日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
死亡後の公的年金被保険者種別と健康保険の被扶養者要件
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金の被保険者種別 / 健康保険の被扶養者認定基準 / 遺族年金の収入認定
会社員の夫Aさんが死亡した後の、妻Bさんに関する公的年金制度および公的医療保険制度の説明文について、空欄①~③に入る最も適切な語句を〈語句群〉から選びなさい。 ⅰ)「Bさんは,今後は国民年金の( ① )被保険者として,国民年金の保険料を納付することになります」 ⅱ)「Bさんは,今後,ご自身の年間収入が( ② )未満かつ長男Cさんの年間収入の2分の1未満で,長男Cさんにより生計を維持される場合,原則として,長男Cさんが加入する健康保険の被扶養者となることができます。なお,この場合におけるBさんの年間収入に,公的年金制度から支給される遺族年金による収入は( ③ )」 〈語句群〉 イ.第1号 ロ.第2号 ハ.第3号 ニ.130万円 ホ.180万円 へ.240万円 ト.含まれます チ.含まれません
- イ
- 第1号
- ロ
- 第2号
- ハ
- 第3号
- ニ
- 130万円
- ホ
- 180万円
- へ
- 240万円
- ト
- 含まれます
- チ
- 含まれません
解答・解説を表示
解答
① イ、② ニ、③ ト
解説
会社員の被扶養配偶者は第3号被保険者ですが、生計維持者である配偶者の死亡等により被扶養者でなくなった場合は第1号被保険者へ種別変更が必要です。また、健康保険の被扶養者認定における年収判定は税法上の所得計算と異なり、非課税給付を含めたすべての継続的収入を対象とします。
解き方
- 夫の死亡に伴う妻の国民年金被保険者種別の異動(第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更)を確認する。
- 60歳未満の者の健康保険被扶養者認定における年間収入限度額(130万円未満)および同居要件を適用する。
- 健康保険の被扶養者認定における年間収入の範囲に、非課税である公的遺族年金が含まれることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 会社員(第2号被保険者)の夫が死亡したことにより、扶養されていた配偶者(第3号被保険者)はその資格を喪失し、20歳以上60歳未満であれば国民年金の第1号被保険者への種別変更手続きを行い保険料を納める必要があります。
- 小問 ②:ニ
- 健康保険の被扶養者となるための年間収入要件は、60歳未満の者の場合「年間130万円未満」かつ同一世帯の場合は「被保険者の年間収入の2分の1未満」である必要があります。
- 小問 ③:ト
- 健康保険における被扶養者の認定基準となる年間収入には、税法上非課税とされる遺族年金や障害年金、失業等給付などの恒常的な収入も含めて判定されます。
覚えるポイント
- 公的医療保険の被扶養者年収要件(60歳未満は130万円未満、60歳以上・障害者は180万円未満)には非課税の遺族年金や失業保険も含まれる。
間違えやすいところ
- 所得税の配偶者控除・扶養控除判定(非課税所得を除外)と、健康保険の被扶養者判定(非課税年金等も含める)の年間収入の範囲を混同しやすい。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の国民年金法および健康保険法関連規定に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金制度の遺族給付に関する留意点
タックスプランニング · 死亡一時金 / 公的年金の支給期月 / 65歳以降の遺族厚生年金と老齢厚生年金の併給調整
遺族給付についてMさんが妻Bさんに対して説明した記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「Aさんは老齢基礎年金を受給することなく亡くなられていますので,Bさんには,国民年金から死亡一時金が支給されます」 ② 「遺族年金は,原則として,毎年2月,4月,6月,8月,10月および12月の6期に,それぞれの前月までの分が支給されます」 ③ 「Bさんには,65歳以後,ご自身の老齢基礎年金および老齢厚生年金が支給されますが,遺族厚生年金については,Bさんの老齢厚生年金の額に相当する部分の支給が停止されます」
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ○
解説
公的年金の遺族給付では、死亡一時金は第1号被保険者独自の給付であり第2号期間のみの者には支給されません。年金は偶数月に前月までの2か月分が後払いされ、65歳以上の遺族厚生年金受給権者が自己の老齢厚生年金を受給できる場合は差額支給方式により併給調整が行われます。
解き方
- 被相続人Aさんの公的年金加入歴を確認し、第1号被保険者としての納付月数の有無から死亡一時金の支給要件を判定する。
- 公的年金給付の通則である年6回の支払期月および支払対象期間(各前月までの分)の規定と記述を照合する。
- 65歳以降における自身の老齢厚生年金と配偶者死亡による遺族厚生年金の併給調整ルール(自己の老齢厚生年金を優先支給し、遺族厚生年金は差額分支給)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 国民年金の死亡一時金は、国民年金第1号被保険者としての保険料納付済期間等(免除期間を含む)が通算36か月以上ある者が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けずに死亡したときに支給されます。Aさんは国民年金第1号被保険者としての保険料納付実績がなく(厚生年金保険のみ加入)、要件を満たさないため不適切です。
- 小問 ②:○
- 公的年金(遺族年金を含む)の支給期月は、原則として偶数月(2月、4月、6月、8月、10月、12月)の年6期で、それぞれの支払期月において前月までの2か月分が支払われます。
- 小問 ③:○
- 65歳以上の配偶者が受給する遺族厚生年金と自身の老齢厚生年金がある場合、自身の老齢厚生年金が優先して全額支給され、遺族厚生年金は自身の老齢厚生年金額に相当する部分が支給停止(差額支給)となります。
