日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2023年5月 1級 学科(応用編)の概要
雇用保険の基本手当の所定給付日数および高年齢再就職給付金
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険法 / 基本手当 / 所定給付日数 / 高年齢再就職給付金
定年退職後の生活設計を検討しているAさん(1963年11月25日生まれ、雇用保険の一般被保険者期間は1986年4月から定年退職時まで37年以上)に対する、雇用保険の基本手当の所定給付日数および高年齢再就職給付金に関する説明文の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 150(日) ② 1(年) ③ 15(%) ④ 4(カ月)
解説
定年退職による離職は自己都合退職と同様に一般受給資格者として扱われ、算定基礎期間に応じた基本手当の所定給付日数が決定されます。また、基本手当の受給中に60歳以上65歳未満で再就職して賃金が低下した場合は、支給残日数に応じて高年齢再就職給付金を受給できます。
解き方
- 被保険者期間(37年以上)および定年退職(一般離職者)の条件から、基本手当の所定給付日数(150日)を判定する。
- 所定給付日数から取り得る支給残日数(100日以上200日未満)に基づき、高年齢再就職給付金の支給期間(1年)を特定する。
- 賃金低下率61%未満の場合の高年齢再就職給付金の給付率(15%)および申請期限(4カ月以内)の規定を適用する。
答えの内訳
- ①:150
- 定年退職等の一般離職者の基本手当の所定給付日数は、被保険者であった期間が20年以上の場合、150日となります。
- ②:1
- 高年齢再就職給付金は、再就職日前日における基本手当の支給残日数が100日以上200日未満の場合は1年、200日以上の場合は2年が支給期間となります。Aさんの所定給付日数は150日であるため、支給残日数は最大でも150日となり支給期間は1年です。
- ③:15
- 高年齢再就職給付金の支給額は、再就職後の各支給対象月に支払われた賃金が基本手当日額算定時の賃金月額の61%未満に低下している場合、賃金額の15%相当額となります。
- ④:4
- 高年齢再就職給付金の支給申請は、再就職後の支給対象月となった月の初日から起算して4カ月以内に行う必要があります。
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覚えるポイント
- 一般離職者で被保険者期間20年以上の所定給付日数は150日です。
- 高年齢再就職給付金の支給期間は支給残日数が100日以上で1年、200日以上で2年となります。
間違えやすいところ
- 倒産・解雇等による特定受給資格者の所定給付日数と混同しないように注意が必要です。
- 高年齢雇用継続基本給付金(2年間)と高年齢再就職給付金の支給期間要件を取り違えやすいため注意が必要です。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の再就職手当および就業促進定着手当の要件・支給額・申請手続
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険法 / 再就職手当 / 就業促進定着手当 / 支給要件
定年退職後の再就職を検討しているAさんに対する、雇用保険の就業促進手当(再就職手当および就業促進定着手当)の受給要件、給付率、支給上限額および支給申請手続に関する説明文の空欄①~⑥に入る最も適切な数値を求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 1(年) ② 70(%) ③ 1(カ月) ④ 6(カ月) ⑤ 40(%) ⑥ 2(カ月)
解説
基本手当の受給資格者が早期に再就職した場合、支給残日数に応じて再就職手当が支給されます。さらに、再就職先で6カ月以上継続雇用され、賃金が離職前より低下している場合には、定着を支援するために就業促進定着手当が支給されます。
解き方
- 再就職手当の受給要件である雇用見込み期間(1年超)および申請期間(就職日翌日から1カ月以内)を確認する。
- 支給残日数に応じた給付率(3分の2以上なら70%)を特定する。
- 就業促進定着手当の要件である継続雇用期間(6カ月)、給付率60%時の上限計算割合(40%)、申請期限(6カ月経過後2カ月以内)を整理して当てはめる。
答えの内訳
- ①:1
- 再就職手当の対象となる職業は、1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業である必要があります。
- ②:70
- 再就職手当の給付率は、再就職日前日における支給残日数が所定給付日数の3分の2以上ある場合は70%(3分の1以上3分の2未満の場合は60%)となります。
- ③:1
- 再就職手当の支給申請は、原則として再就職した日の翌日から1カ月以内に行わなければなりません。
- ④:6
- 就業促進定着手当は、再就職手当の受給者が同一の事業主に6カ月以上雇用され、6カ月間の賃金日額が離職前の賃金日額を下回る場合に支給されます。
- ⑤:40
- 就業促進定着手当の上限額算定式における割合は、再就職手当の給付率が60%の場合は40%(給付率が70%の場合は30%)となります。
- ⑥:2
- 就業促進定着手当の支給申請は、再就職した日から6カ月目に当たる日の翌日から起算して2カ月以内に行う必要があります。
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覚えるポイント
- 再就職手当の給付率は支給残日数3分の2以上で70%、3分の1以上3分の2未満で60%です。
- 就業促進定着手当の支給限度額は「基本手当日額×残日数×(100%-再就職手当給付率)」となります。
間違えやすいところ
- 再就職手当の申請期限(1カ月以内)と就業促進定着手当の申請期限(2カ月以内)を混同しないよう注意が必要です。
- 就業促進定着手当の上限割合は、再就職手当が70%受給の場合は30%、60%受給の場合は40%となる関係を正確に把握してください。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢給付の繰上げ請求に伴う老齢基礎年金および老齢厚生年金の支給額計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 繰上げ受給 / 経過的加算
Aさん(1963年11月25日生まれ)が、X社を60歳で定年退職し、再就職せずに2023年12月に公的年金の老齢給付の繰上げ支給を請求した場合における、繰上げ請求時の老齢給付の年金額(2022年度価額)について、次の①および②を求めなさい。計算にあたっては円未満を四捨五入し、円単位で解答すること。 ① 繰上げ支給の老齢基礎年金の年金額 ② 繰上げ支給の老齢厚生年金の年金額(本来水準による価額) 〈条件〉 ・厚生年金被保険者期間:総報酬制導入前204月、導入後248月(計452月) ・平均標準報酬月額(導入前):36万円、平均標準報酬額(導入後):58万円 ・乗率:導入前7.125/1,000、導入後5.481/1,000 ・経過的加算の計算式:1,621円×被保険者期間の月数-777,800円×(1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚年被保険者月数/480) ・老齢基礎年金満額:777,800円 ・加給年金額:388,900円(要件を満たす場合のみ加算) ・学生時代の国民年金任意加入納付済期間:29月
解答・解説を表示
解答
① 594,239円 ② 1,003,538円
解説
公的年金を65歳前に繰上げ請求する場合、請求月から65歳到達月の前月までの月数に応じて年金額が減額されます。2022年4月以降に60歳に到達する者(1962年4月2日以後生まれ)の減額率は1月あたり0.4%です。老齢厚生年金を繰上げ請求する場合、報酬比例部分だけでなく経過的加算額も同様に減額対象となり、配偶者加給年金は本来の受給権発生年齢(原則65歳)に達するまで支給されません。
