×
解説
生命保険金の課税関係は保険料負担者・被保険者・受取人の関係によって定まります。本人が生前に受け取る疾病・傷害給付金は非課税であり、年金受給権として相続税の課税対象となったものは死亡保険金の非課税限度額が適用され、2年目以降の年金受取分は雑所得として課税されます。
解き方
- 収入保障年金の受給権がみなし相続財産に該当し、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠を適用できるかを確認する。
- 死亡年金の毎年の受取時における税務処理(運用益部分が雑所得として課税される点)を照合する。
- 特定疾病保険金をはじめとする疾病・高度障害関連の保険金が非課税所得(所得税法施行令第30条)に該当することを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 契約者と被保険者が同一である場合、相続人である妻Bさんが受け取る収入保障特約の年金受給権はみなし相続財産となり、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)の適用を受けることができます。したがって、「適用を受けることができない」とする記述は不適切です。
- 小問 ②:×
- 相続税の課税対象となった年金受給権に基づき毎年支給される年金は、受取開始以降、各年の受取年金額のうち運用益・利息相当部分が雑所得として所得税(および住民税)の課税対象となります。したがって、「所得税額の計算上は非課税となる」とする記述は不適切です。
- 小問 ③:×
- 被保険者本人が生存中に受け取る身体の傷害や疾病に起因する給付金・保険金(特定疾病保険金、入院給付金、手術給付金等)は、所得税法上、非課税所得と規定されています。一時所得として課税されることはありませんので不適切です。
覚えるポイント
- 死亡保険金を年金形式で受け取る場合の年金受給権評価額にも「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が適用できます。
- 相続税課税後の年金払死亡保険金は、毎年の受取時に課税済部分を除く利益相当部分が雑所得として課税されます。
- 疾病や傷害により被保険者本人が受け取る入院給付金や特定疾病保険金等は全額非課税です。
間違えやすいところ
- 年金受給権として評価される死亡保険金には500万円の非課税枠が使えないと誤認しやすいので注意が必要です。
- 生きている間に受け取る三大疾病(特定疾病)保険金や高度障害保険金を一時所得として課税されると勘違いしないようにしましょう。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の所得税法および相続税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員退職金に係る退職所得の金額の計算
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の金額 / 役員退職金
Aさんが役員在任期間(勤続年数)33年3カ月でX社を退任し、役員退職金として5,000万円の支給を受けた場合における、退職所得控除額および退職所得の金額を求めなさい。なお、Aさんはこれ以外に退職手当等の収入はなく、障害者となったことが退職の直接の原因ではないものとし、単位は万円とする。
解答・解説を表示
解答
退職所得控除額:1,780万円、退職所得の金額:1,610万円
解説
退職所得の金額は、原則として「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」によって計算されます。勤続年数に1年未満の端数がある場合は1年に切り上げて計算し、20年を超える部分は1年あたり70万円の控除額が加算されます。
解き方
- 役員在任期間33年3カ月の端数月を切り上げて、勤続年数を34年と判定します。
- 勤続年数20年超の算式「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」に34年を代入して退職所得控除額1,780万円を算出します。
- 退職金収入5,000万円から控除額1,780万円を差し引き、2分の1を乗じて退職所得の金額1,610万円を算出します。
答えの内訳
- 退職所得控除額:1,780万円
- 役員在任期間33年3カ月の端数を切り上げて勤続年数は34年となります。勤続年数20年超の場合の控除額は「800万円+70万円×(34年-20年)=1,780万円」となります。
- 退職所得の金額:1,610万円
- 退職所得の金額は「(収入金額-退職所得控除額)×1/2」で算出されるため、「(5,000万円-1,780万円)×1/2=1,610万円」となります。
