日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月15日 PartI PartII・PartII)の概要
家賃滞納トラブルおよび賃貸不動産売却等に関する必要情報の整理
不動産・相続 · 賃貸管理 / 不動産の調査 / 情報収集
父から賃貸アパート(甲土地・甲建物)を相続したAさんは、102号室の賃借人Eさんによる家賃滞納(4カ月分)や居座りに悩み、物件の売却も視野に入れて相談している。Aさんに対して最適なアドバイスを行うために、設例に示された情報のほかに収集・確認すべき情報を「①Aさんから直接聞いて確認する情報」および「②FP自身が調べて確認する情報」に整理して説明しなさい。
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解答
①Aさんから確認する情報:甲土地・建物の相続登記の完了状況や遺産分割協議の内容、甲土地・建物の保有継続か売却かに関する具体的な意向、他3戸の入居状況や賃貸条件、敷金預託の有無、連帯保証人Gさんとのこれまでの接触状況・連絡先、Aさんの収支や資産状況。②FP自身が調べる情報:甲土地・建物の登記事項証明書による権利関係、現地の接道状況や法令上の建築制限、周辺の賃料相場および中古アパートの売買取引相場、固定資産税等の公租公課の負担水準。
解説
賃貸不動産の管理や売却を提案するときは、まず所有者本人の意向と管理の実情をよく聞き取り、物件の法的な制限や市場価値を客観的に集めて分析することが大切です。なぜなら、本人の希望を正しく知り、法務局や行政窓口・現地調査で裏付けを取ることで、適切な助言ができるからです。
解き方
- 設例の状況をもとに、Aさんの意向や相続登記、他の部屋の賃貸状況など、Aさん本人に直接たずねるべきことを整理します。
- 権利関係や法令上の制限、現地の状況、市場の相場など、FP自身が公的資料や市場で調べるべき客観的な情報を整理します。
答えの内訳
- ①:Aさんへの直接確認事項:甲土地・甲建物の相続登記の完了有無、物件の保有・売却に関する最終的な希望・意向、他室の入居・契約状況および敷金の預かり状況、Eさんとの賃貸借契約書原本の内容、連帯保証人Gさんの連絡先や折衝履歴、Aさんの今後の資金需要や意向。
- 不動産オーナーとしての権利関係を確定させる相続登記が済んでいるか、物件を手放したいのか管理委託等で保有を続けたいのかという本人の意思を確認するとともに、他室の運用状況や契約書原本の詳細条項を把握することが前提となります。
- ②:FP自身による調査事項:甲土地および甲建物の登記事項証明書・公図・地積測量図・建物図面等の確認、現地調査(道路幅員、接道要件、境界標、建物の維持管理状態)、用途地域や建蔽率・容積率等の公法上の規制、周辺地域の賃料相場・空室状況、中古賃貸物件としての市場売買価格・収益価格水準、固定資産税評価額および公租公課の額。
- 法務局や市区町村の都市計画窓口で公法上の制限や権利の瑕疵がないかを調査し、現地の状況を確認したうえで、市場流通性や適正な売却査定価格、収益性をFP自ら多角的に調査・分析する必要があります。
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覚えるポイント
- 実技面接において情報収集を問われた際は、「相談者本人へのヒアリング項目」と「公的機関・市場等を通じた客観的調査項目」の2系統に明確に切り分けて回答する。
間違えやすいところ
- 相談者に聞く事項と、FP自身が調べる事項を混同して答えないよう気をつけます。
出題の前提:2024年6月15日実施の金融財政事情研究会 1級ファイナンシャル・プランニング技能検定 実技試験(資産相談業務)PartII設例に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月15日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2020年4月民法改正に伴う個人根保証契約の極度額規制と連帯保証債務の効力
不動産・関連法規 · 民法改正 / 個人根保証契約 / 極度額 / 家賃滞納
