日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年1月 1級 学科(応用編)の概要
65歳未満の老齢年金・繰上げ支給・雇用保険給付
ライフプランニングと資金計画 · 特別支給の老齢厚生年金 / 老齢年金の繰上げ受給 / 高年齢雇用継続給付
MさんがAさん夫妻に対して説明した、65歳未満の者に対する公的年金制度からの老齢給付および雇用保険からの給付に関する文章の空欄①〜⑤に入る適切な語句または数値を答えなさい。
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解答
① 10(年) ② 63(歳) ③ 14.4(%) ④ 高年齢雇用継続基本給付金 ⑤ 15(%)
解説
特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢は生年月日および性別により段階的に引き上げられており、年金の繰上げ支給減額率は2022年4月の法改正で1月あたり0.4%へ改定されました。また高年齢雇用継続給付は60歳以降の賃金低下割合に応じて支給率が算定されます。
解き方
- 受給資格期間(10年)および女性の生年月日に対応する特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢を確認します。
- 繰上げ受給の改正後減額率(月0.4%)に繰上げ月数(36カ月)を乗じて全体の減額率を求めます。
- 雇用保険の在職者向け給付名称と、賃金低下率が61%未満の場合の最高支給率(15%)を特定します。
答えの内訳
- ①:10(年)
- 特別支給の老齢厚生年金の受給資格期間は、老齢基礎年金と同様に原則として10年(120月)以上が必要です。
- ②:63(歳)
- 女性の厚生年金被保険者の場合、1962年(昭和37年)5月生まれ(1962年4月2日〜1964年4月1日生まれ)の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢は63歳です。なお男性の1962年9月生まれは支給対象外となります。
- ③:14.4(%)
- 2022年4月1日以後に60歳に達する者の年金の繰上げ減額率は月0.4%です。62歳0カ月で繰上げ請求する場合、繰上げ月数は36カ月(3年分)となるため、減額率は36月×0.4%=14.4%となります。
- ④:高年齢雇用継続基本給付金
- 雇用保険の一般被保険者として勤務を継続し、60歳以後の賃金が60歳到達時に比べて75%未満に低下したときに受給できる給付は、高年齢雇用継続基本給付金です。
- ⑤:15(%)
- 高年齢雇用継続基本給付金の支給額は、各月に支払われた賃金額の低下率が61%未満となった場合、その月に支払われた賃金額の15%(上限額等の制限あり)となります。
覚えるポイント
- 特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢は女性が男性より5年遅れて引き上げられています。
- 2022年4月1日以降に60歳に到達する者の繰上げ減額率は月0.4%(最大24%)です。
間違えやすいところ
- 改正前の繰上げ減額率0.5%(36月×0.5%=18.0%)と混同しないよう注意が必要です。
- 再就職手当を受給して再就職した者向けの「高年齢再就職給付金」と継続雇用向けの「高年齢雇用継続基本給付金」を混同しないようにします。
出題の前提:2021年10月1日施行の法令等および問題文中に示された2022年4月1日改正施行基準
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
老齢基礎年金および老齢厚生年金の年金額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 加給年金
Aさんが定年後、X社の継続雇用制度を利用して厚生年金保険の被保険者として同社に勤務し、65歳で退職して再就職しない場合について、Aさんが原則として65歳から受給できる老齢基礎年金および老齢厚生年金(本来水準)の年金額を計算しなさい(円単位、円未満四捨五入)。
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解答
① 730,467(円) ② 1,315,640(円)
解説
老齢基礎年金は20歳以上60歳未満の納付済月数等に応じて計算され、老齢厚生年金は報酬比例部分と経過的加算額の合計により算出されます。経過的加算は厚生年金被保険者期間(上限480月)を基礎として計算され、配偶者が既に65歳に達している場合は加給年金の加算対象外となります。
解き方
- Aさんの20歳以上60歳未満の保険料納付済月数(480月−学生未加入31月=449月)を算出し、老齢基礎年金額を計算します。
- 総報酬制導入前と導入後の各期間について標準報酬と乗率を乗じ、報酬比例部分の合計額を計算します。
- 被保険者月数上限480月に基づく定額部分から老齢基礎年金相当額を控除して経過的加算額を計算します。
- 妻の年齢から加給年金の該当有無を確認し、報酬比例部分と経過的加算額を合算して老齢厚生年金の額を求めます。
答えの内訳
- ①:730,467(円)
- 老齢基礎年金の額は、満額780,900円×(保険料納付済月数449月/480月)=730,466.875円となり、円未満四捨五入して730,467円となります。
- ②:1,315,640(円)
- 報酬比例部分は、300,000円×(7.125/1,000)×216月+500,000円×(5.481/1,000)×293月=461,700円+802,966.5円=1,264,666.5円(四捨五入で1,264,667円)。経過的加算額は、1,628円×480月−780,900円×(449月/480月)=781,440円−730,466.875円=50,973.125円(四捨五入で50,973円)。なお、Aさんの65歳到達時に妻Bさんは既に65歳以上であるため加給年金は加算されません。合計で1,264,667円+50,973円=1,315,640円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算の定額部分の乗ずる月数は480月が上限となります。
- 被保険者が65歳に達した時点で配偶者がすでに65歳以上である場合、配偶者加給年金は加算されません。
間違えやすいところ
- 厚生年金の全被保険者期間509月をそのまま経過的加算の定額部分の計算月数に使ってしまうミス(480月上限の適用忘れ)。
- Aさん本人が65歳に達した時点で妻がすでに65歳になっている点を見落として加給年金を加算してしまうミス。
出題の前提:2021年度(令和3年度)価額:老齢基礎年金満額780,900円、経過的加算単価1,628円
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
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65歳以後の公的年金給付と短時間労働者の社会保険適用
ライフプランニングと資金計画 · 在職老齢年金 / 振替加算 / 年金の繰下げ支給 / 短時間労働者の社会保険適用基準
