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FP技能検定 · 学習ガイド

2024年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartI)の問題・解答解説

日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。

2024年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartI)の概要
30:00

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事業承継対策と不動産共有関係の解消および資産承継計画

事業承継・資産承継 · 自社株の承継対策 / M&Aの検討 / 土地の共有解消 / 使用貸借と相続税対策 / FPの職業倫理

地方都市の精密部品製造業・X株式会社の代表取締役Aさん(75歳)は、専務取締役の長男Cさん(48歳)への事業承継およびX社株式(100%保有、評価額2億円)の移転を検討している。また、M&A業者からの提案に伴うメリット・デメリットの把握、弟Eさん(70歳)と各2分の1で共有する自宅土地(全体700㎡)の権利関係の整理、勤務歯科医の二男Dさん(41歳)へ開業用地として甲土地(400㎡)を無償貸与・将来相続させる方針への対応、子や孫へのNISA活用の案内、総額4億4,000万円(見積相続税額約1億1,000万円)の資産に係る相続税・遺産分割対策を希望している。これらを踏まえ、顧客の相談内容・問題点、解決策、優先提案とその留意点、FPの職業倫理を論述しなさい。

解答・解説を表示

解答

相談内容・問題点は自社株の円滑な承継とM&Aの検討、自宅土地の共有解消、二男への甲土地の無償貸与と将来の遺産分割、相続税の納税資金確保である。解決策として事業承継税制の特例や自社株評価引下げ、自宅土地の分筆・現物分割、甲土地の使用貸借に伴う届出確認、遺言書作成や生命保険の活用、NISAを活用した生前贈与等を提示する。最優先には長男への自社株承継と特例承継計画の策定・自宅土地の分筆協議を提案し、専門家と連携しながら顧客第一義や秘密保持などの倫理を徹底する。

解説

事業承継では、自社株の移転に伴う税負担を軽くし、納税資金を確保する対策を進めることが大切です。同時に、後継者以外の家族への配慮として、遺留分(最低限もらえる取り分)への対策と遺産分割への対策を総合的に考える必要があります。また、親族で不動産を共有していると、世代が替わるときに権利関係が複雑になりがちです。関係が良いうちに分筆などで共有を解消しておくのが望ましいです。

解き方

  1. 設例からAさんとX社の現状を整理し、自社株対策・M&A・共有不動産・二男への土地貸与・納税資金という論点を洗い出します。
  2. 事業承継税制を使えるか、株式評価を下げられるか、自宅土地を分筆して単独所有にできるか、遺言書や生命保険で遺留分と納税資金に備えられるかを考えます。
  3. 長男・二男・弟の意向と関係性をふまえ、優先度の高い対策と注意点をまとめ、職業倫理に基づいて伝えます。

答えの内訳

設例の顧客の相談内容および問題点として、どのようなことが考えられるか。:①長男への円滑な事業承継と自社株移転(高額な株式評価額と納税資金)、②M&Aのメリット・デメリットの比較検討、③弟Eさんとの自宅土地の共有関係に伴う将来の権利トラブルの懸念、④二男Dさんに対する甲土地の無償貸付(使用貸借)および将来の相続に伴う不公平感・遺留分の問題、⑤高額な相続税(約1億1,000万円)に対する納税資金の準備と財産承継計画の不足が考えられる。
AさんはX社株式を100%保有しており、評価額が2億円に達するため後継者への株式移転に伴う贈与税・相続税負担が大きいこと、自宅土地が弟との共有で将来の権利関係の複雑化が懸念されること、二男への甲土地無償提供による親族間の公平性や納税資金確保が主要課題となります。
それらの相談内容および問題点を解決するために、どのような提案・方策が考えられるか。:①事業承継税制(特例措置)の活用や退職金支給等による株価引下げ・納税資金確保、②M&Aについて長男承継との選択肢として企業価値向上や事業拡大の観点から比較整理、③自宅土地の分筆・現物分割または持分交換による単独所有化、④甲土地は使用貸借による開業支援とし将来の遺言書作成・生命保険活用による代償金準備、⑤子・孫への暦年贈与やNISA制度の活用推奨が考えられる。
自社株は事業承継税制の特例や役員退職金支給を活用して税負担を軽減します。自宅土地は双方合意のもとで現物分割(分筆)等を行い共有状態を解消します。また二男への生前贈与や貸付については遺留分や税務リスクを考慮して公正証書遺言を作成することが有効です。
それらの方策(解決策)のなかで、何を顧客に提案するか。その理由・留意点は何か。:【提案】長男Cさんへの早期の自社株承継計画策定(特例承継計画の提出を含む)と、弟Eさんとの自宅敷地の分筆協議を提案する。【理由】長男が経営中核を担っており早期承継が事業継続に必須であること、兄弟関係が良好な現時点で土地共有を解消しないと二次相続以降で解決が困難になるため。【留意点】事業承継税制の適用要件や取消事由の管理、分筆時の接道要件や小規模宅地等の特例適用の影響、二男Dさんへの遺留分配慮が必要である。
Aさんが75歳であり事業の継続性と親族間の円満な資産承継を両立させるため、関係良好な今のうちに事業承継計画の具体化と共有不動産の単独所有化を進める必要があります。その際、建築基準法の道路斜線・接道要件や遺留分侵害に十分配慮します。
FPと職業倫理について、どのようなことが考えられるか。:顧客の利益を最優先とする「顧客第一義」、知り得た個人情報や経営情報を厳重に管理する「守秘義務の遵守」、提案内容やリスクを平易かつ丁寧に説明し納得を得る「インフォームド・コンセント」、自らの職責と専門性の限界を把握し税理士や司法書士等の隣接業士法に配慮して連携を図る「専門職連携・法令遵守」が求められる。
ファイナンシャル・プランナーは税理士法や弁護士法などの業法を遵守し、個別具体的な税務相談や登記申請等は提携する専門家に委ねつつ、顧客の意向に寄り添った総合的なライフプランの実現を支援する倫理観が求められます。

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覚えるポイント

  • 不動産の共有は当事者の関係が良好かつ認知能力が十分なうちに分筆協議や交換で単独所有化を図る。
  • 事業承継税制の特例措置は承継計画の提出期限や雇用確保・事業継続等の要件管理が重要である。

間違えやすいところ

  • 甲土地を無償で貸す(使用貸借)と、自用地のまま評価され、貸家建付地(人に貸すと評価が下がる土地)の評価減を使えない点を見落としがちです。
  • 自社株対策に集中するあまり、後継者以外の相続人(二男Dさんなど)の遺留分や納税資金への配慮を忘れがちです。

出題の前提:2024年9月28日実施のFP1級実技試験(資産相談業務)の出題条件および関連法令に基づく。

出典:金融財政事情研究会『2024年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartI)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)

2024年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartI)

参照した公式資料

金融財政事情研究会が公開した2024年9月 1級 実技(資産相談業務・9月28日 PartI PartII・PartI)の問題・解答資料です。

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