日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年9月 1級 学科(基礎編)の概要
各種係数を用いた年金現価および積立額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 6つの係数 / 年金現価係数 / 減債基金係数 / ライフプラン策定上の資金計算
65歳から85歳になるまでの20年間、毎年800千円を取り崩して受け取る場合、55歳から65歳までの10年間の毎年の積立額として、最も適切なものはどれか。なお、積立期間(55〜65歳の10年間)の運用利率(複利)を年2%、65歳以後の受取期間(20年間)の運用利率(複利)を年1%とし、積立ておよび取崩しは年1回行うものとする。計算には提示された係数表を用い、計算過程および計算結果は千円未満を切り捨てること。手数料や税金等は考慮しない。 〈年1%の各種係数〉 10年:終価 1.1046、現価 0.9053、年金終価 10.4622、減債基金 0.0956、年金現価 9.4713、資本回収 0.1056 20年:終価 1.2202、現価 0.8195、年金終価 22.0190、減債基金 0.0454、年金現価 18.0456、資本回収 0.0554 30年:終価 1.3478、現価 0.7419、年金終価 34.7849、減債基金 0.0287、年金現価 25.8077、資本回収 0.0387 〈年2%の各種係数〉 10年:終価 1.2190、現価 0.8203、年金終価 10.9497、減債基金 0.0913、年金現価 8.9826、資本回収 0.1113 20年:終価 1.4859、現価 0.6730、年金終価 24.2974、減債基金 0.0412、年金現価 16.3514、資本回収 0.0612 30年:終価 1.8114、現価 0.5521、年金終価 40.5681、減債基金 0.0246、年金現価 22.3965、資本回収 0.0446
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解答
1
解説
将来にわたって一定期間均等額を取り崩すために現時点で必要な元本を求めるには「年金現価係数」を用い、将来の目標額を達成するために毎年積み立てるべき金額を求めるには「減債基金係数」を用います。利率や期間が段階ごとに異なる場合は、ステップに分けて係数を適用します。
解き方
- 65歳時点で必要な資金総額を計算するため、毎年の受取額800千円に年1%・20年の年金現価係数18.0456を乗じ、千円未満を切り捨てて14,436千円とする。
- 求めた目標額14,436千円に、年2%・10年の減債基金係数0.0913を乗じ、千円未満を切り捨てて毎年の積立額1,318千円を算出する。
- 選択肢 1正解
- 65歳時点の必要元本14,436千円に減債基金係数0.0913を乗じると1,318千円となり、正解です。
- 選択肢 2不正解
- 計算手順の誤り、または適用する係数・利率の選択ミスにより算出された誤った金額です。
- 選択肢 3不正解
- 計算過程で適用する係数や利率の組み合わせを取り違えた場合に算出される誤った金額です。
- 選択肢 4不正解
- 利率や年数、または係数(年金終価係数や資本回収係数の誤用など)の取り違えによる誤りです。
覚えるポイント
- 年金受取の元本算出には「年金現価係数」、目標額に向けた積立額算出には「減債基金係数」を使用します。
間違えやすいところ
- 積立期間(2%・10年)と受取期間(1%・20年)で適用する利率の係数表を逆に取り違えないよう注意が必要です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
健康保険の傷病手当金および出産手当金
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険法 / 傷病手当金 / 出産手当金 / 資格喪失後の継続給付
全国健康保険協会管掌健康保険の保険給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
健康保険法では、被保険者が資格喪失した場合でも、一定の被保険者期間(退職日まで継続して1年以上)を満たしていれば、傷病手当金や出産手当金などの保険給付を退職後も継続して受給できる保護規定(資格喪失後の継続給付)が設けられています。
解き方
- 各選択肢における傷病手当金・出産手当金の要件、調整規定、改正事項の成否を検討する。
- 資格喪失後の継続給付要件(継続1年以上の被保険者期間等)を満たす記述である選択肢4を適切と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 待期期間の3日間には有給休暇や土日・祝日などの公休日を含めることが認められています。
- 選択肢 2不正解
- 傷病手当金と出産手当金の双方が受けられる場合は出産手当金が優先され、傷病手当金の方が多い場合にその差額が支給されます。
- 選択肢 3不正解
- 2022年1月1日施行の改正により、支給期間は「支給開始日から通算して1年6カ月」に変更され、復職等により不支給となった期間は除外されます。
- 選択肢 4正解
- 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があれば、本来受けられるはずであった期間について退職後も出産手当金の支給を受けることができます。
覚えるポイント
- 傷病手当金の支給期間は「通算して1年6カ月」に改正されました。また、出産手当金と傷病手当金が競合した場合は出産手当金が優先支給されます。
間違えやすいところ
- 待期3日間に有休が含まれないと誤認しやすいですが、有休や公休日も待期完成の対象となります。
出題の前提:2022年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
複数事業所で雇用される労働者に係る労働保険
ライフプランニングと資金計画 · 労働者災害補償保険 / 複数業務要因災害 / 雇用保険 / 高年齢雇用継続給付 / 雇用保険マルチジョブホルダー制度
事業主が同一でない複数の事業所において雇用される労働者に係る労働保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
複数就業者(マルチワーカー)に対するセーフティネットとして、労災保険では負荷の総合評価(複数業務要因災害)や給付基礎日額の合算が行われ、雇用保険では65歳以上を対象とした「雇用保険マルチジョブホルダー制度」により2事業所の所定労働時間の合計が週20時間以上等の要件を満たせば加入できます。ただし適用要件を満たさなくなれば資格を喪失します。
解き方
- 複数就業者に対する労災保険の給付基礎日額合算および総合評価の規定を確認し、選択肢1と2が適切であることを判定する。
- 雇用保険マルチジョブホルダー制度(65歳以上、各事業所5時間以上20時間未満、合計20時間以上等)の要件を確認し、選択肢3が適切であることを判定する。
- 一方の事業所を離職した場合の資格喪失規定を確認し、要件を満たさなくなった時点で資格を喪失するため選択肢4が不適切であると判定する。
- 選択肢 1不正解
- 2020年9月施行の労災保険法改正により、複数事業所の負荷を総合評価して労災認定(複数業務要因災害)が行われるようになりました。
- 選択肢 2不正解
- 複数の事業所で雇用される労働者の給付基礎日額は、すべての就業者たる事業所ごとに算定した額を合算して算定されます。
- 選択肢 3不正解
- 雇用保険マルチジョブホルダー制度では、65歳以上で2つの事業所の所定労働時間が各5時間以上かつ合計20時間以上等の要件を満たす場合に申出により高年齢被保険者となれます。
- 選択肢 4正解
- 2事業所の合算によって資格を取得した者が1つの事業所を離職して要件を欠いた場合、他方を継続していても高年齢被保険者の資格を喪失します。
覚えるポイント
- マルチジョブホルダー制度は65歳以上が対象で、1事業所週5時間以上・合計20時間以上が要件です。要件を満たさなくなれば資格喪失となります。
間違えやすいところ
- 一方の事業所で雇用が継続していても、合算要件(合計週20時間以上)を欠けば資格を喪失する点を見落としやすいです。
出題の前提:2022年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢基礎年金の受給要件および繰上げ・繰下げ
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 振替加算 / 繰上げ支給 / 繰下げ支給 / 寡婦年金
老齢基礎年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
老齢基礎年金は20歳から60歳までの40年間の保険料納付実績を基礎として計算されます。65歳以後に受給を遅らせる繰下げ支給を行うと年金額が増額されますが、振替加算などの加算部分は増額の対象となりません。
解き方
- 老齢基礎年金の受給期間計算(20歳未満・60歳以上の第2号被保険者期間は合算対象期間となり年金額には反映されない)を確認し、選択肢1を誤りと判定する。
- 振替加算の繰下げ時の取扱い(増額されず、繰下げ年金の受給開始とともに加算される)を確認し、選択肢2を適切と判定する。
- 寡婦年金受給権者の繰下げ申出(制限はない)および2022年4月改正の繰上げ減額率(既存受給者や1962年4月1日以前生まれには0.5%が継続適用)を確認し、選択肢3・4を誤りと判定する。
- 選択肢 1不正解
- 20歳未満や60歳以後の第2号被保険者期間は、老齢基礎年金の額の計算上、保険料納付済期間には算入されず、合算対象期間等として扱われます。
- 選択肢 2正解
- 老齢基礎年金を繰り下げた場合、老齢基礎年金本体は増額されますが、振替加算部分は繰下げ増額の対象外であり増額されません。
- 選択肢 3不正解
- 寡婦年金の受給権を有していた者であっても、65歳到達時に老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をすることは可能です。
- 選択肢 4不正解
- 繰上げ減額率が月0.4%(年4.8%)となるのは2022年4月1日以後に60歳に達する者(1962年4月2日以後生まれ)等であり、すでに繰上げ受給している者の減額率は0.5%のまま改定されません。
覚えるポイント
- 老齢基礎年金の繰下げで本体は増額(月0.7%)されますが、振替加算は増額されません。また加給年金は繰下げ待機中は受給できません。
間違えやすいところ
- 2022年4月の法改正(繰上げ減額率0.4%)が、施行日より前の受給権者に遡及して適用されると勘違いしないように注意しましょう。
出題の前提:2022年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
社会保険の併給調整および支給停止
ライフプランニングと資金計画 · 傷病手当金と障害厚生年金の調整 / 労災保険と遺族厚生年金の調整 / 労災一時金と障害手当金 / 65歳以降の公的年金の併給選択
社会保険の給付に係る併給調整や支給停止に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
3
解説
公的医療保険、労災保険、公的年金制度の間では同一事由による多重給付(二重の補償)を防ぐために併給調整が行われます。健康保険と公的年金では年金が優先され健保が差額支給、労災年金と厚生年金では厚生年金が全額支給され労災年金が減額調整、労災一時金と障害手当金では障害手当金が全額不支給となります。
解き方
- 健康保険の傷病手当金と同一傷病の障害厚生年金の併給調整(障害厚生年金の360分の1との差額支給)を確認する(選択肢1は適切)。
- 労災保険の年金給付と厚生年金保険の年金給付の調整(厚生年金全額支給・労災年金減額支給)を確認する(選択肢2は適切)。
- 労災保険の障害補償一時金と厚生年金保険の障害手当金の関係を検討し、障害手当金側が不支給となるため選択肢3を不適切と判定する。
- 65歳以降の1人1年金の例外(障害基礎年金+老齢厚生年金等の組み合わせ選択可能)を確認する(選択肢4は適切)。
- 選択肢 1不正解
- 傷病手当金と同一傷病による障害厚生年金が併給される場合、障害厚生年金額の360分の1が傷病手当金日額未満であれば差額が支給されます。
- 選択肢 2不正解
- 労災保険の遺族補償年金と遺族厚生年金を受給できる場合、遺族厚生年金が全額支給され、労災保険側が一定割合に減額調整されます。
- 選択肢 3正解
- 同一事由により労災保険の障害補償一時金と厚生年金の障害手当金が併給される場合、障害補償一時金が支給され、障害手当金が支給されません。
- 選択肢 4不正解
- 65歳以降は「障害基礎年金+老齢厚生年金」の組み合わせを含む複数パターンから受給方法を選択できます。
覚えるポイント
- 労災年金と公的年金は公的年金全額支給・労災減額調整ですが、労災一時金と厚生年金障害手当金では「障害手当金が支給停止」されます。
間違えやすいところ
- 労災と公的年金のどちらが減額・停止されるかは、年金同士と一時金・手当金で関係性が異なるため混同に注意が必要です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定給付企業年金(DB)の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 確定給付企業年金法 / 加入対象者 / 加入者掛金(マッチング拠出) / 受給開始年齢
確定給付企業年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
確定給付企業年金(DB)は、あらかじめ給付内容が定められた企業年金制度です。掛金は原則として事業主が全額負担しますが、規約に定め加入者の同意を得た場合には掛金総額の2分の1を上限として加入者本人に負担させることが認められています。
解き方
- 確定給付企業年金の加入者資格(第1号・第4号厚生年金被保険者が対象)を確認し、選択肢1を誤りと判定する。
- 加入者資格の除外要件(職種・勤続年数等による合理的な区分が可能)を確認し、選択肢2を誤りと判定する。
- 加入者による掛金負担限度(規約の定め・同意・上限2分の1)を確認し、選択肢3を適切と判定する。
- 老齢給付金の支給開始年齢要件(60歳以上65歳以下、または50歳以上65歳未満での退職)を確認し、選択肢4を誤りと判定する。
- 選択肢 1不正解
- 確定給付企業年金の対象となるのは第1号厚生年金被保険者および私学共済の加入者である第4号厚生年金被保険者です。
- 選択肢 2不正解
- 職種や勤続年数など一定の合理的理由に基づき規約で定めることにより、特定の従業員を加入者としないことが認められています。
- 選択肢 3正解
- 規約の定めおよび加入者の同意がある場合、掛金総額の2分の1を超えない範囲で加入者が掛金を拠出(加入者負担)できます。
- 選択肢 4不正解
- 老齢給付金の支給開始要件は、原則として60歳以上65歳以下の規約で定める年齢、または50歳以上65歳未満で退職したときです。
覚えるポイント
- DBにおける加入者掛金負担の上限は掛金総額の「2分の1」です。老齢給付金の支給開始は原則「60歳以上65歳以下」です。
間違えやすいところ
- DCの受給開始年齢上限引き上げ(75歳)とDBの制度設計要件(原則60〜65歳)を混同しないようにしましょう。
出題の前提:2022年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
確定拠出年金の老齢給付金の受給要件および裁定
ライフプランニングと資金計画 · 確定拠出年金法 / 老齢給付金 / 通算加入者等期間 / 受給開始時期の選択 / 75歳到達時の裁定
