日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月11日 PartI PartII・PartII)の概要
顧客への最適アドバイスに必要な追加情報の整理
不動産・ライフプランニング · 顧客ヒアリング項目 / 現地調査・公法上の規制等の確認事項
設例に基づき、Aさんに対して最適なアドバイスを行うために、提示された情報のほかに必要とされる追加情報を、①Aさんから直接聞いて確認する情報、および②FP自身が調べて確認する情報に整理して答えなさい。
解答・解説を表示
解答
①Aさんから直接確認する情報:二世帯住宅の建築計画・予算、Cさん夫婦の就業継続意向・資金計画、退職時期や退職金見込み、相続に対する考え方等。②FP自身が調べて確認する情報:敷地権利関係(登記事項証明書等)、都市計画法・建築基準法上の建築規制(道路斜線、北側斜線、接道状況等)、近隣の賃料・不動産相場、小規模宅地等の特例等の税務要件等。
解説
必要となる追加情報は、お客様から直接聞く事項と、FP自身が調べて確認する事項に分けて整理します。お客様の希望やライフプランは、本人に聞かないと分からないからです。一方、権利関係や法令上の制限、税務の要件は誰が調べても同じ客観的な情報なので、専門家であるFPが自分で調べます。この2つを混ぜずに分けることが、よい助言につながります。
解き方
- 設例の家族構成や就労・資産状況、相談内容から、Aさん・Bさん・Cさん夫妻に直接聞くべき意向や、足りていない情報を洗い出します。
- 建築・税制・不動産取引の観点から、役所での調査や登記の確認、税務上の特例の要件など、専門家として自分で調べて確認する客観的な情報を整理します。
答えの内訳
- ①:Aさんから直接聞いて確認する情報:二世帯住宅の建築に関する具体的な希望・間取り・予算規模、Cさん夫婦の自己資金や住宅取得等の意向・将来のライフプラン、Aさんの今後の役員退任・就労予定・退職金見込み、妻Bさんを含めた将来の財産承継・相続に関する意向など。
- 顧客自身の意思決定やライフプラン、家族の意向に関わる事項は、面談を通じて直接ヒアリングして確認する必要があります。
- ②:FP自身が調べて確認する情報:登記事項証明書や公図による土地建物の権利関係、用途地域や接道状況・道路幅員・日影規制等の建築基準法上の制限、敷地の地盤状況やインフラ状況、近隣地域の賃貸・売買相場、小規模宅地等の特例(二世帯住宅での区分所有登記の影響)や住宅資金贈与等の税務上の適用要件など。
- 法規制、公簿・現地調査、不動産市況、税制上の特例要件など客観的な法令・実務情報は専門家としてFP自身が調査・検証する必要があります。
覚えるポイント
- 面談ヒアリング事項(主観的意向)とFP自身による公法・税務調査事項(客観的情報)の二層で整理すること。
間違えやすいところ
- 建築基準法などの公法上の制限を、Aさんに直接確認する事項にしてしまったり、Aさんの将来の意向を自分で調べる事項に混ぜてしまうことです。
出題の前提:2023年度第3回FP1級実技試験(資産相談業務・PartII)出題条件
出典:金融財政事情研究会『2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月11日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅ローンの収入合算とペアローンの仕組み・メリット・デメリット
ライフプランニング・住宅資金 · 住宅ローン / 収入合算(連帯債務・連帯保証) / ペアローン
住宅ローンの「収入合算」および「ペアローン」について、それぞれの仕組みならびにメリット・デメリットを説明しなさい。
解答・解説を表示
解答
収入合算は1つのローン契約に主債務者と連帯債務者(または連帯保証人)として配偶者等の収入を合算する仕組みで、借入可能額が増える一方、連帯保証型では合算者は住宅ローン控除を受けられない。ペアローンは夫婦等がそれぞれ主債務者として2本のローンを組み互いに連帯保証人となる仕組みで、双方が住宅ローン控除や団信を利用できる一方、諸費用が2本分かかり返済負担が重くなるデメリットがある。
解説
共働き世帯が住宅ローンで多く借りる方法には、「収入合算」と「ペアローン」があります。収入合算は1つの契約に家族の収入を合算する方法で、ペアローンは夫婦がそれぞれ主債務者として別々に契約します。住宅ローン控除や団体信用生命保険(団信:返済中に死亡すると残りの借金が免除される保険)の適用、諸費用の負担が大きく違います。
解き方
- 収入合算は1つの契約で連帯保証型または連帯債務型、ペアローンは2つの契約で互いに連帯保証人になる、という仕組みの違いを説明します。
- 借入できる額、住宅ローン控除の対象、団体信用生命保険の加入、諸費用の4つの観点から、メリットとデメリットを整理して書きます。
覚えるポイント
- ペアローンは2本契約で双方に団信・住宅ローン控除適用、収入合算(連帯保証)は主債務者のみ控除・団信対象となる点。
