日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2023年1月 1級 学科(応用編)の概要
健康保険の療養の給付および保険外併用療養費
リスク管理 · 健康保険 / 一部負担金 / 保険外併用療養費 / 評価療養 / 選定療養
健康保険の療養の給付および保険外併用療養費に関する次の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 「健康保険の被保険者が業務災害・通勤災害以外の事由により病気やケガをしたときは、健康保険の療養の給付を受けることができます。70歳未満の被保険者の場合、原則として、医療費の( ① )割を一部負担金として保険医療機関等の窓口で支払います。 健康保険では、保険が適用されない診療を受けると、原則として保険が適用される診療も含めて医療費の全額が自己負担となります。ただし、保険外診療を受ける場合であっても、( ② )、( ③ )、患者申出療養については保険診療との併用が認められており、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は一般の保険診療と同様に扱われ、その部分については一部負担金相当額を支払うこととなり、残りの額は保険外併用療養費として健康保険から給付が行われます。 なお、( ② )とは厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、療養の給付の対象とすべきものであるか否かについて適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるものとされており、先進医療や治験に係る診療等が該当します。また、( ③ )とは被保険者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生労働大臣が定める療養とされており、一般病床数( ④ )床以上の地域医療支援病院で紹介状なしに初診を受けた場合等が該当します。 仮に、70歳未満の被保険者が( ② )を受け、医療費が100万円で、その内訳が先進医療に係る費用が30万円と通常の治療と共通する部分に係る費用が70万円であった場合、保険外併用療養費として支給される金額は( ⑤ )万円となります」
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解答
① 3(割) ② 評価療養 ③ 選定療養 ④ 200(床) ⑤ 49(万円)
解説
健康保険では保険診療と保険外診療の混合診療は原則禁止されており全額自己負担となりますが、評価療養・選定療養・患者申出療養については保険診療との併用が例外的に認められています。基礎的な共通治療部分は一般の保険給付(保険外併用療養費)が行われます。
解き方
- 健康保険の一部負担金の年齢区分(70歳未満は3割)を確認する。
- 混合診療が認められる療養の区分(評価療養・選定療養)の定義および大病院受診の基準病床数(200床)を特定する。
- 保険外併用療養費の給付額として、一般診療共通部分(70万円)から被保険者の一部負担金相当額(3割=21万円)を差し引いた保険給付分(7割=49万円)を算出する。
答えの内訳
- ①:3(割)
- 70歳未満の健康保険被保険者および被扶養者の窓口一部負担割合は原則3割です(小学校就学前は2割)。
- ②:評価療養
- 将来的に保険適用とすべきか否かを評価する先進医療や治験等に係る療養を「評価療養」といいます。
- ③:選定療養
- 特別の療養環境(差額ベッド)や紹介状なしの大病院受診など、患者が選択して受ける療養を「選定療養」といいます。
- ④:200(床)
- 一般病床数200床以上の地域医療支援病院や特定機能病院等を紹介状なしで受診した場合の定額負担は選定療養に該当します。
- ⑤:49(万円)
- 先進医療費30万円は全額自己負担です。共通治療部分70万円のうち窓口負担は3割の21万円となり、差額の7割にあたる49万円(70万円×70%)が保険外併用療養費として健康保険から支給されます。
覚えるポイント
- 保険外併用療養費の対象は「評価療養」「選定療養」「患者申出療養」の3つです。
- 先進医療費用そのものは全額自己負担であり、通常の保険診療共通部分のみが保険給付(一部負担金を除き保険外併用療養費)の対象となります。
間違えやすいところ
- 総医療費100万円の7割(70万円)を保険外併用療養費と誤認しないこと。先進医療の30万円は全額自己負担であり、保険給付の対象外です。
- 紹介状なし大病院受診の対象となる病床数(200床以上)を500床などと混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の健康保険法
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
健康保険の高額療養費制度および限度額適用認定証
リスク管理 · 健康保険 / 高額療養費 / 世帯合算 / 多数回該当 / 限度額適用認定証 / マイナ保険証
健康保険の高額療養費について説明した次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 「健康保険の被保険者が、同一月内に、保険医療機関等で診療を受けて支払った一部負担金等の合計が当該被保険者に係る自己負担限度額(高額療養費算定基準額)を超えた場合、所定の手続により、その超えた金額が高額療養費として支給されます。この一部負担金等の合計には、差額ベッド代、食事代、保険適用となっていない医療行為等に係る費用は含みません。1回分の一部負担金等では上限額を超えない場合でも、複数回の診療や同じ世帯にいる被扶養者の診療について、70歳未満の者は、それぞれ支払った一部負担金等が( ① )円以上である場合は、1カ月単位で合算することができます。また、過去12カ月以内に複数回、高額療養費が支給されると、( ② )回目から自己負担限度額が軽減される仕組みがあります。 なお、事前に保険者から限度額適用認定証の交付を受け、保険医療機関の窓口に限度額適用認定証と被保険者証を提示すると、一保険医療機関の窓口で支払う同一月内の一部負担金等は自己負担限度額までになります。また、一定の保険医療機関において( ③ )を被保険者証として利用した場合、限度額適用認定証がなくても窓口で支払う一部負担金等は自己負担限度額までになります。 仮に、Aさんが2023年2月中に病気による入院で療養の給付を受けて総医療費が100万円となり、限度額適用認定証を提示して、初めて高額療養費の支給を受ける場合、Aさんの所得区分が下記〈資料〉の区分イに該当するときは、保険医療機関に一部負担金等のうち□□□円を支払えばよく、実際の一部負担金等との差額( ④ )円が現物給付されることになります」 〈資料〉高額療養費の自己負担限度額(70歳未満、月額、一部抜粋) 区分イ(標準報酬月額53万~79万円):167,400円+(総医療費-558,000円)×1%、多数回該当93,000円