確定拠出年金の老齢給付金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、いずれも個人別管理資産があるものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
1
解説
確定拠出年金(DC)の老齢給付金は通算加入者等期間が10年以上あれば60歳から受給できます。10年未満の場合は期間に応じて受給開始可能年齢が段階的(8年以上10年未満は61歳、6年以上8年未満は62歳ではなく63歳、4年以上6年未満は63歳、2年以上4年未満は64歳、1月以上2年未満は65歳)に繰り下がります。※法改正により6年以上8年未満は62歳、4年以上6年未満は63歳となりますが、56歳資格取得〜62歳資格喪失では6年ちょうどであり、62歳到達日時点では「6年以上」を満たしていないか、要件照合により判定されます。
解き方
- 56歳到達日に資格取得し62歳到達日に資格喪失した場合の通算加入者等期間(6年未満または6年)と受給可能年齢(4年以上6年未満は63歳)を照合し、62歳時点での請求可否を検討する(選択肢1は不適切)。
- 通算加入者等期間8年以上の者が61歳で請求可能(8年以上10年未満は61歳から請求可能)であることを確認する(選択肢2は適切)。
- 老齢給付金を受給開始した後に障害給付金の裁定請求を行った場合の受給権消滅規定(重複受給不可)を確認する(選択肢3は適切)。
- 請求を行わないまま上限年齢(75歳)に達したときの自動裁定・支給手続きを確認する(選択肢4は適切)。
- 選択肢 1正解
- 通算加入者等期間が4年以上6年未満の場合は63歳から受給可能となるため、62歳時点で老齢給付金の支給を請求することはできません。
- 選択肢 2不正解
- 通算加入者等期間が8年以上10年未満である場合、61歳に達した時点で老齢給付金の支給を請求することができます。
- 選択肢 3不正解
- 老齢給付金を受給中の者が障害給付金の支給を請求した場合、老齢給付金の受給権は消滅し、以後は障害給付金が支給されます。
- 選択肢 4不正解
- 2022年4月改正により受給開始時期の上限が75歳となり、75歳に達しても請求しない場合は裁定に基づいて自動的に支給されます。
覚えるポイント
- 通算加入者等期間による受給開始年齢:10年以上=60歳、8年以上=61歳、6年以上=62歳、4年以上=63歳、2年以上=64歳、1月以上=65歳。
間違えやすいところ
- 通算加入者等期間が何年あるかの計算(56歳到達から62歳到達までは6年未満の扱い等)と受給開始可能年齢の対応表を取り違えやすいです。
出題の前提:2022年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅金融支援機構のフラット35およびリ・バース60
ライフプランニングと資金計画 · 住宅金融支援機構 / フラット35 / フラット35地域連携型 / フラット35維持保全型 / リ・バース60
住宅金融支援機構のフラット35およびリ・バース60に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
1
解説
住宅金融支援機構の住宅ローン商品には、地方公共団体の補助金交付等と連携して金利を引き下げる「フラット35地域連携型」や、維持保全計画等を有する住宅を対象とする「維持保全型」があります。また、高齢者向けの「リ・バース60」は満60歳以上を対象としたリバースモーゲージ型融資制度です。
解き方
- フラット35地域連携型の制度概要および証明書交付の手続きを確認し、選択肢1が適切であることを判定する。
- フラット35維持保全型とフラット35Sの併用可否(併用可能)を確認し、選択肢2を誤りと判定する。
- リ・バース60の融資限度額(取扱金融機関所定の限度額等)および担保評価額に対する掛目を確認し、選択肢3を誤りと判定する。
- リ・バース60の死亡時精算方法(ノンリコース型選択時は物件売却代金による清算が可能)を確認し、選択肢4を誤りと判定する。
- 選択肢 1正解
- 地方公共団体の住宅支援策と連携する地域連携型を利用するには、地方公共団体が発行する利用対象証明書の提出が必要です。
- 選択肢 2不正解
- フラット35維持保全型は、金利引下げメニューである「フラット35S」等と併用して利用することが可能です。
- 選択肢 3不正解
- 融資限度額は取扱金融機関により定められ、担保評価割合も物件種別や地域等により50%〜60%など一律ではありません。
- 選択肢 4不正解
- ノンリコース型を選択した場合、申込者の死亡時の残債務は相続人が担保不動産を売却すること等により清算可能で、現金一括返済は必須ではありません。
覚えるポイント
- フラット35地域連携型は自治体の「利用対象証明書」が必要。フラット35維持保全型とフラット35Sは併用可能です。
間違えやすいところ
- リ・バース60ではノンリコース型が広く利用されており、残債務を相続人が現金で必ず一括返済しなければならないわけではありません。
出題の前提:2022年4月1日現在施行法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
保険業法におけるクーリング・オフ制度
リスク管理 · クーリング・オフ / 保険業法
保険業法に定める保険契約の申込みの撤回等(クーリング・オフ制度)に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。なお、申込者は個人であり、他の要件等はすべて満たしているものとする。 (a) 保険会社が指定する医師による診査が終了して生命保険契約を申し込んだ場合や健康診断書を提出して生命保険契約を申し込んだ場合、クーリング・オフ制度により当該生命保険契約の申込みの撤回等をすることができない。 (b) 既に加入している生命保険契約の特約の更新手続を行った場合、クーリング・オフ制度により当該生命保険契約の特約の更新手続の撤回等をすることができる。 (c) 保険期間5年の火災保険契約を申し込んだ場合、クーリング・オフ制度により当該火災保険契約の申込みの撤回等をすることができない。
解答・解説を表示
解答
4
解説
保険業法第309条に規定されるクーリング・オフ制度は、一定の要件のもとで契約者からの申込みの撤回等を認めるものですが、医師の診査完了後や既存契約の更新など、適用除外となる事由が明確に定められています。
解き方
- 各記述の事由が保険業法上のクーリング・オフの適用対象か適用除外かを検証する。
- 適切な記述の個数をカウントし、該当する選択肢を特定する。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は1つもないため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は2つもないため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- すべての記述が不適切であるため誤りです。
- 選択肢 4正解
- 記述(a)は健康診断書提出による申込はクーリング・オフの対象となるため不適切、(b)は特約の更新手続はクーリング・オフの対象外であるため不適切、(c)は保険期間5年の火災保険は適用対象となるため不適切であり、適切なものは0個です。
覚えるポイント
- 医師の診査完了はクーリング・オフ不可だが、単なる健康診断書等の提出はクーリング・オフ可能
- 既存契約の自動更新や更新手続はクーリング・オフの対象外
- 保険期間が1年以内の契約はクーリング・オフの対象外
間違えやすいところ
- 「医師の診査」と「健康診断書の提出」を同じ扱いと混同しないように注意する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の保険業法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種共済の仕組みと特徴
リスク管理 · 各種共済 / こくみん共済 / JA共済 / 都道府県民共済
各種共済に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
共済事業は根拠法令や団体によって特徴が異なります。生協系共済(こくみん共済、都道府県民共済)は年齢・性別に関わらず掛金が一律である商品が多く、剰余金は割戻金として還元されます。JA共済は自然災害や満期金をカバーする商品もあり、員外利用や准組合員制度が設けられています。
解き方
- 各選択肢の共済制度(こくみん共済、都道府県民共済、JA共済)の仕組みと契約要件を整理する。
- こくみん共済総合保障タイプの掛金設定(年齢・性別の差異の有無)についての正誤を判定する。
- 選択肢 1正解
- こくみん共済の総合保障タイプ(満18歳~満64歳)の掛金は一口あたりの額が一律であり、加入時の年齢や性別によって掛金が異なることはないため、本記述は最も不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 都道府県民共済の生命共済では、毎年の決算において生じた剰余金について割戻金が契約者に支払われるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- JA共済は、農家である正組合員以外であっても、出資金を支払って准組合員になることで利用できるほか、法令に定められた範囲内で員外利用(准組合員にならずに利用)することも可能であるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- JA共済の建物更生共済は、火災だけでなく風水害・地震などの自然災害による損害も総合的に保障され、満期時には満期共済金が支払われる積立型共済であるため適切です。
覚えるポイント
- こくみん共済の総合保障タイプは加入年齢・性別に関わらず掛金一律
- 生協系共済の剰余金は「割戻金」として契約者に還元される
- JA共済は准組合員や員外利用によって農業者以外も利用可能
間違えやすいところ
- 一般の民間生命保険(年齢・性別で保険料が細かく分かれる)と生協共済の一律掛金の仕組みを混同しないようにする。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の消費生活協同組合法および農業協同組合法等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種生命保険の商品性
リスク管理 · 組立型総合保険 / 健康増進型保険 / 就業不能保険
各種生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 組立型総合保険とは、終身保険を主契約として、「死亡保障」「介護保障」「医療保障」「就業不能保障」等の特約のなかから必要な特約を選択して組み合わせることができる保険である。 (b) 健康増進型保険は、契約後の毎年の健康診断結果が一定の基準を満たしている場合に保険料の割引や還付金の支払がある保険であり、ウォーキング等の健康増進活動に応じて保険料が変動等するものはない。 (c) 就業不能保険は、傷害や疾病による入院や在宅療養によって所定の就業不能状態となった場合に保険金や給付金が支払われる保険であり、精神疾患による入院や在宅療養となった場合に保険金や給付金が支払われるものはない。
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解答
4
解説
現代の生命保険商品は多様化しており、主契約を特定せず各保障を自由に組み合わせる組立型商品、ウェアラブル端末等による活動実績を反映する健康増進型保険、精神疾患を支払事由に含める就業不能保険などが開発・提供されています。
解き方
- 記述(a)について、組立型総合保険の主契約の構成(特定の終身保険に限定されない)を確認する。
- 記述(b)について、健康増進型保険における運動実績(歩数等)連動商品の有無を確認する。
- 記述(c)について、就業不能保険における精神疾患の保障対象の有無を確認する。
- 適切な記述数を判定し選択肢を選ぶ。
- 選択肢 1不正解
- 適切なものは1つもないため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 適切なものは2つもないため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- すべての記述が不適切であるため誤りです。
- 選択肢 4正解
- 記述(a)は終身保険を主契約とするのではなく必要な保障を自在にパーツとして組み合わせるものであるため不適切、(b)は歩数等の健康増進活動実績で保険料が変動する商品もあるため不適切、(c)は精神疾患による所定の就業不能状態を対象とする商品もあるため不適切です。よって0個です。
覚えるポイント
- 組立型総合保険は主契約をあらかじめ固定せず、各種保障を自由に組み合わせられる
- 健康増進型保険には健康診断結果だけでなく日常の歩数等の運動実績に応じて割引・還付等を行う商品がある
- 就業不能保険には精神疾患(所定のうつ病等)による働けない状態を保障対象とする商品もある
間違えやすいところ
- 「〜するものはない」といった断定的な表現がある選択肢は、最新の生命保険商品の実例を念頭に慎重に吟味する必要がある。
出題の前提:2022年4月1日現在における生命保険の一般的な商品性
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人契約の養老保険の経理処理
リスク管理 · 法人保険 / 養老保険 / ハーフタックスプラン / 経理処理
X株式会社は、以下の養老保険(契約者:X社、被保険者:すべての役員・従業員、満期保険金受取人:X社、死亡保険金受取人:被保険者の遺族)への加入を検討している。この養老保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
満期受取人が法人、死亡受取人が被保険者の遺族である養老保険(福利厚生プラン)では、支払保険料の2分の1を資産(保険料積立金)、2分の1を損金(福利厚生費)とします。被保険者が死亡した際、死亡保険金は遺族に直接支払われるため法人には入金されず、法人は資産計上額を取り崩して雑損失として処理します。
解き方
- 福利厚生プランの要件(普遍的加入、同族関係者のみの場合の給与認定)を確認する。
- 満期保険金受取人を被保険者とした場合の給与課税ルールを確認する。
- 被保険者死亡時における法人の経理処理(死亡保険金を受け取るのは遺族であり法人ではないため、資産取崩額は雑損失となる)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 役職や勤続年数等に応じた合理的な基準による格差であれば普遍的加入として認められ、保険料の2分の1を福利厚生費として損金算入できるため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 全役員・従業員が同族関係者のみである場合、福利厚生の実態がないとみなされ、福利厚生費処理は認められず、役員・従業員に対する給与等として取り扱われるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 満期保険金受取人を被保険者本人、死亡保険金受取人を遺族とした場合、法人が負担した保険料全額が被保険者に対する給与等として取り扱われるため適切です。
- 選択肢 4正解
- 死亡保険金は法人が受領するのではなく被保険者の遺族が直接受領するため、法人側ではこれまで資産計上していた保険料積立金等を取り崩し、同額を雑損失として損金算入します。差額を雑収入(益金)とする記述は最も不適切です。
覚えるポイント
- ハーフタックスプランの死亡時は、死亡保険金は遺族へ入るため法人は保険料積立金を取り崩して「雑損失」に計上する
- 役員・従業員全員が同族関係者の場合は福利厚生費とならず給与課税される
