日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月27日 PartI PartII・PartII)の概要
顧客ヒアリング項目およびFP調査項目
不動産 · 不動産取得相談 / 顧客ヒアリング / 現地調査・法令調査
設例において、乙-1土地の購入を検討しているAさんに対して最適なアドバイスをするために、示された情報のほかにどのような情報が必要か、「①Aさんから直接聞いて確認する情報」および「②FPであるあなた自身が調べて確認する情報」に整理して答えなさい。
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解答
①Aさんから直接聞いて確認する情報:乙-1土地の具体的な利用目的や維持管理計画、現在の家計状況・保有資産・住宅ローン残高、購入予算および手元資金の許容額、父親からの資金援助の意向、隣人(B〜Dさん)との関係性。 ②FP自身が調べて確認する情報:乙土地の登記事項証明書・公図・地積測量図・境界確定状況、土砂災害警戒区域・特別警戒区域の詳細な指定状況およびハザードマップ、県のがけ条例の具体的な規制内容、擁壁の安全性や修繕等の概算費用、固定資産税等の公租公課、周辺相場。
解説
FPは、顧客に直接聞く情報と自分で調べる情報の両方を整理して把握する必要があります。なぜなら、購入の判断には、顧客の意向や家計・資金状況と、登記・法令上の制限・現地の状況の両方が欠かせないからです。
解き方
- Aさんのライフプランや資金の余力、家族の意向、近所との関係を、顧客に聞く情報として分類して書き出します。
- 乙土地の権利関係や傾斜地・擁壁の安全性、土砂災害防止法やがけ条例などの法令上の規制、維持管理の費用を、自分で調べる情報として整理します。
答えの内訳
- ①Aさんから直接聞いて確認する情報:乙-1土地の具体的な利用用途(庭や菜園としての維持管理や整備にかける予算等)、Aさん世帯の収支状況・保有金融資産・住宅ローンの残債および返済状況、自己資金の投入可能額、父親との資金援助に関する合意内容や父親の意向・資産状況、隣棟の住民(特に購入を見送りたいBさんや意向を示しているC・Dさん)との関係性や協議状況を確認する。
- 相談者の希望する生活動線や将来設計、利用目的(庭・菜園・日照確保など)と購入費・造成費用のバランスを把握するため、家計状況や調達可能資金、家族関係および隣隣関係を直接確認する必要があります。
- ②FPであるあなた自身が調べて確認する情報:乙土地全体の登記事項証明書、公図、地積測量図、境界確定の有無等の権利関係、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域・特別警戒区域の具体的な境界線とハザードマップ、県のがけ条例に基づく制限内容、建築基準法等の法令上の制限、南側擁壁の現況および安全性・補修の要否や概算費用、乙土地取得後の固定資産税等の公租公課、周辺土地の取引相場を確認する。
- 傾斜地や擁壁、土砂災害警戒区域等のリスクを客観的に評価し、将来の維持管理コストや法的義務、売買契約の成立条件を精査するために、行政機関での法令調査・現地調査・公簿調査が不可欠となります。
覚えるポイント
- ヒアリング項目は「顧客の意向・利用目的・家計・資金」、FP調査項目は「登記・法令上の制限・現地現況・公租公課」と役割を明確に区分して整理する。
間違えやすいところ
- 顧客に聞くべき資金状況や家族関係を自分で調べる項目に入れたり、役所で調べる法規制や公図の確認を顧客への質問に入れてしまう間違いです。
出題の前提:2025年度第2回1級実技試験(資産相談業務)PartII設問1の出題条件に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月27日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土砂災害警戒区域の概要と利用規制
不動産 · 土砂災害警戒区域 / 土砂災害防止法 / 土砂災害特別警戒区域 / 重要事項説明
土砂災害防止法に基づく「土砂災害警戒区域」とはどのような区域であり、土地の使用や建築にあたってどのような規制があるか説明しなさい。
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解答
土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)は、急傾斜地の崩壊等が発生した場合に住民等の生命・身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域であり、市町村による警戒避難体制の整備が義務付けられている。土地使用や建築規制については、一般的な開発行為の制限や建物の構造規制等は課されないため原則として自由な利用・建築が可能であるが、宅地建物取引においては重要事項説明の対象となる。
解説
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)は、避難の体制を整えるための区域です。なぜなら、土砂災害が起きたときに住民の命や体に危険が及ぶおそれがある土地だからです。開発制限や建物の構造規制がある土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)とは区別されます。