MさんがAさん夫妻に対して説明した、65歳以後の公的年金制度からの老齢給付および短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用に関する次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 〈在職老齢年金〉 Ⅰ「Aさんが、65歳以後も引き続き厚生年金保険の被保険者としてX社に勤務し、かつ、65歳から老齢厚生年金を受給する場合、Aさんの老齢厚生年金の報酬比例部分の額に基づく基本月額と総報酬月額相当額との合計額が( ① )万円(支給停止調整額、2021年度価額)以下のときは調整が行われず、老齢厚生年金は全額支給されます」 〈妻Bさんが受給する老齢基礎年金への加算〉 Ⅱ「Aさんが65歳から老齢厚生年金を受給するようになると、妻Bさんの老齢基礎年金には、( ② )の額が加算されます。妻Bさんが( ② )を受けるためには、老齢基礎年金額加算開始事由該当届を提出する必要があります」 〈繰下げ支給〉 Ⅲ「Aさん夫妻が希望すれば、66歳以後、老齢基礎年金および老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をすることができます。仮に、Aさんが68歳0カ月で老齢基礎年金の繰下げ支給の申出をした場合の増額率は( ③ )%となります。なお、妻Bさんが老齢基礎年金の支給を繰り下げた場合、老齢基礎年金に加算される( ② )の額は増額されません」 〈短時間労働者に対する健康保険および厚生年金保険の適用〉 Ⅳ「1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が通常の労働者の( ④ )以上になった場合、健康保険および厚生年金保険の被保険者となります。また、妻Bさんがパートタイマーとして勤務している現在の事業所においては、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が通常の労働者の( ④ )未満であっても、1週間の所定労働時間が( ⑤ )時間以上であること、雇用期間が1年以上見込まれること、賃金の月額が( ⑥ )円(賞与、残業代、通勤手当等を除く)以上であること、学生でないことの要件をすべて満たした場合、妻Bさんは健康保険および厚生年金保険の被保険者となります」
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解答
① 47(万円) ② 振替加算 ③ 25.2(%) ④ 4分の3 ⑤ 20(時間) ⑥ 88,000(円)
解説
在職老齢年金制度では年金月額と給与水準に応じて年金額が支給停止され、繰下げ受給では1カ月あたり0.7%増額されます。また、被用者保険の適用拡大により特定事業所の要件を満たす短時間労働者にも加入義務が生じます。
解き方
- 在職老齢年金の支給停止基準額(2021年度価額:47万円)および老齢基礎年金に引き継がれる振替加算の仕組みを確認する。
- 繰下げ増額率(0.7%×繰下げ月数)を算定し、社会保険の原則適用(4分の3基準)と適用拡大の4要件(20時間以上、月額8.8万円以上等)を特定する。
答えの内訳
- ①:47(万円)
- 65歳以後に在職しながら受給する老齢厚生年金(高年齢再就職給付金を受給していない場合)は、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が支給停止調整額(2021年度価額は47万円)以下であれば全額支給されます。
- ②:振替加算
- 配偶者加給年金の対象となっている配偶者が65歳に達したとき、または受給権者本人が老齢厚生年金の受給権を取得した時点で配偶者がすでに65歳に達しているときは、配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」が行われます。
- ③:25.2(%)
- 老齢年金の繰下げによる増額率は「繰下げ月数×0.7%」です。65歳到達月から68歳0カ月までの繰下げ月数は36カ月となるため、36月×0.7%=25.2%となります。
- ④:4分の3
- 短時間労働者が一般被保険者となる基準(いわゆる4分の3基準)は、1週間の所定労働時間および1カ月の所定労働日数が、同一事業所で同種の業務に従事する通常の労働者の「4分の3」以上であることです。
- ⑤:20(時間)
- 特定適用事業所等に勤務する短時間労働者に対する社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用拡大要件の1つは、週の所定労働時間が「20時間」以上であることです。
- ⑥:88,000(円)
- 短時間労働者に対する社会保険適用拡大要件における所定内賃金の基準は、賞与や手当等を除いた賃金月額が「88,000円」(年収約106万円相当)以上であることです。
覚えるポイント
- 繰下げ増額率は月あたり+0.7%(最大75歳まで84%増額可能)。
- 短時間労働者の社会保険適用拡大要件:週20時間以上、月額8.8万円以上、雇用見込み、学生除外。
間違えやすいところ
- 繰上げ減額率(月0.4%または改正前0.5%)と繰下げ増額率(月0.7%)の混同。
- 振替加算と加給年金の受給主体の混同(加給年金は厚生年金被保険者本人に、振替加算は配偶者自身の基礎年金に加算)。
出題の前提:2021年10月1日現在施行法令(年金制度改正および社会保険適用基準)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の内在価値の計算(ゼロ成長モデル・定率成長モデル)
金融資産運用 · 配当割引モデル / ゼロ成長モデル / 定率成長モデル(ゴードンモデル) / サスティナブル成長率
MさんがAさんに対して説明した、株式の内在価値(理論株価)に関する次の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 Ⅰ「配当割引モデルでは、株式の内在価値は将来受け取る配当の現在価値の総和として計算されます。ある企業(以下、「Y社」という)のROEを12.0%、予想EPSを120円、株主の期待( ① )率を8.0%、負債はないものとした場合において、Y社が来期以降のEPSの全額を配当すると仮定した場合、Y社の理論株価は( ② )円になります。これをゼロ成長モデルと呼びます」 Ⅱ「配当金額が長期的に同じ率で成長をするという前提のもとで株式の内在価値を求める定率成長モデルという考え方もあります。来期以降、上記ⅠにおけるY社がEPSの4割を内部留保して再投資する場合(配当性向が6割の場合)、( ③ )率を期待成長率と仮定すれば、Y社の理論株価は( ④ )円になります。このケースにおいて、配当性向を上げると、( ③ )率は下がり、理論株価は低くなります」
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解答
① 利子(率) ② 1,500(円) ③ サスティナブル成長(率) ④ 2,250(円)
解説
配当割引モデル(DDM)は将来期待される配当の現在価値合計を株価とし、配当が一定なら「配当÷割引率」、一定率で成長するなら「来期配当÷(割引率-成長率)」で理論株価を求めます。
解き方
- ゼロ成長モデルに基づき、EPS全額配当時の配当額(120円)を期待利子率(8%)で除して理論株価を求める(120÷0.08=1,500円)。
- 内部留保率(40%)とROE(12%)からサスティナブル成長率を計算する(12%×0.4=4.8%)。
- 配当額(120円×0.6=72円)を求め、定率成長モデル(ゴードン・モデル)の算式「72÷(0.08-0.048)」により理論株価2,250円を算出する。
答えの内訳
- ①:利子(率)
- 配当割引モデルにおいて将来の配当を現在価値に割り引くために用いられる割引率は、投資家が期待する収益率であり、「株主の期待利子率」(期待収益率または資本コスト)と呼ばれます。
- ②:1,500(円)
- ゼロ成長モデルの理論株価=予想配当(D)÷期待利子率(r)です。予想EPS 120円の全額を配当するためD=120円、r=8.0%(0.08)となり、120円÷0.08=1,500円となります。
- ③:サスティナブル成長(率)
- 外部からの資本調達を行わずに内部留保の再投資のみによって達成可能な長期成長率は「サスティナブル成長率(ROE×内部留保率)」と呼ばれます。
- ④:2,250(円)
- サスティナブル成長率 g = ROE × 内部留保率 = 12.0% × 0.4 = 4.8%。来期予想配当 D = EPS 120円 × 配当性向 0.6 = 72円。定率成長モデルの理論株価 = D ÷ (r - g) = 72円 ÷ (0.08 - 0.048) = 72円 ÷ 0.032 = 2,250円となります。
