日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2022年1月 1級 学科(基礎編)の概要
各種係数を用いた年金原資および積立額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 6つの係数 / 年金現価係数 / 減債基金係数
45歳のAさんは、65歳から10年間にわたって毎年1,000千円を受け取るために、45歳から65歳までの20年間にわたり年金原資を毎年均等に積み立てることを計画している。積立期間および取崩期間中の運用利回り(複利)を年3%、積立ておよび取崩しを年1回行うものとし、与えられた係数表を用いて毎年の積立額を算出した場合、最も適切なものはどれか。なお、計算結果は千円未満を切り捨て、手数料や税金等は考慮しないものとする。 〈年3%の各種係数〉 ・10年:終価係数 1.3439、現価係数 0.7441、年金終価係数 11.4639、減債基金係数 0.0872、年金現価係数 8.5302、資本回収係数 0.1172 ・20年:終価係数 1.8061、現価係数 0.5537、年金終価係数 26.8704、減債基金係数 0.0372、年金現価係数 14.8775、資本回収係数 0.0672 ・30年:終価係数 2.4273、現価係数 0.4120、年金終価係数 47.5754、減債基金係数 0.0210、年金現価係数 19.6004、資本回収係数 0.0510
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解答
1
解説
将来の一定期間にわたり毎年決まった年金を受け取るために必要な現時点での元本(年金原資)は年金現価係数を用いて算出し、将来の目標額を達成するために毎年均等に積み立てるべき金額は減債基金係数を用いて算出します。
解き方
- 65歳から10年間、毎年1,000千円を受け取るために65歳時点で必要な年金原資を、年金現価係数(10年)を用いて計算します(1,000千円×8.5302=8,530.2千円)。
- 算出した年金原資を準備するために45歳から65歳までの20年間で毎年積み立てるべき金額を、減債基金係数(20年)を乗じて算出し、千円未満を切り捨てます(8,530.2千円×0.0372=317.32344千円 → 317千円)。
- 選択肢 1正解
- 必要年金原資8,530.2千円に20年の減債基金係数0.0372を乗じると317.32344千円となり、端数処理により317千円となります。
- 選択肢 2不正解
- 年金原資を考慮せず減債基金係数だけを1,000万円等に乗じるなど、誤った係数計算により導かれた数値です。
- 選択肢 3不正解
- 現価係数や終価係数などを誤って適用した場合に算出される数値であり、不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 受取年数と積立年数の係数の組合せを誤って計算した数値であり、不適切です。
覚えるポイント
- 一定額を定期的に受け取る元本の計算には年金現価係数、将来の目標額に向けた毎年の積立額の計算には減債基金係数を用います。
間違えやすいところ
- 年金現価係数と資本回収係数、年金終価係数と減債基金係数の乗算対象を取り違えないように注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
健康保険の任意継続被保険者
ライフプランニングと資金計画 · 健康保険 / 任意継続被保険者 / 標準報酬月額 / 保険給付
自営業者であるAさん(39歳)は、2021年1月31日に勤めていた会社を退職し、現在、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の任意継続被保険者である。また、Aさんには2022年2月5日に出産予定の妻(被扶養者)がいる。健康保険の任意継続被保険者に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
1
解説
健康保険の任意継続制度は、退職前の被保険者期間が継続して2カ月以上ある者が退職後最長2年間加入できる制度です。保険料は全額自己負担となり、標準報酬月額には上限が設けられています。
解き方
- 任意継続被保険者の標準報酬月額の決定基準を確認します(資格喪失時の額と全被保険者平均額のいずれか少ない額)。
- 選択肢1が「いずれか多い額」と誤った記述をしていることを確認し、最も不適切な選択肢と判断します。
- 選択肢 1正解
- 標準報酬月額は「被保険者資格喪失時の標準報酬月額」と「全被保険者の平均標準報酬月額」のいずれか『少ない』額となるため、本記述は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 任意継続被保険者の加入期間は最長2年間であり、事業主負担がなくなるため保険料は全額自己負担となります。記述は適切です。
- 選択肢 3不正解
- 任意継続被保険者の被扶養者が出産した場合、産科医療補償制度加入機関での出産であれば家族出産育児一時金として42万円が支給されます。記述は適切です。
- 選択肢 4不正解
- 任意継続被保険者には、退職後の傷病に起因する傷病手当金や退職後の出産手当金は支給されません。記述は適切です。
覚えるポイント
- 任意継続被保険者の標準報酬月額は、資格喪失時の標準報酬月額と全被保険者の平均標準報酬月額の「いずれか少ない額」になります。
間違えやすいところ
- 「いずれか多い額」と「いずれか少ない額」を取り違えやすいため、上限を設けて負担を抑える趣旨から「少ない方」と整理して覚えます。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働者災害補償保険の給付体系
ライフプランニングと資金計画 · 労災保険 / 傷病補償年金 / 障害補償年金 / 併給調整
労働者災害補償保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
3
解説
労働者災害補償保険法において、療養開始後1年6カ月を経過して一定の傷病等級に該当する場合は休業補償給付から傷病補償年金へ切り替わります。また、公的年金との併給調整では労災給付側が減額され、障害の自然悪化時は上位等級の年金が支給されます。
解き方
- 各選択肢の労災保険の給付ルール(休業・傷病給付の切替、年金併給調整、障害悪化時の取扱い、前払一時金限度)を検討します。
- 選択肢3が自然経過による障害等級変更時の正しい支給ルールを述べていることを確認します。
- 選択肢 1不正解
- 療養開始後1年6カ月経過時に傷病等級第1級〜第3級に該当する場合、「休業補償給付に代えて傷病補償年金が支給」されます。記述は主客が逆であるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 同一事由で障害補償年金と公的年金(障害基礎・厚生年金)が支給される場合、公的年金が全額支給され、労災の障害補償年金側が減額調整されます。
- 選択肢 3正解
- 障害補償年金を受ける者の障害が自然経過により悪化して上位等級に該当したときは、新たに該当した等級に応じた障害補償年金が支給されます。
- 選択肢 4不正解
- 遺族補償年金前払一時金の請求限度額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分のいずれかであり、153日分ではありません。
覚えるポイント
- 社会保険と労災保険の併給調整では、厚生年金・基礎年金が全額支給され、労災側の年金が一定割合に減額調整されます。
間違えやすいところ
- 併給調整において「どちらが満額で、どちらが減額されるか」を逆に覚えてしまわないように注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の基本手当の所定給付日数
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 基本手当 / 所定給付日数 / 再就職手当
雇用保険の基本手当に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの場合も所定の手続はなされているものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
1
解説
雇用保険の基本手当の受給要件および所定給付日数は、離職理由(自己都合、特定受給資格者、定年等)、被保険者期間、離職時の年齢によって決定されます。就業促進手当(再就職手当等)を受給した場合、その支給にかかる前職までの被保険者期間は以後の給付において通算されません。
解き方
- 再就職手当を受給した際の被保険者期間の取扱いを確認し、前職の期間が引き継がれない点を押さえます。
- Aさんの再就職後の被保険者期間(6カ月)から、一般の自己都合離職者としての受給資格を満たさない(所定給付日数は90日ではなく受給不可)ことを確認します。
- 選択肢 1正解
- 再就職手当の支給を受けた場合、以前の被保険者期間は通算されません。再就職後6カ月の自己都合退職では受給要件を満たさず受給できないため、不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 自己都合退職の一般離職者で算定基礎期間が10年以上20年未満の場合、所定給付日数は全年齢区分で最大120日となります。適切です。
- 選択肢 3不正解
- 倒産等による特定受給資格者で、離職時年齢が45歳以上60歳未満、被保険者期間20年以上の所定給付日数は最大330日です。適切です。
- 選択肢 4不正解
- 定年退職(一般離職者)で被保険者期間20年以上の60歳以上65歳未満の者の所定給付日数は最大150日です。適切です。
覚えるポイント
- 再就職手当を受給すると、それまでの被保険者期間はゼロにリセットされ、次回の基本手当の計算には通算されません。
間違えやすいところ
- 一般離職者の自己都合退職における受給要件(離職日前2年間に被保険者期間が通算12カ月以上必要)を見落とし、勤務期間6カ月で受給できると誤認しやすいです。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
遺族厚生年金の受給権者と支給要件
タックスプランニング · 遺族厚生年金 / 受給権者 / 支給順位 / 中高齢寡婦加算 / 失権
厚生年金保険の被保険者が死亡した場合の遺族厚生年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各被保険者は遺族厚生年金の保険料納付要件を満たしているものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
2
解説
遺族厚生年金を受給できる遺族の範囲は、死亡した者によって生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母であり、優先順位が定められています。30歳未満で子のない妻には5年間の有期給付規定が存在します。
解き方
- 遺族厚生年金の受給権者の範囲(兄弟姉妹は対象外、夫・父母・祖父母は死亡時55歳以上)を確認します。
- 妻の年齢と子の有無に応じた失権規定を検討し、子がいる妻に対して「受給権取得日から起算して5年で消滅する」という記述が誤りであることを特定します。
- 選択肢 1不正解
- 遺族厚生年金の対象となる遺族は配偶者・子・父母・孫・祖父母であり、兄弟姉妹は含まれないため受給権を取得できません。記述は適切です。
- 選択肢 2正解
