日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務の概要
老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢厚生年金 / 報酬比例部分 / 経過的加算 / 加給年金額
Aさんが60歳でX社を定年退職し、その後再就職しない場合に、原則として65歳から受給できる老齢厚生年金の年金額を計算しなさい。計算にあたっては《設例》および〈資料〉の算式を用い、計算過程と年金額(50円未満切捨て、50円以上100円未満切上げ)を示しなさい。
解答・解説を表示
解答
計算過程:報酬比例部分 1,199,295円、経過的加算額 222円、加給年金額 389,200円、合計 1,588,717円。年金額:1,588,700円
解説
65歳からの老齢厚生年金額は、報酬比例部分に加えて経過的加算額および受給要件を満たす配偶者等がいる場合の加給年金額を合算して計算します。
解き方
- 平成15年3月以前と4月以降の期間に分けて報酬比例部分の額を計算し、再評価率および物価スライド率を乗じます。
- 経過的加算額を定額部分相当額から厚生年金期間に応じた老齢基礎年金相当額を控除して求めます。
- 被保険者期間20年以上かつ65歳到達時に生計維持関係にある65歳未満の配偶者がいるため加給年金額を加算し、端数処理を行います。
答えの内訳
- 計算過程:ⅰ)報酬比例部分の額 ① 340,000円×(7.5/1,000)×288月=734,400円 ② 500,000円×(5.769/1,000)×162月=467,289円 (734,400円+467,289円)×1.031×0.968=1,199,295.23…円 → 1,199,295円 ⅱ)経過的加算額 1,676円×450月×0.968-778,500円×(450月/480月)=730,065.6円-729,843.75円=221.85円 → 222円 ⅲ)加給年金額 389,200円(厚生年金被保険者期間が20年以上あり、65歳到達時に生計を維持している65歳未満の配偶者がいるため加算対象) 合計額:1,199,295円+222円+389,200円=1,588,717円
- 老齢厚生年金は報酬比例部分、経過的加算額、加給年金額の合計として算出します。加給年金額は被保険者期間が20年以上で要件を満たす配偶者がいるため加算されます。
- 年金額:1,588,700円
- 合計額1,588,717円の50円未満を切り捨てて、1,588,700円となります。
覚えるポイント
- 加給年金額の加算要件は厚生年金被保険者期間20年以上かつ65歳到達時に生計を維持する65歳未満の配偶者等がいることです。
間違えやすいところ
- 妻の生年月日を確認せずに加給年金額の加算対象外と判断してしまう誤りに注意が必要です。
出題の前提:2013年10月1日現在施行の法令等(平成25年10月時点の物価スライド特例水準)
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特別支給の老齢厚生年金と在職老齢年金・高年齢雇用継続給付の調整
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 在職老齢年金 / 高年齢雇用継続基本給付金
Aさんが定年退職後も継続雇用制度を利用してX社に勤務し、厚生年金保険からの老齢給付を受給する場合に関する説明文の空欄①~③に入る最も適切な語句を語句群から選びなさい。
- イ
- 61歳
- ロ
- 62歳
- ハ
- 63歳
- ニ
- 標準報酬
- ホ
- 総報酬月額相当額
- ヘ
- 6%
- ト
- 7%
- チ
- 8%
解答・解説を表示
解答
① ロ、② ホ、③ ヘ
解説
在職しながら受給する老齢厚生年金は総報酬月額相当額と基本月額の合計に応じて支給停止が行われ、高年齢雇用継続給付と併給される場合はさらに最大で標準報酬月額の6%が支給停止されます。
解き方
- 生年月日に基づき特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢を判定します。
- 在職老齢年金の計算に用いられる給与等の指標(総報酬月額相当額)を特定します。
- 高年齢雇用継続給付との併給調整による年金支給停止率の上限(6%)を確認します。
- 選択肢 イ不正解
- 61歳支給開始となる男性は昭和28年4月2日~昭和30年4月1日生まれです。
- 選択肢 ロ正解
- 昭和30年4月2日~昭和32年4月1日生まれの男性は62歳から報酬比例部分が支給されます。
- 選択肢 ハ不正解
- 63歳支給開始となる男性は昭和32年4月2日~昭和34年4月1日生まれです。
- 選択肢 ニ不正解
- 在職老齢年金で基本月額と合算するのは賞与も含めた「総報酬月額相当額」です。
- 選択肢 ホ正解
- 在職老齢年金の支給停止額の算定には総報酬月額相当額と基本月額の合計額が用いられます。
- 選択肢 ヘ正解
- 高年齢雇用継続給付との併給調整により支給停止される年金額の上限は標準報酬月額の6%です。
- 選択肢 ト不正解
- 併給調整による年金支給停止の上限率は7%ではなく6%です。
- 選択肢 チ不正解
- 併給調整による年金支給停止の上限率は8%ではなく6%です。
答えの内訳
- ①:ロ
- 昭和31年10月8日生まれの男性の場合、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢は62歳です。
- ②:ホ
- 在職老齢年金の仕組みにおいて、支給停止調整の判定基準となるのは「総報酬月額相当額」と基本月額の合計額です。
- ③:ヘ
- 特別支給の老齢厚生年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との併給調整により支給停止される年金額の上限は、標準報酬月額の6%相当額です。
覚えるポイント
