日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月8日 PartI PartII・PartII)の概要
顧客への提案に必要な情報の収集・確認事項
不動産・相続設計 · ヒアリング項目 / 調査・確認事項 / 土地区画整理事業
Aさんに対して最適なアドバイスを行うにあたり、設例に示された情報のほかに収集・確認すべき情報について、①Aさんから直接ヒアリングして確認する情報、および②FP自身が調査・確認する情報の2点に整理して説明しなさい。
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解答
①Aさん等への直接確認事項:父Bさんの健康状態・意思能力・資産状況、長男Dさんの住宅購入計画や自己資金・住宅ローン借入予定、家族全体の相続に対する意向や将来の遺産分割方針。 ②FP自身が調べる事項:土地区画整理事業の進捗状況や仮換地分割・売買制限、従前地および周辺相場の取引事例、贈与税・譲渡所得税等の税負担シミュレーション。
解説
よい提案の土台は、お客様とその家族の本当の希望や財産の状態を直接聞き取ることと、法律・事業計画・適正な価格・税の負担を客観的かつ専門的に調べることです。家族の希望や財産の状況は、本人に直接聞かないと正確には分かりません。また、法律や税金の決まりは、専門的な資料で確認する必要があります。
解き方
- 設例に出てくる人(Aさん、父Bさん、長男Dさん、弟Cさんなど)について、直接聞くべき希望・資金計画・家族関係を整理します。
- 仮換地(土地区画整理事業の区域の中で、工事の間だけ使える土地)という特別な点を考え、施行者への法令上の手続きや、市場の相場・税の負担について、自分で調べる項目を洗い出します。
答えの内訳
- ①Aさんから直接聞いて確認する情報:父Bさんや母の健康状態・意思能力および保有財産・生活費の状況、父Bさんの生前贈与や相続に関する真意、長男Dさんの住宅買換え計画の詳細(物件価格、資金計画、契約・引渡し時期)、家族(母、弟Cさん、長女Eさん等)の将来の相続に対する意向や希望。
- 父Bさんが高齢(88歳)であるため契約締結能力の有無や相続税対策の必要性を把握するとともに、長男Dさんの必要資金額や住宅取得時期、将来の遺産分割トラブル防止に向けた親族間の合意状況を確認する必要があります。
- ②FPであるあなた自身が調べて確認する情報:甲土地が属する土地区画整理事業の施行規則・規約、仮換地の分割基準・指定変更手続および権利変動届出の手順、従前地等の登記関係(権利関係)、現時点の時価水準(周辺取引事例・建売業者の相場)と造成完了後の見込み価格、贈与・売却に伴う税額の試算。
- 土地区画整理法における仮換地の分割や権利移転手続、施行者への届出要件を把握するとともに、坪50万円という売却提案価格が適正か、また造成完了まで保有した場合との経済的合理性や税負担の違いを客観的データに基づき精査する必要があります。
覚えるポイント
- ヒアリング事項(主観的・家族の意向等)と客観的調査事項(公的規制・相場・税制等)を明確に区分して整理すること。
間違えやすいところ
- 設例にすでに書かれていること(面積や路線価など)をそのまま答えてしまい、まだ確認していない追加の情報を挙げられないこと。
出題の前提:2024年度第3回FP1級実技試験(資産相談業務)PartII設例に基づく出題条件
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月8日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地区画整理事業における仮換地の分割売買手続
不動産 · 土地区画整理法 / 仮換地 / 従前地分筆 / 権利変動の届出
土地区画整理事業の施工地区内にある仮換地(甲土地)の一部を分割して売買する場合における法令上および実務上の手続について説明しなさい。
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解答
仮換地そのものは登記簿が存在しないため、まず従前地について分筆登記を行い、土地区画整理事業の施行者に対して仮換地分割(指定変更等)の申請を行い、施行者による分割後の仮換地指定を受けた上で売買契約および従前地の所有権移転登記を行い、施行者へ権利変動の届出を提出する。
解説
仮換地には独立した登記記録がないので、分筆や所有権移転の登記は従前地(もとの土地)に対して行います。いっぽう、仮換地の指定や権利の変動の手続きは施行者(事業を行う人)に進めます。登記と事業の手続きで相手が違う点が大切です。
