日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月10日 PartI PartII・PartII)の概要
顧客への助言に必要な収集・確認情報の整理
不動産・相続 · 顧客ヒアリング / 物件調査 / 建設協力金方式
会社員のAさん(42歳)および母Bさん(66歳)に対し、所有する甲土地への乳幼児・小児用品店(X社)の建設協力金方式による出店提案について最適なアドバイスを行うにあたり、示された情報のほかに収集・確認すべき情報として、①Aさん(および家族)から直接ヒアリングして確認すべき事項、②FP自身が調査・確認すべき事項をそれぞれ整理して説明しなさい。
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解答
①Aさん・Bさんの農業専念の意向や収支見込み、退職金見込み、保有資産・負債の状況、将来の生活資金や相続・事業承継に対する希望。②甲土地の公図・登記事項証明書等の権利関係、現地調査や法的規制(接道状況・用途地域・都市計画・建築規制等)、近隣の賃料相場、テナント候補であるX社の信用力・業績状況。
解説
最適な提案には、顧客本人の意向と客観的な事実の両方をそろえることが欠かせません。まず、顧客本人の意向や資金計画などの主観的な要素は、ヒアリングで把握します。一方、不動産の権利関係や公法上の規制、相手企業の信用力などの客観的な要素は、FP自身が調査・検証します。
解き方
- Aさんから聞くべきこととして、就農したときの収支の見通し、退職金、生活資金、資産と負債の状況、相続についての考え方を整理します。
- FP自身が調べるべきこととして、土地の権利や法的な制限、インフラ、周辺の相場、出店を希望するX社の財務状態を整理します。
答えの内訳
- ①Aさんから直接聞いて確認する情報:Aさんの就農意欲・農業収支計画、会社退職に伴う退職金見込額、世帯の生活費や教育資金等の必要資金、母BさんおよびAさんの金融資産・負債状況、将来の遺産分割・事業承継方針。
- 相談者のライフプランや就農時の収支バランス、教育資金などの支出予定、保有資産・負債状況や将来の相続・承継に対する意向を把握することが適切な提案の前提となります。
- ②FPであるあなた自身が調べて確認する情報:甲土地の登記事項証明書・公図・地積測量図・固定資産税評価証明書、市道等の接道状況・道路幅員・インフラ整備状況、都市計画や用途地域規制、周辺の賃料相場、出店者であるX社の経営健全性や財務状況。
- 土地活用の実現可能性およびリスクを評価するため、不動産の権利関係、接道・用途制限等の法的規制、周辺の賃料水準、出店テナントの事業継続リスクを独自に調査・確認する必要があります。

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覚えるポイント
- ヒアリング事項は家族・家計・意向に関する情報、独自調査事項は権利・法規制・相手先信用力に大別して整理する。
間違えやすいところ
- すでに設例に書かれている情報(家族構成、年齢、土地面積など)を重ねて書かないよう気をつけます。
出題の前提:2023年度第3回FP1級実技試験(資産相談業務)PartIIの設例および出題条件。
出典:金融財政事情研究会『2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月10日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
用途地域がまたがる敷地における建築可否判定
不動産 · 用途規制の過半主義 / 第一種低層住居専用地域 / 建築基準法第91条
甲土地(敷地面積1,100㎡)にX社が希望する鉄骨造平屋建て・延べ面積500㎡の乳幼児・小児用品店舗を建築することはできるか。用途地域の適用ルールを踏まえて建築の可否を説明しなさい。
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解答
建築することはできない。敷地が複数の用途地域にまたがる場合、用途制限は敷地の過半が属する地域の規定が適用されるところ、甲土地は過半(700㎡/1,100㎡)が第一種低層住居専用地域に属しており、同地域では物品販売店舗の建築が原則として認められていないためである。
解説
敷地が2以上の異なる用途地域にまたがるときは、敷地の過半が属する地域の制限が敷地の全部に適用されます。これを「過半主主義」といいます。用途制限(建築物の用途に関する制限)は、この過半主主義で決まります。
解き方
- 甲土地の面積の内わけを確認します。近隣商業地域が400㎡、第一種低層住居専用地域が700㎡で、過半(700㎡÷1,100㎡≒63.6%)が第一種低層住居専用地域です。
- 建築基準法第91条により、敷地全体に第一種低層住居専用地域の用途制限が適用されることを確認します。
- 第一種低層住居専用地域の用途制限の一覧(参考表)と照らし合わせ、延べ面積500㎡の店舗は建築できないと結論づけます。
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覚えるポイント