- 昭和30年4月2日~昭和32年4月1日生まれの男性の特別支給の老齢厚生年金支給開始年齢は62歳です。
間違えやすいところ
- 高年齢雇用継続給付の最高支給率15%と、年金の最高支給停止率6%を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2013年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険・健康保険・国民年金第3号被保険者の諸制度
社会保険・公的年金 · 基本手当の所定給付日数 / 任意継続被保険者 / 第3号被保険者の資格要件
定年退職を控えた会社員Aさん(57歳、被保険者期間20年以上)および妻Bさん(56歳)に関して、FPのMさんがアドバイスした次の記述①~③の正誤を判定しなさい。 ①「Aさんが継続雇用制度を利用せずに定年退職し、雇用保険の基本手当を受給する場合の所定給付日数は120日である」 ②「Aさんが退職後に健康保険の任意継続被保険者となる場合の手続は、原則として退職日の翌日から20日以内に行う必要がある」 ③「Aさんが継続雇用で65歳まで勤務した場合、妻BさんはAさんが65歳で退職するまで国民年金の第3号被保険者となる」
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ×
解説
定年退職に伴う社会保険・労働保険の給付や手続には明確な要件が定められており、基本手当の日数は算定基礎期間や離職理由に応じ、任意継続の申請には資格喪失日から20日以内の期限があり、国民年金第3号被保険者の適用は60歳未満までに限られます。
解き方
- 離職理由(定年退職)と被保険者期間(20年以上)から、雇用保険の基本手当の所定給付日数が150日であることを確認して①の正誤を判定する。
- 健康保険の任意継続被保険者の申請期限が資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内であることを確認して②の正誤を判定する。
- 妻Bさんの年齢要件に着目し、国民年金第3号被保険者の資格は60歳到達により喪失することを確認して③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 定年等による離職者(一般離職者)で被保険者であった期間(算定基礎期間)が20年以上の者の場合、基本手当の所定給付日数は150日となります(120日ではありません)。
- 小問 ②:○
- 健康保険の任意継続被保険者となるための申出は、被保険者の資格を喪失した日(退職日の翌日)から20日以内に保険者に対して行う必要があります。
- 小問 ③:×
- 国民年金の第3号被保険者は20歳以上60歳未満の者に限られます。妻Bさんは60歳に達した時点で第3号被保険者の資格を喪失するため、Aさんが65歳になるまで第3号被保険者であり続けることはできません。
覚えるポイント
- 定年退職等(自己都合・一般離職者)で被保険者期間20年以上の基本手当所定給付日数は150日である。
- 任意継続被保険者の申出期限は資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内である。
- 第3号被保険者の資格は配偶者の就労状況にかかわらず本人が60歳に達した時点で終了する。
間違えやすいところ
- 自己都合退職(10年以上20年未満で120日)と20年以上の所定給付日数(150日)を混同しやすい。
- 第2号被保険者本人が65歳未満で勤務していても、被扶養配偶者自身が60歳に達すれば第3号被保険者ではなくなる点を見落としやすい。
出題の前提:2013年10月1日現在施行法令(雇用保険法、健康保険法、国民年金法)
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資信託のパフォーマンス評価(シャープ・レシオ)
金融資産運用 · シャープ・レシオ / 超過収益率 / ポートフォリオの評価
MさんがAさんに対して説明した、X投資信託(リターン9%、標準偏差2%)とY投資信託(リターン15%、標準偏差5%)のパフォーマンス評価に関する文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を語句群から選びなさい。 「シャープ・レシオを求める際に利用する超過収益率は、収益率の平均値から( ① )を差し引くことによって求められます。仮に( ① )を1%としてシャープ・レシオを比較した場合、X投資信託は( ② )、Y投資信託は( ③ )となります。したがって過去3年間のパフォーマンスを比較した場合、( ④ )のほうが評価が高いといえます」
- イ
- 無リスク資産利子率
- ロ
- 期待収益率
- ハ
- 標準偏差
- ニ
- 2.8
- ホ
- 3.0
- ヘ
- 3.2
- ト
- 4.0
- チ
- 4.5
- リ
- 5.0
- ヌ
- X投資信託
- ル
- Y投資信託
解答・解説を表示
解答
① イ ② ト ③ ニ ④ ヌ
解説
シャープ・レシオは「(ポートフォリオの収益率-無リスク資産利子率)÷標準偏差」で算出され、リスク1単位あたりの超過リターンの大きさを示します。数値が大きいほど取ったリスクに対して効率よく超過収益を上げたことになります。
解き方
- 超過収益率の定義を確認し、平均収益率から差し引くものが「無リスク資産利子率」であることを特定する。
- X投資信託について公式を適用し、(9-1)÷2=4.0 を算出する。
- Y投資信託について公式を適用し、(15-1)÷5=2.8 を算出する。
- 両ファンドのシャープ・レシオを比較し、数値の大きいX投資信託(4.0>2.8)のほうが運用パフォーマンスが高いと判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:イ
- 超過収益率は、ポートフォリオの平均収益率から安全資産の利回りである「無リスク資産利子率」を差し引いて求めます。