解き方
- 繰上げ月数を特定する。Aさんは1963年11月25日生まれで65歳到達月は2028年11月であるため、請求月(2023年12月)から2028年10月までの月数は59月、減額率は0.4%×59月=23.6%となる。
- 老齢基礎年金の本来額(満額777,800円)から減額額(777,800円×0.004×59=183,561円)を控除して594,239円を算出する。
- 報酬比例部分(1,311,647円)および経過的加算額(1,884円)を算出し、合算額1,313,531円に減額率23.6%を乗じて減額額309,993円を差し引き、1,003,538円を求める。
答えの内訳
- ①:594,239(円)
- 繰上げ月数は、65歳に達する月(2028年11月)の前月までの月数で計算するため、2023年12月から2028年10月までの59月となります。1962年4月2日以後生まれのため減額率は月0.4%となり、減額率は0.004×59=23.6%です。老齢基礎年金本来額は777,800円×(29月+452月=481月→上限480月)/480=777,800円。減額額は777,800円×0.004×59月=183,561.28円(四捨五入で183,561円)。繰上げ後の年金額は777,800円-183,561円=594,239円となります。
- ②:1,003,538(円)
- 報酬比例部分は、360,000円×(7.125/1,000)×204月+580,000円×(5.481/1,000)×248月=523,260円+788,387.04円=1,311,647.04円(四捨五入で1,311,647円)。経過的加算は、1,621円×452月-777,800円×(480-29)/480=732,692円-730,808.125円=1,883.875円(四捨五入で1,884円)。老齢厚生年金の本来受給額は1,311,647円+1,884円=1,313,531円。減額額は1,313,531円×0.004×59月=309,993.316円(四捨五入で309,993円)。繰上げ支給の老齢厚生年金額は1,313,531円-309,993円=1,003,538円となります(加給年金は65歳到達まで支給停止)。
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覚えるポイント
- 1962年4月2日以後生まれの繰上げ減額率は月0.4%(最大30%から24%に引き下げ)。
- 繰上げ請求時、加給年金額は65歳到達まで支給されない。
間違えやすいところ
- 繰上げ月数を65歳到達月まで含めて60月としてしまう(正しくは誕生日の前日の属する月の前月までで59月)。
- 経過的加算の控除式において、国民年金の任意加入期間(29月)を考慮せず厚生年金月数452月をそのまま代入してしまう(上限480月のため480-29=451月)。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の公的年金各法および2022年度価額に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ローソク足の構成要素および単純移動平均株価の算出
金融資産運用 · テクニカル分析 / ローソク足 / 移動平均線
株価チャート(ローソク足および移動平均線)に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を記入しなさい。 〈ローソク足〉 Ⅰ ローソク足において、始値と終値で囲まれた長方形から上に伸びた線のことを( ① )と呼び、下に伸びた線を下ヒゲと呼びます。( ① )は上値で売り圧力が強まった際に現れ、陰線では高値から( ② )値まで、陽線では高値から終値までの差が線で示されます。 〈移動平均線〉 Ⅱ 株価チャートにおける移動平均線は一定期間の株価の平均をグラフ化したもので、n日単純移動平均線は通常、n日分の株価の( ③ )値の単純平均を用います。X社の株価データ(1日目終値864円、2日目終値863円、3日目終値885円、4日目終値843円、5日目終値817円、6日目終値792円)に基づくと、6日目の売買立会終了時の5日単純移動平均による株価は( ④ )円となります。
解答・解説を表示
解答
① 上ヒゲ ② 始(値) ③ 終(値) ④ 840(円)
解説
ローソク足は四本値(始値・高値・安値・終値)を長方形の実体とヒゲで視覚化したものです。陽線では実体の下端が始値・上端が終値となり、陰線では上端が始値・下端が終値となります。また、移動平均線は終値の一定期間の平均値を連続させた線であり、トレンドや支持線・抵抗線の判断に活用されます。
解き方
- ローソク足の実体(胴体)とヒゲの関係を整理し、陰線において実体上端を成すのが始値であることを確認する。
- 移動平均線の標準的な算出基準が各日の「終値」であることを確認する。
- X社の推移表から、6日目を基準とする過去5日間(2日目から6日目まで)の終値を拾い出し、単純平均を計算する((863+885+843+817+792)÷5=840円)。
答えの内訳
- ①:上ヒゲ
- ローソク足の実体(長方形)から上に突き出た高値を示す線を「上ヒゲ(うわひげ)」といいます。
- ②:始(値)
- 陰線は始値より終値が安いため、実体の上端は「始値」となります。したがって、上ヒゲの長さは「高値から始値まで」の差で表されます。
- ③:終(値)
- 移動平均線は、各営業日の最終的な市場合意水準を平滑化するため、通常は各日の「終値」を用いて算出します。
- ④:840(円)
- 6日目終了時における直近5日間の終値(2日目:863円、3日目:885円、4日目:843円、5日目:817円、6日目:792円)の合計は4,200円となり、これを5日で除すと4,200÷5=840円となります。
覚えるポイント
- 陽線は下端が始値・上端が終値、陰線は上端が始値・下端が終値。
- 移動平均線は原則として「終値」を基礎として算出する。
間違えやすいところ
- 6日目の5日移動平均を計算する際、1日目~5日目の終値を使って計算してしまう(当日の6日目を含めた直近5営業日を使用する必要がある)。
- 終値ではなく始値や高値・安値の数値を拾って平均を計算してしまう。
出題の前提:2022年10月1日現在の金融・証券分析の一般的な定義および出題条件に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式評価モデルと投資指標(配当割引モデル・株価キャッシュフロー倍率)
金融資産運用 · 配当割引モデル / 定額配当モデル / 定率成長モデル / 株価キャッシュフロー倍率
設例の〈X社の財務データ等〉に基づいて、ファイナンシャル・プランナーのMさんがAさんに対して説明した次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。なお、(予想)配当金額は実績値と同額と仮定する。 Ⅰ 「『配当割引モデル』とは、株式の内在価値は、将来受け取る配当額の現在価値の総和として計算されるという考え方で、毎年一定の配当額が支払われるという仮定をもとにした定額配当モデルや、毎年一定の割合で配当額が成長するという仮定をもとにした定率成長モデル等があります。 定額配当モデルでは、株式の1株当たりの内在価値は、1株当たり(予想)配当金額を期待( ① )率で除して算出することができます。例えば、X社株式に対する期待( ① )率が3.00%であり、今後、一定の金額の配当が支払われ続けるとすると、2023年3月期におけるX社株式の1株当たりの内在価値は、( ② )円と計算されます。 また、定率成長モデルでは、定額配当モデルの算式を基に、期待成長率を加味して株式の内在価値を算出します。例えば、X社株式に対する期待( ① )率が3.00%、期待成長率が1.50%であるとすると、2023年3月期におけるX社株式の1株当たりの内在価値は、( ③ )円と計算されます」 Ⅱ 「株価収益率は、株価が割安か割高かを判断するための指標ですが、よく似た指標に、( ④ )があります。( ④ )は、通常、当期純利益に減価償却費を加えたものをキャッシュフローとして、株価を1株当たりキャッシュフローで除したものです。減価償却方法の異なる企業の比較が可能になるため、企業の国際比較を行う際によく用いられます」
