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FP技能検定 · 学習ガイド

2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月9日 PartI PartII・PartI)の問題・解答解説

日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。

2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月9日 PartI PartII・PartI)の概要
30:00

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富裕層の相続対策・タワーマンション購入および生前贈与・資産承継プラン

資産設計提案業務・相続事業承継 · 相続対策 / タワーマンション評価(区分所有登記事務・通達改正) / 生前贈与(暦年課税・相続時精算課税・NISA活用) / 一時払終身保険の非課税限度額 / 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / FPの職業倫理

Aさん(70歳)は妻Bさん(66歳)と2人暮らしで、長男Cさん(35歳、社宅居住)、長女Dさん(33歳、持家居住)がいる。所有財産は現預金1億6,000万円、有価証券2億円、自宅(土地8,000万円、建物1,000万円)の合計4億5,000万円で、相続税額は約1億1,000万円と試算されている。足腰の衰えを感じ相続対策に関心を持ち、不動産会社から勧められたタワーマンション購入(9,000万円)、新NISAを活用した子どもへの投資経験を兼ねた生前贈与、金融機関からの「一時払終身保険」の活用提案を検討している。本設例における顧客の相談内容と問題点、解決策、優先すべき提案とその理由・留意点、およびFPの職業倫理について述べなさい。

解答・解説を表示

解答

顧客の相談内容・問題点(タワーマンション評価見直し・多額の相続税負担・生前贈与とNISAの活用・遺産分割対策)、解決策(一時払終身保険の活用、暦年贈与およびNISA口座の活用、居住用財産の小規模宅地等の特例確認、遺言書作成)、優先提案(一時払終身保険と暦年贈与の早期着手)、およびFPの職業倫理(顧客利益の優先、守秘義務、インフォームド・コンセント、専門家との連携)を適切に整理・説明する。

解説

富裕層の相続対策では、遺産分割・納税資金・相続税の軽減という3つのバランスが大切です。生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)はすぐに使えて、受取人だけの財産になるため遺産分割にも役立ちます。不動産投資は、2024年1月からの区分所有マンション評価の見直しで評価のずれが補正されることを考え、慎重に判断する必要があります。税制改正の動きをふまえ、生前贈与を適切に行うことが求められます。

解き方

  1. 家族構成(相続人3名)と財産(金融資産が多い4億5,000万円)、相続税の概算(約1億1,000万円)を整理します。
  2. タワーマンション購入の話について、2024年1月からの新しい通達の基準と収益性の面から、よい点と悪い点を検討します。
  3. すぐに効果がある一時払終身保険の非課税限度額(1,500万円)と、新NISAを組み合わせた贈与の計画を立てます。
  4. 遺産分割を公平で円滑にするための遺言書の作成と、小規模宅地等の特例を使える要件を整理し、FPの職業倫理にそった助言をまとめます。

答えの内訳

設例の顧客の相談内容および問題点として、どのようなことが考えられるか。:①自身の加齢に伴う相続税負担の軽減および納税資金の準備、②勧誘を受けたタワーマンション購入の妥当性と税制改正(区分所有登記事務通達の改正による相続税評価額の乖離補正)への留意、③令和5年度税制改正を踏まえた生前贈与(暦年課税における加算期間延長や相続時精算課税の見直し)の進め方と子へのNISA資金贈与の設計、④配偶者および子2人への円滑な遺産分割対策。
総財産4億5,000万円に対して多額の相続税(約1億1,000万円)が見込まれており、現預金や有価証券の流動性を維持しつつ節税・納税資金対策を進める必要があります。また、2024年1月より導入された区分所有マンションの新たな評価方法により、タワーマンションの評価圧縮効果が従来より縮小している点への留意が必須です。
それらの相談内容および問題点を解決するために、どのような提案・方策が考えられるか。:①生命保険(一時払終身保険)の活用による非課税枠(500万円×法定相続人3人=1,500万円)の利用および納税資金確保と受取人指定による確実な財産移転、②長男・長女への早期の暦年贈与または相続時精算課税を活用した資金移動と新NISA制度の積立投資支援、③勧誘されたタワーマンションの実質利回り・空室リスク・新評価基準を踏まえた収支シミュレーションの精査、④自宅不動産の小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)適用可否の検証、⑤公正証書遺言の作成による争族防止。
手元資金が豊富なため、一時払終身保険の非課税枠の即時活用が極めて有効です。また、子への投資教育として新NISA口座開設と年間110万円以内の暦年贈与を組み合わせることで無理のない資産移転と教育的効果が両立できます。
それらの方策(解決策)のなかで、何を顧客に提案するか。その理由・留意点は何か。:【提案】一時払終身保険の加入、および子どもへの暦年贈与を活用した新NISA支援を先行提案する。タワーマンション購入については慎重な見送りを推奨する。 【理由】保険は非課税枠1,500万円を確実に享受でき、受取人指定で代償・納税資金となる。贈与は若年層の資産形成支援になり意向に合致する。タワーマンションは2024年からの過度な乖離抑制通達により評価圧縮効果が低下し、管理費修繕積立金負担や将来の修繕費上昇リスクがあるため。 【留意点】贈与は贈与契約書の作成と口座振込による証拠残しを徹底すること。保険加入時は高齢での健康告知や為替・元本割れリスクのない円建終身保険等を選択すること。
不動産購入は空室リスクや新評価制度による節税効果の縮小を勘案すると拙速な投資はリスクが高くなります。まずはリスクが極めて低く即効性のある生命保険非課税枠の充足と、計画的な生前贈与から段階的に着手することが顧客にとって最善です。
FPと職業倫理について、どのようなことが考えられるか。:①顧客第一(顧客の利益の優先):不動産会社や金融機関の営業目線ではなく、Aさん一家の最適な生涯設計を優先する。②守秘義務の遵守:相談で得た財産や家族構成等のプライバシー情報を厳重に管理する。③説明義務(インフォームド・コンセント):各対策のメリットだけでなく税制改正の影響や投資リスクを十分に説明し納得を得る。④コンプライアンス(法令順守)と専門家連携:具体的な税務申告書作成や個別税額計算は税理士、登記業務は司法書士など専門資格者と連携して進める。
ファイナンシャル・プランナーとして中立公正な立場を保持し、業法(税理士法、弁護士法等)に抵触しないよう専門家と適切に連携しながらアドバイスを提供することが求められます。

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覚えるポイント

  • 死亡保険金の非課税限度額:500万円 × 法定相続人の数
  • マンションの相続税評価額は2024年1月以降、市場価格と通達評価額の乖離率を基に補正される
  • 暦年贈与の相続前加算期間は2024年1月1日以後の贈与から段階的に3年から7年に延長される

間違えやすいところ

  • タワーマンションの評価額が、以前と同じように市場価格の2〜3割程度まで大きく下げられると勘違いすること。
  • 税理士の資格がないFPが、具体的な税額計算や申告書の作成を自分で引き受けてしまうこと(税理士法違反)。
  • 配偶者の税額軽減を計画なく最大限使ってしまい、二次相続で多額の税負担が出るリスクを見落とすこと。

出題の前提:2024年4月1日現在施行の税制・法令(2024年1月施行の区分所有マンションの相続税評価見直しおよび相続・贈与一体化税制を含む)。

出典:金融財政事情研究会『2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月9日 PartI PartII・PartI)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)

2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月9日 PartI PartII・PartI)

参照した公式資料

金融財政事情研究会が公開した2024年6月 1級 実技(資産相談業務・6月9日 PartI PartII・PartI)の問題・解答資料です。

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