日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
60歳台前半の在職老齢年金の仕組みと支給停止額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 在職老齢年金 / 支給停止額の計算
60歳台前半の在職老齢年金の仕組みについて、空欄①~③に入る最も適切な語句を語句群(イ~リ)から選びなさい。 「Aさんは、原則として( ① )から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。ただし、Aさんが( ① )以後も引き続き厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務する場合、特別支給の老齢厚生年金は、( ② )との間で調整が行われ、年金額の一部または全部が支給停止となることがあります。 平成26年度における支給停止額(月額)は、下記の〈資料〉の計算式によって算出されます。仮に、( ② )が30万円、基本月額が10万円である場合、1カ月当たりの支給停止額は( ③ )となります」 〈資料〉平成26年度における支給停止額(月額) ・( ② )(A)が46万円以下、かつ基本月額(B)が28万円以下の場合: (A+B-28万円)× 1/2 〈語句群〉 イ.62歳 ロ.63歳 ハ.64歳 ニ.総報酬月額相当額 ホ.標準報酬月額 へ.報酬月額 ト.4万円 チ.6万円 リ.10万円
- イ
- 62歳
- ロ
- 63歳
- ハ
- 64歳
- ニ
- 総報酬月額相当額
- ホ
- 標準報酬月額
- へ
- 報酬月額
- ト
- 4万円
- チ
- 6万円
- リ
- 10万円
解答・解説を表示
解答
① イ、② ニ、③ チ
解説
男性の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)は生年月日に応じて支給開始年齢が段階的に引き上げられています。また、厚生年金保険に加入しながら年金を受給する場合、基本月額と総報酬月額相当額の合計に応じて年金の一部または全額が支給停止される在職老齢年金の仕組みが適用されます。
解き方
- Aさんの生年月日(昭和31年3月24日、男性)から報酬比例部分の支給開始年齢(62歳)を特定する。
- 在職老齢年金の計算に用いられる就労収入の月額換算基準が「総報酬月額相当額」であることを確認する。
- 与えられた条件(A=30万円、B=10万円)を資料の支給停止額計算式に当てはめ、(30+10-28)×1/2=6万円を算出する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 昭和31年3月24日生まれの男性の場合、報酬比例部分の特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は62歳となります。
- 小問 ②:ニ
- 在職老齢年金の調整において、毎月の給与と賞与を反映させた基準額は「総報酬月額相当額」と呼ばれます。
- 小問 ③:チ
- 総報酬月額相当額30万円、基本月額10万円の場合、支給停止額は(30万円+10万円-28万円)×1/2=6万円となります。
覚えるポイント
- 昭和30年4月2日〜昭和32年4月1日生まれの男性は62歳から報酬比例部分を受給する
- 60歳台前半の在職老齢年金の基準額(支給停止のボーダーライン)は28万円である
間違えやすいところ
- 「総報酬月額相当額」と「標準報酬月額」の用語を混同すること
- 支給停止額の計算で28万円を差し引く前に1/2を乗じてしまう計算順序の誤り
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等(平成26年度基準)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
65歳到達時の老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 報酬比例部分 / 経過的加算額 / 加給年金額 / 老齢厚生年金
Aさんが定年退職後もX社の再雇用制度を利用して65歳まで勤務し、原則として65歳から受給できる老齢厚生年金の年金額(平成26年度価額、物価スライド特例措置による金額)を、計算過程を示して求めなさい。
解答・解説を表示
解答
1,893,973円
解説
65歳以降の老齢厚生年金の年金額は、「報酬比例部分の額」に「経過的加算額」を加算し、20年以上の厚生年金保険被保険者期間を満たし一定の生計維持要件を満たす配偶者がいる場合に「加給年金額」が加算されて算出されます。
解き方
- 報酬比例部分の額を計算する:①平成15年3月以前分=350,000円×(7.5/1000)×348月=913,500円、②平成15年4月以後分=490,000円×(5.769/1000)×215月=607,764.15円。合算して(913,500+607,764.15)×1.031×0.961=1,507,272.26...円→端数四捨五入で1,507,272円。
- 経過的加算額を計算する:1,676円×480月×0.961-772,800円×(480月/480月)=773,101.44円-772,800円=301.44円→端数四捨五入で301円(上限月数は480月)。
- 加給年金額の加算可否を判定する:被保険者期間が240月以上あり、65歳未満の生計維持関係にある配偶者(妻Bさん)がいるため、386,400円が加算される。
- 3つの金額を合算する:1,507,272円+301円+386,400円=1,893,973円。
覚えるポイント
- 経過的加算の計算における被保険者期間月数は上限480月(40年)である
- 厚生年金の被保険者期間が20年(240月)以上あれば加給年金の要件を満たす
間違えやすいところ
- 経過的加算の計算で実月数(563月)のまま上限の480月を超えて乗じてしまうミス
- 妻の年齢確認を怠り、加給年金の加算要件を満たしているかどうかの判定を誤るミス