設例において、2021年1月に締結された102号室の賃貸借契約では、Eさんの父Gさんが連帯保証人となり、契約書上の保証範囲が「借主の貸主に対する一切の債務」と定められている。この場合、Aさんは連帯保証人であるGさんに対して、Eさんの家賃滞納分の支払いを法的に請求することができるか説明しなさい。
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解答
法的に支払いを請求することはできない。2020年4月1日施行の改正民法により、個人を保証人とする根保証契約(賃貸借契約の連帯保証を含む)において「極度額」の定めがない場合は保証契約が無効となるため、本件の保証契約は無効であり、Gさんに法的履行義務はない。
解説
2020年4月1日施行の改正民法では、個人が連帯保証人になる賃貸借契約などの根保証契約(続く債務をまとめて保証する契約)で、書面による「極度額(限度額)」の定めがない契約は無効です。そのため、保証人に法律上請求することはできません。改正民法が個人の保証人を保護するために極度額の明記を義務づけたからです。
解き方
- 契約を結んだ時期が、民法改正が施行された2020年4月1日以降(2021年1月)であることを確かめます。
- 連帯保証人が個人(父のGさん)で、続く賃貸借契約から出るすべての債務を保証する個人根保証契約にあたることを確かめます。
- 契約書に極度額の定めがないので、民法第465条の2により連帯保証契約は無効となり、法的に請求できないと結論づけます。
覚えるポイント
- 2020年4月1日以降に個人と締結する賃貸借の連帯保証契約は、極度額の定めが書面等でなされていないと無効になる。
間違えやすいところ
- 古い契約書のひな型を使い回して極度額を決めていないと、保証契約全体が無効になる点を見落とし、ふつうに請求できると間違えやすいです。
出題の前提:2020年4月1日施行の改正民法第465条の2(個人根保証契約の極度額)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月15日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
家賃滞納者に対する退去要求の手続きと留意点
不動産 · 不動産の賃貸借 / 賃貸借契約の解除 / 明渡請求訴訟 / 自力救済の禁止
設例において、賃貸アパート(甲建物)102号室の賃借人Eさんが家賃を4カ月間滞納しており、退去する様子が見られない状況である。AさんがEさんに対して退去を求めるには、どのような方法が考えられるか説明しなさい。
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解答
まずはEさん本人と協議・交渉し、自主的な明渡しや合意解除を促す。合意に至らない場合は、内容証明郵便等で相当の期間を定めて滞納家賃の支払を催告し、期間内に支払がないときは信頼関係の破壊を理由に賃貸借契約を解除する。それでも退去しない場合は、裁判所に建物明渡請求訴訟(または支払督促・民事調停)を提起し、勝訴判決等の債務名義を得たうえで強制執行を申し立てる。なお、鍵の交換や荷物の無断撤去などの自力救済は禁止されているため行ってはならない。
解説
賃貸借契約では賃借人が手厚く保護されているため、数カ月の家賃滞納があっても、信頼関係が壊れたと認められなければ契約の解除は有効になりません。また、法的手続きをとらずに貸主が実力で退去させる自力救済は違法です。そのため、催告・解除・訴訟・強制執行という適法な手順を踏む必要があります。
解き方
- 滞納している本人と話し合い、合意のうえで自主的に退去してもらえるかを確かめます。
- 自主的な退去が難しいときは、内容証明郵便で相当の期間を決めて支払いを催促し、契約を解除する意思を伝えます。
- 解除しても退去しないときは、自力救済を避け、弁護士と協力して建物明渡請求訴訟を起こし、勝訴判決をもとに強制執行を申し立てます。
答えの内訳
- 1:協議による合意解約(任意退去の促し)
- まずは賃借人Eさんと直接話し合いを行い、滞納家賃の清算方法や退去期日を取り決めた上で合意解約書を交わし、自主的な退去を促す方法が考えられます。
- 2:催告および賃貸借契約の解除