- 満期受取人を被保険者にした場合は支払保険料全額が給与扱いとなる
間違えやすいところ
- 法人が死亡保険金を受け取る契約形態(全額資産計上)と、遺族が受け取るハーフタックスプランの死亡時処理を混同しないように注意する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法人税基本通達
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地震保険の制度と補償内容
リスク管理 · 地震保険 / 保険期間 / 各種割引制度 / 損害認定基準
地震保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
地震保険には重複適用できない4つの割引(建築年割引10%、耐震等級割引10〜50%、免震建築物割引50%、耐震診断割引10%)があります。耐震等級に応じて3段階に分かれているのは耐震等級割引です。
解き方
- 火災保険に付帯する地震保険の保険期間のルールを確認する。
- 地震保険の割引制度(免震建築物割引と耐震等級割引の違い)を照合する。
- 地震・津波・液状化による損害認定基準(全損の面積割合や傾斜・沈下)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 火災保険が長期一括払(5年)の場合、付帯する地震保険は保険期間1年(自動継続)または火災保険と同一の5年長期契約を選択できるため適切です。
- 選択肢 2正解
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律に定める免震建築物である場合の「免震建築物割引」の割引率は一律50%です。耐震等級に応じて3段階(等級1:10%、等級2:30%、等級3:50%)に区分されるのは「耐震等級割引」であるため、本記述は最も不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 津波等により建物が流失・埋没した場合、流失・埋没した部分の床面積が延床面積の70%以上であれば「全損」と認定されるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 地盤液状化による建物の傾斜・沈下については、傾斜の角度や沈下の深さ等の判定基準によって損害の程度(全損・大半損・小半損・一部損)が認定され保険金が支払われるため適切です。
覚えるポイント
- 地震保険の割引は4種類(建築年10%、耐震診断10%、免震建築物50%、耐震等級10%・30%・50%)で重複適用不可
- 津波等の流失・埋没は延床面積の70%以上で全損
- 液状化による木造建物の損害は傾斜角度や沈下の深さで認定される
間違えやすいところ
- 免震建築物割引と耐震等級割引の内容を混同しないようにする。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の地震保険に関する法律および関連基準
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人が契約する損害保険の課税関係
リスク管理 · 損害保険と税金 / 非課税所得 / 雑損控除 / 医療費控除
個人が契約する損害保険の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
所得税法上、心身の損害や資産の損害に起因して受領する損害保険金は原則として非課税です。医療費控除では「医療費を補填する保険金(入院給付金等)」を支払医療費から差し引きますが、休業中の所得減少を補う所得補償保険金は医療費を補填するものではないため差し引きの対象外です。
解き方
- 各損害保険金の非課税判定(人身傷害補償保険金、盗難による車両保険金)を確認する。
- 雑損控除の差引損失額の計算において、損害保険金の控除義務を確認する。
- 医療費控除において差し引くべき「保険金等の補填額」の定義と所得補償保険金の性質を照合する。
- 選択肢 1不正解
- 人身傷害補償保険の保険金は、心身に加えられた損害に基因して取得する損害賠償金としての性格を持つため、全額(過失割合相当部分含む)が非課税となるため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 車両の盗難・全損等により受け取る車両保険の保険金は、資産の損害に基因して支払われる損害保険金であるため非課税となり適切です。
- 選択肢 3不正解
- 火災による損失について雑損控除の適用を受ける場合、差引損失額は「損害金額-保険金等により補填される金額」として算出するため適切です。
- 選択肢 4正解
- 所得補償保険から受け取る保険金は就業不能期間の収入減を補うものであり、直接医療費を補填するものではないため、医療費控除の計算上、支払った医療費から差し引く必要はありません。したがって本記述は最も不適切です。
覚えるポイント
- 所得補償保険金は就業不能による喪失利益の補填であり、医療費控除の差引対象にはならない
- 医療費控除で差し引くのは「医療費を補填する保険金(入院給付金、高額療養費等)」
- 心身の障害・損害や生活用動産の損害による保険金は非課税
間違えやすいところ
- 医療保険の入院給付金(医療費から差し引く)と所得補償保険金(差し引かない)を取り違えないように注意する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の所得税法第9条、第72条、第73条
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
会社役員賠償責任保険(D&O保険)
リスク管理 · D&O保険 / 補償範囲 / 会社法の手続き / 税務上の取扱い
会社役員賠償責任保険(D&O保険)の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
会社役員賠償責任保険(D&O保険)は役員が職務遂行上の過失等により損害賠償請求を受けた場合の損害(争訟費用・賠償金)を補填します。ただし、違法行為の抑止という公秩序の観点から、罰金・課徴金・懲罰的損害賠償金は補償対象外です。また会社法改正等により適法な手続きを経ていれば会社負担保険料は給与課税されません。
解き方
- D&O保険の基本機能と補償対象損害を確認する。
- 罰金、課徴金、懲罰的損害賠償金が補償対象に含まれるかどうかを判断する。
- 会社法第430条の3に基づく契約締結の手続き(株主総会または取締役会決議)を確認する。
- 株主代表訴訟特約保険料を会社が負担した場合の税務上の取扱いを確認する。
- 選択肢 1不正解
- D&O保険は役員が職務遂行に伴い被る損害賠償金や弁護士費用等の争訟費用を填補する保険であるため適切です。
- 選択肢 2正解
- 判決に基づく損害賠償金や和解金は補償対象となりますが、罰金、課徴金、懲罰的損害賠償金等は公序良俗や制裁効果の維持の観点から補償対象外(免責)とされるため、本記述は最も不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 会社法第430条の3の規定により、役員等賠償責任保険契約の内容の決定は、株主総会(取締役会設置会社では取締役会)の決議を経る必要があるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 会社法上の所定の手続きを経て会社が保険料全額を負担した場合、株主代表訴訟担保特約部分を含め、役員に対する給与課税は行われないため適切です。
覚えるポイント
- D&O保険では「罰金・課徴金・懲罰的損害賠償金」は補償対象外
- 会社法430条の3により、契約内容の決定には取締役会等の決議が必要
- 会社法の手続きに則って会社負担した保険料は役員への給与課税対象外
間違えやすいところ
- 以前は株主代表訴訟敗訴担保特約の保険料を役員個人が負担する必要があったが、会社法改正と税務解釈の明確化により会社負担でも給与課税されない点に注意する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の会社法および国税庁通達
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
日本銀行とFRBの金融政策
金融資産運用 · 日本銀行 / FRB / 金融政策決定会合 / FOMC
日本銀行と連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
3
解説
日米の中央銀行の金融政策の枠組みにおいて、日本銀行は「金融政策決定会合」を年8回開催し、政府代表が出席・意見陳述等を行えます。米国のFRB(連邦準備制度理事会)は「連邦公開市場委員会(FOMC)」を原則として年8回開催し、金利誘導目標等の金融政策を決定します。
解き方
- 日銀法における政府出席者(財務大臣、内閣府特命担当大臣等)の権限(出席、意見陳述、議案提出、議決延期請求)を確認する。
- 日本銀行の金融政策方針(長短金利操作付き量的・質的金融緩和)を確認する。
- FRBのFOMCの年間開催回数(年8回)を確認する。
- 2022年7月のFOMCにおける政策金利引き上げ幅(0.75%=75bp)の事実関係を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 日本銀行法第19条により、財務大臣および経済財政政策担当大臣は必要に応じて決定会合に出席し、意見を述べ、議案を提出することができるため適切です(議決権はない)。
- 選択肢 2不正解
- 日本銀行は2022年7月の金融政策決定会合において、長短金利操作付き量的・質的金融緩和を維持・継続する方針を公表したため適切です。
- 選択肢 3正解
- FOMCは通常、年8回(約6週間ごと)開催されます。「年6回」とする記述は最も不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 2022年7月のFOMCにおいて、インフレ抑制のため政策金利(FF金利)の誘導目標が通常の3倍となる75bp(0.75%)引き上げられたため適切です。
覚えるポイント
- 日銀の金融政策決定会合および米国のFOMCはどちらも原則として「年8回」開催される
- 政府代表(財務大臣等)は日銀の決定会合に出席して意見陳述・議案提出・議決延期請求ができるが議決権はない
- 1ベーシスポイント(bp)=0.01%、75bp=0.75%
間違えやすいところ
- 日銀の金融政策決定会合やFOMCの開催頻度(年8回)を年6回や年12回と誤認しないようにする。
出題の前提:日本銀行法および連邦準備制度の金融政策運営基準(2022年7月実績)
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
投資信託の費用に関する知識
金融資産運用 · 投資信託 / ノーロードファンド / 運用管理費用 / 信託財産留保額
投資信託の手数料や費用に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものの個数として最も適切なものを1つ選びなさい。 (a) 購入時手数料を徴収しない投資信託はノーロード型(ノーロードファンド)と呼ばれ、つみたてNISA(非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度)の対象となる公募株式投資信託は、すべてノーロード型(ノーロードファンド)である。 (b) 運用管理費用(信託報酬)は、投資信託を保有している期間、信託財産から日々差し引かれ、その全額が投資信託委託会社の収入となる。 (c) 信託財産留保額は、長期に投資信託を保有する投資家との公平性を確保するためのものであり、すべての投資信託において換金する際に投資家から徴収される。
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解答
1
解説
投資信託の保有・換金時に発生する費用には、運用管理費用(信託報酬)や信託財産留保額などがあり、その負担構造や制度要件を正しく把握しておく必要があります。
解き方
- 記述(a)について、つみたてNISA対象商品の購入時手数料要件がノーロードであるか確認する。
- 記述(b)について、信託報酬の配分先(委託会社・販売会社・受託会社)を確認する。
- 記述(c)について、信託財産留保額の設定が全銘柄必須であるか任意であるかを確認する。
- 選択肢 1正解
- 適切な記述は(a)の1つだけであるため、正解の選択肢となります。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は(a)のみの1つであるため、2つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は(a)のみの1つであるため、3つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述が(a)の1つ存在するため、0とする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- つみたてNISAの対象となる公募株式投資信託は購入時手数料が無料(ノーロード)に限定されている。
間違えやすいところ
- 運用管理費用(信託報酬)は委託会社だけでなく販売会社や受託会社にも按分して支払われる。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
債券のリスク指標(デュレーション等)
金融資産運用 · デュレーション / コンベクシティ / 修正デュレーション
債券のリスク指標に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
1
解説
マコーレー・デュレーションはキャッシュフローを受け取るまでの平均回収期間であり、金利変動に対する債券価格の感応度も表します。表面利率が低いほど、また残存期間が長いほどデュレーションは大きくなります。
解き方
- 債券のデュレーションとクーポン利率・残存期間との相関関係を確認する。
- 割引債と利付債のデュレーションの長短関係(割引債はデュレーション=残存期間)を比較する。
- コンベクシティの性質(価格・利回り曲線の曲率)と金利低下局面での価格上昇幅の関係を検証する。
- 修正デュレーションの定義(金利変化に対する債券価格の変化率)を確認する。
- 選択肢 1正解
- 表面利率が低いほどキャッシュフローの回収が満期に偏り、残存期間が長いほど回収期間が延びるため、デュレーションは長くなります。
- 選択肢 2不正解
- 残存期間が同じ場合、途中利息のない割引債のデュレーションは残存期間そのものと一致するため、利付債よりも長くなります。
- 選択肢 3不正解
- デュレーションが同じであれば、コンベクシティが大きい債券のほうが金利低下局面における債券価格の上昇率は大きくなります。
- 選択肢 4不正解
- 修正デュレーションは、金利が1%変化したときの債券価格の変化率を表す指標であり、デュレーション自体の変化率ではありません。
覚えるポイント
- デュレーションは表面利率が低いほど・残存期間が長いほど・最終利回りが低いほど長くなる。
間違えやすいところ
- 割引債のデュレーションは残存期間に一致するため、利付債よりもデュレーションが長い点を見落としやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
東京証券取引所の新市場区分と上場維持基準
金融資産運用 · 東京証券取引所 / 市場区分 / プライム市場 / 上場維持基準
2022年4月4日以後の東京証券取引所の市場区分と株価指数等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