覚えるポイント
- 勤続年数の端数は月単位であっても1年に切り上げて控除額を計算します。
- 勤続年数20年以下の控除額は40万円×勤続年数(最低80万円)、20年超は800万円+70万円×(年数-20年)です。
間違えやすいところ
- 勤続年数の月数を切り捨てて33年として計算を誤るミスに注意が必要です。
- 退職所得控除額を差し引いた後の2分の1の掛け忘れに注意が必要です。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が契約する長期平準定期保険の経理処理
リスク管理 · 長期平準定期保険 / 保険料払込時の経理処理 / 解約返戻金の経理処理
設例の<資料1>に示す生命保険(契約者:X社、被保険者:Aさん42歳、受取人:X社、100歳満了の無配当定期保険、年払保険料220万円)について、第1回保険料払込時および65歳時解約時の仕訳における空欄①~④に入る適切な語句・数値を語句群から選びなさい。なお、解約時までに支払った保険料総額は5,060万円、解約返戻金額は4,600万円とする。
- イ
- 220
- ロ
- 2,070
- ハ
- 2,300
- ニ
- 2,530
- ホ
- 4,600
- ヘ
- 5,060
- ト
- 雑収入
- チ
- 配当金積立金
- リ
- 解約返戻金
- ヌ
- 前払保険料
- ル
- 雑損失
解答・解説を表示
解答
① ヌ、② ト、③ ニ、④ ロ
解説
法人が契約する長期平準定期保険(保険期間満了時年齢70歳超かつ加入時年齢+保険期間×2が105超)では、保険期間の前半6割相当期間の支払保険料の2分の1を損金算入し、残り2分の1を前払保険料として資産計上します。中途解約時には、受取返戻金と前払保険料累計額との差額を雑収入(または雑損失)として計上します。
解き方
- 被保険者の契約時年齢42歳、100歳満了(保険期間58年)より、満了時70歳超かつ42+58×2=158>105を満たすため、長期平準定期保険に該当することを確認します。
- 保険期間の前半6割(34.8年)以内である支払時および65歳解約時(23年経過時)の経理処理において、支払保険料の半分を「前払保険料」(空欄①)として資産計上することを確認します。
- 解約時までに支払った保険料5,060万円の半分である2,530万円(空欄③)の前払保険料資産を取り崩す仕訳を立てます。
- 受取解約返戻金4,600万円と前払保険料2,530万円の差額2,070万円(空欄④)を貸方の「雑収入」(空欄②)に計上します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ヌ
- 長期平準定期保険の前半6割期間における支払保険料は、2分の1を損金算入(定期保険料)、2分の1を資産計上(前払保険料)とします。
- 小問 ②:ト
- 解約返戻金が資産計上額(前払保険料累計額)を上回るため、差額の益金算入科目は「雑収入」となります。
- 小問 ③:ニ
- 解約時までに支払った保険料5,060万円のうち2分の1が資産計上されているため、取り崩す前払保険料は「5,060万円×1/2=2,530万円」となります。
- 小問 ④:ロ
- 受け取った解約返戻金4,600万円から取り崩す前払保険料2,530万円を差し引いた差額「4,600万円-2,530万円=2,070万円」が雑収入となります。
覚えるポイント
- 長期平準定期保険の前半6割期間は支払保険料の2分の1を前払保険料(資産)、2分の1を定期保険料(損金)とします。
- 解約時は受け取った解約返戻金と前払保険料の差額を雑収入(貸方)または雑損失(借方)で調整します。
間違えやすいところ
- 支払保険料全額を資産計上していると勘違いし、前払保険料を5,060万円として差額を計算してしまう誤りが多いです。
- 解約返戻金の受取時に益金となる雑収入と、損失となる雑損失の貸借区分を取り違えないよう注意が必要です。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
養老保険(福利厚生プラン)と中小企業退職金共済制度の特徴と取扱い
タックスプランニング/リスク管理 · ハーフタックスプラン / 中小企業退職金共済制度 / 契約者貸付制度
X社の福利厚生プラン(契約者および満期保険金受取人をX社、被保険者を全従業員、死亡保険金受取人を被保険者の遺族とする養老保険)および中小企業退職金共済制度(中退共)に関する次の記述①~③について、適切なものには○、不適切なものには×を選択しなさい。 ① 「福利厚生プランの支払保険料は、原則として、2分の1を福利厚生費として損金の額に算入します。ただし、役員または部課長など、特定の者のみを被保険者としている場合には、福利厚生費として損金の額に算入することができません」 ② 「中退共は、福利厚生プランと同様に、急な資金需要が発生した場合に、積立金残高の8割を上限に契約者貸付制度を利用することができます」 ③ 「従業員が中途退職(生存退職)した場合、福利厚生プランの解約返戻金は契約者であるX社が受け取ることになりますが、中退共の退職金は退職する従業員本人に直接支給されます」