覚えるポイント
- 死亡一時金と寡婦年金は「第1号被保険者」としての保険料納付実績を要件とする国民年金独自の給付である。
間違えやすいところ
- 第2号被保険者期間のみの会社員が死亡した場合でも死亡一時金が支給されると勘違いしやすい。
- 65歳以降の遺族厚生年金と老齢厚生年金は全額重複してもらえるのではなく、自己の老齢厚生年金相当額が支給停止される(差額支給)点を見落としやすい。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の国民年金法および厚生年金保険法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 中高齢寡婦加算 / 公的年金
会社員の夫Aさん(55歳、厚生年金被保険者期間393月)が死亡した。妻Bさん(51歳、高校卒業後25歳まで厚生年金加入、以後第3号被保険者)、長男Cさん(24歳)、長女Dさん(19歳)がいる。妻Bさんに支給される平成26年度価額に基づく遺族厚生年金の年金額(計算過程を含む)を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
計算過程:基本額=(567,000円+309,093円)×1.031×0.961×3/4=650,999円、中高齢寡婦加算額=579,700円。遺族厚生年金の年金額:1,230,699円
解説
厚生年金保険の被保険者が死亡したときの遺族厚生年金の報酬比例部分は、原則として死亡した者の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3となります。また、死亡時に40歳以上65歳未満で生計を維持されていた子を持たない妻には中高齢寡婦加算が加算されます。
解き方
- 平成15年3月以前および平成15年4月以後の被保険者期間に応じた平均標準報酬(月)額からそれぞれの額を計算し、合算して報酬比例部分の4分の3を乗じて基本額を算出する。
- 妻の年齢および子の有無・年齢を確認し、中高齢寡婦加算の要件を満たすかを判定して加算額を加算する。
答えの内訳
- 計算過程:①平成15年3月以前:300,000円×(7.5/1,000)×252月=567,000円 ②平成15年4月以後:380,000円×(5.769/1,000)×141月=309,092.94円≒309,093円 基本額:(567,000円+309,093円)×1.031×0.961×3/4=650,999.08…円≒650,999円 中高齢寡婦加算額:妻Bさんは夫死亡時に40歳以上65歳未満で遺族基礎年金の受給権のある子がいないため加算対象となる(579,700円)。 合算:650,999円+579,700円=1,230,699円
- 遺族厚生年金の基本額は被保険者の報酬比例部分の4分の3相当額となります。被保険者月数は実月数393月(300月以上)を使用します。長女は19歳で高校を卒業しており遺族基礎年金の対象となる「子」に該当しないため、夫死亡時に40歳以上65歳未満である妻Bさんには中高齢寡婦加算が加算されます。
- 遺族厚生年金の年金額:1,230,699円(または 1,230,700円)
- 報酬比例部分の4分の3(650,999円)に中高齢寡婦加算額(579,700円)を加算した合計1,230,699円が支給額となります(端数処理の指示方法によっては基本額が651,000円となり合計1,230,700円となります)。
覚えるポイント
- 遺族厚生年金の報酬比例部分は老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3であること
- 中高齢寡婦加算は夫死亡時に40歳以上65歳未満で生計維持されていた妻(子がない等の要件あり)に加算されること
間違えやすいところ
- 長女が19歳であるため遺族基礎年金の対象外であることを見落とし、中高齢寡婦加算の判定を誤ること
- 報酬比例部分の計算に乗じる「4分の3」を掛け忘れること
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資の注文方法・特定口座・関連法規
金融資産運用 · 成行注文・指値注文 / 特定口座 / FPの職業倫理(税理士法)
株式投資についてファイナンシャル・プランナーが説明した次の記述①~③について、適切・不適切を判定しなさい。 ①「国内上場株式の売買注文の方法には指値注文と成行注文があり、指値注文は成行注文に優先するため売買が成立しやすいが想定と異なる価格で約定する可能性がある。」 ②「特定口座は各金融商品取引業者等に1つずつ開設できるため、投資目的に応じて他の業者に新たに特定口座を開設して株式売買に利用することもできる。」 ③「上場株式の譲渡損失は配当所得との損益通算や繰越控除が可能であるが、具体的な税務アドバイスや申告手続については税理士等の専門家への相談を勧める。」
解答・解説を表示
解答
①× ②○ ③○
解説
株式市場の注文優先順位の原則(価格優先・成行優先・時間優先)および特定口座の複数金融機関開設ルール、ファイナンシャル・プランナーとしての職業倫理と関連法規(税理士法違反の防止)を正確に把握することが重要です。
解き方
- 株式取引の優先原則に照らし、成行注文と指値注文の優先順位の正誤を判定する。
- 特定口座の開設制限(1金融機関1口座)に基づき、異なる金融機関への複数開設可否を判定する。
- 税制の概要説明とFPが行ってはならない具体的個別税務相談・申告代行(税理士業務)の境界を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 取引所における売買注文の優先順位では、成行注文が指値注文に優先します(成行優先の原則)。指値注文が優先するとしている記述は誤りです。
- 小問 ②:○
- 特定口座は1金融商品取引業者等につき1口座開設することができます。したがって、すでに特定口座を持っていても別の金融商品取引業者等であれば新たに特定口座を開設することが可能です。
- 小問 ③:○
- 上場株式の譲渡損失は一定の要件のもと配当所得との損益通算や翌年以降3年間の繰越控除が可能です。また、具体的な個別税務相談や税務申告書作成の代行等は税理士業務となるため、専門家への相談を促す対応は適切です。
覚えるポイント
- 価格優先の原則により、成行注文は指値注文に常に優先して約定する
