日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartII)の概要
顧客への最適な助言に必要な情報の収集・確認事項
不動産・相続・事業承継 · 顧客からのヒアリング事項 / 専門家による客観的調査情報
設例に基づき、FPがAさんに対して最適なアドバイスを実施するにあたり、設例に示された情報のほかに必要となる情報を「①Aさんから直接聞いて確認する情報」および「②FPであるあなた自身が調べて確認する情報」に整理して答えなさい。
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解答
①Aさんおよび家族の意向(資産承継・生前贈与・将来の生活費や介護への考え方、他の親族の意向など)、②保有資産の詳細な権利関係・法令制限・市場価値(登記簿謄本、固定資産税評価証明書、賃貸マンションの稼働状況や修繕履歴、丙土地の状況等)。
解説
相談で足りない情報は、「お客さまから直接聞く情報」と「自分で調べて分かる情報」の両方から集めます。家族の希望や気持ちは、資料を見ただけでは分かりません。登記簿謄本や法令の規制などは、公的な書類で確かめられます。だから、両方の方向から整理して集めることが大切です。
解き方
- 設例にすでに書かれている情報(家族構成、資産の内訳、おおよその年収と支出)を確認します。
- Aさんの気持ちや家族の話し合いの状況など、本人から直接聞くべき情報を選び出します。
- 不動産の権利関係や法令の制限、収益性や修繕の履歴など、公的な書類や現地調査で確かめるべき情報を書き出します。
答えの内訳
- ①Aさんから直接聞いて確認する情報:・Aさん夫妻の今後の生活設計、想定される生活費や医療・介護資金に関する希望 ・長男Cさんや他の親族(孫Dさん・孫Eさん)に対する資産承継や生前贈与に関する意向 ・賃貸マンションの今後の管理・維持・承継方針(誰に引き継がせたいか等) ・過去の贈与歴の有無(暦年課税や相続時精算課税制度適用の有無) ・長男Cさんの資産・負債および家計収支の詳細
- 相談者の意向や親族間の関係性、過去の贈与実績など、客観的な資料からは読み取れない当事者の心情や内部情報を直接ヒアリングして確認することが、将来のトラブル防止や的確なプランニングのために不可欠です。
- ②FPであるあなた自身が調べて確認する情報:・各不動産(甲・乙・丙土地建物)の登記事項証明書による権利関係、公図、実測図、地積等の確認 ・各不動産の法令上の制限(都市計画区域の内外、建ぺい率・容積率、接道状況、用途地域等) ・各不動産の固定資産税課税台帳(固定資産税評価証明書)、路線価等の公的価格 ・賃貸マンションの入居・稼働状況、賃貸借契約内容、家賃滞納の有無、過去の修繕履歴および今後の大規模修繕計画 ・丙土地の現況、周辺相場、境界確定状況、相続土地国庫帰属制度の利用可否
- 公的機関の帳票や現地調査を通じて不動産の正確な権利関係や法的規制、収益状況や維持費用を客観的に把握し、提案の実現可能性や税務上の評価額を正しく検証する必要があります。
覚えるポイント
- 顧客からの聴取事項には「将来の生活・介護への希望」と「家族・相続に対する意向」を盛り込むこと。
- 調査事項には不動産の「権利関係(登記簿)」「公法上の規制」「固定資産税評価額・路線価」「収益性・修繕履歴」を網羅すること。
間違えやすいところ
- 設例にすでに書いてあること(純収益額や評価額など)を、そのまま必要な情報として答えてしまう間違いです。
- 「お客さまに聞くこと」と「FP自身が調べること」を混同して答えてしまうことです。
出題の前提:2025年度第2回(2025年9月28日)金融財政事情研究会 1級FP実技試験(資産相談業務)PartII 設例
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
孫への学費支援方法の妥当性と代替案の検討
相続・事業承継 · 都度贈与の非課税 / 教育資金の一括贈与非課税制度 / 不動産の持分贈与に伴う税務上の留意点
設例に基づき、孫Eさんの学費支援としてAさんが考えている計画の妥当性について検討し、問題点がある場合はその理由を述べたうえで、代わりに提案すべき具体的な支援方法を答えなさい。
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解答
計画は妥当ではない。長男Cさんへの多額の現金贈与や不動産持分の贈与には高額な贈与税や不動産取得税等のコストがかかり、共有名義化による管理・処分の複雑化を招く。代替案として、扶養義務者相互間の都度贈与の非課税を活用して必要な学費をAさんが直接大学に支払う方法や、教育資金の一括贈与非課税信託の活用を提案する。
解説
祖父母から孫への学費や生活費の贈与は、毎回必要な分を直接渡せば非課税です。一方で、不動産を生前に贈与すると、高い贈与税や不動産取得税、登録免許税がかかります。また、共有名義になると管理が複雑になります。そのため、教育資金の支援方法としては向いていません。
解き方
- Aさんの計画(現金500万円と賃貸不動産の持分1/2の贈与)でかかる税金(贈与税、不動産取得税、登録免許税)と、共有にするリスクを分析し、妥当でないと判断します。
- 扶養義務者どうしの都度贈与は非課税になる決まり(学費を直接納める)を、代わりの案の第一として示します。
- まとまったお金を一度に用意する方法として「教育資金の一括贈与の非課税制度」の活用を示します。