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等(平成26年度価額)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金と雇用保険の給付・繰下げ・被扶養者認定
ライフプランニングと資金計画 · 高年齢雇用継続基本給付金 / 老齢厚生年金の繰下げ支給 / 健康保険の被扶養者認定基準
定年後の再雇用に伴う公的年金および雇用保険・社会保険の仕組みに関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
60歳以降の継続雇用における雇用保険の高年齢雇用継続給付は賃金が75%未満に低下したときに支給されます。また、老齢年金の繰下げは基礎年金と厚生年金を別個に選択可能です。健康保険の被扶養者認定では年金給付も収入として算入されます。
解き方
- 記述①:高年齢雇用継続基本給付金の賃金低下要件が75%未満であることを確認し、85%とする記述の正誤を判定する。
- 記述②:老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げ支給が別々に申出可能であるかを確認する。
- 記述③:女性の特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢と、健康保険の被扶養者認定における年間収入の算定基準(非課税年金を含む年金収入も合算)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 高年齢雇用継続基本給付金は、60歳以上65歳未満の一般被保険者に対して、60歳到達時点の賃金と比較して支給対象月に支払われた賃金が「75%未満」に低下した場合に支給されます。記述の「85%未満」は誤りです。
- 小問 ②:×
- 老齢厚生年金と老齢基礎年金の繰下げ支給の申出は、それぞれ別々に行うことができます(老齢厚生年金のみ繰下げ、または老齢基礎年金のみ繰下げも可能)。必ずしも同時に申出を行う必要はありません。
- 小問 ③:○
- 妻Bさん(昭和32年12月10日生まれの女性)は60歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給できます。健康保険の被扶養者認定における年間収入要件(原則130万円未満、60歳以上は180万円未満)には公的年金等の収入も含まれるため、パート収入と受給年金の合計額について留意する必要があります。
覚えるポイント
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給要件は「60歳到達時の賃金と比較して75%未満」への低下であること。
- 年金の繰下げ受給は、老齢基礎年金と老齢厚生年金をそれぞれ単独で繰り下げることが可能であること。
間違えやすいところ
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給基準である「75%未満」を他の割合と取り違えやすい点に注意する。
- 繰上げ受給は基礎・厚生を同時に請求しなければならないのに対し、繰下げ受給は別々に請求可能である混同に注意する。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等(厚生年金保険法、雇用保険法、健康保険法)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
追加型株式投資信託の分配金と課税
金融資産運用 · 普通分配金と元本払戻金(特別分配金) / 配当所得 / 金融所得課税の税率
追加型株式投資信託の分配金に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群のイ~リのなかから選びなさい。 「X投資信託の1回目の決算における分配金は、全額が普通分配金に該当します。また、2回目の決算における普通分配金の額は( ① )です。 X投資信託の普通分配金による所得は( ② )とされ、分配時には源泉徴収が行われます。平成26年の決算において普通分配金が分配された場合、その分配金に対する源泉徴収税率は、所得税、復興特別所得税および住民税の合計で( ③ )となります」 〈語句群〉 イ.100円 ロ.200円 ハ.300円 ニ.配当所得 ホ.利子所得 へ.雑所得 ト.10.147% チ.20.315% リ.20.42%
- イ
- 100円
- ロ
- 200円
- ハ
- 300円
- ニ
- 配当所得
- ホ
- 利子所得
- へ
- 雑所得
- ト
- 10.147%
- チ
- 20.315%
- リ
- 20.42%
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ニ ③ チ
解説
公募株式投資信託の分配金は、分配落ち前の基準価額が個別元本を上回る部分が課税対象の「普通分配金(配当所得)」となり、下回る部分は非課税の「元本払戻金(特別分配金)」となります。平成26年1月1日以後の源泉徴収税率は本則の20.315%が適用されます。
解き方
- 2回目の決算における分配落ち前の基準価額を算出する(分配後基準価額10,000円+分配金300円=10,300円)。
- 分配前基準価額と個別元本10,100円を比較し、超過額200円を普通分配金と特定する。
- 株式投資信託の普通分配金の所得区分が「配当所得」であることを確認する。
- 平成26年(2014年)時点の上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=20.315%)を特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 2回目の決算前の基準価額は、分配後の基準価額10,000円+分配金300円=10,300円です。決算前の個別元本10,100円を上回る部分である「10,300円-10,100円=200円」が普通分配金となります(残りの100円は元本払戻金)。
- 小問 ②:ニ
- 公募株式投資信託の普通分配金による所得は、税法上「配当所得」として扱われます。
- 小問 ③:チ