- 3歳の子がいる妻には「受給権取得日から起算して5年を経過したときに消滅する」という規定は適用されず、遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 夫が受給権者となるには死亡時に55歳以上である必要があり、子は18歳年度末まで(障害等級1・2級は20歳未満)である必要があるため、夫(50歳)も長女(21歳)も受給権を得られません。記述は適切です。
- 選択肢 4不正解
- 同順位の父母双方が受給権を取得した場合、本来の遺族厚生年金額を受給権者の数(2人)で除した額がそれぞれに支給されます。記述は適切です。
覚えるポイント
- 30歳未満の妻に係る5年有期給付は「夫死亡時に子のない妻」または「子が18歳年度末を迎え遺族基礎年金を失権した時に30歳未満の妻」に適用されます。
間違えやすいところ
- 子がいても妻が30歳未満であれば一律に5年で失権すると誤解しないよう注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模企業共済制度の概要と給付
ライフプランニングと資金計画 · 小規模企業共済 / 掛金月額 / 前納減額金 / 解約手当金 / 共済金の受取方法
小規模企業共済制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
小規模企業共済は小規模企業の個人事業主や役員が退職・廃業時に備える共済制度です。掛金は全額所得控除となり、掛金月額の範囲や解約手当金の元本割れ期間(20年=240月未満)、受取方法の要件などが細かく定められています。
解き方
- 小規模企業共済の掛金月額(1,000円〜7万円、500円単位)、前納制度、解約手当金の水準(240月未満で元本割れ)を確認します。
- 共済金の受取方法(一括、分割、併用)のうち、併用受取りの要件(全体330万円以上、分割300万円以上かつ一括30万円以上)と照らし合わせ、選択肢4の誤りを特定します。
- 選択肢 1不正解
- 掛金月額は1,000円から70,000円まで500円単位で設定でき、加入後の増額・減額も可能です。記述は適切です。
- 選択肢 2不正解
- 掛金を前納した場合には、所定の割合による前納減額金が契約者に交付されます。記述は適切です。
- 選択肢 3不正解
- 解約手当金は掛金合計額の80%〜120%であり、掛金納付月数が240月(20年)未満の場合は掛金合計額を下回ります(元本割れ)。記述は適切です。
- 選択肢 4正解
- 併用受取りの要件は「共済金額が330万円以上」であり、分割受取額が300万円以上かつ一括受取額が30万円以上である必要があるため、不適切です。
覚えるポイント
- 小規模企業共済の併用受取要件:合計330万円以上、かつ「分割300万円以上・一括30万円以上」が必要です。
間違えやすいところ
- 分割受取の要件(300万円以上)と併用受取の要件(330万円以上:分割300万+一括30万)を混同しやすいです。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金等・退職金・各種給付に係る所得税の取扱い
タックスプランニング · 所得税 / 社会保険料控除 / 小規模企業共済 / 源泉徴収 / 未支給年金
公的年金等や各種共済制度・年金給付に係る所得税の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
公的年金等の社会保険料控除は実際に支払った年に適用されます。公的年金等の源泉徴収基準(65歳以上は年158万円)や未支給年金の性質(受給した遺族の一時所得)、小規模企業共済の解約手当金(一時所得)などの所得区分を正確に判定する必要があります。
解き方
- 各選択肢の所得税法上の取扱規定(追納時の社会保険料控除、解約手当金の所得区分、年金源泉徴収基準、未支給年金の課税区分)を個別に確認します。
- 小規模企業共済の解約手当金は退職所得ではなく一時所得として課税される点に着目し、選択肢2が誤りであることを判断します。
- 選択肢 1不正解
- 過去に承認を受けた学生納付特例期間の保険料を追納した場合、実際に納付した年の年末調整で社会保険料控除の対象となります。記述は適切です。
- 選択肢 2正解
- 小規模企業共済の解約手当金は「一時所得」として課税されます。退職所得となるのは廃業等による共済金の一括受取時であるため、不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 65歳以上で公的年金等の収入金額が年158万円未満である場合、所得税および復興特別所得税は源泉徴収されません。記述は適切です。
- 選択肢 4不正解
- 死亡した受給権者の未支給年金を遺族が受け取った場合、相続財産ではなく受取人固有の一時所得として課税対象になります。記述は適切です。
覚えるポイント
- 小規模企業共済:廃業・老齢による一括共済金は「退職所得」、任意解約による解約手当金は「一時所得」となります。
間違えやすいところ
- 未支給年金は相続税の課税対象ではなく、受取人自身の「一時所得」として所得税の対象になる点を混同しやすいです。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
フラット35の融資条件と借入れ・返済ルール
ライフプランニングと資金計画 · フラット35 / 住宅金融支援機構 / 繰上げ返済 / 総返済負担率 / 住宅要件
住宅金融支援機構の住宅ローン「フラット35」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する全期間固定金利の住宅ローンです。床面積基準(共同住宅30㎡以上、一戸建て70㎡以上)、総返済負担率(年収400万円未満30%以下、400万円以上35%以下)、一部繰上げ返済の条件等が定められています。
解き方
- フラット35の対象住宅の床面積要件(マンションは30㎡以上)および総返済負担率基準(30%/35%)を確認します。
- 一部繰上げ返済の条件(窓口100万円以上、Web10万円以上、手数料無料、窓口申出は1カ月前)と照合し、選択肢4が正しい記述であることを判定します。
- 選択肢 1不正解
- フラット35の住宅要件において、マンション等の共同住宅の床面積は専有面積で「30㎡以上」です(一戸建ては70㎡以上)。40㎡ではないため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- フラット35地域連携型の金利引下げプランは、当初5年間にわたり年0.25%引き下げられる等の基準であり、当初10年間0.35%引き下げではありません。
- 選択肢 3不正解
- 総返済負担率の基準は、年収400万円未満の場合は「30%以下」、年収400万円以上の場合は「35%以下」であるため不適切です。
- 選択肢 4正解
- 窓口での一部繰上げ返済は1カ月前までの申出が必要で、手数料は不要、返済可能額は100万円以上と定められています。
覚えるポイント
- フラット35の一部繰上げ返済:手数料不要。窓口返済は「1カ月前申出・100万円以上」、インターネット(住・My Note)は「前日申出・10万円以上」です。
間違えやすいところ
- 床面積基準は「一戸建て70㎡以上、マンション30㎡以上」であり、税制の住宅ローン控除要件(原則50㎡以上、一定の特例で40㎡以上)と混同しやすいです。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険会社の健全性および収益性に関する指標
リスク管理 · 実質純資産額 / ソルベンシー・マージン比率 / 基礎利益
生命保険会社の健全性・収益性に関する指標に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 実質純資産額は、有価証券や有形固定資産の含み損益などを反映した時価ベースの資産の合計から、価格変動準備金や危険準備金などの資本性の高い負債を除いた負債の合計を差し引いて算出され、保険会社の健全性の状況を示す行政監督上の指標の1つである。 (b) ソルベンシー・マージン比率は、保険会社が有する保険金等の支払余力を表す指標であり、この値が200%を下回った場合には、金融庁による業務改善命令等の早期是正措置の対象となる。 (c) 基礎利益は、保険会社の基礎的な期間損益の状況を表す指標であり、経常利益から「キャピタル損益」と「臨時損益」を除いて算出される。
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解答
3
解説
生命保険会社の経営健全性や収益性を測る指標として、行政監督上の早期是正措置の基準となる実質純資産額やソルベンシー・マージン比率、保険本業の期間損益力を示す基礎利益の定義が重要です。
解き方
- 記述(a)について、実質純資産額の定義(時価ベースの総資産から資本性の高い負債を除いた負債総額を控除したもの)を確認し、適切と判定します。
- 記述(b)について、ソルベンシー・マージン比率が200%を下回った際に金融庁による早期是正措置の対象となる点を確認し、適切と判定します。
- 記述(c)について、基礎利益が経常利益からキャピタル損益および臨時損益を除外して算出される本業の収益指標であることを確認し、適切と判定します。
- 以上より、3つすべてが適切であるため選択肢3を選定します。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)、(b)、(c)の3つすべてであるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は(a)、(b)、(c)の3つすべてであるため不適切です。
- 選択肢 3正解
- 記述(a)の実質純資産額、(b)のソルベンシー・マージン比率、(c)の基礎利益の記述はすべて適切です。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述が3つ存在するため不適切です。
覚えるポイント
- ソルベンシー・マージン比率は200%未満で早期是正措置の対象となります。
- 基礎利益=経常利益-キャピタル損益-臨時損益です。
間違えやすいところ
- 実質純資産額の算出において、価格変動準備金や危険準備金は資本性の高い負債として負債合計から除外される点を負債に含めると誤認しないように注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の保険業法等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険契約の各種手続等
リスク管理 · 払済保険 / 個人年金保険料税制適格特約 / 自動振替貸付 / 契約者貸付
生命保険契約の各種手続等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
生命保険の保全手続きにおいて、払済保険への変更時は元の契約の予定利率が引き継がれます。また税制適格特約が付加された年金保険では、税制適格要件を維持するため契約途中での返戻金の払い出しは行われません。
解き方
- 払済保険への変更について、変更時点の解約返戻金を原資として同種類の保険に移行する際、変更前の契約の予定利率が継続して適用されることを確認します。
- 個人年金保険料税制適格特約が付加された年金の減額処理について、減額によって生じる解約返戻金相当額は契約者に支払われず年金原資等に充てられる規定を確認し、選択肢2を不適切と判断します。
- 自動振替貸付および契約者貸付の取扱いについて、各選択肢の正誤を確認します。
- 選択肢 1不正解
- 払済保険に変更した場合、保険期間や予定利率は原則として変更前の契約のものが引き継がれます。
- 選択肢 2正解
