日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年9月 1級 学科(応用編)の概要
特別支給の老齢厚生年金および在職老齢年金の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 在職老齢年金 / 支給停止調整額
設例のAさんに対する特別支給の老齢厚生年金と在職老齢年金の説明文における空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 「1960年11月生まれのAさんは、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ありますので、原則として62歳から特別支給の老齢厚生年金が支給されます。なお、男性の場合、( ① )年4月2日以後生まれの者から、原則として、特別支給の老齢厚生年金は支給されません。 Aさんが62歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務する場合、特別支給の老齢厚生年金は、Aさんの総報酬月額相当額と基本月額との合計額が( ② )円(支給停止調整額、2022年度価額)を超えると、一部または全部が支給停止となります。総報酬月額相当額とは、受給権者である被保険者の標準報酬月額とその月以前1年間の( ③ )の総額を12で除して得た額との合計額であり、基本月額とは、65歳未満の者の場合、特別支給の老齢厚生年金の月額のことです。 仮に、Aさんの62歳以後の総報酬月額相当額を50万円、基本月額を9万円とした場合、Aさんの特別支給の老齢厚生年金の支給額は月額( ④ )円となります」
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解答
① 1961(年)、② 470,000(円)、③ 標準賞与額、④ 30,000(円)
解説
在職老齢年金制度は、厚生年金保険の被保険者として給与や賞与を得ながら受給する老齢厚生年金について、総報酬月額相当額と基本月額の合計が支給停止調整額を超えた場合に年金額の一部または全部を停止する仕組みです。
解き方
- 特別支給の老齢厚生年金における男性・女性の受給開始年齢スケジュールを確認し、支給対象外となる生年月日を特定する。
- 2022年4月施行の改正による支給停止調整額(47万円)および総報酬月額相当額の定義語句を確認する。
- 在職老齢年金の支給停止額算定式「(総報酬月額相当額+基本月額-支給停止調整額)×1/2」に数値を代入し、支給月額を計算する。
答えの内訳
- ①:1961(年)
- 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)は、男性の場合1961年(昭和36年)4月2日以後生まれの者から受給権が発生せず、支給されません(女性は5年遅れで1966年4月2日以後生まれから支給なし)。
- ②:470,000(円)
- 2022年4月の法改正により、65歳未満の在職老齢年金(低在老)の支給停止調整額が65歳以上(高在老)と同額の47万円(2022年度価額)に引き上げられました。
- ③:標準賞与額
- 総報酬月額相当額とは、受給権者である被保険者の標準報酬月額とその月以前1年間の「標準賞与額」の総額を12で除して得た額との合計額を指します。
- ④:30,000(円)
- 支給停止額(月額)=(総報酬月額相当額50万円+基本月額9万円-47万円)×1/2=60,000円となります。よって、実際の支給額は基本月額90,000円-支給停止額60,000円=30,000円となります。
覚えるポイント
- 2022年4月より65歳未満・65歳以上問わず在職老齢年金の支給停止調整額は共通基準(2022年度は47万円)となった点。
- 特別支給の老齢厚生年金の廃止スケジュール(男性:1961年4月2日以後生まれ、女性:1966年4月2日以後生まれ)。
間違えやすいところ
- 支給停止額の計算結果(6万円)をそのまま解答欄に書いてしまい、実際の「支給額」(9万-6万=3万円)を答え損ねるミス。
- 改正前の65歳未満の支給停止調整基準(28万円)と混同してしまうこと。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の公的年金各法に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢給付の額の計算(老齢基礎年金・老齢厚生年金・経過的加算)
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金額の計算 / 老齢厚生年金額の計算 / 経過的加算額 / 報酬比例部分
Aさんが65歳でX社を退職し再就職しない場合、原則として65歳から受給できる公的年金の老齢給付について、次の①老齢基礎年金の年金額、および②老齢厚生年金の年金額(本来水準による価額)を求めなさい(計算過程を示し、答は円単位・端数は四捨五入)。
解答・解説を表示
解答
① 730,808円、② 1,254,847円
解説
老齢基礎年金は20歳から60歳までの保険料納付済月数に応じた満額からの按分計算を行い、老齢厚生年金は報酬比例部分と、定額部分の差額を埋める経過的加算を合算して計算します。
解き方
- Aさんの年金歴から20歳以上60歳未満の納付済期間の月数を算出し、老齢基礎年金額を満額×(納付済月数/480月)で計算する。
- 総報酬制導入前後の平均標準報酬額・乗率・被保険者期間から報酬比例部分の額を計算する。
- 厚生年金被保険者期間(上限480月)と20歳以上60歳未満の厚生年金期間月数を用いて経過的加算額を計算し、合算して老齢厚生年金額を求める。
答えの内訳
- ①:730,808(円)
- 老齢基礎年金の保険料納付済期間は、20歳から60歳までの480月から学生未加入期間29月を除いた451月です。満額777,800円×451月/480月=730,808.75円となり、円未満四捨五入で730,808円となります。
- ②:1,254,847(円)
- 報酬比例部分は、総報酬制導入前:300,000円×(7.125/1,000)×194月=414,675円、導入後:500,000円×(5.481/1,000)×271月=742,675.5円、合計1,157,350.5円→1,157,351円。経過的加算額は1,621円×465月-777,800円×(405月/480月)=753,765円-656,268.75円=97,496.25円→97,496円。配偶者は年上であり加給年金は対象外のため、合計は1,157,351円+97,496円=1,254,847円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算の控除側月数は「1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金保険被保険者期間の月数」(第3号被保険者期間や60歳以後の期間は含めない)であること。
- 老齢厚生年金の報酬比例部分の計算過程における端数処理(円未満四捨五入)の取り扱い。
間違えやすいところ
- 経過的加算の右側の分数分子に、第3号被保険者期間(46月)や60歳以降の厚生年金期間(60月)を含めて465月や451月と誤認してしまうミス。
- 加給年金額について、配偶者である夫Bさんが年上(64歳)で既に要件を満たさないにもかかわらず加算してしまう誤り。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の公的年金各法および2022年度価額に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
退職後の公的医療保険制度(被扶養者・任意継続・国民健康保険)
