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FP技能検定 · 学習ガイド

2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月18日 PartI PartII・PartI)の問題・解答解説

日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。

2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月18日 PartI PartII・PartI)の概要
30:00

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事業承継と株式等保有特定会社への対策・承継体制の検討

事業承継・資産承継 · 事業承継 / 自社株評価 / 株式等保有特定会社 / 親族内承継 / 遺留分対策

自動車部品製造業を営む非上場会社X社の代表取締役社長Aさん(70歳)は、業界の変革期(EV化等)に伴い、後継者へのバトンタッチを考えている。長男Cさん(43歳・製造部門一筋)と中途採用の経営企画室長Eさん(45歳)の体制、自社株評価(株式等保有特定会社該当)、親族(妻Bさん、芸能活動中の長女Dさん)への配慮、M&A仲介からの打診等がある。これらを踏まえ、設例における相談内容と問題点、解決策、具体的提案・留意点、およびFPの職業倫理について述べなさい。

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解答

相談内容・問題点として後継者選定と経営体制の構築、自社株の評価引下げ(株式等保有特定会社の離脱)と税負担軽減、長女への遺留分配慮が挙げられる。解決策として株式等保有特定会社の解消、事業承継税制等の活用、役員退職金の支給、二頭体制の構築や遺言作成等を提案する。職業倫理として顧客利益の優先や専門家との連携を重視する。

解説

同族会社の事業承継では、経営承継(後継者選定と経営体制の整備)と財産承継(自社株の評価引下げ・移転・納税対策)を両輪で進める必要があります。特に保有資産に株式が多い会社は特定評価会社(株式等保有特定会社)に該当し、割高な純資産価額方式等での評価を強いられるため、資産構成を見直して通常の大会社・中会社の評価方式へ移行させることが有効な自社株対策となります。

解き方

  1. 顧客の現状(経営状況、後継者候補の適性、自社株評価、親族構成)から問題点を抽出する。
  2. 株式等保有特定会社の判定基準(株式等の保有割合が総資産の50%以上)と離脱方法(売却や事業用資産の取得等)を検討する。
  3. 類似業種比準価額の適用、役員退職金の支給、事業承継税制の適用などによる税負担軽減策を策定する。
  4. 長男CさんとE室長の経営分担体制、長女Dさんへの遺留分対策(遺言、生命保険)を組み合わせた総合提案をまとめる。

答えの内訳

設例の顧客の相談内容および問題点として、どのようなことが考えられるか。:①後継者の決定と経営承継体制(製造が得意な長男Cさんと経営戦略に長けた室長Eさんの役割分担等)、②X社株式の相続税評価額が高額(純資産価額15,000円/株)で自社株承継時の税負担が大きいこと、③X社が「株式等保有特定会社」に該当しており類似業種比準価額を直接使えないこと、④長女Dさんへの遺留分等を含む親族間の財産配分・遺産分割対策、⑤M&Aの検討可能性の是非。
長男Cさんは管理や対外交渉に不安があり、E室長との体制づくりが必要です。また自社株式10万株の純資産価額は15億円に上り、株式等保有特定会社から外れないと類似業種比準価額(5,000円)が適用できず税負担が過大になります。
それらの相談内容および問題点を解決するために、どのような提案・方策が考えられるか。:①余剰資産で保有する株式の売却等による「株式等保有特定会社」からの離脱と株価引下げ、②法人版事業承継税制(特例措置)の適用検討、③役員退職金支給による株価引下げとAさんの老後資金確保、④長男Cさんを代表取締役社長・Eさんを専務等の役員とする共同経営体制の構築、⑤遺言書の作成および生命保険等を活用した長女Dさんへの代償資金・遺留分対策。
総資産に占める株式等保有割合を50%未満に是正して特定会社を外すことで大会社区分による類似業種比準価額が適用可能となります。さらに後継者体制の整備と遺留分紛争防止を並行して進める必要があります。
それらの方策(解決策)のなかで、何を顧客に提案するか。その理由・留意点は何か。:【提案】まずはX社が保有する株式等の整理・売却等を行って「株式等保有特定会社」から離脱し、類似業種比準価額の適用により自社株評価を大幅に引き下げた上で、長男Cさんへの事業承継税制活用や生前贈与を進めること。 【理由】大会社であるX社は特定会社から外れれば類似業種比準価額(5,000円/株)を原則100%適用でき、評価額が純資産価額(15,000円/株)の3分の1に圧縮され移転コストが激減するため。 【留意点】株式売却に伴う法人税等の発生、事業承継税制の認定経営革新等支援機関の関与や報告義務、長女Dさんの遺留分侵害防止への配慮が必要となる点。
大会社の原則的評価方式を活かすための資産構成見直しが最優先となります。株式売却時の売却益課税や後継者間の役割分担合意の取り付けが重要な留意点です。
FPと職業倫理について、どのようなことが考えられるか。:①顧客利益の優先(AさんおよびX社にとって最善の承継スキームを提案すること)、②守秘義務の遵守(会社の機密情報や親族関係のプライバシーを厳重に保護すること)、③説明責任(アカウンタビリティ)とインフォームド・コンセント(複雑な税制やリスクを丁寧に説明し納得を得ること)、④コンプライアンスの遵守と専門家連携(税務・法務判断において税理士や弁護士と適切に提携すること)。
FP業務においては、自社株対策や事業承継特例に関する税務相談等は税理士業務に抵触しないよう留意し、他士業と適切に協業して顧客の最善の利益を追求する倫理が不可欠です。

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覚えるポイント

  • 株式等保有特定会社は大会社であっても類似業種比準方式を原則使えず、純資産価額方式またはS1+S2方式となるため株価が高止まりしやすい。
  • 大会社は原則として類似業種比準価額を100%適用できるため、特定会社からの離脱効果が極めて高い。

間違えやすいところ

  • 株式等保有特定会社の株価引き下げ対策を行わないまま事業承継税制や贈与を実行しようとすること。
  • 長男だけに目を向け、自社に関心がない長女Dさんの遺留分侵害リスクへの対策を失念すること。

出題の前提:2023年度第1回(2023年6月18日実施)FP1級実技試験(資産相談業務)PartⅠ設例

出典:金融財政事情研究会『2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月18日 PartI PartII・PartI)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)

2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月18日 PartI PartII・PartI)

参照した公式資料

金融財政事情研究会が公開した2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月18日 PartI PartII・PartI)の問題・解答資料です。

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