- 個人年金保険料税制適格特約が付加されている契約で基本年金額を減額した場合、減額部分に相当する解約返戻金は契約者へ支払われず、以後の年金支払原資等に充当されます。
- 選択肢 3不正解
- 自動振替貸付が適用された後、保険会社が定める所定の期間内に解約手続き等を行った場合、自動振替貸付は取り消され、なかったものとして処理されます。
- 選択肢 4不正解
- 契約者貸付の利率は契約時期ごとの予定利率を勘案して設定されるため、予定利率が高い過去の契約ほど貸付利率も高く設定されています。
覚えるポイント
- 税制適格特約付き個人年金保険では、減額時の返戻金は原則として契約者に現金で払い出されません。
間違えやすいところ
- 通常の生命保険の減額では一部解約として解約返戻金が支払われますが、税制適格特約付き年金では取り扱いが異なる点に注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の保険約款および税法基準
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生命保険契約および損害保険契約の課税関係
リスク管理 · 一時所得 / 源泉分離課税 / 金融類似商品 / 全期前納
生命保険契約および損害保険契約の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、契約者(=保険料負担者)および被保険者は同一人であり、契約者は個人であるものとする。また、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
1
解説
保険期間5年以下の一時払養老保険等や、保険期間5年超であっても契約から5年以内に解約された一時払(全期前納を含む)の養老保険等の差益は、金融類似商品として源泉分離課税(20.315%)の対象となります。
解き方
- 全期前納した養老保険の解約について、税制上は一時払と同様に金融類似商品として扱われ、5年以内解約時は源泉分離課税となることを確認し、選択肢1を不適切と判断します。
- 終身保険の一時払について、金融類似商品の対象外(死亡保障メイン)であるため、年数にかかわらず一時所得(総合課税)となることを確認します。
- 一時払変額個人年金保険(確定年金)の5年以内解約について、金融類似商品に該当し源泉分離課税となることを確認します。
- 年金払積立傷害保険の解約について、一時所得として総合課税の対象となることを確認します。
- 選択肢 1正解
- 保険料全期前納の養老保険を契約後5年以内に解約した場合、一時払養老保険等と同様に金融類似商品として扱われ、解約差益に対して20.315%の源泉分離課税が適用されます。
- 選択肢 2不正解
- 一時払終身保険は金融類似商品から除外されているため、契約から5年以内の解約であっても解約差益は一時所得として総合課税の対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 確定年金型の一時払変額個人年金保険を5年以内に解約して生じた差益は、金融類似商品として源泉分離課税の対象となります。
- 選択肢 4不正解
- 平準払(年払い等)の積立傷害保険の満期返戻金や解約返戻金による差益は、一時所得として総合課税の対象となります。
覚えるポイント
- 保険料全期前納は税制上の金融類似商品の判定において「一時払」と同様に取り扱われます。
- 終身保険は5年以内に解約しても金融類似商品には該当せず一時所得です。
間違えやすいところ
- 全期前納と一時払の違いにより金融類似商品に当たらないと誤認しやすいので注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の所得税法
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人が支払う定期保険の保険料の経理処理
リスク管理 · 法人保険 / 最高解約返戻率 / 損金算入 / 資産計上
株式会社X社では、X社を契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人、代表取締役社長Aさん(40歳)を被保険者とする保険期間10年以上の定期保険の加入を検討している。X社が支払う定期保険の保険料の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、X社はAさんを被保険者とする他の生命保険には加入していない。
解答・解説を表示
解答
4
解説
法人が契約する定期保険等の保険料は、2019年通達改正により最高解約返戻率の区分(50%以下、50%超70%以下、70%超85%以下、85%超90%以下、90%超)に応じて損金・資産計上の割合が細かく定められています。
解き方
- 最高解約返戻率50%以下は全額損金算入であることを確認します。
- 50%超70%以下の少額特例(年換算保険料30万円以下で全額損金算入)を確認します。
- 70%超85%以下は、保険期間の開始から4割相当期間において資産計上割合6割(損金4割)であることを確認します。
- 85%超については「85%超90%以下(資産計上7割)」と「90%超(最高解約返戻率×90%等)」に区分され、選択肢4の記述内容は誤りであるため不適切と判断します。
- 選択肢 1不正解
- 最高解約返戻率が50%以下の場合、支払保険料の全額を期間の経過に応じて損金算入することができます。
- 選択肢 2不正解
- 最高解約返戻率が50%超70%以下であっても、被保険者1人当たりの年換算保険料相当額の合計額が30万円以下である場合は全額損金算入が認められます。
- 選択肢 3不正解
- 最高解約返戻率が70%超85%以下の場合、保険期間の開始から4割相当期間において支払保険料の6割を資産計上し、残額の4割を損金算入します。
- 選択肢 4正解
- 最高解約返戻率が85%超の区分では、85%超90%以下(資産計上7割)と90%超(最高解約返戻率×90%等)に区分されており、開始から10年目まで一律9割資産計上とするルールはありません。
覚えるポイント
- 最高解約返戻率の区分:50%以下(全額損金)、50%超70%以下(4割資産計上・30万円以下少額特例あり)、70%超85%以下(6割資産計上)、85%超90%以下(7割資産計上)。
間違えやすいところ
- 85%超の区分を一括りにせず、85%超90%以下と90%超で取扱いが異なる点に注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法人税法基本通達
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
任意の自動車保険の商品性
リスク管理 · 人身傷害保険 / 車両保険 / ノンフリート等級 / 中断証明書
個人が契約する任意の自動車保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
任意の自動車保険において、人身傷害補償は過失割合にかかわらず実損害額を補償する仕組みです。また全損時の車両保険、等級ダウン事故の分類(3等級ダウン・1等級ダウン)、中断証明書の有効期間(原則10年間)について正確な理解が求められます。
解き方
- 選択肢1の人身傷害保険の補償内容(過失割合にかかわらず実損害補償)が正しいことを確認します。
- 選択肢2の車両保険について、全損時は免責金額が差し引かれず保険金額全額が支払われるため不適切と判断します。
- 選択肢3について、対人・対物賠償事故は原則3等級ダウンであるため不適切と判断します。
- 選択肢4について、中断証明書の有効期間(再開できる期間)は原則10年以内であるため不適切と判断します。
- 選択肢 1正解
- 人身傷害保険では、被保険自動車の運行による事故などで生じた被保険者や同乗者のケガ等の損害について、自己の過失割合にかかわらず実際の損害額が支払われます。
- 選択肢 2不正解
- 車両保険において全損事故となった場合、契約時に設定した免責金額は差し引かれず、保険金額の全額が支払われます。
- 選択肢 3不正解
- 対人賠償事故や対物賠償事故は原則として「3等級ダウン事故」として扱われます。
- 選択肢 4不正解
- 中断証明書による等級の引継ぎが可能な期間は、原則として解約日(または満了日)の翌日から「10年以内」とされています。
覚えるポイント
- 車両保険の全損時は免責金額が適用されず保険金額全額が支払われます。
- 中断証明書の有効期間は原則10年間です。
間違えやすいところ
- 対人・対物賠償事故を2等級ダウンと勘違いしやすいですが、通常は3等級ダウン事故です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の標準的な自動車保険約款
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地震保険の制度および損害認定基準
リスク管理 · 等地区分 / 耐震等級割引 / 全損認定 / 地盤液状化
地震保険に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
地震保険の料率は構造(イ・ロ構造)と所在地(1等地~4等地。数字が大きいほど危険度が高い)により決定されます。また損害認定基準(全損、大半損、小半損、一部損)や各種割引制度(建築年、耐震等級、免震建築物、耐震診断)の規定の正確な把握が問われます。
解き方
- 等地区分について、1等地から4等地の4区分であり、危険度が高い地域ほど数値が大きい区分(4等地)であることを確認し、選択肢1を不適切と判断します。
- 割引制度について、50%・30%・10%の3区分があるのは「耐震等級割引」であり、耐震診断割引は一律10%であるため、選択肢2を不適切と判断します。
- 家財の損害割合について、全損は時価の80%以上(50%以上80%未満は大半損)であるため、選択肢3を不適切と判断します。
- 液状化による建物の損害認定基準において、在来軸組工法で最大沈下量30cm超または傾斜1度超は全損となることを確認し、選択肢4を適切と判断します。
- 選択肢 1不正解
- 等地区分は1等地から4等地の4区分であり、リスクが最も高い都道府県は4等地に区分されています。
- 選択肢 2不正解
- 耐震等級に応じて50%・30%・10%の割引率があるのは「耐震等級割引」です。耐震診断割引の割引率は一律10%です。
- 選択肢 3不正解
- 家財の損害認定において、全損となるのは損害額が家財の時価の80%以上となった場合です(50%以上は「大半損」に該当)。
- 選択肢 4正解
- 液状化による建物の沈下・傾斜の認定基準では、在来軸組工法の木造建物において最大沈下量が30cmを超える場合は全損と認定されます。
覚えるポイント
- 地震保険の損害認定:全損は建物の時価の50%以上(家財は80%以上)。
- 液状化による全損判定:最大沈下量30cm超または傾斜1度超。
間違えやすいところ
- 建物の全損基準(時価の50%以上)と家財の全損基準(時価の80%以上)の混同に注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の地震保険法および損害認定基準
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業活動に係る損害保険の商品性
リスク管理 · サイバー保険 / 請負業者賠償責任保険 / 生産物賠償責任保険 / 建設工事保険