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解答
① 21,000(円) ② 4(回目) ③ 個人番号(マイナンバー)カード ④ 128,180(円)
解説
高額療養費制度は、同一月内の医療費の自己負担額が所得区分に応じた算定基準額を超えた場合にその超過額を支給する制度です。事前に限度額適用認定証の提示やマイナンバーカードによる資格確認を行うことで、窓口での支払いを最初から限度額にとどめる現物給付化が可能です。
解き方
- 70歳未満の世帯合算の基準額(21,000円以上)および多数回該当となる回数(4回目以降)を確認する。
- オンライン資格確認によって限度額認定証が不要となる媒体(個人番号(マイナンバー)カード)を特定する。
- 総医療費100万円における区分イの自己負担限度額(171,820円)を算定する。
- 本来の一部負担金30万円(100万円×30%)から自己負担限度額を差し引いて、窓口で現物給付される高額療養費相当額(128,180円)を算出する。
答えの内訳
- ①:21,000(円)
- 70歳未満の者の高額療養費の世帯合算において、合算対象となる自己負担額は同一月・同一医療機関(医科・歯科、入院・通院別)あたり21,000円以上です。
- ②:4(回目)
- 療養を受けた月以前の過去12カ月以内に、同一世帯で3回以上高額療養費の支給を受けている場合、4回目から多数回該当となり自己負担限度額が引き下げられます。
- ③:個人番号(マイナンバー)カード
- マイナ受付対応の医療機関等で個人番号(マイナンバー)カードを健康保険証として利用(マイナ保険証)すると、事前の限度額適用認定証の申請・提示がなくても窓口での支払いが自己負担限度額までとなります。
- ④:128,180(円)
- 総医療費100万円に対する窓口の本来の一部負担金(3割)は300,000円です。区分イの自己負担限度額は167,400円+(1,000,000円-558,000円)×1%=171,820円となります。したがって、現物給付される差額は300,000円-171,820円=128,180円です。
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覚えるポイント
- 70歳未満の合算基準は1人1回(1医療機関・診療科別)21,000円以上です(70歳以上は全額合算可能)。
- 多数回該当は過去12カ月で「4回目」からです。
間違えやすいところ
- 空欄④で支払うべき自己負担限度額(171,820円)そのものを解答しないこと。問題では「実際の一部負担金等との差額」すなわち高額療養費として現物給付される金額を問われています。
- 総医療費の計算で、総医療費(100万円)から引く基準額を区分ウ(267,000円)など他の所得区分と取り違えないように注意が必要です。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の健康保険法
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金制度の遺族給付および年金生活者支援給付金の計算
ライフプランニングと資金計画 · 遺族基礎年金 / 遺族厚生年金 / 遺族年金生活者支援給付金
被保険者Aさん(54歳)が2023年1月22日に死亡し、妻Bさん(49歳)が遺族基礎年金、遺族厚生年金および遺族年金生活者支援給付金の受給権を取得した場合における妻Bさんの遺族給付の年金額について、提示された条件に基づいて次の①~③を求めなさい(年金額は2022年度価額、円単位とし円未満四捨五入)。 ① 遺族基礎年金の年金額 ② 遺族厚生年金の年金額(本来水準による価額) ③ 遺族年金生活者支援給付金の額(年額)
解答・解説を表示
解答
① 1,001,600(円) ② 747,201(円) ③ 60,240(円)
解説
遺族給付は被保険者の死亡時に遺族の生活を保障する制度であり、子の要件判定や報酬比例部分の乗率計算、給付制限の規定を正確に適用する必要があります。
解き方
- 遺族基礎年金における対象児童の年齢要件(18歳到達年度末日終了前)を確認し、基本額に子の加算額を合算する。
- 被保険者期間(総月数300月以上)に基づき総報酬制導入前後の報酬比例額を算出し、その4分の3(中高齢寡婦加算の併給停止も確認)を求める。
- 遺族年金生活者支援給付金の月額基準額(5,020円)に12カ月を乗じて年額を算出する。
答えの内訳
- ①:1,001,600(円)
- 遺族基礎年金の受給対象となる子は「18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子」または「20歳未満で障害等級1級・2級の子」です。長男Cさん(19歳)は対象外ですが、二男Dさん(16歳)は対象となります。したがって、基本額777,800円+第1子の加算額223,800円=1,001,600円となります。
- ②:747,201(円)
- Aさんの厚生年金被保険者期間は144月+237月=381月であり、300月以上のため実月数で計算します。報酬比例部分=300,000円×(7.125/1,000)×144月+530,000円×(5.481/1,000)×237月=307,800円+688,468.41円=996,268.41円。遺族厚生年金額はその4分の3であるため、996,268.41円×3/4=747,201.3075円となり、円未満四捨五入により747,201円となります(遺族基礎年金受給中のため中高齢寡婦加算は支給停止)。
- ③:60,240(円)
- 遺族年金生活者支援給付金の支給基準額(2022年度価額)は月額5,020円です。年額換算すると5,020円×12月=60,240円となります。
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覚えるポイント
- 遺族基礎年金の子の対象年齢は18歳到達年度の3月31日までです。
- 中高齢寡婦加算は遺族基礎年金を受給している間は併給されず支給停止となります。
間違えやすいところ
- 19歳の長男を遺族基礎年金の子の加算対象に誤って含めてしまう。
- 遺族基礎年金と中高齢寡婦加算が同時に受給できると誤認して加算額を上乗せしてしまう。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(2022年度価額)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務データに基づく経営分析指標の計算
金融資産運用 · 総資産経常利益率 / 総資産回転率 / PER / PBR
設例の〈財務データ等〉に基づいて、X社に関する各財務分析指標(①総資産経常利益率、②総資産回転率、③PER、④PBR)を計算し、空欄①~④に入る数値を求めなさい。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで解答すること。