解答・解説を表示
解答
① 利子(率) ② 1,000(円) ③ 2,000(円) ④ 株価キャッシュフロー倍率
解説
配当割引モデルは将来の配当の現在価値合計をもって株式の内在価値とする手法であり、定額配当の場合は期待利子率で除し、定率成長の場合は割引率から成長率を引いた値で除して算出します。
解き方
- 配当金総額18,000百万円を発行済株式総数600百万株で除し、1株当たり配当金30円を算出します。
- 定額配当モデルにより30円÷3.00%=1,000円を算出します。
- 定率成長モデルにより30円÷(3.00%-1.50%)=2,000円を算出します。
- 会計方針の違いを排除してキャッシュ創出力から株価の割高・割安を判断する指標が株価キャッシュフロー倍率であることを確認します。
答えの内訳
- ①:利子(率)
- 配当割引モデルにおける割引率には、投資家が要求する期待収益率や期待利子率(資本コスト)が用いられます。
- ②:1,000(円)
- 1株当たり配当金は18,000百万円÷600百万株=30円です。定額配当モデルの内在価値は30円÷0.03=1,000円となります。
- ③:2,000(円)
- 定率成長モデル(ゴードンモデル)の内在価値は、1株当たり配当金÷(期待利子率-期待成長率)=30円÷(0.03-0.015)=2,000円となります。
- ④:株価キャッシュフロー倍率
- 株価を1株当たりキャッシュフロー(当期純利益+減価償却費)で除した指標は、株価キャッシュフロー倍率(PCFR)と呼ばれます。
覚えるポイント
- 定額配当モデル:配当÷期待利子率
- 定率成長モデル:配当÷(期待利子率-期待成長率)
- PCFR:株価÷1株当たりキャッシュフロー
間違えやすいところ
- 定率成長モデルの分母で利子率と成長率を加算してしまうミス
- 配当割引モデルの割引率にインフレ率などの誤った語句を入れてしまうミス
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令・企業会計基準等に基づく出題
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
サスティナブル成長率およびイールド・スプレッドの計算
金融資産運用 · サスティナブル成長率 / ROE / 内部留保率 / イールド・スプレッド / 株式益回り
設例の〈X社の財務データ等〉〈日本国債の利回り〉に基づいて、次の①および②に答えなさい。計算過程を示し、答は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。なお、イールド・スプレッドの計算は、日本国債の利回りから株式益回りを控除することとし、X社の株価は800円とする。 ① X社のサスティナブル成長率はいくらか。 ② X社株式と日本国債のイールド・スプレッドはいくらか。
解答・解説を表示
解答
① 7.93(%) ② -10.75(%)
解説
サスティナブル成長率は外部調達を行わずに企業が維持できる成長率で「ROE×内部留保率」により算定され、イールド・スプレッドは国債利回りと株式益回りの差から市場の相対的割高・割安を判断する指標です。
解き方
- 自己資本を純資産合計から新株予約権と非支配株主持分を控除して454,000百万円と求め、ROEと内部留保率を掛け合わせてサスティナブル成長率7.93%を算出します。
- 当期純利益54,000百万円を発行済株式数600百万株で除してEPS90円を求め、株価800円で除して株式益回り11.25%を算出します。
- 長期金利の指標である10年国債利回り0.50%から株式益回り11.25%を差し引いてイールド・スプレッド-10.75%を算出します。
小問ごとの答え
- 小問 ①:7.93(%)
- 自己資本=純資産合計469,000百万円-新株予約権1,000百万円-非支配株主持分14,000百万円=454,000百万円。ROE=54,000百万円÷454,000百万円×100。内部留保率=1-(18,000百万円÷54,000百万円)=2/3。サスティナブル成長率=(54,000÷454,000×100)×(1-18,000/54,000)≒7.9295%となり、四捨五入して7.93%です。
- 小問 ②:-10.75(%)
- 1株当たり当期純利益(EPS)=54,000百万円÷600百万株=90円。株式益回り=90円÷800円×100=11.25%。10年国債利回り0.50%から株式益回り11.25%を控除して、0.50%-11.25%=-10.75%です。
覚えるポイント
- サスティナブル成長率=ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)
- 自己資本=純資産合計-新株予約権-非支配株主持分
- 株式益回り=1株当たり当期純利益÷株価=当期純利益÷時価総額
- 本問指示のイールド・スプレッド=長期国債利回り-株式益回り
間違えやすいところ
- ROEの計算で純資産合計から新株予約権や非支配株主持分を引き忘れるミス
- 国債利回りとして10年物ではなく3年や5年の利回りを選択してしまうミス
- イールド・スプレッドの差引順序を逆にして符号を正にしてしまうミス
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等に基づく出題
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の別表四(所得の金額の計算に関する明細書)の作成
タックスプランニング · 法人税 / 申告調整 / 別表四 / 役員給与 / 交際費等 / 退職給付引当金
サービス業を営むX株式会社(資本金1,000万円、青色申告法人、中小企業者等該当)の2023年3月期における確定申告資料および条件に基づき、略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)の空欄①~⑦に入る数値を求めなさい。 【資料】 ・当期利益の額:5,618,950円 1. 役員の所有する土地・建物を37,000千円で取得(時価25,000千円)、車両を1,000千円で同役員に譲渡(時価3,000千円)。事前確定届出給与に関する届出書は未提出。 2. 交際費等の支出総額は17,750千円(全額損金経理)。このうち1人当たり5千円以下の飲食費150千円、接待飲食費16,200千円(要件を満たす)。他はすべて交際費等に該当。 3. 企業年金基金への掛金2,900千円を支払い、退職給付引当金を同額取崩し。期末に退職給付費用5,000千円を損金経理し負債計上。退職金支払で引当金を3,000千円取崩し現金支給。 4. 税額控除:特定経営力向上設備等の特別控除500千円。 5. 損益計算書の法人税、住民税及び事業税:預金利子源泉所得税等51,050円(所得税50,000円+復興1,050円)、見積納税額9,000千円の合計9,051,050円。貸借対照表の未払法人税等は9,000千円。前期確定分の事業税等1,270千円を未払法人税等から納付。源泉税は法人税額から控除を選択。
解答・解説を表示
解答
① 9,000,000 ② 14,000,000 ③ 9,500,000 ④ 5,000,000 ⑤ 5,900,000 ⑥ 51,050 ⑦ 36,000,000
解説
法人税の別表四は、企業会計上の当期純利益をもとに税法上の課税所得金額を計算する明細書です。税法上の益金算入・損金不算入項目を加算し、益金不算入・損金算入項目を減算して所得金額を算出します。
解き方