- 小問 ②:ト
- X投資信託のシャープ・レシオは、(9%-1%)÷2%=4.0 と計算されます。
- 小問 ③:ニ
- Y投資信託のシャープ・レシオは、(15%-1%)÷5%=2.8 と計算されます。
- 小問 ④:ヌ
- シャープ・レシオは数値が大きいほどリスクに対するリターンが高く運用効率が良いことを示すため、4.0であるX投資信託のほうが評価が高くなります。
覚えるポイント
- シャープ・レシオ =(ポートフォリオの収益率 - 無リスク資産利子率)÷ 標準偏差
- シャープ・レシオは値が大きいほど運用効率が優れていることを意味する。
間違えやすいところ
- 分子で無リスク資産利子率を差し引くことを忘れ、単純に平均収益率を標準偏差で割ってしまうミスが多い。
- 見かけの平均収益率の高さ(15%>9%)だけに注目してしまい、リスク調整後リターンが劣るファンドを高く評価してしまう誤りが多い。
出題の前提:2013年10月1日現在施行法令・一般的なポートフォリオ理論に基づく出題
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資信託の譲渡所得の計算
金融資産運用 · 株式投資信託の譲渡所得 / 取得費の計算 / 信託財産留保額
Aさんが、特定口座を利用して《設例》の条件でX投資信託を500万口購入し、その後、基準価額10,500円(1万口当たり)ですべて換金した場合の譲渡所得の金額を、解答用紙の手順に従い、計算過程を示して求めなさい。なお、Aさんは、これ以外にX投資信託を含む株式等の取引はしておらず、X投資信託から元本払戻金(特別分配金)は受け取っていないものとする。また、《設例》に挙げられているもの以外の費用等は考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
77,500円
解説
公募株式投資信託を換金(解約請求または買取請求)した際の所得は譲渡所得として課税されます。譲渡所得の金額は「総収入金額(基準価額に基づく解約価額から信託財産留保額を控除した額)- 取得費(購入価額+購入時手数料等)」により計算します。
解き方
- 購入価額(500万口÷1万口×10,000円=5,000,000円)に購入時手数料(5,000,000円×3.24%=162,000円)を加算し、総取得費5,162,000円を計算する。
- 換金価額(500万口÷1万口×10,500円=5,250,000円)から信託財産留保額(5,250,000円×0.2%=10,500円)を控除し、譲渡収入金額5,239,500円を計算する。
- 譲渡収入金額5,239,500円から取得費5,162,000円を差し引いて譲渡所得の金額77,500円を算出する。
答えの内訳
- 計算過程:取得費:5,000,000円+(5,000,000円×3.24%)=5,162,000円、譲渡収入金額:5,250,000円-(5,250,000円×0.2%)=5,239,500円、譲渡所得の金額:5,239,500円-5,162,000円=77,500円
- 購入金額5,000,000円に購入時手数料162,000円を加えた5,162,000円が取得費となり、解約金額5,250,000円から信託財産留保額10,500円を差し引いた5,239,500円が譲渡収入金額となります。
- 譲渡所得の金額:77,500円
- 譲渡収入金額5,239,500円から取得費5,162,000円を差し引くことで、譲渡所得の金額77,500円が求まります。
覚えるポイント
- 購入時手数料は取得費に加算し、信託財産留保額は換金価額から差し引いて譲渡収入金額を計算する。
間違えやすいところ
- 購入時手数料を取得費に含め忘れたり、信託財産留保額を解約価額から差し引かずに計算してしまうミスに注意する。
出題の前提:2013年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
NISA口座の制度概要と留意点
金融資産運用 · NISA / 非課税枠の繰越不可 / 対象商品 / 損益通算の制限
NISA口座についてMさんが説明した次の記述①~③について,適切なものには○印を,不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。 ① 「平成26年中にNISA口座を利用して50万円を投資した場合,平成27年には新たに150万円までの上場株式等をNISA口座に受け入れることができます」 ② 「公社債投資信託はNISA口座に受け入れることができますが,公社債はNISA口座に受け入れることはできません」 ③ 「NISA口座で生じた譲渡損失は,特定口座や一般口座内で生じた上場株式等の配当等や譲渡益と損益を通算することはできません」
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
NISA(少額投資非課税制度)は、所定の年間非課税枠の範囲内で購入した上場株式等から生じる配当や譲渡益が非課税となる制度です。ただし、年間枠の未使用分の翌年繰越はできず、対象商品は株式・株式投信等に限定され、発生した譲渡損失は税制上ないものと扱われるため損益通算や繰越控除はできません。
解き方
- 非課税枠の繰越可否を確認し、未使用枠の繰越は認められないため①を不適切と判断する。
- NISA口座の対象資産を確認し、公社債および公社債投資信託はいずれも受け入れ不可であるため②を不適切と判断する。
- NISA口座内の損失の税務上の扱いを確認し、他口座との損益通算が認められないため③を適切と判断する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- NISA口座の年間非課税投資枠(導入当時100万円)の未使用分を翌年以降に繰り越すことはできません。したがって平成27年に新たに受け入れられる非課税枠は100万円のままです。
- 小問 ②:×