- 平成26年分以後の上場株式等の配当所得に対する源泉徴収税率は、軽減税率が廃止されたため、所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計で20.315%となります。
覚えるポイント
- 普通分配金=分配前基準価額-個別元本(支払分配金を上限とする)。
- 平成26年(2014年)1月1日以降、軽減税率(10.147%)は終了し20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)であること。
間違えやすいところ
- 資料の基準価額が「分配後」であることを見落とし、10,000円から個別元本を差し引いて全額特別分配金と誤認するミスに注意する。
- 平成25年末で終了した軽減税率(10.147%)を平成26年分に誤って選んでしまうミスに注意する。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等(所得税法、租税特別措置法)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外国債券型投資信託の運用特性とコスト
金融資産運用 · 投資信託 / 債券価格と金利の変動 / 為替ヘッジ / 信託財産留保額
設例のY投資信託(米ドル建て債券を主な投資対象とし為替ヘッジあり)に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を付けなさい。 ①「Y投資信託は米国の債券を主な投資対象としていますので、一般に、米国の金利が上昇した場合、当該債券価格の下落を通じてY投資信託の基準価額のマイナス要因となります」 ②「Y投資信託は為替ヘッジを行うことにより、為替変動によるリスクの低減を図っています。為替ヘッジを行った場合、為替ヘッジを行わない場合と比較して、円高による為替差損を抑えることができます」 ③「Y投資信託が償還された場合、償還金から信託財産留保額が控除されます」
解答・解説を表示
解答
① ○ ② ○ ③ ×
解説
公募投資信託では組入資産の価格変動リスクや為替リスクへの理解に加え、購入時・中途換金時・償還時といった各取引局面で受益者が負担するコストの性質を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 金利動向と債券価格のシーソー関係を確認し、米国の金利上昇が債券価格および基準価額に及ぼす影響を判定する。
- 為替ヘッジの仕組みから、円高局面における為替リスク抑制効果について正誤を判定する。
- 信託財産留保額が徴収される局面(中途換金時)と償還時の違いを確認して正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 債券の価格と金利(市場金利)は逆方向に動く関係にあります。米国の市場金利が上昇すると保有債券の価格が下落するため、Y投資信託の基準価額の押し下げ要因(マイナス要因)となります。
- 小問 ②:○
- 為替ヘッジは先渡取引等を利用して将来の為替レートをあらかじめ確定させる仕組みであるため、為替変動リスクが抑えられ、円高進行による為替差損の発生を回避・軽減することができます。
- 小問 ③:×
- 信託財産留保額は、中途解約に伴って発生する組入資産の売却費用等を解約者に負担させ、残る受益者との公平性を保つための費用です。したがって、信託期間満了等による償還時には控除されません。
覚えるポイント
- 金利上昇は債券価格の下落要因となる
- 信託財産留保額は中途換金時に徴収され、満期償還時には徴収されない
間違えやすいところ
- 信託財産留保額を満期償還時にも差し引かれる手数料と混同してしまうミス
- 為替ヘッジを行うと円安による為替差益も得られなくなる点を見落とすミス
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
シナリオ分析によるポートフォリオの期待収益率の計算
金融資産運用 · ポートフォリオ理論 / 期待収益率 / 加重平均
設例の〈X投資信託・Y投資信託のシナリオ別予想収益率〉に基づき、X投資信託とY投資信託を6:4の割合(投資比率それぞれ60%、40%)で保有した場合のポートフォリオの期待収益率を計算しなさい。なお、解答は%表示とし、小数点以下第2位まで表示すること。
解答・解説を表示
解答
3.18%
解説
複数資産で構成されるポートフォリオの期待収益率は、各シナリオの生起確率を用いて各資産の期待収益率を算出した後、各資産の組入比率(投資比率)で加重平均することによって求められます。
解き方
- 各シナリオの生起確率と予想収益率の積を合算し、X投資信託およびY投資信託それぞれの期待収益率を算出する。
- 算出した各資産の期待収益率にポートフォリオの保有割合(X:0.6、Y:0.4)を乗じて合算し、ポートフォリオの期待収益率を求める。
覚えるポイント
- ポートフォリオの期待収益率は各資産の期待収益率の加重平均で算出できる
- 生起確率を用いた期待収益率は各シナリオの「生起確率×収益率」の総和である
間違えやすいところ
- マイナスの収益率(シナリオ1のY、シナリオ3のX)の符号をプラスとして足してしまう計算ミス
- 投資比率の掛け忘れや、XとYの比率(60%と40%)を取り違えて計算してしまうミス
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅借入金等特別控除の主な適用要件
タックスプランニング · 住宅借入金等特別控除 / 所得税の税額控除
住宅借入金等特別控除に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 住宅借入金等特別控除は、住宅ローン等を利用して居住用住宅を取得等し、自己の居住の用に供した場合で所定の要件を満たすとき、借入金等の年末残高を基として計算した金額をその年分以後の各年分の所得税額から控除することができるものである。 住宅借入金等特別控除の主な適用要件は、以下のとおりである。 ・住宅の取得等の日から( ① )以内に居住の用に供し、原則として適用を受ける各年の12月31日まで引き続き居住の用に供していること ・適用を受ける年分の合計所得金額が( ② )以下であること ・取得等をした住宅の床面積が50㎡以上であり、その2分の1以上がもっぱら自己の居住の用に供するものであること ・借入金等は、住宅の取得等のための一定の借入金等で、( ③ )以上にわたり分割して返済する方法になっているものであること