- 各取引について税法上の取り扱い(加算・減算・留保・社外流出)を判定する。
- 中小企業者等の交際費等の特例では定額控除限度額(年800万円)と接待飲食費の50%損金算入を比較し、所得が低くなる方を選択する。
- 当期利益に加算小計を足し、減算小計を差し引いて所得金額を計算する。
答えの内訳
- ①:9,000,000(円)
- 損金経理をした納税充当金は、当期確定申告分の見積納税額として損益計算書に計上され貸借対照表の未払法人税等に計上された9,000,000円を加算(留保)します。
- ②:14,000,000(円)
- 役員からの資産の高額買入れに係る時価超過分12,000,000円(37,000,000円-25,000,000円)および役員への低額譲渡に係る時価との差額2,000,000円(3,000,000円-1,000,000円)は役員給与(経済的利益)とみなされ、事前確定届出給与等に該当しないため合計14,000,000円全額が損金不算入(社外流出)となります。
- ③:9,500,000(円)
- 交際費等の支出総額17,750千円から1人当たり5,000円以下の飲食費150千円を除いた17,600千円が税務上の交際費等です。中小法人の損金算入限度額は「定額控除限度額年800万円」または「接待飲食費の50%(16,200千円×50%=8,100千円)」のいずれか有利な方を選択できるため、800万円を選択します。損金不算入額は17,600,000円-8,000,000円=9,600,000円…ではなく、飲食費控除後の17,600千円から8,100千円控除だと9,500千円(接待飲食費の50%を選択したほうが損金不算入額が小さくなり有利)となるため、17,600,000円-8,100,000円=9,500,000円となります。
- ④:5,000,000(円)
- 会計上損金経理した退職給付費用5,000,000円は税法上の損金とは認められないため、全額を加算(留保)します。
- ⑤:5,900,000(円)
- 退職給付引当金を取り崩して実際に外部年金基金に支払った掛金2,900,000円と、退職金の現金支給額3,000,000円の合計5,900,000円が当期の損金として認容され、減算(留保)します。
- ⑥:51,050(円)
- 預金の利子等から源泉徴収され法人税額から税額控除を受ける所得税額50,000円および復興特別所得税額1,050円の合計額51,050円を加算(社外流出)します。
- ⑦:36,000,000(円)
- 当期利益5,618,950円+加算小計37,551,050円(①9,000,000+②14,000,000+③9,500,000+④5,000,000+⑥51,050)-減算小計7,170,000円(事業税1,270,000+⑤5,900,000)=36,000,000円となります。
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覚えるポイント
- 中小企業の交際費等は「年800万円まで」または「接待飲食費の50%まで」の損金算入有利選択が可能
- 役員との不公正取引(高額買入れ・低額譲渡)の差額は役員給与とみなされる
間違えやすいところ
- 中小企業の交際費等計算で800万円定額控除と接待飲食費50%の有利不利判定を見落とす
- 源泉所得税等の加算項目(法人税額控除所得税額)の記載位置や集計を忘れる
出題の前提:2022年10月1日現在施行の税法
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定申告により納付すべき法人税額の計算
タックスプランニング · 法人税額の計算 / 中小法人の軽減税率 / 税額控除 / 所得税額控除
前問《問57》の所得金額を踏まえ、X社が当期の確定申告により納付すべき法人税額を求めなさい。計算過程を示し、100円未満を切り捨てて円単位で解答すること。
解答・解説を表示
解答
7,144,900(円)
解説
資本金1億円以下の中小法人等の普通法人税率は、年800万円以下の所得部分に15%の軽減税率が適用され、年800万円超の部分には23.2%の本則税率が適用されます。算出税額から特別控除や源泉所得税額控除を差し引いて納付税額を算出します。
解き方
- 所得金額36,000,000円を年800万円以下(15%)と超(23.2%)に区分して法人税額を算出する。
- 算出税額から中小企業者等の特別控除500,000円と所得税額控除51,050円を控除する。
- 100円未満を切り捨てて納付すべき法人税額を決定する。
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覚えるポイント
- 中小法人の法人税率は年800万円以下が15%、超が23.2%
- 納付税額の端数処理は100円未満切り捨て
間違えやすいところ
- 源泉所得税・復興特別所得税の控除を忘れてしまう
- 特別控除(500,000円)の控除順序や控除漏れに注意する
出題の前提:2022年10月1日現在施行の税法
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の申告手続(中間申告・電子申告・無申告加算税・更正の請求等)
タックスプランニング · 法人税の中間申告 / 電子申告の義務化 / 無申告加算税 / 更正の請求
法人税の申告に関する次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 「法人税の申告には中間申告と確定申告があります。事業年度が( ① )カ月を超える普通法人は、所轄税務署長に対し、原則として、事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内に中間申告書を提出し、事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に確定申告書を提出しなければなりません。 中間申告には、前事業年度の確定法人税額を前事業年度の月数で除した値に6を乗じて算出した金額を税額として申告する予定申告と、当該事業年度開始の日以後6カ月の期間を一事業年度とみなして仮決算を行い、それに基づいて申告する方法があります。ただし、原則として、仮決算による中間申告税額が予定申告税額を超える場合や、前年度実績による予定申告税額が( ② )万円以下である場合には、仮決算による中間申告をすることはできません。 なお、納付すべき法人税額がない場合であっても、確定申告書の提出は必要です。また、事業年度開始時における資本金の額等が( ③ )億円を超える内国法人は、原則として、中間申告書および確定申告書をe-Taxで提出しなければなりません。 確定申告書を法定申告期限までに提出せず、期限後申告や税務調査後に決定があった場合は、原則として、納付すべき税額の( ④ )%(50万円を超える部分は一定割合を加算)の無申告加算税が課されます。ただし、法定申告期限から1カ月を経過する日までに確定申告書が提出され、かつ、納付税額の全額が法定申告期限から1カ月以内に納付されているなど、期限内申告をする意思があったと認められる場合は、無申告加算税は課されません。また、( ⑤ )事業年度連続して提出期限内に確定申告書の提出がない場合は、青色申告の承認の取消しの対象となります。 既に行った申告について、納付税額が少なかったり、欠損金が過大であったりした場合は、税務署長による( ⑥ )を受けるまでは、修正申告をすることができます。また、納付税額が多かったり、還付税額が少なかったりした場合、所定の要件を満たせば、( ⑥ )の請求をすることができます」
解答・解説を表示
解答
① 6(カ月) ② 10(万円) ③ 1(億円) ④ 15(%) ⑤ 2(事業年度) ⑥ 更正
解説
法人税の申告手続において、中間申告の要否基準・計算方法や大企業に対するe-Tax義務化基準、期限後申告に伴う附帯税(無申告加算税)や青色申告承認取消し規定、申告内容の是正手続(更正の請求・修正申告・更正処分)を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 中間申告の対象法人(事業年度6カ月超)および仮決算が制限される予定申告税額の基準(10万円以下)を確認する。