事業活動に係る各種損害保険の一般的な商品性に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 外部からの不正アクセスにより顧客の個人情報が外部に漏えいした場合に発生する損害賠償金の支払およびそれらに対応する費用を補償する保険として、サイバー保険や個人情報漏洩保険がある。 (b) 請負業者賠償責任保険は、マンションの改修工事の完了後、工事結果の不良のために住民が転倒し、ケガをしたケースのように、工事の結果によって法律上の損害賠償責任を負った場合に補償の対象となる。 (c) 建設工事保険に加入することにより、住宅等の建物の建築工事において、工事期間中における火災、爆発、落雷等の不測かつ突発的な事故によって、工事の目的物について生じる損害に備えることができる。
解答・解説を表示
解答
2
解説
事業活動における賠償責任保険では、「作業遂行中」の事故を補償する請負業者賠償責任保険と、「仕事の目的物の引渡し後・工事完了後」の事故を補償する生産物賠償責任保険(PL保険)の区別が重要です。
解き方
- 記述(a)について、サイバー保険や個人情報漏洩保険が情報漏えいによる損害賠償金や事故対応費用を補償することを確認し、適切と判定します。
- 記述(b)について、工事完了後の仕事の結果に起因する事故は「生産物賠償責任保険」の対象であり、「請負業者賠償責任保険」ではないため、不適切と判定します。
- 記述(c)について、建設工事保険が工事期間中の不測かつ突発的な事故による工事目的物の損害を補償することを確認し、適切と判定します。
- 適切な記述は(a)と(c)の2つであるため、選択肢2を選定します。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)と(c)の2つあるため不適切です。
- 選択肢 2正解
- 記述(a)と(c)が適切で、記述(b)は不適切であるため、「2つ」が正解です。
- 選択肢 3不正解
- 記述(b)が不適切であるため、3つではありません。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述が2つ存在するため不適切です。
覚えるポイント
- 請負業者賠償責任保険は「工事・作業中」の事故、生産物賠償責任保険(PL保険)は「引渡し後・工事完了後」の事故が対象です。
間違えやすいところ
- 工事完了後の事故に対して請負業者賠償責任保険が適用されると誤解しやすい点に注意が必要です。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の損害保険約款基準
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
米国の経済指標および金融政策
金融資産運用 · ISM製造業景況感指数 / 米国雇用統計 / FF金利 / テーパリング
米国の経済指標・金融政策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
米国の中央銀行制度(FRB/FOMC)による金融政策と主要経済指標(ISM景況感指数、米雇用統計)の動向は、世界の金融市場に多大な影響を与えるため、その定義や金融危機の際の金融緩和・正常化プロセスの推移を正しく把握することが重要です。
解き方
- 選択肢1について、ISM製造業景況感指数の定義と分岐点(50)が正しいことを確認します。
- 選択肢2について、米労働省労働統計局発表の雇用統計(非農業部門雇用者数・失業率)の役割が正しいことを確認します。
- 選択肢3について、2020年3月のコロナショックに伴う緊急利下げでFFレート誘導目標が0.00~0.25%とされた事実を確認します。
- 選択肢4について、2021年11月のFOMCで決定されたのはテーパリングの開始(資産買い入れの縮小開始)であり、終了ではないため不適切と判断します。
- 選択肢 1不正解
- ISM製造業景況感指数は米供給管理協会が算出・公表する指数で、50%を景況感の拡大・縮小の分岐点とします。
- 選択肢 2不正解
- 米雇用統計は米労働省から毎月第1金曜日に発表され、景気動向を敏感に反映する代表的な指標です。
- 選択肢 3不正解
- FRBは新型コロナウイルス感染症拡大を受け、2020年3月に2回の緊急利下げを実施して実質ゼロ金利(0.00~0.25%)を導入しました。
- 選択肢 4正解
- 2021年11月のFOMCで決定・示されたのはテーパリング(量的緩和縮小)の「開始」であり、終了ではありません。
覚えるポイント
- テーパリング(Tapering)は量的緩和による資産買入額の縮小プロセスのことであり、終了したのは2022年3月です。
間違えやすいところ
- テーパリングの「開始」と「終了」の時期を混同しないように時系列を確認する必要があります。
出題の前提:2021年10月1日時点の金融市場情勢・公表データ
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種信託商品の特徴
金融資産運用 · 信託商品 / 遺言代用信託 / 後見制度支援信託 / 教育資金贈与信託 / 特定障害者扶養信託
各種信託商品の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
信託とは、委託者が受託者に財産を移転し、受託者が受益者のためにその財産を管理・運用・処分する制度です。民事信託や商事信託(信託銀行等の商品)には、相続・贈与や財産管理を用途に応じたスキームで行う多様な商品が設計されています。
解き方
- 各選択肢で取り上げられている信託商品の目的・対象者・根拠制度を確認する。
- 誤っている要件(法定後見と任意後見の違い、委託者の年齢制限、商品名称の相違)を排斥し、適切な記述を特定する。
- 選択肢 1正解
- 遺言代用信託は、委託者本人が生前は第一受益者となり、本人の死亡後は指定された第二受益者が財産を取得する信託であり、正しい記述です。
- 選択肢 2不正解
- 後見制度支援信託は、家庭裁判所の指示書に基づき「法定後見制度(成年後見)」において利用される信託であり、任意後見人を対象とするものではありません。
- 選択肢 3不正解
- 教育資金の一括贈与に係る信託(教育資金贈与信託)の委託者は受贈者の直系尊属(父母や祖父母等)であればよく、60歳以上という年齢要件はありません。
- 選択肢 4不正解
- 重度の障害者等の生活安定を支援し、6,000万円(特別障害者)または3,000万円(特定障害者)まで贈与税が非課税となる信託は「特定障害者扶養信託(特定贈与信託)」です。
覚えるポイント
- 遺言代用信託は生前第一受益者・死後第二受益者となる設計。
- 教育資金贈与信託の委託者は直系尊属であれば年齢制限なし。
- 後見制度支援信託は法定後見が対象。
間違えやすいところ
- 特定寄附信託(国や自治体・公益法人への寄附を目的とするもの)と、特定贈与信託(重度心身障害者等の生活安定を図る非課税信託)を混同しやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ETF(上場投資信託)の特徴と運用手法
金融資産運用 · ETF / インバース型 / ファクター投資 / マーケットニュートラル
ETF(上場投資信託)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
ETFは証券取引所に上場された投資信託であり、代表的な株価指数だけでなく、レバレッジ・インバース型や特定の投資スタイル・ファクターに着目したスマートベータ型、市場リスクを中立化するオルタナティブ型など多様な商品が存在します。
解き方
- 各選択肢に記載されたETFの制度的取扱いや運用特性(NISA受入、インバース型、ファクター型、マーケットニュートラル型)を整理する。
- マーケットニュートラルの本来の投資目的(市場全体の変動要因を除去して絶対収益を狙う手法)と記述内容の整合性を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 上場投資信託(ETF)は上場株式と同様に、一般NISA勘定で購入・受入れが可能な金融商品です。
- 選択肢 2不正解
- インバース型(ベア型)ETFは、原指数の日々の変動率にマイナス1倍やマイナス2倍などの負の倍数を乗じた指数に連動することを目指します。
- 選択肢 3不正解
- スマートベータ指数に連動するETFには、高配当に着目する「高利回り」や、ボラティリティを抑える銘柄配分を行う「最小分散」などのファクターがあります。
- 選択肢 4正解
- マーケットニュートラル戦略は、ロングとショートを組み合わせて市場全体のリスク(ベータ)を中立化する手法であり、株式市場の下落局面でも相場変動による影響を抑える設計となっています。
覚えるポイント
- マーケットニュートラルは市場全体(ベータ)の影響を排除し、個別銘柄選定によるアルファを狙う手法。
- インバース型は原指標の逆方向(負の倍数)に連動する。
間違えやすいところ
- マーケットニュートラルをレバレッジ型のように市場変動を増幅させる戦略と誤解しやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種債券の商品性と仕組み
金融資産運用 · 個人向け国債 / ストリップス債 / デュアルカレンシー債 / EB債
各種債券の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
債券には一般的な普通社債のほか、元本と利息を分離したストリップス債、複数の通貨を組み合わせた仕組債(二重通貨債)、デリバティブを組み込んで他社株式による現物償還リスクを負う代わりに高利回りを設定したEB債などがあります。
解き方
- 個人向け国債の最低金利保証(年0.05%)の正誤を確認する。
- ストリップス債および二重通貨債(デュアル/リバース・デュアル)の通貨構成を確認する。
- EB債(他社株転換社債)における株式償還が発生する条件(対象株価の下落時)と記述(上回ると現物交付)の正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 個人向け国債(変動10年、固定5年、固定3年)には、いずれの種類にも年率0.05%の最低利率保証(下限)が設定されています。
- 選択肢 2不正解
- ストリップス債は、利付債の元本部分と各利札(クーポン)部分を分離し、それぞれを割引債(ゼロクーポン債)として取引できるようにしたものです。
- 選択肢 3不正解
- 払込みと利払いが円貨で償還が外貨の債券をデュアルカレンシー債、払込みと償還が円貨で利払いが外貨の債券をリバース・デュアルカレンシー債と呼びます。
- 選択肢 4正解
- EB債は、対象株式の価格があらかじめ設定された権利行使価格(基準株価)を下回った場合に対象株式で償還され、上回っている場合は金銭(額面)で償還されます。
覚えるポイント
- EB債は株価が「下回った場合」に株で現物償還される(下落リスクを投資家が負う)。
- 個人向け国債の最低保証利率は年0.05%。
間違えやすいところ
- 転換社債型新株予約権付社債(CB)とEB債の転換条件の違いや、株式償還となる株価変動方向(上昇時ではなく下落時)を取り違えやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
サスティナブル成長率の計算
金融資産運用 · サスティナブル成長率 / ROE / 配当性向 / 内部留保率
下記の〈資料〉から算出されるサスティナブル成長率として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 〈資料〉 当期純利益:300億円、EPS:365円 損益分岐点売上高:3,600億円、BPS:3,034円 使用総資本回転率:1.24回、配当利回り:3.50% 自己資本比率:40.00%、配当性向:25.00% ※純資産の金額と自己資本の金額は同じである。
