日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月9日 PartI PartII・PartII)の概要
二世帯住宅建築および自宅売却に関する資金計画の必要情報
不動産・ライフプランニング · 二世帯住宅 / 資金計画 / FPの相談業務
二世帯住宅の建築を検討しているAさんに対して、最適な資金計画のアドバイスを行うために、追加で確認すべき情報を「①Aさんから直接聞いて確認する情報」および「②FP自身が調べて確認する情報」に整理して答えなさい。
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解答
①Aさんから直接確認する情報:Aさん夫妻および長男夫妻の自己資金・収入、新居の総予算・希望条件、建築資金の負担割合や住宅ローンの利用予定、将来の生活費分担、長女への配慮等。②FP自身が調べて確認する情報:甲土地建物の売却相場・査定価格、新居候補地の相場や法的規制、二世帯住宅の建築費相場、住宅ローン借入可能額や税制優遇、売却諸費用や譲渡所得税等の概算。
解説
二世帯住宅の資金計画では、親世帯と子世帯の両方の資力と希望をよく聞くことが大切です。そのうえで、不動産の相場や法律の制限、税制の特例をFP自身が調べ、収入と支出の計画を細かく作る必要があります。
解き方
- Aさんと同居する家族から、希望・自己資金・住宅ローンの返済力・将来の相続への配慮などを直接聞き出して整理します。
- 不動産の相場、建築の規制、金融機関の融資条件、使える税制の優遇などを、FP自身が調べて整理します。
答えの内訳
- ①:Aさん夫妻および長男夫妻の保有資産(預貯金等)や収入状況、新居の総予算・希望地域や間取り、建築資金の負担割合・住宅ローンの利用予定、生活費の分担方針、長女Cさんへの資産承継に関する配慮・意向、甲土地・甲建物の希望売却価格や時期。
- 最適な資金計画と将来のトラブル防止のため、親世帯・子世帯双方の自己資金や収入、資金拠出割合、住宅ローン返済計画、長女への不公平感を防ぐ相続対策の意向を直接ヒアリングする必要があります。
- ②:現在の自宅(甲土地・甲建物)の売却相場や不動産鑑定評価・査定額、新居の候補地における土地価格相場や都市計画法・建築基準法等の法的規制、二世帯住宅の建築坪単価・建築費目安、利用可能な住宅ローン商品や税制上の優遇措置、売却・新築にかかる諸費用の概算。
- 資金計画の実現可能性を検証するため、客観的な市場価格、売却手取額の試算、用途地域等の建築制限、建築費用の相場、贈与税等の税制優遇や住宅ローン審査基準などをFP自ら調査・確認する必要があります。
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覚えるポイント
- 二世帯住宅の資金計画では、親族間(長女等の他相続人を含む)のトラブルを防ぐため資金拠出割合と持分割合の一致に留意する。
間違えやすいところ
- 親世帯の希望や資産だけでなく、同居する子世帯の収入や住宅ローンの返済力、別に住む長女への配慮も忘れやすいです。
出題の前提:2024年度第3回FP1級実技試験(資産相談業務・2025年2月9日実施)Part II 設問1
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月9日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
過去の特例適用による取得費の引き継ぎおよび公租公課清算金の税務上の取扱い
不動産・タックスプランニング · 譲渡所得 / 居住用財産の買換え特例 / 3,000万円特別控除 / 固定資産税清算金
父Eさんが1986年に自宅の譲渡・買換え時に「居住用財産の買換え特例」または「3,000万円特別控除」の適用を受けていた場合の、Aさんが甲土地・甲建物を売却する際の取得費の計算方法、および売却時に受け取った公租・公課の清算金の譲渡所得上の取扱いを説明しなさい。
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解答
①買換え特例適用時:旧自宅の取得費等を引き継ぎ、買換資産の取得価額Z円のうち旧譲渡収入金額X円を超過する部分を加算して計算する。3,000万円特別控除適用時:取得費の引き継ぎ繰延べはないため、甲土地・建物の実際の取得価額Z円を基準として計算する。②公租公課清算金:売買代金の一部を構成するものとして、譲渡所得の総収入金額(譲渡価額)に算入する。
解説
居住用財産の買換え特例は、税金を後回しにする制度です。そのため、新しい資産の取得費は古い資産の取得費を受け継ぎます。一方、3,000万円特別控除は税額を計算するときの控除で、取得費には影響しません。固定資産税などの清算金は、売買代金の一部として譲渡所得の収入金額に含めます。
解き方
- 1986年の買換えのときに使った特例ごとに、取得費の引き継ぎ方や計算のルールを判断します。
- 不動産の売買で受け取る公租公課の日割り清算金について、税法上の扱いを確認し、譲渡収入に含めることを整理します。
答えの内訳
- ①:【居住用財産の買換え特例の適用を受けていた場合】:課税の繰延べが行われているため、旧自宅(N区)の取得費・譲渡費用を引き継ぎ、甲土地・甲建物の取得価額Z円から旧自宅の譲渡収入金額X円を控除した差額(Z-X)を加算して取得費を計算する(旧自宅の取得費が不明な場合は概算取得費等を基礎とする)。 【3,000万円特別控除の適用を受けていた場合】:課税繰延べは行われないため、甲土地・甲建物の実際の取得価額Z円(および取得費用の合計)が取得費となる(Aさんは相続によりこの取得費をそのまま引き継ぐ)。
- 買換え特例は譲渡所得の課税を将来へ繰り延べる制度であるため、買換資産の取得費は旧資産の取得費を基礎に引き継がれます。一方、3,000万円特別控除は所得控除制度であり取得費の引き継ぎ制限はないため、購入当時の実額が取得費となります。
- ②:公租・公課の負担の規定に基づき買主から受け取った清算金は、地方税法上の公租公課の納付ではなく実質的な売買対価の一部とされるため、譲渡所得の金額の計算上、譲渡収入金額(総収入金額)に算入して取り扱う。
- 固定資産税等の納税義務者は賦課期日現在の所有者(売主)であり、契約に基づき買主から授受される日割清算金は資産の譲渡対価そのものとみなされ、譲渡所得の収入金額を構成します。
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覚えるポイント