- 電子申告の義務化対象となる資本金額(1億円超)および無申告加算税の基本割合(15%)を確認する。
- 青色申告承認取消しの要件(2事業年度連続の期限後申告)および税務署長による職権処分である「更正」の用語を当てはめる。
答えの内訳
- ①:6(カ月)
- 法人税法上、事業年度が6カ月を超える普通法人は、原則として中間申告書の提出義務があります。
- ②:10(万円)
- 前事業年度の実績による予定申告基準額が10万円以下である場合、中間申告書の提出は要せず、仮決算による中間申告も行えません。
- ③:1(億円)
- 事業年度開始時における資本金の額等が1億円を超える内国法人は、申告書等のe-Taxによる提出が義務付けられています。
- ④:15(%)
- 法定申告期限までに申告をしなかった場合に課される無申告加算税の原則的な税率は、納付すべき税額の15%(50万円超部分は20%)です。
- ⑤:2(事業年度)
- 青色申告法人が2事業年度連続して期限内に確定申告書を提出しなかった場合、青色申告の承認取消しの対象となります。
- ⑥:更正
- 税務署長が行う処分は「更正」であり、税額が過大であった場合に納税者が税額の減額を求める手続は「更正の請求」です。
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覚えるポイント
- 無申告加算税は原則15%(50万円超部分は20%)。
- 青色申告の承認取消し要件は「2事業年度連続して提出期限内に確定申告書の提出がない」場合。
間違えやすいところ
- 電子申告義務化の資本金要件を「10億円」や「5億円」と混同しないよう注意する(現行は1億円超)。
- 「決定」と「更正」の違い:未申告者に対する処分が決定、申告済みの内容を改める処分が更正。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法人税法および国税通則法に基づく出題条件。
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
固定資産の交換の特例(借地権と底地の交換に伴う譲渡所得の計算)
不動産 · 固定資産の交換の特例 / 借地権と底地 / 交換差金 / 譲渡所得税額の計算
Aさんが、下記の〈条件〉で借地権と所有権(底地)を交換し、「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」の適用を受けた場合、次の①および②に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。なお、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。 ① 課税長期譲渡所得金額はいくらか。 ② 課税長期譲渡所得金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額はいくらか。 〈条件〉 〈交換譲渡資産〉 ・交換譲渡資産:借地権(旧借地法による借地権)※2009年10月に相続(単純承認)により取得 ・交換譲渡資産の取得費:不明 ・交換譲渡資産の時価:3,000万円(交換時) ・交換費用(仲介手数料等):100万円(譲渡と取得の費用区分は不明) 〈交換取得資産〉 ・交換取得資産:所有権(底地) ・交換取得資産の時価:2,700万円(交換時) 〈交換差金〉 ・AさんがBさんから受領した交換差金:300万円
解答・解説を表示
解答
① 2,800,000(円) ② 568,800(円)
解説
固定資産の交換の特例(所法58条)において、交換差金を受領した場合は、その交換差金に対応する部分についてのみ譲渡があったものとして譲渡所得を計算します。譲渡と取得に共通する交換費用は原則として50%ずつ配分し、取得費・譲渡費用に「交換差金/譲渡資産の時価」を乗じた額を控除します。
解き方
- 交換譲渡資産の時価3,000万円の5%(150万円)を概算取得費とし、共通費用100万円の50%(50万円)を譲渡費用として合計200万円を算定する。
- 交換差金300万円から、取得費および譲渡費用のうち交換差金に対応する按分額[200万円×300万円/3,000万円=20万円]を差し引き、課税長期譲渡所得金額280万円を算出する。
- 長期譲渡所得の所得税(15%)、復興特別所得税(基準所得税額×2.1%、100円未満切捨て)、住民税(5%)をそれぞれ算定して合計する。
答えの内訳
- ①:2,800,000(円)
- 概算取得費=3,000万円×5%=150万円。譲渡と取得の費用区分が不明な交換費用100万円は、50%(50万円)を譲渡経費とする。交換差金300万円に係る課税長期譲渡所得金額は、3,000,000円-(1,500,000円+1,000,000円×50%)×3,000,000円/(27,000,000円+3,000,000円)=3,000,000円-2,000,000円×0.1=2,800,000円。
- ②:568,800(円)
- 所得税:2,800,000円×15%=420,000円。復興特別所得税:420,000円×2.1%=8,820円。国税合計:420,000円+8,820円=428,820円→100円未満切捨てにより428,800円。住民税:2,800,000円×5%=140,000円。合計税額:428,800円+140,000円=568,800円。
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覚えるポイント
- 交換費用の区分が不明な場合は、譲渡費用と取得費(取得原価)にそれぞれ50%ずつ按分する。
- 交換差金受領時の譲渡所得の計算式:交換差金-(取得費+譲渡費用)×[交換差金/(取得資産の時価+交換差金)]。
間違えやすいところ
- 交換費用100万円の全額を譲渡費用として控除してしまう誤り(区分不明時は50%按分)。
- 取得費・譲渡費用全額を差金から差し引いてしまい、按分計算を忘れる誤り。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の所得税法および租税特別措置法に基づく出題条件。
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
異なる用途地域にわたる敷地の建築面積および延べ面積の上限計算
不動産 · 建築基準法 / 建蔽率の緩和 / 前面道路幅員による容積率制限 / 2項道路(セットバック)
甲土地(長方形500㎡)を分割して取得した乙土地(長方形250㎡)に耐火建築物を建築する場合における、(1)建築面積の最高限度(㎡)および(2)延べ面積の最高限度(㎡)をそれぞれ求めなさい。 【乙土地の概要】 ・接道状況:西側が幅員6mの公道に12.5m接面、南側が幅員3mの公道に20m接面している。 ・南側道路:建築基準法第42条第2項の道路(2項道路)であり、中心線は道路中心にある。道路の反対側は宅地である。 ・用途地域等: ①近隣商業地域:乙土地のうち60㎡が属する。指定建蔽率80%、指定容積率400%、前面道路幅員による容積率低減係数6/10、防火地域。 ②第一種低層住居専用地域:乙土地のうち190㎡が属する。指定建蔽率50%、指定容積率100%、前面道路幅員による容積率低減係数4/10、防火規制なし。 ・その他条件:特定行政庁が指定する角地ではない。特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
解答・解説を表示
解答
① 168㎡ ② 396㎡
解説
建築物が複数の用途地域にわたる場合、建蔽率・容積率は各地域ごとの有効敷地面積に応じて加重平均または個別に計算した上限面積を合計します。2項道路に面する敷地はセットバック部分を敷地面積から除外します。また、2以上の前面道路がある場合は最も幅員の広い道路の幅員を用いて道路容積率を算出します。