解き方
- 土砂災害警戒区域とは、命や体に危険が及ぶおそれがあり、避難の体制を整える区域だと確認します。
- 土地の利用や建築の規制(開発行為や構造規制の有無、重要事項説明の義務など)を、特別警戒区域との違いをふまえて説明します。
覚えるポイント
- 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)は開発・建築構造の直接的規制なし(重要事項説明は必要)。土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)は特定開発の許可制や建築物構造規制、移転勧告等の厳しい規制あり。
間違えやすいところ
- 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)にも、建物の建築禁止や構造規制、許可制があると間違えることです。
出題の前提:土砂災害警戒避難等普及促進法(土砂災害防止法)および宅地建物取引業法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月27日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
隣地(傾斜地・土砂災害警戒区域)の購入判断と全員同時購入条件への対策
不動産 · 隣地購入のアドバイス / 土砂災害警戒区域・がけ条例 / 同時購入条件の解決策
甲-1土地の所有者Aさんは、南側に隣接する乙土地(地主Eさん所有・傾斜地・一部土砂災害警戒区域)の分割地である乙-1土地(売出価格320万円)の購入を検討している。地主Eさんは甲土地の所有者4軒(A〜Dさん)全員が同時に購入することを条件としているが、甲-2土地のBさんは資金繰りがつかず見送りたい意向を示している。Aさんが乙-1土地を購入することへのアドバイス、およびBさんの問題を解決して購入を実現するための方策を述べよ。
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解答
乙-1土地購入は日当たり・景観の恒久確保や庭・菜園利用等のメリットがある一方、傾斜地の維持管理負担や土砂災害警戒区域・がけ条例による建築制限・安全対策費用の発生という注意点があるためこれらを勘案して判断するよう助言する。Bさんの問題解決策としては、Bさんへの融資斡旋、Aさん・Cさん・Dさんによる乙-2土地の一時的な共同購入(または買戻し特約付での立て替え取得)、売主Eさんや仲介会社X社に対する乙-2土地の分筆除外や一時買い取りの条件交渉などが考えられる。
解説
隣接する傾斜地などを買うと、日照や通風、プライバシーの確保などの利点がある一方で、災害リスクやがけ条例による建築制限、擁壁などの維持管理の負担も負います。そのため、売主が設定した全員一括売却などの条件を満たすには、隣人間の調整や融資・一時立替などの資金方法を組み合わせて提案することが大切です。
解き方
- 乙-1土地を買う利点(住環境の確保、利用価値、割安な価格)と注意点(傾斜地の維持管理、がけ条例、土砂災害警戒区域の指定)を整理して、助言をまとめます。
- 地主Eさんの「4軒全員同時購入」という条件に対して、資金が用意できないBさんを助ける方法(融資のあっせん、他の隣人による一時取得・立て替え、売主との交渉)を考えて示します。
覚えるポイント
- がけ条例:傾斜度30度以上、高さ2m超の傾斜地付近では建築制限が課される場合がある
- 全員一括購入条件の解決策:融資斡旋、隣地所有者による立替・共同買取り、売主への条件緩和交渉
間違えやすいところ
- 価格が安いことや日照の確保だけに目を向け、がけ条例などの法規制や災害リスク、将来の擁壁補修などの費用を見落とすことです。
- Bさんが辞退したからといってすぐ購入をあきらめず、共同での買い取りや買戻し特約などの柔軟な方法を考えないことです。
出題の前提:2025年度第2回FP1級実技試験(資産相談業務)Part II 設例・質問3
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月27日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地売却に係る長期譲渡所得の課税および親子間資金提供の税務
タックスプランニング · 長期譲渡所得 / 相続時精算課税制度 / 住宅取得等資金の非課税制度の適用可否 / 親子間の金銭消費貸借
Aさんの父親が15年前に200万円で取得した丙土地(雑種地)を600万円で売却した場合の課税関係を説明せよ。また、売却代金を原資としてAさんが乙-1土地を購入するための資金提供を行う方法について税務上の留意点を踏まえて述べよ。
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解答
父親の丙土地売却は所有期間5年超の長期譲渡所得となり、譲渡所得(収入金額600万円-取得費200万円-譲渡費用)に対して所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%(合計20.315%)の申告分離課税となる。Aさんへの資金提供については、既存住宅取得後の敷地買い増しであるため「住宅取得等資金の非課税措置」は利用できず、過去に適用済みの「相続時精算課税制度」(年110万円の基礎控除後の残額を特別控除枠等で処理)による贈与、または適正な利息・返済条件を設定した金銭消費貸借契約による貸付けを行う。