- NISA口座に受け入れることができる商品は上場株式や公募株式投資信託等に限られ、公社債だけでなく公社債投資信託(MRFやMMF等)も受け入れることはできません。
- 小問 ③:○
- NISA口座内で生じた譲渡損失は税務上ないものとみなされるため、特定口座や一般口座など他の口座で生じた上場株式等の配当等や譲渡益と損益通算することはできません。
覚えるポイント
- NISA口座内の譲渡損失は税務上ないものとみなされ、特定口座・一般口座との損益通算および繰越控除ができない。
間違えやすいところ
- 公募投資信託であっても公社債投資信託(MMF・MRF等)はNISAの対象外である点を見落としやすい。
出題の前提:2013年10月1日現在施行の法令等(2014年開始のNISA制度)
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
給与所得の源泉徴収票の読み取りと各種所得控除
タックスプランニング · 生命保険料控除 / 扶養控除 / 配偶者控除
会社員Aさんの平成25年分の「給与所得の源泉徴収票」から推定される次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印をつけなさい。 ① Aさんの平成25年分の所得税の年末調整の際に控除された生命保険料控除額は、8万円である。 ② Aさんの平成25年分の所得税の年末調整の際に控除された扶養控除額は、63万円である。 ③ 妻Bさんの平成25年中の収入がパートによる給与のみであった場合、その給与収入の金額は103万円以下である。
解答・解説を表示
解答
① × ② ○ ③ ○
解説
給与所得者の所得税計算では、源泉徴収票に記載された支払金額や控除対象者の区分、支払保険料額などから、生命保険料控除・特定扶養控除・配偶者控除などの適用要件と控除額を正確に判定する必要があります。
解き方
- 源泉徴収票の支払保険料から生命保険料控除額(旧契約の限度額各5万円、合計最高10万円)を計算して記述①の正誤を判定する。
- 大学生の子Cさん(20歳)の年齢から特定扶養親族(控除額63万円)であることを確認して記述②の正誤を判定する。
- 控除対象配偶者の所得要件(合計所得金額38万円以下)と最低給与所得控除額65万円から収入要件(103万円以下)を確認して記述③の正誤を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 旧生命保険料12万円と旧個人年金保険料12万円は、いずれも旧契約の計算式により10万円超であるため各5万円の控除となり、合計控除限度額は10万円です。8万円ではありません。
- 小問 ②:○
- 扶養親族である子Cさん(20歳)は19歳以上23歳未満であるため特定扶養親族に該当し、所得税の控除額は63万円となります。
- 小問 ③:○
- 源泉徴収票の控除対象配偶者の有無等で対象となっているため合計所得金額は38万円以下であり、給与所得控除65万円を合わせると給与収入は103万円以下となります。
覚えるポイント
- 旧契約のみの生命保険料控除の最高限度額は、一般・年金それぞれ5万円で合計10万円であること。
- 19歳以上23歳未満の特定扶養親族に対する所得税の扶養控除額は63万円であること。
間違えやすいところ
- 新契約の各控除限度額(最高4万円)と旧契約の限度額(最高5万円)を混同すること。
- 特定扶養親族の控除額63万円と一般の控除対象扶養親族の控除額38万円を混同すること。
出題の前提:2013年10月1日現在施行の法令等(平成25年分所得税制)
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の配当所得の課税方式および更正の請求
タックスプランニング · 配当所得 / 非上場株式 / 少額配当 / 更正の請求
Aさんの平成25年分の確定申告に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 「非上場のY社株式に係る配当所得は、( ① )の対象となる。この配当金については、その受取時に所得税が源泉徴収されているが、この源泉徴収された所得税額は、確定申告により精算されることになる。非上場株式の配当金で、1回の支払金額が( ② )に配当計算期間の月数を乗じて、これを12で除して計算した金額以下である場合は、当該配当金については少額配当として申告を不要とすることができるが、Aさんが受け取った配当金の額はこの金額を超えており、さらに給与所得および退職所得以外の所得金額が所定の金額を超えるため、Aさんはこの配当金について確定申告を行う必要がある。 また、Aさんが確定申告をした後、計算の誤りなどにより、正当な税額よりも多く納付していたことが判明した場合は、原則として法定申告期限から( ③ )以内に限り、その分の還付を受けるために更正の請求をすることができる。」 〈語句群〉 イ.申告分離課税 ロ.源泉分離課税 ハ.総合課税 ニ.10万円 ホ.15万円 ヘ.20万円 ト.1年 チ.3年 リ.5年
- イ
- 申告分離課税
- ロ
- 源泉分離課税
- ハ
- 総合課税
- ニ
- 10万円
- ホ
- 15万円
- ヘ
- 20万円
- ト
- 1年
- チ
- 3年
- リ
- 5年
解答・解説を表示
解答
① ハ ② ニ ③ リ
解説
非上場株式の配当所得は上場株式とは異なり申告分離課税の対象外で総合課税が原則であり、少額配当の申告不要制度の基準や、過大納付時の更正の請求期間(法定申告期限から5年)が定められています。
解き方
- 非上場株式に係る配当所得の確定申告における課税方式(総合課税のみ)を確認する。
- 非上場株式における少額配当の申告不要制度の判定基準(1回当たり10万円×月数/12)を確認する。
- 確定申告における更正の請求の期限(法定申告期限から5年以内)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 非上場株式の配当所得は申告分離課税を選択できず、確定申告をする場合は総合課税の対象となります。