解答・解説を表示
解答
2
解説
サスティナブル成長率は、企業が外部からの資本調達を行わずに、自社の内部留保のみによって達成可能な利益(資本)の成長率を示し、「ROE(自己資本利益率)×内部留保率(1-配当性向)」で算出されます。
解き方
- ROEをEPSとBPSから計算する:ROE=EPS/BPS=365円/3,034円≒12.0303%。
- 内部留保率を求める:内部留保率=1-配当性向=1-0.25=0.75(75%)。
- サスティナブル成長率を計算する:12.0303%×0.75≒9.0227%。
- 小数点以下第3位を四捨五入して9.02%を導く。
- 選択肢 1不正解
- 計算過程または使用する指標の選択に誤りがあります。
- 選択肢 2正解
- サスティナブル成長率=(365円/3,034円)×(1-0.25)≒0.090227...となり、四捨五入すると9.02%となります。
- 選択肢 3不正解
- 配当性向等を正しく乗じていない誤った計算結果です。
- 選択肢 4不正解
- 不要な資料(回転率や自己資本比率等)を誤って組み合わせた誤計算です。
覚えるポイント
- サスティナブル成長率=ROE×内部留保率=ROE×(1-配当性向)
- ROE=EPS/BPS
間違えやすいところ
- ROEの算出に必要なEPSとBPS以外の資料(損益分岐点売上高や使用総資本回転率など)に惑わされて計算を誤りやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
日経225先物取引(ラージ)の制度概要
金融資産運用 · 日経225先物取引 / 取引単位 / 呼値の単位 / 限月 / SQ値
国内の取引所に上場している日経225先物取引(ラージ)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
株価指数先物取引は、将来の一定期日にあらかじめ約定した価格で株価指数を売買することを約束する取引です。大阪取引所に上場する日経225先物(ラージ)の取引単位は指数の1,000倍、呼値単位は10円と規定されています。
解き方
- 上場市場(大阪取引所)および取引単位(指数の1,000倍)の正誤を確認する。
- 呼値の単位を確認する(ラージは10円刻み、ミニは5円刻み)。
- 取引最終日(SQ日の前営業日)およびSQ値による差金決済ルールを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 日経225先物は日経平均株価を原資産とする株価指数先物であり、株式会社大阪取引所に上場されています。
- 選択肢 2不正解
- 日経225先物(ラージ)の取引単位は指数の1,000倍であり、指数30,000円時の想定元本(最低取引金額)は3,000万円です。
- 選択肢 3正解
- 日経225先物(ラージ)の呼値の単位は「10円」刻みです。100円刻みではありません。
- 選択肢 4不正解
- 取引最終日は各限月の第2金曜日(SQ日)の前営業日であり、満期まで未決済の建玉はSQ値によって決済(差金決済)されます。
覚えるポイント
- 日経225先物(ラージ)の呼値の単位は10円、取引単位は1,000倍。
- 日経225ミニの呼値の単位は5円、取引単位は100倍。
間違えやすいところ
- 呼値単位(ラージ10円、ミニ5円)と、取引単位倍率(ラージ1,000倍、ミニ100倍)を混同しやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
シャープ・レシオおよびトレイナーの測度の計算
金融資産運用 · ポートフォリオ評価 / シャープ・レシオ / トレイナーの測度 / 標準偏差 / ベータ
以下の表における①ポートフォリオXのシャープ・レシオ(シャープの測度)と②ポートフォリオYのトレイナーの測度の組合せとして、次のうち最も適切なものはどれか。なお、計算結果は小数点以下第3位を四捨五入すること。 安全資産:収益率 1.0%、標準偏差 -、ポートフォリオのβ - ベンチマーク:収益率 5.0%、標準偏差 10.0%、ポートフォリオのβ 1.00 ポートフォリオX:収益率 8.0%、標準偏差 6.0%、ポートフォリオのβ 1.10 ポートフォリオY:収益率 12.0%、標準偏差 15.0%、ポートフォリオのβ 1.20
解答・解説を表示
解答
1
解説
ポートフォリオのパフォーマンス評価指標において、シャープ・レシオは超過収益率を「総リスク(標準偏差)」で除した値であり、トレイナーの測度は超過収益率を「市場リスク(ベータ)」で除した値です。
解き方
- ①ポートフォリオXの超過収益率(8.0%-1.0%=7.0%)を求め、標準偏差(6.0%)で除す:7.0/6.0≒1.1666...→四捨五入して1.17。
- ②ポートフォリオYの超過収益率(12.0%-1.0%=11.0%)を求め、ベータ(1.20)で除す:11.0/1.20≒9.1666...→四捨五入して9.17。
- ①と②の組み合わせを選択肢から特定する。
- 選択肢 1正解
- ポートフォリオXのシャープ・レシオは1.17、ポートフォリオYのトレイナーの測度は9.17であり、正しく計算されています。
- 選択肢 2不正解
- ポートフォリオYのトレイナーの測度の計算で、安全資産利子率を引かなかったりベンチマークを誤用したりした誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 除数(標準偏差とベータ)や超過収益率の引き算を取り違えた誤計算です。
- 選択肢 4不正解
- シャープ・レシオとトレイナーの測度の両方で計算式を取り違えた誤りです。
覚えるポイント
- シャープ・レシオ=(ポートフォリオ収益率-安全資産利子率)/標準偏差
- トレイナーの測度=(ポートフォリオ収益率-安全資産利子率)/ベータ
間違えやすいところ
- 超過リターンの計算時に安全資産利子率(1.0%)を差し引くのを忘れて計算してしまうこと。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨建金融商品の課税関係
金融資産運用 · 外貨定期預金 / 為替差益 / 外国株式配当 / 外国利付債券
個人(居住者)が購入等する外貨建金融商品の課税関係に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
外貨建預金の利子は利子所得として源泉分離課税、為替差益は原則として雑所得(総合課税)となります。また、国内の証券会社を通じて受け取る外国上場株式の配当や外国特定公社債の利子は、国内源泉徴収が行われ確定申告不要制度の対象となります。
解き方
- 外貨定期預金の利子(利子所得・源泉分離課税)と為替差益(雑所得・総合課税)の課税区分を確認する。
- 外貨から外貨への預け替え時における換算為替レート(原則としてTTM=仲値)を確認する。
- 上場外国株式の配当および国外特定公社債の利子の確定申告不要制度の適用の可否を確認する。
- 選択肢 1正解
- 外貨定期預金の利子は一律20.315%の源泉分離課税、為替予約なしで生じる為替差益は雑所得として総合課税の対象となるため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 外貨定期預金の満期日に外貨のまま他行等へ預け替えた際の為替差損益の邦貨換算は、原則としてTTM(電信売買相場の仲値)を用いて計算します。
- 選択肢 3不正解
- 国内の証券会社を通じて受領する上場外国株式の配当金は、外国税額控除後の額に対して国内源泉徴収が行われ、確定申告不要制度を選択できます。
- 選択肢 4不正解
- 国外特定公社債の利子は申告分離課税の対象ですが、国内証券会社を通じて受け取る場合は国内源泉徴収されるため確定申告不要制度を選択できます。
覚えるポイント
- 外貨預金の為替差益は「雑所得・総合課税」。為替差損は他の雑所得と通算可能だが他の所得とは損益通算不可。
- 外貨預金の円換算レートは原則としてTTM(仲値)。
間違えやすいところ
- 為替差益の換算にTTBを使うと誤認すること(TTBは顧客が外貨を売って円を買う相場、税務上の原則換算はTTM)。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
消費者契約法およびインサイダー取引規制
金融資産運用 · 消費者契約法 / 取消権の行使期間 / インサイダー取引規制 / 会社関係者 / 相続による取得
消費者契約法および金融商品取引法(インサイダー取引規制)に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 消費者契約法による消費者の消費者契約の取消権は、原則として、消費者が追認をすることができる時から1年間行わないとき、または消費者契約の締結時から5年を経過したときに消滅する。 (b) 上場会社の職員が退職し、会社関係者でなくなったとしても、会社関係者でなくなってから1年以内の者は、会社関係者と同様にインサイダー取引規制の対象とされる。 (c) 相続による上場株式の取得は、インサイダー取引規制の対象とはならない。
解答・解説を表示
解答
3
解説
消費者契約法では誤認・困惑による取消権の時効(追認可能時から1年、契約締結時から5年)を定めています。また、金融商品取引法のインサイダー取引規制では、役職員退職後1年以内の元関係者も規制対象とし、売買等の意思に基づかない相続等による株式取得は規制対象外と規定しています。
解き方
- 記述(a)の消費者契約法上の取消権の消滅時効期間(追認可能時から1年、契約から5年)の正確性を確認する(適切)。
- 記述(b)のインサイダー取引規制における元会社関係者の対象期間(退職後1年以内)を確認する(適切)。
- 記述(c)のインサイダー取引規制における適用除外取引(相続等の包括承継)を確認する(適切)。
- 3つの記述がすべて適切であることを確認し、「3つ」の選択肢を選ぶ。
- 選択肢 1不正解
- 記述(a)、(b)、(c)のすべてが適切であるため、1つとする選択は誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 記述(a)、(b)、(c)のすべてが適切であるため、2つとする選択は誤りです。
- 選択肢 3正解
- (a)、(b)、(c)の記述はいずれも正しく適切であるため、「3つ」が正解です。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述が存在するため、0とする選択は誤りです。
覚えるポイント
- 消費者契約の取消権:追認できる時から1年、締結時から5年で消滅。
- インサイダー取引規制:退職後1年以内の元役職員も会社関係者として規制対象。
- 相続による株式の取得はインサイダー取引規制の対象外。
間違えやすいところ
- 退職した社員は直ちにインサイダー規制の対象から外れると誤解しやすい点に注意。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の納税義務者と課税所得の範囲
タックスプランニング · 納税義務者の区分 / 非永住者 / 非居住者 / 課税所得の範囲
所得税の納税義務者と課税所得の範囲に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 非永住者以外の居住者は、日本国内および日本国外で生じたすべての所得に対して、日本国内において所得税が課される。 (b) 非永住者が日本国内の企業に勤務して得られる給与所得については、日本国内において所得税が課される。 (c) 非居住者が日本国内に有する不動産を他人に賃貸することで得られる不動産所得については、日本国内において所得税が課される。
