日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月17日 PartI PartII・PartII)の概要
相談者からのヒアリング情報およびFP自身の調査事項
不動産 · 顧客ヒアリング / 不動産調査 / 収用 / 等価交換
設例に基づき、Aさんに対して最適なアドバイスを行うために、示された情報のほかに必要とされる情報について、「①Aさんから直接聞いて確認する情報」および「②FPであるあなた自身が調べて確認する情報」に整理して説明しなさい。
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解答
①Aさんから直接確認する情報:家族(妻や長女)の等価交換マンションへの入居や将来のライフプランに関する意向、賃貸アパート経営への関与・承継の意思、乙土地の取得費(父親の借地権買受時の書類等)や保有資産の状況など。②FP自身が調べて確認する情報:甲・乙・丙土地の登記事項証明書や公図等の権利関係、都市計画事業(買収スケジュールや補償金内訳等)の詳細、紹介アパートのレントロールや修繕履歴・周辺需要、Y社の等価交換事業計画の実現性・周辺相場など。
解説
不動産コンサルティングにおいては、相談者の意向・ライフプラン・税務関連資料をヒアリングするとともに、公的書類や現地調査を通じて権利関係・公法上の規制・市場動向などの客観的事実を網羅的に把握・分析することが不可欠です。
解き方
- 設例の状況から、Aさんの意向・家族の意向、税務計算に必要な取得費や資金面など直接確認すべき項目を整理する。
- 不動産の権利関係、都市計画事業の内容、提示されたアパートや等価交換計画の妥当性などFPが独自に調査すべき項目を整理する。
答えの内訳
- ①Aさんから直接聞いて確認する情報:・家族(妻Bさん、長女Cさん)の意向(等価交換マンションへの居住希望、賃貸事業への賛否、将来の資産承継等) ・今後のライフプランや家計・資産状況(定年後の生活設計、金融資産残高、退職金見込み等) ・乙土地の過去の取得費・取得時期(父親が3,000万円で買い取った際の売買契約書等の有無、父親からの相続税申告内容等) ・紹介された賃貸アパートの購入や賃貸経営に対する意欲・リスク許容度 ・甲土地の等価交換における希望条件(自宅専有面積、取得する部屋の間取りや階数、賃貸用床の保有希望等)
- 相談者本人のみならず同居家族の意向や将来設計を確認し、土地の税務上の取得費の有無や投資に対するスタンスを把握することが重要です。
- ②FPであるあなた自身が調べて確認する情報:・甲土地、乙土地、丙土地の登記事項証明書、公図、地積測量図等による権利関係の確認 ・現地確認による土地および隣接地・道路の現況、周辺環境の調査 ・都市計画法および建築基準法等の法的規制(建蔽率、容積率、斜線制限、42条1項4号道路の運用状況等) ・S市による都市計画道路事業の事業計画、買収スケジュール、補償金内訳(対価補償金、移転補償金等)の詳細 ・紹介された賃貸アパートのレントロール、賃貸借契約書、稼働状況、維持管理・修繕履歴、周辺の賃貸需給動向 ・等価交換事業におけるY社の事業採算性、信用度、周辺の新築マンション相場および交換比率・評価額の妥当性
- 不動産の権利・法令制限、都市計画事業の具体的な諸条件、紹介された投資物件の実態、および等価交換事業の妥当性を公的資料や現地調査・市場データから検証する必要があります。

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覚えるポイント
- ヒアリング項目(主観的情報・意向)と調査項目(客観的情報・事実確認)を明確に分けて整理する。
間違えやすいところ
- 税金計算のための取得費確認(過去の売買契約書の有無など)の視点が抜けてしまうこと。
出題の前提:2023年6月17日実施 1級ファイナンシャル・プランニング技能検定 実技試験(資産相談業務)PartII
出典:金融財政事情研究会『2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月17日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
収用等の場合の譲渡所得の課税の特例
不動産 · 収用特例 / 代替資産の取得 / 5000万円特別控除 / 譲渡所得
設例において、都市計画道路事業による乙土地の売却資金で紹介された賃貸アパートを購入する場合、譲渡所得の金額の計算上、どのような特例の適用が考えられるか説明しなさい。
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解答
①収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(租税特別措置法第33条)による課税の繰り延べ、または②収用交換等の場合の5,000万円特別控除の特例(租税特別措置法第33条の4)のいずれかの選択適用が考えられる。
解説
公共事業等のために土地建物が収用等された場合、対価補償金について「収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(課税の繰延べ)」または「5,000万円特別控除の特例」のいずれかを選択適用して税負担を軽減することができます。
解き方
- 都市計画事業による土地売却が「収用等」に該当することを確認する。
- 収用対価で事業用資産(賃貸アパート)を購入することから「代替資産を取得した場合の課税の特例(措置法33条)」の適用を検討する。
- 代替資産特例と選択関係にある「5,000万円特別控除の特例(措置法33条の4)」の適用可能性および重複適用の不可について整理する。
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覚えるポイント
- 収用等の特例における「代替資産の買換えの特例」と「5,000万円特別控除」は重複適用できず、選択適用となる。
間違えやすいところ
- 買換資産の購入額(8,000万円)が譲渡対価(9,000万円)未満である場合、全額非課税になるわけではなく差額部分に課税が生じる点を見落とすこと。
出題の前提:2023年6月17日実施 1級ファイナンシャル・プランニング技能検定 実技試験(資産相談業務)PartII