解き方
- 仮換地の売買のしくみ(登記は従前地、利用できる権利は仮換地)を理解し、売る面積に対応する従前地の分筆手続きを整理します。
- 事業を行う人への仮換地の分割の申請・話し合い、指定の変更、売買のあとの権利移転の登記、権利が動いたことの届け出という流れを、順番にまとめます。
覚えるポイント
- 仮換地そのものを登記分筆することはできず、必ず従前地を分筆して権利移転登記を行う点。
間違えやすいところ
- 仮換地そのものについて、法務局で分筆の登記ができると間違えること。
出題の前提:土地区画整理法および不動産登記法
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月8日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
仮換地の譲渡・住宅取得等資金の贈与および資産承継プランの検討
不動産・タックスプランニング・相続・事業承継 · 仮換地の譲渡所得税 / 住宅取得等資金の贈与税の非課税 / 相続時精算課税制度 / 生前贈与の実行手順
Aさんが父Bさんから甲土地の生前贈与を受けてX社へ売却し、長男Dさんへ住宅資金を贈与する計画について、以下の点に答えてください。 ①Aさんが甲土地を取得してX社に譲渡する場合の課税関係 ②Aさんが長男Dさんに現金4,100万円を贈与する場合に適用を検討すべき贈与税の課税制度 ③甲土地の贈与に関する留意点および代替となる提案プラン
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解答
①BさんからAさんへの取得時に贈与税が課税され、AさんからX社への売却時にはBさんの取得時期・取得費を引き継ぐ長期譲渡所得として譲渡所得税・住民税が課税される。②「住宅取得等資金の贈与税の非課税特例」(省エネ等住宅最大1,000万円)と「相続時精算課税制度」(特別控除2,500万円・基礎控除110万円)または「暦年課税」の併用をアドバイスする。③Aさんを経由すると贈与税と譲渡所得税が二重に発生するため、父Bさんが直接土地を売却して孫Dさんに直接資金贈与するプランや、事業完了後の価値上昇を待つプラン、必要最小限の区画のみ売却するプラン等を提案する。
解説
不動産や現金を生前に贈与するときは、渡し方によって贈与税と譲渡所得税が二重にかかることがあります。贈与のルートを短くすると、税の負担を減らせます。直系尊属(父母や祖父母)からの住宅取得等資金の非課税の特例は、祖父母から孫への直接の贈与にも使えます。土地区画整理で将来価値が上がることも考え、総合的に税の計画を立てます。
解き方
- 甲土地の贈与と譲渡について、取得費の引き継ぎと、それぞれの段階でかかる税(贈与税・長期譲渡所得税)を整理します。
- 長男Dさんの住宅の要件(省エネ等住宅)をもとに、住宅資金贈与の非課税の特例と相続時精算課税を組み合わせた効果を計算します。
- Aさんを通すルートで税の負担が無駄になることや、仮換地の将来の価値を指摘し、祖父からの直接の贈与や、売る時期・売る単位の見直しを検討します。
答えの内訳
- ①Aさんが、甲土地を取得して、X社に譲渡する場合の課税関係を教えてください。:父BさんからAさんへの取得時に贈与税(暦年課税または相続時精算課税)が課税され、X社への売却時には譲渡所得税および住民税が課税されます。譲渡所得の計算上、父Bさんの取得日および取得費を引き継ぎ、所有期間5年超の長期譲渡所得(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%の計20.315%)として分離課税されます。
- 生前贈与によって取得した土地を売却する場合、贈与時には受贈者に贈与税が課され、その後の売却時には被相続人(贈与者)の取得費・取得時期を引き継いで譲渡所得が計算されるため、税金が二重に生じる点に注意が必要です。
- ②Aさんが、長男Dさんに現金4,100万円を贈与する場合、どのような贈与税の課税制度の適用を受けることをアドバイスしますか。:「住宅取得等資金の贈与税の非課税特例」(省エネ等住宅の新築・取得等のため最大1,000万円非課税)の適用をアドバイスします。残額については、「相続時精算課税制度」(特別控除限度額2,500万円および年110万円の基礎控除)を選択することで、合計3,610万円まで非課税で贈与でき、残る約490万円に対して一律20%の贈与税課税に抑える方法を提案します。