解答・解説を表示
解答
① 7.65(%) ② 1.15(回) ③ 11.16(倍) ④ 1.44(倍)※非支配株主持分を考慮した回答(1.79倍)も可
解説
企業の収益性、効率性、市場評価を測定するため、財務諸表から総資産や自己資本、利益、株価を用いた財務比率を適切に算定します。
解き方
- 貸借対照表および損益計算書から経常利益、総資産、売上高を抽出し、総資産経常利益率および総資産回転率を計算する。
- 当期純利益と発行済株式総数から1株当たり当期純利益(EPS)を算出し、株価を除してPERを求める。
- 純資産(または非支配株主持分控除後の自己資本)と発行済株式総数からBPSを算出し、株価を除してPBRを求める。
答えの内訳
- ①:7.65(%)
- 総資産経常利益率(ROA)=経常利益÷総資産×100=186,000百万円÷2,430,000百万円×100≒7.6543%となり、小数点以下第3位を四捨五入して7.65%となります。
- ②:1.15(回)
- 総資産回転率=売上高÷総資産=2,800,000百万円÷2,430,000百万円≒1.1522回となり、小数点以下第3位を四捨五入して1.15回となります。
- ③:11.16(倍)
- 1株当たり当期純利益(EPS)=親会社株主に帰属する当期純利益÷発行済株式総数=138,000百万円÷200百万株=690円。PER=株価÷EPS=7,700円÷690円≒11.1594倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して11.16倍となります。
- ④:1.44(倍)
- 純資産の部合計を用いた場合、1株当たり純資産(BPS)=1,070,000百万円÷200百万株=5,350円となり、PBR=7,700円÷5,350円≒1.4392倍より1.44倍となります。なお、非支配株主持分を控除した自己資本(860,000百万円)に基づくBPS(4,300円)で計算した1.79倍(7,700円÷4,300円≒1.7906倍)も正解として認められます。
覚えるポイント
- 総資産経常利益率=売上高経常利益率×総資産回転率に分解できます。
- PERは株価÷EPS(当期純利益ベース)、PBRは株価÷BPS(純資産ベース)で算出します。
間違えやすいところ
- 総資産回転率の単位を「%」として計算したり、売上高と総資産の分子分母を取り違える。
- 端数処理の指示(小数点以下第3位を四捨五入)を失念して第2位を切り捨ててしまう。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令・出題条件に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
CVP分析に基づく営業利益および損益分岐点売上高の計算
金融資産運用 · CVP分析 / 損益分岐点売上高 / 変動費率 / 限界利益率
設例の〈財務データ等〉に基づき、次の①および②に答えなさい。計算過程を示し、答は百万円単位とすること。なお、変動費は売上原価に等しく、固定費は販売費及び一般管理費に等しいものとする。 ① X社の当期の変動費率が変わらずに売上高が10%少なくなった場合の営業利益はいくらか。 ② X社の損益分岐点売上高はいくらか。 〈X社の損益データ(百万円)〉 売上高:2,800,000、売上総利益:770,000、営業利益:176,000
解答・解説を表示
解答
① 99,000(百万円) ② 2,160,000(百万円)
解説
CVP分析では費用を固定費と変動費に分解します。本問の指示に基づき「変動費=売上原価」「固定費=販売費及び一般管理費(売上総利益-営業利益)」として限界利益率を算出し、売上高変動時の利益や損益分岐点売上高を計算します。
解き方
- 設例の数値から売上原価(変動費)および販管費(固定費)を算出し、変動費率(72.5%)と限界利益率(27.5%)を特定する。
- ①では売上高が10%減じた2,520,000百万円に限界利益率を乗じ、そこから固定費を差し引いて営業利益99,000百万円を求める。
- ②では固定費594,000百万円を限界利益率27.5%で除して損益分岐点売上高2,160,000百万円を算出する。
答えの内訳
- ①:99,000(百万円)
- 売上原価(変動費)=売上高2,800,000百万円-売上総利益770,000百万円=2,030,000百万円。販売費及び一般管理費(固定費)=売上総利益770,000百万円-営業利益176,000百万円=594,000百万円。変動費率=2,030,000百万円÷2,800,000百万円×100=72.5%(限界利益率27.5%)。売上高が10%減少した場合の売上高=2,800,000百万円×(1-0.10)=2,520,000百万円。営業利益=2,520,000百万円×(1-72.5%)-594,000百万円=99,000百万円。
- ②:2,160,000(百万円)
- 限界利益率=売上総利益770,000百万円÷売上高2,800,000百万円×100=27.5%。損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率=594,000百万円÷27.5%=2,160,000百万円。
覚えるポイント
- 損益分岐点売上高=固定費÷限界利益率(=固定費÷(1-変動費率))
- 売上原価=売上高-売上総利益、販管費=売上総利益-営業利益
間違えやすいところ
- 売上原価を固定費、販管費を変動費と取り違えて計算してしまう。
- 売上高が10%減少した際に固定費まで10%減少させてしまう(固定費は一定)。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令・会計基準等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
米ドル建債券の所有期間利回り(円換算)の計算
金融資産運用 · 外国債券 / 所有期間利回り / 為替レート / TTS・TTB
設例の〈米ドル建債券の概要〉の条件で、為替予約を付けずに円貨を外貨に交換して当該債券を購入し、1年6カ月後に売却して、売却金額と3回分の利子をまとめて円貨に交換した場合における所有期間利回り(単利による年換算)を求めなさい(計算過程の記載は不要)。答は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位までを解答すること。なお、1年6カ月は1.5年として計算し、税金等は考慮しないものとする。 〈米ドル建債券の概要〉 ・利率(年率):4.5%(米ドルベース、年2回利払) ・残存期間:5年 ・単価(額面100米ドル当たり)および適用為替レート 購入時:単価98.25米ドル、TTS 148.00円、TTM 147.00円、TTB 146.00円 売却時:単価102.50米ドル、TTS 142.00円、TTM 141.00円、TTB 140.00円