- ○
- 適切である
- ×
- 不適切である
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
法人が従業員の退職金準備として活用する養老保険の福利厚生プラン(ハーフタックスプラン)と中退共は、掛金・保険料の税務処理や受取人、貸付制度の有無などの仕組みにおいて明確な相違点があります。
解き方
- 養老保険の福利厚生費算入要件(全員加入等の普遍性)と対象外の場合の課税関係を確認する。
- 中退共制度において契約者貸付が認められているかどうか制度概要を検証する。
- 中途退職時の解約返戻金および退職金の受取人が法人か従業員本人かを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 福利厚生プラン(養老保険のハーフタックスプラン)は、全役員・従業員を普遍的に加入対象としている場合に限り保険料の2分の1を福利厚生費として損金算入できます。役員や特定の管理職のみを対象としている場合は普遍的加入要件を満たさないため福利厚生費としての損金算入は認められません。
- 小問 ②:×
- 生命保険契約では解約返戻金の一定範囲内で契約者貸付を利用できますが、中小企業退職金共済制度(中退共)には事業主に対する契約者貸付制度は存在しません。
- 小問 ③:○
- 法人が契約者である養老保険を解約した場合の解約返戻金は契約者である法人(X社)に支払われますが、中退共の退職金は機構から退職した従業員本人へ直接支給されます。
覚えるポイント
- 福利厚生プラン(養老保険)は普遍的加入が要件で、満期保険金受取人は企業、死亡保険金受取人は遺族とする。
- 中退共の退職金は従業員に直接支払われ、企業への契約者貸付制度は存在しない。
間違えやすいところ
- 小規模企業共済の契約者貸付制度と混同して、中退共にも契約者貸付があると誤認しやすい点に注意する。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税における各種所得控除(寄附金控除・医療費控除・雑損控除)の要件と繰越
タックスプランニング · ふるさと納税ワンストップ特例制度 / 医療費控除 / 雑損控除の繰越控除
所得税の計算における所得控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、下記の〈数値群〉の中から選び、その記号を解答しなさい。 所得控除は基礎控除を含め14種類あるが、そのうち雑損控除、医療費控除および寄附金控除の3種類の所得控除については、年末調整では適用を受けることができないため、これらの控除の適用を受けるためには所得税の確定申告が必要となる。なお、寄附金控除については平成27年度税制改正において、給与所得者等が寄附を行う場合は確定申告を不要とする「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が創設されている。ただし、寄附者が確定申告を行った場合、または1年間に( ① )団体を超える都道府県もしくは市区町村に対して寄附を行った場合は、この特例は適用されない。 医療費控除は、総所得金額等の合計額が200万円以上である者の場合、その年中に支払った医療費の総額が( ② )万円を超えていなければ、その適用を受けることはできない。また、医療費控除額には最高限度額が定められており、その最高限度額は200万円である。 雑損控除は、各所得控除相互間では、最初に控除することになっており、この金額がその年分の総所得金額等から控除しきれない場合には、確定申告を要件に、雑損失の繰越控除として、控除不足額を翌年以降( ③ )年間にわたり繰り越して、各年分の総所得金額等から控除することができる。 〈数値群〉 イ.2 ロ.3 ハ.5 ニ.7 ホ.9 へ.10 ト.20 チ.30
- イ
- 2
- ロ
- 3
- ハ
- 5
- ニ
- 7
- ホ
- 9
- へ
- 10
- ト
- 20
- チ
- 30
解答・解説を表示
解答
① ハ ② へ ③ ロ
解説
所得税の所得控除のうち、年末調整で控除できない雑損控除・医療費控除・寄附金控除は原則として確定申告が必要です。各控除の適用要件や限度額、繰越年数などの基本数値を正確に理解することが重要です。
解き方
- ふるさと納税ワンストップ特例の対象となる自治体の上限数(5団体以内)を確認する。