- 用途規制は「過半主義」(敷地の過半が属する地域の制限を全体に適用)、建蔽率・容積率は「加重平均」(按分計算)となる点を取り違えない。
間違えやすいところ
- 建物を近隣商業地域側に寄せれば建てられると、まちがえやすいです。しかし、ひとつの敷地として扱うかぎり、敷地全体の過半の地域の制限が適用されます。分筆などの手続きをしないかぎり建築できません。
出題の前提:建築基準法第48条(用途地域等)、第91条(建築物の敷地が区域、地域又は地区の内外にわたる場合の措置)。
出典:金融財政事情研究会『2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月10日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建設協力金方式による店舗建築における建築主名義の検討
不動産・相続 · 建設協力金方式 / 貸家建付地 / 相続税対策 / 所得分散
甲土地にX社が希望する店舗を建築する場合、Aさんと母Bさんのどちらの名義で建築するのがよいか、それぞれのメリット・留意点および判断の理由を説明しなさい。
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解答
母Bさん名義(相続税の軽減効果を重視)またはAさん名義(Aさんの生計維持・生活基盤確立と資産の世代間移転を重視)のいずれかが考えられ、相談者の意向や優先課題に応じて選択する。
解説
建物をだれの名義で建てるかは、何を優先するかで結論が変わります。相続税対策(土地の評価減や債務控除)を優先するか、所得税対策や生活設計(賃料収入の帰属や生計の安定)を優先するかで分かれます。
解き方
- 母Bさん名義にした場合の良い点(貸家建付地評価、建物の評価減、建設協力金の債務控除)と悪い点(母Bさんに資産が集中する)を整理します。
- Aさん名義にした場合の良い点(就農後の生計の維持、資産の早い世代間移転)と悪い点(土地の評価減の制限や使用貸借にともなう注意点)を比べます。そのうえで助言をまとめます。
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覚えるポイント
- 母名義は貸家建付地評価減や建設協力金の債務控除が使えるため相続税圧縮効果が高い。
- 子名義は就農後の生活基盤確保や親への現預金蓄積防止(世代間移転)に有効である。
間違えやすいところ
- どちらか一方だけが正解だと決めつけません。両方の良い点と悪い点を筋道立てて説明できるように準備します。
出題の前提:2024年2月10日実施のFP1級実技試験(資産相談業務・PartII)の出題条件に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月10日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
本事案に関与する専門職業家
FP倫理・関連法規 · 士業連携 / 専門職業家 / 業務範囲
本事案(土地活用、建設協力金方式による店舗建築、農業従事、相続・税務対策)に関与する専門職業家を具体的に挙げ、その役割を説明しなさい。
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解答
税理士、司法書士、土地家屋調査士、一級建築士、弁護士など。
解説
ファイナンシャル・プランナーは関連法規を守り、自分の業務範囲をこえることはしてはいけません。税務申告、登記申請、個別具体的な法律判断、設計監理などは、自分の業務範囲を超えます。これらは、それぞれの専門職業家と連携して顧客を支援します。
解き方
- 設例のなかから課題(税務、登記、建築法規、契約書、測量など)を拾い出します。
- それぞれの課題に対応する専門職業家(税理士、司法書士、土地家屋調査士、建築士、弁護士など)を挙げ、具体的な関わり方を整理します。
覚えるポイント
- 税理士(税務・申告)、司法書士(権利の登記)、土地家屋調査士(表題登記・境界確定)、建築士(設計・建築確認)、弁護士(契約書作成・紛争予防)の5大士業を押さえる。
間違えやすいところ
- 資格の名前を並べるだけでは足りません。設例の内容(建設協力金、用途地域にまたがる建築、賃貸借契約など)に合った具体的な役割も一緒に述べます。
出題の前提:2024年2月10日実施のFP1級実技試験(資産相談業務・PartII)の出題条件に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月10日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月10日 PartI PartII・PartII)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2024年2月 1級 実技(資産相談業務・2月10日 PartI PartII・PartII)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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