日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartII)の概要
顧客へのヒアリング情報およびFP自身が調査・確認すべき事項
不動産・FP実務 · 顧客ヒアリング / 不動産権利関係調査 / 物件現地調査・法規調査
設例において、Aさんに対して最適なアドバイスをするために、示された情報のほかに必要な情報について、①Aさんから直接聞いて確認する情報、および②FP自身が調べて確認する情報に整理して説明しなさい。
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解答
①Aさんから直接聞いて確認する情報:Aさん自身の資力・資金調達能力、甲土地の今後の保有・利用意向(自己利用、売却、共同事業等)、借地権買取り後の事業計画・予算、Cさんとの関係性やこれまでの交渉経緯など。 ②FP自身が調べて確認する情報:甲土地・甲建物の登記事項証明書および公図・地積測量図等の確認、現行の借地契約書の内容(更新料条項や特約の有無)、現地調査(隣地境界や越境、接道、利用状況)、役所調査(都市計画区分、建築制限、インフラ状況)、周辺の土地・借地権の取引事例・相場、等価交換等の可能性。
解説
不動産の権利調整や有効活用の相談では、集める情報を整理することが大切です。お客様の希望や資金力という主観的な情報と、登記や法令上の制限・市場相場という客観的な情報を、不足なくそろえる必要があるからです。
解き方
- 設例の前提条件(Aさんの状況、土地や建物、契約の内容など)を読み、足りない情報を見つけます。
- お客様に聞く事項(希望や財務の情報)と、FPが自分で調べる事項(客観的・法律の情報)に分けて整理します。
答えの内訳
- ①:Aさんから直接聞いて確認する情報:借地権買取りに必要な自己資金や借入等の資金調達力、借地権取得後の甲土地の具体的な利用・保有・売却の希望やライフプラン、Cさんとのこれまでの交渉経緯や意向、家族の意向等。
- 相談者の意向や財務体力を把握するため、借地権買い取りの予算や資金調達能力、完全所有権化後の土地活用方針(自己利用、賃貸マンション建築、更地売却など)を確認する必要があります。
- ②:FP自身が調べて確認する情報:甲土地・甲建物の登記事項証明書・公図等の権利関係、現行の賃貸借契約書の詳細、現地確認(現況・境界・越境・利用実態)、役所等での建築基準法・都市計画等の規制調査、周辺の借地権・底地・完全所有権の取引相場等。
- 客観的な事実確認として、公的記録に基づく権利関係や公法上の制限、インフラ状況、実勢価格水準を把握し、実現可能な選択肢を検討するために必要な調査です。
覚えるポイント
- FP実務相談では「顧客へのヒアリング事項」と「公的資料・現地等の調査事項」を明確に区分して回答する。
間違えやすいところ
- 設例にもう書かれている事項(固定資産税額や面積など)を、必要だと重ねて挙げてしまう間違いです。
出題の前提:2024年度第3回FP技能検定1級実技試験(資産相談業務・2025年2月16日 PartII)設問1
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種承諾の内容・承諾料の算定および承諾義務の有無
不動産・借地借家法 · 譲渡承諾 / 条件変更承諾 / 建替承諾 / 承諾料相場 / 裁判所の代諾許可
借地契約における譲渡承諾、条件変更承諾、建替承諾の内容、それぞれの承諾料の一般的な算定基準、ならびに地主(Aさん)にこれらを承諾する義務があるかについて説明しなさい。
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解答
譲渡承諾は借地権の第三者への譲渡を認めるもので、名義書換料(譲渡承諾料)は借地権価格の約10%が一般的。条件変更承諾は非堅固建物から堅固建物所有等への契約条件変更を認めるもので、更地価格(または借地権価格)の約10%が一般的。建替承諾は契約期間中の建替えを認めるもので、更地価格の約3〜5%が一般的。Aさんに承諾する義務はないが、Aさんが正当な理由なく拒否した場合、借地権者は裁判所に承諾に代わる許可(裁判所の代諾)を申し立てることができる。
解説
借地権の譲渡・条件変更・建替えには、原則として地主(賃貸人)の承諾が必要で、慣行として承諾料を支払います。地主には承諾する義務はありません。しかし、認められないときは借地権者が裁判所に承諾に代わる許可(代諾許可)を申し立てることができます。
解き方
- 譲渡承諾・条件変更承諾・建替承諾の意味と、一般的な承諾料の目安(借地権価格や更地価格に対する割合)を整理します。
- 地主に承諾する義務があるかどうか、また断られたときに借地権者が使える法的手続き(裁判所の代諾許可)を説明します。
覚えるポイント
- 譲渡承諾料(名義書換料)は借地権価格の約10%、条件変更承諾料は更地価格の約10%、建替承諾料は更地価格の約3〜5%が目安。
間違えやすいところ
- 地主に承諾する義務があると勘違いすること、または断られたら絶対に建替えや譲渡ができないと勘違いすることです。
出題の前提:2024年度第3回FP技能検定1級実技試験(資産相談業務・2025年2月16日 PartII)設問2
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
固定資産税・都市計画税の住宅用地特例(建替えによる税負担軽減)
不動産 · 住宅用地の課税標準の特例 / 固定資産税 / 都市計画税 / 併用住宅
設例において、不動産業者が話している「甲建物をマンションに建て替えたほうが甲土地に係る固定資産税・都市計画税が安くなる」理由について説明しなさい。
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解答
現況の甲建物は店舗併用住宅で居住用割合が約46.7%(1/4以上1/2未満)であるため、敷地面積の50%にしか住宅用地の特例が適用されていないが、専用住宅であるマンションに建て替えることで敷地全体(180㎡)が小規模住宅用地の特例対象(固定資産税1/6、都市計画税1/3)となり、税負担が軽減されるため。
解説