- 特定口座は金融商品取引業者ごとに1口座ずつ開設できる(同一業者内では1口座のみ)
- 具体的な税務計算や申告書作成指導は有償・無償を問わず税理士業務に該当する
間違えやすいところ
- 指値注文のほうが確実な価格を指定できるため優先されると誤認すること
- 特定口座は1人1口座しか持てないと勘違いすること(1人1口座なのはNISA口座)
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資指標(PBR・ROE・配当利回り・配当性向)の計算
金融資産運用 · PBR / ROE / 配当利回り / 配当性向
設例のX社株式およびY社株式のデータに基づき、次の各種投資指標を求めなさい。なお、解答は表示単位における小数点以下第2位を四捨五入すること。 ① X社株式のPBR(倍) ② X社株式のROE(%) ③ Y社株式の配当利回り(%) ④ Y社株式の配当性向(%) 【資料】 ・X社株式:株価1,000円、当期純利益130億円、純資産900億円、発行済株式数2億株、1株当たり年間配当金14円 ・Y社株式:株価520円、当期純利益45億円、純資産450億円、発行済株式数2億株、1株当たり年間配当金7円
解答・解説を表示
解答
① 2.2倍、② 14.4%、③ 1.3%、④ 31.1%
解説
株式の投資指標は、株価や配当金、純資産、当期純利益の数値を組み合わせて収益性や割安度を分析する基本的な尺度です。
解き方
- X社の1株当たり純資産を求め、株価を割ってPBRを算出し、当期純利益を自己資本で割ってROEを算出します。
- Y社の株価と配当金から配当利回りを算出し、1株当たり当期純利益に対する配当金の割合から配当性向を算出します。
答えの内訳
- ①:2.2(倍)
- 1株当たり純資産(BPS)は900億円÷2億株=450円です。PBRは株価÷BPS=1,000円÷450円≒2.222倍となり、小数点以下第2位を四捨五入して2.2倍となります。
- ②:14.4(%)
- ROE(自己資本利益率)は当期純利益÷自己資本(純資産)×100=130億円÷900億円×100≒14.444%となり、小数点以下第2位を四捨五入して14.4%となります。
- ③:1.3(%)
- 配当利回りは1株当たり年間配当金÷株価×100=7円÷520円×100≒1.346%となり、小数点以下第2位を四捨五入して1.3%となります。
- ④:31.1(%)
- 1株当たり当期純利益(EPS)は45億円÷2億株=22.5円です。配当性向は1株当たり年間配当金÷EPS×100=7円÷22.5円×100≒31.111%となり、小数点以下第2位を四捨五入して31.1%となります。
覚えるポイント
- ROE=当期純利益÷自己資本×100(%)
- 配当利回り=1株当たり年間配当金÷株価×100(%)
- 配当性向=配当金総額÷当期純利益×100(%)
間違えやすいところ
- ROEとROAの分母の混同(ROEは自己資本、ROAは総資産)。
- 配当利回りの分母は株価、配当性向の分母は当期純利益(またはEPS)である点を取り違えないこと。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定口座(源泉徴収選択口座)における上場株式譲渡益の税額計算
金融資産運用 · 特定口座 / 株式譲渡所得 / 源泉徴収税率 / 復興特別所得税
Aさんが以下の条件により、平成27年中に特定口座の源泉徴収選択口座においてX社株式を購入し同年中にすべて売却した場合、その際に徴収される所得税(復興特別所得税を含む)および住民税の合計額を、計算過程を示して求めなさい。なお、これ以外に同年中の株式取引はなく、手数料等は考慮しないものとする。 〈条件〉 ・購入株数および売却株数:1,000株 ・購入時の株価:1,000円 ・売却時の株価:1,200円
解答・解説を表示
解答
計算過程:譲渡益:(1,200円-1,000円)×1,000株=200,000円、所得税・復興特別所得税:200,000円×15.315%=30,630円、住民税:200,000円×5%=10,000円、合計額:30,630円+10,000円=40,630円/所得税(復興特別所得税を含む)および住民税の合計額:40,630円
解説
上場株式等の譲渡益には申告分離課税が適用され、特定口座の源泉徴収選択口座では合計20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。
解き方
- 売却総額から取得費を控除して上場株式等の譲渡益(譲渡所得の金額)を計算します。
- 算出された譲渡益に所得税・復興特別所得税率15.315%および住民税率5%をそれぞれ乗じて税額を算出し、合計します。
答えの内訳
- 計算過程:譲渡益:1,200円×1,000株-1,000円×1,000株=200,000円 所得税および復興特別所得税:200,000円×15.315%=30,630円 住民税:200,000円×5%=10,000円 合計額:30,630円+10,000円=40,630円
- 譲渡所得は(1,200円-1,000円)×1,000株=200,000円です。これに所得税・復興特別所得税率15.315%を乗じて30,630円、住民税率5%を乗じて10,000円を算出し、合算します。
- 所得税(復興特別所得税を含む)および住民税の合計額:40,630(円)
- 譲渡益200,000円に対して源泉徴収される所得税(復興特別所得税を含む)30,630円と住民税10,000円を合計した金額は40,630円となります。
覚えるポイント
- 上場株式等の譲渡所得等の源泉徴収税率は20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)。
間違えやすいところ
- 復興特別所得税(基準所得税額の2.1%=0.315%)を加算し忘れて20%で計算してしまうミス。
- 所得税と住民税を端数処理の単位ごとに別個に計算せず混同するミス。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等(平成27年取引を前提)
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の青色申告制度の要件と特典