- イ
- 3カ月
- ロ
- 6カ月
- ハ
- 1年
- ニ
- 5年
- ホ
- 10年
- へ
- 15年
- ト
- 1,000万円
- チ
- 2,000万円
- リ
- 3,000万円
解答・解説を表示
解答
① ロ、② リ、③ ホ
解説
住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は、個人が住宅ローン等を利用してマイホームを新築・取得・増改築した際に税額控除を受けられる制度です。一定の床面積要件(50㎡以上)、居住要件(取得後6カ月以内に入居)、所得要件(合計所得金額3,000万円以下)、返済期間要件(10年以上)などが定められています。
解き方
- 居住開始時期の要件を確認し、住宅取得の日から「6カ月」以内に入居していることを見出します。
- 合計所得金額の制限要件を確認し、上限が「3,000万円」以下であることを特定します。
- 住宅ローンの返済期間要件を確認し、分割返済期間が「10年」以上であることを特定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、住宅の取得等の日から6カ月以内に居住の用に供する必要があります。
- 小問 ②:リ
- 控除の適用を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下でなければなりません(2014年4月1日現在の法令)。
- 小問 ③:ホ
- 住宅ローンの返済期間(償還期間)は10年以上にわたり分割して返済する方法である必要があります。
覚えるポイント
- 住宅ローン控除の居住要件は「取得日から6カ月以内」かつ「適用年の12月31日まで継続居住」です。
- 所得要件は合計所得金額3,000万円以下、返済期間は10年以上が基本要件です。
間違えやすいところ
- 返済期間の「10年」と他の優遇税制での期間要件(5年等)を取り違えないように注意が必要です。
- 床面積要件「50㎡以上」と合わせて、取得から入居までの期限「6カ月」を正確に記憶しておきましょう。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の所得税法等に基づく出題条件です。
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅借入金等特別控除と所得税の確定申告手続
タックスプランニング · 確定申告 / 年末調整 / 税理士法 / 納税地
Aさんの平成26年分の所得税の確定申告に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答しなさい。 ① Aさんが平成26年分の所得税の確定申告により住宅借入金等特別控除の適用を受けた場合,翌年以降の各年分については年末調整により同控除の適用を受けることができる。 ② Aさんの平成26年分の所得税の確定申告書の提出先は,X社の納税地を所轄する税務署長である。 ③ Aさんが税理士資格を有していない場合,Aさんが自身の所得税の確定申告を自ら行うことは,税理士法に抵触する。
解答・解説を表示
解答
① ○、② ×、③ ×
解説
住宅借入金等特別控除を受ける給与所得者は、初年度のみ確定申告が義務付けられていますが、翌年以降は税務署から送付される証明書等を勤務先に提出することで年末調整で手続きを完了できます。また所得税は申告納税制度を採用しているため、自己の申告を本人が自ら行うことは自由であり、申告書は原則として本人の住所地を所轄する税務署長に提出します。
解き方
- 給与所得者の住宅ローン控除の2年目以降の手続きが年末調整で可能か確認し、①を適切(○)と判定します。
- 所得税の確定申告における納税地(提出先税務署)が勤務先ではなく本人の住所地であることを確認し、②を不適切(×)と判定します。
- 税理士法の規定において他人の求めに応じた税務代理・税務書類作成等の独占業務と自己申告の区別を確認し、本人の自己申告が税理士法に違反しないことから、③を不適切(×)と判定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 給与所得者が住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合、初年分は確定申告が必要ですが、2年目以降の年分については勤務先の年末調整により控除の適用を受けることができます。
- 小問 ②:×
- 所得税の確定申告書の提出先は、勤務先(X社)の所在地ではなく、納税者本人(Aさん)の納税地(原則として住所地)を所轄する税務署長です。
- 小問 ③:×
- 納税者が自分自身の所得税の確定申告書を作成・提出する自計申告行為は、税理士資格の有無にかかわらず適法であり、税理士法に抵触しません。
覚えるポイント
- 給与所得者の住宅ローン控除は「初年度確定申告、2年目以降は年末調整可能」です。
- 所得税の確定申告先は「本人の納税地(住所地等)を所轄する税務署長」です。
- 納税者本人が自己の税務申告書を作成・提出することは税理士法に一切抵触しません。
間違えやすいところ
- 確定申告書の提出先を「給与支払者(勤務先)の所在地を所轄する税務署長」と誤解しないように注意してください。
- 税理士法の業務独占は「他人の求めに応じた業務」を制限するものであり、自己の確定申告まで制限されると勘違いしないようにしましょう。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の所得税法および税理士法に基づく出題条件です。
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得者の所得税額および住宅借入金等特別控除額の計算
タックスプランニング · 給与所得控除 / 所得控除 / 税額控除 / 住宅借入金等特別控除