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険の被扶養者認定基準 / 健康保険の任意継続被保険者 / 国民健康保険の加入手続きと賦課限度額
会社を退職した後の公的医療保険の取扱いについて、健康保険の被扶養者認定要件、健康保険任意継続被保険者の手続きおよび保険料の算定基準、国民健康保険の手続きおよび賦課限度額に関する文章の空欄①〜⑥に当てはまる適切な数値または語句を答えなさい(空欄②は示された選択肢から選ぶこと)。
- イ
- 年間収入に含まれます
- ロ
- 2分の1が年間収入に含まれます
- ハ
- 年間収入に含まれません
解答・解説を表示
解答
① 180(万円)、② イ、③ 20(日)、④ 30(万円)、⑤ 14(日)、⑥ 85(万円)
解説
退職後の公的医療保険の選択肢には「家族の健康保険の被扶養者になる」「勤務先の健康保険を任意継続する」「国民健康保険に加入する」の3つがあります。被扶養者の認定は対象者の年齢(60歳未満は130万円未満、60歳以上等は180万円未満)や収入範囲(年金・失業給付も含む)の確認が必要です。任意継続被保険者と国民健康保険では、加入届出期限(20日以内と14日以内)や上限設定の仕組み(標準報酬月額の上限30万円と法定の賦課限度額)が大きく異なります。
解き方
- 被扶養者の収入認定基準において、対象者が60歳以上である場合の金額基準(180万円未満)および非課税給付を含める取扱いを判定する。
- 任意継続被保険者の資格取得申出期限(20日以内)および標準報酬月額の上限(2022年度は30万円)を確認する。
- 国民健康保険の資格取得届出期限(14日以内)および65歳以上に対する賦課限度額(医療分65万円+支援金分20万円=85万円)を計算して特定する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:180(万円)
- 60歳以上の者または障害厚生年金の受給要件に該当する障害の程度にある者が健康保険の被扶養者となるための年間収入基準は、180万円未満(かつ被保険者の年間収入の2分の1未満)です。
- 小問 ②:イ
- 健康保険の被扶養者認定における年間収入には、税法上の非課税所得である公的年金(遺族年金・障害年金含む)や雇用保険の失業等給付等も含めることとされています。
- 小問 ③:20(日)
- 健康保険の任意継続被保険者となるための申出は、被保険者資格を喪失した日(退職日の翌日)から20日以内に住所地を管轄する全国健康保険協会の支部に提出する必要があります。
- 小問 ④:30(万円)
- 任意継続被保険者の標準報酬月額は、退職時の標準報酬月額と全被保険者の平均標準報酬月額(2022年度は30万円)のいずれか低い方の額が上限として適用されます。
- 小問 ⑤:14(日)
- 国民健康保険の資格取得届は、職場の健康保険を脱退した日(退職日の翌日)から原則として14日以内に市区町村へ届け出る必要があります。
- 小問 ⑥:85(万円)
- 2022年度における国民健康保険料の賦課限度額は、基礎賦課額65万円と後期高齢者支援金等賦課額20万円の合計85万円です(65歳以上の介護納付金は市区町村から直接第1号被保険者として徴収されるため含まれません)。
覚えるポイント
- 被扶養者認定基準:60歳未満は130万円未満、60歳以上・障害者は180万円未満(非課税収入を含む)。
- 任意継続被保険者の申出期限は資格喪失日から20日以内、国保の加入手続きは14日以内。
間違えやすいところ
- 税法上の控除対象配偶者要件(非課税所得を含まない)と健康保険の被扶養者要件(失業保険や公的年金を含む)を混同しないこと。
- 任意継続の標準報酬月額上限(30万円)と国民健康保険の賦課限度額(85万円)の数値を混同しないこと。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の健康保険法、国民健康保険法等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の取引制度と売買成立ルール(決済日・注文方法・板情報・権利付最終日)
金融資産運用 · 株式の普通取引の受渡期日(T+2) / 成行注文と指値注文 / ザラバ方式と板寄せ方式 / 競争売買の原則(価格優先・時間優先) / 権利付最終日
東京証券取引所における上場内国株式の普通取引の仕組み(決済日数、注文方法、ザラバ方式、板における売買成立の優先順位、配当受領に必要な購入日)に関する文章の空欄①〜⑥に当てはまる適切な語句または数値を答えなさい。
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解答
① 3(営業日)、② 成行(注文)、③ ザラバ(ザラ場)、④ 100(円)、⑤ 104(円)、⑥ 2(営業日)
解説
金融商品取引所における株式取引の基本は「価格優先の原則」と「時間優先の原則」に基づきます。売り注文はより低い価格、買い注文はより高い価格が優先され、同値の場合は発注時間の早い注文が優先されます。約定後の決済(受渡し)は約定日を含めて3営業日目(T+2)に行われるため、配当等の株主権利を取得するには権利確定日の2営業日前である権利付最終日までに株式を購入する必要があります。
解き方
- 普通取引の受渡決済日数が約定日から起算して3営業日目であることを確認する。
- 価格を指定しない「成行注文」と、寄付きから引けまでの間の売買方式である「ザラバ方式」を特定する。
- 価格優先の原則を板情報に適用し、103円の買指値注文300株に対して、最も安い売注文100円(100株)と約定、次に102円(100株)と約定し、残る売り気配104円より安いため約定しない流れを整理する。
- 権利確定日に株主権利を得るために必要な買い付け期限が、権利確定日の2営業日前であることを導き出す。
答えの内訳
- ①:3(営業日)
- 上場株式の普通取引では、売買が成立した約定日当日を含めて3営業日目(T+2、約定日の2営業日後)に決済が行われます。
- ②:成行(注文)
- 希望する売買価格を指定せず、銘柄・売り買いの別・数量のみを指定して発注する注文方法を成行注文といいます。
- ③:ザラバ(ザラ場)
- 始値が決定された後、前場の引けまたは後場の引けまでの立会時間中に個別競争売買によって連続的に売買を成立させる方式をザラバ方式といいます。
- ④:100(円)
- 価格優先の原則により、買い注文に対しては最も低い価格の売り注文が優先されるため、板にある売り注文の中で最も安い100円の売り注文(❸)と最初に約定します。
- ⑤:104(円)
- 100円の売注文100株、102円の売注文100株と約定した後に残る最も安い売注文は104円(❷)ですが、買注文指値が103円であるため約定せず、103円の買注文が板に残ります。
- ⑥:2(営業日)
- 普通取引の受渡日は約定日から起算して3営業日目であるため、権利確定日に株主として株主名簿に記載されるには、権利確定日の2営業日前(権利付最終日)までに買い付ける必要があります。
覚えるポイント
- 株式の受渡日は約定日から起算して3営業日目(T+2)。
- 権利付最終日は権利確定日の2営業日前(権利落ち日は権利確定日の前営業日)。
- 売買成立の原則:価格優先(売りは安値優先、買いは高値優先)> 時間優先。
間違えやすいところ
- 受渡日の起算関係で「約定日の2営業日後」と「起算して3営業日目」という表現の数値を混同しないこと。
- 権利付最終日を権利確定日の「1営業日前(これは権利落ち日)」と誤答しないこと。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の金融商品取引法および東京証券取引所売買業務規程
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
財務分析(自己資本当期純利益率および使用総資本事業利益率の計算)
金融資産運用 · 財務諸表分析 / ROE / 使用総資本事業利益率