覚えるポイント
- ゼロ成長モデル:理論株価 = D ÷ r
- サスティナブル成長率 = ROE × 内部留保率 = ROE × (1 - 配当性向)
- 定率成長モデル(ゴードンモデル):理論株価 = D1 ÷ (r - g)
間違えやすいところ
- サスティナブル成長率の計算で配当性向と内部留保率を取り違える誤り。
- 定率成長モデルの分子にEPSそのものを代入し、配当性向を乗じるのを忘れるミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行法令・ファイナンス理論に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
固定長期適合率およびインタレスト・カバレッジ・レシオの計算
金融資産運用 · 財務分析 / 固定長期適合率 / インタレスト・カバレッジ・レシオ
設例の〈X社の財務データ等〉に基づいて、①固定長期適合率と②インタレスト・カバレッジ・レシオをそれぞれ求めなさい。なお、計算過程を示し、表示単位の小数点以下第3位を四捨五入して小数点以下第2位まで解答すること。
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解答
① 88.21% ② 5.55倍
解説
固定長期適合率は固定資産がどれだけ長期資金(自己資本と固定負債)で賄われているかを示す財務安全性指標で、100%以下が望ましいとされます。インタレスト・カバレッジ・レシオは事業活動から得られる利益・金融収益で借入金の利息負担をどの程度カバーできているかを示す指標で、数値が大きいほど財務の安全性が高いと判断されます。
解き方
- 固定長期適合率の計算:貸借対照表から固定資産額(分子)と、純資産合計および固定負債合計(分母)を抽出し、固定比率と同様にパーセンテージで算出する。
- インタレスト・カバレッジ・レシオの計算:損益計算書から営業利益に金融収益等(受取利息、受取配当金、持分法投資損益)を加算した事業利益(分子)を求め、支払利息(分母)で除して倍率を算出する。
答えの内訳
- ①:88.21(%)
- 固定長期適合率は、「固定資産 ÷(自己資本+固定負債)× 100」で求められます。固定資産950,000百万円、純資産の部合計442,000百万円(株主資本合計388,000百万円+その他の包括利益累計額合計54,000百万円)、固定負債635,000百万円より、950,000 ÷ (635,000+388,000+54,000) × 100 = 950,000 ÷ 1,077,000 × 100 ≒ 88.2079...%となり、小数点以下第3位を四捨五入して88.21%となります。
- ②:5.55(倍)
- インタレスト・カバレッジ・レシオは、「(営業利益+受取利息・配当金等)÷ 支払利息等」で求められます。分子は営業利益35,000百万円+受取利息300百万円+受取配当金1,800百万円+持分法による投資利益4,500百万円 = 41,600百万円。分母は支払利息7,500百万円です。したがって、41,600 ÷ 7,500 ≒ 5.5466...倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して5.55倍となります。
覚えるポイント
- 固定長期適合率=固定資産 ÷ (自己資本+固定負債) × 100(100%以下が健全水準)
- インタレスト・カバレッジ・レシオ=(営業利益+金融収益等) ÷ 支払利息等(倍率)
間違えやすいところ
- 固定長期適合率の分母に流動負債を含めてしまったり、純資産からその他の包括利益累計額を除外してしまうミス。
- インタレスト・カバレッジ・レシオの分子に営業外収益の「その他」を含めてしまう、あるいは持分法投資利益を漏らしてしまうミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令・企業会計基準等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
上場株式の配当課税・権利付き最終日・配当控除率
金融資産運用 · 上場株式の税金 / 配当控除 / 源泉徴収税率 / 権利付き最終日
上場株式の配当金および課税関係について説明した次の文章の空欄①~④に入る最も適切な数値を求めなさい。 Ⅰ 「Aさんが特定口座(源泉徴収選択口座)において、X社株式を購入し、その配当金を特定口座に受け入れた場合、所得税および復興特別所得税と住民税の合計で、配当金額の( ① )%相当額が源泉徴収等されます。AさんがX社株式の次回の配当を受け取るためには、権利付き最終日までにX社株式を購入しておく必要があります。次回の配当の権利が確定する決算期末は2022年3月31日(木)となりますので、権利付き最終日は2022年3月( ② )日となります」 Ⅱ 「上場株式の配当金については、総合課税、申告分離課税、確定申告不要制度のいずれかの課税方式を選択することができます。総合課税の対象とした配当所得については、一定のものを除き、配当控除の適用を受けることができます。仮に、配当所得の金額を除いたAさんの課税総所得金額等が1,000万円を超える場合、X社株式に係る配当所得の金額に乗ずる配当控除率は、所得税で( ③ )%、住民税で( ④ )%となります。3つの課税方式のうち、どの課税方式が有利となるかは、課税総所得金額等の多寡、所得税の累進税率、上場株式等の譲渡損失に係る損益通算や繰越控除の適用の有無などに応じて、総合的に判断をしてください」
解答・解説を表示
解答
① 20.315 ② 29 ③ 5 ④ 1.4
解説
上場株式の配当金は受取時に20.315%の源泉徴収が行われます。権利確定日に株主名簿へ記載されるためには受渡期間(T+2)を考慮して権利付き最終日(権利確定日の2営業日前)までに買い付ける必要があります。また確定申告で総合課税を選択した場合は法人税との二重課税を調整する配当控除が適用されますが、課税総所得金額等1,000万円超の部分では控除率が半減します。
解き方
- 上場株式の配当に対する源泉徴収税率(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)を確認する。
- 権利確定日(2022年3月31日木曜日)の2営業日前(権利付き最終日)を計算する。
- 課税総所得金額等が1,000万円を超える場合の所得税および住民税の配当控除率(通常の10%および2.8%の半分)を導き出す。
答えの内訳
- ①:20.315(%)
- 上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率は、所得税15%、復興特別所得税0.315%(15%×2.1%)、住民税5%の合計20.315%となります。
- ②:29(日)
- 株式の受渡日は売買約定日から起算して3営業日目(2営業日後)となるため、決算期末が2022年3月31日(木)の場合、その2営業日前である2022年3月29日(火)が権利付き最終日となります。
- ③:5(%)
- 総合課税を選択した配当所得について、課税総所得金額等から配当所得を除いた額が1,000万円超である場合、配当控除率は所得税において通常の10%から半減され5%となります。
- ④:1.4(%)
- 住民税における配当控除率は、配当所得を除いた課税総所得金額等が1,000万円を超える部分については通常の2.8%から半減され1.4%となります。
覚えるポイント
- 上場株式の源泉徴収税率は20.315%(所得税・復興15.315%+住民税5%)。
- 権利付き最終日は権利確定日の2営業日前。
- 配当控除率(1,000万円超部分):所得税5%、住民税1.4%(1,000万円以下部分は所得税10%、住民税2.8%)。
間違えやすいところ
- 権利付き最終日を「前日(1営業日前)」と勘違いしてしまう(2019年7月以降は2営業日前に変更)。
