日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
健康保険の出産手当金および出産育児一時金
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険 / 出産手当金 / 出産育児一時金
健康保険から支給される出産手当金および出産育児一時金に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 ⅰ)「妻Bさんが、出産のために休業し、その期間について事業主から給与の支払を受けられない場合、所定の手続により、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日の範囲内で出産手当金が妻Bさんに支給されます。出産手当金の額は、1日につき標準報酬日額の( ① )に相当する額です。また、出産手当金の支給期間中に傷病手当金も受けられるようになった場合は、( ② )支給されます」 ⅱ)「妻Bさんが、平成27年12月に産科医療補償制度に加入している医療機関で出産した場合、所定の手続により、1児につき( ③ )の出産育児一時金が支給されます。また、出産育児一時金の支給までの間に出産費用が必要となった場合には、一定の要件のもとに出産費貸付制度を利用することができます。この制度では出産育児一時金支給見込額の8割相当額を限度に無利子で資金の貸付を受けられます」
- イ
- 3分の1
- ロ
- 2分の1
- ハ
- 3分の2
- ニ
- 出産手当金が優先して
- ホ
- 傷病手当金が優先して
- へ
- いずれも満額
- ト
- 32万円
- チ
- 42万円
- リ
- 52万円
解答・解説を表示
解答
① ハ、② ニ、③ チ
解説
健康保険の被保険者が出産した際には、所得保障としての出産手当金(原則として標準報酬日額の3分の2、傷病手当金と重複時は出産手当金が優先)と、分べん費用補助としての出産育児一時金(原則42万円)が支給されます。
解き方
- 出産手当金の1日当たりの給付割合(標準報酬日額に対する割合)が3分の2であることを確認し、①に「ハ」を選択する。
- 出産手当金と傷病手当金の併給調整において、出産手当金が優先されるルールを確認し、②に「ニ」を選択する。
- 産科医療補償制度に加入している医療機関等での出産育児一時金の支給額が原則42万円であることを確認し、③に「チ」を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 健康保険の出産手当金の1日当たりの支給額は、標準報酬日額の3分の2に相当する額となります。
- 小問 ②:ニ
- 傷病手当金と出産手当金を受給できる状態が重複した場合、出産手当金が優先して支給され、傷病手当金は原則として支給されません(出産手当金の額が傷病手当金より少ない場合は差額が支給されます)。
- 小問 ③:チ
- 健康保険の出産育児一時金は原則1児につき42万円(産科医療補償制度加入の医療機関等で出産した場合)が支給されます。
覚えるポイント
- 出産手当金は標準報酬日額の3分の2、傷病手当金との重複時は出産手当金が優先。
- 出産育児一時金は原則42万円(産科医療補償制度対象時)。
間違えやすいところ
- 雇用保険の育児休業給付金(当初67%)と健康保険の出産手当金(3分の2)の割合を混同しやすい。
- 傷病手当金と出産手当金が重複した際、どちらが優先されるかを逆に覚えやすい。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の健康保険法
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
産前産後休業・育児休業期間中の社会保険料および育児休業給付金の取扱い
ライフプランニングと資金計画 · 産前産後休業 / 育児休業給付金 / 社会保険料免除
妻Bさんが産前産後休業および育児休業を取得し、その期間について勤務先から給与が支給されない場合に係る社会保険の取扱い等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「妻Bさんを使用する事業主が、妻Bさんの産前産後休業期間中に所定の手続を行うことにより、妻Bさんの産前産後休業期間に係る健康保険および厚生年金保険の保険料が免除されます」 ② 「妻Bさんが、所定の手続により、雇用保険から育児休業給付金の支給を受ける場合、その給付金の額は、給付金の支給に係る休業日数が通算して180日に達するまでは、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じて得た額の67%に相当する額となります」 ③ 「妻Bさんは育児休業期間に係る雇用保険の保険料を負担する必要はありませんが、妻Bさんが、所定の手続により、雇用保険から育児休業給付金の支給を受ける場合、その給付金に対しては所得税が課されます」
解答・解説を表示
解答
① ○、② ○、③ ×
解説
産前産後休業期間中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)は事業主の申出により免除されます。雇用保険の育児休業給付金は当初180日間は賃金の67%(180日経過後は50%)が支給され、給付金は非課税扱いです。
解き方
- 記述①:産前産後休業期間中の健康保険・厚生年金保険料の免除制度の要件・効果を確認し、適切(○)と判定する。
- 記述②:育児休業給付金の給付率が180日までは67%である規定を確認し、適切(○)と判定する。
- 記述③:育児休業給付金に対する課税関係(所得税非課税)を確認し、課税されるとしている記述を不適切(×)と判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 事業主が年金事務所等に申出(所定の手続)を行うことにより、産前産後休業期間中の健康保険および厚生年金保険の保険料が被保険者本人・事業主負担分ともに免除されます。
- 小問 ②:○
- 育児休業給付金の額は、育児休業開始から通算して180日までは休業開始時賃金日額×支給日数の67%、180日経過後は50%相当額となります。
- 小問 ③:×
- 育児休業中に賃金が支払われない場合は雇用保険料の負担は生じませんが、雇用保険から支給される育児休業給付金は非課税所得となるため、所得税は課されません。
覚えるポイント