設例の〈W社とX社の財務データ〉に基づき、次の①および②を計算しなさい。計算過程を示し、表示単位の小数点以下第3位を四捨五入して小数点以下第2位まで求めること。 ① W社の自己資本当期純利益率(%) ② X社の使用総資本事業利益率(%)
解答・解説を表示
解答
① 7.29(%) ② 2.26(%)
解説
自己資本当期純利益率(ROE)は株主資本にその他の包括利益累計額を加えた自己資本(純資産合計から新株予約権と非支配株主持分を控除した額)に対する当期純利益の割合を示します。使用総資本事業利益率は本業の営業利益に金融収益を加えた事業利益が、調達した総資本(総資産)に対してどれだけ稼ぎ出されたかを測定する総合的な収益性指標です。
解き方
- W社の自己資本を純資産の部合計から新株予約権および非支配株主持分を控除して算出し、当期純利益を自己資本で除してROEを求めます。
- X社の事業利益を営業利益と受取利息・配当金の合計として算出し、総資本(資産合計)で除して使用総資本事業利益率を求めます。
答えの内訳
- ①:7.29(%)
- 自己資本当期純利益率(ROE)=親会社株主に帰属する当期純利益÷自己資本×100。W社の自己資本=純資産の部合計(1,300,000百万円)-新株予約権(1,500百万円)-非支配株主持分(63,500百万円)=1,235,000百万円(または株主資本合計1,200,000百万円+その他の包括利益累計額合計35,000百万円=1,235,000百万円)。したがって、90,000百万円÷1,235,000百万円×100=7.2874…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して7.29%となります。
- ②:2.26(%)
- 使用総資本事業利益率=事業利益÷総資本(総資産)×100。事業利益=営業利益+金融収益(受取利息+受取配当金)であり、X社の事業利益=105,000百万円+1,500百万円+1,000百万円=107,500百万円です。総資本(資産の部合計)=4,750,000百万円であるため、107,500百万円÷4,750,000百万円×100=2.2631…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して2.26%となります。
覚えるポイント
- ROEの分母である自己資本には新株予約権および非支配株主持分を含めないこと。
- 事業利益は営業利益に受取利息および受取配当金(金融収益)を加算して算出すること。
間違えやすいところ
- 自己資本の計算において純資産合計をそのまま使用し、新株予約権や非支配株主持分を引き忘れるミス。
- 事業利益を計算する際に経常利益をそのまま使ったり、営業外費用の支払利息を引いてしまうミス。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令・会計基準および出題条件に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ポートフォリオ理論(トラッキング・エラー、シャープ・レシオ、インフォメーション・レシオ)
金融資産運用 · 投資信託の評価指標 / シャープ・レシオ / インフォメーション・レシオ / トラッキング・エラー
設例の〈直近1年間の投資信託Yと投資信託Zに関するデータ〉に基づき、以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を解答しなさい。なお、②および③については小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで求めること。 Ⅰ 「トラッキング・エラーとは、ポートフォリオの収益率とベンチマークの収益率との差(超過収益率)のバラツキ度合いを表したもので、通常、( ① )で測定します。この数値が大きいほど、ポートフォリオの収益率の動きがベンチマークの収益率から乖離していたことを示します。パッシブ運用の投資信託の場合、0(ゼロ)に近いほど連動性が高い運用がなされていたと判断できます」 Ⅱ 「アクティブ運用である投資信託Yと投資信託Zを比較すると、シャープ・レシオの値は投資信託Yが( ② )、投資信託Zが□□□であり、投資信託Yのほうが効率的な運用であったといえます。また、インフォメーション・レシオの値は投資信託Yが□□□、投資信託Zが( ③ )であり、( ④ )のほうが効率的な運用であったといえます」
解答・解説を表示
解答
① 標準偏差 ② 0.68 ③ 0.19 ④ 投資信託Y
解説
投資信託の運用成果を測定する際、シャープ・レシオは総リスク(標準偏差)1単位あたりの超過リターンを示し、インフォメーション・レシオはベンチマークに対するアクティブ・リスク(トラッキング・エラー)1単位あたりのアクティブ・リターンを示します。いずれも数値が大きいほどリスクテイクに対する効率性が高いと評価されます。
解き方
- トラッキング・エラーの定義に基づき、超過収益率のバラツキを表す統計量(標準偏差)を空欄①に当てはめます。
- 投資信託Yのシャープ・レシオ((14.50%-1.00%)÷20.00%)を計算して空欄②を求めます。
- 投資信託Zのインフォメーション・レシオ((11.50%-10.00%)÷8.00%)を計算して空欄③を求めます。
- 投資信託YとZのインフォメーション・レシオの値を比較し、より数値が大きい優れた運用先である投資信託Yを空欄④に導きます。
小問ごとの答え
- 小問 ①:標準偏差
- トラッキング・エラーは、ポートフォリオの収益率とベンチマークの収益率との差(超過リターン)のバラツキ度合いであり、超過収益率の標準偏差によって測定されます。
- 小問 ②:0.68
- シャープ・レシオ=(ポートフォリオの実績収益率-安全資産利子率)÷標準偏差。投資信託Yのシャープ・レシオ=(14.50%-1.00%)÷20.00%=13.50%÷20.00%=0.675となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.68となります。
- 小問 ③:0.19
- インフォメーション・レシオ=(ポートフォリオの実績収益率-ベンチマーク収益率)÷トラッキング・エラー。投資信託Zのインフォメーション・レシオ=(11.50%-10.00%)÷8.00%=1.50%÷8.00%=0.1875となり、小数点以下第3位を四捨五入して0.19となります。
- 小問 ④:投資信託Y
- 投資信託Yのインフォメーション・レシオは(14.50%-10.00%)÷12.00%=4.50%÷12.00%=0.375(約0.38)であり、投資信託Zの0.19を上回るため、投資信託Yのほうがベンチマークに対するリスク比で効率的な運用であったと判断できます。
覚えるポイント
- シャープ・レシオの分子は「収益率-無リスク金利」、分母は「収益率の標準偏差」。
- インフォメーション・レシオの分子は「超過収益率(対ベンチマーク)」、分母は「トラッキング・エラー」。
間違えやすいところ
- シャープ・レシオの分子で安全資産利子率(無リスク利子率)を引き忘れるミス。
- インフォメーション・レシオの分母にトラッキング・エラーではなく全体の標準偏差を用いてしまうミス。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令および出題条件に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税の所得金額の計算(別表四)
タックスプランニング · 法人税 / 別表四 / 役員給与 / 交際費等の損金不算入 / 受取配当等の益金不算入 / 所得税額控除
