日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2026年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartII)の概要
事案解決に向けた収集・確認情報の整理
不動産 · 情報収集 / 面談ヒアリング / 権利関係調査
甲土地(市街化調整区域内の元小学校跡地・5名共有型)の有効活用(物流会社X社からの事業用定期借地権の提案)において、まとめ役のAさんに対して最適なアドバイスを行うために必要な追加情報を、「①Aさんから直接聞いて確認する情報」および「②FP自身が調べて確認する情報」に整理して提示しなさい。
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解答
①Aさんから直接聞いて確認する情報:地権者全員(特に反対しているBさん等)の意向や家族状況、資産状況、事業用定期借地権提案への許容条件等。②FP自身が調べて確認する情報:甲土地の登記事項や公図等の権利・境界関係、現地状況、都市計画法等の法令上の制限、周辺の賃料相場や底地利回り、X社の信用度や提案の妥当性。
解説
不動産の有効活用や、地権者どうしの合意づくりを助けるときは、二つの調査が必要です。一つは、当事者から希望や生活・資産の状況をていねいに聞く調査です。もう一つは、法律の制限・権利関係・市場性・相手の信用力を専門的に確かめる調査です。この両方をしっかり行うことが欠かせません。
解き方
- 地権者どうしの利害関係や一人ひとりの要望、反対の理由など、Aさんから聞くべき気持ちや意向の情報を整理します。
- 法律の制限、インフラの整備条件、行政との協議、市場性など、FP自身が役所や現地で調べる客観的な情報を整理します。
答えの内訳
- ①Aさんから直接聞いて確認する情報:地権者各人(特に反対するBさん)の意向や希望条件、各人の資産・生活状況や相続への考え方、Aさん自身が想定する合意形成案や妥協点、過去の賃貸借契約時の収益配分経緯。
- 地権者間の意見対立を解消するためには、各共有者・隣接地権者の経済事情、生活基盤、相続対策の必要性、および今回の道路提供や賃料配分に対する具体的な要望や不満の核心をAさんから詳細に聴取する必要があります。
- ②FPであるあなた自身が調べて確認する情報:甲土地各区画の登記事項証明書・公図・地積測量図等の権利関係、現地境界および道路・インフラの状況、都市計画法(開発許可要件等)や建築基準法等の公法規制、自治体(K市)の条例や道路拡幅に関する協議条件、近隣の地代・底地相場および借主候補X社の財務健全性や事業継続性。
- 法的なリスクや事業の実現可能性を検証するため、登記事項による権利・抵当権等の把握、市街化調整区域における開発規制の適用関係、道路後退用地の寄付や買収の行政協議状況、およびX社の提案賃料水準の妥当性を客観的に調査・確認する必要があります。
覚えるポイント
- 顧客からのヒアリング事項(主観的情報・意向)と専門家自身による調査事項(客観的・法的情報)を明確に分けて整理する。
間違えやすいところ
- Aさん自身の希望だけに目を向け、反対している他の地権者の意向や家族の事情、相続の問題への配慮を忘れてしまうこと。
出題の前提:2026年度第1回ファイナンシャル・プランニング技能検定1級実技試験(資産相談業務)PartII 設問1
出典:金融財政事情研究会『2026年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
市街化調整区域における建築可能用途と開発許可等の例外
不動産 · 都市計画法 / 市街化調整区域 / 開発許可の例外
都市計画法上、市街化調整区域内において原則として建築が可能な建築物にはどのようなものがあるか、また開発行為制限の例外(開発許可が不要となる建築・開発行為)について説明しなさい。
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解答
市街化調整区域内では原則として開発・建築が抑制されるが、①農林漁業用の建築物や農林漁業従事者の居住用住宅、②公益上必要な建築物(駅舎・社会福祉施設・医療施設・学校等)、③都市計画法第34条各号に該当し都道府県知事等の開発許可を受けた建築物等(流通業務施設や沿道サービス施設等)、④国や地方自治体が行う開発行為、⑤非常災害のための応急措置や通常の管理行為・軽微な行為等について建築や開発が認められる。
解説
市街化調整区域は「市街化をおさえるべき区域」です。むやみに市街化が進まないように、開発行為や建築行為はきびしく制限されています。ただし、農林漁業用の施設や公益施設、公的な主体の行為、法律の基準を満たす一定の施設には、制限の例外や許可の道が用意されています。
解き方
- 都市計画法での市街化調整区域の基本の考え方(市街化をおさえるべき区域)を確認します。
- 開発許可がいらない例外の建築物(農林漁業用、公益上必要な建築物など)を挙げます。
- 都市計画法第34条により、知事などの開発許可を受けて建てられる建築物・用途の要件を整理します。
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覚えるポイント
- 市街化調整区域では農林漁業関連施設や公益上必要な建築物は許可不要であり、その他の施設は法第34条各号の基準に基づく許可を要する。
間違えやすいところ
- 市街化調整区域ではどんな建物もまったく建てられないと、誤解すること。
- 公益上必要な建築物(学校や駅舎など)と、法34条の許可が必要な一般の流通倉庫・流通業務施設を混同すること。
出題の前提:都市計画法第29条、第34条、第43条
出典:金融財政事情研究会『2026年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
NOI利回りの定義と計算式
不動産 · NOI利回り / キャップレート / 不動産投資分析
甲土地の賃貸提案(事業用定期借地権)の検討にあたり、NOI利回りとはどのような指標であるか、またその算出式について説明しなさい。
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解答
NOI利回り(純利回り)とは、対象不動産から得られる年間の純営業収益(NOI:Net Operating Income)を取得費用または総投資額(不動産価格)で除して求める実質的な収益利回りである。算式は「NOI利回り = 年間純収益(NOI) ÷ 物件価格(投資総額) × 100」で表される。