- 産前産後休業および育児休業の期間中の社会保険料は事業主の申出により本人分・事業主分ともに免除される。
- 育児休業給付金は当初180日までは67%、以後は50%で支給され、非課税所得となる。
間違えやすいところ
- 育児休業給付金が給与所得等として課税されると誤解しやすいが、雇用保険の給付金は原則非課税である。
- 育児休業給付金の給付割合が67%となる期間の上限日数(180日)を間違えやすい。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法および所得税法
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の受給権取得時における年金額の計算
年金・社会保険 · 遺族厚生年金 / 短期要件 / 中高齢寡婦加算
会社員であるAさん(32歳)が平成27年9月13日に死亡し、同居・生計維持関係にある妻Bさん(30歳、第1子妊娠中)が遺族厚生年金の受給権を取得した場合の、受給権取得時における遺族厚生年金の年金額を計算しなさい。なお、Aさんの厚生年金保険被保険者期間はすべて平成15年4月以後で125月、平均標準報酬額は40万円である。計算式は本来水準を用い、300月みなしおよび中高齢寡婦加算の適否を考慮すること。
解答・解説を表示
解答
493,290円
解説
在職中の死亡等による遺族厚生年金(短期要件)では、厚生年金保険の被保険者期間が300月(25年)未満であっても、一律300月とみなして報酬比例部分の4分の3の額が基本額として計算されます。中高齢寡婦加算は、夫死亡時に40歳以上65歳未満で生計を同じくする子のない妻などに加算されるため、年齢要件を満たさない場合は加算されません。
解き方
- 短期要件に基づき、被保険者期間125月を最低保障である300月に読み替えて基本額を計算する:400,000円×(5.481/1,000)×300月×(3/4)=493,290円。
- 中高齢寡婦加算の加算要件を確認する。妻Bさんは夫死亡時点で30歳であり、40歳未満であるため中高齢寡婦加算は加算されない(0円)。
- 基本額に中高齢寡婦加算額を合算し、受給権取得時における年金額を493,290円と算出する。
覚えるポイント
- 遺族厚生年金の短期要件における被保険者期間の最低保障月数は300月であること。
- 遺族厚生年金の基本額は報酬比例部分の額の4分の3であること。
間違えやすいところ
- 実際の被保険者期間である125月のまま計算してしまい、300月みなしの適用を忘れるミス。
- 妊娠中であることや妻の年齢を見落とし、中高齢寡婦加算(585,100円)を誤って加算してしまうミス。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等(平成27年度価額・本来水準)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一般NISA(少額投資非課税制度)の仕組み
金融資産運用 · NISA / 非課税限度額 / 非課税期間 / 損益通算
NISA(少額投資非課税制度)の仕組みに関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 「NISAは、上場株式や公募株式投資信託等の配当等や譲渡益等が非課税となる制度です。NISA口座には年間の受入れ限度額が定められており、平成27年までの限度額は( ① )、平成28年以降の各年については( ② )となります。また、非課税期間は最長で( ③ )となります。なお、NISA口座に受け入れた上場株式や公募株式投資信託等に譲渡損失が生じた場合、その損失の金額は、特定口座等の他の口座で生じた上場株式等に係る譲渡益の金額と損益の通算をすることが( ④ )」
- イ
- 80万円
- ロ
- 100万円
- ハ
- 120万円
- ニ
- 150万円
- ホ
- 180万円
- へ
- 200万円
- ト
- 3年間
- チ
- 5年間
- リ
- 7年間
- ヌ
- できます
- ル
- できません
解答・解説を表示
解答
① ロ、② ハ、③ チ、④ ル
解説
NISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得および譲渡所得等の非課税措置)は、年間投資枠内で取得した上場株式や公募株式投信等の配当金や売買益が最長5年間非課税となる制度です。ただし、NISA口座内で発生した損失は税務上存在しないものとされるため、他の課税口座との損益通算や繰越控除の適用は受けられません。
解き方
- 平成27年までと平成28年以降の年間受入れ限度額の変遷(100万円から120万円への引上げ)を確認する。
- 非課税口座で保有できる最長期間(5年間)を確認する。
- NISA口座における損失の税制上の扱い(損益通算不可・繰越控除不可)を確認し、適切な語句を選択する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 平成27年までのNISA口座の年間投資上限額(受入れ限度額)は100万円でした。
- 小問 ②:ハ
- 税制改正により、平成28年(2016年)以降のNISA口座の年間投資上限額は120万円に拡充されました。
- 小問 ③:チ
- 一般NISA口座に受け入れた上場株式等の非課税管理期間は、最長で5年間となります。
- 小問 ④:ル
- NISA口座内で生じた譲渡損失は税制上ないものとみなされるため、特定口座や一般口座等の他の口座の利益と損益通算することはできません。
覚えるポイント
- 平成27年までのNISA年間限度額は100万円、平成28年以降は120万円であること。
- NISA口座で生じた譲渡損失は他の課税口座と損益通算できず、繰越控除もできないこと。
間違えやすいところ
- 平成28年以降の改正後限度額(120万円)と平成27年までの限度額(100万円)を逆に選択してしまうミス。
- 通常の株式譲渡損と同様に、NISA口座の損失も特定口座等の譲渡益と損益通算できると勘違いしてしまうミス。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資信託の運用パフォーマンス評価および商品性の理解
金融資産運用 · シャープ・レシオ / 為替変動リスク / 信託財産留保額