タックスプランニング · 青色申告承認申請手続 / 青色申告特別控除 / 純損失の繰越控除
青色申告の承認申請手続および税務上の特典に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を語句群から選択しなさい。 ⅰ)不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき業務を行う者が、一定の帳簿書類を備え付け、所轄税務署長に対して青色申告の承認申請を行い、その承認を受けた場合、所得税について青色申告書を提出することができる。青色申告承認申請書の提出期限は、原則として、青色申告をしようとする年の( ① )まで(その年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その業務を開始した日から( ② )以内)である。 ⅱ)青色申告者が受けられる税務上の特典として、青色申告特別控除、青色事業専従者給与の必要経費算入、純損失の繰戻還付、最長( ③ )の純損失の繰越控除などがある。不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者が、その取引の内容を正規の簿記の原則により記帳し、それに基づいて作成した貸借対照表等を添付した確定申告書を法定申告期限内に提出した場合の青色申告特別控除の控除額は、最高( ④ )である。
- イ
- 1月15日
- ロ
- 3月15日
- ハ
- 3月31日
- ニ
- 2カ月
- ホ
- 3カ月
- ヘ
- 4カ月
- ト
- 3年間
- チ
- 7年間
- リ
- 10年間
- ヌ
- 38万円
- ル
- 65万円
- ヲ
- 103万円
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ニ ③ ト ④ ル
解説
所得税の青色申告制度は、一定水準の帳簿書類を備えて正確な記帳を行う納税者に対し、税務上の各種特典(特別控除や損失の繰越控除等)を与える制度です。
解き方
- 青色申告承認申請書の提出期限(原則は適用年の3月15日、1月16日以降の新規開業は開業日から2カ月以内)を確認する。
- 青色申告の主な特典である純損失の繰越控除期間(最長3年間)および要件を満たした複式簿記による青色申告特別控除の最高限度額(65万円)を適用する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 青色申告承認申請書の提出期限は、原則として青色申告を受けようとする年の3月15日までとなります。
- 小問 ②:ニ
- その年の1月16日以後に新規開業した場合は、業務を開始した日から2カ月以内に申請書を提出する必要があります。
- 小問 ③:ト
- 青色申告者は、事業等で生じた純損失の金額を翌年以後最長3年間にわたって繰越控除することができます。
- 小問 ④:ル
- 正規の簿記の原則による複式簿記で記帳し、貸借対照表等を添付して期限内申告を行うことで、最高65万円の青色申告特別控除が受けられます。
覚えるポイント
- 青色申告承認申請期限:原則3月15日、1月16日以降の新規開業は開業日から2カ月以内
- 青色申告の特典:特別控除(最高65万円または10万円)、純損失の繰越控除(最長3年)
間違えやすいところ
- 1月16日以降の新規開業の提出期限を「3カ月以内」と誤認しやすい。
- 簡易簿記や期限後申告の場合は65万円控除ではなく10万円控除になる点に注意する。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配偶者控除・扶養控除および退職所得の確定申告要否の判定
タックスプランニング · 配偶者控除 / 扶養控除 / 退職所得の受給に関する申告書
Aさんの平成26年分の所得税に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① Aさんは妻Bさんについて配偶者控除の適用を受けることができ、その控除額は38万円である。 ② Aさんは長男Cさんおよび長女Dさんについて扶養控除の適用を受けることができ、その控除額は76万円である。 ③ Aさんは退職金の支給を受ける際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているため、原則として、その退職所得について所得税の確定申告は不要である。
- ①
- Aさんは妻Bさんについて配偶者控除の適用を受けることができ、その控除額は38万円である。
- ②
- Aさんは長男Cさんおよび長女Dさんについて扶養控除の適用を受けることができ、その控除額は76万円である。
- ③
- Aさんは退職金の支給を受ける際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しているため、原則として、その退職所得について所得税の確定申告は不要である。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
所得控除の扶養親族判定は合計所得金額38万円以下(給与収入103万円以下)が基準となり、年齢区分により控除額が異なります(特定扶養親族は63万円、一般扶養親族は38万円)。また、退職所得申告書を提出した退職金は源泉分離課税的に精算が完了します。
解き方
- 妻Bさんの給与収入(120万円)から給与所得控除(65万円)を引いて所得金額(55万円)を計算し、配偶者控除の基準(38万円以下)を超えるため不適用と判定する。
- 長男Cさん(21歳、特定扶養親族で63万円)と長女Dさん(17歳、一般扶養親族で38万円)の控除額を合算して101万円と算出し、記述の76万円と比較する。
- 「退職所得の受給に関する申告書」の提出により源泉徴収で適正課税が完了し確定申告が原則不要であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 妻Bさんのパート給与収入は120万円であり、給与所得控除65万円を差し引いた合計所得金額は55万円となります。配偶者控除の適用要件(合計所得金額38万円以下)を超えているため、配偶者控除は受けられず、配偶者特別控除の対象となります。
- 小問 ②:×
- 長男Cさん(21歳・所得35万円)は特定扶養親族に該当し控除額は63万円、長女Dさん(17歳・所得0円)は一般の控除対象扶養親族に該当し控除額は38万円です。扶養控除額の合計は63万円+38万円=101万円となるため不適切です。