解き方
- 2項道路の後退距離((4m-道路幅員)÷2)を求め、接道長を乗じて後退面積を算出し、用途地域ごとの有効敷地面積を確定する。
- 近隣商業地域(指定80%・防火地域・耐火建築物で100%)と第一種低層住居専用地域(耐火建築物緩和+10%で60%)の建築面積上限を計算して合算する。
- 前面道路幅員は広い方の6mを採用し、用途地域ごとに指定容積率と道路幅員制限容積率の小さい方を有効敷地面積に乗じて合算する。
答えの内訳
- ①:168(㎡)
- 南側の幅員3m公道(2項道路)に接する第一種低層住居専用地域側の敷地は、道路中心線から2mの後退(セットバック)が必要となるため、後退幅は(4m-3m)÷2=0.5mとなり、後退面積は0.5m×20m=10㎡です。これにより有効敷地面積は、近隣商業地域が60㎡、第一種低層住居専用地域が190㎡-10㎡=180㎡(計240㎡)となります。建蔽率は、近隣商業地域(指定80%)が防火地域内の耐火建築物であるため制限が適用除外となり100%(建築面積上限:60㎡×100%=60㎡)です。第一種低層住居専用地域(指定50%)は防火地域外ですが、敷地内に建築する建物全体が耐火建築物であり敷地の一部が防火地域にかかるため、建築基準法の規定により耐火建築物の建蔽率10%緩和が適用されて60%となります(建築面積上限:180㎡×60%=108㎡)。したがって、建築面積の最高限度は60㎡+108㎡=168㎡となります。
- ②:396(㎡)
- 乙土地は西側(幅員6m)と南側(セットバック後幅員4m)の2つの道路に接面しているため、建築基準法第52条第2項の規定により、幅員の大きい西側道路(幅員6m)を前面道路として容積率の制限を計算します。近隣商業地域は、指定容積率400%と前面道路幅員制限6m×6/10=360%を比較し、厳しいほうの360%が適用されるため、延べ面積上限は60㎡×360%=216㎡です。第一種低層住居専用地域は、指定容積率100%と前面道路幅員制限6m×4/10=240%を比較し、指定容積率の100%が適用されるため、延べ面積上限は180㎡×100%=180㎡です。したがって、敷地全体の延べ面積の最高限度は216㎡+180㎡=396㎡となります。
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覚えるポイント
- 2以上の道路に接する場合は、最も広い道路幅員を前面道路幅員として容積率制限を計算する。
- 防火地域内で指定建蔽率80%の地域に耐火建築物を建てる場合は建蔽率制限なし(100%)。
- 敷地の一部が防火地域にかかり耐火建築物を建てる場合、防火地域外の部分にも建蔽率10%緩和が適用される。
間違えやすいところ
- 狭い方の南側道路幅員のみを用いて容積率の幅員制限を計算してしまうミス。
- セットバック面積(10㎡)を用途地域の敷地面積から控除し忘れて計算してしまうミス。
- 指定建蔽率80%+防火地域+耐火建築物で100%となる特例を失念し、90%としてしまうミス。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の建築基準法第42条、第52条、第53条、第65条
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築物の高さ制限および外壁の後退距離に関する規定
不動産 · 建築基準法 / 絶対高さ制限 / 斜線制限 / 日影規制 / 民法上の隣地後退 / 耐火構造の外壁
建築基準法等における建築物の高さおよび外壁の後退距離等に関する次の文章の空欄①~⑦に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 〈建物の高さ制限〉 Ⅰ 「都市計画区域と準都市計画区域内において、用途地域等に応じて、建築物の高さの制限が定められています。第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域または( ① )地域内における建築物の高さは、原則として、10mまたは12mのうち都市計画で定められた限度を超えてはならないとされています。 また、第一種低層住居専用地域内にある建築物に適用される高さの制限には、道路斜線制限と( ② )斜線制限があります。 ほかにも、日影規制(日影による中高層の建築物の高さの制限)の対象区域である第一種低層住居専用地域では、原則として、軒高が( ③ )m超または地階を除く階数が3以上の建築物は、一部地域を除き、冬至日の午前( ④ )時から午後4時までの間において、一定範囲に一定時間以上日影となる部分を生じさせることのないものにする必要があります」 〈外壁の後退距離等〉 Ⅱ 「民法では、建物を築造する場合、境界線から( ⑤ )cm以上の距離を保たなければならないとされ、この規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従うとされています。建築基準法において都市計画で建築物の外壁と敷地境界線までの距離の限度を定める場合は、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域または( ① )地域では、原則として、その限度は、1.5mまたは( ⑥ )m以上とされています。 なお、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造のうち、( ⑦ )性能に関して一定の技術的基準に適合する鉄筋コンクリート造、れんが造その他の構造で、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものまたは国土交通大臣の認定を受けたものを( ⑦ )構造といいますが、防火地域または準防火地域内にある建築物で、外壁が( ⑦ )構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができます。 また、地区計画や建築協定、風致地区などによって建物の位置関係について定められている場合もあるので確認が必要です」
解答・解説を表示
解答
① 田園住居(地域) ② 北側(斜線制限) ③ 7(m) ④ 8(時) ⑤ 50(cm) ⑥ 1(m) ⑦ 耐火(性能/構造)
解説
建築基準法および民法では、住環境の維持・通風・採光・日照や防災を目的として、用途地域に応じた高さ制限(絶対高さ、斜線制限、日影規制)や隣地境界線からの外壁後退距離が明確に規定されています。
解き方
- 低層住居専用地域(一低専・二低専)と同様の規制(絶対高さ・外壁後退・北側斜線等)が課される用途地域として「田園住居地域」を特定する。
- 低層住居専用地域特有の斜線制限(北側斜線制限)および日影規制の対象基準(軒高7m超または階数3以上、測定時間午前8時~午後4時)を確認する。
- 民法上の外壁後退(50cm)と建築基準法上の低層住居系外壁後退限度(1.5mまたは1m)、および防火地域等における耐火構造外壁の民法特例(境界接道)を照合する。
答えの内訳
- ①:田園住居(地域)
- 低層住居専用地域(第一種・第二種)および田園住居地域内においては、良好な低層住宅の環境を保護するため、建築物の絶対高さ制限(10mまたは12m)や外壁後退距離制限が適用されます。
- ②:北側(斜線制限)
- 第一種・第二種低層住居専用地域および田園住居地域等には、北側隣地の日照悪化を防ぐための「北側斜線制限」が適用されます(隣地斜線制限は適用されません)。
- ③:7(m)
- 第一種・第二種低層住居専用地域および田園住居地域における日影規制の対象は、原則として「軒の高さが7mを超える建築物または地階を除く階数が3以上の建築物」です。
- ④:8(時)
- 日影規制における測定対象時間帯は、冬至日の真太陽時による「午前8時から午後4時まで」(北海道では午前9時から午後3時まで)と定められています。
- ⑤:50(cm)
- 民法第234条第1項により、建物を築造するには境界線から50cm以上の距離を保たなければならないと規定されています。
