日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2025年9月 1級 実技(資産相談業務・10月5日 PartI PartII・PartII)の概要
相談者からの収集情報およびFP自身による調査事項の整理
不動産 · 情報収集 / 現地・公法調査 / 意向確認 / 土地有効活用
甲土地の有効活用(Y社のアパート建設提案とZ社の事業用定期借地権提案)に悩むAさんに対し、最適なアドバイスを行うために示された情報のほかに収集すべき情報について、「①Aさんから直接聞いて確認する情報」および「②FPであるあなた自身が調べて確認する情報」に整理して答えなさい。
解答・解説を表示
解答
①Aさんから直接聞いて確認する情報:妻Bさんの公的年金受給見込み額や夫婦の生活費・健康状態等のライフプラン、長男Cさんの土地承継意向やアパート建築資金借入れに伴う連帯保証人就任に対する意向、現在の月極駐車場の契約内容や解約手続の可否、事業リスク(多額の借入れや空室・金利上昇など)に対するAさん自身の許容度など。 ②FPであるあなた自身が調べて確認する情報:甲土地の登記事項証明書や公図等による権利関係および境界の確認、都市計画法・建築基準法や自治体条例等に基づく法令上の制限の確認、甲土地の現地状況やインフラ整備状況、周辺地域の賃貸住宅需要・競合状況・家賃相場およびリユース店舗の出店需要動向、提案各社(Y社・Z社)の信用力および提案内容(収支計画・サブリース条件・地代水準等)の妥当性など。
解説
不動産コンサルティングでは、2種類の情報を集めて分析することが適切な判断の前提になります。1つは、顧客の意向や属性などの主観的な情報です。これは面談で集めます。もう1つは、物件の権利関係・法令の制限・市場環境などの客観的な情報です。これは公的な資料や現地調査で集めます。
解き方
- Aさんとその家族(妻Bさん、長男Cさん)の意向・家計・個別の事情を整理します。そして、直接聞いて確認すべき項目を洗い出します。
- 甲土地の物的・法的な条件や周辺の市場動向、提案企業と計画内容の妥当性を調べます。そして、FP自身が確認すべき項目として整理します。
答えの内訳
- ①Aさんから直接聞いて確認する情報:・妻Bさんの公的年金受給見込み額、夫婦の健康状態、今後の生活費や医療・介護費の想定などのライフプラン ・長男Cさんの甲土地の将来の承継意向、および融資申込条件となっている連帯保証人就任に対する承諾の有無 ・現在の月極駐車場の賃貸借契約内容(中途解約条項、予告期間、立退きに伴うトラブルや違約金の有無など) ・Aさん自身の多額の借入れや事業経営リスクに対する受容度、管理運営方針に関する希望 ・他に保有する資産・負債の全体状況や、将来の相続に関する意向
- 相談者の意向や家族関係、家計状況を把握するためには、妻の年金見込みや長男の意向(連帯保証人の承諾や将来の土地承継意思)、既存駐車場利用者の解約条件、および借入リスクへの受容度を直接確認することが不可欠です。
- ②FPであるあなた自身が調べて確認する情報:・甲土地の登記事項証明書、公図、地積測量図等による所有権・抵当権等の権利関係および隣地境界の確認 ・都市計画法、建築基準法(道路幅員・接道義務等)、自治体条例による建築制限等の法令上の制限 ・甲土地の現況、地勢、接道状況、上下水道・都市ガス等のインフラ整備状況の現地確認 ・周辺地域における賃貸住宅の需給関係、競合アパートの稼働率・賃料相場、リユース店の集客性等の市場調査 ・Y社およびZ社の経営状況(信用力)、収支シミュレーションの妥当性、サブリース契約条件、事業用定期借地契約の条件の確認
- 客観的な事実関係を把握するため、不動産登記や接道等の公法規制の調査、現地調査、周辺の賃貸市場動向の確認、提案された事業計画の実現性や事業者の信用力の精査をFP自身が独自に行う必要があります。
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覚えるポイント
- 面談確認事項には家族の承諾(特に融資の連帯保証人)やライフプラン・リスク許容度を挙げる。
- FP調査事項には権利関係(登記等)、公法制限、現地インフラ、周辺市場需要、提案の妥当性を挙げる。
間違えやすいところ
- 連帯保証人になる長男Cさんの意向を確認し忘れやすいので、注意します。
- 今ある月極駐車場の解約手続きや立退きの条件を確認し忘れやすいです。
出題の前提:2025年度第2回ファイナンシャル・プランニング技能検定1級実技試験(資産相談業務)PartII設問1
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・10月5日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産の有効活用手法を決定する際の一般的検討事項
不動産 · 土地有効活用 / 事業性評価 / リスク管理 / 相続・権利関係
不動産の有効活用の方法を決定するために、一般的にどのような事項を検討すべきか説明しなさい。
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解答
不動産の有効活用の方法を決定するにあたっては、一般的に以下の事項を総合的に検討すべきである。 1. 収益性・事業採算性:投下資本に対する利回り、キャッシュフロー、将来の収支予測が適正であるか。 2. 安全性・各種リスク:空室リスク、家賃下落リスク、金利上昇リスク、借主等の信用リスクへの対応力。 3. 市場性・立地適合性:周辺の需要と供給のバランス、立地環境やターゲット層への適合性。 4. 実現可能性・資金調達力:初期投資額に対する自己資金および借入調達の可否、管理運営体制の構築難易度。 5. 相続・将来性・出口戦略:相続税評価減効果、将来の遺産分割のしやすさ、契約終了時の原状回復や更地返還の確実性。
解説
土地の有効活用の方針を決めるときは、5つの評価軸をバランスよく比べて検討するのが基本です。5つとは「収益性」「安全性」「市場性」「実現可能性(資金調達力・管理体制)」「将来性・相続性(出口戦略・節税効果)」です。
解き方
- 土地の有効活用で見るべき主な基準を、体系的に分けます。基準は収益性、安全性、市場性、実現可能性、柔軟性・将来性です。
