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FP技能検定 · 学習ガイド

2026年2月 1級 実技(資産相談業務・2月7日 PartI PartII・PartI)の問題・解答解説

日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。

2026年2月 1級 実技(資産相談業務・2月7日 PartI PartII・PartI)の概要
30:00

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非上場会社会長の事業承継と共有地解消・相続対策

資産相談業務 · 事業承継対策 / 金庫株 / 事業承継税制(特例措置) / 土地の共有解消(現物分割) / 小規模宅地等の特例 / 遺留分対策 / FPの職業倫理

地方中核都市で家具製造業を営むX株式会社の取締役会長Aさん(70歳)は、代表取締役社長である弟Eさん(68歳)とともに勇退を検討している。後継者にはEさんの子である甥Fさん(40歳・取締役)が内定している。弟Eさんは事業承継税制(特例措置)を利用して自社株(51%)をFさんへ贈与する計画(特例承継計画提出済)であるが、Aさんは自身の保有するX社株式(49%・評価額2億9,400万円)の全量を無償で甥Fさんに贈与することに抵抗がある。長女Cさん・二女Dさんへ相応の資産を残したいと考え、X社による金庫株としての買取りや、事業承継税制を用いた一部贈与などの選択肢を検討している。また、弟Eさんと各2分の1ずつ共有している甲土地(800㎡・互いの自宅が建つ)の共有解消についても対策を求めている。設例に基づき、顧客の相談内容・問題点、解決策、具体的な提案と理由・留意点、およびFPの職業倫理について述べなさい。

解答・解説を表示

解答

相談内容・問題点(自社株承継・換金、共有不動産の解消、相続税の納税資金確保と遺産分割対策)、解決策(金庫株買取り、事業承継税制特例の活用、共有地の現物分割・分筆、遺言作成等)、提案(金庫株と事業承継税制の併用、甲土地の分筆による単独所有化)およびFP職業倫理(顧客利益の優先、守秘義務、専門家連携等)を総合的に提案・説明する。

解説

非上場企業の事業承継では、後継者への議決権の集中と、他の相続人への公平な財産配分(遺留分対策)の両立が最も大切です。そのためには、自己株式の取得(金庫株)による株式の資金化、法人税法・所得税法のみなし配当課税の影響、不動産の共有状態の解消を一まとめにして検討します。

解き方

  1. まず、家族の構成(妻B、長女C、二女D、弟E、甥F)、持っている資産の中身、X社の財務内容(余った資金・分配可能額・株価など)を整理します。
  2. 次に、事業承継の課題(Aさんの株式49%の承継方法と換金の希望、後継者Fへの議決権の確保)と、資産承継の課題(甲土地の共有解消、相続税約2億円の納税資金、長女・二女への資産承継)を洗い出します。
  3. 続いて、金庫株、役員退職金、事業承継税制(特例措置)、土地の分筆・交換などの解決策を検討します。それぞれの税務上の注意点(みなし配当、交換の特例など)を整理したうえで、最適な提案をまとめます。

答えの内訳

設例の顧客の相談内容および問題点として、どのようなことが考えられるか。:自社株の承継方針(無償贈与の抵抗感と換金希望)、甥Fさんへの議決権集中、子ども2人への資産承継と遺産分割対策(遺留分配慮)、相続税の納税資金準備、甲土地の共有状態の解消が主な相談内容・問題点である。
Aさんの財産の約45%(2億9,400万円)をX社株式が占めており、長女C・二女Dに相応の資産を残すため無償贈与は避けたい意向がある。一方で後継者Fに議決権を集中させる必要がある。また、見積相続税額が約2億円と多額であり納税資金対策が必要なこと、自宅敷地(甲土地)が弟Eさんと共有名義であり将来の相続紛争リスクがあることが主要な問題点となる。
それらの相談内容および問題点を解決するために、どのような提案・方策が考えられるか。:①X社による金庫株(自己株式)の取得、②事業承継税制(特例措置)を活用した甥Fへの一部贈与、③役員退職慰労金の支給による株価引き下げと現金化、④甲土地の分筆による現物分割(共有解消)、⑤遺言書の作成や小規模宅地等の特例活用等の相続対策が考えられる。
自社株対策としてX社の潤沢な分配可能額(9億円)を活用した金庫株買取りと事業承継税制の併用が有効である。甲土地については、互いの敷地境界を画定して分筆し、持分の交換等により単独所有とする現物分割を検討する。相続対策として退職慰労金による所得税(退職所得控除等)を活用した換金、公正証書遺言の作成、特定事業用・特定居住用宅地等の適用検討が挙げられる。
それらの方策(解決策)のなかで、何を顧客に提案するか。その理由・留意点は何か。:【提案】甲土地の分筆・現物分割、および金庫株買取りと事業承継税制(特例措置)を併用した自社株承継と資金化を提案する。 【理由】甲土地を単独所有化して権利関係を整理し、自社株の一部買取りによりAさんの納税資金・子どもへの相続原資を確保しつつ、残りを事業承継税制でFさんに承継して議決権を確保できるため。 【留意点】金庫株譲渡ではみなし配当課税が生じる点(生前の自己株式取得では総合課税対象)、特例承継計画の提出期限(2026年3月末まで)と適用要件の充足、長女・二女への遺留分への配慮が不可欠である。
生前にX社へ株式を売却すると、資本金等の額を超える部分は「みなし配当」となり総合課税(最大約55%)となる点に注意を要する(相続後3年10か月以内の金庫株取得であればみなし配当課税の特例により20.315%の申告分離課税となる)。事業承継税制の特例措置は甥Fさんを対象として追加認定を受けられるか確認が必要である。甲土地の分筆・交換では固定資産の交換の特例等の適用可否や測量・登記手続きの負担に留意する。
FPと職業倫理について、どのようなことが考えられるか。:顧客の意向を真摯に傾聴して顧客の利益を最優先すること、税務申告や登記・不動産鑑定等の独占業務については税理士・司法書士・不動産鑑定士等の専門家と適切に連携すること、守秘義務の徹底、十分な説明とインフォームド・コンセントの実施が求められる。
FPは税理士法や司法書士法等の士業法を遵守し、具体的な税務相談や登記申請は提携専門家に委ねる必要がある。また、親族間の利害が複雑に絡む事業・資産承継であるため、守秘義務の厳守と客観的・中立的な助言姿勢が極めて重要となる。

覚えるポイント

  • 生前の金庫株(自己株式取得)はみなし配当課税(総合課税)となる。
  • 事業承継税制(特例措置)の特例承継計画の提出期限は現行法令の基準を確認する。
  • 土地の共有状態は将来の世代交代により権利関係が細分化・複雑化するため、分筆等による現物分割が有効である。

間違えやすいところ

  • 生前の自己株式の買取りにも「相続財産を譲渡した場合のみなし配当の特例(20.315%の申告分離課税)」が使えると、混同しやすいです。しかしこの特例は、相続税を納めた相続人が相続開始から3年10か月以内に譲渡した場合だけに限られます。
  • 甲土地の現物分割では、単に土地を分けるだけでなく、持分の交換や所有権移転登記が必要になる点を見落としやすいです。

出題の前提:実技試験実施日(2026年2月7日)時点で施行されている関係法令(会社法、税法等)。

出典:金融財政事情研究会『2026年2月 1級 実技(資産相談業務・2月7日 PartI PartII・PartI)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)

2026年2月 1級 実技(資産相談業務・2月7日 PartI PartII・PartI)

参照した公式資料

金融財政事情研究会が公開した2026年2月 1級 実技(資産相談業務・2月7日 PartI PartII・PartI)の問題・解答資料です。

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