間違えやすいところ
- 連帯保証型の収入合算で、収入を合算する人も住宅ローン控除を受けられると思い込んでしまうことです。
出題の前提:2023年度第3回FP1級実技試験(資産相談業務・PartII)出題条件
出典:金融財政事情研究会『2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月11日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
二世帯住宅を建築資金全額負担で区分所有登記した場合の課税上の問題点
不動産・タックスプランニング・相続 · 区分所有登記 / みなし贈与 / 小規模宅地等の特例
Aさんが建築資金を全額自己負担して自宅敷地に完全分離型の二世帯住宅を新築し、将来の相続を見据えて建替え後の建物を長女Cさんとの区分所有にした場合、生じる課税上の問題点について説明しなさい。
解答・解説を表示
解答
建築資金を負担していない長女Cさんに専有部分の取得に伴うみなし贈与として贈与税が課される問題と、二世帯住宅を区分所有登記すると将来の相続時に敷地全体について小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)の適用を受けられなくなる問題が生じます。
解説
建築資金を負担していない人に名義を持たせると、贈与税がかかります。実際の出資割合と違う登記をすると、お金を払わずに利益を受けたとみなされるからです(みなし贈与)。また、二世帯住宅を区分所有登記にすると、将来の相続で小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)が、亡くなった人の居住部分の敷地だけに限定されます。
解き方
- 建築資金を出した人(Aさんだけ)と建物の登記(AさんとCさんの区分所有)を比べ、お金を払わずに財産が移ったとみなされる贈与税のリスクを判断します。
- 将来Aさんが亡くなったときの小規模宅地等の特例の要件を確認し、区分所有登記にすると敷地全体に特例を使えるかを判断します。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 二世帯住宅を区分所有登記すると小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)で敷地全体が対象にならず不利になる。
- 建築資金の拠出割合と登記持分が一致しない場合はみなし贈与として贈与税が課税される。
間違えやすいところ
- 二世帯住宅で共有登記にする場合と、区分所有登記にする場合とで、相続税の特例の適用がどう違うかを混同することです。
- 親が建築資金を全額出しても、子の名義にしておけば贈与税がかからないと誤解することです。
出題の前提:2023年度第3回FP1級実技試験(2024年2月11日実施)Part II 設例・質問3
出典:金融財政事情研究会『2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月11日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
長女夫婦との同居・二世帯住宅建替えに関するAさんへのアドバイス
不動産・ライフプランニング・相続 · 二世帯住宅の登記形態 / 使用貸借 / 小規模宅地等の特例 / 生活ルール
共働きと子育てを希望して同居を希望する長女Cさんからの相談に対し、FPとしてAさんにどのようなアドバイスを行うべきかまとめなさい。
解答・解説を表示
解答
建物の所有名義をAさんの単独所有(またはCさん居住部分を使用貸借)として贈与税負担を回避し将来の小規模宅地等の特例適用を確保すること、完全分離型住宅の間取り工夫、生活費や光熱費の費用分担等の事前合意について助言します。
解説
親族で同居するときは、税務・プライバシー・費用分担・老後資金をバランスよく助言します。贈与税がかからないように名義を工夫し、相続税の負担も軽くできるようにします。それだけでなく、Dさんが気兼ねなく暮らせる間取りや、生活費のルール、Aさん夫婦の老後の生活資金の安全まで確認します。
解き方
- Cさん夫婦の希望(通勤・子育て支援・プライバシー)と、Aさん側の心配(Dさんの気疲れ・築年数・相続)を整理します。
- 税金のリスクをなくせる最適な名義の形(Aさんの単独所有・使用貸借(無償で貸して住まわせること))を提案します。
- 建築プラン、費用の負担、老後の資金計画、家族間のルールづくりについて、具体的な助言を網羅します。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 二世帯住宅で親の土地・親の資金なら、親の単独名義として子世帯には使用貸借とするのが税務上最も安全。
- 家族間の同居では生活費・固定資産税・光熱費などの分担ルールを事前に決めておくことがトラブル予防になる。