- ⑥:1(m)
- 建築基準法第54条により、低層住居専用地域または田園住居地域において都市計画で外壁後退距離の限度を定める場合、その限度は「1.5mまたは1m」と定められています。
- ⑦:耐火(性能/構造)
- 建築基準法第65条において、防火地域または準防火地域内にある建築物で、外壁が「耐火構造」のものについては、民法の規定にかかわらずその外壁を隣地境界線に接して設けることができるとされています。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 低層住居専用地域等における絶対高さは10mまたは12m。
- 日影規制の低層住居系対象基準は「軒高7m超または階数3以上」、時間は「午前8時~午後4時」。
- 民法上の隣地後退距離は50cmだが、防火・準防火地域内で外壁が耐火構造であれば境界線に接して建築可能。
間違えやすいところ
- 低層住居専用地域等に適用される斜線制限として、隣地斜線制限(低層には適用なし)と北側斜線制限を混同するミス。
- 日影規制の測定時間を午前9時~午後3時(北海道の基準)と取り違えるミス。
- 民法上の境界後退(50cm)と建築基準法上の外壁後退限度(1mまたは1.5m)の数値を混同するミス。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の建築基準法第54条、第55条、第56条、第56条の2、第65条、民法第234条
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
貸家建付地および自宅敷地の相続税評価額の計算
相続・事業承継 · 貸家建付地の評価 / 側方路線影響加算 / 準角地 / 奥行価格補正
設例のAさんが所有する貸家建付地および自宅敷地について、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用前の相続税評価額をそれぞれ計算しなさい(単位:万円)。 【条件】 ・貸家建付地:225㎡の正方形(15m×15m)、普通住宅地区、北側4m公道(路線価200千円/㎡・借地権割合E:50%)、借家権割合30%、賃貸割合100% ・自宅敷地:500㎡の長方形(間口20m×奥行25m)、普通住宅地区、北側4m公道(200千円/㎡)および東側公道(200千円/㎡)に接する準角地 ・奥行価格補正率:14m以上16m未満 1.00、20m以上24m未満 1.00、24m以上28m未満 0.97 ・側方路線影響加算率:普通住宅地区・準角地の場合 0.02
解答・解説を表示
解答
① 3,825(万円) ② 10,194(万円)
解説
貸家建付地は自用地価額に(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)を乗じて評価します。2以上の路線に接する宅地では、路線価に奥行価格補正率を乗じた価額が高い方を正面路線とし、もう一方の路線価に奥行価格補正率および側方路線影響加算率(準角地の場合は所定の率)を乗じた加算額を加算して1㎡当たり評価額を求めます。
解き方
- 貸家建付地:奥行距離15mに応じた奥行価格補正率1.00を適用して自用地価額を算出し、借地権割合50%・借家権割合30%・賃貸割合100%を反映して減額評価する。
- 自宅敷地:北側(奥行25m・補正率0.97)と東側(奥行20m・補正率1.00)の奥行補正後路線価を比較し、高い東側を正面路線と決定する。
- 側方路線(北側)の路線価に奥行価格補正率0.97と準角地加算率0.02を乗じて加算額を求め、正面路線価に加算した1㎡当たり単価に地積500㎡を乗じる。
答えの内訳
- ①:3,825(万円)
- 自用地評価額=200,000円×奥行価格補正率1.00×225㎡=45,000,000円。借地権割合50%、借家権割合30%、賃貸割合100%より、貸家建付地評価額=45,000,000円×(1-0.50×0.30×1.00)=38,250,000円(3,825万円)となります。
- ②:10,194(万円)
- 各路線の奥行補正後価額を比較すると、東側路線が200,000円×1.00=200,000円、北側路線が200,000円×0.97=194,000円となるため、東側が正面路線となります。側方路線(北側)の準角地加算額は194,000円×0.02=3,880円となり、1㎡当たり評価額は200,000円+3,880円=203,880円です。したがって、自宅敷地の相続税評価額は203,880円×500㎡=101,940,000円(10,194万円)となります。
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覚えるポイント
- 正面路線は単純な路線価の高さではなく、奥行価格補正率を乗じた後の価額で判定する点に注意する。
- 系統同一の1本の道路が屈曲している内側にある敷地は「準角地」として加算率を適用する。
間違えやすいところ
- 角地加算率(0.03)と準角地加算率(0.02)を取り違えて計算してしまうミス。
- 側方路線影響加算額の計算時に側方路線の奥行価格補正率を掛け忘れるミス。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の課税価格の合計額、相続税の総額、納付すべき税額の計算
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 死亡保険金の非課税 / 生前贈与加算 / 相続税の総額 / 贈与税額控除
Aさんが現時点で死亡し、長男Cさんに係る相続税の課税価格が1億1,070万円である場合、設例の資料に基づいて次の①~③を計算しなさい(単位:万円)。 なお、自宅敷地の評価額は1億円(特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例適用前)、貸家建付地の評価額は4,000万円とし、自宅建物およびその敷地は妻Bさんが相続して自宅敷地に特例の適用を受けるものとする。 ① 課税価格の合計額 ② 相続税の総額 ③ 長男Cさんの納付すべき相続税額
解答・解説を表示
解答
① 4億4,280(万円) ② 9,808(万円) ③ 2,392(万円)
解説
相続税の計算では、まず小規模宅地等の特例や生命保険金の非課税限度額、3年以内生前贈与加算を適用して課税価格の合計額を求めます。次に基礎控除額を控除した課税遺産総額を法定相続分で按分して各人の仮の税額を計算・合算して相続税の総額を求め、最後に実際の課税価格割合で按分した額から贈与税額控除等を差し引いて納付税額を算出します。
解き方
- 小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等:330㎡まで80%減額)および生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数4人)を控除し、3年以内暦年贈与財産を加算して課税価格の合計額を算出する。
- 課税価格の合計額から基礎控除額(3,000万円+600万円×4人=5,400万円)を差し引き、法定相続分(妻1/2、子各1/6)に応じた税額を求めて合算し、相続税の総額を計算する。
- 長男Cの課税価格割合(1億1,070万円/4億4,280万円)を総額に乗じて按分税額を求め、生前贈与時に課された贈与税額(特例贈与財産として計算)を控除して納付税額を算出する。
答えの内訳
- ①:4億4,280(万円)
- 自宅敷地は特定居住用宅地等として330㎡まで80%減額されるため、1億円-(1億円×330㎡/500㎡×80%)=4,720万円。死亡保険金は5,000万円-(500万円×4人)=3,000万円。生前贈与加算額は長男Cへの贈与分560万円。課税価格の合計額=現預金1億4,500万円+株式1億3,000万円+自宅建物2,500万円+自宅敷地4,720万円+アパート2,000万円+貸家建付地4,000万円+保険金3,000万円+生前贈与560万円=4億4,280万円となります。