- 小問 ③:○
- 「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合、退職所得控除を反映した適正な税額が源泉徴収されて課税関係が終了するため、原則として退職所得の確定申告は不要です。
覚えるポイント
- 配偶者控除の所得要件:合計所得金額38万円以下(給与収入103万円以下)
- 扶養控除額:特定扶養親族(19歳以上23歳未満)は63万円、一般扶養親族(16歳以上19歳未満・23歳以上70歳未満)は38万円
間違えやすいところ
- 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)の控除額63万円を見落とし、全員を一律38万円として計算してしまう誤り。
- 配偶者の給与収入が103万円を超えているにもかかわらず、配偶者控除をそのまま適用できると誤解する点。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種所得の金額および総所得金額の計算
タックスプランニング · 給与所得 / 一時所得 / 総所得金額
設例のAさんの平成26年分の収入等に基づき、各種所得の金額および総所得金額の表および文章の空欄①〜③に入る最も適切な数値を計算しなさい。 各種所得の金額: ・事業所得の金額:2,550,000円 ・給与所得の金額:( ① )円 ・一時所得の金額:( ② )円 ・退職所得の金額:□□□円 以上から、Aさんの平成26年分の総所得金額は、( ③ )円となる。
解答・解説を表示
解答
① 3,300,000、② 1,300,000、③ 6,500,000
解説
所得税の総合課税において、給与所得は給与収入から給与所得控除額を差し引いて算出し、一時所得は差益から最高50万円の特別控除額を差し引いて算出します。総所得金額を求める際は一時所得の金額の2分の1を他の総合課税対象所得と合算し、分離課税である退職所得は除外します。
解き方
- 給与収入4,800,000円に給与所得控除の速算式を適用し、控除額1,500,000円を引いて給与所得を計算する。
- 解約返戻金9,000,000円から払込保険料7,200,000円および特別控除額500,000円を差し引いて一時所得の金額を算出する。
- 一時所得の金額を2分の1にし、事業所得と給与所得に合算して総所得金額を求める(退職所得は分離課税のため加算しない)。
答えの内訳
- ①:3,300,000
- 給与収入金額が4,800,000円であるため、給与所得控除額は「4,800,000円×20%+540,000円=1,500,000円」となります。したがって、給与所得の金額は「4,800,000円-1,500,000円=3,300,000円」です。
- ②:1,300,000
- 一時払変額個人年金保険の解約返戻金に係る一時所得の金額は、「総収入金額(9,000,000円)-支出した金額(7,200,000円)-特別控除額(500,000円)=1,300,000円」となります。
- ③:6,500,000
- 総所得金額に算入する一時所得の金額は2分の1(1,300,000円×1/2=650,000円)です。また、退職所得は申告分離課税のため総所得金額には含めません。よって、総所得金額は「事業所得2,550,000円+給与所得3,300,000円+一時所得の1/2である650,000円=6,500,000円」となります。
覚えるポイント
- 一時所得の金額自体は「収入-支出-特別控除(最高50万円)」であり、総所得金額に算入する際にその金額を2分の1にする。
間違えやすいところ
- 退職所得を総所得金額に誤って合算してしまうミスや、一時所得の空欄②に2分の1を掛けた後の金額を記入してしまう誤りに注意する。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産の売買契約および登記記録に関する留意点
不動産 · 専任媒介契約の有効期間 / 瑕疵担保責任の免責特約 / 不動産登記記録の権利部
戸建住宅を売却し、中古マンションを取得する場合の留意点に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 専任媒介契約および専属専任媒介契約の有効期間は3カ月が上限とされており,これより長い期間を定めて契約した場合は,当該契約は無効となる。 ② Aさんは,物件Xの売買契約の締結に際して,買主との合意により,物件Xについて瑕疵担保責任を負わないとする旨の特約をすることができる。 ③ 物件Yに抵当権が設定されていた場合,物件Yの抵当権に関する登記の登記事項は,登記記録の権利部乙区で確認することができる。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ○
解説
宅地建物取引業法における専任媒介契約等の有効期間制限、個人間売買における瑕疵担保責任の特約の有効性、ならびに不動産登記法における権利部の区分(甲区:所有権、乙区:所有権以外の権利)の基本事項を正確に理解しておく必要があります。
解き方
- 記述①:宅地建物取引業法上の媒介契約の有効期間制限と、期間超過時の法的効果(無効ではなく3カ月に短縮)を確認する。
- 記述②:宅建業者以外の個人が売主となる取引における瑕疵担保責任の任意規定性と免責特約の有効性を判断する。
- 記述③:不動産登記記録における権利部甲区と乙区の記載対象の違いを整理し、抵当権が乙区に記載されることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 専任媒介契約および専属専任媒介契約の有効期間は3カ月を超えることができませんが、これより長い期間を定めたときは契約自体が無効になるわけではなく、その有効期間が3カ月へと短縮されます。
- 小問 ②:○
- 売主が宅地建物取引業者ではない個人間売買の場合、民法の瑕疵担保責任(契約不適合責任)に関する規定は任意規定であるため、当事者間の合意によって売主が瑕疵担保責任を負わない旨の免責特約を有効に設けることができます。
- 小問 ③:○
- 不動産の登記記録の権利部は、所有権に関する事項を記録する「甲区」と、所有権以外の権利(抵当権や賃借権など)に関する事項を記録する「乙区」に分かれており、抵当権は乙区で確認できます。