X投資信託およびY投資信託の特徴等に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 「X投資信託とY投資信託の過去5年間の運用パフォーマンスをシャープ・レシオで比較した場合、Y投資信託のほうが効率的に運用されていたと評価することができます」 ② 「Y投資信託は為替ヘッジを行っていませんので、購入後に投資対象国通貨に対して円高となった場合、為替ヘッジを行った場合と比較して、基準価額の値下りは大きくなります」 ③ 「信託財産留保額は、投資信託を解約等した受益者と引き続き保有する受益者との公平性を確保するためにすべての投資信託に設定されているものであり、販売会社によってその料率が異なることはありません」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
投資信託の運用効率を測るシャープ・レシオは取ったリスクに対してどれだけ超過リターンを得られたかを示す指標であり、数値が大きいほど優秀と判断されます。また、為替ヘッジの有無による損益特性や、信託財産留保額をはじめとする各種コストの仕組みを正確に把握することが重要です。
解き方
- 各投資信託の過去5年間の収益率、標準偏差、無リスク利子率からシャープ・レシオを計算して大小を比較する。
- 為替ヘッジを行わない場合における為替レート変動(円高局面)が外貨建て資産の基準価額に与える影響を整理する。
- 信託財産留保額の目的や設定の有無(全ファンド必須ではないこと)について制度上の定義を確認する。
答えの内訳
- ①:×
- シャープ・レシオは「(リターン-無リスク資産利子率)÷リスク(標準偏差)」で計算されます。X投信は(5.5%-0.1%)÷8.0%=0.675、Y投信は(10.5%-0.1%)÷22.0%≒0.473となり、数値が大きいX投信のほうが効率的に運用されていたと評価されます。
- ②:○
- 為替ヘッジなしの外貨建て投資信託は、為替相場が円高(外貨安)に進行した場合に為替差損が発生するため、為替ヘッジを行っている場合と比較して基準価額の値下がりが大きくなります。
- ③:×
- 信託財産留保額は、途中解約に伴うコストを解約者に負担させ残存受益者との公平性を保つための費用ですが、すべての投資信託に設定されているわけではなく、留保額が設定されていない商品も存在します。
覚えるポイント
- シャープ・レシオ=(リターン-無リスク資産利子率)÷標準偏差であり、数値が大きいほど運用の効率性が高い。
間違えやすいところ
- シャープ・レシオの分母と分子を取り違えたり、無リスク利子率を引き忘れたりして計算ミスをすること。
- 信託財産留保額は換金手数料と異なり信託財産中に留保される費用であるが、全商品に設定されているわけではない点を見落とすこと。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公募株式投資信託の解約に係る譲渡所得および源泉徴収税額の計算
金融資産運用 · 投資信託の譲渡所得 / 信託財産留保額の控除 / 源泉徴収税率
Aさんが、平成27年中に、特定口座の源泉徴収選択口座で保有するX投資信託を基準価額10,000円(1万口当たり)ですべて解約した場合に徴収される所得税(復興特別所得税を含む)および住民税の合計額を計算した次の〈計算式〉の空欄①~③に入る最も適切な数値を求めなさい。 〈計算式〉 ・譲渡所得の金額 (□□□円-8,480円)×2,000,000口÷10,000口=( ① )円 ・所得税(復興特別所得税を含む)および住民税の合計額 所得税(復興特別所得税を含む)( ① )円×□□□%=□□□円 住民税 ( ① )円×( ② )%=□□□円 合計額 □□□円+□□□円=( ③ )円
解答・解説を表示
解答
① 300,000 ② 5 ③ 60,945
解説
公募株式投資信託の解約(換金)価額は、解約時の基準価額から信託財産留保額を控除した金額となります。解約により生じた譲渡益には、特定口座(源泉徴収あり)において所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%の合計20.315%が源泉徴収されます。
解き方
- 解約時の基準価額10,000円から信託財産留保額(10,000円×0.2%=20円)を差し引き、1万口当たりの解約価額9,980円を求める。
- 解約価額から購入時の基準価額8,480円を減算し、保有口数(200万口)を乗じて譲渡所得の金額(300,000円)を計算する。
- 住民税の源泉徴収税率が5%であることを確認し、所得税・復興特別所得税(15.315%)と住民税(5%)の税額を合算して合計税額を算出する。
答えの内訳
- ①:300,000
- 解約時の基準価額10,000円から信託財産留保額(10,000円×0.2%=20円)を控除した解約価額は9,980円となります。譲渡所得の金額は、(9,980円-8,480円)×2,000,000口÷10,000口=300,000円です。
- ②:5
- 上場株式等(公募株式投資信託を含む)の譲渡所得に対して源泉徴収される税率は、所得税(復興特別所得税を含む)が15.315%、住民税が5%であるため、空欄②は「5」となります。
- ③:60,945
- 所得税(復興特別所得税含む)は300,000円×15.315%=45,945円、住民税は300,000円×5%=15,000円となります。その合計額は45,945円+15,000円=60,945円(300,000円×20.315%=60,945円)です。
覚えるポイント
- 公募株式投信の解約価額=基準価額-信託財産留保額となる点と、譲渡所得の税率合計20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)を覚える。
間違えやすいところ
- 解約価額の計算で信託財産留保額を差し引かずに基準価額のまま計算してしまうこと。
- 所得税と住民税の合計税率20.315%の内訳(15.315%と5%)を混同すること。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の青色申告制度の要件と特典
タックスプランニング · 青色申告承認申請手続 / 純損失の繰越控除 / 青色申告特別控除