- それぞれの項目について、具体的に検討する内容を書きます。たとえばキャッシュフロー、空室や金利のリスク、周辺の需要、借入の負担、相続税や承継への影響です。
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覚えるポイント
- 有効活用の検討軸は「収益性・安全性・市場性・実現可能性・将来性(相続対策・出口戦略)」の5大要素で整理する。
- 利回りだけでなく、借入リスクや管理負担、将来の更地返還・遺産分割まで含めた総合的視点を意識する。
間違えやすいところ
- 見た目の利回りや収入額の比較だけで終わらせないようにします。借入リスクや空室リスク、相続対策への影響も忘れずに書きます。
出題の前提:2025年度第2回ファイナンシャル・プランニング技能検定1級実技試験(資産相談業務)PartII設問2
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・10月5日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地有効活用提案(賃貸アパート建設 vs 事業用定期借地権)の比較検討
不動産 · 土地有効活用 / 事業用定期借地権 / 賃貸アパート経営 / リスク管理
甲土地(400㎡)の有効活用として提案されたY社の賃貸アパート建設案と、Z社の大手リユースショップによる事業用定期借地権案を比較し、Aさんの意向を踏まえてどちらの提案を勧めるべきか、その理由とともに述べなさい。
解答・解説を表示
解答
Z社案(事業用定期借地権)を推奨する。理由として、Aさんは多額の借入金を負う必要がなく資金面・返済面のリスクを回避できること、長男Cさんを連帯保証人に立てずに済み「将来長男に迷惑をかけたくない」という意向に沿うこと、固定資産税等控除後の年間収入約500万円が得られ退職前年収と同等以上の収入確保という目的を安全に達成できることが挙げられる。
解説
土地の有効活用手法を選ぶときは、収益性や節税効果だけで判断してはいけません。事業に出す資金や借入金の返済リスク、家族への影響(連帯保証債務など)も見ます。さらに、所有者のライフプランや希望する収入水準と合っているかも総合的に判断します。
解き方
- 設例からAさんの現状と意向を整理します。たとえば、退職前の年収を保ちたい、長男に迷惑をかけたくない、先祖代々の土地なので売れない、といった内容です。
- Y社案とZ社案のメリットとデメリットを比べます。Y社案はアパート建築で、多額の借入れ、長男の連帯保証人、空室・金利・修繕のリスクがあります。Z社案は定期借地で、自己資金や借入れが不要で、安定した収入が得られ、長男の負担もありません。この比較から、顧客の意向に最も合う案とおすすめの理由を導きます。
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覚えるポイント
- 事業用定期借地権は借入金が不要で安定した地代収入が得られ、期間満了時に更地返還されるためリスクが極めて低い手法です。
間違えやすいところ
- 相続税対策(貸家建付地の評価減など)だけに目を向けないようにします。顧客の「借入金リスクを避けたい」「長男に迷惑をかけたくない」という生活設計上の大切な希望を見落とさないように注意します。
出題の前提:2025年10月5日実施の1級ファイナンシャル・プランニング技能検定実技試験(資産相談業務・PartII)の設例に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・10月5日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地有効活用事案に関与する専門職業家
不動産 · 関連法規 / 専門職業家 / FP実務倫理
本設例の土地有効活用(事業用定期借地権設定または賃貸アパート建築等)に関与する主な専門職業家と、その具体的な役割・連携内容について述べなさい。
解答・解説を表示
解答
関与する主な専門職業家には、税理士(不動産所得・固定資産税・将来の相続税の試算および税務申告)、司法書士(事業用定期借地権設定登記、建物保存・抵当権設定等の登記手続)、土地家屋調査士(甲土地の境界確定測量や現況確認)、公証人(事業用定期借地権設定のための公正証書作成)、弁護士(契約書の法的精査や権利関係の調整)、宅地建物取引業者(定期借地権設定契約や賃貸管理の仲介・サポート)などがいる。
解説
FPは顧客の課題解決に向けて、幅広い助言を行います。ただし、各士業の法律(税理士法、司法書士法、弁護士法など)で認められている独占業務を侵害してはいけません。そこで、適切な専門職業家と連携して業務を進めるネットワークが求められます。
解き方
- 甲土地の有効活用事業で発生する実務の流れを洗い出します。たとえば、契約の締結、測量、登記、税務、公正証書の作成などです。
- それぞれの実務に対応する独占業務を持つ専門職業家を挙げます。たとえば、税理士、司法書士、土地家屋調査士、公証人などです。
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覚えるポイント
- 事業用定期借地権の設定には「公正証書」による契約が必須要件であるため、公証人への言及が極めて重要です。
間違えやすいところ
- 専門職業家の名前を並べるだけで終わらせないようにします。それぞれの専門職業家がこの事例で具体的にどんな役割を果たすのかを、意識して答える必要があります。
出題の前提:2025年10月5日実施の1級ファイナンシャル・プランニング技能検定実技試験(資産相談業務・PartII)の設例に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・10月5日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2025年9月 1級 実技(資産相談業務・10月5日 PartI PartII・PartII)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2025年9月 1級 実技(資産相談業務・10月5日 PartI PartII・PartII)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