覚えるポイント
- 専任媒介契約で3カ月を超える期間を定めた場合は「無効」ではなく「3カ月に短縮」される。
- 登記記録の権利部は、甲区が所有権、乙区が抵当権等の所有権以外の権利を記載する。
間違えやすいところ
- 宅建業者が自ら売主となる場合の瑕疵担保責任制限ルール(民法より買主に不利な特約の無効)と、一般個人が売主となる場合の任意規定ルールを混同しないように注意する。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の居住用財産の買換え特例の要件
不動産 · 居住用財産の買換え特例 / 適用要件 / 対価の上限 / 床面積要件 / 建築後年数要件
「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を語句群の中から選びなさい。 本特例の適用を受けた場合、買換資産の取得価額に対応する部分について譲渡益の課税を繰り延べることができる。本特例に係る主な適用要件は、以下のとおりである。 〈主な適用要件〉 ・譲渡資産の対価の額が( ① )以下であること ・譲渡資産を所有している期間が、譲渡した日の属する年の1月1日現在において10年超であること ・譲渡資産である住宅に居住している期間が10年以上であること ・買換資産について、個人が居住の用に供する部分の床面積が( ② )以上、敷地の面積が500㎡以下であること ・買換資産が耐火建築物の中古住宅である場合には、取得の日以前( ③ )以内に建築されたものであること(ただし、一定の耐震基準を満たすものについては、建築年数の制限はない) 〈語句群〉 イ.1億円 ロ.1億2,000万円 ハ.1億5,000万円 ニ.40㎡ ホ.50㎡ ヘ.60㎡ ト.15年 チ.20年 リ.25年
解答・解説を表示
解答
① イ、② ホ、③ リ
解説
特定の居住用財産の買換えの特例は、10年超所有し10年以上居住した居住用財産を1億円以下で譲渡し、床面積50㎡以上(中古の耐火建築物は築25年以内等)の新たな居住用財産を取得した場合に課税を将来に繰り延べることができる制度です。
解き方
- 譲渡資産の要件(対価1億円以下、所有期間10年超かつ居住期間10年以上)を確認し、空欄①に「1億円(イ)」を当てはめます。
- 買換資産の要件(床面積50㎡以上、敷地500㎡以下)を確認し、空欄②に「50㎡(ホ)」を当てはめます。
- 買換資産が中古の耐火建築物である場合の建築年数要件(25年以内)を確認し、空欄③に「25年(リ)」を当てはめます。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 特定の居住用財産の買換えの特例における譲渡資産の対価の額の要件は「1億円以下」と定められています。したがって「イ」が適切です。
- 小問 ②:ホ
- 買換資産となる家屋の床面積の要件は、本人が居住の用に供する部分の床面積が「50㎡以上」であり、敷地面積は500㎡以下である必要があります。したがって「ホ」が適切です。
- 小問 ③:リ
- 買換資産が耐火建築物の中古住宅である場合、取得の日以前「25年」以内に建築されたものであることが求められます(耐火建築物以外の場合は取得の日以前20年以内)。したがって「リ」が適切です。
覚えるポイント
- 譲渡資産の対価要件は1億円以下。
- 買換資産の床面積は50㎡以上、耐火建築物中古住宅は築25年以内(耐火以外は20年以内)。
間違えやすいところ
- 住宅ローン控除の床面積要件(原則50㎡以上)と混同しないよう注意するが、買換え特例の床面積も同様に50㎡以上である。
- 耐火建築物の築年数要件(25年以内)と非耐火建築物(20年以内)を混同しないようにする。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の租税特別措置法第36条の2(特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例)
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産譲渡時の3,000万円特別控除および軽減税率の税額計算
不動産 · 居住用財産の3,000万円特別控除 / 長期譲渡所得の軽減税率の特例 / 概算取得費 / 譲渡所得税額計算
Aさんが《設例》の〈物件Xの概要〉のとおり物件X(取得時期:平成10年3月・取得価額不明、譲渡時期:平成27年3月予定、譲渡価額:5,000万円、譲渡費用:150万円)を売却し、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)」の適用を受けた場合における所得税(復興特別所得税を含む)および住民税の合計額を、計算過程を示して求めなさい。
解答・解説を表示
解答
計算過程: 譲渡価額50,000,000円-取得費2,500,000円-譲渡費用1,500,000円=差引譲渡益46,000,000円。課税長期譲渡所得金額=46,000,000円-30,000,000円=16,000,000円。所得税および復興特別所得税=16,000,000円×10.21%=1,633,600円。住民税=16,000,000円×4%=640,000円。合計額=1,633,600円+640,000円=2,273,600円 / 所得税(復興特別所得税を含む)および住民税の合計額: 2,273,600円
解説
居住用財産を売却した場合、3,000万円特別控除の特例により譲渡益から最高3,000万円を控除できます。さらに譲渡した年の1月1日時点で所有期間が10年超であれば軽減税率の特例が併せて適用でき、課税長期譲渡所得の6,000万円以下の部分について所得税10%(復興特別所得税込みで10.21%)・住民税4%の税率で計算します。
解き方
- 取得価額が不明なため、概算取得費として譲渡価額の5%(5,000万円×5%=250万円)を算出する。
- 譲渡益(譲渡価額5,000万円-取得費250万円-譲渡費用150万円=4,600万円)から3,000万円特別控除を差し引き、課税長期譲渡所得金額1,600万円を算出する。
- 課税長期譲渡所得金額1,600万円に対し、軽減税率(所得税・復興特別所得税10.21%、住民税4%、計14.21%)を乗じて税額合計2,273,600円を計算する。
答えの内訳