- 小問 ②:ニ
- 非上場株式の少額配当の申告不要制度は、1回に支払を受ける金額が「10万円×配当計算期間月数÷12」以下である場合に適用できます。
- 小問 ③:リ
- 確定申告で税額を過大に納付していた場合の更正の請求ができる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。
覚えるポイント
- 非上場株式の配当は申告分離課税を選択できず、総合課税のみとなること。
- 更正の請求の期限は原則として法定申告期限から5年以内であること。
間違えやすいところ
- 上場株式の配当所得(申告分離課税を選択可)と非上場株式の配当所得(総合課税のみ)の取扱いを混同すること。
- 改正前の更正の請求期間(原則1年)と現行の期間(原則5年)を混同すること。
出題の前提:2013年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の申告納税額の計算(給与所得・配当所得)
タックスプランニング · 給与所得控除 / 総所得金額 / 課税総所得金額 / 配当控除
給与収入720万円および非上場株式の配当所得250万円(源泉徴収前、負債利子なし)を有するAさんの平成25年分の所得税計算において、所得控除合計額を2,662,000円とした場合の、次の空欄①~④に入る数値を求めなさい。 ・総所得金額:( ① )円 ・課税総所得金額(1,000円未満切捨て):( ② )円 ・算出税額:( ③ )円 ・税額控除(配当控除):( ④ )円
解答・解説を表示
解答
① 5,530,000 ② 2,868,000 ③ 189,300 ④ 25,000
解説
所得税の総合課税では、給与所得や配当所得などを合算して総所得金額を算出し、各種所得控除を差し引いて課税総所得金額を求めた上で超過累進税率を適用して算出税額を計算し、最後に配当控除等の税額控除を差し引きます。
解き方
- 給与収入720万円から給与所得控除額を差し引いて給与所得を求め、非上場株式の配当所得と合算して総所得金額を算出する。
- 総所得金額から所得控除の合計額を差し引いて課税総所得金額(1,000円未満切捨て)を求める。
- 所得税の速算表を用いて課税総所得金額に対する算出税額を計算し、配当所得に10%を乗じて配当控除額を算出する。
答えの内訳
- ①:5,530,000
- 給与収入7,200,000円に対する給与所得控除額は「7,200,000円×10%+1,200,000円=1,920,000円」です。給与所得の金額は「7,200,000円-1,920,000円=5,280,000円」となり、配当所得250,000円を加算した総所得金額は「5,280,000円+250,000円=5,530,000円」となります。
- ②:2,868,000
- 課税総所得金額は、総所得金額5,530,000円から所得控除の額の合計額2,662,000円を差し引いて「5,530,000円-2,662,000円=2,868,000円」となります(1,000円未満の端数なし)。
- ③:189,300
- 課税総所得金額2,868,000円に対する算出税額は、速算表の「195万円超330万円以下(税率10%・控除額97,500円)」を適用して「2,868,000円×10%-97,500円=189,300円」と求められます。
- ④:25,000
- 課税総所得金額等(2,868,000円)が1,000万円以下であるため、配当控除額は配当所得の金額に10%を乗じて「250,000円×10%=25,000円」となります。
覚えるポイント
- 課税総所得金額等が1,000万円以下の部分に対する配当控除率は10%であること
- 給与所得の計算では収入金額に応じた控除速算式を正しく適用すること
間違えやすいところ
- 給与所得控除後の金額を計算せずに給与収入金額をそのまま総所得金額に算入してしまうミス
- 配当控除(税額控除)を所得控除と混同して課税総所得金額の計算段階で差し引いてしまう誤り
出題の前提:2013年10月1日現在施行の所得税法令(平成25年分の所得税計算)
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産登記の手続き(所有権移転登記・登記識別情報・表題登記)
不動産 · 不動産登記法 / 相続登記 / 登記識別情報通知 / 表題登記
不動産登記に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を、語句群の中から選びなさい。 「Aさんは甲土地を母Bさんからの相続により取得しており,Aさんはこの取得について甲土地の所有権の( ① )を行うことができる。所有権の( ① )の申請は原則として登記権利者と登記義務者が共同して行うことになっているが,相続による場合については登記権利者が単独で行うことができる。甲土地の取得についてAさんが所有権の( ① )の申請を行った場合,当該登記により登記名義人となるAさんに( ② )が交付される。 また,Aさんが甲土地に賃貸アパートを新築した場合,Aさんはその所有権を取得した日から( ③ )以内に表題登記を申請しなければならない。」
- イ
- 保存登記
- ロ
- 設定登記
- ハ
- 移転登記
- ニ
- 登記済証
- ホ
- 登記識別情報通知
- ヘ
- 1カ月
- ト
- 3カ月
- チ
- 6カ月
解答・解説を表示
解答
① ハ ② ホ ③ ヘ
解説
不動産登記において、既存の登記名義人から権利が移転した場合は所有権移転登記を行い、登記名義人に登記識別情報通知が発行されます。また、新築建物には権利部がなく、完成から1カ月以内に表題登記の申請義務が課されます。
解き方
- 既登記の甲土地を相続で取得した場合の権利に関する登記種別(移転登記)と、登記完了時に発行される書面(登記識別情報通知)を特定する。