会社員のAさん(30歳、妻29歳、長女3歳)の平成26年分の給与所得の源泉徴収票および住宅取得・住宅ローン情報に基づき、住宅借入金等特別控除を適用した所得税等の計算表における空欄①~④に入る数値を求めなさい。 【前提条件】 ・給与の支払金額:7,200,000円 ・社会保険料等の金額:1,005,000円、生命保険料の控除額:100,000円 ・扶養親族:長女(3歳、年少扶養親族のため扶養控除なし) ・住宅借入金等の年末残高:1,932万円(住宅取得価額の合計3,660万円以下、20年割賦、平成26年6月入居)
解答・解説を表示
解答
① 5,280,000 ② 380,000 ③ 255,500 ④ 193,200
解説
給与所得の課税総所得金額は、給与収入金額から給与所得控除額を差し引いて総所得金額を算出し、そこから各種所得控除を差し引いて求めます。住宅借入金等特別控除は税額控除であるため、課税総所得金額に税率を乗じて求めた算出税額から直接差し引きます。
解き方
- 給与等の収入金額720万円から資料の速算式を用いて給与所得控除額を計算し、総所得金額①を算出する。
- 人的控除である配偶者控除②(38万円)を特定し、社会保険料控除・生命保険料控除・基礎控除(38万円)と合算して課税総所得金額を求める。
- 課税総所得金額に税額速算表(税率20%・控除額42.75万円)を適用して算出税額③を計算する。
- 住宅ローンの年末残高(1,932万円)に控除率1.0%を乗じて住宅借入金等特別控除額④を算出する。
答えの内訳
- ①:5,280,000
- 給与等の収入金額720万円に対する給与所得控除額は「7,200,000円×10%+120万円=192万円」です。したがって、総所得金額(給与所得控除後の金額)は「7,200,000円-1,920,000円=5,280,000円」となります。
- ②:380,000
- 妻Bさん(29歳)は70歳未満の控除対象配偶者(一般の控除対象配偶者)に該当するため、配偶者控除の額は380,000円となります。
- ③:255,500
- 所得控除の合計額は「社会保険料控除1,005,000円+生命保険料控除100,000円+配偶者控除380,000円+基礎控除380,000円=1,865,000円」です。課税総所得金額は「5,280,000円-1,865,000円=3,415,000円」となります。速算表より算出税額は「3,415,000円×20%-427,500円=255,500円」です。
- ④:193,200
- 平成26年入居に係る住宅借入金等特別控除の控除率は1.0%です。年末残高1,932万円に対象限度額等の制限はないため、「19,320,000円×1.0%=193,200円」となります。
覚えるポイント
- 16歳未満の年少扶養親族には所得税の扶養控除が適用されない点に注意が必要です。
- 住宅借入金等特別控除は所得控除ではなく税額控除として算出税額から直接差し引かれます。
間違えやすいところ
- 16歳未満の子どもに扶養控除(38万円)を誤って加算してしまうミスが多く見られます。
- 配偶者控除と基礎控除の金額(各38万円)を漏らしたり二重計上したりしないよう注意が必要です。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産登記の効力および住宅用家屋の登録免許税の軽減特例
不動産 · 不動産登記記録 / 登記の公信力 / 登録免許税の軽減税率
Aさんが購入を検討している中古マンション(築12年・専有面積100㎡)の不動産登記および登録免許税に関する次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ① 購入予定マンションの不動産登記記録は,法務局で確認することができる。 ② 購入予定マンションの売主が不動産登記記録に所有者として登記されていたことにより,Aさんが売主を真の所有者であると信じて取引をした場合,登記には公信力があるため,Aさんは当該マンションの所有権を必ず取得することができる。 ③ 購入予定マンションは築10年を超えているため,登録免許税について,住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減の適用を受けることはできない。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
不動産登記記録は権利関係を公示する制度であり誰でも法務局で確認できますが、登記の記載に公信力は認められていません。また、住宅用家屋の所有権移転登記に係る登録免許税の軽減措置では、中古マンションなどの耐火建築物は築25年以内であれば築年数要件を満たします。
解き方
- 不動産登記の公開性について、誰でも法務局で確認可能であるか確認する。
- 不動産登記の効力に関して、公信力の有無(日本では公信力なし)を判定する。
- 住宅用家屋の登録免許税の軽減特例における中古耐火建築物の築年数要件(築25年以内)と本物件(築12年)を比較判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 不動産登記記録は誰でも法務局(登記所)において手数料を納付することで登記事項証明書の交付を受けたり、閲覧したりすることができます。
- 小問 ②:×
- 日本の現行法規において不動産登記には「公信力」が認められていません。そのため、仮に登記記録上の名義人が無権利者であった場合、登記を信じて取引を行っても真の所有者に対抗できず、所有権を必ず取得できるとは限りません。
- 小問 ③:×
- 中古住宅を取得した場合の登録免許税の軽減特例において、耐火建築物(マンション等)の築年数要件は「取得の日以前25年以内に建築されたもの」です。本問の中古マンションは築12年であるため、床面積等の要件とあわせて軽減税率の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- 日本の不動産登記には対抗力はありますが公信力はありません。
- 住宅用家屋の所有権移転登記の軽減特例における築年数要件は、耐火建築物が25年以内、非耐火建築物が20年以内です。
