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FP技能検定 · 学習ガイド

2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartI)の問題・解答解説

日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。

2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartI)の概要
30:00

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不動産オーナーの賃貸経営の改善および相続・事業承継対策

不動産・相続・事業承継 · インボイス制度 / 老朽化アパートの整理・活用 / 暦年贈与と定期金給付 / 生命保険の非課税枠と受取人選定 / FPの職業倫理

地方都市在住の不動産賃貸業を営むAさん(78歳、推定相続人は妻B・長男C・長女D)は、自宅兼賃貸マンション(8階建て・1階テナント)と郊外の老朽化賃貸アパートを所有している。総資産は約2億8,000万円、相続税見込額は約5,000万円である。現在、①店舗テナントからのインボイス発行要望への対応、②築55年で空室の多いアパートの処分・活用(更地化・青空駐車場等の検討)、③孫4人への毎年110万円の生前贈与における注意点(定期贈与認定の回避策)、④生命保険(死亡保険金1,500万円)の受取人を妻Bから変更する影響について悩んでいる。これらに関する問題点、解決策、優先提案およびFPの職業倫理について述べなさい。

解答・解説を表示

解答

顧客の課題(インボイス対応、老朽アパート整理、孫への暦年贈与の適正化、生命保険受取人の見直し、遺産分割・納税資金対策)を抽出し、適格請求書発行事業者の登録要否の検証、アパートの現状有姿売却等の検討、贈与契約書作成等の連年贈与手続きの徹底、死亡保険金受取人の子への変更と非課税枠活用を提案したうえで、守秘義務や顧客利益の優先等のFP倫理を遵守して各専門家と連携して支援する。

解説

不動産オーナーの資産承継では、次の3つを総合的に計画・実行することが大切です。1つ目は収益物件を適切に維持管理して事業を続けることです。2つ目は生前贈与や生命保険を使って相続税と納税資金に備えることです。3つ目は相続人の間で争いが起きないように遺産分割を決めておくことです。どれも法令を守って進める必要があります。

解き方

  1. 顧客の現在の資産、家族関係、賃貸経営の課題(テナント対応や老朽建物)、生前贈与や生命保険の状況を整理します。
  2. 税務上の特例(インボイス、小規模宅地等の特例、生命保険の非課税限度額)と法務(贈与の認定要件、遺産分割)を検討し、顧客にとって最も優先すべき実行策を導きます。

答えの内訳

設例の顧客の相談内容および問題点として、どのようなことが考えられるか。:①貸店舗テナントからインボイスを求められているが、免税事業者であるため対応方針が未定であること。②築55年の賃貸アパートが老朽化・空室化し、維持管理負担が増大しており方針(売却・駐車場化等)が決まっていないこと。③孫4人への生前贈与について、定期金給付契約(定期贈与)とみなされるリスクや正しい手続の不明点があること。④生命保険金の受取人を配偶者から子等に変更した場合の税負担や遺産分割・納税資金への影響が整理されていないこと。⑤将来の相続税負担(約5,000万円)や、同居する長女Dと別居の長男Cの間での遺産分割・争族対策が未整備であること。
相談内容から、直面する賃貸経営上の税務問題(インボイス制度)、老朽化資産の管理・処分問題、相続税対策としての生前贈与および生命保険の活用方法、そして将来の遺産分割対策と納税資金の確保が総合的な課題として抽出されます。
それらの相談内容および問題点を解決するために、どのような提案・方策が考えられるか。:①インボイス対応:適格請求書発行事業者の登録による消費税納税の影響と、免税事業者を維持して賃料減額等の交渉を行う場合の影響を比較検討する。②賃貸アパート対策:更地・青空駐車場にすると固定資産税の住宅用地特例や小規模宅地等の特例(貸付事業用)、貸家建付地評価減が失われるため、現状有姿での売却(2,000万円見込)や建替えを検討する。③贈与対策:毎年個別に贈与契約書を作成し、孫名義口座へ振込を行い、通帳・印鑑を親権者が適切に管理・使用することで独立した連年贈与であることを明確化する。④生命保険対策:妻Bは配偶者の税額軽減で税負担が生じにくいため、納税資金や代償交付金が必要となる長男Cや長女Dに受取人を変更し、死亡保険金の非課税枠(500万円×法定相続人3人=1,500万円)を有効活用する。⑤遺産分割・納税資金:自筆証書遺言(遺言書保管制度利用)や公正証書遺言の作成を促す。
各課題に対して、税制(消費税のインボイス制度、小規模宅地等の特例、生命保険の非課税枠、贈与事実の客観的証拠確保)および民法(遺産分割、遺言)の観点から複合的な解決策を提示する必要があります。
それらの方策(解決策)のなかで、何を顧客に提案するか。その理由・留意点は何か。:【提案】老朽化賃貸アパートの現状有姿での早期売却と、生命保険金受取人の子(長男C・長女D)への変更を優先提案する。 【理由】アパートは更地化・青空駐車場化すると住宅用地特例や貸付事業用宅地等の適用が外れて固定資産税・相続税負担が重くなり、維持管理負担も続くため、売却して現金化(納税資金化)する方が有利である。また、妻Bは配偶者控除があるため、受取人を子に変更することで非課税枠(1,500万円)を活かしつつ子の相続税納税資金を確保できるため。 【留意点】アパート売却時は立ち退き交渉の負担や譲渡所得税の発生に留意する。インボイスについてはテナントと十分協議し、2割特例の適用期間なども考慮して登録の有利不利を税理士と精査することに留意する。
老朽アパートを駐車場化することは税負担面で不利になるため現状有姿売却が合理的です。また生命保険受取人の変更は即効性があり納税資金対策として非常に有効であるため、優先度が高くなります。
FPと職業倫理について、どのようなことが考えられるか。:FPの職業倫理として、顧客の利益を最優先する「顧客第一主義」、相談内容や保有資産情報を外部に漏らさない「守秘義務の遵守」、対策のメリット・デメリットを十分に説明し顧客の納得を得る「インフォームド・コンセント」、法令を厳格に守る「コンプライアンスの徹底」が求められる。特に具体的な税務申告・税務相談は税理士法、立ち退き交渉や登記手続は弁護士法・司法書士法等の士業法に抵触しないよう、各専門家と緊密に連携しながら支援を進める必要がある。
FPとして顧客の意向を尊重しつつ、業法違反(税理士法、弁護士法等)に留意し、守秘義務やインフォームド・コンセントを徹底する姿勢が不可欠です。

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覚えるポイント

  • 生命保険の非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」であり、相続人が取得した保険金にのみ適用される。
  • 賃貸建物を更地にして青空駐車場にすると、貸付事業用宅地等の特例や貸家建付地評価減、住宅用地の固定資産税特例が喪失する。

間違えやすいところ

  • 配偶者は配偶者の税額軽減(1億6,000万円まで非課税)を使えるため、生命保険の受取人を配偶者にすると生命保険の非課税枠のメリットが薄れやすい点を見落としがちです。
  • 連年贈与を定期贈与とみなされないようにするには、最初から総額を分割して贈与する約束とみなされないよう、毎年個別に贈与契約書を交わす実態が必要です。

出題の前提:2024年度第3回FP1級実技試験(資産相談業務・2025年2月16日実施)設例に基づく出題条件および法令基準。

出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartI)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)

2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartI)

参照した公式資料

金融財政事情研究会が公開した2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月16日 PartI PartII・PartI)の問題・解答資料です。

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