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FP技能検定 · 学習ガイド

2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月17日 PartI PartII・PartI)の問題・解答解説

日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。

2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月17日 PartI PartII・PartI)の概要
30:00

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事業承継および資産承継の検討(名義株の整理・事業用不動産の承継・自社株移転)

資産承継・事業承継 · 事業承継税制 / 名義株の解消 / 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / 自社株式の評価・移転対策 / 遺留分への配慮

設例のAさん(72歳・X社代表取締役会長)からの相談に基づき、「検討のポイント」に示された以下の各論点について検討・解答しなさい。 1. 設例の顧客の相談内容および問題点として、どのようなことが考えられるか。 2. それらの相談内容および問題点を解決するために、どのような提案・方策が考えられるか。 3. それらの方策(解決策)のなかで、何を顧客に提案するか。その理由・留意点は何か。 4. FPと職業倫理について、どのようなことが考えられるか。

解答・解説を表示

解答

1. 相談内容および問題点:名義株(30%)の存在と解消手続き、後継者(長男D)へのX社株式集中の遅れと評価額・移転コストの懸念、本社土地建物の承継先(経営に関与しない妻Bへの承継是非)と将来の二次相続問題、自宅の承継先(妻Bまたは長女C)、相続税負担(約9,300万円)と遺産分割における遺留分への配慮。 2. 解決するための提案・方策:名義株の実質株主への名義書換・整理、自社株評価引き下げ(設備投資・退職金支給等)や事業承継税制(特例承継計画)の活用による生前贈与・譲渡、本社土地建物の長男Dへの承継(またはX社への売却・遺言での特定)、妻Bの生活保障(配偶者居住権等の活用や現預金・有価証券の相続)、小規模宅地等の特例(特定居住用・特定事業用)の適用検討、遺言書の作成と遺留分に関する民法特例等の検討。 3. 重点提案とその理由・留意点:早急な名義株解消と事業承継税制の特例措置を活用した長男DへのX社株式移転。また本社土地建物は経営の安定上、後継者である長男Dに承継させ、妻Bには現預金・有価証券を相続させて生活の安定と二次相続対策を図る。留意点として、納税猶予の取消事由(雇用の確保等)の把握や、長女Cの遺留分侵害に配慮した遺言書作成が挙げられる。 4. FPと職業倫理:顧客第一主義、守秘義務の遵守、インフォームド・コンセントの徹底、各士業(弁護士・税理士・司法書士等)との連携と法令遵守(非弁行為・無資格の税務相談等の禁止)。

解説

非上場企業の事業承継では、後継者に経営権・自社株式・事業用資産をまとめて引き継がせることが大切です。理由は、これらがばらばらになると事業を続けにくくなるためです。また、名義株(本当の権利者が別にいる株式)は早めに整理し、他の相続人の遺留分(最低限受け取れる取り分)に配慮して遺産分割を設計する必要があります。

解き方

  1. 設例の家族関係・財産の構成・会社の経営状況(名義株の有無、業績、株価など)を見て、今の課題を洗い出します。
  2. 事業承継(名義株の解消・自社株の承継・事業用不動産)と資産承継(相続税・遺留分・小規模宅地の特例)の具体的な対策を考えます。
  3. 顧客に優先して提案する内容を絞り込み、専門家との連携や職業倫理の観点から実行するときの注意点を整理します。