間違えやすいところ
- 登記を信じて購入すれば保護される(公信力がある)と誤解しやすい点に注意が必要です。
- 築年数要件を10年や15年と混同せず、耐火建築物は25年以内、非耐火建築物は20年以内と正しく区別する必要があります。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産取得税の課税標準の特例および税率
不動産 · 不動産取得税 / 課税標準の特例 / 税率の特例
購入予定マンション(築12年、専有面積100㎡)を取得した場合の不動産取得税に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 「不動産取得税は、不動産の取得者に課される( ① )であり、その課税標準は、原則として、固定資産課税台帳に登録されている価格により決定される。 平成27年3月31日までに購入予定マンションを購入した場合、不動産取得税の課税標準の特例を受けることにより、土地については、取得した不動産の価格に2分の1を乗じた額が不動産取得税の課税標準となり、建物については、独立的に区画された1戸ごとの価格から最大で( ② )を控除した額が不動産取得税の課税標準となる。 不動産取得税の標準税率は、本則においては4%であるが、平成27年3月31日までの取得については特例により( ③ )とされている。」
- イ
- 国税
- ロ
- 地方税
- ハ
- 1,000万円
- ニ
- 1,100万円
- ホ
- 1,200万円
- へ
- 1%
- ト
- 2%
- チ
- 3%
解答・解説を表示
解答
① ロ ② ホ ③ チ
解説
不動産取得税は不動産の取得に対して都道府県が課税する地方税であり、住宅や宅地の取得には課税標準および税率に関する各種の軽減特例が設けられています。
解き方
- 不動産取得税が国税か地方税(道府県税)かを確認し、地方税であることを特定します。
- 中古住宅の建物に対する課税標準の特例控除額について、築年数に応じた控除額(平成9年4月以降新築は1,200万円)を適用します。
- 特例措置期間中の土地および住宅に対する標準税率(本則4%から3%へ軽減)を特定します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 不動産取得税は、土地や家屋の取得に対して都道府県が課税する地方税(道府県税・都税)です。
- 小問 ②:ホ
- 床面積50㎡以上240㎡以下など一定の要件を満たす中古住宅を取得した場合、新築時期に応じた控除額が建物の価格から控除されます。平成9年4月1日以後に新築された住宅の控除額は上限である1,200万円となります。
- 小問 ③:チ
- 不動産取得税の本則税率は4%ですが、土地および住宅の取得に対する税率は特例により3%に軽減されています。
覚えるポイント
- 不動産取得税は地方税であり、平成9年4月1日以降新築の中古住宅控除額は1,200万円、住宅の特例税率は3%です。
間違えやすいところ
- 不動産取得税を国税(登録免許税等)と混同したり、本則税率4%をそのまま適用してしまう誤りに注意が必要です。
出題の前提:2014年4月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産の譲渡所得税等の税額計算
不動産 · 譲渡所得 / 3,000万円特別控除 / 所有期間10年超の軽減税率の特例 / 復興特別所得税
Aさんが《設例》の資料に従って譲渡物件(譲渡価額6,000万円、取得価額不明、譲渡費用200万円、所有期間10年超)を売却し、「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)」の適用を受けた場合における所得税、復興特別所得税および住民税の合計額を計算しなさい。
解答・解説を表示
解答
3,552,500円
解説
所有期間が譲渡年の1月1日現在で10年を超える居住用財産を譲渡した場合、3,000万円特別控除を適用した後の課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分には軽減税率(所得税10%・住民税4%、加えて復興特別所得税として基準所得税額の2.1%)が適用されます。
解き方
- 取得価額が不明なため、概算取得費(譲渡価額の5%=300万円)を計算し、譲渡費用200万円と合算して特別控除前譲渡所得金額(5,500万円)を算出します。
- 3,000万円特別控除を差し引いて、課税長期譲渡所得金額(2,500万円)を算出します。
- 課税長期譲渡所得金額(6,000万円以下)に対して軽減税率(所得税10%、復興特別所得税2.1%、住民税4%)を乗じ、合計税額を算出します。
覚えるポイント
- 居住用財産の軽減税率の特例(10年超)における税率は、課税長期譲渡所得6,000万円以下部分で所得税10%・住民税4%・復興特別所得税0.21%の計14.21%です。
間違えやすいところ
- 取得価額不明時に概算取得費(5%)の計算を失念するミスや、復興特別所得税(所得税額×2.1%)の加算を忘れるミスに注意が必要です。
出題の前提:2014年4月1日現在施行法令
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公正証書遺言・遺留分・相続税の申告期限
相続・事業承継 · 公正証書遺言の検認 / 遺留分権利者 / 相続税の申告期限
Aさんの相続開始後の手続等に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群のイ~チの中から選びなさい。 「Aさんは生前に公正証書遺言を作成していたが、公正証書遺言は、証人2人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がそれを筆記して作成される遺言であり、相続開始後に家庭裁判所による検認の手続が( ① )である。 遺言の内容が相続人の遺留分を侵害する場合、当該相続人は遺留分減殺請求を行うことができるが、Aさんの相続について遺留分を有する者は( ② )である。 Aさんの相続人は、Aさんの相続の開始があったことを知った日の翌日から原則として( ③ )以内に、相続税の申告書を提出しなければならない。」