- 医療費控除の計算式における控除基準額(総所得金額等200万円以上は10万円)を確認する。
- 雑損控除で控除しきれない雑損失を繰り越せる期間(翌年以降3年間)を確認する。
- 選択肢 イ不正解
- 2はワンストップ特例団体数、医療費控除額、雑損失繰越期間のいずれの空欄の数値にも該当しません。
- 選択肢 ロ正解
- 3は空欄③に入る雑損失の繰越控除期間(翌年以降3年間)として適切な数値です。
- 選択肢 ハ正解
- 5は空欄①に入るワンストップ特例の限度基準(5団体を超える場合は適用除外)として適切な数値です。
- 選択肢 ニ不正解
- 7は提示された各制度の基準数値のいずれにも該当しません。
- 選択肢 ホ不正解
- 9は提示された各制度の基準数値のいずれにも該当しません。
- 選択肢 へ正解
- 10は空欄②に入る医療費控除の基準額(総所得金額等200万円以上で10万円)として適切な数値です。
- 選択肢 ト不正解
- 20は提示された各制度の基準数値のいずれにも該当しません。
- 選択肢 チ不正解
- 30は提示された各制度の基準数値のいずれにも該当しません。
答えの内訳
- ①:ハ
- ふるさと納税ワンストップ特例制度は、寄附先の自治体数が「5」団体以下である場合に確定申告不要となる制度であるため、5団体を超える寄附を行った場合は適用されません。
- ②:へ
- 総所得金額等が200万円以上の場合、医療費控除の足切り額はその年中に支払った医療費の総額から差し引く「10」万円(総所得金額等200万円未満の場合は総所得金額等×5%)となります。
- ③:ロ
- 雑損控除の控除不足額(雑損失の金額)が生じた場合、確定申告を要件として翌年以降「3」年間にわたり繰越控除を行うことができます。
覚えるポイント
- ふるさと納税ワンストップ特例は1年間で寄附先が5団体以内であることが要件。
- 医療費控除の差引額は「10万円」または「総所得金額等の5%」のいずれか低い方。
- 雑損失の繰越控除期間は翌年以降3年間。
間違えやすいところ
- ふるさと納税ワンストップ特例の5団体制限を自治体数ではなく寄附の延べ回数と混同しないように注意する。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険の解約返戻金に係る課税および扶養控除の判定
タックスプランニング · 一時所得 / 金融類似商品 / 扶養控除
会社員のAさんの平成27年分の所得税の課税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を付けなさい。 ① 「Aさんが受け取った一時払変額個人年金保険(10年確定年金)の解約返戻金は、一時所得の収入金額として総合課税の対象となります」 ② 「一時払終身保険の解約返戻金は契約から5年以内の解約のため、源泉分離課税の対象となります」 ③ 「地元の金融機関に就職された長女Cさんの合計所得金額は38万円を超えますので、Aさんは長女Cさんについて扶養控除の適用を受けることはできません」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
生命保険契約の解約返戻金は契約者と受取人が同一の場合、原則として一時所得(総合課税)となります。ただし、一時払養老保険等で保険期間5年以下または5年以内に解約されたものは金融類似商品として源泉分離課税(20.315%)が適用されます。一時払終身保険はこれに該当しません。また、所得控除における扶養親族の合計所得金額要件は38万円以下(給与収入のみなら103万円以下)です。
解き方
- 一時払変額個人年金保険の契約期間(平成20年6月~平成27年で5年超)を確認し、金融類似商品に該当せず一時所得の総合課税となることを判定する。
- 一時払終身保険は契約後5年以内の解約であっても金融類似商品の対象外(終身保険は除外)であり、一時所得として扱われることを確認する。
- 長女Cさんの給与収入から給与所得控除額を差し引いて合計所得金額を算出し、38万円以下であるか判定して扶養控除適用の可否を判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 契約者と受取人が同一である一時払変額個人年金保険を5年超経過後に解約して得た解約返戻金は、金融類似商品に該当せず、一時所得として総合課税の対象となります。
- 小問 ②:×
- 一時払終身保険は保障性が重視される保険であるため、契約から5年以内に解約した場合であっても金融類似商品(源泉分離課税)には該当せず、一時所得として総合課税の対象となります。
- 小問 ③:○
- 長女Cさんの給与収入220万円から給与所得控除額84万円(220万円×30%+18万円)を控除した給与所得金額は136万円となり、控除対象扶養親族の所得要件(合計所得金額38万円以下)を超えるため、扶養控除の対象外となります。