- 任意退去に応じない場合、内容証明郵便(配達証明付)により相当の期間を定めて滞納家賃の支払を催告し、期間内に支払がないときは信頼関係が破壊されたとして賃貸借契約を解除する通知を行います(4カ月間の家賃滞納は信頼関係破壊が認められやすい水準です)。
- 3:法的手続き(明渡請求訴訟および強制執行)と自力救済の禁止
- 契約解除後も居座る場合は、弁護士等に依頼して裁判所に建物明渡請求訴訟を提起し、確定判決などの債務名義を取得したうえで裁判所執行官による強制執行(明渡しの断行)を行います。鍵の無断交換や荷物の搬出といった自力救済は違法(不法行為)となるため絶対にしてはなりません。
覚えるポイント
- 家賃滞納を理由とする契約解除には一般に3カ月以上の滞納による信頼関係破壊が必要とされる。
- 貸主による無断での鍵の交換や荷物の搬出・処分などの自力救済は法的に禁止されている。
間違えやすいところ
- 家賃滞納があるからといって、催促なしにすぐ契約を一方的に終わらせられる、と間違えないことです。
- 自分で鍵を交換したり部屋の荷物を処分したりして退去させてもよい、と誤解しないことです。
出題の前提:2024年度第1回FP1級実技試験(資産相談業務・6月15日PartII)設例および民法・借地借家法・民事執行法の法理に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月15日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
収益物件(賃貸アパート)売却時に揃えておくべき書類
不動産 · 収益不動産の売却 / 不動産取引の実務 / 売却時の必要書類
設例において、Aさんが甲土地および甲建物(賃貸アパート)のような収益物件を売却する場合、買主への情報開示や円滑な売買取引のためにどのような書類を揃えておくとよいか説明しなさい。
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解答
物件の権利・現況に関する書類(登記識別情報・登記済証、登記事項証明書、公図、地積測量図、境界確認書・筆界確認書)、建築関係書類(建築確認済証、検査済証、設計図書・竣工図)、賃貸管理・収益関係書類(各戸の賃貸借契約書・更新覚書、レントロール(賃貸借条件一覧表)、入金履歴・滞納管理台帳、敷金等の預り金明細)、公租公課・維持修繕関係書類(固定資産税・都市計画税納税通知書・課税明細書、修繕・リフォーム履歴資料、建物保守点検報告書等)を揃えておく必要がある。
解説
賃貸用の収益物件を売るときは、ふつうの土地・建物の売買で必要な登記・境界・法令の書類に加えて、賃貸借契約書やレントロール(賃貸条件の一覧表)、敷金の預かり状況、家賃の滞納履歴なども重要です。なぜなら、買主が賃貸人の立場を引き継ぐため、これらの資料が物件の価値評価や引き渡しに欠かせないからです。
解き方
- 不動産の権利関係(登記識別情報や登記事項証明書など)と、境界・現況を確認する書類を用意します。
- 建物が法令に合っているかや構造を確かめられる、建築確認済証・検査済証・図面を整理します。
- 賃貸人の立場を引き継ぐのに必要な、各部屋の賃貸借契約書・レントロール・滞納状況・敷金明細をそろえます。
- 公租公課(税金などの負担)の精算資料(固定資産税の納税通知書など)や、維持修繕・設備点検の履歴をまとめます。
答えの内訳
- 1:土地・建物の権利関係および現況確認に関する書類
- 登記識別情報(または登記済権利証)、土地および建物の登記事項証明書、公図、地積測量図、隣地との筆界確認書(境界確認書・境界確定図)など、所有権の確認および敷地境界を明示するための書類です。
- 2:建物の建築・法令関係書類
- 建築確認済証、検査済証、建築協定等の関係書類、設計図書(竣工図面、平面図・立面図等)など、建物の適法性や構造・仕様を証明・把握するための書類です。
- 3:賃貸借契約および収益管理に関する書類
- 全戸分の賃貸借契約書(連帯保証人承諾書・重要事項説明書含む)、レントロール(賃貸状況・賃料・共益費等の一覧表)、敷金等の預り金台帳、家賃入金管理記録・滞納状況一覧表など、買主が承継する権利義務や収益性を精査するための書類です。