長男Cさんが平成27年10月にAさんの事業を引き継ぐにあたり、所得税の青色申告に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を選択肢の中から選びなさい。 ⅰ)長男Cさんが平成27年10月にAさんの事業を引き継ぎ、その年分以後の所得税について青色申告書により確定申告書を提出するためには、その業務を開始した日から( ① )以内に、所定の事項を記載した青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署長に提出して承認を受けなければならない。 ⅱ)青色申告の承認を受けることによる税務上の特典としては、青色申告特別控除や青色事業専従者給与の必要経費算入、最長で( ② )にわたる純損失の繰越控除などがある。このうち、青色申告特別控除については、長男Cさんが引き継いだ事業に係る取引の内容を正規の簿記の原則により記帳し、それに基づいて作成した貸借対照表等を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出した場合、最高で( ③ )を所得金額から控除することができる。
- イ
- 2カ月
- ロ
- 3カ月
- ハ
- 4カ月
- ニ
- 3年間
- ホ
- 7年間
- へ
- 9年間
- ト
- 10万円
- チ
- 65万円
- リ
- 103万円
解答・解説を表示
解答
① イ、② ニ、③ チ
解説
所得税の青色申告制度は、一定水準の記帳を行い帳簿書類を保存する納税者に対し、青色申告特別控除や青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の3年間の繰越控除など、税務上の各種特典を認める制度です。
解き方
- 新たに業務を開始した場合の青色申告承認申請書の提出期限(その年の1月16日以後の開始は開始日から2カ月以内)を確認し、①を特定します。
- 個人所得税における純損失の繰越控除の最長期間(3年間)を確認し、②を特定します。
- 正規の簿記の原則により記帳し期限内申告書に貸借対照表等を添付した場合に適用される青色申告特別控除の最高限度額(65万円)を確認し、③を特定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合には、業務を開始した日から2カ月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。
- 小問 ②:ニ
- 所得税の青色申告者が事業等で生じた純損失の金額は、翌年以後最長3年間にわたって繰り越して各年分の所得金額から控除することができます。
- 小問 ③:チ
- 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者が、正規の簿記の原則により記帳し、貸借対照表および損益計算書を添付して法定申告期限内に提出したときは、最高65万円の青色申告特別控除を受けられます。
覚えるポイント
- 1月16日以降開業の場合は2カ月以内、1月15日以前から業務を行っている場合はその年の3月15日までに承認申請書を提出します。
間違えやすいところ
- 純損失の繰越控除期間について、法人税の欠損金繰越期間(9年または10年)と個人の所得税(3年間)を混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の事業承継に伴う所得税上の取扱い
タックスプランニング · 扶養控除の判定要件 / 個人事業の開業・廃業等届出書と青色申告の効力 / 青色事業専従者給与に関する届出書
Aさんの平成27年分の所得税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 長男Cさんに事業を引き継いだ日から平成27年12月31日までのAさんの収入金額が38万円以下である場合、Aさんは、事業を引き継いだ日の前日までの収入の多寡にかかわらず、長男Cさんの控除対象扶養親族となることができる。 ② Aさんが事業の引継ぎに際して、「個人事業の開業・廃業等届出書」を納税地の所轄税務署長に提出した場合、その提出をもって青色申告を取りやめたこととなるため、Aさんが不動産所得について青色申告を行うためには、改めて青色申告の承認を得る必要がある。 ③ 長男Cさんが、事業を引き継いで青色申告の承認を得た場合、Aさんの青色事業専従者であったBさんをこれまでと同様に青色事業専従者とするためには、長男CさんはBさんに係る「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ×、③ ○
解説
所得税は暦年(1月1日~12月31日)単位で所得を計算するため、各種控除対象親族の判定も1年間の総所得金額等を基に行われます。また、青色申告の効力や青色事業専従者給与の届出は事業主ごとに独立して管理されます。
解き方
- 記述①について、扶養親族の所得判定が年間の合計所得金額(38万円以下)で判定される点を確認し、事業引継ぎ後の期間のみで判定する記述が誤りであると判断します。
- 記述②について、「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出と青色申告の承認の効力(取りやめには「青色申告の取りやめ届出書」が必要)を照らし合わせ、不動産所得に対する青色申告の継続可否から不適切と判定します。
- 記述③について、事業主が変更された場合の青色事業専従者給与に関する届出書の要否を検討し、新事業主による新規届出が必要であるため適切と判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 控除対象扶養親族の判定における合計所得金額38万円以下の要件は、その年1月1日から12月31日までの1年間の合計所得金額で判定されるため、事業承継前の所得を無視して判定することはできません。
- 小問 ②:×
- 「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出しても青色申告の承認の効力は失われず、不動産所得について引き続き青色申告を行うにあたって改めて青色申告の承認を得る必要はありません。
- 小問 ③:○
- 青色事業専従者給与の必要経費算入の適用を受けるためには、新たに事業主となった長男Cさんが納税地の所轄税務署長に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出する必要があります。
覚えるポイント