解説
NOI(Net Operating Income、純営業収益)は、総潜在収入から空室損失と運営費(公租公課や維持管理費など)を引いたもうけです。借入金の利息や減価償却費を引く前の、営業利益の水準を示します。
解き方
- 不動産の年間の総賃料収入から、固定資産税などの管理運営の費用を引いて、年間の純営業収益(NOI)を出します。
- 出した年間の純営業収益(NOI)を不動産の価格(総投資額)でわり、100をかけて純利回り(%)を求めます。

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覚えるポイント
- NOI利回りは別名「純利回り」や「キャップレート(還元利回り)」として不動産鑑定評価や投資判断で重視される指標である。
間違えやすいところ
- 表面利回り(年間総収入÷物件価格)と混同して、経費(固定資産税など)を引くのを忘れてしまうミス。
出題の前提:不動産鑑定評価基準および一般的な不動産投資分析指標に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2026年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
道路提供および地権者間の合意形成・利害調整策
不動産 · 地権者合意形成 / 事業用定期借地権 / 収益分配の公平化
事業用定期借地権による賃貸申出において、道路後退負担や無道路地との賃料配分に猛反発しているBさんの意向を考慮し、地権者全員の合意を形成するための具体的な対応策を説明しなさい。
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解答
BさんおよびAさんのみに偏っている道路拡幅用地の提供負担を是正するため、道路用地部分も含めた従前地積(または評価額)比率で賃料や道路買収・工事費用を配分する方式の採用や、換地・等価交換等による敷地再編、あるいは各区画の立地格差(接道状況・奥行等)に応じた配分比率の見直しを行い、不公平感を解消して合意を図る。
解説
複数の地権者が関わる一体の開発や賃貸事業では、特定の人だけが土地を減らされたり、費用を多く負担したりしないようにします。これまでの資産価値や土地ごとの使いやすさの差をふまえて、収益と費用を公平に分けるルールを合意することが大切です。
解き方
- Bさんが反発する原因である「一部の地権者だけが無償で土地を提供して有効な面積が減る」点と、「道路に面した土地と面していない土地を同じ賃料で評価する」点の不公平感をはっきりさせます。
- 事業全体で受け取る賃料の総額と道路の費用負担額を、各地権者のもとの面積の割合や不動産鑑定士の価格評価の割合に基づいて分け直す調整案を示して、合意します。
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覚えるポイント
- 地権者間の利害調整では、土地境界の再編、従前地積割合による配分、効用格差(接道・奥行等)に応じた補正が有効な手段となる。
間違えやすいところ
- X社が示した「有効面積1㎡あたり1,800円」を、そのまま各人の拡幅後の面積にかけてしまうと、道路を提供した人の手取りが大きく減り、合意が得られません。
出題の前提:実技試験設例における不動産コンサルティング実務・地権者合意形成手法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2026年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
本事案に関与する専門職業家
不動産・FP倫理と関連法規 · 専門職業家との連携 / 事業用定期借地権 / 土地境界確定と登記 / 税務申告
市街化調整区域内の甲土地(5名の地権者による複数筆)について、大手物流会社X社から事業用定期借地権による配送センター用地としての借入れ提案(道路拡幅や地区外買収等の費用負担を伴う)がなされている。本件の円滑な合意形成、契約締結、各種手続きを進めるにあたり関与する専門職業家とその役割を説明しなさい。
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解答
土地家屋調査士、司法書士、不動産鑑定士、税理士、弁護士、公証人など。
解説
ファイナンシャル・プランナーは、いろいろな士業の法律に配慮し、自分の独占業務ではない分野は、弁護士・税理士・司法書士・土地家屋調査士・不動産鑑定士などの専門家としっかり連携して、顧客への助言や実行の支援を行います。
解き方
- 設例の取引(事業用定期借地権の設定、道路の拡幅・用地買収、地権者間の権利や賃料の調整、税務申告など)から出てくる法律上・実務上の課題を洗い出します。
- それぞれの課題(測量・分筆、登記、賃料評価、税務の相談・申告、権利調整・契約書の作成、公正証書の作成)に合う士業・専門家を挙げ、連携する仕事をはっきりさせます。
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覚えるポイント
- 事業用定期借地権設定は公正証書による契約締結が要件となるため、公証役場(公証人)の関与が不可欠である点に留意する。
- FP実技面接試験では、単に士業名を挙げるだけでなく「その専門家に何を依頼するか」という具体的な役割までセットで回答することが求められる。
間違えやすいところ
- 測量・分筆の登記をする「土地家屋調査士」と、権利関係(賃借権や所有権の移転)の登記をする「司法書士」の仕事の範囲を混同しないよう注意します。
出題の前提:2026年度第1回FP1級実技試験(資産相談業務・PartII)の出題条件に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2026年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2026年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartII)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2026年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartII)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