- 配当控除率について、1,000万円超の部分にも通常の控除率(所得税10%、住民税2.8%)を適用してしまうミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等(所得税法、租税特別措置法、地方税法)に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税別表四(所得の金額の計算に関する明細書)の作成
タックスプランニング · 法人税 / 別表四 / 役員給与の損金不算入 / 減価償却超過額 / 受取配当等の益金不算入 / 所得税額控除
《設例》のX社の当期の〈資料〉と〈条件〉に基づき、同社に係る〈略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)〉の空欄①~⑥に入る最も適切な数値を求めなさい。 〈略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)〉(単位:円) 当期利益の額:9,286,640 〔加算〕 ・損金経理をした納税充当金:( ① ) ・減価償却の償却超過額:( ② ) ・役員給与の損金不算入額:( ③ ) 小計:*** 〔減算〕 ・納税充当金から支出した事業税等の金額:850,000 ・受取配当等の益金不算入額:( ④ ) 小計:*** 仮計:*** 法人税額から控除される所得税額(注):( ⑤ ) 合計:*** 欠損金又は災害損失金等の当期控除額:0 所得金額又は欠損金額:( ⑥ ) (注)法人税額から控除される復興特別所得税額を含む。
解答・解説を表示
解答
① 3,000,000(円) ② 1,600,000(円) ③ 2,000,000(円) ④ 200,000(円) ⑤ 163,360(円) ⑥ 15,000,000(円)
解説
法人税法上の所得金額は、企業会計上の当期純利益を出発点として、税務上の益金・損金との差異を別表四において加算・減算の申告調整を行うことで算出します。
解き方
- 損金経理をした納税充当金、減価償却の償却超過額、役員給与の損金不算入額を計算して加算項目を特定する。
- 納税充当金から支出した事業税等、受取配当等の益金不算入額を計算して減算項目を特定する。
- 税額控除を受ける所得税額等の加算および各項目を集計して最終的な所得金額を算出する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:3,000,000
- 当期確定申告分の見積納税額として損益計算書に費用計上され、貸借対照表の「未払法人税等」に計上された3,000,000円を加算(留保)します。
- 小問 ②:1,600,000
- 税務上の償却限度額は3,500千円×0.200=700千円です。会社計上額は損金経理した減価償却費300千円に税務上減価償却費とみなされる減損損失2,000千円を加えた2,300千円となるため、償却超過額は2,300千円-700千円=1,600千円(1,600,000円)となります。
- 小問 ③:2,000,000
- 役員から時価10,000千円の土地を12,000千円で買い取った場合、時価を超える2,000千円(2,000,000円)は役員に対する給与とみなされ、事前確定届出給与の届出等がないため全額が損金不算入となります。
- 小問 ④:200,000
- 保有割合5%以下の非支配目的株式等に該当する株式の受取配当等の益金不算入割合は20%であるため、1,000,000円×20%=200,000円を減算(社外流出)します。
- 小問 ⑤:163,360
- 法人税額から控除される所得税・復興特別所得税額は、預金利子分(10,000円+210円=10,210円)と受取配当金分(150,000円+3,150円=153,150円)の合計163,360円を加算(社外流出)します。
- 小問 ⑥:15,000,000
- 当期利益9,286,640円+加算小計6,600,000円-減算小計1,050,000円+所得税額控除163,360円=15,000,000円となります。
覚えるポイント
- 税務上認められない減損損失は税務上「減価償却費として損金経理した金額」として扱われる点に留意する。
- 非支配目的株式等(持株割合5%以下)に係る配当金の益金不算入割合は20%である。
間違えやすいところ
- 役員からの高額譲受けにおいて、時価全額ではなく「時価を超える部分」のみが役員賞与(損金不算入)となる点を取り違えやすい。
- 法人税額から控除される所得税額等には復興特別所得税額も含めて別表四に加算する必要がある。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税確定申告納付税額の計算
タックスプランニング · 法人税額の計算 / 中小法人の軽減税率 / 所得拡大促進税制 / 所得税額控除
前問《問57》を踏まえ、X社が当期の確定申告により納付すべき法人税額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は100円未満を切り捨てて円単位とすること。
解答・解説を表示
解答
2,160,600(円)
解説
中小法人の法人税額は、所得800万円以下の軽減税率(15%)と800万円超の本則税率(23.2%)を適用して税額を算出し、各種税額控除を差し引いた後、100円未満を切り捨てて算出します。
解き方
- 所得金額1,500万円を800万円以下の部分と800万円超の部分に区分し、それぞれ15%と23.2%の税率を乗じて算出税額を計算する。
- 所得拡大促進税制(上乗せ要件充足のため25%)による特別控除額および法人税額の20%を上限とする税額控除限度額を確認する。
- 算出税額から所得拡大促進税制の控除額および所得税額控除を減算し、100円未満を切り捨てて納付税額を求める。
覚えるポイント
- 中小企業者等の所得拡大促進税制における上乗せ措置適用時の税額控除率は25%(通常15%+上乗せ10%)となる。
- 納付すべき税額の端数処理は、通則法に基づき100円未満切捨てとなる。
間違えやすいところ
- 所得拡大促進税制の控除率について、上乗せ要件を満たしているにもかかわらず通常割合の15%で計算してしまうミスが多い。
- 所得税額控除を税額から控除することを失念し、税引前税額から特別控除だけを引いてしまうミスに注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
医療費控除および住宅借入金等特別控除
タックスプランニング · 医療費控除 / セルフメディケーション税制 / 住宅借入金等特別控除
所得税における医療費控除および住宅借入金等特別控除に関する次の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な数値を求めなさい。 〈医療費控除〉 Ⅰ 「医療費控除は、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制(医療費控除の特例)との選択適用とされています。セルフメディケーション税制では、その年中に支払った特定一般用医薬品等購入費の総額から保険金などで補填される金額を控除した金額が( ① )円を超えるときは、その超える部分の金額(最高( ② )円)を総所得金額等から控除することができます」 Ⅱ 「Aさんが通常の医療費控除の適用を選択した場合、下記の〈資料〉に基づく2021年分の所得税に係る医療費控除の控除額は( ③ )円となります。なお、Aさんが確定申告書を提出する際は、医療費の領収書の添付または提示に代えて、医療費控除の明細書の添付が必要となりますが、確定申告期限等から( ④ )年を経過する日までの間、医療費の領収書の提示または提出を求められる場合があります」 〈空欄③のAさんが2021年中に支払った医療費等に関する資料〉 ⅰ)入院に伴って病院に支払った費用:50万円 ・Aさんの希望で使用した個室の差額ベッド代25万円、入院中に病院から給付された食事の費用2万円を含んだ金額である。 ・入院時、病院に限度額適用認定証を提示している。 ・契約者(=保険料負担者)および被保険者をAさんとする医療保険から入院給付金10万円を受け取っている。 ・Aさんの2021年分の総所得金額等の合計額は1,000万円である。 ⅱ)通院に伴って病院に支払った費用:3万円 ⅲ)通院のための電車賃:1万円 ⅳ)人間ドックの費用:10万円 〈住宅借入金等特別控除〉 Ⅲ 「長男Bさんは控除期間13年の住宅借入金等特別控除の適用を受けることができます。( ⑤ )年目以降の控除額は、『住宅ローンの年末残高×1.0%』と『(住宅取得等対価の額-消費税額〔上限5,000万円〕)×( ⑥ )%÷3』のいずれか少ない額になります。なお、所得税額から控除しきれない場合、その控除しきれない金額を、所得税の課税総所得金額等の合計額の( ⑦ )%相当額または( ⑧ )円のいずれか少ないほうの額を限度として、翌年度分の住民税の所得割額から控除することができます」