- 青色申告を取りやめるには「所得税の青色申告の取りやめ届出書」の提出が必要であり、廃業届の提出のみで青色申告の効力は失われません。
間違えやすいところ
- 扶養控除の判定を退職後や事業承継後の期間の所得だけで判定できると誤認しがちですが、必ず暦年全体の合計所得金額で判断します。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の所得税法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の総所得金額および算出税額の計算
タックスプランニング · 不動産所得の損益通算 / 扶養控除 / 基礎控除 / 所得税の算出税額
個人事業主であるAさんの平成27年分の所得税の確定申告(青色申告)における算出税額等について、空欄①~④に入る数値を計算しなさい。なお、Aさんは同居する母Eさん(86歳、公的年金収入70万円)について扶養控除の適用を受けるものとする。 〈計算表〉 (a)総所得金額:( ① )円 ・社会保険料控除:□□□円 ・生命保険料控除:□□□円 ・扶養控除:( ② )円 ・基礎控除:( ③ )円 (b)所得控除の額の合計額:1,900,000円 (c)課税総所得金額:□□□円 (d)算出税額(cに対する所得税額):( ④ )円
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解答
① 7,500,000 ② 580,000 ③ 380,000 ④ 692,500
解説
不動産所得の赤字のうち土地取得に要した負債利子部分は損益通算の対象外とされます。また、70歳以上の同居の控除対象扶養親族は同居老親等として58万円の扶養控除が適用されます。
解き方
- 不動産所得の損失から土地取得に係る負債利子20万円を除き、通算可能な損失50万円を事業所得800万円から控除して総所得金額7,500,000円を計算する。
- 母Eさんの所得要件と同居関係を確認し、同居老親等に係る扶養控除額580,000円および基礎控除額380,000円を特定する。
- 総所得金額から所得控除合計額を差し引いて課税総所得金額5,600,000円を算出し、速算表を適用して算出税額692,500円を求める。
答えの内訳
- ①:7,500,000
- 不動産所得の損失70万円のうち、土地取得に要した負債の利子20万円は損益通算の対象外となるため、通算対象損失は50万円です。したがって、総所得金額は事業所得800万円-50万円=7,500,000円となります。
- ②:580,000
- 母Eさんは86歳で公的年金収入が70万円(65歳以上の公的年金等控除額120万円以下で雑所得は0円)であり、控除対象扶養親族のうち同居老親等(70歳以上で同居)に該当するため、扶養控除額は580,000円です。
- ③:380,000
- 所得税における平成27年分の基礎控除の額は、一律380,000円(38万円)となります。
- ④:692,500
- 課税総所得金額は7,500,000円-1,900,000円=5,600,000円です。速算表より税率20%、控除額427,500円を適用し、5,600,000円×20%-427,500円=692,500円となります。
覚えるポイント
- 不動産所得の赤字における土地負債利子は損益通算できない
- 70歳以上の同居老親等の扶養控除額は58万円(同居外は48万円)
間違えやすいところ
- 不動産所得の損失70万円全額を事業所得から差し引いてしまうミス
- 同居老親等の扶養控除額を一般の控除額38万円や別居老親の48万円と取り違えるミス
出題の前提:平成27年4月1日現在施行の法令に基づく
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅新築時の建築基準法および不動産登記法の留意点
不動産 · 建築制限 / 絶対高さ制限 / 防火地域 / 建物表題登記
甲土地に自宅を新築する場合の留意点に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 甲土地のある第一種住居地域内においては、都市計画により、10mまたは12mの絶対高さ制限が適用される。 ② 甲土地のある防火地域内においては、延べ面積が80㎡を超える建築物は、その建築物の階数にかかわらず、原則として耐火建築物としなければならない。 ③ 自宅を新築した場合、Aさんはその建物の所有権を取得した日から1カ月以内に建物の表題登記を申請しなければならない。
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解答
① × ② × ③ ○
解説
建築基準法上の絶対高さ制限は低層住居専用地域特有の規制であり、防火地域では延べ面積100㎡超または階数3以上の建築物に耐火建築物義務が課されます。また新築建物の表題登記は取得から1カ月以内の申請義務があります。
解き方
- 第一種住居地域における高さ制限の適用対象(絶対高さ制限の有無)を確認し、不適切と判断する。
- 防火地域内での建築規制において、階数によらず耐火建築物が要求される延べ面積基準(100㎡超)を確認し、80㎡超とする記述を不適切と判断する。
- 不動産登記法における建物表題登記の申請期限(所有権取得の日から1カ月以内)を確認し、適切と判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 絶対高さ制限(10mまたは12m)が適用されるのは、第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域(および田園住居地域)であり、第一種住居地域には適用されません。
- 小問 ②:×
- 防火地域内において階数にかかわらず耐火建築物としなければならないのは延べ面積が100㎡を超える建築物です。80㎡を超える建築物ではありません。
- 小問 ③:○
- 新築した建物の所有権を取得した者は、不動産登記法の規定により、その所有権を取得した日から1カ月以内に建物の表題登記を申請しなければなりません。
覚えるポイント
- 絶対高さ制限が定められる用途地域は低層住居専用地域
- 防火地域内で階数によらず耐火建築物義務となるのは延べ面積100㎡超
- 新築建物の表題登記は所有権取得から1カ月以内に申請義務がある
間違えやすいところ
- 第一種住居地域と第一種低層住居専用地域の用途地域ごとの高さ制限を混同するミス
