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FP技能検定 · 学習ガイド

2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月10日 PartI PartII・PartI)の問題・解答解説

日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。

2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月10日 PartI PartII・PartI)の概要
30:00

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事業承継対策・自社株買い取り・教育資金贈与および新NISA

資産承継・事業承継 · 事業承継税制 / 自社株対策 / 自己株式の取得 / 教育資金の一括贈与非課税制度 / 新しいNISA制度 / 小規模宅地等の特例 / FP倫理

電子部品製造業を営む非上場会社X社の代表取締役社長Aさん(75歳)は、3年後をめどに後継者である長男Cさん(45歳・取締役)への経営承継を予定している。自社株式はAさんが50%、Cさんが20%、共同創業者で同時退任を予定している専務Eさん(75歳)が30%を保有している。Aさんは暦年贈与による株移転を続けてきたが税制改正を不安に思っており、またEさん保有株式の買い取り対応に悩んでいる。資産面では、長女Dさんの子3人への教育資金援助や、来年(2024年)から拡充される新NISAへの関心、高額な相続税負担の懸念がある。設例に基づき、顧客の相談内容・問題点、解決策、優先提案とその留意点、FPの職業倫理について論述しなさい。

解答・解説を表示

解答

相談内容・問題点として後継者への自社株集中と納税資金、Eさんからの株式集約資金、長女Dさんへの教育資金援助、新NISA等の資産運用、および将来の相続税・遺産分割対策が挙げられる。解決策として法人による自己株式取得や事業承継税制(特例承継計画)、教育資金一括贈与特例、新NISA活用、小規模宅地等の特例適用等を提案する。最優先提案はEさん保有株式の買い取りと自社株承継であり、専門家と連携した顧客第一の助言と守秘義務の遵守が重要である。

解説

非上場会社において円滑な事業承継を実施するには、経営権の集中(議決権株式の集約)、株価対策、後継者の納税資金確保を一体で進める必要があります。さらに、後継者以外の親族への配慮(遺産分割対策・教育資金援助等)を行い、争族を未然に防ぐ総合的なライフプラン・資産承継計画の策定が不可欠です。

解き方

  1. 顧客の家族構成、会社の経営状況(株主構成、株価、業績等)、保有資産・推定相続税額を整理し、現状の課題を特定する。
  2. 事業承継(自社株集約・承継税制)、親族への資金移転(教育資金贈与)、資産運用(新NISA)に関する具体的解決策を検討し、優先順位と留意点を策定する。