- 賃貸アパートを新築した際の表題登記の申請義務期間(所有権取得日から1カ月以内)を確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 母名義で既に登記されている土地を相続によって取得した際に行う登記は「所有権移転登記」です。相続による所有権移転登記は、登記権利者が単独で申請できます。
- 小問 ②:ホ
- 不動産登記を完了した際に、新たな登記名義人に対して法務局から通知・交付される情報は「登記識別情報通知」です。
- 小問 ③:ヘ
- 建物を新築して所有権を取得した者は、その所有権を取得した日から「1カ月」以内に建物の表題登記を申請しなければなりません。
覚えるポイント
- 相続による所有権移転登記は登記権利者による単独申請が可能であること
- 建物を新築した際の表題登記の申請義務期間は所有権取得日から1カ月以内であること
間違えやすいところ
- 建物の新築時に最初に行う「表題登記(1カ月以内の義務)」と「所有権保存登記(任意)」の手続きを混同する誤り
- 登記完了時に通知される「登記識別情報通知」を旧法の「登記済証」と取り違えるミス
出題の前提:2013年10月1日現在施行の不動産登記法
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸アパート建築に伴う税務上の取扱い
不動産 · 不動産取得税 / 登録免許税 / 固定資産税の住宅用地の特例
Aさんが甲土地上に賃貸アパート(認定長期優良住宅には該当しない)を建築した場合の課税関係に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を判定しなさい。 ① 「不動産取得税の課税標準の特例」の適用を受けた場合、賃貸アパートの独立的に区画された1室ごとの価格(固定資産税評価額)から最高1,200万円を控除した額を不動産取得税の課税標準とすることができる。 ② 賃貸アパートについて新築後1年以内に所有権の保存登記を受けた場合、この登記に係る登録免許税の税率は、「住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減」の適用を受けることにより、0.4%から0.15%に軽減される。 ③ 「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例」は、その住宅用地の所有者の居住用住宅の敷地が適用対象となるため、賃貸アパートの敷地には適用されない。
解答・解説を表示
解答
① ○ ② × ③ ×
解説
住宅用の不動産に対する税負担軽減措置には、自己の居住用家屋に限定されるもの(住宅用家屋の登録免許税の軽減など)と、賃貸用共同住宅を含む住宅全般に広く適用されるもの(不動産取得税の課税標準の控除特例や固定資産税の住宅用地の特例)が存在します。
解き方
- 不動産取得税の課税標準の特例について、賃貸共同住宅の1戸ごとに控除が適用されるか確認する。
- 登録免許税の保存登記軽減の対象が「自己居住用家屋」に限定され、賃貸用家屋は除外される点を確認する。
- 固定資産税の住宅用地の特例が、自己居住用のみならず賃貸用アパートの敷地にも適用されることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:○
- 新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例では、要件(アパート等の賃貸共同住宅は1室あたりの床面積が40㎡以上240㎡以下など)を満たす場合、独立的に区画された1室(1戸)ごとに固定資産税評価額から最高1,200万円が控除されます。
- 小問 ②:×
- 住宅用家屋の所有権の保存登記に係る登録免許税の軽減措置(本則0.4%から0.15%への軽減)は、個人の自己の居住の用に供する家屋に限定されており、賃貸用アパートには適用されません。
- 小問 ③:×
- 住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例(小規模住宅用地で6分の1、一般住宅用地で3分の1に軽減)は、所有者自身の居住用住宅だけでなく、賃貸アパート等の共同住宅の敷地にも適用されます。
覚えるポイント
- 登録免許税の住宅用家屋軽減特例は自己居住用に限られ、貸家・賃貸アパートには適用されない点に留意する。
- 固定資産税の住宅用地の特例および新築住宅の不動産取得税の控除特例は、賃貸住宅(アパート等)にも適用される。
間違えやすいところ
- 固定資産税の住宅用地特例を自己居住用に限られると誤認しやすい。
- 登録免許税の住宅用特例が賃貸用建物にも使えると混同しやすい。
出題の前提:2013年10月1日現在施行の法令等(地方税法、租税特別措置法)
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法上の最大建築面積および最大延べ面積の計算
不動産 · 建ぺい率の緩和 / 前面道路幅員による容積率制限 / 建築面積 / 延べ面積
Aさんが甲土地(敷地面積300㎡、第一種住居地域、指定建ぺい率60%、指定容積率200%、前面道路幅員6m・法定乗数4/10、防火地域)上に耐火建築物を建築する場合の、建築基準法上の①最大建築面積と②最大延べ面積をそれぞれ求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 210㎡ ② 600㎡
解説
建築基準法における最大建築面積は敷地面積に適用建ぺい率を乗じ、最大延べ面積は敷地面積に適用容積率を乗じて算出します。防火地域内で耐火建築物を建築する場合には建ぺい率が10%緩和され、容積率は指定容積率と前面道路幅員制限(前面道路幅員×法定乗数)のいずれか小さい方が基準容積率となります。
解き方
- 建ぺい率の計算:防火地域内の耐火建築物であるため、指定建ぺい率60%に10%を加算して適用建ぺい率を70%とする。敷地面積300㎡×70%=210㎡を算出する。