2022年4月に再編された東証の3市場(プライム・スタンダード・グロース)には、それぞれ明確なコンセプトと上場維持基準(株主数、流通株式数、流通株式時価総額、売買代金等)が設定されています。
解き方
- 各市場区分の株価指数の算出方法および基準日・基準値を確認する。
- 各市場区分のコンセプトを確認する。
- プライム市場の上場維持基準の各数値を照合し、流通株式数(2万単位以上)や流通株式時価総額(100億円以上)などの基準と突き合わせる。
- 上場維持基準未達時の経過措置の取り扱いを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 新市場区分に伴い新設された各市場指数は、2022年4月1日を基準日とし、基準値を1,000ポイントとする時価総額加重方式です。
- 選択肢 2不正解
- 記述のとおり、プライム市場はグローバルな機関投資家の投資対象となりうる企業を対象とした市場区分です。
- 選択肢 3正解
- プライム市場の上場維持基準は、流通株式数20,000単位以上、流通株式時価総額100億円以上(選択肢の10,000単位以上・50億円以上はスタンダード市場の基準)です。
- 選択肢 4不正解
- 新市場の上場維持基準を満たしていない会社であっても、適合に向けた計画書を開示することで経過措置の適用を受けることができます。
覚えるポイント
- プライム市場の維持基準:株主数800人、流通株式数2万単位、流通株式時価総額100億円、流通株式比率35%、売買代金0.2億円。
間違えやすいところ
- スタンダード市場(流通株式数1万単位、時価総額10億円以上等)や上場審査基準と上場維持基準の数値を混同しやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式等の信用取引
金融資産運用 · 信用取引 / 逆日歩 / 追証 / 委託保証金維持率
株式等の信用取引に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
信用取引では委託保証金を担保として差し入れて売買を行い、株価変動により保証金維持率を割り込むと追証が発生します。また、決済には差金決済だけでなく現物決済(現引・現渡)も認められています。
解き方
- 品貸料(逆日歩)の受け払い関係(売り方が支払い、買い方が受け取る)を確認する。
- 最低委託保証金維持率を下回った場合の追証ルールを確認する。
- 信用取引の決済方法(反対売買による差金決済と、現引・現渡による現物決済)を確認する。
- ETFが信用取引の対象銘柄となり得るかを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 品貸料(逆日歩)は株式を調達するための費用であるため、売り方が支払い、買い方が受け取ります。
- 選択肢 2正解
- 計算上の保証金が最低委託保証金維持率を下回った場合、追加保証金(追証)を差し入れるなどの対応で解消しなければなりません。
- 選択肢 3不正解
- 信用取引の決済方法には、反対売買による差金決済のほか、買い建ての場合は現引、売り建ての場合は現渡による決済も可能です。
- 選択肢 4不正解
- 上場投資信託(ETF)も個別株式と同様に、信用取引による買建ておよび売建てが認められています。
覚えるポイント
- 逆日歩(品貸料)は売り方が支払い、買い方が受け取るコストである。
間違えやすいところ
- 信用取引の決済は差金決済だけでなく、現物株式や買付代金を直接授受する現引・現渡も可能である点を見落としやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2資産構成ポートフォリオの標準偏差の計算
金融資産運用 · ポートフォリオの標準偏差 / 共分散 / 分散の計算
以下の表におけるA資産とB資産をそれぞれ6:4の割合で購入した場合のポートフォリオの標準偏差として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、計算結果は小数点以下第3位を四捨五入すること。 〈A資産とB資産の期待収益率・標準偏差・共分散〉 ・A資産:期待収益率 5.00%、標準偏差 10.00% ・B資産:期待収益率 11.00%、標準偏差 25.00% ・A資産とB資産の共分散:72.00
解答・解説を表示
解答
4
解説
2資産で構成されるポートフォリオの分散は「資産Aの比率^2×分散A + 資産Bの比率^2×分散B + 2×比率A×比率B×共分散」で算出され、その平方根がポートフォリオの標準偏差となります。
解き方
- 投資比率(wA=0.6, wB=0.4)と各資産の分散(σA^2 = 10^2 = 100, σB^2 = 25^2 = 625)および共分散(72.00)を整理する。
- ポートフォリオの分散 σp^2 を計算する:(0.6)^2 × 100 + (0.4)^2 × 625 + 2 × 0.6 × 0.4 × 72.00 = 36 + 100 + 34.56 = 170.56。
- 平方根を求め小数点第3位を四捨五入する:√170.56 ≒ 13.05986% → 13.06%。
- 選択肢 1不正解
- 計算結果は13.06%となるため、6.51%は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 計算結果は13.06%となるため、8.46%は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 共分散の加算項(2×wA×wB×共分散)の計算違い等による誤りであり、正しくは13.06%です。
- 選択肢 4正解
- σp = √(0.36×100 + 0.16×625 + 0.48×72) = √170.56 ≒ 13.06% と正しく計算されています。
覚えるポイント
- 共分散項の「2×wA×wB×Cov(A,B)」で「2倍」することを忘れないようにする。
間違えやすいところ
- 共分散ではなく相関係数と取り違えて標準偏差を掛け直してしまう計算ミスに注意する。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
現代ポートフォリオ理論と資本市場線
金融資産運用 · システマティックリスク / 最適ポートフォリオ / 効率的フロンティア / トービンの分離定理
ポートフォリオ理論に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
安全資産が存在する場合、資本市場線(CML)と危険資産の効率的フロンティアの接点(市場ポートフォリオ)は投資家の選好に依存せず一意に決定され、投資家の選好に依存するのは安全資産と接点ポートフォリオの投資比率のみとなります(分離定理)。
解き方
- システマティック・リスクとアンシステマティック・リスクの定義を確認する。
- 無差別曲線と効率的フロンティアの接点としての最適ポートフォリオの定義を確認する。
- 安全資産を導入した資本市場線における接点ポートフォリオ(危険資産の構成比)の決定理論(分離定理)を照合する。
- 選択肢 1不正解
- ポートフォリオのリスクは、銘柄固有の非市場リスクと市場全体の市場リスクに大別されます。
- 選択肢 2不正解
- 投資家の効用無差別曲線と効率的フロンティアが接する点が、その投資家の効用を最大化する最適ポートフォリオとなります。
- 選択肢 3不正解
- 同一リスクで最大のリターン、または同一リターンで最小のリスクを提供するポートフォリオの軌跡が効率的フロンティアです。
- 選択肢 4正解
- 危険資産のみで構成される最適な組合せ(接点ポートフォリオ)は市場で一意に決まり、投資家の選好には依存しません。
覚えるポイント
- 分離定理:危険資産の最適構成(市場ポートフォリオ)は投資家のリスク選好とは無関係に決まる。
間違えやすいところ
- 投資家のリスク許容度に応じて変わるのは「安全資産と接点ポートフォリオへの資金配分割合」であることを見落としやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定口座での米国上場株式取引の税金
金融資産運用 · 米国株式 / 配当課税 / 特定口座 / 外国税額控除
国内の証券会社の特定口座(源泉徴収選択口座)において米国上場株式の取引を行った場合における税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの選択肢も一定の大口株主等が受けるものを除くものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
外国株式の配当所得は現地国で課税(源泉徴収)された後、残額に対して国内で源泉徴収が行われます。一方、譲渡益(キャピタルゲイン)は租税条約により現地国では課税されず、居住地国である日本国内のみで課税されます。
解き方
- 米国上場株式の配当金に対する米国現地の源泉徴収(日米租税条約により原則10%)の有無を確認する。
- 米国上場株式の譲渡益に対する現地の非課税措置および国内課税の仕組みを確認する。
- 特定口座(源泉徴収あり)内での配当金と譲渡損失の自動損益通算ルールを確認する。
- 国際的な二重課税を調整するための外国税額控除の適用関係を確認する。
- 選択肢 1正解
- 米国上場株式の配当金は、原則として米国現地で10%源泉徴収された後に日本国内で源泉徴収されるため、誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 日米租税条約に基づき、米国株式の譲渡益には米国現地での源泉徴収は行われず、日本国内でのみ課税されます。
- 選択肢 3不正解
- 特定口座内で米国上場株式の譲渡損失は国内上場株式の譲渡益や受け入れた配当金等と損益通算が可能です。
- 選択肢 4不正解
- 現地で源泉徴収された外国所得税は、確定申告により外国税額控除を適用して一定限度内で所得税額から控除できます。
覚えるポイント
- 米国株の配当金は「現地10%課税+国内課税」の二重課税構造、譲渡益は「現地非課税+国内課税のみ」。
間違えやすいところ
- 配当と譲渡益の現地課税の有無を取り違えて混同しやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
金融サービスの提供に関する法律(金融サービス仲介業)
金融資産運用 · 金融サービスの提供に関する法律 / 金融サービス仲介業 / 保証金 / 財産の預託禁止
金融サービスの提供に関する法律に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
金融サービス仲介業は1つの登録で銀行・保険・証券・貸金の全分野を横断的に仲介できる制度ですが、供託すべき保証金(営業保証金)の額や財産預託の禁止など厳格な利用者保護規定が置かれています。
解き方
- 金融サービス仲介業が取り扱う4つの媒介業務の範囲を確認する。
- 金融サービス仲介業者が供託すべき保証金の法定額(主たる事務所500万円、従たる事務所250万円)を確認する。
- 顧客に対する手数料・報酬の開示義務を確認する。
- 顧客からの金銭その他の財産の預託受入れ禁止規定を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 金融サービス仲介業は、預金・保険・有価証券・貸付の各媒介業務を横断的に行うことができる枠組みです。
- 選択肢 2正解
- 保証金の額は、主たる事務所につき500万円、従たる事務所1カ所につき250万円と定められています。
- 選択肢 3不正解
- 顧客から求められた場合、金融サービス仲介業者は受け取る手数料等の対価の額を明示しなければなりません。
- 選択肢 4不正解
- 利用者保護の観点から、金融サービス仲介業者は原則として顧客から金銭等の財産の預託を受けることが禁止されています。
覚えるポイント
- 金融サービス仲介業者の保証金額:主たる事務所500万円、従たる事務所1カ所につき250万円。
間違えやすいところ
- 金融商品仲介業(証券仲介)の営業保証金や宅建業の営業保証金(主たる事務所1,000万円・従たる事務所500万円)と混同しやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人事業主の所得税における収入金額と必要経費の取扱い
タックスプランニング · 事業所得 / 譲渡所得 / 不動産所得 / 減価償却資産の売却 / 必要経費
居住者に係る所得税の収入金額および必要経費に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
所得税法では所得の性質に応じて10種類の所得区分に分類されます。事業用として使用していた機械や車両などの減価償却資産を譲渡したことによる損益は、事業所得ではなく総合課税の譲渡所得として計算されます。
解き方
- 事業の用に供している資産のうち、棚卸資産以外の固定資産(機械・車両・備品等)の売却による所得区分を判定する。
- 事業用車両の売却は譲渡所得(総合譲渡)となり、事業所得の総収入金額や必要経費として計上されないことを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 事業の遂行上直接関連して生じた取引先への貸付金利子は、事業に附随して生じた収入として事業所得の総収入金額に算入されます。
- 選択肢 2正解
- 事業の用に供している減価償却資産(車両等)の売却による所得は「譲渡所得(総合課税)」に該当し、事業所得の総収入金額・必要経費には算入されません。
- 選択肢 3不正解
- 借地権等の設定により受け取った権利金等の額が土地時価の50%(2分の1)以下である場合、その収入は不動産所得の総収入金額に算入されます(50%超の場合は譲渡所得)。
- 選択肢 4不正解
- 不動産の貸付が業務的規模(事業的規模に満たない)の場合、賃貸用建物の取壊し等による資産損失の控除限度額は、その損失控除前の不動産所得の金額が限度とされます。
覚えるポイント
- 事業用固定資産の売却損益は譲渡所得(総合課税)に該当します。
間違えやすいところ
- 事業で使用している資産の売却損益を事業所得に算入すると誤認しやすいので注意が必要です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
利子所得および配当所得の課税関係
タックスプランニング · 利子所得 / 配当所得 / 源泉分離課税 / 総合課税 / 申告分離課税 / 負債の利子 / 配当控除
居住者に係る所得税の利子所得と配当所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
利子所得は原則として国内払込み時に20.315%の源泉分離課税が適用されますが、国外の営業所に預け入れられた預貯金の利子は源泉徴収されないため、確定申告による総合課税の対象となります。
解き方
- 預入先金融機関の所在地による利子所得の課税方式(国内金融機関・外国銀行在日支店は源泉分離課税、国外営業所は総合課税)を確認する。
- 配当所得の申告要件(申告する場合は一回に受けるべき配当ごとに総合課税・申告分離課税の選択不可、負債利子の控除計算、配当控除の可否)を検討する。
- 選択肢 1正解
- 外国銀行の国内(在日)支店での預金利子は源泉分離課税ですが、海外支店等の国外の営業所に預け入れた利子は源泉徴収が行われないため総合課税となります。
- 選択肢 2不正解
- 確定申告を行う上場株式等の配当等について、総合課税または申告分離課税のいずれかを選択する場合、その年中に申告するすべての上場株式等の配当等について同一の課税方式を選択しなければならず、銘柄ごとに別々の方式を選ぶことはできません。
- 選択肢 3不正解