製造業を営むX株式会社(資本金1,000万円、青色申告法人、中小企業者等)の2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)に係る確定申告の資料に基づき、略式別表四の空欄①~⑥に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、所得金額の計算上、選択すべき複数の方法がある場合は、所得の金額が最も低くなる方法を選択すること。
解答・解説を表示
解答
① 2,500,000円、② 1,200,000円、③ 1,600,000円、④ 100,000円、⑤ 91,890円、⑥ 9,000,000円
解説
法人税の所得金額は、企業会計上の当期純利益を出発点として税法固有の規定に基づく加算・減算(申告調整)を行って算出します。損金経理した法人税等の納税充当金や要件を満たさない役員給与の増額分、限度額を超える交際費等は加算し、受取配当等の益金不算入額等は減算します。
解き方
- 損益計算書の当期利益の額を確認し、損金不算入・益金不算入となる申告調整項目を抽出する。
- 納税充当金(未払法人税等繰入額)、定期同額給与の限度超過額、交際費等の損金不算入額、非支配目的株式等の受取配当金益金不算入額、源泉所得税等をそれぞれ計算する。
- 当期利益に加算項目を加え、減算項目を差し引いて最終的な所得金額を算出する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:2,500,000
- 損益計算書に計上された「法人税、住民税及び事業税」のうち、当期確定申告分の見積納税額として貸借対照表の未払法人税等に計上された2,500,000円が「損金経理をした納税充当金」として加算されます。
- 小問 ②:1,200,000
- 取締役に対する定期同額給与について期中に正当な理由(臨時改定事由等)なく増額改定した場合、改定前の月額900千円を超える部分である月額200千円×6カ月=1,200,000円が損金不算入として加算されます。
- 小問 ③:1,600,000
- 1人当たり5,000円以下の飲食費300千円は交際費等から除外されるため、税法上の交際費等の支出額は9,600千円(9,900千円-300千円)となります。定額控除限度額(年800万円)方式を適用すると損金不算入額は1,600,000円(9,600千円-8,000千円)となり、飲食費の50%損金算入方式(損金不算入額7,100千円)よりも所得金額が低くなるため、1,600,000円を選択します。
- 小問 ④:100,000
- 持分比率5%以下の非支配目的株式等に係る受取配当金については、配当金等の20%相当額が益金不算入となります。したがって、500,000円×20%=100,000円が減算されます。
- 小問 ⑤:91,890
- 預金利子および受取配当金から源泉徴収された所得税額および復興特別所得税額の合計は、15,000円+315円+75,000円+1,575円=91,890円です。法人税額から控除を受けるため別表四で加算(所得税額控除)します。
- 小問 ⑥:9,000,000
- 当期利益4,388,110円+加算小計(2,500,000円+1,200,000円+1,600,000円)5,300,000円-減算小計(680,000円+100,000円)780,000円=仮計8,908,110円。これに所得税額等91,890円を加算し、欠損金控除0円を差し引くと、所得金額は9,000,000円となります。
覚えるポイント
- 1人当たり5,000円以下の飲食費は要件を満たせば交際費等から除外されること
- 非支配目的株式等(保有比率5%以下)の受取配当等の益金不算入割合は20%であること
間違えやすいところ
- 事業年度の中途で役員給与を増額改定した場合、増額後の全額ではなく改定前給与を超過する部分のみが損金不算入となる点を取り違えるミス
- 中小法人の交際費等の損金不算入額計算において、定額控除(800万円)と飲食費50%損金算入の有利判定を忘れるミス
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
納付すべき法人税額の計算
タックスプランニング · 法人税額の計算 / 軽減税率 / 税額控除 / 中小企業経営強化税制 / 所得税額控除
前問《問57》を踏まえ、X社が当期の確定申告により納付すべき法人税額を求めなさい。なお、計算過程を示し、答は100円未満を切り捨てて円単位とすること。
解答・解説を表示
解答
1,053,700円
解説
普通法人の法人税額は、課税所得金額に所定の税率(中小法人は年800万円以下の部分について軽減税率15%)を乗じて計算した法人税額から、特別税額控除や所得税額控除を差し引いて求めます。特別税額控除には法人税額の20%相当額という上限が設けられている点に留意が必要です。
解き方
- 所得金額9,000,000円を800万円以下の部分と800万円超の部分に区分し、それぞれ15%・23.2%の税率を乗じて算出法人税額を求める(800万円×15%+100万円×23.2%=1,432,000円)。
- 税額控除限度額300,000円と法人税額の20%相当額(1,432,000円×20%=286,400円)を比較し、上限である286,400円を税額控除額とする。
- 算出法人税額から税額控除額および所得税額控除(91,890円)を差し引き、100円未満を切り捨てて納付税額を算出する。
覚えるポイント
- 中小法人の年800万円以下の所得金額に対する法人税率は15%(本則19%から軽減)
- 特定経営力向上設備等の税額控除限度額は当期法人税額の20%が上限となること
- 確定申告による納付税額は100円未満切捨てとすること
間違えやすいところ
- 中小企業経営強化税制の税額控除限度額300,000円を上限チェック(法人税額の20%)せずに全額控除してしまうミス
- 所得税額控除の91,890円の差し引きを忘れてしまうミス
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
賃上げ促進税制および中小企業経営強化税制
タックスプランニング · 法人税額の特別控除 / 賃上げ促進税制 / 中小企業経営強化税制
「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除(賃上げ促進税制)」および「中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(中小企業経営強化税制)」に関する次の文章の空欄①~⑦に入る最も適切な数値を求めなさい。 〈賃上げ促進税制〉 Ⅰ「賃上げ促進税制は、一定の中小企業者等(以下、「中小企業」という)とそれ以外の法人(以下、「大企業」という)で異なる適用要件と税額控除が設けられています。 大企業では、継続雇用者給与等支給額が前事業年度から3%以上増加した場合に、控除対象雇用者給与等支給増加額の( ① )%を税額控除することができます。さらに、上乗せ措置として、継続雇用者給与等支給額が前事業年度から( ② )%以上増加した場合には、税額控除率に10%が加算されます。また、教育訓練費の額が前事業年度から( ③ )%以上増加した場合には、税額控除率に5%が加算されます。 中小企業では、雇用者給与等支給額が前事業年度から( ④ )%以上増加した場合に、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%を税額控除することができます。さらに、上乗せ措置として、雇用者給与等支給額が前事業年度から2.5%以上増加した場合には、税額控除率に( ⑤ )%が加算されます。また、教育訓練費の額が前事業年度から10%以上増加した場合には、税額控除率に10%が加算されます。 なお、税額控除することができる金額は、大企業、中小企業のいずれも、その事業年度の法人税額の20%相当額が限度になります」 〈中小企業経営強化税制〉 Ⅱ「青色申告書を提出する中小企業者等が、指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、一定の設備を新規取得等して指定事業の用に供した場合、原則として即時償却または取得価額の( ⑥ )%(特定中小企業者等は10%)の税額控除を選択適用することができます。 税額控除限度額がその事業年度の法人税額の20%相当額を超えるために、その事業年度において税額控除限度額の全部を控除しきれなかった場合には、その控除しきれなかった金額について( ⑦ )年間の繰越しが認められます」