- 容積率の計算:前面道路幅員制限(6m×4/10=240%)と指定容積率(200%)を比較し、小さい方の200%を適用する。敷地面積300㎡×200%=600㎡を算出する。
答えの内訳
- ①:210㎡
- 甲土地は防火地域内にあり耐火建築物を建築するため、指定建ぺい率60%に10%が加算され、適用される建ぺい率は70%(60%+10%)となります。したがって、最大建築面積は 敷地面積300㎡×70%=210㎡ です。
- ②:600㎡
- 前面道路幅員による容積率制限は 6m×4/10=240% となり、指定容積率200%以下であるため、適用される容積率は小さい方の200%となります。したがって、最大延べ面積は 敷地面積300㎡×200%=600㎡ です。
覚えるポイント
- 防火地域内で耐火建築物を建築する場合、建ぺい率は10%緩和される。
- 前面道路幅員が12m未満の場合、指定容積率と「前面道路幅員×法定乗数」の小さい方が上限となる。
間違えやすいところ
- 防火地域内の耐火建築物による建ぺい率10%加算の適用を失念して60%(180㎡)としてしまうミスが多い。
- 前面道路制限(240%)のほうが指定容積率(200%)より大きいにもかかわらず、道路幅員制限の数値を誤って採用してしまう。
出題の前提:2013年10月1日現在施行の建築基準法(建築基準法第52条、第53条)
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺言の方式および検認・撤回
相続・事業承継 · 自筆証書遺言 / 公正証書遺言 / 遺言の検認 / 遺言の撤回
遺言に関する次の文章の空欄①~③に入る最も適切な語句を,語句群(イ~チ)のなかから選びなさい。 「民法上の遺言には普通方式と特別方式があり,普通方式には自筆証書遺言,公正証書遺言,秘密証書遺言がある。 自筆証書遺言は,遺言者が全文,日付および氏名を自書し押印して作成される遺言である。この方式による遺言書の保管者またはこれを発見した相続人は,遺言者の相続の開始を知った後,遅滞なくその遺言書を( ① )に提出してその検認を請求しなければならない。 公正証書遺言は,遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し,公証人がそれを筆記して作成される遺言であり,作成にあたっては証人( ② )以上の立会いが必要である。この方式による遺言書については検認の手続は不要である。 また,遺言者が遺言を作成した後,遺言の対象となった財産の一部を譲渡するなど生前処分し,遺言の内容と抵触した場合,遺言の( ③ )を撤回したものとみなされる。」 〈語句群〉 イ.公証人役場 ロ.法務局 ハ.家庭裁判所 ニ.1人 ホ.2人 ヘ.3人 ト.すべて チ.抵触する部分
解答・解説を表示
解答
① ハ(家庭裁判所) ② ホ(2人) ③ チ(抵触する部分)
解説
民法上の普通方式遺言には自筆証書・公正証書・秘密証書があり、それぞれ作成要件や手続が異なります。自筆証書遺言は偽造や変造を防ぐため家庭裁判所の検認手続が原則必要ですが、公証人が関与する公正証書遺言では証人2人以上の立会いが必要な代わりに検認手続は不要となります。また、遺言と両立しない生前処分がなされたときは抵触部分が撤回されたものとみなされます。
解き方
- 自筆証書遺言を発見した相続人が検認を請求すべき機関は「家庭裁判所」であることを確認する。
- 公正証書遺言を作成する際に立ち会う必要がある証人の人数が「2人以上」であることを確認する。
- 遺言後の生前処分と遺言内容が抵触した場合の効果は「抵触する部分」について撤回したものとみなされることを確認する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:ハ
- 自筆証書遺言の保管者や発見者は、相続開始後に遅滞なく家庭裁判所に提出して検認を請求する必要があります(法務局での自筆証書遺言書保管制度を利用した場合等を除く)。
- 小問 ②:ホ
- 公正証書遺言を作成するにあたっては、証人2人以上の立会いが必要と定められています(民法第969条第1号)。
- 小問 ③:チ
- 遺言者が遺言作成後に遺言の対象財産を生前処分するなど遺言内容と抵触する行為をした場合、その抵触する部分について遺言を撤回したものとみなされます(民法第1023条第2項)。
覚えるポイント
- 自筆証書遺言の検認請求先は家庭裁判所であること
- 公正証書遺言の作成には証人2人以上の立会いが必要であること
- 生前処分等で遺言と抵触した場合は抵触する部分のみ撤回とみなされること
間違えやすいところ
- 検認の請求先を公証人役場や法務局と誤認しやすい点
- 生前処分と抵触した場合に遺言のすべてが無効・撤回になると混同しやすい点
出題の前提:2013年10月1日現在施行の民法規定
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公正証書遺言の証人欠格・遺留分の計算・FPの職業倫理
相続・事業承継 · 遺言の証人欠格事由 / 遺留分の算定 / FPの職業倫理
Aさんの相続に関する次の記述①~③について,適切なものには○印を,不適切なものには×印をつけなさい。 ① Aさんが妹Cさんを受遺者とする公正証書遺言を作成する場合,推定相続人ではない妹Cさんは証人となることができる。 ② 仮に,遺留分算定の基礎となる財産の価額を3億6,000万円とした場合,長男Dさんの遺留分は4,500万円である。 ③ Aさんが自身の相続についてファイナンシャル・プランナー(以下,「FP」という)に相談した場合,相談を受けたFPは,職業倫理上,Aさんの個人情報について守秘義務を厳守することが求められる。
解答・解説を表示
解答
① × ② × ③ ○
解説