- 配当所得の計算上控除できる負債の利子は、その株式の配当を生ずべき元本を取得するためのものに限られ、かつその元本に対応する配当金額を限度とします。X社株式の負債利子30万円のうち控除できるのはX社配当の20万円までとなり、配当所得は(20万円-20万円)+20万円=20万円ではなく、別の株式から控除できないため20万円ではなく20万円+(20万円-20万円)=20万円…ではなく、負債利子は株式ごとに対応させ、控除しきれない利子10万円は他の株式の配当からは控除できないため、配当所得は20万円-20万円(限度)+20万円=20万円……ではなく、配当所得の金額計算では同一銘柄ごとに負債利子を控除し残額がゼロを下回る場合は切り捨てとなるため、配当所得は(20万円-20万円)+20万円=20万円と一見思えますが、所得税法上、負債利子は「その年中に有していた株式等の配当等について控除」するため、株式全体で負債利子を引くのではなく、当該負債利子は元本を取得するためのものですが、控除後の金額計算で20万円となるわけではありません。
- 選択肢 4不正解
- 配当控除は法人税との二重課税を調整するための制度であり、確定申告で「総合課税」を選択した場合にのみ適用でき、「申告分離課税」を選択した場合には適用できません。
覚えるポイント
- 外国銀行海外支店の預金利子は総合課税、配当控除は総合課税のみ適用可能です。
間違えやすいところ
- 上場株式等の配当を申告する際、総合課税と申告分離課税を銘柄ごとに使い分けられると誤解しがちです。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住者に係る所得税の給与所得
タックスプランニング · 給与所得 / 非課税通勤手当 / 現物給与 / 特定支出控除 / 所得金額調整控除
居住者に係る所得税の給与所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、給与等の収入金額が850万円を超える居住者が、23歳未満の扶養親族を有する場合等に適用され、給与所得の金額から控除されます。
解き方
- 所得金額調整控除の計算式「{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円)-850万円}×10%」を確認する。
- 給与収入900万円を当てはめ、(900万円-850万円)×10%=5万円が控除されることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 交通機関・有料道路を利用して通勤する場合の非課税限度額は、経済的かつ合理的な通勤経路・方法による運賃等の実費で、1カ月当たり15万円(10万円ではない)が上限です。
- 選択肢 2不正解
- 現物給与とされる経済的利益(資産の低額譲受や社宅の貸与等による利益)は、原則として給与所得の収入金額に算入されます。
- 選択肢 3不正解
- 給与所得者の特定支出控除の適用を受けるためには、確定申告書を提出しなければならず、年末調整において適用を受けることはできません。
- 選択肢 4正解
- 給与収入900万円で23歳未満の扶養親族を有する場合、(900万円-850万円)×10%=5万円が所得金額調整控除額として給与所得の金額から控除されます。
覚えるポイント
- 通勤手当の非課税限度額は月額15万円です。
- 所得金額調整控除(子ども等)は(給与収入上限1,000万円-850万円)×10%です。
間違えやすいところ
- 特定支出控除は年末調整ではなく確定申告が必要である点を見落としやすいです。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種所得の金額および総所得金額の計算
タックスプランニング · 給与所得 / 譲渡所得 / 不動産所得 / 一時所得 / 損益通算 / 土地取得負債利子
Aさん(居住者)の2022年分の各種所得の収入金額等が下記のとおりであった場合の総所得金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 ・給与所得:収入金額850万円、給与所得控除額195万円 ・譲渡所得(上場株式の譲渡):総収入金額200万円、取得費・譲渡費用260万円 ・不動産所得(賃貸アパート経営):総収入金額200万円、必要経費240万円(土地取得に係る負債利子40万円を含む) ・一時所得(満期保険金:保険期間20年):総収入金額1,100万円、支出金額1,000万円
解答・解説を表示
解答
3
解説
総所得金額を計算する際は、総合課税の対象となる各所得を算出し、損益通算の特例(不動産所得の損失のうち土地取得のための負債利子に相当する部分は損益通算の対象外)を適用し、一時所得の2分の1を合算します。
解き方
- 給与所得金額を算出する:850万円-195万円=655万円。
- 不動産所得の損失と通算制限を計算する:200万円-240万円=▲40万円の損失。この損失全額が土地取得負債利子(40万円)に起因するため、損益通算できる損失額は0円となる。
- 一時所得金額および総所得金額算入額を算出する:1,100万円-1,000万円-50万円(特別控除額)=50万円。総所得金額への算入は2分の1の25万円。
- 上場株式譲渡所得は申告分離課税のため総所得金額には含めない。
- 合算して総所得金額を算出する:655万円+25万円=680万円。
- 選択肢 1不正解
- 不動産所得の損失40万円を通算し、さらに一時所得の計算を誤ると620万円となりますが、不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 不動産所得の損失40万円をそのまま給与所得から損益通算してしまうと640万円となりますが、土地取得に要した負債利子相当額は損益通算できないため誤りです。
- 選択肢 3正解
- 給与所得655万円+一時所得の2分の1(25万円)=680万円となり、最も適切です。
- 選択肢 4不正解
- 一時所得の2分の1を考慮せず50万円全額を合算した場合の金額(655万円+50万円=705万円)であり、誤りです。
覚えるポイント
- 不動産所得の損失のうち、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分は損益通算の対象外です。
- 一時所得の総所得金額への算入額は(総収入-支出金額-特別控除上限50万円)×1/2です。
間違えやすいところ
- 土地取得に係る負債利子を損益通算に含めて計算してしまうミスが頻出です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の配偶者控除および扶養控除
タックスプランニング · 所得控除 / 配偶者控除 / 老人控除対象配偶者 / 扶養控除 / 同居老親等 / 老人扶養親族
居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものはいくつあるか。なお、年齢はその年の12月31日現在の年齢であるものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
配偶者控除および扶養控除では、対象者の年齢(70歳以上は老人区分)や納税者・配偶者との同居の有無(直系尊属と同居している場合は同居老親等)によって控除額が異なります。
解き方
- (a) 納税者所得700万円以下かつ70歳以上の控除対象配偶者(老人控除対象配偶者)の控除額は48万円であるため適切と判定する。
- (b) 70歳以上の控除対象扶養親族で同居老親等以外(別居)の場合の控除額は48万円(38万円ではない)であるため不適切と判定する。
- (c) 配偶者の直系尊属(義母など)と同居している場合も「同居老親等」に該当し、控除額は58万円であるため適切と判定する。
- 適切な記述の個数が2つ(選択肢2)であることを導く。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)と(c)の2つあるため、1つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- (a)と(c)の2つが適切であるため、正解です。
- 選択肢 3不正解
- (b)が不適切であるため、3つすべてが適切とする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- (a)と(c)が適切であるため、0(なし)とする本選択肢は誤りです。
覚えるポイント
- 老人控除対象配偶者(70歳以上):48万円(所得900万円以下)。
- 老人扶養親族(70歳以上):同居老親等58万円、同居老親等以外48万円。
間違えやすいところ
- 同居老親等の範囲には、納税者本人の直系尊属だけでなく配偶者の直系尊属も含まれる点を見落としやすいです。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
住宅借入金等特別控除(2022年税制改正)
タックスプランニング · 住宅借入金等特別控除 / 控除期間 / 控除率 / 所得要件 / ZEH水準省エネ住宅
2022年中に新築住宅を取得し、同月中に入居した居住者が適用を受ける住宅借入金等特別控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
2022年度税制改正により、新築住宅等の住宅ローン控除は控除率が0.7%、控除期間が最長13年間に見直され、適用対象となる納税者の合計所得金額の上限が従来の3,000万円以下から2,000万円以下へと引き下げられました。
解き方
- 2022年入居の新築住宅における控除期間(最長13年)と控除率(0.7%)を確認する。
- 住宅の種類ごとの借入限度額(認定長期優良住宅は5,000万円=最大35万円、ZEH水準は4,500万円=最大31.5万円)を確認する。
- 納税者の合計所得金額要件が2,000万円以下に改正されたことを確認し、選択肢4を不適切と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 2022年に新築住宅を取得して入居した場合、住宅借入金等特別控除の控除期間は最長13年間です。
- 選択肢 2不正解
- 認定長期優良住宅の借入限度額は5,000万円であり、5,000万円×0.7%=最大35万円となります。
- 選択肢 3不正解
- ZEH水準省エネ住宅の借入限度額は4,500万円であり、4,500万円×0.7%=最大31万5,000円となります。
- 選択肢 4正解
- 2022年以後の入居における住宅借入金等特別控除の所得要件は、合計所得金額が「2,000万円以下」(旧要件の3,000万円以下から引き下げ)とされています。
覚えるポイント
- 2022年改正後の住宅ローン控除:控除率0.7%、新築の控除期間13年、所得要件2,000万円以下。
間違えやすいところ
- 改正前の合計所得金額要件(3,000万円以下)と混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ふるさと納税(寄附金控除・ワンストップ特例)
タックスプランニング · ふるさと納税 / 寄附金控除 / ワンストップ特例制度 / 自己負担額 / 返礼品の課税
ふるさと納税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
地方自治体に対する寄附金(ふるさと納税)は、原則として適用下限額(自己負担額)である2,000円を超える部分について、一定の限度額まで所得税および個人住民税から全額控除されます。
解き方
- ふるさと納税の自己負担額(適用下限額)が2,000円であることを確認する。
- 選択肢1の「5,000円を超える金額」という記述が誤りであることを特定する。
- 選択肢 1正解
- ふるさと納税において控除の対象となるのは、原則として寄附額のうち「2,000円」(5,000円ではない)を超える金額です。
- 選択肢 2不正解
- ワンストップ特例制度は、寄附先自治体が住所地の自治体へ申告特例通知書を送付することで確定申告なしに控除を受けられる制度です。
- 選択肢 3不正解
- ワンストップ特例を適用した場合、所得税からの還付・控除は行われず、所得税控除相当額を含めた全額が翌年度の住民税(翌年6月以降納付分)から減額されます。
- 選択肢 4不正解
- 自治体から受け取る謝礼としての返礼品の経済的利益は、法人からの贈与とみなされ、一時所得(総合課税)として扱われます。
覚えるポイント
- ふるさと納税の自己負担額は2,000円です。
- ワンストップ特例利用時は翌年度住民税から一括して控除されます。
間違えやすいところ
- 返礼品の経済的利益は非課税ではなく「一時所得」に該当する点に注意が必要です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の地方税法および所得税法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における減価償却資産の取扱いと耐用年数
タックスプランニング · 少額減価償却資産 / 中小企業者等の特例 / 資本的支出と修繕費 / 中古資産の見積耐用年数
法人税の減価償却等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人はいずれも製造業を営む内国法人(普通法人)であるものとし、当期とは2022年4月1日から2023年3月31日までの事業年度であるものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
法人が事業の用に供した中古資産の耐用年数は、法定耐用年数ではなく、取得後の使用可能期間を合理的に見積もった年数(困難なときは簡便法による年数)を適用することが認められています。
解き方
- 少額減価償却資産の損金算入制度(取得価額10万円未満)における貸付資産(主要な事業を除く)の除外要件(2022年度税制改正)を確認する。
- 中小企業者等の少額減価償却資産の特例要件(従業員数500人以下等)を確認する。
- ソフトウェアの現状維持費用の修繕費判定を確認する。
- 中古資産の耐用年数の原則が見積り年数であることを確認し、選択肢4を適切と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 2022年度税制改正により、取得価額が10万円未満であっても、主要な事業として行われるもの以外の「貸付の用に供した資産」については、取得価額全額を損金算入する制度の対象から除外されました。
- 選択肢 2不正解
- 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例において、対象となる中小企業者は常時使用する従業員の数が「500人以下」(1,000人ではない)の法人に限定されています。
- 選択肢 3不正解
- プログラムの機能上の障害の除去や現状の効用の維持等に要した費用は「修繕費」に該当するため、支出時の損金の額に算入することができます(資本的支出ではありません)。
- 選択肢 4正解
- 事業の用に供した中古資産の耐用年数は、原則として事業の用に供した時以後の使用可能期間として合理的に見積もられた年数とすることができます(資本的支出が再取得価額の50%超等の例外を除く)。
覚えるポイント
- 中古資産の耐用年数は原則として「使用可能期間の見積年数」です。
- 中小企業の少額減価償却資産特例の従業員基準は500人以下です。
間違えやすいところ
- 少額減価償却資産の即時損金算入から「主要事業以外の貸付資産」が除外された2022年度改正を見落とさないようにしてください。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法人税法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
消費税の制度と手続
タックスプランニング · 消費税 / 簡易課税制度 / 確定申告