- ②:9,808(万円)
- 遺産に係る基礎控除額=3,000万円+(600万円×4人)=5,400万円。課税遺産総額=4億4,280万円-5,400万円=3億8,880万円。法定相続分に応ずる各人の取得金額と税額は、妻B(1/2):1億9,440万円×40%-1,700万円=6,076万円、子3人(各1/6):各6,480万円×30%-700万円=各1,244万円。したがって相続税の総額は6,076万円+(1,244万円×3)=9,808万円となります。
- ③:2,392(万円)
- 長男Cの算出税額=9,808万円×(1億1,070万円/4億4,280万円)=2,452万円。長男Cが納付した生前贈与に係る贈与税額(特例税率:基礎控除後450万円×20%-30万円=60万円)を贈与税額控除として差し引くため、納付すべき相続税額は2,452万円-60万円=2,392万円となります。
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覚えるポイント
- 死亡前3年以内に被相続人から暦年贈与された財産は、相続税の課税価格に加算され、納付済みの贈与税は相続税額から控除される。
- 贈与税額控除を計算する際、受贈者が18歳以上で直系尊属からの贈与の場合は「特例贈与財産」の税率表を適用する。
間違えやすいところ
- 生命保険金の非課税限度額の計算において、法定相続人の数に受取人以外の人数を含め忘れるミス。
- 生前贈与加算した贈与財産に係る贈与税額の控除において、一般贈与の速算表を誤って使用してしまうミス。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公正証書遺言・自筆証書遺言書保管制度および住宅取得等資金贈与の非課税
相続・事業承継 · 公正証書遺言の作成要件 / 自筆証書遺言書保管制度 / 検認の手続 / 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
遺言および直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置に関する以下の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 〈遺言〉 Ⅰ 「民法に定める自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のうち、公正証書遺言は、証人( ① )人以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記して作成します。自筆証書遺言は、遺言者が、原則としてその全文、日付および氏名を自書し、これに押印して作成します。自筆証書遺言には、自筆証書遺言書保管制度があり、同制度により( ② )に保管された自筆証書遺言については、遺言者の相続開始時に( ③ )における検認の手続が不要になります。 公正証書遺言では、遺言書の作成時に、正本1通と謄本1通の交付を受けるのが通常であり、これを利用して遺言執行を行うので、遺言者の死後に、改めて遺言書の謄本を請求する必要はありません。一方、自筆証書遺言書保管制度では、( ② )で保管された自筆証書遺言について、写しは手元に残りません。遺言者の相続開始後に、相続人等が、一定の書類を添付して( ④ )証明書の交付請求をし、交付を受けた( ④ )証明書を用いて遺言執行を行います」 〈直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税〉 Ⅱ 「贈与により取得した住宅取得等資金について、取得する住宅用家屋の構造に応じて贈与税が非課税となります。この特例による非課税限度額は、2023年5月に住宅用家屋を新築した場合、受贈者ごとに、住宅取得等資金を充てて新築した住宅用家屋が一定の省エネ等住宅であるときは( ⑤ )万円、省エネ等住宅以外であるときは□□□万円となります。 この特例の適用を受けるためには、受贈者は、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上であり、贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下でなければなりません。また、受贈者が取得する住宅用家屋は、受贈者の居住の用に供する家屋で、床面積は( ⑥ )㎡以下等の要件を満たさなければなりません」
解答・解説を表示
解答
① 2(人) ② 法務局 ③ 家庭裁判所 ④ 遺言書情報(証明書) ⑤ 1,000(万円) ⑥ 240(㎡)
解説
遺言方式には民法上の厳格な要件が定められており、公正証書遺言では2人以上の証人の立会いが必要です。自筆証書遺言書保管制度では法務局(遺言書保管所)に保管されることで家庭裁判所の検認が不要となり、相続開始後は遺言書情報証明書が交付されます。また、住宅取得等資金の贈与税の非課税特例は、省エネ等住宅の上限額や床面積50㎡以上240㎡以下などの法定要件が定められています。
解き方
- 公正証書遺言の作成に必要な立会人の人数(2人以上)を確認する。
- 自筆証書遺言書保管制度を管轄する機関(法務局)および通常省略される手続き機関(家庭裁判所での検認)と発行される証明書(遺言書情報証明書)を確認する。
- 住宅取得等資金の贈与税の非課税における省エネ等住宅の非課税限度額(1,000万円)および対象家屋の床面積上限(240㎡)を確認する。
答えの内訳
- ①:2
- 民法第969条に基づき、公正証書によって遺言をするには証人2人以上の立会いが必要です。
- ②:法務局
- 自筆証書遺言書保管制度において、遺言書の保管を行う遺言書保管所は法務局(または地方法務局等)に指定されています。
- ③:家庭裁判所
- 遺言書の検認は本来、家庭裁判所で行われますが、法務局に保管されている自筆証書遺言は検認の手続が不要となります。
- ④:遺言書情報
- 自筆証書遺言書保管制度において、遺言者の死亡後に相続人等は「遺言書情報証明書」の交付を請求し、それを用いて各種の相続手続きや遺言執行を行います。
- ⑤:1,000
- 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置において、質の高い住宅(耐震・省エネ・バリアフリー住宅等)の新築・取得等に係る非課税限度額は1,000万円です。
- ⑥:240
- 住宅取得等資金の贈与税の非課税の適用対象となる住宅用家屋の床面積要件は、原則として50㎡以上240㎡以下(合計所得金額が1,000万円以下の場合は下限が40㎡以上)と定められています。
覚えるポイント
- 自筆証書遺言書保管法により法務局に保管された遺言書は家庭裁判所の検認が不要。
- 死亡後に相続人が請求して遺言執行等に用いるのは「遺言書情報証明書」。
- 住宅取得等資金の非課税限度額は省エネ等住宅が1,000万円、一般住宅が500万円。床面積は原則50㎡以上240㎡以下。
間違えやすいところ
- 公正証書遺言に必要な証人の人数(2人以上)を秘密証書遺言と混同したり、1人と誤認しないこと。
- 遺言書保管事実証明書(遺言書が保管されているか否かの証明)と遺言書情報証明書(遺言書の内容が記載された証明書)を混同しないこと。
- 住宅取得等資金の非課税の家屋床面積上限(240㎡以下)を、登録免許税や住宅ローン控除の要件等と混同しないこと。
出題の前提:特に指示のない限り、2022年10月1日現在施行の法令等に基づいて解答する。
出典:金融財政事情研究会『2023年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2023年5月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2023年5月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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