解答・解説を表示
解答
3.46(%)
解説
円貨ベースの外国債券利回り計算では、円から外貨への交換時にTTS、外貨から円への交換時にTTBを用います。額面100外貨当たりの購入代金(円)と受取総額(売却代金+利子合計の円換算額)を求め、保有年数(1.5年)で年換算して単利利回りを算出します。
解き方
- 購入代金(円)を計算する:購入単価98.25米ドル×購入時TTS 148.00円=14,541円。
- 売却代金と3回分の利子を米ドルで合計する:102.50米ドル+(100米ドル×4.5%÷2×3)=109.25米ドル。
- 円貨受取額を計算する:109.25米ドル×売却時TTB 140.00円=15,295円。
- 年換算利回りを計算する:〔(15,295円-14,541円)÷1.5年〕÷14,541円×100≒3.4568%となり、小数点以下第3位を四捨五入して3.46%を求める。
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覚えるポイント
- 顧客が円から外貨を買うときはTTS(Telegraphic Transfer Selling)、外貨を売って円にするときはTTB(Telegraphic Transfer Buying)を用いる
- 年2回利払の債券で1年6カ月(1.5年)保有した場合、利子の受取回数は3回分となる
間違えやすいところ
- 購入時と売却時の為替レート適用(TTSとTTB)を取り違えてしまう。
- 利子額の計算で年2回利払の回数(3回)を年利×1.5年で計算せず掛け忘れたり、米ドル利子を円換算し忘れたりする。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等に基づく
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種所得金額および総所得金額の計算
タックスプランニング · 一時所得 / 雑所得 / 不動産所得の損益通算 / 所得金額調整控除 / 総所得金額
《設例》の〈収入等に関する資料〉に基づいて、Aさんの2022年分の所得金額等である次の①~③をそれぞれ求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は万円単位とすること。 ① 総所得金額に算入される一時所得の金額 ② 雑所得の金額 ③ 総所得金額
解答・解説を表示
解答
① 5万円 ② 115万円 ③ 1,205万円
解説
総所得金額の算定では、各種所得を総合課税と申告分離課税・源泉分離課税に正しく区分し、一時所得の特別控除および2分の1課税、公的年金等控除額、不動産所得の土地負債利子に係る損益通算制限、給与所得と年金所得の双方を有する場合の所得金額調整控除を正確に反映させる必要があります。
解き方
- 一時所得について、5年超経過した一時払終身保険の差益(60万円)から特別控除50万円を引き、2分の1を乗じて算入額(5万円)を求める(5年以内の一時払変額個人年金は源泉分離課税)。
- 雑所得について、公的年金等(155万円-速算表の控除額100万円=55万円)と個人年金(180万円-120万円=60万円)を合計して115万円を算出する。
- 給与所得控除後の給与から所得金額調整控除10万円を控除し、不動産所得の損失▲20万円のうち土地負債利子10万円を除く▲10万円を通算し、一時所得の2分の1(5万円)を合算して総所得金額を算出する。
答えの内訳
- ①:5(万円)
- 一時払終身保険の解約返戻金は契約から5年超経過しているため一時所得となります(一時払変額個人年金保険は5年以内解約のため金融類似商品として源泉分離課税の対象となり、総合課税の一時所得には含めません)。 総収入金額960万円-支出金額900万円=差引金額60万円 一時所得の金額=60万円-特別控除額50万円=10万円 総所得金額に算入される額=10万円×1/2=5万円。
- ②:115(万円)
- 公的年金等の収入金額は老齢基礎年金55万円+確定給付企業年金100万円=155万円。65歳以上で他の合計所得が1,000万円超2,000万円以下の場合、速算表より公的年金等控除額は100万円です。したがって公的年金等に係る雑所得は、155万円-100万円=55万円。 業務・その他に係る雑所得(個人年金保険)は、180万円-120万円=60万円。 雑所得の金額の合計は、55万円+60万円=115万円。
- ③:1,205(万円)
- 各所得金額を求めて損益通算および総所得金額を算出します。 ・給与所得:収入1,300万円-給与所得控除195万円=1,105万円。給与と公的年金等の双方を有するため所得金額調整控除(年金等)の適用があり、{給与所得控除後の給与等の金額(限度10万円)+公的年金等に係る雑所得の金額(限度10万円)}-10万円=10万円が給与所得から控除され、1,105万円-10万円=1,095万円。 ・不動産所得:500万円-520万円=▲20万円の損失。土地取得借入金利子10万円部分は損益通算の対象外となるため、通算可能な損失額は▲10万円。 ・株式等譲渡所得は分離課税のため総所得金額には含めません。 ・総所得金額=給与所得1,095万円+雑所得115万円+不動産所得▲10万円+一時所得(1/2後)5万円=1,205万円。
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覚えるポイント
- 契約から5年以内に解約された一時払養老保険・一時払変額個人年金保険等の差益は金融類似商品として源泉分離課税(20.315%)となり一時所得に含まれません。
- 不動産所得が赤字の場合、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分は損益通算の対象外(他の所得から控除できない)となります。
間違えやすいところ
- 一時払変額個人年金保険(2018年8月契約、解約時差益200万円)を総合課税の一時所得に含めて計算してしまう誤り。
- 不動産所得の損失20万円の全額を給与所得等から差し引いてしまい、土地負債利子10万円の損益通算制限を失念する誤り。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の所得税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
医療費控除およびセルフメディケーション税制
タックスプランニング · 医療費控除 / セルフメディケーション税制 / 領収書の保存期間