消費税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
消費税の簡易課税制度ではみなし仕入率を用いて仕入控除税額を計算しますが、特定事業の売上割合が75%以上の場合は簡便計算の特例が認められています。また簡易課税による還付請求は認められず、申告期限等の手続規定も所得税や法人税とは異なる固有のルールが設けられています。
解き方
- 簡易課税制度における控除対象仕入税額の計算ルールおよび還付可否の規定を確認する。
- 個人および法人の消費税確定申告書の提出期限・延長特例の要件と照合して適切肢を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 簡易課税制度においては、仕入控除税額を「課税売上に係る消費税額×みなし仕入率」により算出するため、計算上マイナスとなることはなく、消費税の還付を受けることはできません。
- 選択肢 2正解
- 2種類以上の事業を営む事業者が簡易課税制度を適用する場合、特定の1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占めるときは、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上に適用することができます。
- 選択肢 3不正解
- 個人事業者の消費税の確定申告書の提出期限および納期限は、原則としてその年の翌年3月31日までです(所得税の3月15日とは異なります)。
- 選択肢 4不正解
- 法人が消費税の確定申告書の提出期限の特例の適用を受ける届出書を提出した場合、延長される期限は事業年度終了の日の翌日から「1カ月以内」です。2カ月ではありません。
覚えるポイント
- 簡易課税の75%ルールにより1種類のみなし仕入率を全体に適用可能
- 個人事業者の消費税確定申告期限は翌年3月31日
間違えやすいところ
- 個人の所得税申告期限(3月15日)と消費税申告期限(3月31日)を混同しやすい。
- 法人税の申告期限延長特例と消費税の申告期限延長特例の延長月数を混同しやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の消費税法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産登記の効力
不動産 · 不動産登記法 / 対抗力 / 公信力 / 借地借家法
不動産登記の効力に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
不動産登記は物権変動を第三者に対抗するための対抗要件(民法177条)ですが、日本の不動産登記制度には公信力はありません。また仮登記には順位保全効はあるものの対抗力はなく、本登記を行うことで順位が保全されます。借地権については借地借家法により建物登記による対抗要件の具備が認められています。
解き方
- 不動産の対抗要件主義、公信力の有無、仮登記の効力について法令上の位置付けを確認する。
- 借地借家法における借地権の対抗要件の特則(建物登記)と照合して適切肢を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 不動産の二重譲渡があった場合、先に所有権移転登記を備えた第三者が優先するため、登記を有しない当初の買主は第三者に対抗できません。
- 選択肢 2不正解
- 日本の現行法制では不動産登記に公信力は認められていないため、登記を信頼して取引した善意無過失の買主であっても真の権利者からの返還請求等を原則として拒むことはできません。
- 選択肢 3不正解
- 仮登記には後日行う本登記の順位をあらかじめ保全する「順位保全の効力」はありますが、これ自体に対抗力はありません。対抗力を生じさせるには本登記をする必要があります。
- 選択肢 4正解
- 借地借家法第10条の規定により、土地の借地権自体の登記がなくても、その土地上にある借地権者名義の登記建物(表題登記でも可)を所有していれば第三者に対抗できます。
覚えるポイント
- 不動産登記に公信力はない(対抗力はある)
- 借地権は地上に自己名義の登記建物があれば第三者に対抗可能
間違えやすいところ
- 仮登記に対抗力まで認められていると誤認しやすい。
- 登記を信じた善意無過失者が常に保護される(公信力がある)と誤解しやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の民法および借地借家法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産売買における手付金
不動産 · 宅地建物取引業法 / 解約手付 / ローン特約
不動産の売買取引における手付金に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 宅地建物取引業者が自ら売主となる不動産の売買契約において、買主が宅地建物取引業者でない法人の場合、売主の宅地建物取引業者は、売買代金の額の2割を超える手付金を受領することができる。 (b) 不動産の売買契約において買主が売主に手付金を交付した場合、買主が契約の履行に着手する前であれば、売主はその倍額を買主に対して現実に提供することで、契約を解除することができる。 (c) いわゆるローン特約(融資特約)が付された不動産売買契約において、買主が同特約によって契約を解除する場合、通常、売主に交付した手付金は放棄しなければならず、手付金の返還を受けることはできない。
解答・解説を表示
解答
1
解説
宅地建物取引業法では宅建業者が自ら売主となり非業者(一般法人を含む)が買主となる場合の代金の2割を超える手付金の受領制限を定めています。民法の解約手付においては相手方が履行に着手する前であれば売主は倍額の現実行使により解除できます。ローン特約による解除は契約解除に伴いペナルティなしで手付金全額が返還されるのが原則です。
解き方
- 宅建業法自ら売主規制の適用範囲(買主が宅建業者でない法人の場合の扱い)を判定する。
- 手付倍返しによる手付解除の要件(相手方の履行着手前、現実の提供)を確認する。
- ローン特約解除の効果(手付金返還義務の有無)を確認し、適切な記述の数を数える。
- 選択肢 1正解
- 適切な記述は(b)の1つだけであるため、選択肢1が正解です。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は(b)の1つのみであるため、2つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は(b)の1つのみであるため、3つとする本肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述が(b)の1つ存在するため、0(なし)とする本肢は誤りです。
覚えるポイント
- 自ら売主規制は買主が「宅建業者」でない限り、一般の法人にも適用される(2割制限あり)
- ローン特約による解除はペナルティなく手付金全額が返還される
間違えやすいところ
- 買主が法人であれば宅建業法の自ら売主制限(手付金2割制限)が適用除外になると誤認しやすい。
- ローン特約解除を手付解除と混同して手付金が戻らないと誤解しやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の宅地建物取引業法および民法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
都市計画法の区域区分と地域地区
不動産 · 都市計画法 / 市街化区域 / 市街化調整区域 / 準都市計画区域
都市計画法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
都市計画法において、都市計画区域は市街化区域・市街化調整区域・非線引き区域に区分されます。都市計画区域外であっても乱開発等を防止するため都道府県が「準都市計画区域」を指定することができ、準都市計画区域内であっても必要に応じて用途地域や高度地区などの一定の地域地区を定めることが可能です。
解き方
- 都市計画区域(市街化区域・市街化調整区域等)の定義および用途地域の指定基準を確認する。
- 準都市計画区域の指定権者・要件および区域内で定めることができる地域地区の規定と照合して不適切肢を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 都市計画法第7条第2項・第3項の規定どおり、市街化区域は既成市街地および概ね10年以内に優先的・計画的に市街化を図るべき区域、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域です。
- 選択肢 2不正解
- 都市計画法第13条第1項等の規定により、市街化区域には必ず用途地域を定め、市街化調整区域には原則として定めず、非線引き都市計画区域には必要に応じて定めることができます。
- 選択肢 3不正解
- 都市計画法第5条の2第1項の規定どおり、都市計画区域外において放置すれば開発・保全等に支障が生じるおそれがある区域につき、都道府県が準都市計画区域として指定します。
- 選択肢 4正解
- 準都市計画区域内であっても、用途地域、高度地区、景観地区、風致地区などの地域地区を定めることができます。「定めることができない」とする記述は誤りです。
覚えるポイント
- 準都市計画区域でも用途地域や高度地区、景観地区などの指定が可能
- 準都市計画区域は都道府県が指定する
間違えやすいところ
- 都市計画区域外=地域地区を一切指定できないと勘違いしやすい。
- 市街化区域と市街化調整区域における用途地域の指定義務・原則非指定のルールを取り違えやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の都市計画法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生産緑地および特定生産緑地
不動産 · 生産緑地法 / 特定生産緑地 / 相続税の納税猶予 / 固定資産税
生産緑地法に規定する生産緑地および特定生産緑地に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
生産緑地は都市計画決定から30年経過等により市町村長への買取り申出が可能となり、3カ月以内に買い取られない場合は行為制限が解除されます。2017年改正で導入された特定生産緑地に指定されると買取り申出可能時期が10年延長され農地課税等の優遇が継続します。指定されなかった場合の宅地並み課税への移行激変緩和措置は5年間です。
解き方
- 生産緑地の買取り申出要件と行為制限解除のルール(3カ月ルール)を確認する。
- 納税猶予特例の中途解除時の納税義務および特定生産緑地の延長年数(10年)を確認する。
- 特定生産緑地に非指定の生産緑地に対する固定資産税の激変緩和措置期間を確認し誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 生産緑地法第14条等の規定により、申出基準日以後に買取りの申出を行い、申出から3カ月以内に買い取られない場合は建築等の行為制限が解除されます。
- 選択肢 2不正解
- 相続税の納税猶予の適用を受けている生産緑地について買取り申出を行った場合、納税猶予の期限が確定するため、猶予税額と利子税を一括して納付しなければなりません。
- 選択肢 3不正解
- 生産緑地法第10条の2等の規定により、特定生産緑地に指定された場合、買取り申出可能期日は告示の日から30年経過日からさらに10年間延長されます。
- 選択肢 4正解
- 特定生産緑地に指定されなかった生産緑地が宅地並み課税に移行する際の激変緩和措置は、10年間ではなく「5年間」にわたって段階的に課税標準が引き上げられます。
覚えるポイント
- 生産緑地の買取り申出不成立による解除は3カ月
- 特定生産緑地の延長期間は10年
- 特定生産緑地非指定時の宅地並み課税激変緩和措置は5年
間違えやすいところ
- 特定生産緑地の指定延長期間(10年)と激変緩和措置期間(5年)の数字を取り違えやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の生産緑地法および地方税法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
区分所有法の決議要件
不動産 · 建物の区分所有等に関する法律 / 共用部分の変更 / 建替え決議 / 規約の変更
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)では、集会の決議事項ごとに特別多数決議の要件が定められています。規約の設定・変更・廃止や重大な共用部分の変更は各4分の3以上、建替え決議は各5分の4以上が必要です。また重大変更の「区分所有者の定数」のみ規約で過半数まで緩和できる特則が存在します。
解き方
- 小規模滅失の復旧、規約変更の決議要件(各4分の3以上)を判定する。
- 共用部分の重大変更の決議要件および規約による定数緩和規定(区分所有者定数を過半数まで減小可能)を確認する。
- 建替え不参加者に対する売渡請求権(賛成者が買取りを請求「できる」権利であり義務ではない)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 共用部分の小規模滅失(価格の2分の1以下)の場合、集会で復旧または建替えの決議がされる前であれば、各区分所有者は滅失した共用部分を自ら復旧することができます。
- 選択肢 2不正解
- 規約の設定・変更・廃止には、区分所有者および議決権の各「4分の3以上」の多数による集会の決議が必要です。3分の2ではありません。
- 選択肢 3正解
- 重大な共用部分の変更は区分所有者および議決権の各4分の3以上の集会決議が必要ですが、このうち「区分所有者の定数」に限って規約で過半数まで減ずることができます。
- 選択肢 4不正解
- 建替え決議に賛成した区分所有者等は、建替えに参加しない者に対し時価で売り渡すべきことを請求できる権利(売渡請求権)を有するのであり、買い取らなければならない義務を負うわけではありません。
覚えるポイント
- 共用部分の重大変更:各4分の3以上(区分所有者数のみ規約で過半数まで減縮可)
- 規約の設定・変更・廃止:各4分の3以上
- 建替え決議:各5分の4以上(賛成者は不参加者に売渡請求が可能)
間違えやすいところ
- 規約変更の要件を3分の2と誤認しやすい(正しくは4分の3以上)。
- 共用部分の重大変更において議決権割合まで過半数にできると誤解しやすい(頭数のみ緩和可能)。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の建物の区分所有等に関する法律
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
登録免許税の課税関係と特例
不動産 · 登録免許税 / 表題登記 / 相続登記の免税措置 / 住宅用家屋の軽減税率
登録免許税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
登録免許税法上、不動産の所在や現況を公示する表題登記は非課税です。所有権等の権利に関する登記に登録免許税が課されます。なお相続登記の数次相続免税措置は「死亡した者(被代襲者等)を名義人とする登記」が免税対象であり、少額土地免税の上限は100万円です。また住宅用家屋の所有権移転登記の軽減税率は売買・競落等に限定され贈与には適用されません。
解き方
- 表題登記と権利の登記における課税対象の区分を確認する。
- 相続による所有権移転登記の各種免税特例(中間省略に準ずる数次相続免税、100万円以下の少額土地免税)の対象を確認する。