解答・解説を表示
解答
① 12,000 ② 88,000 ③ 190,000 ④ 5 ⑤ 11 ⑥ 2 ⑦ 7 ⑧ 136,500
解説
医療費控除では、本人都合の差額ベッド代は除外されますが、重大な疾病が発見されて治療につながった場合の人間ドック費用や通院交通費(公共交通機関)は対象となります。また、住宅借入金等特別控除の控除期間13年特例では11年目以後の控除限度額の算出式や住民税からの控除限度額の規定が定められています。
解き方
- セルフメディケーション税制の要件(足切り12,000円、上限88,000円)および領収書保存期間(5年間)を確認する。
- 提示された各支払項目から医療費控除の対象外(差額ベッド代)を控除し、重大な疾患の治療につながった人間ドック費用を含めて控除対象額を計算する。
- 受取保険金を控除した額から足切り額(10万円)を差し引いて控除額を算出し、住宅借入金等特別控除の拡充規定(11年目以降、2%÷3、住民税控除限度7%・136,500円)を当てはめる。
小問ごとの答え
- 小問 ①:12,000
- セルフメディケーション税制における控除額の計算において、特定一般用医薬品等購入費の自己負担合計額から差し引く足切り額は12,000円です。
- 小問 ②:88,000
- セルフメディケーション税制の控除限度額は、特定一般用医薬品等購入費から12,000円を控除した後の金額で最高88,000円です。
- 小問 ③:190,000
- 控除対象となる支出は、入院費用から自己都合の差額ベッド代25万円を除いた25万円、通院費用3万円、通院電車賃1万円、疾病発見に伴い治療につながった人間ドック費用10万円の合計39万円です。ここから保険金10万円を差し引き、さらに総所得金額等1,000万円に応じた足切り額10万円を控除して190,000円となります。
- 小問 ④:5
- 確定申告書への医療費控除の明細書添付に伴い、確定申告期限等から5年間は税務署から領収書の提示または提出を求められることがあります。
- 小問 ⑤:11
- 消費税率10%が適用される住宅取得等に係る13年間の住宅借入金等特別控除では、11年目以降に建物購入価格等を基準とする控除限度額の計算が導入されます。
- 小問 ⑥:2
- 11年目から13年目までの各年の控除限度額は、「住宅取得等対価の額-消費税額(上限5,000万円)×2%÷3」により算出されます。
- 小問 ⑦:7
- 住宅借入金等特別控除において所得税から控除しきれない額を翌年度の住民税から控除する場合、前年分の課税総所得金額等の7%が上限割合となります。
- 小問 ⑧:136,500
- 所得税から控除しきれない住宅ローン控除額の翌年度住民税からの控除限度額は、課税総所得金額等の7%または136,500円のいずれか少ないほうの額です。
覚えるポイント
- 自己都合の差額ベッド代は控除対象外であるが、重大な疾患が発見されて治療へ進んだ人間ドック費用は対象となる。
- 住宅ローン控除の住民税控除上限は前年分課税総所得金額等の7%または136,500円である。
間違えやすいところ
- 人間ドックの費用を一律に控除対象外と誤認すること。
- 差額ベッド代の自己都合分を含めたまま医療費の計算を行ってしまうこと。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の税法基準
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
甲土地および乙土地の相続税評価
不動産・相続・事業承継 · 貸家建付地の評価 / 側方路線影響加算 / 規模格差補正率 / 賃借権の評価 / 小規模宅地等の特例
甲土地および乙土地の相続税評価に関する次の文章の空欄①~⑤に入る最も適切な数値を求めなさい。 〈甲土地の相続税評価額〉 Ⅰ 「甲土地に面する道路に付された路線価の後に表示されている記号『C』は、借地権割合が( ① )%であることを示しています。甲土地の自用地価額を1億6,000万円、借地権割合( ① )%、借家権割合30%、賃貸割合50%とした場合、甲土地の貸家建付地としての相続税評価額は( ② )万円となります」 〈乙土地の相続税評価額〉 Ⅱ 「奥行距離30mの奥行価格補正率1.00、奥行距離50mの奥行価格補正率0.89、側方路線影響加算率0.08、規模格差補正率0.76とした場合、宅地であるとした場合の乙土地の1㎡当たりの価額は( ③ )円になります。現在、コインパーキングの敷地として駐車場運営会社に賃貸している乙土地は、自用地価額から賃借権相当額を控除することができると思われます。仮に、地上権に準ずる賃借権以外の賃借権の場合で賃借権の残存期間が5年以下とすると、自用地価額に( ④ )%を乗じた金額を自用地価額から控除することができます」 〈小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例〉 Ⅲ 「Aさんが甲土地および乙土地を父親の相続により取得し、1㎡当たりの相続税評価額の高い甲土地の敷地の全部(空欄②の金額)について、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けた場合、相続税の課税価格に算入すべき甲土地の価額を( ⑤ )万円とすることができます」
解答・解説を表示
解答
① 70 ② 14,320 ③ 203,528 ④ 2.5 ⑤ 10,740
解説
貸家建付地評価は賃貸割合に応じて自用地評価から一定割合を控除して求めます。また、広大な土地の評価では側方路線影響加算や規模格差補正率を適用し、小規模宅地等の特例における貸付事業用宅地等では限度面積200㎡まで50%の評価減が適用されます。
解き方
- 路線価記号から借地権割合を特定し、貸家建付地評価の算式(自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合))を用いて甲土地の評価額を算出する。
- 乙土地の正面路線を判定(奥行価格補正後の路線価が高い方)し、正面路線価に側方路線影響加算額を加え、規模格差補正率を乗じて1㎡当たりの評価額を算出する。
- 残存期間5年以下の賃借権割合(2.5%)を確認し、甲土地の敷地全体に対する貸付事業用宅地等の限度面積(200㎡)および減額割合(50%)を適用して課税価格に算入すべき価額を求める。
小問ごとの答え
- 小問 ①:70
- 路線価に付される借地権割合の記号「C」は70%を示します(A=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%)。
- 小問 ②:14,320
- 貸家建付地の価額は「自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」で算出されます。16,000万円×(1-0.70×0.30×0.50)=16,000万円×0.895=14,320万円となります。
- 小問 ③:203,528
- 南側路線(250千円×1.00=250千円)が正面路線となります。側方路線影響加算額は250千円×0.89×0.08=17,800円。これらを合算して267,800円となり、規模格差補正率0.76を乗じて203,528円となります。