解説
土地の譲渡所得は、所有期間が5年を超えると長期譲渡所得となり、20.315%の分離課税になります。親から子への資金提供では、住宅取得等資金の非課税は既存住宅の増地には原則として使えません。また、相続時精算課税制度を選ぶと、同じ贈与者からの贈与はその制度が続き、借入れにする場合はみなし贈与を避けるための契約管理が欠かせません。
解き方
- 丙土地の所有期間(15年保有)を確認し、長期譲渡所得にあたることと適用税率(所得税・復興特別所得税・住民税で計20.315%)を計算式とともに示します。
- 乙-1土地の購入資金について、「住宅取得等資金の非課税措置」は既存住宅の増地の購入には使えないと指摘します。
- すでに選んでいる「相続時精算課税制度」(令和6年改正の年110万円の基礎控除・特別控除枠の残額)か「親子間の金銭消費貸借」という資金提供の方法と、その実務上の注意点を示します。
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覚えるポイント
- 長期譲渡所得の税率:20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
- 住宅取得等資金の非課税:既存住宅取得後の単なる増地・隣地購入には適用不可
- 相続時精算課税:同一贈与者からの贈与は撤回不可。令和6年以降は年110万円の基礎控除が利用可能
間違えやすいところ
- 自宅の敷地を広げるだけでも「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」が使えると間違えることです。
- 父親からの過去の贈与で相続時精算課税を選んでいるのに、暦年課税に戻して110万円の非課税が使えると答えることです。
- 親子間の貸付けで、金銭消費貸借契約書や返済の実績が必要なことにふれず、みなし贈与のリスクを見落とすことです。
出題の前提:2025年度第2回FP1級実技試験(資産相談業務)Part II 設例・質問4
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月27日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事案に関与する専門職業家
不動産・相続 · 士業・専門家の役割 / 土地の分筆・登記 / 税務申告 / 不動産取引
設例において、Aさんが隣接する傾斜地(乙-1土地)の購入を検討し、その資金調達として実家の父親による所有地(丙土地)の売却や資金提供を予定している事案において、関与が想定される専門職業家およびその主な業務内容を説明しなさい。
解答・解説を表示
解答
土地家屋調査士(乙土地の測量・境界確定・分筆登記等)、司法書士(乙土地および丙土地の所有権移転登記等)、税理士(父親の譲渡所得やAさんへの贈与・資金提供に関する税務相談・確定申告書作成等)、宅地建物取引業者・宅地建物取引士(乙土地および丙土地の売買契約の媒介・重要事項説明等)、建築士(がけ条例や土砂災害防止法等に基づく擁壁や地盤の安全性調査等)
解説
不動産の分筆・売買や親族間の資金移動がある事案では、それぞれの分野を担う専門職業家(士業など)と連携して顧客を支援します。なぜなら、登記・税務・取引・建築は、それぞれ別の法令にもとづく専門家の仕事だからです。
解き方
- 乙土地の分筆・売買の手続きに必要な専門家(土地家屋調査士、司法書士、宅地建物取引業者)を挙げます。
- 父親の丙土地の売却や資金提供に伴う税務申告に必要な専門家(税理士)と、安全性の確認に必要な専門家(建築士など)を整理します。
覚えるポイント
- 不動産の分筆登記や現況測量は土地家屋調査士、権利に関する登記は司法書士の管轄です。
- 個別の税務相談や税務書類の作成は税理士の独占業務です。
間違えやすいところ
- 土地の分筆登記や境界確認を司法書士の仕事と間違えやすいですが、表示に関する登記や測量は土地家屋調査士の仕事です。
- FP自身が業法に反して、具体的な税務相談や登記手続きなどの独占業務を行ってはいけない点に注意が必要です。
出題の前提:2025年度第2回(2025年9月27日実施)FP技能検定1級実技試験(資産相談業務)PartII 設例
出典:金融財政事情研究会『2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月27日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月27日 PartI PartII・PartII)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2025年9月 1級 実技(資産相談業務・9月27日 PartI PartII・PartII)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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