出典:金融財政事情研究会『2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月17日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
等価交換による共同開発の理由と土地評価の妥当性判断
不動産 · 等価交換方式 / 土地有効活用 / 不動産の鑑定評価
設例において、不動産会社Y社が甲土地を取り込んでファミリータイプマンションの共同開発を望む理由と、Y社が提示した甲土地の評価額(1億9,000万円)が適正であるかをどのように判断すべきか説明しなさい。
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解答
共同開発を望む理由:丙-1土地(510㎡)に甲土地(255㎡)を取り込むことで敷地面積が765㎡に拡大し、南側道路の間口も30mから45mへと大幅に広がるため、配棟計画や日照・採光、エントランスや駐車場の配置の自由度が高まり、ファミリータイプ38戸のスケールメリットを活かした高収益・高付加価値のマンション開発が可能となるため。適正性の判断方法:路線価や公示地価等に基づく水準確認、近隣の取引事例比較法やマンション素地としての開発法・収益還元法による検証、不動産鑑定士による鑑定評価の活用、さらに等価交換により取得できる専有床(290㎡)の資産価値と甲土地評価額のバランスの確認によって判断する。
解説
デベロッパーによる等価交換事業では、隣地を統合して画地規模を拡大・整形化することで、容積率の有効消化や配棟の自由度向上といった規模の利益が生じます。土地の評価額は事業収支を左右するため、公的指標や鑑定手法に基づいて適正性を検証する必要があります。
解き方
- 敷地統合による規模拡大や間口拡大が建築プラン・事業採算に与えるメリットを整理する。
- 提示された評価額が近隣相場や開発素地価格として妥当かを検証する手法(公的価格比較、鑑定評価、還元床価値確認)を整理する。
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覚えるポイント
- 隣地統合による等価交換では、間口拡大や整形化による配棟自由度の向上とスケールメリットが開発側の大きな利点となる。
- 等価交換の評価額は、不動産鑑定評価(開発法等)や取得できる還元床の市場価値から妥当性を判断する。
間違えやすいところ
- 路線価のみで単純比較して割高・割安を判断せず、マンション開発用地としての開発法や収益性を考慮する必要がある点を見落としやすい。
出題の前提:2023年度第1回FP1級実技試験(資産相談業務・2023年6月17日)Part II 設例・質問事項3
出典:金融財政事情研究会『2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月17日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
本事案に関与する専門職業家
関連法規・FP実務 · 専門職業家の役割 / 関連法規の遵守 / FP実務
設例の事案(乙土地の公共用地買収・代替アパート購入、および甲土地の等価交換によるマンション共同開発など)に関与する専門職業家を挙げ、それぞれの具体的な役割について説明しなさい。
解答・解説を表示
解答
関与する主な専門職業家: 1. 税理士:公共用地買収に伴う譲渡所得の特例(5,000万円特別控除や買換特例)、等価交換における課税の特例の適用要件の判定および確定申告書の作成・提出代行。 2. 不動産鑑定士:甲土地の適正な評価額の算出および等価交換比率(還元床面積の配分割合)の鑑定評価・妥当性検証。 3. 土地家屋調査士:甲土地・乙土地・丙土地の境界確定測量、現況測量、分筆・合筆登記や建物表題登記の申請代行。 4. 司法書士:乙土地の移転登記、代替アパートの所有権移転登記、等価交換後の新築マンション敷地権設定や専有部分の所有権保存登記などの申請代行。 5. 一級建築士:共同開発マンションの設計、建築プラン・配棟計画の確認、自宅部分(最上階100㎡)の設計監理。 6. 弁護士:Y社との等価交換事業契約書や協定書の精査、権利義務関係の調整・法的なトラブル防止。
解説
ファイナンシャル・プランナーは顧客の抱える課題を総合的に把握しつつ、独占業務に抵触しない範囲で企画・提案を行い、各分野の独占業務に関しては税理士、弁護士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士等の専門家と適切に連携・協働する必要があります。
解き方
- 本事案で発生する実務手続き(税務特例申告、土地評価、境界確定、登記、建築設計、契約締結等)を洗い出す。
- それぞれの手続きを担当する専門職業家(税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士、一級建築士、弁護士)とその役割を具体的に記述する。
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覚えるポイント
- 税理士:具体的な税務相談・申告書の作成代行(税理士法)。
- 司法書士:権利関係の登記申請代理(司法書士法)。土地家屋調査士:表示に関する登記・境界測量。
間違えやすいところ
- 単に専門職の名称を並べるだけでなく、設例の具体的な事案(収用の特例、等価交換契約、区分所有建物の登記など)に即した役割を明記し忘れること。
出題の前提:2023年度第1回FP1級実技試験(資産相談業務・2023年6月17日)Part II 質問事項4
出典:金融財政事情研究会『2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月17日 PartI PartII・PartII)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月17日 PartI PartII・PartII)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月17日 PartI PartII・PartII)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