- 小問 ④:2.5
- 地上権に準ずる賃借権以外の賃借権で、賃借権の残存期間が5年以下の場合の賃借権割合は2.5%と定められています。
- 小問 ⑤:10,740
- 甲土地(貸付事業用宅地等、400㎡)に特例を適用する場合、限度面積200㎡まで50%減額されます。減額額は14,320万円×(200㎡/400㎡)×50%=3,580万円となり、課税価格に算入すべき価額は14,320万円-3,580万円=10,740万円となります。
覚えるポイント
- 貸付事業用宅地等の小規模宅地特例は限度面積200㎡・減額割合50%である。
- 残存期間5年以下の賃借権(地上権に準ずるもの以外)の割合は2.5%である。
間違えやすいところ
- 貸付事業用宅地等の限度面積(200㎡)を特定事業用や特定居住用の限度面積(400㎡や330㎡)と混同すること。
- 敷地全体(400㎡)のうち特例適用対象となる200㎡部分のみ減額される按分計算を失念すること。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令および財産評価基本通達基準
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における容積率の上限の延べ面積の計算
不動産 · 容積率の制限 / 前面道路幅員制限 / 延べ面積の限度
設例の〈甲土地および乙土地の概要〉に基づき、下記の①および②について、容積率の上限となる延べ面積(㎡)をそれぞれ求めなさい(計算過程の記載は不要)。 ① 乙土地上に耐火建築物(マンション)を建築する場合、容積率の上限となる延べ面積はいくらか。 ② 甲土地と乙土地を一体とした土地上に耐火建築物(マンション)を建築する場合、容積率の上限となる延べ面積はいくらか。 〈条件等の要約〉 ・甲土地:地積400㎡の正方形(20m×20m)。南側市道幅員4m、東側県道幅員15mに接面。 ・乙土地:地積1,500㎡の長方形(30m×50m)。南側市道幅員4m、西側市道幅員4mに接面。 ・用途地域:近隣商業地域(指定建蔽率80%、指定容積率300%、防火規制:準防火地域)。 ・特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない。
解答・解説を表示
解答
① 3,600(㎡) ② 5,700(㎡)
解説
建築物の容積率は、都市計画で定められた「指定容積率」と、前面道路の幅員に法定乗数を乗じて求めた「道路幅員制限容積率」を比較し、いずれか小さい数値(厳しい制限)が上限となります。ただし、前面道路幅員が12m以上ある場合は道路幅員制限は適用されません。敷地が複数の道路に接している場合は、最も広い幅員の道路を基準として判断します。
解き方
- 乙土地単独の場合、接する前面道路のうち最大幅員は4mであるため、4m × 6/10 = 240% と指定容積率300%を比較し、上限容積率240%を敷地面積1,500㎡に乗じて延べ面積3,600㎡を算出する。
- 甲乙一体利用の場合、最大前面道路幅員は県道の15mとなり、12m以上であるため指定容積率300%が適用され、合計敷地面積1,900㎡に乗じて延べ面積5,700㎡を算出する。
答えの内訳
- ①:3,600(㎡)
- 乙土地(1,500㎡)が面する道路幅員は、西側市道4mおよび南側市道4mであり、最大の前面道路幅員は4mです。近隣商業地域(商業地域を除く用途地域)における法定乗数は10分の6(0.6)となるため、道路幅員制限による容積率は 4m × 6/10 = 240% となります。指定容積率300%と道路幅員制限240%のいずれか低い方が適用されるため、基準容積率は240%です。したがって、延べ面積の上限は 1,500㎡ × 240% = 3,600㎡ となります。
- ②:5,700(㎡)
- 甲土地と乙土地を一体利用する場合、敷地全体の面積は 400㎡ + 1,500㎡ = 1,900㎡ となります。一体の敷地が接する道路のうち最大の幅員は東側の県道15mです。前面道路の幅員が12m以上であるため、道路幅員による容積率制限は適用されず、指定容積率300%がそのまま基準容積率となります。したがって、延べ面積の上限は 1,900㎡ × 300% = 5,700㎡ となります。
覚えるポイント
- 前面道路幅員が12m以上のときは、道路幅員による容積率制限は適用されない。
- 住居系以外の用途地域(商業地域・近隣商業地域・工業系)における道路幅員の法定乗数は原則6/10(特定行政庁の指定区域を除く)。
間違えやすいところ
- 乙土地単独で角地緩和が容積率に適用されると誤解するミス(角地緩和は建蔽率の緩和規定であり、容積率には影響しない)。
- 甲乙一体利用時に最も狭い市道4mを基準として計算してしまうミス(一体利用時は最も広い道路である県道15mが前面道路となる)。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の建築基準法第52条(容積率)の規定に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法・優良住宅地造成等の長期譲渡特例・立体買換えの特例
不動産 · 天空率 / 優良住宅地の造成等のための長期譲渡所得の課税の特例 / 立体買換えの特例 / 減価償却費
甲土地および乙土地の有効活用等に関する以下の文章の空欄①~④に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。なお、空欄③に入る文章は〈空欄③の選択肢〉(イ~ニ)の中から選び、その記号を答えなさい。 〈建築基準法の規定〉 Ⅰ「甲土地および乙土地に、( ① )率により計算した採光、通風等が各斜線制限により高さが制限された場合と同程度以上である建築物を建築する場合、当該建築物については、道路斜線制限および隣地斜線制限は適用されません」 〈乙土地の売却〉 Ⅱ「下記の〈資料〉に基づき、Aさんの父親が乙土地を譲渡し、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用を受けた場合、当該譲渡所得の金額に係る所得税および復興特別所得税、住民税の合計額は( ② )円となります。他方、Aさんが父親の相続により取得した乙土地を相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年以内に譲渡した場合、譲渡した乙土地に対応する部分の相続税額を取得費に加算することができます」 〈等価交換方式による有効活用〉 Ⅲ「マンションを建築する方法として、自己資金を使わず、マンション住戸を取得できる等価交換方式という手法があります。複数のマンション住戸を取得することができれば、一部の住戸を売却することで納税資金を確保し、残りの住戸を賃貸に供することもできます。また、相続時の遺産分割も比較的容易になると思います。 等価交換方式による有効活用にあたり、Aさんの父親が、既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えの場合の譲渡所得の課税の特例(立体買換えの特例)の適用を受けた場合、買換資産は譲渡資産の( ③ )。本特例の適用を受け、取得したマンション住戸を賃貸する場合、本特例の適用を受けない場合に比べて、( ④ )が少なく計上されることになるため、その後の不動産所得に係る税額負担が大きくなる可能性があります。本特例の適用可否については、譲渡所得に係る税額負担とその後の不動産所得に係る税額負担、各種の相続対策を勘案して、総合的に判断する必要があると思います」 〈空欄②の譲渡資産(乙土地)の売却に関する資料〉 ・譲渡資産の譲渡価額:5億円 ・譲渡資産の取得費:不明 ・譲渡費用:1,500万円 ※税額は、100円未満を切り捨てること。 ※本問の譲渡所得以外の所得や所得控除等は考慮しない。 〈空欄③の選択肢〉 イ.取得時期および取得価額を引き継ぎます ロ.取得時期は引き継ぎますが、取得価額は引き継ぎません ハ.取得価額は引き継ぎますが、取得時期は引き継ぎません ニ.取得時期および取得価額を引き継ぎません