《設例》の〈医療費等に関する資料〉に基づいて、所得税における医療費控除に関する以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。 「医療費控除は、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)との選択適用とされています。セルフメディケーション税制では、その年中に支払った特定一般用医薬品等購入費の総額から保険金などで補填される金額を控除した金額が12,000円を超えるときは、その超える部分の金額(最高( ① )円)を総所得金額等から控除することができます。 Aさんが通常の医療費控除の適用を受ける場合、〈医療費等に関する資料〉に基づく2022年分の所得税に係る医療費控除の控除額は( ② )円となります。なお、Aさんが確定申告書を提出する際は、医療費控除の明細書の添付が必要となりますが、確定申告期限等から( ③ )年を経過する日までの間は、税務署から医療費の領収書(医療費通知に係るものを除く)の提示または提出を求められる場合があります」
解答・解説を表示
解答
① 88,000(円) ② 90,000(円) ③ 5(年)
解説
医療費控除は、自己または生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った一定の医療費の実質負担額が基準額(10万円または総所得金額等の5%のいずれか低い額)を超える場合に適用されます。人間ドックは重大な疾病が発見され引き続き治療を行った場合に限り対象となり、自己都合の差額ベッド代や日用品購入費は対象外です。また、確定申告時の領収書の保存義務期間は5年間と定められています。
解き方
- セルフメディケーション税制の控除限度額(88,000円)を確認する。
- 設例の各費用について医療費控除の対象可否を判定する(人間ドック6万円:対象、日用品1万円:対象外、入院費25万円のうち差額ベッド代7万円を除いた18万円から補填額10万円を控除した8万円:対象、通院費5万円:対象)。
- 控除対象医療費合計19万円から足切り額10万円を差し引いて控除額90,000円を算出し、領収書の保存年数(5年)を確認する。
答えの内訳
- ①:88,000(円)
- セルフメディケーション税制における控除額の上限は、特定一般用医薬品等購入費から保険金等による補填額を控除した後の金額のうち12,000円を超える部分で、最高88,000円です。
- ②:90,000(円)
- 医療費控除の対象となる費用を判定します。 ・人間ドックの費用:重大な疾病が発見され引き続き治療を受けたため対象(6万円)。 ・入院用の寝巻きや洗面具の購入費:身の回り品の購入費用は対象外。 ・入院費用:25万円のうち、本人希望の差額ベッド代7万円は対象外。食事代(1.5万円)は入院時の標準負担額として対象となるため、25万円-7万円=18万円が対象。ここから医療保険の入院給付金10万円を差し引くため、実質負担は18万円-10万円=8万円。 ・通院費用:通院治療のための病院費用は対象(5万円)。 対象医療費合計=6万円+(18万円-10万円)+5万円=19万円。 総所得金額等が200万円以上であるため足切り額は10万円となり、医療費控除額は19万円-10万円=90,000円です。
- ③:5(年)
- 確定申告書に医療費控除の明細書を添付して申告した場合、確定申告期限等から5年間、税務署から領収書の提示または提出を求められることがあるため、納税者は自宅等で保存しておく必要があります。
覚えるポイント
- セルフメディケーション税制の控除限度額は88,000円(購入額上限10万円-1.2万円)。
- 人間ドック検診費用は原則対象外だが、重大な疾病が発見され治療に移行した場合は全額が医療費控除の対象となります。
- 医療費の領収書は提出不要ですが、確定申告期限から5年間の自宅保存義務があります。
間違えやすいところ
- 自己の都合で個室を利用した際の差額ベッド料を誤って医療費控除の対象に含めてしまうミス。
- 人間ドックで疾病が発見されているにもかかわらず、健康診断・人間ドック=全額対象外と画一的に除外してしまうミス。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の所得税法・租税特別措置法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅借入金等特別控除の適用要件および控除限度額
タックスプランニング · 住宅借入金等特別控除 / 省エネ基準適合住宅 / 住宅ローン控除の税制改正
住宅を新築したときの住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)に関する次の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な数値等を解答しなさい。 「個人が住宅を新築したときの住宅借入金等特別控除の適用を受けるための要件には、次のようなものがあります。 (1) 新築の日から( ① )カ月以内に居住の用に供し、原則として適用を受ける各年の12月31日まで引き続き居住していること。 (2) 新築した住宅の床面積が、原則として50㎡以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住の用に供するものであること。 (3) 適用を受ける年分の合計所得金額が、原則として( ② )万円以下であること。 (4) 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている新築のための一定の借入金または債務があること。 新築した省エネ基準適合住宅の請負契約が2021年10月以降で、居住開始が2022年中である場合、住宅借入金等特別控除の適用を受けることができる控除期間は、最長( ③ )年間です。各年分の控除額は、その年の12月31日現在の住宅借入金等の残高(□□□万円以下の部分)に、控除率□□□%を乗じて得た金額であり、最大( ④ )万円となります。なお、所得税額から控除しきれない場合、その控除しきれない金額を、所得税の課税総所得金額等の合計額の5%相当額または( ⑤ )円のいずれか少ないほうの額を限度として、翌年度分の住民税の所得割額から控除することができます」
解答・解説を表示
解答
① 6(カ月) ② 2,000(万円) ③ 13(年間) ④ 28(万円) ⑤ 97,500(円)
解説
住宅借入金等特別控除は、住宅ローンを利用してマイホームの新築・取得・増改築等を行った場合に所得税額等から一定額を控除できる制度です。2022年度税制改正により、控除率が従来の1.0%から0.7%へ見直され、適用対象者の合計所得金額の上限が2,000万円へ引き下げられました。また、環境性能に応じた借入限度額や住民税からの控除限度額(最高97,500円)が設定されています。
解き方
- 居住開始時期および省エネ基準適合住宅の区分に基づき、控除期間(13年間)および借入限度額(4,000万円)を確認する。
- 控除率(0.7%)を借入限度額に乗じて最大控除額(28万円)を計算し、所得要件(2,000万円以下)や住民税控除限度額(97,500円)などの規定数値をそれぞれ特定する。
答えの内訳
- ①:6(カ月)
- 新築または取得の日から「6カ月」以内に自己の居住の用に供する必要があります。
- ②:2,000(万円)