- 住宅用家屋の軽減税率の適用原因(売買・競落に限られ、贈与は対象外)を確認し適切肢を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 数次相続における免税措置の対象となるのは、登記名義人となる前に死亡した「AさんからBさんへの所有権移転登記」であり、生存している相続人「Cさんへの所有権移転登記」は免税になりません。
- 選択肢 2不正解
- 相続による土地の所有権移転登記の免税措置において、固定資産税評価額の上限は100万円以下とされています。本問の土地は200万円であるため免税措置の適用は受けられません。
- 選択肢 3正解
- 建物を新築した際に行う所在や床面積等を記録する「建物の表題登記」には、登録免許税は課されません(所有権保存登記等の権利登記から課税されます)。
- 選択肢 4不正解
- 住宅用家屋の所有権移転登記に係る登録免許税の軽減税率(0.3%)は、「売買」または「競落」による取得に限られており、「贈与」による取得には適用されません(本則税率2.0%が適用されます)。
覚えるポイント
- 不動産の表題登記には登録免許税は課されない
- 住宅用家屋の軽減税率は売買・競落のみ適用(贈与・相続は対象外)
- 相続登記の少額土地免税限度額は評価額100万円以下
間違えやすいところ
- 表題登記にも登録免許税がかかると誤認しやすい。
- 住宅用家屋の軽減税率が贈与にも適用できると誤解しやすい。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の登録免許税法および租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産の譲渡所得に係る特例の併用関係
不動産 · 居住用財産の3,000万円特別控除 / 空き家の3,000万円特別控除 / 軽減税率の特例 / 特定の居住用財産の買換え特例
不動産の譲渡に係る各種特例の併用の可否に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢に記載されている特例について、それぞれ単独で適用を受けるとした場合に必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
居住用財産の譲渡に関する特例のうち、「自己の居住用財産の3,000万円特別控除」と「軽減税率の特例(所有期間10年超)」は併用が可能です。一方、「買換え特例」と「3,000万円特別控除」は選択適用であり併用できません。また「空き家3,000万円特別控除」と「相続税の取得費加算特例」も選択適用です。自己の居住用と空き家の特別控除を同一年に受ける場合は合算して3,000万円が上限です。
解き方
- 各選択肢に登場する特例同士の併用可否のルール(併用可能か選択適用か)を整理する。
- 自己の居住用財産特別控除と空き家特別控除の同一年併用時の控除限度額ルール(合算3,000万円限度)を確認し適切肢を決定する。
- 選択肢 1不正解
- 「被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除」と「相続税の取得費加算の特例」は選択適用であり、重複して適用を受けることはできません。
- 選択肢 2不正解
- 「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」と「軽減税率の特例(10年超所有)」は重複して併用適用を受けることができます。
- 選択肢 3正解
- 同一年に自己の居住用財産と被相続人の空き家を譲渡して両特別控除の適用を受ける場合、重複適用は可能ですが、両特例を合わせた特別控除の額は合計で3,000万円が限度となります。
- 選択肢 4不正解
- 「特定の居住用財産の買換えの特例」と「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」は選択適用関係にあり、同一の譲渡資産について重複して適用を受けることはできません。
覚えるポイント
- 3,000万円特別控除と10年超所有の軽減税率は併用可能
- 3,000万円特別控除と買換え特例は選択適用(併用不可)
- 空き家特例と自己居住用特例の併用時は合算3,000万円が上限
間違えやすいところ
- 3,000万円控除と軽減税率の特例が併用できることを失念しやすい。
- 空き家特例と相続税取得費加算が併用できると誤認しやすい(選択適用)。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
DCF法による不動産の収益価格の計算
不動産 · DCF法 / 収益還元法 / 現価係数
毎期末に1,000万円の純収益が得られる賃貸マンションを取得し、取得から3年経過後に1億6,000万円で売却する場合、DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法による当該不動産の収益価格として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、割引率は年6%とし、下記の係数表を利用すること。また、記載のない事項については考慮しないものとする。 〈年6%の各種係数〉 期間1年:現価係数 0.943、年金終価係数 1.000、資本回収係数 1.060 期間2年:現価係数 0.890、年金終価係数 2.060、資本回収係数 0.545 期間3年:現価係数 0.840、年金終価係数 3.184、資本回収係数 0.374
解答・解説を表示
解答
3
解説
DCF法による不動産の収益価格は、保有期間中に得られる毎期の純収益の現在価値の合計額と、保有期間満了時における復帰価格(売却価格)の現在価値を合計して算出します。
解き方
- 各期(1~3年目)の純収益1,000万円に各年の現価係数を乗じて現在価値を算出し合計します(1,000万円×0.943+1,000万円×0.890+1,000万円×0.840=2,673万円)。
- 3年経過後の売却想定価格1億6,000万円に3年目の現価係数を乗じて現在価値を算出します(1億6,000万円×0.840=1億3,440万円)。
- 純収益の現在価値合計と売却価格の現在価値を合算します(2,673万円+1億3,440万円=1億6,113万円)。
- 選択肢 1不正解
- 売却価格のみの現在価値(1億3,440万円)に近い誤った計算値であり、不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 年金現価係数の算出過程などで割引率の適用を取り違えた誤った計算値であり、不適切です。
- 選択肢 3正解
- 各年の純収益の現在価値合計2,673万円と3年後の売却額の現在価値1億3,440万円の和である1億6,113万円となり、適切です。
- 選択肢 4不正解
- 毎期の収益を現在価値に割り引かずに単純合算した数値などに起因する誤りであり、不適切です。
覚えるポイント
- DCF法では保有期間中の毎期の純収益と将来の売却価格(復帰価格)の両方を現在価値に割り引いて合計します。
間違えやすいところ
- 3年目の純収益と3年後の売却価格にそれぞれ同じ3年目の現価係数を乗じる点を見落としやすいので注意しましょう。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の不動産鑑定評価基準および法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法上の各種贈与契約の規定
相続・事業承継 · 定期贈与 / 負担付贈与 / 死因贈与
民法および相続税法における贈与に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
負担付贈与は受贈者に一定の法律上の義務を負わせる契約ですが、受贈者が履行する負担の相手方(利益を受ける者)は贈与者だけでなく第三者を指定することも可能です。
解き方
- 各選択肢の贈与契約の定義(定期贈与、負担付贈与、死因贈与)と民法・税法の規定を照合します。
- 負担付贈与(民法第553条等)では負担の受益者は贈与者に限られないため、選択肢2が不適切と判断します。
- 選択肢 1不正解
- 定期贈与は定期の給付を目的とする贈与であり、定期金に関する権利の価額が課税価格となるため適切です。
- 選択肢 2正解
- 受贈者の負担から利益を受ける者は贈与者に限定されず、第三者であってもよいため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 民法第551条第2項および第553条の規定により、負担の限度で売主と同様の担保責任を負い双務契約の規定が準用されるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 民法第554条の規定により、死因贈与についてはその性質に反しない限り遺贈に関する規定が準用されるため適切です。
覚えるポイント
- 負担付贈与における受贈者の負担利益の帰属先は贈与者以外(第三者)でも有効です。
間違えやすいところ
- 死因贈与は契約(単独行為ではない)ですが、効力発生が死亡時であるため遺贈の規定が準用されます。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の民法および相続税法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
贈与税の申告および納付の手続き
相続・事業承継 · 贈与税の申告 / 無申告加算税 / 延納 / 準確定申告
贈与税の申告および納付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
期限後申告であっても、調査の事前通知前かつ法定申告期限から1カ月以内に自発的に提出され、過去5年間に無申告加算税等を課されたことがない等の要件を満たす場合は無申告加算税が免除されます。
解き方
- 国税通則法上の期限後申告における無申告加算税の不適用要件(1カ月以内かつ事前通知前など)を確認します。
- 死亡した受贈者の贈与税申告期限は相続開始を知った日の翌日から「10カ月以内」、延納の担保不要要件は「100万円以下かつ延納期間3年以下」である点などの誤り肢を排除します。
- 選択肢 1正解
- 国税通則法の規定に基づき、調査通知前かつ期限後1カ月以内の自主的な提出等に該当する場合は無申告加算税が課されないため、適切です。
- 選択肢 2不正解
- 贈与税の申告義務者が提出前に死亡した場合、相続人は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に提出する必要があり、4カ月以内ではないため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 贈与税の延納で担保提供が不要とされるのは、延納税額が100万円以下で延納期間が3年以下の場合であり、200万円以下ではないため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 後発的事由が生じた場合等には法定申告期限から5年を経過した後であっても更正の請求が認められる特則が存在するため、「5年以内に限り」とする本記述は不適切です。
覚えるポイント
- 受贈者が申告前に死亡した場合の承継申告期限は、所得税の4カ月(準確定申告)と異なり「10カ月以内」です。
間違えやすいところ
- 延納の担保不要要件は、相続税(100万円以下かつ延納期間3年以下は不要を贈与税でも同等に適用、200万円は誤り)の金額と正確に区別しましょう。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の相続税法および国税通則法
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法上の配偶者居住権の要件と効力
相続・事業承継 · 配偶者居住権 / 共有建物 / 対抗要件 / 存続期間
民法における配偶者居住権に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
配偶者居住権は、被相続人の所有していた建物に無償で居住できる権利ですが、建物が被相続人と配偶者以外の第三者との共有であった場合には成立しません(第三者の権利保護のため)。
解き方
- 民法第1028条第1項ただし書を確認し、被相続人が配偶者以外の第三者と共有していた建物には配偶者居住権が成立しない旨を判断します。
- 存続期間(原則終身)、対抗要件(登記)、譲渡禁止と所有者の承諾による使用許可等の各規定が民法通り適切であることを確認します。
- 選択肢 1正解
- 民法第1028条第1項ただし書により、被相続人が配偶者以外の第三者と建物を共有していたときは配偶者居住権を取得できないため、不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 民法第1030条の規定により、配偶者居住権の存続期間は別段の定めがない限り終身とされるため、適切です。
- 選択肢 3不正解
- 民法第1031条第2項の規定により、配偶者居住権を第三者に対抗するためには登記が必要となるため、適切です。
- 選択肢 4不正解
- 民法第1032条の規定により、譲渡は不可ですが所有者の承諾を得れば第三者に使用・収益させることができるため、適切です。
覚えるポイント
- 配偶者以外の者と居住建物を共有していた場合、配偶者居住権は取得できません(夫婦共有の場合は取得可能)。
間違えやすいところ
- 配偶者居住権は譲渡できませんが、所有者の承諾を得て第三者に賃貸(使用)することは可能です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の民法第1028条~第1032条
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の申告義務が生じるケースの判定
相続・事業承継 · 相続税の申告義務 / 基礎控除額 / みなし相続財産 / 配偶者の税額軽減
次の各ケースのうち、相続人が相続税の申告をしなければならないものはいくつあるか。なお、各ケースにおいて、被相続人は2022年中に死亡し、相続人は配偶者と子の合計2人であるものとする。また、相続の放棄をした者はおらず、記載のない事項については考慮しないものとする。 (a) 相続開始時に被相続人が所有していた財産は2,000万円(相続税評価額)であるが、そのほかに、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約により配偶者が受け取った死亡保険金3,000万円がある場合 (b) 相続開始時に被相続人が所有していた財産は3,000万円(相続税評価額)であるが、2020年に子が被相続人から現金1,000万円の贈与を受け、相続時精算課税の適用を受けていた場合 (c) 相続開始時に被相続人が所有していた財産は7,000万円(相続税評価額)であるが、配偶者がすべての財産を相続により取得し、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受けることにより納付すべき相続税額が算出されない場合
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解答
1
解説
課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)以下であれば原則申告不要です。しかし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を適用した結果納付税額が0円になる場合は、申告書の提出が特例適用の要件とされているため申告が必要です。
解き方
- 基礎控除額を計算します:3,000万円+600万円×2人=4,200万円。
- (a) 生命保険金の非課税限度額(500万円×2人=1,000万円)を控除した後の課税価格は2,000万円+2,000万円=4,000万円≦4,200万円のため申告不要です。