- イ
- 取得時期および取得価額を引き継ぎます
- ロ
- 取得時期は引き継ぎますが、取得価額は引き継ぎません
- ハ
- 取得価額は引き継ぎますが、取得時期は引き継ぎません
- ニ
- 取得時期および取得価額を引き継ぎません
解答・解説を表示
解答
① 天空(率) ② 92,228,000(円) ③ ハ ④ 減価償却費
解説
建築基準法上の天空率による斜線制限の緩和、租税特別措置法上の優良住宅地の造成等のための長期譲渡所得の税率特例(2,000万円以下の部分の軽減)、および立体買換えの特例による課税の繰延べとそれに伴う減価償却費への影響に関する複合的な理解が求められます。
解き方
- 空欄①・④について、斜線制限の代替規制である天空率、および買換えで取得価額が低く引き継がれることで将来計上できる額が減少する減価償却費を特定する。
- 空欄②について、概算取得費(5%)と譲渡費用を差し引いて課税長期譲渡所得金額(4億6,000万円)を求め、2,000万円以下の部分(14.21%)と超える部分(20.315%)に分けて税額を合計する。
- 空欄③について、買換え特例における税務上の資産の引継ぎ関係(取得価額は引き継ぐが、取得時期は引き継がない)を選択肢から判別する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:天空(率)
- 建築基準法第56条第7項に基づき、敷地内の一定位置から空が見通せる割合である「天空率」が斜線制限に適合する建築物と同等以上である場合、道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限が適用除外されます。
- 小問 ②:92,228,000(円)
- 概算取得費は 5億円 × 5% = 2,500万円。譲渡費用1,500万円を差し引いた課税長期譲渡所得金額は、5億円 - (2,500万円 + 1,500万円) = 4億6,000万円。優良住宅地等の軽減税率の特例により、2,000万円以下の部分は14.21%(所得税10%×1.021+住民税4%)、2,000万円超の部分(4億4,000万円)は20.315%(所得税15%×1.021+住民税5%)となります。税額合計は、2,000万円 × 14.21% + 4億4,000万円 × 20.315% = 2,842,000円 + 89,386,000円 = 92,228,000円 です。
- 小問 ③:ハ
- 特定民間再開発事業や立体買換えの特例等の買換え特例において、取得した買換資産は譲渡資産の「取得価額」を引き継ぎますが、「取得時期」は引き継がず、取得資産を実際に取得した日となります。
- 小問 ④:減価償却費
- 立体買換えの特例を適用すると、買換資産の取得価額として過去の低い土地等の帳簿価額が引き継がれる(圧縮記帳される)ため、建物の減価償却の基礎となる取得価額が低くなり、毎年の必要経費として計上できる「減価償却費」が減少して不動産所得の課税負担が増加します。
覚えるポイント
- 優良住宅地の造成等の長期譲渡特例の税率は、課税長期譲渡所得の2,000万円以下が14.21%、2,000万円超が20.315%。
- 買換えの特例では取得価額を引き継ぐが、取得時期は引き継がれない。
間違えやすいところ
- 課税長期譲渡所得全体に対して一律に20.315%を乗じてしまい、2,000万円以下の軽減部分を適用し忘れる計算ミス。
- 居住用財産の買換え特例(取得時期も引き継ぐ)と事業用・立体買換え等の特例(取得時期を引き継がない)を混同するミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の建築基準法第56条第7項、租税特別措置法第31条の2(優良住宅地の造成等の長期譲渡特例)、同法第37条の5(既成市街地等内の中高層耐火建築物等の建設のための買換え特例)の規定に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
類似業種比準価額の計算
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 類似業種比準方式 / 業種目の選定
《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額を求めなさい。〔計算過程〕を示し、〈答〉は円単位とすること。また、端数処理は、各要素別比準割合および比準割合は小数点第2位未満を切り捨て、1株当たりの資本金等の額50円当たりの類似業種比準価額は10銭未満を切り捨て、X社株式の1株当たりの類似業種比準価額は円未満を切り捨てること。なお、X社株式の類似業種比準価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。
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解答
529円
解説
類似業種比準方式は、類似業種の上場会社の株価を基に、1株当たりの配当金額・利益金額・純資産価額(簿価)の3要素を比準して非上場株式を評価する手法です。評価会社の業種が小分類に該当する場合、小分類のほか中分類を選択することも認められており、評価額が低くなる有利な方を選択できます。また、中会社の規模区分に応じた斟酌割合(0.6)を乗じる必要があります。
解き方
- 評価会社の1株当たりの資本金等の額を計算し(3,000万円÷60万株=50円)、比準要素を整理する。
- 中分類と小分類のそれぞれで類似業種比準価額を計算し、より低い価額となる中分類(食料品製造業)を選択・算定する。
覚えるポイント
- 業種目の判定において小分類に該当する企業は、中分類を選択することも可能である。
- 類似業種比準価額の斟酌割合は、大会社が0.7、中会社が0.6、小会社が0.5である。
間違えやすいところ
- 大分類(製造業)は小分類や中分類がある場合は選択できないため誤って適用しないよう注意する。
- 各比準割合および比準割合の端数処理(小数点第2位未満切捨て)を忘れて計算を進めてしまうミスが多い。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
純資産価額方式および併用方式による自社株評価
相続・事業承継 · 取引相場のない株式の評価 / 純資産価額方式 / 併用方式 / 中会社の評価
《設例》の〈X社の概要〉に基づき、X社株式の1株当たりの①純資産価額および②類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式による価額を、それぞれ求めなさい(計算過程の記載は不要)。〈答〉は円未満を切り捨てて円単位とすること。なお、X社株式の相続税評価額の算定にあたり、複数の方法がある場合は、最も低い価額となる方法を選択するものとする。
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解答
① 1,156円、② 591円
解説
純資産価額方式では、会社の資産・負債を相続税評価額で評価し、帳簿価額との差額(評価差額)に対して37%の法人税等相当額を控除して1株当たりの価額を求めます。中会社に分類される会社は、規模区分に応じた比準割合(L値)を用いた類似業種比準価額と純資産価額との併用方式により評価します(純資産価額の方が低い場合は純資産価額を選択可能)。中会社の大のL値は0.90です。
解き方
- 相続税評価額による資産・負債から評価差額に対する法人税等相当額(37%)を控除し、発行済株式数で除して1株当たりの純資産価額を求める。
- 中会社の大のL値(0.90)を適用し、類似業種比準価額×0.90+純資産価額×0.10により併用方式の価額を計算し、円未満を切り捨てる。
答えの内訳
- ①:1,156(円)