- 長男Dさんの新居は省エネ等住宅に該当するため、住宅取得等資金の非課税特例を優先適用し、控除しきれない部分に相続時精算課税制度を併用することで、当面の贈与税負担を大幅に軽減できます。
- ③甲土地の贈与についてアドバイスしておきたいことはありますか。また、ほかにどのようなプランがあると思いますか。:Aさんを経由して売却・贈与を行うと「B→Aへの贈与税」「Aの譲渡所得税」「A→Dへの贈与税」と二重三重の税負担が生じる非効率性があります。また、甲土地は工事完了後に大幅な地価上昇が見込まれるため、坪50万円での売却は割安で不利な可能性があります。代替案として、①父Bさん(祖父)が直接甲土地(または必要最小限の1区画)を売却し、孫Dさんへ直接住宅資金を贈与するプラン(直系尊属からの贈与特例を活用)、②事業完了による資産価値向上を待ってから高値で売却するプランなどを提案します。
- 祖父から孫への住宅取得等資金贈与も特例の対象となるため、父Bさんが直接売却して資金贈与すればAさんの贈与税・譲渡所得税を完全に回避できます。また区画整理完了後の高い推定価格を考慮した売却時期の判断も重要です。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 直系尊属からの住宅取得等資金の贈与特例は父母だけでなく祖父母からの贈与にも適用可能である。
- 贈与により取得した資産の譲渡所得計算では、前所有者の取得日および取得費を引き継ぐ。
間違えやすいところ
- 住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例は親からしか受けられないと間違えて、祖父からの直接の贈与という選択肢を見落とすこと。
- 仮換地の指定中に安易に今のまま売ってしまい、事業が終わったあとの地価の上昇という利益を失う危険を考えないこと。
出題の前提:2024年度第3回FP1級実技試験(資産相談業務)PartII 設例
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月8日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事案に関与する専門職業家の役割と連携
不動産・相続・事業承継・コンプライアンス · 士業連携 / 土地家屋調査士 / 司法書士 / 税理士 / 宅地建物取引士
仮換地の分筆・売却、生前贈与、税務申告等の手続きを円滑に進めるにあたり、本事案に関与する専門職業家およびその具体的な職務内容を説明してください。
解答・解説を表示
解答
土地家屋調査士(仮換地等の境界確定・分筆・測量・表示に関する登記)、司法書士(所有権移転等の権利に関する登記)、税理士(譲渡所得税・贈与税等の税額計算・確定申告書作成)、宅地建物取引士(土地の売買契約締結・重要事項説明等の媒介業務)が関与する。
解説
ファイナンシャル・プランナーは、自分の業務の範囲を守り、他の士業の独占業務に触れないように気をつける必要があります。そのうえで、お客様の課題を解決するために、必要な専門家(土地家屋調査士、司法書士、税理士、宅地建物取引士など)と上手に連携する役割を担います。
解き方
- 不動産の分割・測量・登記・売買・税務申告に必要な手続きを洗い出します。
- それぞれの手続きに対応する専門家(土地家屋調査士、司法書士、税理士、宅建士)を具体的に上げ、役割を整理します。
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覚えるポイント
- 土地家屋調査士は表示に関する登記・測量、司法書士は権利に関する登記をそれぞれ担当する。
- 税務書類の作成や個別具体的な税額計算は税理士の独占業務である。
間違えやすいところ
- 土地の分筆や測量の仕事を、司法書士の仕事と混同すること。
- 宅地建物取引士による仲介や契約手続きの観点を挙げ忘れること。
出題の前提:2024年度第3回FP1級実技試験(資産相談業務)PartII 設例
出典:金融財政事情研究会『2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月8日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月8日 PartI PartII・PartII)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2025年2月 1級 実技(資産相談業務・2月8日 PartI PartII・PartII)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