公正証書遺言の証人は利害関係を排除するため、未成年者、推定相続人、受遺者およびこれらの配偶者・直系血族等が欠格事由とされています。また、遺留分の計算では民法上の法定相続人の数と順位に基づいて法定相続分および各人の遺留分を算定します(普通養子も実子と同等に扱われます)。FP実務では顧客情報の厳格な管理と守秘義務の遵守が基本倫理となります。
解き方
- 受遺者本人が公正証書遺言の証人になれるかを民法上の証人欠格事由(民法第974条)に基づいて判定する。
- 民法上の法定相続人の構成(配偶者+実子1人・普通養子2人の計3人の子)から総遺留分率(1/2)および長男Dの遺留分率(1/2×1/6=1/12)を求め、遺留分額を計算する。
- FPが相談過程で取得した相談者の個人情報について負う守秘義務等の職業倫理の適否を判定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:×
- 民法第974条において、推定相続人および受遺者、ならびにこれらの配偶者および直系血族は遺言の証人になることができないと規定されているため、受遺者となる妹Cさんは証人になれません。
- 小問 ②:×
- 法定相続人は妻Bと子3人(長男D、養子E、養子F)の計4人です。総遺留分は2分の1(1億8,000万円)であり、子の法定相続分は各6分の1(2分の1×3分の1)となるため、長男Dさんの遺留分は3億6,000万円×(1/2)×(1/6)=3,000万円となります。
- 小問 ③:○
- FPは業務上知り得た顧客の個人情報やプライバシーに関する情報について、正当な理由なく他人に漏らしてはならず、厳格な守秘義務が求められます。
覚えるポイント
- 受遺者およびその配偶者・直系血族は遺言の証人になれないこと
- 民法上の遺留分算定では養子も実子と同じ1人分の法定相続分を持つこと
- FPの三大原則として守秘義務の遵守が極めて重要であること
間違えやすいところ
- 受遺者が推定相続人ではないから証人になれると誤解しやすい点
- 養子の数を相続税法上の制限(実子がいる場合は1人まで)と混同し、民法上の遺留分計算でも養子を除外して計算してしまう誤り
出題の前提:2013年10月1日現在施行の民法規定およびFP倫理規定
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額と相続税の総額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 遺産に係る基礎控除額 / 養子の数 / 法定相続分
被相続人Aさん(配偶者Bさん、実子である長男Dさん、普通養子縁組をした養子Eさん・Fさんの計4名の相続人)の相続において、平成26年5月時点の法令に基づき、課税遺産総額を1億6,000万円とした場合の「遺産に係る基礎控除額」「妻Bさんおよび長男Dさんの相続税の総額の基となる税額」「相続税の総額」を求め、空欄①~④に入る適切な数値を答えなさい。
解答・解説を表示
解答
① 8,000(万円)、② 1,700(万円)、③ 600(万円)、④ 2,900(万円)
解説
実子がいる場合、相続税法上の法定相続人の数に算入できる養子は1人までに制限されます。相続税の総額の計算においても、この算入制限が適用された法定相続人の構成(本問では配偶者1名・子2名)に基づいて各人の法定相続分および税額を算定します。
解き方
- 実子の有無を確認し、基礎控除および総額計算に算入する法定相続人の数(配偶者+実子1人+養子1人=3人)を確定して基礎控除額を算出する。
- 課税遺産総額1億6,000万円を算入された法定相続人の法定相続分(配偶者1/2、子各1/4)に応じて按分し、速算表を適用して各人の基となる税額を計算する。
- 算出した各法定相続人の基となる税額を合算して相続税の総額を求める。
答えの内訳
- ①:8,000
- 実子がいる場合、相続税法上の法定相続人の数に含めることができる養子は1人までとなります。したがって法定相続人の数は3人(妻B、長男D、養子1人)となり、平成26年当時の基礎控除額は「5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円」です。
- ②:1,700
- 相続税の総額の計算上、法定相続人の数は3人として法定相続分を計算します。妻Bさんの取得金額は「1億6,000万円×1/2=8,000万円」となり、速算表より「8,000万円×30%-700万円=1,700万円」となります。
- ③:600
- 相続税の総額の計算上、実子と養子(1人分)の2人で子の法定相続分1/2を分けるため、長男Dさんの取得金額は「1億6,000万円×1/4=4,000万円」です。速算表より「4,000万円×20%-200万円=600万円」となります。
- ④:2,900
- 相続税の総額は、法定相続人それぞれの基となる税額の合計です。養子1人分の税額も長男Dさんと同額の600万円となるため、総額は「1,700万円(妻B)+600万円(長男D)+600万円(養子)=2,900万円」となります。
覚えるポイント
- 実子がいる場合の養子の算入限度は1人、実子がいない場合は2人までです。
- 平成27年1月1日施行の改正前における基礎控除は「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でした。
間違えやすいところ
- 民法上の養子全員(2人)を法定相続人の数に算入して基礎控除額や法定相続分を誤って計算してしまうミス。
- 相続税の総額を計算する際に、養子1人分の税額(600万円)を合算し忘れて妻Bと長男Dの分のみを足してしまうミス。
出題の前提:2013年10月1日現在施行の法令(平成27年1月1日改正前の相続税法)に基づく
出典:金融財政事情研究会『2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2014年5月 2級 実技 個人資産相談業務の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