- 計算過程:① 取得費:取得価額が不明であるため、概算取得費(譲渡価額の5%)を適用する。 50,000,000円 × 5% = 2,500,000円 ② 譲渡益: 50,000,000円 -(2,500,000円 + 1,500,000円)= 46,000,000円 ③ 課税長期譲渡所得金額:3,000万円特別控除を控除する。 46,000,000円 - 30,000,000円 = 16,000,000円 ④ 税額の計算:所有期間10年超の居住用財産の軽減税率の特例(課税長期譲渡所得金額6,000万円以下の部分につき所得税10%・住民税4%、復興特別所得税は基準所得税額の2.1%)を適用する。 ・所得税(復興特別所得税を含む):16,000,000円 × 10.21% = 1,633,600円 ・住民税:16,000,000円 × 4% = 640,000円 ・合計額:1,633,600円 + 640,000円 = 2,273,600円
- 概算取得費(5%=250万円)と譲渡費用(150万円)を譲渡価額5,000万円から控除し、さらに3,000万円特別控除を適用して課税長期譲渡所得金額1,600万円を求めます。これに軽減税率(所得税・復興特別所得税10.21%、住民税4%)を乗じて合計税額2,273,600円を算出します。
- 所得税(復興特別所得税を含む)および住民税の合計額:2,273,600円
- 課税長期譲渡所得金額16,000,000円に対して、軽減税率である所得税・復興特別所得税10.21%(1,633,600円)および住民税4%(640,000円)を合計して2,273,600円となります。
覚えるポイント
- 取得価額不明の場合は概算取得費として譲渡対価の5%を用いる。
- 居住用財産の軽減税率(6,000万円以下の部分)は所得税10%(復興込10.21%)、住民税4%の合計14.21%。
間違えやすいところ
- 取得費が不明であるときに概算取得費(5%)の計算を失念しないこと。
- 復興特別所得税(所得税額の2.1%)の加算を忘れて単に10%で計算しないこと。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の租税特別措置法第31条の3(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)、第35条(居住用財産の譲渡所得の特別控除)
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公正証書遺言の作成と相続開始後の手続期間
相続・事業承継 · 公正証書遺言 / 相続の承認・放棄 / 相続税の申告期限
公正証書遺言の作成手続きおよび相続開始後の手続期間に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 ⅰ)「Aさんが作成していた公正証書遺言は、証人( ① )以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成されるものであり、作成された遺言書の原本は( ② )に保管される。この方式による遺言は、被相続人の相続開始後に検認の手続が不要である。」 ⅱ)「相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から原則として( ③ )以内に、その相続について単純承認、限定承認または放棄のいずれかを選択しなければならない。また、相続税の申告義務を有する者は、遺産が分割されたか否かにかかわらず、その相続の開始があったことを知った日の翌日から原則として( ④ )以内に、相続税の申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。」
- イ
- 1人
- ロ
- 2人
- ハ
- 3人
- ニ
- 家庭裁判所
- ホ
- 簡易裁判所
- ヘ
- 公証役場
- ト
- 1カ月
- チ
- 3カ月
- リ
- 4カ月
- ヌ
- 6カ月
- ル
- 8カ月
- ヲ
- 10カ月
解答・解説を表示
解答
① ロ、② ヘ、③ チ、④ ヲ
解説
公正証書遺言は証人2人以上の立会いで公証役場において作成・原本保管され検認不要です。また、相続の放棄・限定承認の熟慮期間は3カ月以内、相続税の申告・納期限は10カ月以内と期限が厳格に定められています。
解き方
- 公正証書遺言の成立要件である立会証人の必要人数(2人以上)と原本保管場所(公証役場)を確認します。
- 相続放棄等の意思決定期限(3カ月以内)および相続税申告書の提出期限(10カ月以内)を語句群から選択します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 公正証書遺言の作成には、証人2人以上の立会いが必要と民法により定められています。
- 小問 ②:ヘ
- 公正証書遺言が作成されると、その原本は公証役場に原則として長期間厳重に保管されます。
- 小問 ③:チ
- 相続の承認(単純承認・限定承認)または相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から原則3カ月以内(熟慮期間)に行わなければなりません。
- 小問 ④:ヲ
- 相続税の申告書は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に提出しなければなりません。
覚えるポイント
- 公正証書遺言は証人2人以上、公証役場保管、検認不要です。
- 熟慮期間(承認・放棄)は3カ月以内、準確定申告は4カ月以内、相続税申告は10カ月以内です。
間違えやすいところ
- 所得税の準確定申告期限(4カ月以内)と相続税の申告期限(10カ月以内)を混同しないように注意しましょう。
- 自筆証書遺言は家庭裁判所での検認が必要ですが、公正証書遺言は検認が不要です。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等(民法・相続税法)
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税額の2割加算・小規模宅地等の特例・配偶者の税額軽減
相続・事業承継 · 相続税額の2割加算 / 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / 配偶者に対する相続税額の軽減