答えの内訳

設例の顧客の相談内容および問題点として、どのようなことが考えられるか。:①長男Cさんへの円滑な事業承継・自社株移転と、税制改正(生前贈与加算期間の延長等)に伴う暦年贈与の見直し。 ②同時退任予定の専務取締役Eさんが保有するX社株式30%の買い取り資金の手当ておよび買い取り主体(X社または長男Cさん)の決定。 ③長女Dさんの子どもたち(孫3人)に対する教育資金の援助方法。 ④2024年から拡充される新NISAの仕組み・活用方法の理解。 ⑤Aさんの相続財産が5億1,000万円と多額であり、将来の相続税負担(約1億3,500万円)への対策、納税資金の確保、および長男Cさんと長女Dさんの遺産分割の公平性(争族対策)。
経営権を長男Cさんに集中させるための株式集約に加え、Eさんへの対価支払いやAさんの高額な相続税・遺産分割対策が同時に求められる複合的な問題点を整理します。
それらの相談内容および問題点を解決するために、どのような提案・方策が考えられるか。:①Eさん保有株式30%の集約:X社による自己株式の取得(みなし配当課税等の税務面の確認、財源規制・資金調達の検討)や、長男Cさん個人による買い取り支援。 ②Aさん保有株式の承継:法人版事業承継税制(特例措置)の特例承継計画の提出・適用検討、または相続時精算課税制度・暦年課税の計画的活用。 ③教育資金援助:「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」(受贈者1人あたり最大1,500万円)の活用、または必要な都度直接支払う都度贈与の実施。 ④資産運用:2024年以降の新NISA(つみたて投資枠・成長投資枠の併用、生涯投資枠1,800万円、非課税保有期間の無期限化)を活用した長期分散運用。 ⑤相続税・相続対策:Aさんの退任に伴う役員退職金の支給(退職所得控除による所得税軽減およびX社株価の引き下げ)、本社土地への小規模宅地等の特例(特定同族会社事業用宅地等として400㎡まで80%減額)の適用検討、公正証書遺言の作成。
事業承継(自社株集約・特例承継計画)、親族間対策(教育資金特例・遺言)、税負担軽減(退職金・小規模宅地等)の多面的な制度活用を網羅して提示します。
それらの方策(解決策)のなかで、何を顧客に提案するか。その理由・留意点は何か。:【提案内容】 専務取締役Eさんからの自社株買い取り方針の決定(X社による自己株式取得)と、長男Cさんへの自社株集中に向けた事業承継計画(特例承継計画の策定)を最優先で提案する。 【理由】 3年後の社長交代時にEさんも退任を希望しており、30%の重要議決権を持つ株式が分散・社外流出することを防ぐことが経営基盤の安定化に不可欠であるため。 【留意点】 会社が自己株式を取得する場合、会社法上の分配可能額の範囲内で行う必要があり、資金調達計画が必要となる。また、Eさん側でみなし配当課税(総合課税で高税率となる可能性)が生じるリスクがあるため事前に試算すること。さらに、特例承継計画の提出期限や雇用確保・認定取消事由などの事業承継税制の要件を慎重に確認する必要がある。
Eさんの退任時期が明確に定められているため、経営権の安定確保に向けた自社株買い取りと事業承継税制の活用が最優先課題となり、分配可能額等の法的・税務的留意点を押さえる必要があります。
FPと職業倫理について、どのようなことが考えられるか。:①顧客第一主義(顧客の意向と利益を最優先にし、最適なプランを立案する) ②守秘義務の遵守(業務上知り得た顧客および会社の財務・個人情報を厳格に保護・管理する) ③説明義務・インフォームドコンセント(提案内容、メリット・デメリット、リスクを平易かつ丁寧に説明し、顧客の十分な納得と同意を得る) ④コンプライアンス(法令遵守:弁護士法、税理士法、金融商品取引法等に抵触しないよう留意する) ⑤能力の啓発・専門職連携(最新の税制改正等を常に研鑽し、具体的な税額計算や株式譲渡契約等は税理士・弁護士等の専門家と緊密に連携して進める)
FP実務において厳守すべき倫理規範として、顧客利益の最優先、情報管理、関連法規の遵守および専門家ネットワークとの適切な協業姿勢を説明します。

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覚えるポイント

  • 法人版事業承継税制の特例措置は議決権株式の全株を対象に納税猶予割合が100%となる。
  • 自己株式の取得に際しては会社法上の分配可能額の規制およびみなし配当課税の発生に留意する。
  • 小規模宅地等の特例(特定同族会社事業用宅地等)は400㎡まで80%減額が可能である。

間違えやすいところ

  • X社が本社土地を無償返還届出書を提出して通常の地代を支払って借りているため、土地は自用地ではなく貸付事業用等の評価(特定同族会社事業用宅地等として小規模宅地の特例対象となり得る)となる点を見落とすこと。
  • 自己株式取得において、みなし配当が生じると譲渡益課税(約20%)ではなく総合課税の高税率が適用される可能性がある点に注意しないこと。

出題の前提:2023年6月実施の1級FP技能検定実技試験(資産相談業務)の出題条件および施行法令に基づく。

出典:金融財政事情研究会『2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月10日 PartI PartII・PartI)』
公式問題 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)

2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月10日 PartI PartII・PartI)

参照した公式資料

金融財政事情研究会が公開した2023年6月 1級 実技(資産相談業務・6月10日 PartI PartII・PartI)の問題・解答資料です。

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