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FP技能検定 · 学習ガイド

2024年9月 1級 実技(資産相談業務・9月29日 PartI PartII・PartI)の問題・解答解説

日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。

2024年9月 1級 実技(資産相談業務・9月29日 PartI PartII・PartI)の概要
30:00

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医療法人の事業承継と認定医療法人制度および相続・贈与対策

資産相談業務(事業承継・相続) · 出資持分のある医療法人の事業承継 / 認定医療法人制度 / 遺留分に関する民法の特例(経営承継円滑化法) / 小規模宅地等の減額特例(二世帯住宅・貸付事業用等) / ジュニアNISA終了後の取扱いと生前贈与対策

社団医療法人Xクリニックの理事長であるAさん(70歳)は、長男Cさん(35歳・内科医)への医業承継を予定しており、2024年4月に認定医療法人の認定を受けたが、出資持分の放棄は未了である。長男Cへの関連資産承継と長女Dへの相応の資産承継、出資持分の放棄前相続における遺留分対策(経営承継円滑化法の適用の可否)、自宅の二世帯住宅への建替え、孫4人に対するジュニアNISA終了後の非課税保有や贈与税改正を踏まえた生前贈与について検討している。本設例における相談内容・問題点、解決策、優先提案と留意点、およびFPの職業倫理について述べなさい。

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解答

認定医療法人制度の移行計画に基づく計画的な持分放棄の実行、医療法人は経営承継円滑化法の遺留分特例の対象外であることの確認と遺言・代償分割等による遺留分対策、二世帯住宅建替えによる小規模宅地等の特例適用要件の充足、ジュニアNISA口座資産の18歳以降の特定口座等への移行や教育資金の一括贈与等の活用、および関連専門家(弁護士・税理士・医務行政書士等)との協働による支援。

解説

出資持分のある社団医療法人では、持分の評価額が高くなりやすく、事業承継のときに税金の負担が重くなります。ためたお金(内部留保)が多いほど出資持分の価値が上がるからです。認定医療法人制度を使って持分なし医療法人に移行し、持分を放棄すると、贈与税と相続税の納税猶予・免除を受けられます。ただし、経営承継円滑化法の遺留分の民法特例は医療法人の出資持分には使えません。そのため、公正証書遺言や代償財産の準備で遺留分の対策を別に考える必要があります。

解き方

  1. 設例の家族関係、資産構成(出資持分・クリニック不動産・自宅・金融資産)、および医療法人の経営・承継状況を整理する。
  2. 認定医療法人制度の要件(移行計画に基づく持分放棄手続きや社員総会の運営)を確認し、相続税負担を低減する方針を策定する。
  3. 経営承継円滑化法の適用除外を踏まえ、長女Dの遺留分を侵害しない遺産分割案(遺言、生命保険、代償分割)を検討する。
  4. 自宅二世帯住宅化による小規模宅地等の特例要件、およびジュニアNISA終了と税制改正(生前贈与加算期間の延長)を踏まえた孫への生前贈与手法を整理・提案する。