解答・解説を表示
解答
3
解説
所得税法上、個人は居住者(非永住者以外の居住者・非永住者)と非居住者に区分されます。非永住者以外の居住者は全世界所得、非永住者は国内源泉所得および国外源泉所得のうち国内払・国内送金されたもの、非居住者は国内源泉所得に対してのみ課税されます。
解き方
- 記述(a)の適否を判定:非永住者以外の居住者はすべての所得(全世界所得)に課税されるため適切です。
- 記述(b)の適否を判定:国内企業勤務の給与は国内源泉所得となるため、非永住者にも日本国内で課税され適切です。
- 記述(c)の適否を判定:日本国内にある不動産の賃貸料は国内源泉所得に該当するため、非居住者にも日本国内で課税され適切です。
- 適切な記述の個数をカウントし、3つであるため選択肢3を選びます。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)、(b)、(c)の3つすべてであるため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は(a)、(b)、(c)の3つすべてであるため誤りです。
- 選択肢 3正解
- 記述(a)、(b)、(c)のすべてが適切であるため、正解となります。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述が存在しないわけではないため誤りです。
覚えるポイント
- 非永住者以外の居住者は全世界所得に課税されること
- 国内源泉所得は非居住者や非永住者にも日本で課税されること
間違えやすいところ
- 非永住者を非居住者と混同すること
- 国内にある不動産の賃料収入が非居住者の国内源泉所得に該当しないと誤解すること
出題の前提:2021年10月1日現在施行の所得税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住者に係る所得税の退職所得
タックスプランニング · 退職所得控除額 / 退職所得の受給に関する申告書 / 確定拠出年金の一時金 / 特定役員退職手当等
居住者に係る所得税の退職所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
退職所得は、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した後の金額の2分の1(特定役員退職手当等などを除く)として計算されます。「退職所得の受給に関する申告書」を提出すると、適正な退職所得控除を反映した税率で源泉徴収され分離課税として課税が完結します。
解き方
- 選択肢1を検討:勤続25年3カ月は26年に切り上げられます。20年超の控除額は800万円+70万円×(26-20)=1,220万円です。障害者となったことに直接基因して退職したため100万円が加算され、合計1,320万円となり適切です。
- 選択肢2を検討:申告書を提出した場合は正規の累進税率等で適正に源泉徴収されます。支払金額に一律20.42%を乗じて源泉徴収されるのは申告書を「提出しなかった」場合であるため不適切です。
- 選択肢3を検討:確定拠出年金の老齢給付金を一時金で受給した場合、退職手当等とみなされて退職所得の収入金額となるため適切です。
- 選択肢4を検討:役員等としての勤続年数が5年以下の役員等退職手当等は「特定役員退職手当等」に該当し、2分の1課税が適用されないため適切です。
- 選択肢 1不正解
- 勤続年数は26年として計算され、800万円+70万円×6年=1,220万円に障害者退職加算100万円が加わるため1,320万円で正しいです。
- 選択肢 2正解
- 申告書を提出したときは退職所得控除を差し引いた額に対して正規の税率で源泉徴収されるため、20.42%の税率で源泉徴収されるとする記述は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 確定拠出年金の老齢給付金を一時金として一括受領した場合は退職所得とみなされるため正しいです。
- 選択肢 4不正解
- 役員等としての勤続年数が5年以下であるため特定役員退職手当等として計算され正しいです。
覚えるポイント
- 退職所得の受給に関する申告書を提出しない場合は一律20.42%が源泉徴収され、確定申告で精算すること
- 障害者退職の場合は退職所得控除額に100万円が加算されること
間違えやすいところ
- 申告書を「提出した場合」と「提出しなかった場合」の源泉徴収方法を逆に覚えてしまうこと
出題の前提:2021年10月1日現在施行の所得税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
総所得金額の計算と損益通算
タックスプランニング · 損益通算 / 事業所得の損失 / 不動産所得 / 一時所得 / 土地取得借入金利子
居住者であるAさんの2021年分の各種所得の収入金額等が下記のとおりであった場合の総所得金額として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、Aさんは青色申告を行っていないものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。 ・事業所得(個人商店):総収入金額800万円、必要経費900万円 ・不動産所得(賃貸アパート):総収入金額700万円、必要経費640万円(当該所得を生ずべき土地の取得に要した負債の利子10万円を含んだ金額) ・一時所得(養老保険30年満期の満期保険金):総収入金額500万円、収入を得るために支出した金額350万円
解答・解説を表示
解答
3
解説
総所得金額を計算する際、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得の赤字は一定のルールに基づき損益通算できます。一時所得の金額は「総収入金額-支出金額-特別控除(最高50万円)」で計算され、赤字との損益通算は2分の1にする前の一時所得の金額から行われます。
解き方
- 事業所得を計算:800万円-900万円=▲100万円(全額通算対象)。
- 不動産所得を計算:700万円-640万円=+60万円(黒字であるため土地取得利子の通算規制は無関係)。
- 一時所得の金額を計算:500万円-350万円-50万円(特別控除)=100万円。
- 損益通算を実行:不動産所得60万円+事業所得▲100万円=▲40万円。
- 一時所得との通算:一時所得の金額100万円から通算残余の損失40万円を控除すると60万円。これを2分の1にして総所得金額に算入するため、60万円×1/2=30万円。
- 選択肢 1不正解
- 一時所得を先に2分の1(50万円)にしてから損失40万円を差し引く誤った計算を行うと10万円となります。
- 選択肢 2不正解
- 計算手順または通算対象額の算定に誤りがあります。
- 選択肢 3正解
- 一時所得の金額100万円から損失▲40万円を控除した60万円に2分の1を乗じた30万円が総所得金額となります。
- 選択肢 4不正解
- 特別控除や損益通算順序の誤りに基づく数値です。
覚えるポイント
- 一時所得は損益通算を先に行い、その残額を2分の1にして総所得金額に算入すること
- 不動産所得が黒字であれば土地負債利子の損益通算不適用は問題にならないこと
間違えやすいところ
- 一時所得を先に1/2にしてから他の赤字と通算してしまう誤り
出題の前提:2021年10月1日現在施行の所得税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住者に係る所得税の所得控除
タックスプランニング · 障害者控除 / 同居特別障害者 / 配偶者控除の要件 / 寡婦控除 / ひとり親控除
居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
所得税の寡婦控除は、いわゆる「死別」と「離婚」で要件が異なります。夫と死別した後に婚姻していない人は、合計所得金額が500万円以下(事実婚なし)であれば扶養親族の有無を問われません。一方、離婚の場合は扶養親族を有していることが必須要件となります。
解き方
- 選択肢1を検討:同居特別障害者の障害者控除額は75万円(通常は40万円)であるため適切です。
- 選択肢2を検討:青色事業専従者給与の支払を受ける者や事業専従者控除の適用を受ける者は配偶者控除の対象外となるため適切です。
- 選択肢3を検討:夫と「死別」した場合は、扶養親族を有していなくても本人の合計所得金額が500万円以下等であれば寡婦控除を受けられるため不適切です。
- 選択肢4を検討:ひとり親控除は、生計を一にする子(総所得金額等48万円以下)、本人の合計所得金額500万円以下、事実婚関係がないことの要件を満たす必要があるため適切です。
- 選択肢 1不正解
- 同一生計配偶者や扶養親族が同居特別障害者に該当する場合の控除額は75万円であるため正しいです。
- 選択肢 2不正解
- 青色事業専従者給与の支払を受ける者等は、配偶者控除や配偶者特別控除の対象外とされるため正しいです。
- 選択肢 3正解
- 夫と死別した場合は扶養親族がいなくても合計所得金額が500万円以下であれば寡婦控除の適用を受けられるため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- ひとり親控除の要件として、生計を一にする子(総所得金額等48万円以下)、本人の所得500万円以下、事実婚なしの要件を満たす必要があるため正しいです。
覚えるポイント
- 死別寡婦は扶養親族が不要だが、離婚寡婦は扶養親族(子以外)が必要であること
- 同居特別障害者控除は75万円であること
間違えやすいところ
- 死別と離婚の寡婦控除の要件を混同すること
出題の前提:2021年10月1日現在施行の所得税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人住民税の仕組みと手続き
タックスプランニング · 均等割 / 退職所得に係る住民税 / 非課税限度額 / 特別徴収と普通徴収の選択
個人住民税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
地方税法上、給与所得者の個人住民税は原則として特別徴収義務者(給与支払者)が特別徴収することとされています。確定申告書第二表で「自分で納付(普通徴収)」を選択できるのは、「給与・公的年金等以外の所得」に係る住民税税額に限られます。
解き方
- 選択肢1を検討:市町村内に住所がなくても、事務所・事業所・家屋敷を有する個人には均等割が課されるため適切です。
- 選択肢2を検討:退職所得に係る住民税所得割は現年分離課税であり、退職手当等の支払を受ける年に他の所得と区分して課税(源泉徴収)されるため適切です。
- 選択肢3を検討:障害者、未成年者、寡婦またはひとり親で前年中の合計所得金額が135万円以下である者は、均等割・所得割ともに非課税となるため適切です。
- 選択肢4を検討:給与所得に対する住民税所得割については任意に普通徴収を選択することは認められていないため不適切です。
- 選択肢 1不正解
- 市内に住所を有しない者でも事務所・事業所等を有する場合は均等割が課税されるため正しいです。
- 選択肢 2不正解
- 退職所得に係る住民税は前年課税ではなく現年分離課税としてその年に課されるため正しいです。
- 選択肢 3不正解
- ひとり親等の合計所得金額が135万円以下の場合、個人住民税の均等割・所得割が非課税となるため正しいです。
- 選択肢 4正解
- 普通徴収を選択できるのは給与所得・公的年金等以外の所得に限られ、給与所得に係る住民税は普通徴収を選べないため誤りです。
覚えるポイント