解答・解説を表示
解答
① 15(%) ② 4(%) ③ 20(%) ④ 1.5(%) ⑤ 15(%) ⑥ 7(%) ⑦ 1(年間)
解説
賃上げ促進税制および中小企業経営強化税制は、法人の積極的な賃上げや設備投資を税制面から後押しするための特別控除制度であり、適用要件や上乗せ要件、控除限度額および繰越期間の規定を正確に把握しておく必要があります。
解き方
- 賃上げ促進税制の大企業向け要件(継続雇用者給与3%増で15%控除、4%増で+10%、教育訓練費20%増で+5%)を確認します。
- 賃上げ促進税制の中小企業向け要件(雇用者給与1.5%増で15%控除、2.5%増で+15%、教育訓練費10%増で+10%)を確認します。
- 中小企業経営強化税制の控除率(原則7%、特定中小企業者等10%)および控除しきれなかった金額の繰越期間(1年間)を確認します。
答えの内訳
- ①:15
- 大企業向け賃上げ促進税制において、継続雇用者給与等支給額が前事業年度比で3%以上増加した場合、基本の税額控除率は15%となります。
- ②:4
- 大企業における上乗せ要件の1つとして、継続雇用者給与等支給額が前事業年度比で4%以上増加した場合に、税額控除率が10%上乗せされます。
- ③:20
- 大企業における教育訓練費の上乗せ要件として、教育訓練費の額が前事業年度比で20%以上増加した場合に、税額控除率が5%上乗せされます。
- ④:1.5
- 中小企業向け賃上げ促進税制において、雇用者給与等支給額が前事業年度比で1.5%以上増加した場合に、基本控除(15%)が適用されます。
- ⑤:15
- 中小企業における上乗せ要件として、雇用者給与等支給額が前事業年度比で2.5%以上増加した場合、税額控除率に15%が加算されます。
- ⑥:7
- 中小企業経営強化税制において、認定経営力向上計画に基づく一定の設備取得等を行った場合、原則として即時償却または取得価額の7%(資本金3,000万円以下の特定中小企業者等は10%)の税額控除を選択適用できます。
- ⑦:1
- 中小企業経営強化税制における税額控除限度超過額は、翌事業年度に限り1年間の繰越しが認められています。
覚えるポイント
- 大企業の基準指標は「継続雇用者給与等支給額」、中小企業の基準指標は「雇用者給与等支給額」である点。
- 中小企業経営強化税制の税額控除限度超過額の繰越期間は「1年間」である点。
間違えやすいところ
- 大企業の上乗せ要件(4%増)と中小企業の上乗せ要件(2.5%増)の増加率の数値を混同すること。
- 中小企業の上乗せ加算率(+15%)と大企業の上乗せ加算率(+10%)を誤ること。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
複数地域にまたがる土地の建蔽率・容積率の限度面積計算
不動産 · 建蔽率の緩和 / 容積率の前面道路幅員制限 / 2項道路のセットバック
設例の〈甲土地および乙土地の概要〉に基づき、甲土地と乙土地とを一体とした土地に耐火建築物を建築する場合の次の①および②を求めなさい。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 ① 建蔽率の上限となる建築面積はいくらか。 ② 容積率の上限となる延べ面積はいくらか。 〈甲土地および乙土地の概要〉 ・甲土地(480㎡の長方形):近隣商業地域に属する部分が400㎡、第一種中高層住居専用地域に属する部分が80㎡。 ・乙土地(320㎡の長方形):全域が第一種中高層住居専用地域に属する。 ・近隣商業地域:指定建蔽率80%、指定容積率400%、防火地域。 ・第一種中高層住居専用地域:指定建蔽率60%、指定容積率200%、準防火地域、第二種高度地区。 ・甲土地および乙土地を一体とした土地は、特定行政庁が指定する角地である。 ・乙土地の南側は幅員3mの建築基準法第42条第2項道路(中心線は道路中心部にあり、反対側は宅地)に20m接している。 ・北側道路は幅員12m県道、東側道路は幅員6m市道である。
解答・解説を表示
解答
① 712(㎡) ② 2,380(㎡)
解説
異なる用途地域等にまたがる敷地では、敷地全体の有効面積(セットバック後)を各地域ごとに区分し、それぞれの地域に応じた建蔽率・容積率の上限を算出して按分合計します。耐火建築物や角地指定に伴う建蔽率緩和、および前面道路幅員に応じた容積率制限を地域ごとに正しく判定する必要があります。
解き方
- 乙土地の2項道路後退(セットバック)幅と面積を計算し、各地域の有効敷地面積(近隣商業地域400㎡、第一種中高層住居専用地域390㎡)を求めます。
- 各地域の建蔽率(近隣商業地域:80%+防火地域耐火建築物により制限なしの100%、第一種中高層住居専用地域:60%+角地10%+準防火耐火10%=80%)を算出し、建築面積の上限を求めます。
- 最大幅員12m県道を基準に各地域の法定乗数を乗じた道路幅員制限(近商720%、住居480%)と指定容積率(近商400%、住居200%)を比較し、延べ面積の上限を求めます。
答えの内訳
- ①:712(㎡)
- 南側3m市道によるセットバック面積は(4m-3m)÷2×20m=10㎡となり、乙土地の有効敷地面積は320㎡-10㎡=310㎡となります。一体敷地(790㎡)のうち近隣商業地域(400㎡)は指定建蔽率80%かつ防火地域内の耐火建築物であるため建蔽率制限がなく100%適用となり、400㎡×100%=400㎡。第一種中高層住居専用地域(80㎡+310㎡=390㎡)は指定建蔽率60%に特定行政庁指定の角地緩和(+10%)と準防火地域内の耐火建築物緩和(+10%)が加算され80%となり、390㎡×80%=312㎡。合計で400㎡+312㎡=712㎡となります。
- ②:2,380(㎡)
- 一体敷地が面する最も広い前面道路は幅員12m県道です。近隣商業地域部分の道路幅員による容積率制限は12m×6/10=720%となり、指定容積率400%を下回らないため400%が適用され、400㎡×400%=1,600㎡。第一種中高層住居専用地域部分の道路幅員制限は12m×4/10=480%となり、指定容積率200%を下回らないため200%が適用され、390㎡×200%=780㎡。したがって、延べ面積の上限は1,600㎡+780㎡=2,380㎡となります。
覚えるポイント
- 指定建蔽率80%の地域で防火地域内に耐火建築物を建築する場合は、建蔽率制限が適用除外(100%)となる。
- 建築基準法第42条第2項道路に面する敷地は、中心線から2m後退した線が道路境界線とみなされ、後退部分は敷地面積から除外される。
間違えやすいところ
- セットバックによる有効敷地面積の減歩(10㎡除外)を失念し、乙土地を320㎡のまま計算してしまうこと。
- 準防火地域内の耐火建築物による建蔽率10%緩和を角地緩和と重複適用できることを見落とすこと。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築物の高さ制限および不動産の取得・保有等に係る税金
不動産 · 高さ制限 / 用途地域 / 不動産取得税 / 貸家建付地評価