答えの内訳

設例の顧客の相談内容および問題点として、どのようなことが考えられるか。:①認定医療法人制度における出資持分放棄の実行時期と猶予税額の免除要件、②出資持分放棄前の相続発生時における長女Dの遺留分侵害リスクおよび医療法人が経営承継円滑化法の遺留分特例の対象外であることへの対応、③自宅建替えに伴う二世帯住宅での小規模宅地等の特例適用の可否、④ジュニアNISA終了に伴う非課税保有期間(18歳到達まで自動継続保有)の確認と贈与税の生前贈与加算期間延長(3年から7年)を踏まえた贈与方法の再検討。
出資持分のある医療法人は多額の純資産が蓄積し評価額が高騰しやすく、相続税負担や遺留分侵害額請求の原因となります。また、中小企業経営承継円滑化法における遺留分の民法特例(除外合意・固定合意)は株式会社等の会社が対象であり、医療法人は対象外であるため別の遺留分対策が必要です。
それらの相談内容および問題点を解決するために、どのような提案・方策が考えられるか。:①認定医療法人制度に基づき計画期間内に出資持分の完全放棄を実施し、持分なし医療法人へ移行して相続税・贈与税の納税猶予から免除へ進める。②長女Dの遺留分対策として、遺言書の作成、生命保険を活用した代償資金の準備、現預金や有価証券の長女への相続配分を検討する。③自宅の二世帯住宅への建替えでは、区分所有登記を避け単独登記または共有登記とし、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等:330㎡まで80%減額)の適用要件を満たす設計を行う。④ジュニアNISAは18歳まで非課税で継続保有できる旨を伝え、今後の孫への生前贈与は暦年課税(持戻し対象外となる孫の活用)や教育資金の一括贈与非課税特例等の活用を検討する。
認定医療法人制度では移行計画の認定後3年以内に持分なし医療法人への移行を完了し、持分を放棄することで猶予税額が免除されます。また、孫は原則として相続人ではないため、遺贈等で財産を取得しない限り生前贈与加算の対象外となり、早期の資産移転に有効です。
それらの方策(解決策)のなかで、何を顧客に提案するか。その理由・留意点は何か。:【提案】認定医療法人の移行計画に基づく速やかな出資持分の放棄および持分なし医療法人への移行手続の推進、ならびに遺留分に配慮した公正証書遺言の作成。【理由】Aさん所有の財産のうち出資持分(1億1,200万円)およびクリニック敷地建物(1億9,000万円)が過半を占めており、医業承継を安定させつつ過大な相続税課税や長女Dからの遺留分減殺・侵害額請求トラブルを回避することが最優先課題であるため。【留意点】持分を放棄すると持分あり医療法人へ戻すことはできず、社員の議決権は1人1票となるため、長男Cが運営権を確保できるよう定款変更や役員・社員構成(弟Eさんの意向確認を含む)を周到に整える必要がある点。
出資持分を放棄すれば持分なし医療法人へ移行し相続財産から除外されますが、社員総会での意思決定権は出資額に関わらず「各社員1票」となるため、退社時の出資回収や経営権の帰属について社内体制を確立しておく必要があります。
FPと職業倫理について、どのようなことが考えられるか。:FPは顧客の利益を最優先に考え(顧客第一主義)、医療法人制度や税制、民法の改正動向について正確な情報提供を行う(顧客に対する説明義務・インフォームドコンセント)。また、相談で知り得た家族関係や資産状況などの秘密を厳守する(守秘義務)。さらに、具体的な税務申告書作成や税務相談は税理士法、登記申請や定款作成・行政庁手続は司法書士法・行政書士法、遺留分協議や遺言作成等の紛争法務は弁護士法に抵触するため、これらの提携専門家と緊密に連携して業務を行う(コンプライアンスの徹底)。
医療法人の承継手続や許認可申請、相続税対策・登記・遺言作成には高度な法規制が関わるため、FPの業務範囲を逸脱せず各士業の独占業務を尊重してチームで対応する姿勢が求められます。

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覚えるポイント

  • 認定医療法人の移行計画認定後、計画期間内に出資持分を完全に放棄することで猶予された税額が免除される。
  • 経営承継円滑化法の遺留分に関する民法の特例(除外合意・固定合意)は、株式会社等の「会社」が対象であり医療法人は適用対象外である。
  • ジュニアNISAは2023年末で新規投資が終了したが、18歳までは非課税のまま保有(継続管理勘定)が可能である。

間違えやすいところ

  • 中小企業経営承継円滑化法の遺留分特例は、医療法人にも使えると間違えやすいです。
  • 認定医療法人の認定を受けただけで納税猶予・免除が決まったと思い込み、持分放棄の手続きを忘れてしまうことです。
  • 二世帯住宅で区分所有の登記をしてしまい、子が親の敷地の部分で小規模宅地等の特例を受けられなくなる失敗です。

出題の前提:2024年9月29日実施のFP1級実技試験(資産相談業務)の出題条件および施行中法令に基づく。

出典:金融財政事情研究会『2024年9月 1級 実技(資産相談業務・9月29日 PartI PartII・PartI)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)

2024年9月 1級 実技(資産相談業務・9月29日 PartI PartII・PartI)

参照した公式資料

金融財政事情研究会が公開した2024年9月 1級 実技(資産相談業務・9月29日 PartI PartII・PartI)の問題・解答資料です。

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