- 防火地域と準防火地域における耐火建築物の面積要件(100㎡と1,500㎡)を取り違えるミス
出題の前提:平成27年4月1日現在施行の法令に基づく
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に基づく最大建築面積および最大延べ面積の計算
不動産 · 建ぺい率の緩和 / 容積率の制限 / 道路幅員制限
Aさんが所有する甲土地(敷地面積360㎡)に耐火建築物を新築する場合の建築基準法上の①最大建築面積および②最大延べ面積について、計算過程を示して求めなさい。 〈甲土地の概要〉 ・用途地域:第一種住居地域 ・指定建ぺい率:60%、指定容積率:200% ・前面道路幅員による容積率の制限:前面道路幅員×4/10 ・防火規制:防火地域 ・接道状況:北側が幅員6mの公道に24m接面、東側が幅員4mの公道に15m接面 ・建ぺい率の緩和について特定行政庁が指定する角地である ・特定行政庁が指定する幅員6mの区域には該当しない
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解答
① 288㎡ ② 720㎡
解説
建ぺい率は敷地条件や建築物の構造等に応じて緩和措置が加算され、容積率は指定数値と前面道路幅員から算出される制限数値のうち小さい方が上限として適用されます。
解き方
- 甲土地の建ぺい率について、指定建ぺい率60%に防火地域内の耐火建築物による緩和(+10%)と角地緩和(+10%)を合算し、80%を敷地面積360㎡に乗じる。
- 容積率について、2つの前面道路のうち広い方の幅員(6m)に法定乗数(4/10)を乗じて道路幅員制限(240%)を算出し、指定容積率(200%)と比較して小さい方(200%)を敷地面積360㎡に乗じる。
答えの内訳
- ①:288㎡
- 指定建ぺい率60%に対し、防火地域内の耐火建築物の建築により+10%、特定行政庁が指定する角地であることにより+10%の緩和が適用されるため、適用される建ぺい率は80%(60%+10%+10%)となります。したがって、最大建築面積は 360㎡×80%=288㎡ です。
- ②:720㎡
- 甲土地は幅員6mと4mの2つの道路に接しているため、広い方の幅員6mを採用します。前面道路幅員による容積率の限度は 6m×4/10=24/10=240% となります。指定容積率200%と比較して厳しい方(小さい方)が適用されるため、適用容積率は200%です。したがって、最大延べ面積は 360㎡×200%=720㎡ です。
覚えるポイント
- 防火地域内の耐火建築物は建ぺい率+10%、特定行政庁が指定する角地も+10%の緩和となる。
- 前面道路が2つ以上ある場合、幅員の広い方の道路幅員を基準にして道路幅員制限を計算する。
間違えやすいところ
- 幅員の狭い道路(4m)を基準にして道路制限容積率(160%)と誤算定してしまうミス。
- 角地緩和と防火地域内耐火建築物の緩和が併用可能であることを失念し、片方しか加算しないミス。
出題の前提:建築基準法第52条(容積率)、第53条(建ぺい率)に基づき、2015年4月1日現在の法令に準拠。
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅新築時の税務(登録免許税・不動産取得税・固定資産税)
不動産 · 登録免許税の軽減 / 不動産取得税の課税標準の特例 / 固定資産税の住宅用地の特例
Aさんが平成27年に甲土地に自己の居住用住宅(延べ面積150㎡、認定長期優良住宅に該当しない)を新築した場合の税金に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① 新築する住宅の所有権の保存登記を新築後1年以内に受けた場合、この登記に係る登録免許税の税率について「住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減」の適用を受けることができる。 ② 「不動産取得税の課税標準の特例」の適用を受けた場合、不動産取得税の課税標準の算定上、住宅1戸につき最高1,200万円を住宅の価格から控除することができる。 ③ 住宅の建築により甲土地は住宅用地となるため、住宅1戸当たり100㎡までの小規模住宅用地について、固定資産税の課税標準となるべき価格を6分の1とする特例の適用を受けることができる。
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解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
住宅用家屋を新築・取得した際には、流通税(登録免許税・不動産取得税)や保有税(固定資産税)において、床面積や居住要件を満たすことで各種税負担を軽減する特例が設けられています。
解き方
- ①について、個人の自己居住用・床面積50㎡以上・新築後1年以内という登録免許税の軽減要件を満たしているか確認する。
- ②について、床面積50㎡以上240㎡以下の新築住宅に適用される不動産取得税の控除限度額(1,200万円)の正誤を判断する。
- ③について、固定資産税の小規模住宅用地(6分の1特例)の対象面積が200㎡以下であることと記述(100㎡)を照合して誤りを判断する。
答えの内訳
- ①:○
- 個人が新築した家屋で、自己の居住用、床面積50㎡以上、新築後1年以内の登記などの要件を満たしている場合、住宅用家屋の所有権保存登記に係る登録免許税の税率の軽減措置の適用を受けることができます。
- ②:○
- 床面積が50㎡以上240㎡以下である新築住宅を取得した場合、不動産取得税の課税標準の特例により、固定資産税評価額から住宅1戸につき最高1,200万円を控除することができます。
- ③:×
- 住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例において、価格が6分の1に減額される小規模住宅用地は、住宅1戸当たり「200㎡」までの部分です。記述の「100㎡まで」は誤りです。
覚えるポイント
- 住宅用地の固定資産税の課税標準の特例:200㎡以下の小規模住宅用地は6分の1、200㎡超の一般住宅用地は3分の1となる。
- 新築住宅に対する不動産取得税の課税標準の控除額は最高1,200万円(認定長期優良住宅等は1,300万円)である。
間違えやすいところ