- 住民税において普通徴収を選択できるのは給与・年金以外の所得に係る税額であること
- 退職所得に係る住民税は現年分離課税であること
間違えやすいところ
- 給与所得者本人が希望すれば自由に普通徴収に切り替えられると誤認すること
出題の前提:2021年10月1日現在施行の地方税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税における貸倒損失の取扱い
タックスプランニング · 法律上の貸倒れ / 事実上の貸倒れ / 形式上の貸倒れ / 金銭債権の貸倒損失
法人税における貸倒損失の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
法人税における貸倒損失には、法律上の貸倒れ、事実上の貸倒れ、形式上の貸倒れがあります。このうち形式上の貸倒れ(取引停止後1年経過や取立費用が債権額を超える場合)が認められる対象債権は「売掛債権」等に限定されており、貸付金には形式上の貸倒れの適用がありません。
解き方
- 選択肢1を検討:会社更生法の更生計画認可等により切り捨てられた債権は、法律上の貸倒れとして損金算入されるため適切です。
- 選択肢2を検討:事実上の貸倒れにおいて担保物がある場合は、その担保物を処分した後でなければ全額回収不能と判定できないため適切です。
- 選択肢3を検討:取引停止後1年以上経過による形式上の貸倒れは「売掛債権」にのみ認められ、貸付金には適用されないため不適切です。
- 選択肢4を検討:取立費用が債権総額を超える売掛債権について督促しても弁済がない場合、備忘価額を控除して損金経理できる形式上の貸倒れとして適切です。
- 選択肢 1不正解
- 会社更生法等の手続により切り捨てが決定した金額は法律上の貸倒れとして損金算入されるため正しいです。
- 選択肢 2不正解
- 担保物がある場合はその処分後でなければ回収不能額が確定しないため、担保処分前の損金経理は認められず正しいです。
- 選択肢 3正解
- 取引停止後1年経過による形式上の貸倒れは売掛債権が対象であり、貸付金には適用されないため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 取立費用が債権額を超える場合の形式上の貸倒れとして、備忘価額控除後の金額を損金経理できるため正しいです。
覚えるポイント
- 取引停止後1年経過の形式上の貸倒れは売掛債権のみが対象で、貸付金は対象外であること
間違えやすいところ
- 貸付金についても取引停止後1年経過の形式上の貸倒れが適用できると勘違いすること
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法人税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
青色申告法人の欠損金の繰越控除
タックスプランニング · 欠損金の繰越控除 / 中小法人等の特例 / 控除限度額 / 繰越期間
青色申告法人の欠損金の繰越控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、法人は資本金の額が5億円以上の法人に完全支配されている法人等ではない中小法人等であるものとし、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
青色申告法人の繰越欠損金は、大法人等では控除前所得金額の50%相当額が控除限度額とされていますが、中小法人等(資本金1億円以下で大法人による完全支配関係等がない法人)については所得の100%まで控除が認められています。また、繰越期間は平成30年4月1日以後に開始する事業年度は10年(平成20年4月1日~平成30年3月31日開始事業年度は9年)です。
解き方
- 選択肢1を検討:欠損金が生じた年度に青色申告書を提出し、その後の各事業年度について連続して確定申告書を提出することが要件であるため適切です。
- 選択肢2を検討:2以上の事業年度の欠損金がある場合、最も古い事業年度に生じたものから順次控除するため適切です。
- 選択肢3を検討:2012年4月1日開始事業年度の欠損金の繰越期間は9年であり、2021年4月1日開始事業年度は9年目に該当するため損金算入可能で適切です。
- 選択肢4を検討:資本金1億円以下の中小法人等は所得の100%相当額まで控除可能であり、50%限度とする記述は不適切です。
- 選択肢 1不正解
- 欠損金発生年度の青色申告書提出と、その後の連続した確定申告書の提出が必要であるため正しいです。
- 選択肢 2不正解
- 古い事業年度の欠損金から順次損金算入していくため正しいです。
- 選択肢 3不正解
- 2012年4月1日開始事業年度に生じた欠損金(繰越期間9年)は2021年4月1日開始事業年度まで損金算入可能なため正しいです。
- 選択肢 4正解
- 中小法人等における欠損金の控除限度額は所得の100%であり、50%相当額とする記述は誤りです。
覚えるポイント
- 中小法人等は欠損金を所得の100%まで控除できること
- 大法人等の控除限度額は所得の50%であること
間違えやすいところ
- 大法人に対する50%限度規制が中小法人等にも適用されると誤解すること
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法人税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
消費税の簡易課税制度
タックスプランニング · 簡易課税制度選択届出書 / 2年継続適用要件 / 高額特定資産の仕入れ等 / みなし仕入率の適用
消費税の簡易課税制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
消費税の簡易課税制度は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が、原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに届出書を提出して選択する制度です。選択した後は原則として2年間継続適用しなければ取りやめることができません。
解き方
- 選択肢1を検討:届出書の提出期限は、原則として適用を受けようとする課税期間の「初日の前日まで」(新規開業等の例外を除く)であるため不適切です。
- 選択肢2を検討:簡易課税制度の選択後は2年間継続適用の縛りがあり、2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ取りやめ届出書を提出できないため適切です。
- 選択肢3を検討:高額特定資産の仕入れ等を行った場合の簡易課税選択の制限期間は「3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの期間」(5年ではない)であるため不適切です。
- 選択肢4を検討:区分していない事業のうち「最も低いみなし仕入率」が適用されるため、営む事業の種類にかかわらず一律第六種(40%)になるわけではないため不適切です。
- 選択肢 1不正解
- 届出書の提出期限は原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までであるため誤りです。
- 選択肢 2正解
- 簡易課税を選択した場合は2年間の継続適用義務があるため、記述の通りの期間を経過するまで不適用届出書を提出できず正しいです。
- 選択肢 3不正解
- 高額特定資産の仕入れ等を行った場合の制限期間は5年ではなく3年であるため誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 区分していない場合は「営んでいる事業の種類の中で最も低いみなし仕入率」が適用されるため、営んでいない第六種の40%が一律適用されるわけではなく誤りです。
覚えるポイント
- 簡易課税の届出は原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までであること
- 簡易課税は選択後2年間の継続適用義務があること
間違えやすいところ
- 高額特定資産の制限年数を3年ではなく5年と誤認すること
- 未区分の課税売上に対して無条件に第六種(40%)が適用されると誤解すること
出題の前提:2021年10月1日現在施行の消費税法等に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業事業再編投資損失準備金制度
タックスプランニング · 中小企業事業再編投資損失準備金 / M&A税制 / 法人税
中小企業事業再編投資損失準備金制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要な要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
中小企業事業再編投資損失準備金制度は、M&Aに伴う将来の簿外債務や減損損失等のリスクに備えるため、取得価額の70%以下を損金算入できる準備金積立を認める制度です。
解き方
- 中小企業事業再編投資損失準備金制度の対象法人・株式取得価額の上限(10億円)・積立限度(70%)の要件を確認する。
- 準備金の取崩し要件を確認し、株式等を譲渡等した場合は一括で益金算入される規定と5年経過後の均等取崩しの相違を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 青色申告書を提出する中小企業者のうち、経営力向上計画(一定の事業承継等事前調査に関する事項が記載されたもの)の認定を受けた法人が対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 本制度の対象となる株式等の取得価額は10億円以下とされており、10億円を超える場合には適用対象外となります。
- 選択肢 3不正解
- 経営力向上計画に基づき取得した他の法人の株式等の取得価額の70%以下の金額を準備金として積み立てた場合、損金算入が認められます。
- 選択肢 4正解
- 取得した株式等の全部を譲渡した場合は、その譲渡した事業年度において準備金の全額を一括して益金に算入します。5年均等取崩しではありません。
覚えるポイント
- 中小企業事業再編投資損失準備金:株式取得価額10億円以下、積立率70%以下、据置期間5年、全部譲渡時は一括益金算入。
間違えやすいところ
- 5年据置後の5年間均等取崩しと、全部譲渡・減損時の全額一括益金算入の取扱いを混同しやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の税法・租税特別措置法
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
宅地建物取引業法における媒介契約
不動産 · 媒介契約 / 専任媒介契約 / 専属専任媒介契約 / 一般媒介契約
宅地建物取引業法の媒介契約に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
宅地建物取引業法では、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類の媒介契約について、有効期間、業務処理状況の報告義務、指定流通機構(レインズ)への登録義務などを定めています。
解き方
- 媒介契約の種類ごとの義務(報告頻度、レインズ登録期限、自動更新の可否)を確認する。
- 一般媒介契約における明示型と非明示型の違いを適用して正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 専属専任媒介契約における業務処理状況の報告は「1週間に1回以上」行わなければなりません(2週間に1回以上は専任媒介契約の義務)。