建築物の高さ制限等ならびに不動産の取得および保有等に係る税金に関する次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 〈建築基準法および都市計画法の高さ制限等〉 Ⅰ 「都市計画法において定められた都市計画区域および準都市計画区域内の建築物の高さ制限には、建築基準法において絶対高さ制限や、道路斜線制限、( ① )斜線制限および( ② )斜線制限がありますが、その他にも日影による中高層の建築物の高さの制限(以下、「日影規制」という)があります。なお、高さ制限において第一種中高層住居専用地域および第二種中高層住居専用地域では、( ② )斜線制限は日影規制が適用されない場合に限り適用されます。 都市計画法に基づく地域地区には、建築物の高さの最高限度または最低限度(準都市計画区域内では最高限度)を定める( ③ )地区や、建築物の容積率の最高限度および最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度ならびに壁面の位置の制限を定める( ④ )地区があります」 〈不動産の取得および保有等に係る税金〉 Ⅱ 「賃貸マンションを新築した場合、不動産取得税については、1室(40㎡以上240㎡以下)につき課税標準となるべき価格から( ⑤ )万円(認定長期優良住宅を除く)を控除する特例の適用を受けることができます。また、固定資産税は、住宅用地の課税標準を住宅1戸につき200㎡までの部分(小規模住宅用地)について課税標準となるべき価格の6分の1の額とし、それを超える部分について課税標準となるべき価格の3分の1の額とする特例の適用を受けることができます。 賃貸マンションの敷地は、相続税の課税価格の計算上、貸家建付地として評価され、自用地の評価額から『自用地の評価額×( ⑥ )×借家権割合×賃貸割合』を控除した額が評価額とされます」
解答・解説を表示
解答
① 隣地(斜線制限) ② 北側(斜線制限) ③ 高度(地区) ④ 高度利用(地区) ⑤ 1,200(万円) ⑥ 借地権割合
解説
建築基準法における高さ制限体系(斜線制限・日影規制・絶対高さ制限)と都市計画法上の地域地区(高度地区・高度利用地区)の違い、ならびに住宅取得時の税制特例(不動産取得税の課税標準控除)や相続税における土地評価(貸家建付地計算式)の基礎規定を正確に理解しておく必要があります。
解き方
- 建築基準法の斜線制限の3種(道路・隣地・北側)および日影規制との適用除外関係を判定する。
- 都市計画法の地域地区のうち、高さを規制する高度地区と、低未利用地等の合理的・健全な高度利用を図る高度利用地区を区別する。
- 不動産取得税の課税標準控除額(住宅1戸当たり1,200万円)および貸家建付地評価の算式「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」を確認する。
答えの内訳
- ①:隣地(斜線制限)
- 建築基準法第56条に定められる斜線制限には、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限の3つがあります。
- ②:北側(斜線制限)
- 北側斜線制限は、中高層住居専用地域において日影規制が適用される区域内では適用除外(適用されない)とされています。
- ③:高度(地区)
- 都市計画法第8条・第9条において、建築物の高さの最高限度または最低限度を都市計画で定める地区は「高度地区」です。
- ④:高度利用(地区)
- 用途地域内において容積率の最高・最低限度、建蔽率の最高限度、建築面積の最低限度、壁面位置の制限を定める地域地区は「高度利用地区」です。
- ⑤:1,200(万円)
- 新築住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例控除額は、一般の住宅(賃貸共同住宅の各独立区画を含む)の場合、1戸(室)あたり1,200万円です。
- ⑥:借地権割合
- 貸家建付地の相続税評価額は「自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で算出されるため、空欄には借地権割合が入ります。
覚えるポイント
- 中高層住居専用地域では、日影規制の対象区域となっていれば北側斜線制限は適用除外となる点に注意。
- 高度地区は「高さの限度」、高度利用地区は「容積率・建蔽率・建築面積等の限度」を定める地区である。
間違えやすいところ
- 高度地区と高度利用地区の定義を逆に解答してしまうミス。
- 不動産取得税の控除額で認定長期優良住宅の「1,300万円」と一般住宅等の「1,200万円」を取り違えるミス。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の建築基準法、都市計画法、地方税法、財産評価基本通達に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産の買換え特例および3,000万円特別控除・軽減税率の税額計算
不動産 · 居住用財産の買換え特例 / 3000万円特別控除 / 居住用財産の軽減税率の特例 / 譲渡所得税
Aさんが、下記の〈譲渡資産および買換資産に関する資料〉に基づき、自宅を買い換えた場合、次の①および②に答えなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。なお、本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しないものとする。 ① 「特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合の譲渡所得の金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額はいくらか。 ② 「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」および「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けた場合の譲渡所得の金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額はいくらか。 〈譲渡資産および買換資産に関する資料〉 ・譲渡資産の譲渡価額 : 6,000万円 ・譲渡資産の取得費 : 不明 ・譲渡費用 : 500万円 ・買換資産の取得価額 : 4,500万円
解答・解説を表示
解答
① 2,640,900(円) ② 3,126,200(円)
解説
居住用財産の買換え特例では、譲渡価額が買換資産の取得価額を上回る場合、その差額に対して譲渡があったものとし、対応する取得費・譲渡費用を案分控除して譲渡所得を計算します。一方、3,000万円特別控除と軽減税率の特例を適用する場合、譲渡益から3,000万円を控除した後の金額(6,000万円以下の部分)について所得税10%・住民税4%の軽減税率を適用します。
解き方
- ①について、買換え特例適用時の課税対象譲渡価額(譲渡価額-買換資産取得価額=1,500万円)および按分取得費・譲渡費用を算出し、課税譲渡所得金額に長期譲渡所得の税率(所得税15%、復興特別所得税基準所得税額×2.1%、住民税5%)を乗じて合算する。
- ②について、譲渡価額から概算取得費(5%)と譲渡費用、および3,000万円特別控除額を差し引いて課税譲渡所得金額を算出し、軽減税率(所得税10%、復興特別所得税基準所得税額×2.1%、住民税4%)を乗じて合算する。
答えの内訳
- ①:2,640,900(円)
- 〔計算過程〕 1. 課税対象となる収入金額: 60,000,000円 - 45,000,000円 = 15,000,000円 2. 控除する取得費・譲渡費用(取得費不明のため譲渡価額の5%相当): (60,000,000円 × 5% + 5,000,000円) × (15,000,000円 / 60,000,000円) = 2,000,000円 3. 課税長期譲渡所得金額: 15,000,000円 - 2,000,000円 = 13,000,000円 4. 税額の計算: 所得税:13,000,000円 × 15% = 1,950,000円 復興特別所得税:1,950,000円 × 2.1% = 40,950円 所得税等の計(100円未満切捨て):1,950,000円 + 40,950円 = 1,990,900円 住民税:13,000,000円 × 5% = 650,000円 合計額:1,990,900円 + 650,000円 = 2,640,900円