- 固定資産税の小規模住宅用地の限度面積(200㎡)と都市計画税の特例面積、または相続税の小規模宅地特例等の面積要件と混同するミス。
出題の前提:地方税法および租税特別措置法に基づき、2015年4月1日現在の法令に準拠。
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続開始後の手続と税務上の特例・期限
相続・事業承継 · 遺産分割手続 / 配偶者の税額軽減 / 準確定申告の期限
相続開始後の手続に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 ⅰ)被相続人の財産は相続開始と同時に共同相続人の共有状態になるため、財産の取得者を確定させるためには、遺産分割を行うことになる。遺産分割にあたり、遺言書がない場合、協議分割をすることになるが、協議分割を成立させるためには共同相続人の全員の参加と合意が必要である。この合意が成立しないために協議分割を行えない場合、共同相続人は( ① )に対して申立てを行い、( ① )の調停・審判による遺産分割を行うことになる。 ⅱ)相続税額の計算上、「配偶者に対する相続税額の軽減」の規定の適用を受けた場合、相続税の課税価格の合計額に対する配偶者の法定相続分相当額または( ② )のいずれか多い金額までの取得に対し、配偶者の納付すべき相続税額は算出されない。なお、この規定の適用を受けるためには、適用の対象となる財産について所定の期間内に分割をする必要がある。また、被相続人が死亡した年分の所得税について確定申告をしなければならない場合、相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から原則として( ③ )以内にその所得税について確定申告書を提出しなければならない。 〈語句群〉 イ.法務局 ロ.公証人 ハ.家庭裁判所 ニ.1億5,000万円 ホ.1億6,000万円 へ.1億7,000万円 ト.3カ月 チ.4カ月 リ.10カ月
- イ
- 法務局
- ロ
- 公証人
- ハ
- 家庭裁判所
- ニ
- 1億5,000万円
- ホ
- 1億6,000万円
- へ
- 1億7,000万円
- ト
- 3カ月
- チ
- 4カ月
- リ
- 10カ月
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解答
① ハ、② ホ、③ チ
解説
遺産分割協議が調わない場合の申立先は家庭裁判所です。相続税における配偶者の税額軽減では1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか大きい額まで非課税となり、被相続人の準確定申告は相続開始を知った日の翌日から4カ月以内に行う必要があります。
解き方
- 遺産分割協議が不成立の際の調停・審判を行う公的機関を確認し、家庭裁判所(ハ)を選択する。
- 配偶者の税額軽減制度において、非課税となる最低保証金額が1億6,000万円(ホ)であることを確認する。
- 被相続人に係る所得税の準確定申告の期限が、相続の開始を知った日の翌日から4カ月(チ)以内であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 共同相続人間の遺産分割協議がまとまらない場合や協議ができないときは、各相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停または審判を申し立てることができます。
- 小問 ②:ホ
- 配偶者に対する相続税額の軽減では、配偶者の法定相続分相当額または1億6,000万円のいずれか多い金額まで配偶者の相続税額がゼロになります。
- 小問 ③:チ
- 被相続人が死亡した年分の確定申告(準確定申告)は、相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から原則として4カ月以内に提出する必要があります。
覚えるポイント
- 家庭裁判所への遺産分割調停・審判の申立手続
- 配偶者の税額軽減の基準(1億6,000万円または法定相続分)
- 相続開始後の主要期限(熟慮期間3カ月、準確定申告4カ月、相続税申告10カ月)
間違えやすいところ
- 所得税の準確定申告の期限(4カ月以内)と相続税の申告期限(10カ月以内)を混同しないこと。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令(民法第907条、相続税法第19条の2、所得税法第125条)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の特例・相続時精算課税・教育資金一括贈与
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 相続時精算課税 / 教育資金の一括贈与非課税特例
被相続人Aさんの相続に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 妻Bさんが相続によりAさんの自宅の敷地を取得し、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた場合、330㎡を限度面積として、評価額の80%を減額することができる。 ② 長男CさんがAさんから相続または遺贈により財産を取得しなかった場合、長男CさんがAさんから贈与によって取得した現金1,500万円は、相続税の課税価格に加算されない。 ③ 孫FさんがAさんから贈与された現金については、Aさんの死亡日における非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額200万円が、相続税の課税価格に加算される。
- ①
- 妻Bさんが相続により自宅敷地を取得し小規模宅地等の特例を受ける場合、330㎡を限度に80%減額できる。
- ②
- 長男Cさんが相続・遺贈で財産を取得しなかった場合、相続時精算課税適用財産1,500万円は課税価格に加算されない。
- ③
- 孫Fさんが贈与された教育資金の残額200万円は、Aさんの相続税の課税価格に加算される。
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ×
解説
特定居住用宅地等は限度面積330㎡まで80%減額可能です。また、相続時精算課税の適用を受けた財産は相続放棄や遺産不取得にかかわらず必ず相続税の課税価格に合算されます。本問の基準時点における教育資金一括贈与は贈与者死亡時の管理残額への相続税課税はありません。