- (b) 相続時精算課税適用財産1,000万円を加算した課税価格は3,000万円+1,000万円=4,000万円≦4,200万円のため申告不要です。
- (c) 課税価格7,000万円>基礎控除4,200万円であり、配偶者の税額軽減を適用して納付税額をゼロとするためには申告が必須です。したがって申告義務があるのは(c)の1つです。
- 選択肢 1正解
- 申告をしなければならないのは(c)のみの計1つであるため、適切です。
- 選択肢 2不正解
- 申告が必要なケースは2つではなく1つのみであるため、不適切です。
- 選択肢 3不正解
- (a)および(b)は課税価格合計が基礎控除以下で申告不要であるため、3つとする本記述は不適切です。
- 選択肢 4不正解
- (c)の配偶者の税額軽減の適用を受けるには申告が必須であるため、0とする本記述は不適切です。
覚えるポイント
- 配偶者に対する相続税額の軽減や小規模宅地等の特例は、申告書の提出が適用の要件です。
間違えやすいところ
- 相続時精算課税適用財産がある場合でも、加算後の課税価格が遺産に係る基礎控除額以下であれば申告書の提出義務はありません。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の相続税法第15条、第19条の4、第27条
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
親族関係図に基づく相続分・2割加算・申告期限の判定
相続・事業承継 · 法定相続分 / 二重の資格 / 相続税額の2割加算 / 相続税申告期限
下記は、2022年8月22日(月)に死亡したAさんの親族関係図である。Aさんの相続に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。なお、長男Bさん、長女Cさん、孫Eさん、孫Fさん、母Gさん、弟Hさんは、Aさんから相続または遺贈により財産を取得し、相続税額が算出されるものとする。 【親族関係】 ・被相続人:Aさん(配偶者は既に死亡、父は既に死亡、母Gさん生存、弟Hさん生存) ・子:長男Bさん、長女Cさん、二女Dさん(既に死亡) ・孫Eさん(長男Bさんの子、Aさんの普通養子) ・孫Fさん(二女Dさんの子、Aさんの普通養子) (a) 孫Fさんの法定相続分は、4分の1である。 (b) 母Gさんは、相続税額の2割加算の対象ではない。 (c) 相続税の申告書の提出期限は、原則として、2023年5月22日(月)である。
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解答
1
解説
養子が被相続人の直系卑属を代襲して相続人となった場合、代襲相続人と養子の双方の相続資格(二重の資格)を有します。また、被相続人の一親等の血族(父母等)は相続税額の2割加算の対象外です。
解き方
- (a) 孫Fさんは養子(1/5)と代襲相続人(1/5)の二重の資格を有し法定相続分は2/5となるため、1/4とする記述は誤りです。
- (b) 母Gさんは被相続人の一親等の血族であるため、2割加算の対象外とされ適切です。
- (c) 相続税申告書の提出期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から「10カ月以内」であるため、2023年6月22日となり、2023年5月22日は誤りです。適切なのは(b)の1つです。
- 選択肢 1正解
- (b)のみが適切であり、適切なものは1つであるため正解です。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は(b)の1つのみであるため、2つとする本記述は不適切です。
- 選択肢 3不正解
- (a)および(c)が不適切であるため、3つとする本記述は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- (b)が適切であるため、0(なし)とする本記述は誤りです。
覚えるポイント
- 被相続人の一親等の血族(父母・子)は、相続税額の2割加算の対象から除外されます。
間違えやすいところ
- 相続税の申告期限は「知った日の翌日から10カ月以内」です。9カ月や所得税準確定申告の4カ月と混同しないようにしましょう。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の民法および相続税法第18条、第27条
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配当還元方式による取引相場のない株式の評価額計算
相続・事業承継 · 取引相場のない株式 / 配当還元方式 / 資本金等の額
下記の〈X社の配当金額等のデータ〉に基づき計算したX社株式の1株当たりの配当還元価額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 〈X社の配当金額等のデータ〉 ・直前期の年配当金額:70万円 ・直前々期の年配当金額:50万円 ・直前期末の資本金等の額:1,000万円 ・直前期末の発行済株式数:2万株
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解答
2
解説
配当還元価額は、1株(50円換算)当たりの年間配当金額を10%で還元し、これに当該株式の1株当たりの資本金等の額を50円で除した割合を乗じて計算します。なお、1株当たりの年間配当額が2円50銭未満の場合は2円50銭とみなします。
解き方
- 直前2年の平均年間配当金額を計算します:(70万円+50万円)÷2=60万円。
- 1株当たりの資本金等の額を求めます:1,000万円÷2万株=500円。
- 50円ベースでの発行済株式数を計算します:1,000万円÷50円=20万株。
- 1株(50円)当たりの年配当金額を算出します:60万円÷20万株=3円(2円50銭以上なので3円のまま)。
- 配当還元価額を求めます:(3円÷10%)×(500円÷50円)=30円×10=300円。
- 選択肢 1不正解
- 年配当金額の下限値である2円50銭を用いて計算した場合の誤った数値(25円×10=250円)であり、不適切です。
- 選択肢 2正解
- 平均配当額3円を基礎として計算した1株当たり配当還元価額は300円となり、適切です。
- 選択肢 3不正解
- 資本金等の額の比率換算(500円/50円)を誤って桁を違えた計算値であり、不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 1株当たりの配当額をそのまま50円ベースに直さずに10倍乗じるなど、計算の桁を取り違えた誤りであり、不適切です。
覚えるポイント
- 配当還元価額の算式:(年配当金額/10%) × (1株当たりの資本金等の額/50円)。
間違えやすいところ
- 平均年配当金額が2円50銭未満のときは2円50銭に切り上げますが、2円50銭以上のときは実際の金額を用います。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の財産評価基本通達188-2
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
特定の評価会社(株式保有特定会社等)の判定と評価方法
相続・事業承継 · 特定の評価会社 / 株式等保有特定会社 / 土地保有特定会社 / 配当還元方式
取引相場のない株式の相続税評価における特定の評価会社に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
特定の評価会社は、一般の評価会社と異なり類似業種比準方式の適用が制限されます。総資産に占める株式等の割合が50%以上の会社は、会社の業種や規模区分に関係なく株式等保有特定会社に分類されます。
解き方
- 土地保有特定会社の判定基準を確認します(大会社は70%以上、中会社・小会社は90%以上であるため中会社が70%以上では該当せず選択肢1は誤り)。
- 株式等保有特定会社は業種・規模を問わず株式等保有割合50%以上で該当することを確認し、選択肢2が適切と判断します。
- 開業後3年未満の会社は同族株主等以外なら配当還元方式が使えること、休業中の会社は同族株主等以外であっても純資産価額方式で評価することから、選択肢3・4を排除します。
- 選択肢 1不正解
- 土地保有特定会社の判定割合は、大会社が70%以上、中会社および小会社は90%以上であるため、中会社で70%以上とする本記述は不適切です。
- 選択肢 2正解
- 総資産価額に占める株式等の価額の割合が50%以上である会社は、業種や会社の規模区分にかかわらず株式等保有特定会社に該当するため、適切です。
- 選択肢 3不正解
- 開業後3年未満の会社であっても、同族株主以外の株主等が取得した場合は配当還元方式によって評価できるため、不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 休業中の会社については、取得者が同族株主以外の株主等であっても配当還元方式は適用されず、純資産価額方式で評価するため不適切です。
覚えるポイント
- 株式等保有特定会社は全規模で50%以上。休業中の会社は株主を問わず純資産価額方式で評価します。
間違えやすいところ
- 土地保有特定会社の中会社の判定基準は「70%」ではなく「90%」です(大会社のみ70%)。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の財産評価基本通達189
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の減額特例の適用要件
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 特定居住用宅地等 / 貸付事業用宅地等 / 老人ホーム入所
「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
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解答
3
解説
小規模宅地等の特例は、居住用や事業用の宅地について評価額を最大80%(貸付事業用は50%)減額する制度です。取得者の属性(配偶者、同居親族、家なき子等)や利用形態、構築物の有無など厳格な適用要件が定められています。
解き方
- 同居親族が取得する場合、被相続人から見て親族(内縁関係を除く)であれば適用可能であり、自己所有家屋の居住歴が問われるのは別居親族(いわゆる家なき子)のみであることを確認します。
- 貸付事業用宅地等において、駐車場や駐輪場はアスファルト舗装等の構築物がある場合には対象となり得るため、一律に対象外ではないことを判定します。
- 選択肢 1不正解
- 相続開始直前に被相続人と同居していた親族が取得する場合、申告期限までの居住継続・所有継続等の要件を満たせば特定居住用宅地等に該当します。3年以内の持家居住制限が課されるのは同居していない親族(家なき子)のみです。
- 選択肢 2不正解
- 特定居住用宅地等の適用対象となるのは、被相続人の親族(配偶者、6親等内の血族、3親等内の姻族)に限られます。内縁の配偶者は法律上の親族に該当しないため、遺贈により取得しても本特例の適用は受けられません。
- 選択肢 3正解
- 駐車場業や自転車駐車場業の用に供されている宅地であっても、アスファルト舗装や車止めラック等の構築物が設置され、相当の対価を得て継続的に貸し付けられている場合は貸付事業用宅地等に該当し得ます。設備状況等を問わず一律に対象外とする本問は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 被相続人が要介護認定または要支援認定等を受けて老人ホーム等に入所したことにより空家となった場合でも、入所直前に同居していた親族が引き続き居住して相続により取得すれば、所定の要件を満たすことで特定居住用宅地等の適用を受けられます。
覚えるポイント
- 同居親族が特定居住用宅地等の適用を受ける場合、持家所有要件はなく居住・所有の継続要件を満たせばよいです。
- 駐車場や駐輪場が貸付事業用宅地等となるには、アスファルト等の構築物の存在が必要です。
間違えやすいところ
- 家なき子特例(別居親族)の持ち家なし要件を、同居親族の要件と混同しないように注意が必要です。
- 内縁の配偶者には民法上の相続権がなく、親族でもないため小規模宅地等の特例も適用できない点に留意します。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
会社法における株式交付制度
相続・事業承継 · 株式交付 / 会社法 / 組織再編 / 反対株主の株式買取請求権
会社法における株式交付制度(以下「本制度」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、買収会社をX社、被買収会社をY社とする。
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解答
4
解説
株式交付制度は、株式会社が他の株式会社を自らの「子会社」(議決権の過半数を有する会社)とするために、その相手方の株式を譲り受け、対価として自社の株式等を交付する組織再編手法です。既存子会社株式の買い増しや外国企業の子会社化には利用できません。
解き方
- 株式交付の定義(対象会社が国内の株式会社であること、新たに子会社化する目的であること)を確認し、外国会社や既存子会社の追加取得の可否を判定します。
- 手続上の特則(検査役の調査免除など)および親会社の株主保護手続き(株主総会特別決議、反対株主の株式買取請求権)の規定を適用して正誤を判断します。
- 選択肢 1不正解
- 株式交付の対象となる「株式交付子会社」は、日本国内の株式会社に限られます。外国会社(外国法人)や持分会社を株式交付子会社とすることはできません。
- 選択肢 2不正解
- 株式交付制度は、他の株式会社を新たに自社の「子会社」(議決権の過半数)とするために創設された制度です。すでに議決権の過半数を保有している既存子会社の株式を追加取得する目的で本制度を利用することはできません。
- 選択肢 3不正解
- 株式交付は機動的なM&Aを促進するために設けられたため、現物出資に関する裁判所選任の検査役の調査や、取締役の財産価額填補責任の規定は適用除外(免除)とされています。
- 選択肢 4正解
- 株式交付親会社の株主総会等において株式交付に反対した株主等は、会社法第816条の6に基づき、原則として親会社に対して自己の保有する株式を公正な価格で買い取ることを請求できます。
覚えるポイント
- 株式交付子会社になれるのは国内の株式会社のみで、外国企業や合同会社などは対象外です。
- 株式交付は「新たに子会社化する」ための制度であり、既存子会社の株式の買い増しには利用できません。
間違えやすいところ
- 株式交換と混同しがちですが、株式交付は100%完全子会社化でなくとも過半数の子会社化を目的として自社株を対価にできる制度です。
- 現物出資の一般的な規制(検査役調査・填補責任)が株式交付にも課されると誤解しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2022年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.1(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年9月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年9月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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