- 4:税金・維持管理・修繕履歴に関する書類
- 固定資産税・都市計画税の納税通知書および課税明細書(公租公課精算のため)、過去の大規模修繕・リフォーム履歴、設備保守点検報告書、入居者への管理規約や利用細則など、維持管理実態を把握するための書類です。
覚えるポイント
- 収益物件売却時は、物件自体の書類に加え、賃貸借契約書・レントロール・敷金関係資料の提示が不可欠である。
- 建物の適法性を証明するために「確認済証」だけでなく「検査済証」の有無が買主の融資利用等で重視される。
間違えやすいところ
- 自宅などの住まいの売却と同じ書類だけを挙げ、レントロールや各部屋の賃貸借契約書・敷金明細などの賃貸関連の書類を忘れることです。
- 固定資産税などの公租公課の精算書類や、修繕の履歴書類を出し忘れることです。
出題の前提:2024年度第1回FP1級実技試験(資産相談業務・6月15日PartII)設例および不動産売買実務基準に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月15日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃貸アパートの家賃滞納・連帯保証極度額および収益物件の売却対応
不動産 · 家賃滞納対応 / 民法(個人根保証契約の極度額) / 建物明渡し手続き / 収益物件売却時の必要書類 / 専門職業家の連携
設例に基づき、FPへの質問事項である以下の各問(1〜5)について答えなさい。 1.Aさんに対して、最適なアドバイスをするためには、示された情報のほかに、どのような情報が必要ですか。「①Aさんから直接聞いて確認する情報」「②FPであるあなた自身が調べて確認する情報」に整理して説明しなさい。 2.Aさんは、連帯保証人であるGさんにEさんの家賃滞納分の支払を求めることができますか。民法の規定を踏まえて説明しなさい。 3.家賃を滞納し居座るEさんに対して退去を求めるには、どのような方法が考えられますか。 4.甲建物のような収益物件(賃貸アパート)を売却する場合、どのような書類を揃えておくとよいでしょうか。 5.本事案に関与する専門職業家にはどのような方々がいますか。
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解答
1.①Aさんの意向(保有継続か売却か等)、敷金の預託状況、他の入居者の状況・家賃支払状況、遺産分割協議の完了と相続登記の状況。②甲土地・甲建物の登記事項証明書および公図・測量図、賃貸借契約書および保証契約書の内容、現地の状況、周辺の家賃相場および不動産売買相場。 2.支払を求めることはできない可能性が高い(保証契約が無効)。2020年4月1日施行の改正民法により、個人が包括的な連帯保証人となる個人根保証契約では極度額の定めが義務付けられており、2021年1月に締結された本契約において極度額の定めがない場合は保証契約自体が無効となるため。 3.信頼関係の破壊を理由とする契約解除と建物明渡請求訴訟。まずは内容証明郵便等による催告および契約解除通知を行い、自主的な明渡しを促す。応じない場合は、弁護士等に依頼して裁判所に建物明渡請求訴訟を提起し、勝訴判決(債務名義)を得たうえで強制執行(明渡しの断行)を行う。 4.登記事項証明書、公図・地積測量図・建物図面、各戸の賃貸借契約書(重要事項説明書含む)、レントロール(賃料一覧表・入退去履歴)、敷金の預託明細、固定資産税・都市計画税納税通知書(課税明細書)、建築確認済証・検査済証、修繕・維持管理履歴資料。 5.弁護士(家賃滞納請求、契約解除・明渡し請求、訴訟・強制執行手続き)、司法書士(相続登記、売却時の所有権移転登記)、宅地建物取引業者(売却時の仲介・査定、管理の委託)、土地家屋調査士(境界確認・確定測量)、税理士(売却時の譲渡所得税等の申告)。
解説
不動産の賃貸借契約では、2020年4月施行の改正民法により、個人根保証契約に「極度額(限度額)」を決めることが義務づけられ、記載がない保証契約は無効です。また、滞納者への自力救済(鍵の交換や無断撤去)は違法なので、催告・解除・訴訟・強制執行という適法な手順を踏む必要があります。収益物件を売るときは、権利関係の書類に加えて、賃貸借関係や収益実績(レントロール)の書類を整えることが欠かせません。