- 住宅ローン控除の適用を受ける年分の合計所得金額の上限は、2022年度税制改正により3,000万円以下から「2,000万円」以下に引き下げられました。
- ③:13(年間)
- 2022年中に新築の省エネ基準適合住宅に居住を開始した場合の控除期間は最長「13年」間となります。
- ④:28(万円)
- 2022年入居の省エネ基準適合住宅(新築)の借入限度額は4,000万円、控除率は0.7%であるため、各年分の最大控除額は「4,000万円×0.7%=28万円」となります。
- ⑤:97,500(円)
- 住宅ローン控除において所得税から控除しきれなかった額は、所得税の課税総所得金額等の額の5%相当額または「97,500円」のいずれか少ない額を限度として翌年度の住民税から控除されます。
覚えるポイント
- 住宅借入金等特別控除の所得制限は2,000万円以下であること
- 2022年税制改正後の住民税からの控除上限額は前年課税総所得金額等の5%または最高97,500円であること
間違えやすいところ
- 所得制限を税制改正前の3,000万円と誤答するミス
- 住民税控除限度額を改正前の136,500円(最高7%)と混同するミス
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における斜線制限および建築確認・検査の手続き
不動産 · 斜線制限 / 建築確認 / 中間検査 / 完了検査
建築基準法の規定に関する次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を解答しなさい。 Ⅰ 「建築基準法では、都市計画区域内と準都市計画区域内において、用途地域等に応じて、建築物の高さの制限を定めています。建築物の各部分の高さの制限については、3種類の斜線制限がありますが、甲土地の用途地域は近隣商業地域に該当するため、( ① )斜線制限は適用されません。なお、建築基準法では、これらのほかに日影による中高層の建築物の高さの制限等が定められています」 Ⅱ 「一定規模以上の建築物を建築しようとする場合には、建築主は工事に着手する前に、( ② )または指定確認検査機関に確認申請書を提出し、その計画が建築基準関係規定に適合していることの確認を受けなければなりません。( ② )は、政令で指定する人口25万以上の市や都道府県等に置かれています。建築基準関係規定に適合していることが確認されれば、( ③ )が交付されます。 中間検査とは、建築工事に階数が( ④ )以上である共同住宅の床および梁に鉄筋を配置する工事の工程のうち一定の工程を含む場合などに、その工程に係る工事が終わった段階で、その建築物が建築基準関係規定に適合しているかを検査することをいい、建築主は中間検査対象建築物において、やむを得ない理由がない限り、一定の工程に係る工事終了日から( ⑤ )日以内に検査の申請をしなければならず、検査に合格しなければ次の工程に進むことはできません。 完了検査とは、工事が完了した段階で、その建築物が建築基準関係規定に適合しているかを検査することをいい、建築主は、やむを得ない理由がない限り、建築工事が完了した日から( ⑤ )日以内に検査の申請をしなければなりません。この申請に基づき完了検査が行われ、建築基準関係規定に適合していると認められると、建築主に対して( ⑥ )が交付されます」
解答・解説を表示
解答
① 北側(斜線制限) ② 建築主事 ③ 確認済証 ④ 3 ⑤ 4(日) ⑥ 検査済証
解説
建築基準法では、良好な市街地環境の保全や安全性の確保のため、高さ制限(各種斜線制限など)のほか、工事着手前の「建築確認」、施工途中の「中間検査」、工事完了後の「完了検査」という厳格な手続きプロセスを定めています。これら各検査の申請期限や交付される確認書類の名称を正確に整理・把握することが重要です。
解き方
- 用途地域ごとの斜線制限の適用関係(近隣商業地域では道路斜線・隣地斜線が適用され、北側斜線は適用外)を判定する。
- 建築確認申請の手続き機関(建築主事)、交付証憑(確認済証・検査済証)、および中間・完了検査の対象階数(階数3以上)や申請期日(4日以内)の法律上の要件を当てはめる。
答えの内訳
- ①:北側(斜線制限)
- 道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限のうち、北側斜線制限が適用されるのは低層住居専用地域および中高層住居専用地域のみであり、近隣商業地域には適用されません。
- ②:建築主事
- 建築確認の申請先は、地方公共団体の行政機関に置かれる「建築主事」または指定確認検査機関です。
- ③:確認済証
- 建築主事または指定確認検査機関が建築計画を審査し、建築基準関係規定に適合していることを認めたときに交付される書面は「確認済証」です。
- ④:3
- 階数が「3」以上である共同住宅の床および梁に鉄筋を配置する工事の工程を含む場合等は、特定工程として中間検査の対象となります。
- ⑤:4(日)
- 中間検査は特定工程に係る工事を終えた日から「4日」以内、完了検査は工事が完了した日から「4日」以内に、建築主がそれぞれ検査の申請を行わなければなりません。
- ⑥:検査済証
- 完了検査によって建築物およびその敷地が建築基準関係規定に適合していると認められた場合に、建築主に対して交付されるのは「検査済証」です。
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覚えるポイント
- 中間検査・完了検査の申請期限はいずれも工程終了・工事完了から「4日以内」であること
- 着工前は「確認済証」、完了検査合格後は「検査済証」が交付されること
間違えやすいところ
- 確認済証と検査済証の交付タイミングを取り違えるミス
- 申請期限の日数を「7日以内」などと誤記するミス
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の事業用資産の買換え特例と譲渡所得税等の計算
不動産 · 特定の事業用資産の買換えの特例 / 課税長期譲渡所得金額 / 譲渡所得税・住民税・復興特別所得税
Aさんが事業用資産である土地(所有期間41年、取得費不明、譲渡費用700万円)を8,000万円で譲渡し、甲土地(取得価額1億円)を取得して「特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例」(課税の繰延割合80%)の適用を受けた場合における、①課税長期譲渡所得金額、および②課税長期譲渡所得金額に係る所得税・復興特別所得税・住民税の合計額をそれぞれ求めなさい(100円未満切捨て、円単位)。
解答・解説を表示
解答
① 13,800,000円 ② 2,803,400円
解説
特定の事業用資産の買換え特例において、買換資産の取得価額が譲渡資産の譲渡価額以上である場合、譲渡価額に課税割合(1-繰延割合)を乗じた金額を収入金額とみなし、取得費・譲渡費用も同割合であん分して課税譲渡所得金額を算定します。税率は長期譲渡所得として所得税15%、復興特別所得税(所得税額の2.1%)、住民税5%が適用されます。