- ②:3,126,200(円)
- 〔計算過程〕 1. 課税長期譲渡所得金額: 60,000,000円 - (60,000,000円 × 5% + 5,000,000円) - 30,000,000円 = 22,000,000円 2. 税額の計算(6,000万円以下部分のため軽減税率:所得税10%、住民税4%): 所得税:22,000,000円 × 10% = 2,200,000円 復興特別所得税:2,200,000円 × 2.1% = 46,200円 所得税等の計:2,200,000円 + 46,200円 = 2,246,200円 住民税:22,000,000円 × 4% = 880,000円 合計額:2,246,200円 + 880,000円 = 3,126,200円
覚えるポイント
- 買換え特例で一部課税となる場合の取得費・譲渡費用は「(取得費+譲渡費用)×(譲渡価額-買換資産取得価額)/譲渡価額」で按分計算する。
- 10年超所有軽減税率の特例は、課税長期譲渡所得金額のうち6,000万円以下の部分が所得税10%・住民税4%、6,000万円超の部分が所得税15%・住民税5%となる。
間違えやすいところ
- 買換え特例の計算で取得費・譲渡費用を全額控除してしまう(按分計算を忘れる)ミス。
- 復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)の加算や、所得税と復興特別所得税の合算時の100円未満切捨て処理を忘れるミス。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の租税特別措置法(第31条の3、第35条、第36条の2)および東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準方式による非上場株式の評価
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準価額 / 中会社
非上場会社であるX社の概要および決算データに基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。なお、計算過程を示し、端数処理等は問題の指示(資本金50円ベース換算、年配当金額は10銭未満切捨て、年利益金額は円未満切捨て、各要素別比準割合・比準割合は小数第2位未満切捨て、50円当たりの価額は10銭未満切捨て、1株当たりの価額は円未満切捨て)に従うこと。また、複数の方法がある場合は最も低い価額となる方法を選択すること。 【X社の概要・資料】 ・発行済株式総数:40,000株、資本金等の額:2,000万円 ・規模区分:「中会社の大」(斟酌割合0.60) ・類似業種の株価(円):当月432、前月430、前々月435、前年平均420、2年間平均400 ・類似業種の比準要素:配当9.0円、利益60円、純資産450円 ・X社の直前期:配当200万円、所得3,980万円 ・X社の直前々期:配当160万円、所得4,280万円(保険差益による非経常的利益500万円を含む) ・X社の1株(50円)当たりの簿価純資産価額:450円
解答・解説を表示
解答
2,472円
解説
類似業種比準方式は、類似業種の上場会社の株価に、評価会社と類似業種の「配当・利益・純資産(簿価)」の3要素の比準割合を乗じ、会社の規模に応じた斟酌割合(中会社の大は0.60)を掛けて評価します。非経常的な利益は利益金額の計算から除外し、直前期と直前2期平均のいずれか低い方を選択できます。また、類似業種株価は直近の月別・年平均等のうち最も有利な(最も低い)金額を採用します。
解き方
- 1株当たりの資本金等の額を求め、50円換算の発行済株式数を算出する。
- 直前2期の決算数値から、非経常的利益を控除したうえで年配当金額・年利益金額を算定し、類似業種株価の最安値を選定する。
- 比準割合および斟酌割合(0.60)を用いて50円当たりの比準価額を計算し、1株当たり資本金等の額に換算して端数処理を行う。
覚えるポイント
- 利益金額から保険差益等の非経常的な利益を除外し、直前期単年度と直前2期平均のいずれか低い方を選択する。
- 中会社の規模区分に応じた斟酌割合(大:0.60、中:0.75、小:0.90)とLの割合(大:0.90、中:0.75、小:0.60)を混同しないように整理する。
間違えやすいところ
- 非経常的な利益500万円を控除し忘れて直前々期の利益を過大に計算してしまう。
- 類似業種株価について、課税時期の属する月(432円)をそのまま採用してしまい、最安値(2年間平均400円)を選択し忘れる。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の財産評価基本通達に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
純資産価額方式および中会社の併用方式による非上場株式の評価
相続・事業承継 · 純資産価額方式 / 併用方式 / 中会社の評価 / 評価差額に対する法人税額等相当額
《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの①純資産価額および②類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額をそれぞれ求めなさい。なお、計算過程の記載は不要とし、円未満を切り捨てて円単位で解答すること。また、相続税評価額の算定にあたり複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。
解答・解説を表示
解答
① 4,878円、② 2,712円
解説
中会社の株式の評価は、原則として類似業種比準価額と純資産価額を会社の規模に応じた比率(L)で按分する併用方式により計算します。中会社の大におけるLは0.90です。また、純資産価額の計算では、資産の相続税評価額から負債および「評価差額に対する法人税額等相当額(37%)」を控除して算出した純資産額を発行済株式総数で除して求めます。
解き方
- 相続税評価額による資産・負債と帳簿価額を比較し、資産の含み益に対して37%の法人税額等相当額を控除して1株当たりの純資産価額を求める。
- 中会社の大の類似業種比準価額の割合(L=0.90)を適用し、類似業種比準価額×0.90+純資産価額×0.10を計算して円未満を切り捨てる。
答えの内訳
- ①:4,878(円)
- 【1株当たりの純資産価額の計算】 ・資産の相続税評価額の合計:35,900万円 ・負債の合計:15,500万円(相続税評価額・帳簿価額同額) ・資産の帳簿価額の合計:33,500万円 ・評価差額=資産の相続税評価額35,900万円-資産の帳簿価額33,500万円=2,400万円 ・評価差額に対する法人税額等相当額=2,400万円×37%=888万円 ・純資産価額(相続税評価額ベース)=35,900万円-15,500万円-888万円=19,512万円 ・発行済株式総数:40,000株 ・1株当たりの純資産価額=19,512万円÷40,000株=4,878円
- ②:2,712(円)
- 【併用方式による価額の計算】 X社は「中会社の大」であるため、類似業種比準割合(L)は0.90となる(純資産価額の割合は 1-L=0.10)。 ・類似業種比準価額(問63より):2,472円 ・純資産価額:4,878円 ・併用方式による価額=2,472円×0.90+4,878円×(1-0.90)=2,224.8円+487.8円=2,712.6円 ・円未満を切り捨てて、2,712円。 ※なお、純資産価額単独(4,878円)と比較して併用方式による価額(2,712円)の方が低いため、こちらが選択される。
覚えるポイント
- 純資産価額方式における評価差額に対する法人税額等相当額の税率は37%である。