解き方
- 相談者の意向や、物件の権利関係・契約内容(極度額があるかなど)を整理して調べます。
- 改正民法の個人根保証の決まりや、借地借家法・民事執行法の法的手続きに従い、適法で実務的な解決策を示します。
- 収益物件の売却に必要な書類を整理し、弁護士などの専門家の独占業務の範囲を守って連携する体制を整えます。
答えの内訳
- 質問1:①Aさんから直接確認する情報:今後の意向(売却か賃貸継続か)、敷金の受領状況、他の部屋の契約・入金状況、遺産分割協議書および相続登記の完了状況。②FP自身が調べる情報:甲土地・建物の登記事項証明書・公図、現地の現況や境界、周辺の賃貸・売買相場、用途地域等の都市計画制限。
- 相談者の意向や契約書等の保管状況をヒアリングで把握するとともに、法務局・自治体調査等で物件の権利関係や市場性を客観的に確認することが適切な提案の前提となります。
- 質問2:Gさんに支払を求めることはできない可能性が高い。2020年4月1日施行の改正民法により、個人の根保証契約には書面等による極度額の定めが必須とされ、定めがない契約は無効となるため。
- 2021年1月に締結された賃貸借契約における個人の連帯保証契約は個人根保証契約に該当します。契約書上の範囲が「借主の貸主に対する一切の債務」となっており極度額が定められていないため、民法第465条の2の規定により無効となります。
- 質問3:催告兼契約解除通知(内容証明郵便)を送付したうえで、自主退去に応じない場合は弁護士等を通じて建物明渡請求訴訟を提起し、債務名義を得て強制執行(明渡し)を行う。
- 家賃4カ月滞納は信頼関係破壊と認められる可能性が高いため、相当の期間を定めて催告したうえで契約を解除します。自力救済は禁止されているため、裁判手続き(訴訟・強制執行)を経て適法に退去させます。
- 質問4:登記事項証明書、公図・地積測量図、建築確認済証・検査済証、賃貸借契約書一式、レントロール(賃料表・入退去履歴)、固定資産税課税明細書、修繕履歴資料など。
- 収益物件の買主は収益性・権利関係・建物の物理的状態を重視するため、権利関係書類に加え、賃貸条件が確認できるレントロールや契約書、維持管理・修繕履歴等の書類を準備する必要があります。
- 質問5:弁護士(明渡し訴訟・滞納家賃回収・法的交渉)、司法書士(相続登記・売買による移転登記)、宅地建物取引業者(売却媒介・査定)、土地家屋調査士(境界確定・測量)、税理士(譲渡所得税・相続税申告)。
- 滞納者への法的措置は弁護士法72条に基づき弁護士に依頼し、登記手続きは司法書士、売買仲介は宅建業者、税務相談・申告は税理士というように、各資格の独占業務に留意して連携します。
覚えるポイント
- 2020年4月以降に締結された個人の賃貸借連帯保証契約は「個人根保証契約」となり、書面等による極度額の定めがないと無効となる。
- 賃借人の居座りに対する自力救済は違法行為であり、明渡しには催告・契約解除・訴訟・強制執行の手続きが必須である。
間違えやすいところ
- 「一切の債務を保証する」という条項があっても、極度額の具体的な金額が書いていなければ個人根保証契約として無効になる点を見落とすことです。
- 家賃滞納があるからといって、家主が勝手に鍵を替えたり荷物を処分したりできる(自力救済できる)と間違えないことです。
出題の前提:2020年4月1日施行の改正民法(個人根保証契約における極度額の定め:第465条の2)および民事訴訟法・民事執行法に基づく適法な明渡し手続き。
出典:金融財政事情研究会『2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月15日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月15日 PartI PartII・PartII)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月15日 PartI PartII・PartII)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