Aさんの相続に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① 孫Eさんおよび孫Fさんが相続人となる場合、これらの者に係る相続税額は2割加算となる。 ② 妻Bさんが相続によりAさんの自宅の敷地(宅地)を取得する場合、その敷地(宅地)を相続税の申告期限までに売却した場合であっても、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けることにより、240㎡を限度面積として、評価額の80%を減額することができる。 ③ 「配偶者に対する相続税額の軽減」は、相続税の申告期限までに遺産が分割された場合にのみ適用を受けることができるため、申告期限後に遺産が分割された場合、妻Bさんはその適用を受けることができない。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ○、③ ×
解説
相続税の2割加算では代襲相続人である孫は対象外ですが孫養子は対象となります。特定居住用宅地等の配偶者取得には保有継続要件がなく、申告期限に未分割でも分割見込書を提出していれば3年以内の分割で配偶者控除の適用が可能です。
解き方
- 記述①:代襲相続人である孫E(加算対象外)と直系卑属の養子である孫F(加算対象)の取り扱いの違いを確認し正誤を判定します。
- 記述②:配偶者が取得する特定居住用宅地等の要件(保有要件不要)および平成26年当時の限度面積(240㎡・80%減額)を確認します。
- 記述③:未分割遺産について「申告期限後3年以内の分割見込書」による配偶者の税額軽減の遡及適用の可否を判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 長男Cさんの代襲相続人である孫Eさんは2割加算の対象外です(直系卑属が代襲相続人となる場合は除外)。一方、養子となった孫Fさんは2割加算の対象となります。したがって、両者ともに2割加算となる旨の記述は不適切です。
- 小問 ②:○
- 被相続人の配偶者が特定居住用宅地等を取得する場合、居住要件や保有継続要件はないため、申告期限までに売却しても適用可能です。また平成26年11月相続開始における特定居住用宅地等の限度面積は240㎡(減額割合80%)であるため適切です。
- 小問 ③:×
- 申告期限までに遺産が未分割であっても、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告書を提出し、期限後3年以内に分割された場合には配偶者の税額軽減の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 代襲相続人である孫は2割加算の対象外ですが、代襲相続人ではない養子となった孫(孫養子)は2割加算の対象です。
- 配偶者が取得する特定居住用宅地等には、居住要件や申告期限までの保有継続要件がありません。
- 申告期限後3年以内の分割見込書を提出しておけば、期限後分割でも配偶者の税額軽減を適用できます。
間違えやすいところ
- 同じ「孫」であっても代襲相続人(孫E)と孫養子(孫F)で2割加算の適用が異なる点に注意しましょう。
- 特定居住用宅地等の限度面積は平成27年1月1日以後の相続から330㎡に拡大されましたが、平成26年11月の相続では240㎡です。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等(平成26年11月相続開始時の相続税法)
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 法定相続人 / 法定相続分
Aさんの相続(平成26年11月発生)における課税遺産総額が1億2,000万円であった場合、提示された親族関係図および速算表に基づいて計算される相続税の総額の表の空欄①〜③に入る最も適切な数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 1,100 ② 250 ③ 1,850
解説
相続税の総額は、課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定して各人の取得金額を計算し、それぞれに税率を乗じて算出した税額を合計して求めます。
解き方
- 法定相続人とその法定相続分を判定する(妻Bさん1/2、長男Cさんの代襲相続人孫Eさん1/6、長女Dさん1/6、養子孫Fさん1/6)。
- 課税遺産総額1億2,000万円を法定相続分で按分し、妻Bさん(6,000万円)、長女Dさん(2,000万円)等の取得金額を求める。
- 相続税の速算表を適用して各人の算出税額を求め、それらを合計して相続税の総額を算出する。
答えの内訳
- ①:1,100
- 妻Bさんの法定相続分に応ずる取得金額は「1億2,000万円 × 1/2 = 6,000万円」です。速算表より「6,000万円 × 30% - 700万円 = 1,100万円」となります。
- ②:250
- 長女Dさんの法定相続分に応ずる取得金額は「1億2,000万円 × 1/6 = 2,000万円」です。速算表より「2,000万円 × 15% - 50万円 = 250万円」となります。
- ③:1,850
- 法定相続人各人の税額(妻Bさん1,100万円、長女Dさん250万円、孫Eさん250万円、孫Fさん250万円)を合算すると「1,100万円 + 250万円 × 3 = 1,850万円」となります。
覚えるポイント
- 被相続人に実子がいる場合、普通養子で法定相続人の数に算入できるのは1人までです。
- 相続開始前に死亡した子の直系卑属は代襲相続人としてその子の法定相続分を承継します。
間違えやすいところ
- 養子縁組した孫Fさんや、死亡した長男の代襲相続人である孫Eさんを法定相続人から漏らして頭数を誤ってしまう。
- 各人の相続税額を合計する段階で、代襲相続人や養子の分の税額を合算し忘れる。
出題の前提:2014年10月1日現在施行の法令等(平成26年分相続税法)
出典:金融財政事情研究会『2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2015年1月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

