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FP技能検定 · 学習ガイド

2025年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartI)の問題・解答解説

日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。

2025年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartI)の概要
30:00

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非上場会社(製造業)の事業承継と資産承継対策

事業承継・相続対策 · 事業承継税制 / 自社株式の評価引下げ・生前贈与 / 遺産分割対策 / FPの職業倫理

自動車部品製造業を営むX社の代表取締役社長Aさん(72歳)は、専務取締役である長男Cさん(47歳)への事業承継を検討している。AさんはX社株式(相続税評価額2億5,000万円)のすべてを保有しており、業績好調による株価上昇や贈与税負担を懸念している。また、X社本社土地(評価額1億1,000万円)のX社への売却も視野に入れている。資産面では、総資産5億1,000万円のうちX社株式の割合が大きく、妻Bさん(70歳)や住宅購入を検討中の長女Dさん(44歳)への財産配分の偏り(遺留分等)を心配している。Aさんの相続に係る相続税額は約1億3,500万円と試算されている。本設例における相談内容・問題点、解決策、優先提案と理由・留意点、およびFPの職業倫理について答えなさい。

解答・解説を表示

解答

相談内容・問題点として自社株等の移転コストと株価上昇リスク、遺産分割の不公平感(遺留分問題)、納税資金確保が挙げられる。解決策として法人版事業承継税制の特例措置の活用、自社株の計画的贈与、本社土地の自社への売却や役員退職金の支給による株価引き下げと資金化、遺言書作成、生命保険の活用、長女への住宅取得資金贈与が考えられる。優先提案としては特例承継計画の提出(事業承継税制特例の検討)と遺言作成等を提案する。FPは顧客利益の優先、守秘義務、説明責任、コンプライアンスを遵守して対応する。

解説

事業承継対策では、経営権の集中(後継者への自社株移転)と税負担の軽減、そして他の相続人との遺産分割の公平さを、同時に満たす必要があります。自社株を後継者だけに集めると、他の相続人との間で不公平が生まれ、遺留分をめぐる争いになりやすいからです。

解き方

  1. 設例の財務諸表と家族構成を見て、自社株の評価額や財産の分け方、納税資金の足りる・足りないなどを整理します。
  2. 事業承継税制や自社株の評価下げ、土地の法人への売却、遺言、非課税の贈与などの方法を比べ、優先する対策を決めます。

小問ごとの答え

小問 設例の顧客の相談内容および問題点として、どのようなことが考えられるか。:①後継者(長男Cさん)への円滑な事業承継と自社株移転に伴う贈与税・相続税負担の軽減、業績好調に伴う将来の株価上昇懸念。②総資産の半分近くをX社株式が占め、長男Cさんに株式を集中させることによる相続財産の偏りと遺留分侵害の懸念。③約1億3,500万円と見積もられる相続税に対する納税資金の確保。④本社土地のX社への売却時期・価格とそれに伴う所得税等の負担。⑤長女Dさんの住宅購入資金の援助方法。
Aさんの財産はX社株式2.5億円、本社土地1.1億円など事業関連資産が過半を占めており、長男Cさんへ集中承継させると他の相続人(妻Bさん、長女Dさん)との間で不公平が生じ、遺留分侵害額請求等の争族リスクが高くなります。また、好調な業績により株価がさらに上昇する前に早期の株式移転と納税資金確保が不可欠です。
小問 それらの相談内容および問題点を解決するために、どのような提案・方策が考えられるか。:①事業承継税制(法人版特例措置)の適用検討、または暦年課税・相続時精算課税を活用した計画的生前贈与。②役員退職金の支給や本社土地の売却に伴う一時的な株価引き下げ対策の検討。③本社土地のX社への売却によるAさんの手元資金(納税資金)の確保。④遺言書の作成および民法特例(除外合意・固定合意)の活用による遺産分割対策。⑤長女Dさんへの「住宅取得等資金の贈与税の非課税特例」の活用。⑥生命保険(一時払終身保険等)を活用した納税資金準備および代償分割資金の確保。
自社株承継については特例措置を活用することで贈与税・相続税の納税猶予が100%受けられます。また、本社土地をX社に売却することで、Aさんは譲渡代金として多額の現預金を得て納税資金を確保できる一方、X社は土地取得借入金の利息や減価償却費等の計上、または一時的な純資産圧縮により株価対策につなげることが可能です。
小問 それらの方策(解決策)のなかで、何を顧客に提案するか。その理由・留意点は何か。:【提案】法人版事業承継税制の特例承継計画の提出準備と、公正証書遺言の作成を提案する。 【理由】特例措置を活用すれば贈与税・相続税の納税猶予(全株・全額)が受けられ、株価上昇リスクを回避しつつ早期に経営権を移譲できる。また、株式や特定財産の承継先を明確にした遺言により、相続争いを未然に防げるため。 【留意点】特例措置の適用には都道府県知事への特例承継計画の提出期限(適用期限)や認定後の雇用確保要件・事業継続要件の維持が必要。遺言作成にあたっては長女Dさん等の遺留分に配慮し、生命保険金を活用した代償財産の確保や付言事項で親の想いを伝える必要がある。
事業承継税制の特例措置は承継時の税負担をゼロにできる強力な制度ですが、事後的な取消事由や認定取消時の猶予税額の一括納付などのリスクを十分理解する必要があります。また、長女Dさんへの配慮として住宅資金贈与や代償分割資金の用意を組み合わせることが円満な承継に直結します。
小問 FPと職業倫理について、どのようなことが考えられるか。:①顧客第一主義(顧客の意向と家族全体の円満な生活・会社の存続を最優先とする)。②守秘義務の遵守(経営情報や個人の資産・親族関係など高度なプライバシー情報の保護)。③インフォームド・コンセント(対策のメリットだけでなく、事業承継税制のリスクや取消要件等のデメリットも分かりやすく説明し、納得を得ること)。④法令遵守(コンプライアンスの徹底、税理士法・弁護士法に抵触しないよう専門家と連携すること)。⑤能力の啓発・自己研鑽(最新の税制改正や法規に精通すること)。
事業承継・資産承継のコンサルティングでは、高度な機密情報を取り扱うため守秘義務が極めて重要です。また、税務の個別具体的な相談や登記・契約書の作成等は税理士や弁護士・司法書士等の独占業務であるため、FPは提携士業と連携を取りながら支援する姿勢が求められます。

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覚えるポイント

  • 事業承継税制(法人版特例措置)は全株式対象で納税猶予割合100%。
  • 遺産分割では自社株集中の裏返しとして遺留分侵害額請求対策が必須となる。

間違えやすいところ

  • 事業承継税制を使えば必ず解決すると考え、認定が取り消される危険や定期報告の手間を忘れてしまうこと。
  • 自社株を長男に集めることばかりを優先し、後継者でない長女の遺留分や納税資金への配慮を欠くこと。

出題の前提:2025年度第1回FP1級実技試験(資産相談業務・2025年6月7日実施)PartⅠ設例

出典:金融財政事情研究会『2025年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartI)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)

2025年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartI)

参照した公式資料

金融財政事情研究会が公開した2025年6月 1級 実技(資産相談業務・6月7日 PartI PartII・PartI)の問題・解答資料です。

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