間違えやすいところ
- 税務の助言だけに偏り、Dさんへの配慮や子育て支援の体制、生活費の分担といった実際の生活面の助言を忘れてしまうことです。
- Aさんの老後の生活資金の確認を忘れ、建築資金を出すことによるリスクの検証を怠ることです。
出題の前提:2023年度第3回FP1級実技試験(2024年2月11日実施)Part II 設例・質問4
出典:金融財政事情研究会『2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月11日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
二世帯住宅への建替えと同居・税務上の留意点
不動産・相続・タックスプランニング · 二世帯住宅の建替え / 区分所有登記と共有名義 / 小規模宅地等の特例 / 住宅ローン(ペアローン・収入合算) / みなし贈与課税
Aさん(59歳)は妻Bさん(58歳)と東京都S区の戸建て住宅(敷地150㎡、築30年木造延べ130㎡)に暮らしている。家電メーカーに勤務する長女Cさん(26歳)は同僚の夫Dさん(27歳)と社宅住まいで半年後に第一子出産予定であり、職場復帰や育児援助、近隣マンション相場高騰・住宅ローン借入の負担を考慮し、Aさん夫妻との同居を希望している。Aさんは約1億円の金融資産を保有しており、建築資金を全額自己負担して自宅を完全分離型二世帯住宅へ建て替えること、将来の相続を見据えて建物を長女Cさんとの区分所有にすることを検討している。本事案について、FPへの質問事項(必要情報、住宅ローンの仕組み、税務上の問題点、アドバイス、関与する専門職業家)に適切に回答しなさい。
解答・解説を表示
解答
1.顧客の希望・就業・資金計画等の直接確認情報および公図・建築規制・周辺相場等の調査確認情報を収集する。2.収入合算(連帯保証型・連帯債務型)とペアローンの仕組み・メリット(借入額増・控除適用可否等)・デメリット(費用や返済リスク)を整理する。3.資金全額負担で区分所有登記を行うと、長女へのみなし贈与課税が発生し、将来の相続時に小規模宅地等の特例が長女居住部分の敷地に適用できなくなる問題を指摘する。4.区分所有ではなく単独所有(または出資比率に応じた共有)を助言し、税制特例や生活動線に配慮した設計を促す。5.税理士、司法書士、土地家屋調査士、一級建築士等の専門職業家と連携する。
解説
二世帯住宅では、建築資金の出資割合と登記の持分を一致させて、贈与税を防ぐことが大切です。また、将来の相続税では小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等:330㎡まで80%減額)が使えるかどうかが重要です。区分所有登記にすると特例が使える範囲が狭くなるため、名義の設計を慎重に考えます。
解き方
- 顧客から聞く事項(ライフプラン、予算、就労の予定)と、公法上の調査事項(用途地域、建蔽率・容積率、道路幅員、接道要件)を整理します。
- 住宅ローンの収入合算(連帯保証型・連帯債務型)とペアローンの特徴、住宅ローン控除・団信・諸費用の違いをはっきりさせます。
- 資金を出した人と名義が違う場合の贈与税のリスクと、区分所有登記が小規模宅地等の特例に与える悪い影響(特例の対象外)を、法令に基づいて特定します。
- 区分所有登記を避けて単独所有または共有名義にする提案や、完全分離型で同居のストレスを減らす助言をまとめ、必要な専門職業家(税理士、司法書士、建築士など)を挙げます。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 二世帯住宅で区分所有登記をすると、小規模宅地等の特例において同居親族部分の敷地が特例対象外となる。
- ペアローンは各人が主債務者となり双方で住宅ローン控除と団信が利用可能だが、手数料・印紙代等の諸費用が2契約分発生する。
間違えやすいところ
- 二世帯住宅が完全分離型でも、区分所有登記にせず共有登記や単独所有登記なら、敷地全体に小規模宅地等の特例を使える点を見落としやすいです。
- 親が建築資金を全額出して子の名義の持分を登記すると、持分に相当する金額に贈与税がかかることの確認を忘れやすいです。
出題の前提:2023年度第3回FP1級実技試験(資産相談業務・2024年2月11日実施)Part II設例
出典:金融財政事情研究会『2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月11日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月11日 PartI PartII・PartII)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月11日 PartI PartII・PartII)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