覚えるポイント
- 祖父母から孫への学費支援は、祖父母が学校へ直接支払う「都度贈与」なら贈与税非課税であること。
- 不動産の持分贈与は共有名義化のトラブルを招き、贈与税や不動産取得税が課されるため避けるべきであること。
間違えやすいところ
- 長男を通して学費を渡すと、通常必要と認められる教育費の直接の支払いとみなされず、贈与税がかかることがある点を見落とすことです。
- 教育資金一括贈与信託(最大1,500万円)の利用だけにとらわれ、最も簡単で費用のかからない「都度贈与」の提案を忘れることです。
出題の前提:2025年度第2回(2025年9月28日)金融財政事情研究会 1級FP実技試験(資産相談業務)PartII 設例、相続税法第21条の3第1項第2号、租税特別措置法第70条の2の2
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不要な土地(負動産)の処分方針と民間引取サービスの留意点
不動産・相続対策 · 相続土地国庫帰属制度 / 不動産引取サービス / 土地の処分方法
設例において、Aさんは利用予定のない丙土地(更地の宅地)について、不動産引取サービスを行うX社に引取料100万円を支払って引き取ってもらう提案を検討している。丙土地をX社の提案により処分する前に確認すべき事項、およびX社の提案により処分する場合のアドバイスについて説明しなさい。
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解答
処分前に確認すべき事項として、隣接地所有者への売却・無償譲渡の打診や「相続土地国庫帰属制度」の適用可能性を検討する。X社の提案により処分する場合は、X社の会社実績や信用状況の精査、確実に所有権移転登記が行われる契約内容の確認、追加費用発生の有無や免責事項の確認などを助言する。
解説
使う予定がなく維持費がかかる土地(負動産)は、民間の有償引取サービスを使う前に、隣の土地の持ち主への打診や、公的な救済策(相続土地国庫帰属制度など)を考えます。業者に頼むときは、所有権の移転が正しく確実に終わるかの管理が大切です。
解き方
- 公的な手続きや隣の土地の持ち主への打診など、民間の有償引取以外の方法を考えます。
- 相続で取得した更地の宅地なので、「相続土地国庫帰属制度」の要件に当てはまるかを確かめます。
- X社の引取サービスを使うときの契約内容、登記の実行、会社の信用度などの注意点を整理します。
覚えるポイント
- 相続土地国庫帰属制度は相続または遺贈で取得した土地が対象となる点
- 不動産引取業者利用時は確実に所有権移転登記が行われるか確認する点
間違えやすいところ
- 自治体に寄附を断られたからといって、国庫帰属制度も使えないと決めつけることです。
- 引取業者に費用を払えば自動的に責任がなくなると思い込み、契約書をよく確かめないことです。
出題の前提:2025年度第2回FP1級実技試験(資産相談業務)PartII設問3
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事案に関与する専門職業家とその役割
FP倫理・専門職業家との連携 · 税理士法 / 司法書士法 / 弁護士法 / 土地家屋調査士法
本設例の相談(孫Eさんへの学費支援、将来の相続対策、不要な丙土地の処分など)において関与する専門職業家を挙げ、それぞれの具体的な役割について説明しなさい。
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解答
関与する専門職業家として、税理士(教育資金贈与等の税務相談・贈与税や将来の相続税申告)、司法書士(丙土地の所有権移転登記や国庫帰属申請書類作成支援)、弁護士(X社との引取契約書の法的主張・トラブル防止、遺言作成支援)、土地家屋調査士(丙土地の境界確認・測量)などが挙げられる。
解説
ファイナンシャル・プランナーはお客さまのライフプランや資産承継をまとめて提案しますが、ほかの士業の仕事をしてはいけません。税務は税理士、登記や法務局の手続きは司法書士、契約トラブルの防止や法的な紛争の予防は弁護士、土地の表示や境界の確定は土地家屋調査士と、その都度連携します。
解き方
- 事案に含まれる課題(学費の贈与や相続税対策、土地の登記や処分の契約、境界の確認など)を整理します。
- それぞれの課題を担当する独占業務を持つ専門家(税理士、司法書士、弁護士、土地家屋調査士など)を選び、その役割を書きます。
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覚えるポイント
- 具体的な税務判断や税務申告代理は税理士の独占業務である点
- 所有権移転登記や登記申請手続の代理は司法書士の独占業務である点
間違えやすいところ
- 士業の名前だけを並べて、具体的な仕事の内容や連携する理由を書かないことです。
- 宅地建物取引士や土地家屋調査士など、土地の取引や測量に関わる専門家を見落とすことです。
出題の前提:2025年度第2回FP1級実技試験(資産相談業務)PartII設問4
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartII)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartII)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