解き方
- 譲渡価額に課税割合(100%-80%=20%)を乗じて課税対象となる収入金額(1,600万円)を算出する。
- 概算取得費(譲渡価額の5%=400万円)と譲渡費用(700万円)の合計に収入割合(20%)を乗じ、控除必要経費(220万円)を算出する。
- 課税対象収入金額から控除必要経費を差し引いて課税長期譲渡所得金額(1,380万円)を求める。
- 所得税(15%)、復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)、住民税(5%)を計算し、端数処理規定(国税は100円未満切捨て)を適用して合計税額を算出する。
答えの内訳
- ①:13,800,000(円)
- 買換資産の取得価額(1億円)が譲渡資産の譲渡価額(8,000万円)以上であるため、譲渡価額のうち20%相当額(100%-80%)が課税対象収入金額となります。 ・課税対象収入金額=8,000万円×(1-80%)=1,600万円 ・取得費が不明のため概算取得費(譲渡価額の5%)を適用:8,000万円×5%=400万円 ・対応する取得費および譲渡費用=(400万円+700万円)×(1,600万円/8,000万円)=220万円 ・課税長期譲渡所得金額=1,600万円-220万円=1,380万円(13,800,000円)
- ②:2,803,400(円)
- 課税長期譲渡所得金額1,380万円に対して適用される各税額を計算します。 ・所得税額=1,380万円×15%=2,070,000円 ・復興特別所得税額=2,070,000円×2.1%=43,470円 ・基準所得税額+復興特別所得税額=2,070,000円+43,470円=2,113,470円 → 100円未満切捨てにより2,113,400円 ・住民税額=1,380万円×5%=690,000円 ・合計税額=2,113,400円+690,000円=2,803,400円

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覚えるポイント
- 事業用資産買換え特例で買換価額≧譲渡価額の場合の課税割合は(1-繰延割合)となる。
- 国税通則法により所得税・復興特別所得税の確定税額は100円未満切捨てとなる点に留意する。
間違えやすいところ
- 取得費や譲渡費用に課税割合(20%)を乗じずに全額控除してしまう誤り。
- 復興特別所得税の端数処理を行わずに直接住民税と合算してしまうミス。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第37条、所得税法、東日本大震災復興特別所得税規定)。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における建蔽率・容積率(特定道路緩和)の計算
不動産 · 建蔽率の制限・緩和 / 容積率制限 / 特定道路による容積率の緩和
甲土地(敷地面積350㎡、近隣商業地域、指定建蔽率80%、指定容積率400%、防火地域、前面道路幅員6m、特定道路幅員18m・距離49m)上に耐火建築物を建築する場合における、①建蔽率の上限となる建築面積、および②容積率の上限となる延べ面積をそれぞれ求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 350㎡ ② 1,400㎡
解説
建蔽率は、防火地域内で指定建蔽率80%の地域において耐火建築物を建築する場合、制限が適用されず100%となります。容積率は、指定容積率と前面道路幅員制限(近隣商業地域は幅員×6/10)を比較して小さい方が上限となります。前面道路が特定道路(幅員12m以上)から70m以内にある場合、規定の算式により前面道路幅員に数値を加算する緩和措置があります。
解き方
- 防火地域内の耐火建築物かつ指定建蔽率80%による建蔽率100%の適用を確認し、建築面積上限(350㎡×100%=350㎡)を求める。
- 特定道路緩和の算式 W1=(12-W2)×(70-L)/70 を用いて加算幅員(1.8m)を計算し、前面道路みなし幅員を7.8mとする。
- 道路幅員制限による容積率(7.8m×6/10=468%)と指定容積率(400%)を比較し、小さい方の400%を適用容積率とする。
- 敷地面積に適用容積率を乗じて延べ面積上限(350㎡×400%=1,400㎡)を算出する。
答えの内訳
- ①:350(㎡)
- 甲土地は「指定建蔽率80%の地域」かつ「防火地域」にあり、建築する建築物が「耐火建築物」であるため、建蔽率の制限が適用除外(建蔽率100%)となります。 したがって、建築面積の最高限度=敷地面積350㎡×100%=350㎡となります。
- ②:1,400(㎡)
- 前面道路幅員による容積率制限および特定道路の緩和を検討します。 ・特定道路緩和の算式:W1=(a-W2)×(b-L)/b (※定数a=12、b=70、W2=6m、L=49m) ・加算値 W1=(12-6)×(70-49)/70=6×21/70=1.8m ・基準となる道路幅員=6m+1.8m=7.8m ・前面道路幅員制限による容積率=7.8m×(6/10)=46.8/10=468% ・指定容積率(400%)と道路幅員制限(468%)のいずれか小さい方が適用されるため、上限容積率は400%となります。 したがって、延べ面積の最高限度=敷地面積350㎡×400%=1,400㎡となります。
関連する分野を学ぶ
覚えるポイント
- 防火地域かつ指定建蔽率80%の地域に耐火建築物を建てる場合、建蔽率は100%(制限なし)になる。
- 特定道路緩和の定数は幅員12m(a=12)および延長距離70m(b=70)である。
間違えやすいところ
- 特定道路による幅員加算を行った結果(468%)をそのまま適用し、指定容積率(400%)による頭打ちを見落とすミス。
- 建蔽率80%地域における耐火建築物緩和で10%加算(90%)と誤認し、100%(適用除外)に気付かない誤り。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の建築基準法第52条(容積率・特定道路緩和)、第53条(建蔽率)。
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の評価会社に該当する取引相場のない株式の評価
相続・事業承継 · 取引相場のない株式 / 特定の評価会社 / 株式等保有特定会社 / 土地保有特定会社 / 比準要素数1の会社
取引相場のない株式の評価における特定の評価会社(開業後3年未満の会社、株式等保有特定会社、土地保有特定会社、比準要素数1の会社等)に関する説明文の空欄①~⑤に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。
解答・解説を表示
解答
① 3年(未満)、② 配当還元(方式)、③ 50(%)、④ 70(%)、⑤ 0.25
解説