解き方
- 特定居住用宅地等の限度面積(330㎡)および減額割合(80%)を確認し、配偶者取得要件を満たすため記述①を適切(○)と判断する。
- 相続時精算課税の適用財産は、相続等による取得の有無にかかわらず相続税課税価格への加算が必須であることから記述②を不適切(×)と判断する。
- 本試験基準日における直系尊属からの教育資金一括贈与非課税特例では、贈与者死亡時の管理残額が相続税課税対象とされないことを確認し、記述③を不適切(×)と判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 特定居住用宅地等について、配偶者が取得する場合は要件なしで特例が適用でき、限度面積は330㎡、減額割合は80%となります(平成27年1月1日以後の相続)。
- 小問 ②:×
- 相続時精算課税制度を適用した贈与財産は、その受贈者が相続または遺贈により財産を取得しなかった場合であっても、必ず相続税の課税価格に加算して申告する必要があります。
- 小問 ③:×
- 本問の基準日(2015年4月1日)施行の法令において、「教育資金の一括贈与に係る非課税措置」では、信託期間中に贈与者が死亡した場合であっても、残額は相続税の課税価格には加算されません。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等:限度面積330㎡、減額割合80%(配偶者は居住・保有継続要件不要)
- 相続時精算課税:相続での取得の有無にかかわらず、適用財産は全額相続税課税価格に加算される
- 教育資金一括贈与非課税制度(当時):贈与者死亡時にも管理残額は相続税の課税対象外
間違えやすいところ
- 生前贈与加算(暦年課税の死亡前3年以内贈与)は相続等により財産を取得した者のみが対象であるのに対し、相続時精算課税制度は相続での財産取得の有無にかかわらず必ず加算される点を取り違えないこと。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令(租税特別措置法第69条の4、第70条の2の2、相続税法第21条の14~第21条の16)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額および相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続分に応ずる取得金額 / 相続税の総額
Aさんの相続における課税遺産総額(「課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額」)が2億1,000万円であった場合の相続税の総額について、空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、Aさんの法定相続人は妻Bさん、実子である長男Cさん・長女Dさん、普通養子である養子Eさんの計4人である。
解答・解説を表示
解答
① 5,400 ② 2,500 ③ 500 ④ 4,000
解説
相続税の総額を計算する際は、課税遺産総額を実際の分割割合に関わらず各法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定して各人の取得金額を算出し、超過累進税率を適用して算出した税額を合計します。
解き方
- 実子がいる場合の養子の算入制限(1人まで)を確認し、法定相続人の数に応じた基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を算出する。
- 課税遺産総額を法定相続分(配偶者1/2、子各1/6)で按分し、各人の法定相続分に応ずる取得金額を計算する。
- 相続税の速算表を適用して各人ごとの算出税額を求め、それらを全て合算して相続税の総額を算出する。
答えの内訳
- ①:5,400
- 被相続人に実子がいる場合、相続税法上の法定相続人の数に含めることができる普通養子の数は1人までとなります。本問では実子2人に加えて普通養子1人、配偶者である妻Bさんの合計4人が法定相続人の数となるため、遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×4人=5,400万円」です。
- ②:2,500
- 配偶者である妻Bさんの法定相続分は2分の1です。課税遺産総額2億1,000万円に対する妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は「2億1,000万円×1/2=1億500万円」となります。速算表より「1億500万円×40%-1,700万円=2,500万円」と求められます。
- ③:500
- 子全体の法定相続分は2分の1であり、子3人(長男C・長女D・養子E)で均等分割するため、長男Cさんの法定相続分は「1/2×1/3=1/6」です。法定相続分に応ずる取得金額は「2億1,000万円×1/6=3,500万円」となり、速算表より「3,500万円×20%-200万円=500万円」と計算されます。
- ④:4,000
- 長女Dさんおよび養子Eさんの税額も長男Cさんと同額の500万円となります。各法定相続人の法定相続分に応じた税額を合算して相続税の総額を求めると、「2,500万円(妻B)+500万円(長男C)+500万円(長女D)+500万円(養子E)=4,000万円」となります。
覚えるポイント
- 実子がいる場合、相続税法上の法定相続人の数に算入できる養子は1人まで(実子がいない場合は2人まで)。
- 相続税の総額は、実際の遺産分割割合ではなく法定相続分で取得したものとして機械的に計算する。
間違えやすいところ
- 基礎控除額の計算式を平成26年以前の「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」と混同しないこと。
- 養子の法定相続分を実子の半分と誤認しないこと(民法上、実子と養子の相続分は同等)。
出題の前提:2015年4月1日現在施行の法令等(2015年1月1日施行の相続税法改正後)
出典:金融財政事情研究会『2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2015年9月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