- イ
- 必要
- ロ
- 不要
- ハ
- 妻Bさんのみ
- ニ
- 妻Bさん,妹Dさんの2人
- ホ
- 妻Bさん,妹Dさん,甥Eさんの3人
- へ
- 3カ月
- ト
- 4カ月
- チ
- 10カ月
解答・解説を表示
解答
① ロ、② ハ、③ チ
解説
遺言書の検認手続は偽造・変造を防ぐ保全手続であり、公正証書遺言では不要とされています。また、遺留分は一定の法定相続人に最低限保障される遺産取得分ですが兄弟姉妹には認められず、相続税申告は相続開始を知った翌日から10カ月以内に行う必要があります。
解き方
- 遺言の方式ごとの特徴を確認し、公正証書遺言は公証役場に原本が保管されるため検認が不要であることを判定する。
- 被相続人の法定相続人の構成(配偶者、妹、甥、姪)から、兄弟姉妹およびその代襲相続人には遺留分がないことを適用し、遺留分権利者を妻Bさんのみと特定する。
- 相続税法上の申告期限が「相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内」であることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ロ
- 公正証書遺言は公証人が作成に関与し原本が公証役場に保管されるため、家庭裁判所による検認の手続は不要です。
- 小問 ②:ハ
- 遺留分が認められている法定相続人は配偶者、子(代襲相続人を含む)、直系尊属に限られ、兄弟姉妹(およびその代襲相続人)には遺留分がありません。したがって本問で遺留分を有するのは妻Bさんのみとなります。
- 小問 ③:チ
- 相続税の申告書の提出期限は、原則として相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内と定められています。
覚えるポイント
- 公正証書遺言は家庭裁判所の検認が不要
- 兄弟姉妹およびその代襲相続人には遺留分がない
- 相続税の申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内
間違えやすいところ
- 準確定申告の期限(4カ月以内)や相続放棄の熟慮期間(3カ月以内)と相続税の申告期限(10カ月以内)を取り違えやすい。
- 兄弟姉妹にも遺留分があると誤認しやすい。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の民法および相続税法
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の特例・死亡保険金の非課税限度額・配偶者の税額軽減
相続・事業承継 · 特定居住用宅地等(配偶者取得) / 生命保険金非課税限度額の按分計算 / 配偶者に対する相続税額の軽減
Aさんの相続に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 妻Bさんが、自宅の敷地について特定居住用宅地等として「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けるためには、当該敷地を相続税の申告期限まで保有しなければならない。 ② 妹Dさんが受け取る死亡保険金のうち、妹Dさんの相続税の課税価格に算入される金額(非課税金額控除後の金額)は1,625万円である。 ③ Aさんの相続に係る相続税の課税価格の合計額を4億円と仮定した場合、妻Bさんは「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより、1億6,000万円までの取得について相続税がかからず、それを超える取得については納付すべき相続税が算出される。
- ①
- 妻Bさんが自宅敷地に小規模宅地等の特例を適用するには、申告期限まで敷地を保有しなければならない。
- ②
- 妹Dさんが受け取る死亡保険金2,000万円のうち、課税価格に算入される金額は1,625万円である。
- ③
- 課税価格の合計額が4億円の場合、配偶者の税額軽減により妻Bさんは1億6,000万円までの取得について相続税がかからず、それを超える取得は課税される。
解答・解説を表示
解答
① ×、② ×、③ ×
解説
配偶者は小規模宅地等の特例において所有要件や居住要件が免除されます。また、死亡保険金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)は受取人である相続人全員の保険金額の比率で按分します。配偶者の税額軽減では「1億6,000万円」と「配偶者の法定相続分相当額」の大きい方まで税額が控除されます。
解き方
- 記述①:特定居住用宅地等を配偶者が取得する場合の要件を確認し、申告期限までの保有継続要件が不要であることを判定する。
- 記述②:法定相続人の数(妻B、妹D、甥E、姪Fの4人)から全体の非課税枠2,000万円を算出し、妹Dの受取割合(2,000万円/8,000万円=1/4)を掛けて非課税額500万円、課税価格算入額1,500万円を求める。
- 記述③:配偶者の法定相続分(本問では配偶者と兄弟姉妹系列のため3/4)を課税価格4億円に適用し、法定相続分相当額3億円が1億6,000万円を上回ることを確認して非課税枠の上限を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 被相続人の配偶者が特定居住用宅地等を取得する場合、居住要件や申告期限までの保有継続要件は課されず、無条件で特例の適用を受けることができます。
- 小問 ②:×
- 法定相続人は妻B、妹D、甥E、姪Fの計4人であるため、非課税限度額の合計は「500万円×4人=2,000万円」です。妹Dの非課税金額は「2,000万円×(2,000万円/8,000万円)=500万円」となり、課税価格算入額は「2,000万円-500万円=1,500万円」となります。
- 小問 ③:×
- 配偶者の税額軽減は「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか多い金額まで相続税が非課税となります。本問における妻Bの法定相続分は4分の3(4億円×3/4=3億円)であるため、3億円まで相続税はかかりません。