覚えるポイント
- 金融類似商品(20.315%源泉分離課税)となるのは一時払養老保険等の貯蓄型保険で5年以内に解約した場合等であり、一時払終身保険は対象外となること。
- 扶養控除の対象となる扶養親族の合計所得金額要件は38万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)であること。
間違えやすいところ
- 一時払終身保険であっても契約後5年以内に解約すると金融類似商品として源泉分離課税になると誤認してしまうこと。
- 給与所得者の扶養判定で、収入金額基準(103万円以下)と合計所得金額基準(38万円以下)の数値を混同してしまうこと。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額、配偶者控除額および扶養控除額の計算
タックスプランニング · 総所得金額 / 給与所得控除 / 配偶者控除 / 特定扶養親族
設例の家族構成およびAさんの平成27年分の収入等に関する資料に基づき、Aさんの平成27年分の所得税の算出税額の計算過程における空欄①~③に入る数値を求めなさい。 ・(a)総所得金額:( ① )円 ・配偶者控除:( ② )円 ・扶養控除:( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 9,100,000 ② 380,000 ③ 630,000
解説
総所得金額は給与所得と総合課税の一時所得(差益から特別控除50万円を差し引いた金額の2分の1)などを合計して算出します。同一年に複数の一時所得がある場合、収入と支出は合算して通算できます。配偶者控除(70歳未満)は38万円、19歳以上23歳未満の特定扶養親族に係る扶養控除は63万円です。
解き方
- 給与収入1,100万円に対する給与所得控除額(1,100万×5%+170万=225万円)を求め、給与所得(875万円)を計算する。
- 一時所得の2つの保険解約返戻金を合算(差益140万円-差損20万円=120万円)し、特別控除50万円を控除した70万円の2分の1である35万円を求め、給与所得と合算して総所得金額(9,100,000円)を算出する。
- 妻Bさんの合計所得金額(25万円≦38万円)から控除対象配偶者(380,000円)であることを判定する。
- 長男Dさん(19歳、所得10万円)が特定扶養親族に該当することから、扶養控除額(630,000円)を算定する。
答えの内訳
- ①:9,100,000
- 給与所得金額は、給与収入1,100万円-給与所得控除225万円(1,100万円×5%+170万円)=875万円です。一時所得は、総収入金額1,120万円(640万円+480万円)-支出金額1,000万円(500万円+500万円)-特別控除50万円=70万円となり、総所得金額に算入する額はその2分の1の35万円です。したがって、総所得金額は875万円+35万円=9,100,000円となります。
- ②:380,000
- 妻Bさん(45歳)の給与収入は90万円で給与所得控除65万円を引くと給与所得は25万円(38万円以下)となり、一般控除対象配偶者に該当するため、配偶者控除額は380,000円となります。
- ③:630,000
- 長男Dさん(19歳)の給与収入は75万円で給与所得は10万円(38万円以下)となり控除対象扶養親族に該当します。19歳以上23歳未満であるため特定扶養親族となり、扶養控除額は630,000円となります(長女Cさんは所得要件超過のため対象外)。
覚えるポイント
- 総所得金額に算入する一時所得の金額は、特別控除(最高50万円)控除後の「2分の1」であること。
- 19歳以上23歳未満の扶養親族は「特定扶養親族」となり、扶養控除額は63万円であること。
間違えやすいところ
- 一時所得を総所得金額に合算する際、2分の1にする処理を忘れてしまうこと。
- 同一年に生じた一時所得の損失(一時払終身保険のマイナス20万円)を利益から通算せずに計算してしまうこと。
- 長男Dさんが19歳であるため一般扶養控除(38万円)ではなく特定扶養親族(63万円)が適用される点を見落とすこと。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
第5問 · 相続税の総額 / 基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額
現時点において被相続人Aさんに相続が開始した場合における相続税の総額について、課税価格の合計額を3億6,000万円として、表の空欄①〜④に入る数値を計算しなさい(単位:万円)。推定相続人は妻B(68歳)、長男C(42歳)、長女D(38歳)の計3人である。