- 相続税評価額による総資産価額は168,400万円、負債合計は79,800万円です。含み益(評価差額)は168,400万円-116,400万円=52,000万円となり、法人税等相当額(37%)は52,000万円×37%=19,240万円です。差引純資産額は168,400万円-79,800万円-19,240万円=69,360万円となり、発行済株式数600,000株で除すと、693,600,000円÷600,000株=1,156円となります。
- ②:591(円)
- 中会社の大の類似業種比準価額の割合(L値)は0.90です。類似業種比準価額529円と純資産価額1,156円を用いて併用方式で計算すると、529円×0.90+1,156円×(1-0.90)=476.1円+115.6円=591.7円となります。円未満を切り捨てて591円となります。純資産価額単独(1,156円)よりも低いため、併用方式による591円が選択されます。
覚えるポイント
- 純資産価額計算における評価差額に対する法人税等相当額の控除率は37%である。
- 中会社のL値は、中会社の大=0.90、中会社の中=0.75、中会社の小=0.60である。
間違えやすいところ
- 評価差額に対する法人税等相当額の控除を忘れ、単に総資産から総負債を差し引いてしまう誤り。
- 中会社の併用方式のL値(大:0.90)と、類似業種比準価額計算時の斟酌割合(大:0.6)を混同してしまうミス。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
非上場株式の相続人等に対する売渡請求・配当還元方式・種類株式および属人的株式
相続・事業承継 · 相続人に対する株式の売渡請求 / 配当還元方式 / 種類株式(拒否権付株式) / 属人的株式
X社株式に関する以下の文章の空欄①~⑦に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 〈Eさんが所有するX社株式〉 Ⅰ 「仮に、Eさんの相続人がX社株式を相続により取得した場合に、X社が定款の定めによりEさんの相続人に対してX社株式の売渡請求をするときには、X社は相続があったことを知った日から( ① )年以内にしなければなりません。その場合、売渡請求に基づく売買価格は、X社とEさんの相続人との協議により決定します。協議が調わなければ、売渡請求日から( ② )日以内に、裁判所に対して、売買価格の決定の申立てをすることができますが、( ② )日以内に申立てをしなければ、売渡請求は効力を失ってしまいます。 なお、Eさんの相続人がX社株式を相続により取得した場合、X社株式は配当還元方式により評価されます。《設例》の〈X社の概要〉に基づく、X社株式の1株当たりの配当還元方式による価額は( ③ )円です」 〈種類株式〉 Ⅱ 「Aさんが、X社株式の大半を後継者である長男Dさんに贈与等により移転させるものの、相応の決定権を持っておきたいと考えた場合、種類株式を活用することが考えられます。 拒否権付株式は、株主総会の決議事項に関して拒否権を有する株式であり、( ④ )株と呼ばれています。長男Dさんが重要な経営判断を迫られている際に、拒否権付株式を1株でも保有するAさんが権利を行使すれば、株主総会の決定を阻止することができます。事業承継後の長男Dさんの経営手腕を確認する効果が期待できます」 〈属人的株式〉 Ⅲ 「属人的株式は、剰余金の配当を受ける権利、残余財産の分配を受ける権利、株主総会における議決権について、定款で株主ごとに異なる取扱いを行う旨の定めをした株式のことであり、その設定は、( ⑤ )でない株式会社に限られます。例えば、Aさんが保有するX社株式1株につき100個の議決権を有するという内容を定款で定めることにより、X社株式の大半を長男Dさんに移転させた後も、会社の経営に大きな影響力を残すことができます。属人的株式に関する事項を定める場合、株主総会の特殊決議が必要となります。この場合の特殊決議とは、原則として、総株主の半数以上、かつ、総株主の議決権の( ⑥ )以上に当たる多数をもって行われる決議となります。 なお、属人的株式は、種類株式と異なり、( ⑦ )をする必要がないため、社外に知られることはありません」
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解答
① 1(年) ② 20(日) ③ 100(円) ④ 黄金(株) ⑤ 公開会社 ⑥ 4分の3(以上) ⑦ 登記
解説
事業承継において非同族株主からの株式分散防止や後継者への経営権集中を行う際、会社法上の相続人等に対する売渡請求制度、配当還元方式による株価評価、種類株式(拒否権付株式等)や非公開会社特有の属人的定款定めを適切に理解・活用することが重要です。
解き方
- 会社法上の相続人等に対する株式売渡請求の期間要件(知った日から1年以内)および価格決定申立期限(20日以内)を確認する。
- 配当還元方式の計算式「(年配当金額÷10%)×(1株当たりの資本金等の額÷50円)」に設例の数値を代入して株価を算定する。
- 会社法における種類株式(黄金株)の特徴および非公開会社における属人的株式の設定要件(特殊決議:頭数半数以上・議決権4分の3以上、非登記事項)を整理する。
答えの内訳
- ①:1
- 会社法第176条第1項の規定により、会社が相続人等に対して株式の売渡請求を行う場合、相続その他の一般承継があったことを知った日から「1年」以内に行わなければなりません。
- ②:20
- 会社法第177条第2項および第3項の規定により、売渡請求に基づく売買価格について協議が調わないときは、売渡請求の日から「20日」以内に裁判所に対して価格決定の申立てをすることができ、申立てを行わない場合は請求が効力を失います。
- ③:100
- 配当還元方式による価額は「(年配当金額÷10%)×(1株当たりの資本金等の額÷50円)」で算出します。X社の1株当たりの資本金等の額は3,000万円÷60万株=50円、年配当金額は10.0円であるため、(10.0円÷10%)×(50円÷50円)=100円となります。
- ④:黄金
- 株主総会や取締役会において決議すべき事項について拒否権を有する種類株式のことを、その強力な権能から通称「黄金株(ゴールデンシェア)」と呼びます。
- ⑤:公開会社
- 会社法第109条第2項に基づき、配当や議決権等について株主ごとに異なる取扱いを行う定め(属人的定め)ができるのは、すべての株式に譲渡制限を設けている「公開会社でない株式会社(非公開会社)」に限られます。
- ⑥:4分の3
- 会社法第309条第4項により、非公開会社が属人的な定めを定款に設ける株主総会の特殊決議は、総株主の半数以上(頭数要件)かつ総株主の議決権の「4分の3」以上の多数が必要です。
- ⑦:登記
- 種類株式の内容は商業登記簿の登記事項ですが、株主ごとに異なる権利を与える属人的株式の定めは定款記載事項にとどまり、「登記」をする必要がないため、社外にその内容が公示されません。
覚えるポイント
- 相続人に対する株式の売渡請求:知った日から1年以内、価格決定申立は請求日から20日以内。
- 属人的株式の定款設定要件:非公開会社のみ可能、総株主の半数以上かつ議決権4分の3以上の特殊決議、登記は不要。
間違えやすいところ
- 売渡請求の価格決定申立期間である「20日」を、他の会社法の手続き(1カ月など)と混同しないこと。
- 属人的株式を設定するための特殊決議(総株主の半数以上かつ総株主の議決権の4分の3以上)を、通常の特別決議(議決権の過半数出席・3分の2以上賛成)や合併等の特殊決議と混同しやすい点に注意すること。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等(会社法および財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年1月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年1月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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