覚えるポイント
- 特定居住用宅地等の配偶者取得は無条件で適用可能(居住・保有継続要件なし)
- 生命保険金の非課税限度額=500万円×法定相続人の数
- 配偶者の税額軽減=1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか大きい金額まで非課税
- 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合、法定相続分は配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
間違えやすいところ
- 死亡した姉Cの代襲相続人(甥E・姪Fの2人)を法定相続人の数に含め忘れて計算してしまう。
- 配偶者の法定相続分(親がいない兄弟姉妹との相続時は3/4)の判定を通常の1/2と勘違いしてしまう。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の相続税法および租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額と相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続人の数 / 法定相続分 / 相続税の総額の計算
被相続人Aさん(平成26年8月死亡)の相続に係る相続税の総額を計算するにあたり、設例および親族関係図等に基づき、計算表の空欄①〜④に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、課税遺産総額は2億4,000万円として計算すること。
解答・解説を表示
解答
① 9,000 ② 5,500 ③ 400 ④ 6,250
解説
相続税の総額は、課税遺産総額(課税価格の合計額から基礎控除額を控除した額)を各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものと仮定して各人の取得金額を算出し、相続税の速算表を適用して算出した各税額を合算して求めます。被相続人の兄弟姉妹が相続人となる場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1となります。被相続人より先に死亡した兄弟姉妹に子(甥・姪)がいるときはその子が代襲相続人となります。
解き方
- 法定相続人とその数を確定する。配偶者である妻B(3/4)、妹D(1/8)、被相続人より前に死亡している姉Cを代襲相続する甥E(1/16)および姪F(1/16)の計4人である。
- 試験施行日(2014年4月1日現在)の基礎控除額の計算式(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)に基づき、5,000万円+1,000万円×4人=9,000万円を算出する。
- 課税遺産総額2億4,000万円を各法定相続人の法定相続分に応じて按分し、速算表を用いて各人の税額を算出する。妻B:1億8,000万円×40%-1,700万円=5,500万円、妹D:3,000万円×15%-50万円=400万円、甥E:1,500万円×15%-50万円=175万円、姪F:1,500万円×15%-50万円=175万円。
- 算出した各人の税額をすべて合算して相続税の総額を求める(5,500万円+400万円+175万円+175万円=6,250万円)。
答えの内訳
- ①:9,000
- 2014年4月1日現在の遺産に係る基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」です。法定相続人は妻B、妹D、代襲相続人である甥E・姪Fの計4人であるため、5,000万円+1,000万円×4人=9,000万円となります。
- ②:5,500
- 妻Bさんの法定相続分は4分の3です。法定相続分に応ずる取得金額は2億4,000万円×3/4=1億8,000万円となります。速算表より税率40%、控除額1,700万円を適用し、1億8,000万円×40%-1,700万円=5,500万円です。
- ③:400
- 妹Dさんの法定相続分は「1/4×1/2=1/8」です。法定相続分に応ずる取得金額は2億4,000万円×1/8=3,000万円となります。速算表より税率15%、控除額50万円を適用し、3,000万円×15%-50万円=400万円です。
- ④:6,250
- 甥Eさんと姪Fさんの法定相続分はそれぞれ「1/4×1/2×1/2=1/16」で、各取得金額は1,500万円、算出税額はそれぞれ1,500万円×15%-50万円=175万円です。各人の税額を合計すると、5,500万円+400万円+175万円+175万円=6,250万円となります。
覚えるポイント
- 配偶者と兄弟姉妹が相続人となる場合、法定相続分は配偶者3/4、兄弟姉妹全体で1/4となる。
- 兄弟姉妹の代襲相続はその子(被相続人の甥・姪)までの一代限り認められる。
- 2014年時点の相続税の基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」である。
間違えやすいところ
- 平成27年(2015年)1月1日施行の改正後基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)と混同しないよう注意する。
- 姉Cが死亡しているため妹Dの相続分を1/4全体として計算してしまう誤りに注意する。姉Cの子である甥E・姪Fが代襲相続するため、妹Dの相続分は1/4の半分である1/8となる。
- 相続税の総額を計算する際に、表に記載のない代襲相続人(甥E・姪F)の算出税額を合算し忘れるミスに注意する。
出題の前提:2014年4月1日現在施行の法令等(相続税法・民法)
出典:金融財政事情研究会『2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2014年9月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