解答・解説を表示
解答
① 4,800 ② 4,540 ③ 1,640 ④ 7,820
解説
相続税の総額は、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた課税遺産総額を法定相続分に応じて各相続人に按分し、それぞれの金額に超過累進税率を適用して計算した税額を合算して求めます。
解き方
- 法定相続人の数(3人)に基づき、基礎控除額(3,000万円+600万円×3人=4,800万円)を求めて課税遺産総額(3億1,200万円)を算出する。
- 課税遺産総額を法定相続分(配偶者1/2、子各1/4)で按分し、速算表を適用して各人の算出税額を計算し、合算して相続税の総額を求める。
答えの内訳
- ①:4,800
- 遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出します。法定相続人は妻B・長男C・長女Dの3人であるため、3,000万円+600万円×3人=4,800万円となります。
- ②:4,540
- 課税遺産総額は3億6,000万円-4,800万円=3億1,200万円です。配偶者である妻Bの法定相続分は2分の1なので、法定相続分に応ずる取得金額は1億5,600万円となります。速算表より税率40%・控除額1,700万円を適用し、1億5,600万円×40%-1,700万円=4,540万円と求まります。
- ③:1,640
- 長女Dの法定相続分は4分の1なので、法定相続分に応ずる取得金額は3億1,200万円×1/4=7,800万円となります。速算表より税率30%・控除額700万円を適用し、7,800万円×30%-700万円=1,640万円と求まります。
- ④:7,820
- 各法定相続人の税額(妻B:4,540万円、長男C:7,800万円×30%-700万円=1,640万円、長女D:1,640万円)を合算して相続税の総額を算出します。4,540万円+1,640万円+1,640万円=7,820万円となります。
覚えるポイント
- 相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
- 相続税の総額は実際の遺産分割割合ではなく法定相続分で按分して仮計算する
間違えやすいところ
- 平成27年1月1日以降の基礎控除額(3,000万円+600万円×人数)ではなく改正前の基準(5,000万円+1,000万円×人数)を使ってしまう誤り
- 子供それぞれの法定相続分(1/4)を取り違えて計算してしまう誤り
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業承継と役員退職金・納税猶予・生命保険
第5問 · 役員退職金と株価 / 事業承継税制 / 生命保険金の非課税限度額
Aさんの相続等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① Aさんの勇退にあたり、X社が役員退職金規程に基づきAさんに対して役員退職金を支給した場合、X社の利益金額および純資産価額が引き下がるため、X社株式の相続税評価額(類似業種比準価額)を引き下げる効果がある。 ② 後継者である長男Cさんが「非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例」の適用を受けて、先代経営者であるAさんから、贈与によりX社株式を取得した場合、長男Cさんが納付すべき贈与税額のうち、対象となる非上場株式等に対応する贈与税の80%を限度として納税が猶予される。 ③ Aさんが加入している一時払終身保険の死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となる。ただし、長男Cさんが受け取る死亡保険金のうち、相続税の課税価格に算入される金額は3,500万円となる。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ○
解説
事業承継対策における役員退職金支給は自社株の評価引き下げに寄与し、事業承継税制の贈与税納税猶予では対象株式に係る税額全額が猶予されます。また、死亡保険金には法定相続人1人あたり500万円の非課税枠が認められています。
解き方
- 退職金支給による法人の損金算入および純資産減少が株式評価額(類似業種比準価額)に与える影響を判定する。
- 事業承継税制における贈与税の納税猶予割合(100%)を確認し、記述の誤りを判定する。
- 生命保険金の非課税限度額(500万円×3人=1,500万円)を計算し、課税価格算入額を算出・検証する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 適正な役員退職金の支給は法人の損金となり、利益金額を押し下げるとともに現預金の流出により純資産価額を引き下げます。これにより類似業種比準価額を構成する比準要素が低下し、自社株評価額を引き下げる効果があります。