- 買主から受領した固定資産税・都市計画税の清算金は、譲渡所得の計算上「譲渡収入金額」に加算する。
間違えやすいところ
- 公租公課の清算金を譲渡費用から差し引いたり、非課税だと思ったりする間違いが多いです。
- 居住用財産の買換え特例と3,000万円特別控除で、取得費の引き継ぎ方の違いを間違えないように注意しましょう。
出題の前提:2024年度第3回FP1級実技試験(資産相談業務・2025年2月9日実施)Part II 設問2
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月9日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
二世帯住宅の登記方法と建築時・相続時の留意点
不動産 · 二世帯住宅 / 不動産登記 / 小規模宅地等の特例 / 贈与税
二世帯住宅を建築するにあたって選択できる主な登記方法を挙げ、建築時および将来Aさんの相続時における登記方法ごとの留意点について説明しなさい。
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解答
二世帯住宅の登記方法には「単独所有」「共有名義」「区分所有(区分登記)」がある。建築時は出資割合に応じた登記を行わないと贈与税の課税リスクが生じる。将来の相続時において、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例(特定居住用宅地等)を適用する際、共有登記等であれば同居親族として適用対象となり得るが、区分所有登記を行った場合は被相続人の居住部分以外の敷地に対応する部分は特例の適用対象外となる点に留意が必要である。
解説
二世帯住宅の登記には、単独所有・共有名義・区分所有の3つがあります。建てるお金を出した割合と持分の割合を合わせないと、贈与税がかかります。また、将来の相続で小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を敷地全体に使うには、区分所有登記を避けて共有登記などを選ぶことがとても大切です。
解き方
- 二世帯住宅で選べる3つの登記方法(単独登記・共有登記・区分登記)を挙げます。
- 建築時は、お金を出した割合と登記の持分を一致させて贈与税を防ぐことや、住宅ローン控除の注意点を整理します。
- 将来の相続では、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用条件と、区分所有登記にしたときの不利な点(別々の家屋とされ、同居親族の条件から外れる点)を説明します。
覚えるポイント
- 二世帯住宅で区分所有登記をすると、小規模宅地等の特例において長男居住部分の敷地が対象外となる。
- 建築資金の出資割合と所有権持分割合が不一致の場合は贈与税が課税される。
間違えやすいところ
- 内部の階段がない完全分離型の二世帯住宅でも、区分所有登記をしていなければ小規模宅地等の特例を全体に使えることを忘れがちです。
- 住宅ローン控除の適用が、共有名義と区分所有でどう違うかを混同しないようにしましょう。
出題の前提:2024年度(2025年2月実施)金融財政事情研究会 1級ファイナンシャル・プランニング技能検定 実技試験(資産相談業務)Part II 設例・質問3
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月9日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
本事案に関与する専門職業家
関連法規 · 専門職業家 / 税理士法 / 司法書士法 / 宅地建物取引業法 / FP倫理
自宅(甲土地・甲建物)の売却、新たな土地の購入、二世帯住宅の建築計画および将来の相続対策に関与する主な専門職業家を挙げ、その役割について説明しなさい。
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解答
関与する主な専門職業家には、税理士(譲渡所得の申告、贈与税や将来の相続税の具体的試算・相談)、宅地建物取引士(自宅の売却および新土地購入に伴う売買契約締結・媒介業務)、司法書士(土地・建物の所有権移転登記や所有権保存登記、抵当権設定登記等の申請代行)、土地家屋調査士(境界確定測量、分筆・合筆登記や建物の表題登記申請代行)、建築士(二世帯住宅の設計・建築確認申請・工事監理)などが挙げられる。
解説
FPは、お客様のライフプランや不動産の活用計画全体をまとめる役割を担います。ただし、法律で資格者だけができると決められた独占業務(税務代理・具体的な税務相談、登記申請の代理、売買の仲介・重要事項説明など)は、それぞれの資格を持つ専門家と連携し、任せて進める必要があります。
解き方
- 自宅の売却、新しい土地の取得、二世帯住宅の新築、資金調達、将来の相続から出てくる実務の手続きを洗い出します。
- それぞれの手続きに対応する専門資格(税理士、宅地建物取引士、司法書士、土地家屋調査士、建築士など)を整理し、役割をはっきり書きます。
覚えるポイント
- 税理士法、司法書士法、弁護士法、宅地建物取引業法等の各種法令による独占業務の範囲を把握する。
- 不動産の取得・建築では司法書士(権利関係の登記)と土地家屋調査士(表題登記・境界測量)の役割分担に注意する。
間違えやすいところ
- 登記の申請で、表示に関する登記(表題登記)を司法書士の仕事だと間違えやすいです(表題登記は土地家屋調査士、権利に関する登記は司法書士)。
- お金をもらわなくても、具体的な税額の計算や申告書の作成は税理士法に触れるため、FP自身はできない点に注意しましょう。
出題の前提:2024年度(2025年2月実施)金融財政事情研究会 1級ファイナンシャル・プランニング技能検定 実技試験(資産相談業務)Part II 設例・質問4
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月9日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月9日 PartI PartII・PartII)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月9日 PartI PartII・PartII)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