答えの内訳

設例の顧客の相談内容および問題点として、どのようなことが考えられるか。:①親族外創業メンバー名義の自社株(名義株30%)の存在と整理方法、②長男DへのX社株式移転の遅れと株式評価額・移転税負担の懸念、③経営に関与しない妻Bへ本社土地建物を相続させることによる将来の事業継続上のリスク(二次相続等)、④自宅の相続先(妻Bか長女Cか)の決定、⑤高額な相続税負担(約9,300万円)と納税資金の確保、⑥長女Cへの配慮など遺産分割および遺留分の問題。
AさんはX社の全株式を実質保有しているものの30%が名義株となっており、株式承継が進んでいません。また、事業用不動産(本社土地建物)を妻Bに相続させると将来の経営権と財産の分離や二次相続時の散逸リスクが生じます。さらに総遺産4億円に対して高額な相続税が見積もられており、各相続人への分割調和が問題となります。
それらの相談内容および問題点を解決するために、どのような提案・方策が考えられるか。:①名義株について名義人との合意書締結等による名義書換・解消、②事業承継税制(特例承継計画の策定・提出)の活用や役員退職金支給・設備投資による自社株評価引き下げ後の贈与・譲渡、③本社土地建物の長男Dへの相続(またはX社による買取り)、④自宅への小規模宅地等の特例(特定居住用)適用と妻Bまたは長女Cへの承継、配偶者居住権の検討、⑤妻Bへの金融資産(現預金・有価証券)相続による生活資金確保および配偶者の税額軽減の活用、⑥遺言書の作成と民法特例(除外合意・固定合意)の検討。
名義株の解消を最優先とし、株価対策と事業承継税制の併用で自社株を長男Dへ集中させます。本社不動産は事業用として後継者Dに集約し、特定事業用宅地等の適用を検討します。妻Bの生活保障は金融資産の相続で手当てし、円滑な遺産分割のために公正証書遺言の作成を促します。
それらの方策(解決策)のなかで、何を顧客に提案するか。その理由・留意点は何か。:名義株の早期解消を行ったうえで、事業承継税制の特例措置を活用して長男DへX社株式を一括贈与(または遺贈)すること、および本社土地建物を長男Dに承継させ事業基盤を一本化することを最優先で提案する。理由として、業績好調による今後の株価上昇リスクを遮断し、事業用資産の散逸を防止できるため。留意点は、特例承継計画の提出期限等の要件管理、事業継続要件の維持、および長女Cの遺留分を侵害しないよう生命保険や金融資産で代償財産を確保すること。
業績好調で増収増益が見込まれるため、株価が上昇する前に特例承継計画を活用して長男Dへ株式を集中させることが効果的です。また、本社不動産を妻Bに相続させると二次相続時に長女Cへ共有等の形で分散するリスクがあるため、後継者Dへの承継を優先し、妻Bには金融資産を渡すことが合理的です。
FPと職業倫理について、どのようなことが考えられるか。:顧客第一主義の徹底、守秘義務の厳守、インフォームド・コンセント(顧客の十分な理解と納得)、法令遵守(コンプライアンス)が求められる。特に税務の具体的計算・申告書の作成は税理士法、名義株確定の法的手続きや遺言書作成指導等は弁護士法・司法書士法に抵触しないよう留意し、提携する各専門家と緊密に連携して支援を行う。
FPは顧客の最善の利益を優先し、秘密を保持しながら丁寧な説明責任を果たす必要があります。また、資格の範囲を超えた具体的個別相談(税理士法・弁護士法等)を行わないよう職業倫理を守ることが重要です。

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覚えるポイント

  • 名義株は真実の権利者を確認して合意による名義書換等で早急に解消する。
  • 事業用不動産は経営と所有の一致を図るため後継者に承継させるのが原則である。

間違えやすいところ

  • 妻の賃料収入を確保しようと本社の不動産を妻に相続させると、次の相続のときに事業用の資産が散らばってしまう危険を見落としがちです。
  • 事業承継税制(特例措置)を使う場合でも、長女の遺留分(最低限の取り分)への対策をしないと、後継者が侵害額請求を受けるおそれがあります。

出題の前提:2023年度第3回FP1級実技試験(資産相談業務・2024年2月17日実施)設例に基づく。

出典:金融財政事情研究会『2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月17日 PartI PartII・PartI)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)

2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月17日 PartI PartII・PartI)

参照した公式資料

金融財政事情研究会が公開した2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月17日 PartI PartII・PartI)の問題・解答資料です。

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