住宅用地の固定資産税・都市計画税には、小規模住宅用地(200㎡以下の部分。固定資産税は1/6、都市計画税は1/3)などの特例があります。店舗併用住宅では、居住用の割合が1/4以上1/2未満だと、敷地のうち住宅用地の特例が使える割合(住宅用地率)は50%までです。専用住宅(マンションなど)に建て替えると、敷地全体が住宅用地として特例の対象になります。
解き方
- 甲建物の今の居住用割合(70㎡÷150㎡≒46.7%)を計算し、併用住宅の住宅用地率が50%であることを確かめます。
- 賃貸マンション(専用住宅)に建て替えると、敷地全体(180㎡)が小規模住宅用地の特例の対象になり、固定資産税・都市計画税が軽くなる理由をまとめます。
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覚えるポイント
- 地上2階建て以下の併用住宅では、居住割合が1/4以上1/2未満の場合、住宅用地率は0.5(50%)となります。
間違えやすいところ
- 住宅用地なら敷地のすべてに特例が必ず使えると勘違いし、併用住宅では居住用の割合で特例の面積が限られることを見落とすことです。
出題の前提:地方税法における固定資産税・都市計画税の住宅用地に対する課税標準の特例および2024年度(2025年2月)試験時点の法令基準に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
借地権の買取りと価格算定に関する助言
不動産 · 借地権の買取り / 借地権価格 / 介入権 / 土地の有効活用
設例において、甲土地の借地権の買取りおよびその買取価格について、Aさんに対してどのようなアドバイスを行うべきか説明しなさい。
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解答
借地権には独立した財産価値があるため建物解体費用程度での買取りは非現実的であること、路線価や取引事例等を考慮した適正な対価での買取交渉を行うこと、買取り後の資金調達と完全所有権化による有効活用策を事前に検討することを助言する。
解説
借地権は借地借家法(旧借地法)に強く守られた財産権で、権利金をやり取りしていない場合や地代が安い場合でも、独立した経済的な価値があります。地主が借地権を買い取ると完全所有権になり、敷地の利用価値が大きく高まるからです。そのため、更地価格に借地権割合をかけて考えた適正な水準で買い取るのが一般的です。
解き方
- Aさんの「取壊し費用と同じくらいで買い取る」という考えに対し、借地権そのものの財産価値を説明し、現実的な交渉価格に直すよう促します。
- 路線価(借地権割合60%)などの目安をもとに適正な価格を検討し、買取り資金の集め方や買取り後の土地活用(売却や共同開発など)を総合的に助言します。
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覚えるポイント
- 借地権の買取りにあたっては、路線価の借地権割合を参考としつつ、当事者間の相対交渉で合意価格を形成します。
間違えやすいところ
- 昔に権利金を受け取っていないことや地代が安いことを理由に、借地権を無料または解体費くらいで取り戻せると勘違いすることです。
出題の前提:借地借家法(旧借地法)、民法および不動産鑑定評価・実務慣行に基づく出題条件に準拠します。
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
本事案に関与する専門職業家
不動産・相続 · 専門職業家の役割 / 士業の連携 / FPの業務範囲と倫理
設例のAさんからの相談事案において、問題解決のために連携・関与が求められる専門職業家(士業等)とその具体的な役割・業務内容について説明しなさい。
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解答
借地権の売買・権利調整・非訟事件の代理や相談を行う弁護士、適正な借地権価格・底地価格等の評価を行う不動産鑑定士、借地権取得や土地活用・譲渡に係る税務相談や申告を行う税理士、所有権移転や建物滅失等の登記手続きを行う司法書士、境界確定測量等を行う土地家屋調査士、有効活用等の仲介を行う宅地建物取引業者、建築プランを作成する一級建築士などが挙げられる。
解説
ファイナンシャル・プランナー(FP)は、お客様の人生設計を総合的に考えて提案します。しかし、弁護士法・税理士法・司法書士法などの士業の法律により、資格が必要な法律事務や税務相談・申告、登記申請を自分で直接行うことはできません。そのため、それぞれの分野の専門資格者(士業など)と連携し、専門家の知識を取り入れて支援することが大切です。
解き方
- 設例の課題(借地権の譲渡・買取り、価格の妥当性、税務への影響、将来の有効活用や登記手続など)を洗い出して整理します。
- 洗い出した課題ごとに、対応する専門家(弁護士、税理士、不動産鑑定士、司法書士、土地家屋調査士、宅建業者など)の独占業務と役割をはっきりさせます。
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覚えるポイント
- FP実務では士業の独占業務に留意し、適切な専門家とのネットワークによる協業が不可欠であること。
- 借地権価格等の客観的評価には不動産鑑定士、個別法的手続きには弁護士、登記には司法書士が対応すること。
間違えやすいところ
- 税理士や弁護士の資格を持たないFPが、具体的な税務相談や争いごとの法律代理を行ってしまうことです。
- 専門家の名前だけでなく、この事案でそれぞれがどんな役割を担うかという具体的な業務内容を挙げ忘れることです。
出題の前提:2024年度第3回FP技能検定1級実技試験(資産相談業務・2025年2月16日実施)Part II 設例・質問事項5
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartII)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartII)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