- 小問 ②:×
- 「非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例」において、対象株式に対応する贈与税は全額(100%)の納税が猶予されます(80%が上限とされるのは相続税の納税猶予の一般措置です)。したがって本記述は不適切です。
- 小問 ③:○
- 契約者・被保険者がAさんである生命保険金の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数(3人)=1,500万円」です。長男Cさんが受け取る死亡保険金5,000万円から非課税限度額1,500万円を控除した3,500万円が相続税の課税価格に算入されます。
覚えるポイント
- 事業承継税制(一般措置)において贈与税の猶予割合は100%、相続税は80%
- 死亡保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
間違えやすいところ
- 贈与税の納税猶予割合と相続税の納税猶予割合(80%)を混同すること
- 生命保険金の非課税枠計算時に法定相続人の数に相続放棄者等の特例を含め忘れること
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税
相続・事業承継 · 贈与税の非課税特例 / 住宅取得等資金の贈与 / 受贈者・住宅要件
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 本特例の適用を受けるためには、長女Dさんの贈与を受けた年分の合計所得金額が1,000万円以下であること、取得する家屋の床面積が50㎡以上330㎡以下であること等、所定の要件を満たす必要がある。 ② 本特例の適用を受けるためには、受贈者は住宅取得等資金の贈与を受けた年の1月1日において20歳以上であることが必要となるが、贈与者に年齢要件はない。 ③ 本特例は、暦年課税の基礎控除または相続時精算課税の特別控除と併用して適用を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税特例は、父母や祖父母から居住用家屋の新築等の資金提供を受けた場合に一定額まで贈与税が非課税となる制度です。受贈者の年齢や所得要件、家屋の床面積要件などの適用要件を満たす必要があります。
解き方
- 受贈者の所得制限(2,000万円以下)および対象家屋の床面積要件(50㎡以上240㎡以下)を確認して記述①の正誤を判定する。
- 贈与者(直系尊属・年齢不問)と受贈者(20歳以上の直系卑属)の要件を確認して記述②の正誤を判定する。
- 暦年課税の基礎控除(110万円)や相続時精算課税の特別控除との併用適用の可否を確認して記述③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 受贈者の合計所得金額の要件は2,000万円以下であり、家屋の床面積要件(登記簿面積)は50㎡以上240㎡以下であるため不適切です。
- 小問 ②:○
- 受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上(直系卑属)である必要がありますが、贈与者である父母や祖父母等の直系尊属に年齢制限はありません。
- 小問 ③:○
- 住宅取得等資金の贈与税の非課税特例は、暦年課税の基礎控除(110万円)または相続時精算課税の特別控除(2,500万円)のいずれとも併用して適用が可能です。
覚えるポイント
- 受贈者の合計所得金額の上限は2,000万円以下、床面積は50㎡以上240㎡以下であること。
- 暦年課税(110万円)や相続時精算課税制度(2,500万円)と併用可能であること。
間違えやすいところ
- 小規模宅地等の特例における特定居住用宅地等の限度面積(330㎡)と住宅取得等資金の床面積上限(240㎡)を混同しやすい。
- 相続時精算課税の贈与者要件(60歳以上)と混同して、住宅取得等資金非課税の贈与者にも年齢要件があると誤解しやすい。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令(平成27年度税制改正後の基準)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2015年9月 2級 実技 生保顧客資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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