- 中会社の規模区分におけるLの割合は、大=0.90、中=0.75、小=0.60である。
間違えやすいところ
- 法人税額等相当額を計算する際、負債の評価差額が存在しない場合でも、資産の含み益に対して37%を乗じる計算を忘れてしまう。
- 問63の斟酌割合(大=0.60)と、併用方式におけるLの割合(大=0.90)を混同して掛けてしまう。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の財産評価基本通達に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺留分の算定・除外固定合意および事業承継税制の特例措置
相続・事業承継 · 遺留分の計算 / 特別受益の持戻し期間 / 経営承継円滑化法(遺留分特例) / 事業承継税制特例措置の認定手続き
Aさんの相続等に関する次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 〈遺留分の額〉 Ⅰ 「Aさんが遺言により、相続財産の大半を妻Bさんおよび長男Dさんに相続させた場合、長女Cさんの遺留分を侵害する可能性があります。仮に、遺留分を算定するための財産の価額が3億円である場合、長女Cさんの遺留分の額は( ① )万円となります。この遺留分を算定するための財産の価額には、被相続人が相続人に対して生前に行った贈与については、特別受益に該当する贈与で、かつ、原則として相続開始前( ② )年以内にされたものの価額が算入されます」 〈遺留分に関する民法の特例(以下、「本特例」という)〉 Ⅱ 「Aさんが長男DさんにX社株式を贈与する際に、本特例の適用を受けることにより、Aさんの相続開始時において、X社株式の価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないこと(除外合意)、または遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を合意時における価額に固定すること(固定合意)ができます。ただし、長男Dさんが所有するX社株式のうち、除外合意または固定合意の対象とするX社株式を除いた残りのX社株式の議決権の数がX社株式のすべての議決権の数の( ③ )%を超える場合は、除外合意または固定合意をすることはできません。なお、X社株式の一部について除外合意をする場合、固定合意を併用することも可能です。 本特例の適用を受けるにあたっては、妻Bさん、長女Cさんおよび長男Dさんが書面によって合意し、経済産業大臣の確認を受けたうえで、( ④ )の許可を受ける必要があります」 〈非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)〉 Ⅲ 「Aさんの相続が開始した際に、取得した株式について、『非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例』(特例措置)の適用を受ける場合には、特例承継計画を策定して( ⑤ )年3月31日までに都道府県知事に提出し、その確認を受ける必要があります。また、現時点においてAさんの相続が開始した場合、相続開始後に特例承継計画を提出することも可能です。相続開始後に各種の要件を満たしていることについての都道府県知事の認定を受けようとする場合には、Aさんの相続開始の日の翌日から( ⑥ )カ月以内にその申請を行う必要があります」
解答・解説を表示
解答
① 3,750(万円) ② 10(年) ③ 50(%) ④ 家庭裁判所 ⑤ 2024(年) ⑥ 8(カ月)
解説
民法上の遺留分制度では、兄弟姉妹以外の法定相続人に一定割合の遺産取得が保障されており、生前贈与の持戻し期間や各人の遺留分割合が明確に規定されています。一方、円滑な事業承継を支援するため、経営承継円滑化法による遺留分の民法特例(除外合意・固定合意)や、租税特別措置法に基づく事業承継税制の特例措置(全株式の納税猶予)が設けられており、厳格な要件や行政手続きの期限が定められています。
解き方
- 相続人の構成(配偶者と子2人)から法定相続分および各人の遺留分割合を算定し、基礎財産額に乗じて遺留金額を計算する。
- 民法の特別受益の持戻し期間(原則10年)および遺留分特例の要件(保有割合上限50%、家庭裁判所の許可)を確認する。
- 事業承継税制の特例措置における特例承継計画の提出期限(2024年3月31日)と相続後認定の申請期限(8カ月以内)を確認して各空欄を埋める。
答えの内訳
- ①:3,750
- 法定相続人は妻B(法定相続分1/2)、長女C(1/4)、長男D(1/4)です。直系尊属のみが相続人である場合を除き、遺留分全体の割合は被相続人の財産の1/2となります。長女Cの遺留分割合は1/2×1/4=1/8となり、基礎財産3億円に乗じると、3億円×1/8=3,750万円となります。
- ②:10
- 民法の規定により、被相続人が共同相続人に対して行った生前贈与のうち、婚姻・養子縁組・生計の資本としての特別受益に該当する贈与については、原則として相続開始前10年間にされたものに限り、遺留分算定の基礎財産に算入されます。
- ③:50
- 経営承継円滑化法における遺留分の民法特例では、後継者が既に総議決権の過半数を保有している場合は本特例の支援趣旨にそぐわないため、対象株式を除いた保有議決権数が総議決権数の50%を超える場合には除外合意・固定合意を行うことができません。
- ④:家庭裁判所
- 遺留分に関する民法の特例(除外合意・固定合意)を有効にするためには、推定相続人全員の書面による合意後、1カ月以内に経済産業大臣の確認を受け、さらに確認を受けた日から1カ月以内に家庭裁判所の許可を受ける必要があります。
- ⑤:2024
- 非上場株式等の相続税・贈与税の納税猶予の特例措置の適用を受けるには、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受けて作成した「特例承継計画」を都道府県知事に提出する必要があります。令和4年度税制改正により提出期限が2年延長され「2024年3月31日」までとなりました。
- ⑥:8
- 相続開始後に特例措置に係る都道府県知事の認定を受ける場合、相続税の申告期限(相続開始日の翌日から10カ月以内)までに認定書を添付できるよう、相続開始の日の翌日から8カ月以内に認定申請を行う必要があります。
覚えるポイント
- 特別受益の遺留分算定への算入は原則相続開始前10年以内(第三者への贈与は原則1年以内)。
- 遺留分の民法特例は「後継者除く推定相続人全員の合意」+「経済産業大臣の確認」+「家庭裁判所の許可」。
- 事業承継税制の特例措置の特例承継計画の提出期限は令和4年度税制改正により2024年3月31日へ延長。
間違えやすいところ
- 遺留分の全体割合(直系尊属のみなら1/3、それ以外は1/2)と法定相続分の掛け合わせ計算で分母・分子を間違える。
- 生前贈与の遺留分持戻し期間について、一般の第三者への贈与(1年以内)と共同相続人への特別受益(10年以内)を混同する。
- 事業承継税制の相続開始後の知事認定申請期限を、相続税申告期限と同じ10カ月と誤認する(正しくは10カ月前の「8カ月以内」)。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令(令和4年度税制改正後の事業承継税制特例措置および改正民法・経営承継円滑化法)
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年9月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年9月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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