特定の評価会社は、一般の評価会社と異なり資産構成や事業実態に著しい偏りがあるため、原則として類似業種比準方式ではなく純資産価額方式により評価額を算定します。
解き方
- 開業後経過年数の基準(3年未満)を確認して空欄①を判断する。
- 同族株主以外の少数株主が取得した株式の特例評価方式(配当還元方式)を確認して空欄②を判断する。
- 株式等保有特定会社(50%以上)および大会社における土地保有特定会社(70%以上)の資産保有判定割合を確認して空欄③・④を判断する。
- 比準要素数1の会社において選択可能な計算式における類似業種比準価額の参入割合(0.25)を確認して空欄⑤を判断する。
答えの内訳
- ①:3年(未満)
- 開業後の経過期間が「3年未満の会社」または休業中の会社は、特定の評価会社に該当し、原則として純資産価額方式により評価します。
- ②:配当還元(方式)
- 株式等保有特定会社や土地保有特定会社などの株式であっても、同族株主以外の株主等が取得した場合には特例的な評価方式である「配当還元方式」によって評価します。
- ③:50(%)
- 株式等保有特定会社とは、課税時期における総資産価額(相続税評価額)に占める株式等の合計額の割合が「50%」以上である会社を指します。
- ④:70(%)
- 土地保有特定会社に該当する土地保有割合は、評価会社が大会社の場合は「70%」以上、中会社または小会社の場合は90%以上となります。
- ⑤:0.25
- 比準要素数1の会社の株式を同族株主が取得した場合、原則は純資産価額方式ですが、納税者の選択により「類似業種比準価額×0.25+1株当たり純資産価額×(1-0.25)」での評価が認められます。
覚えるポイント
- 土地保有特定会社の大会社判定割合は70%以上、中会社・小会社は90%以上となる。
間違えやすいところ
- 比準要素数1の会社の選択式における斟酌割合をL値や0.5と混同しやすいため0.25と正確に覚える。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準価額の計算
相続・事業承継 · 取引相場のない株式 / 類似業種比準価額 / 中分類と小分類の選択 / 端数処理
設例の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を計算過程を示して求めなさい。なお、業種目等の選択にあたり複数の方法がある場合は最も低い価額となる方法を選択すること。端数処理は、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満切捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満切捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満切捨てとすること。
解答・解説を表示
解答
1,386(円)
解説
類似業種比準価額は、評価会社の業種に該当する類似業種の株価に、配当・利益・簿価純資産の3要素の比準割合を乗じ、大会社等の斟酌割合(0.7)を乗じて計算します。業種目は中分類と小分類を選択できる場合、株主にとって最も有利(評価額が低くなる)な業種を選択します。
解き方
- X社の1株当たりの資本金等の額(資本金等の額÷発行済株式総数=500円)を算出する。
- 総合工事業(中分類)と建築工事業(小分類)のそれぞれについて、配当・利益・純資産の比準割合(小数点第2位未満切捨て)および総合比準割合(小数点第2位未満切捨て)を算出する。
- それぞれの業種目について50円当たりの株価×比準割合×0.7を計算し、10銭未満を切り捨てる。
- 1株当たりの資本金等の額(500円/50円=10倍)を乗じ、2つの業種目を比較して最も低い価額(総合工事業の1,386円)を選択する。
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覚えるポイント
- 各要素別比準割合と比準割合は小数点第2位未満切り捨て、50円当たり株価は10銭未満切り捨てである。
間違えやすいところ
- 利益金額の比準割合計算で3倍にする旧方式の算式を使ってしまわないよう注意する(現行は3要素を均等配分)。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
1株当たりの純資産価額の計算
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 純資産価額方式 / 評価差額に対する法人税額等相当額
設例の〈X社の概要〉および資産・負債の状況(直前期の相続税評価額:流動資産53,000万円、固定資産147,000万円、流動負債26,000万円、固定負債27,000万円/帳簿価額:流動資産53,000万円、固定資産56,000万円、流動負債26,000万円、固定負債27,000万円、発行済株式総数160,000株)に基づき、X社株式の1株当たりの純資産価額(円未満切り捨て)を求めなさい。
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解答
7,083(円)
解説
純資産価額方式は、課税時期における会社の各資産・負債を相続税評価額で評価し直して正味資産を算出し、帳簿価額との差額(含み益)に対して37%の法人税額等相当額を控除した残額を発行済株式数で除して1株当たりの評価額を計算します。
解き方
- 相続税評価額および帳簿価額それぞれによる総資産額から負債合計額を差し引いて、各々の純資産額を算出する。
- 相続税評価額の純資産額から帳簿価額の純資産額を引いて含み益(評価差額)を求め、それに37%を乗じて法人税額等相当額を計算する。
- 相続税評価額の純資産額から法人税額等相当額を控除し、発行済株式総数(160,000株)で除して円未満を切り捨てる。
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覚えるポイント
- 評価差額に対する法人税額等相当額の控除率は一律で37%を乗じる。
- 株式数で除した後の最終結果の端数処理は円未満切り捨てである。
間違えやすいところ
- 評価差額(含み益)の計算時に帳簿価額の資産負債を差し引き忘れて相続税評価額全額に37%を乗じてしまう誤り。
- 端数処理を四捨五入してしまい7,083円を7,084円などと誤記すること。
出題の前提:2022年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2023年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2023年1月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2023年1月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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