- 選択肢 2不正解
- 専任媒介契約の有効期間(最長3カ月)の更新は依頼者の申出によるものに限られ、あらかじめ自動更新する特約は無効となります。
- 選択肢 3正解
- 一般媒介契約には明示型と非明示型があり、他の宅地建物取引業者を明示しない契約とすることも可能です。
- 選択肢 4不正解
- 一般媒介契約には指定流通機構(レインズ)への登録義務はありません。専任媒介契約は7日以内、専属専任媒介契約は5日以内に登録義務があります。
覚えるポイント
- 専任媒介:有効期間3カ月以内、報告2週間に1回以上、レインズ登録7日以内、自己発見取引可能。
- 専属専任:有効期間3カ月以内、報告1週間に1回以上、レインズ登録5日以内、自己発見取引不可。
間違えやすいところ
- 専属専任(1週間に1回以上・5日以内)と専任(2週間に1回以上・7日以内)の日数・頻度を取り違えやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の宅地建物取引業法
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
定期借地権および定期建物賃貸借
不動産 · 借地借家法 / 事業用定期借地権 / 定期建物賃貸借
借地借家法の定期借地権および定期建物賃貸借に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
借地借家法における事業用定期借地権等は専ら事業の用に供する建物の所有を目的とし、公正証書で設定します。定期建物賃貸借契約は更新がなく期間満了により終了しますが、所定の要件や終了通知・中途解約権の規定があります。
解き方
- 事業用借地権の期間延長および特約の自動排除規定を確認する。
- 定期建物賃貸借の終了通知期間(1年以上の契約は1年前から6カ月前まで)と中途解約要件(1カ月経過で終了)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 存続期間を10年以上30年未満とする事業用定期借地権では、法律上当然に契約の更新、建物の築造による延長、建物買取請求権が排除されるため、特約として定める必要はありません(30年以上50年未満の場合は特約で定める必要があります)。
- 選択肢 2正解
- 存続期間15年の事業用定期借地権について、双方の合意があれば、通算期間が50年未満の範囲内(15年+5年=20年)で存続期間を延長することができます。
- 選択肢 3不正解
- 賃貸借期間が1年以上である定期建物賃貸借契約においては、建物の賃貸人は期間満了の1年前から6カ月前までの間に賃借人に対して終了通知をしなければ、期間満了による終了を対抗できません。
- 選択肢 4不正解
- 床面積200㎡未満の居住用建物の定期建物賃貸借において、転勤・療養・親の介護等のやむを得ない事由により生活の本拠として使用することが困難になった場合の中途解約では、解約申入れの日から「1カ月」を経過することによって賃貸借が終了します(3カ月ではありません)。
覚えるポイント
- 事業用定期借地権:10年以上30年未満は更新・延長・買取請求が法律上当然に排除。30年以上50年未満は特約が必要。
- 定期建物賃貸借の居住用中途解約:200㎡未満、やむを得ない事情、解約申入れから1カ月で終了。
間違えやすいところ
- 定期建物賃貸借の事前説明(書面)と終了通知(1年前〜6カ月前)の手続きを混同しやすい。
- 居住用定期建物賃貸借の中途解約効力発生までの期間(1カ月)を3カ月等と誤解しやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の借地借家法
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
都市計画法上の諸規定
不動産 · 都市計画法 / 高度地区 / 開発許可 / 都市計画施設
都市計画法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
都市計画法では、都市計画区域および準都市計画区域内の適正な発展・保全を図るため、地域地区(高度地区や高度利用地区など)の定義や開発許可制度、都市計画施設等の区域内の建築規制を定めています。
解き方
- 都市計画施設予定地内の建築制限(知事等の許可があれば2階以下・地階なし・木造等の建築可能)を確認する。
- 開発行為(区画形質の変更)の定義(単なる分筆登記は該当しない)を確認する。
- 都市計画法第9条第18項の高度地区の定義と合致するか判定する。
- 選択肢 1不正解
- 都市計画道路等の予定地内であっても、都道府県知事等の許可を受ければ、階数が2以下で地階を有しない木造等の建築物を建築することができます。
- 選択肢 2不正解
- 単に土地の分筆登記を行うのみでは、土地の「区画形質の変更」に該当せず、開発行為の許可を受ける必要はありません。
- 選択肢 3不正解
- 準都市計画区域は、都市計画区域外の区域で土地利用の整序や環境保全を図るために指定される区域であり、設問の記述は都市計画区域の説明に近い誤った内容です。
- 選択肢 4正解
- 都市計画法第9条第18項の規定どおり、高度地区は建築物の高さの最高限度または最低限度(準都市計画区域では最高限度)を定める地区です。
覚えるポイント
- 高度地区:高さの最高限度・最低限度を定める(準都市計画区域は最高限度のみ)。
- 高度利用地区:容積率の最高・最低、建ぺい率の最高、建築面積の最低、壁面後退等を定める。
間違えやすいところ
- 「高度地区」(高さの制限)と「高度利用地区」(容積率や建ぺい率等の利用集積)の定義の混同に注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の都市計画法
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法に定める道路
不動産 · 建築基準法 / 道路の定義 / 2項道路 / みなし道路
建築基準法で定める道路に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、特定行政庁が指定する幅員6mの区域ではないものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
建築基準法上の道路は原則として幅員4m以上(特定行政庁指定区域は6m以上)ですが、基準時時点で現に建築物が立ち並ぶ幅員4m未満の道で特定行政庁の指定を受けたものは2項道路(みなし道路)となり、セットバックが必要です。
解き方
- 建築基準法第42条第2項のいわゆるみなし道路(2項道路)の境界線判定ルールを確認する。
- 両側に宅地がある場合は中心線から水平距離2m、片側が川・崖等の場合は川側の境界線から4m後退した線が道路境界線とみなされる規定を適用する。
- 選択肢 1不正解
- 道の片側が川、崖地、線路敷地等である場合、その川等の側の境界線から水平距離4m後退した線が道路の境界線とみなされます。
- 選択肢 2不正解
- 建築基準法第42条第1項第5号の位置指定道路は、土地を建築物の敷地として利用するため特定行政庁から位置の指定を受けた私道です。
- 選択肢 3正解
- 2項道路とみなされた道は、原則として「その中心線から水平距離2m後退した線」が道路境界線とみなされるため、敷地境界部分がそのまま境界線となるわけではありません。
- 選択肢 4不正解
- 土地区画整理法等による新設・変更の事業計画のある道路で、2年以内に執行予定として特定行政庁が指定したものは法42条1項4号の道路となります。
覚えるポイント
- 2項道路のセットバック:原則は道路中心線から2m後退。片側が崖・川等のときは対向側の境界線から4m後退。
間違えやすいところ
- 2項道路の指定を受けたからといって、現状の幅員(敷地境界)がそのまま道路幅員として扱われるわけではない点に注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の建築基準法第42条
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
農地法の権利移動および転用規制
不動産 · 農地法 / 農地法第3条 / 農地法第4条 / 農地法第5条 / 市街化区域の特例
農地法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
農地法では、農地の権利移動(3条)、自己転用(4条)、転用目的の権利移動(5条)について許可制を採っていますが、相続による取得は事後届出とし、また市街化区域内の農地転用(4条・5条)には事前の農業委員会への届出特例があります。
解き方
- 相続による農地取得時の手続(許可不要・知った時から概ね10カ月以内に届出)を確認する。
- 市街化区域内における農地法3条・4条・5条の特例の有無(3条には届出特例はない、4条・5条は面積に関わらず届出で可)を照合する。
- 選択肢 1正解
- 農地法第3条の3の規定により、相続等により農地の権利を取得した者は、その取得を知った時点から概ね10カ月以内に農業委員会に届け出なければなりません。
- 選択肢 2不正解
- 市街化区域内であっても、農地を農地のまま譲渡する農地法第3条の権利移動については事前の農業委員会への届出特例はなく、農業委員会の許可が必要です。
- 選択肢 3不正解
- 市街化調整区域内の農地を駐車場等に転用する場合(農地法4条)は、原則どおり都道府県知事等の許可が必要です(届出で足りるのは市街化区域内の農地)。
- 選択肢 4不正解
- 市街化区域内にある農地の転用を目的とした権利移動(第5条)は、面積の多寡にかかわらず、あらかじめ農業委員会に届け出れば知事等の許可は不要です。
覚えるポイント
- 相続による農地取得:許可不要だが、知った時から概ね10カ月以内に農業委員会へ届出。
- 市街化区域内の特例:4条・5条は面積に関わらず事前の農業委員会届出でOK(3条には特例なし)。
間違えやすいところ
- 市街化区域内の届出特例が第3条(農地から農地)には適用されない点を見落としやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の農地法
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
土地および建物に係る固定資産税
不動産 · 固定資産税 / 住宅用地の課税標準の特例 / 認定長期優良住宅の減額 / タワーマンションの按分
土地および建物に係る固定資産税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要な要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
固定資産税は毎年1月1日時点の所有者に課される地方税です。住宅用地には課税標準の特例、新築住宅・長期優良住宅には税額軽減特例、タワーマンションには階層別補正率による税額按分などの制度があります。
解き方
- 住宅用地の課税標準特例の対象範囲(自己居住用に限定されているか否か)を確認する。
- 貸家住宅の敷地も住宅用地として特例対象になることから、選択肢2の誤りを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 公法上の納税義務者は1月1日現在の所有者ですが、売買契約等において私人間で当事者間の日割り按分清算を取り決めることは有効かつ一般的です。
- 選択肢 2正解
- 住宅用地の課税標準の特例は、専用住宅だけでなく、共同住宅・賃貸マンション等の敷地である宅地にも広く適用されます。
- 選択肢 3不正解
- 3階建て以上の耐火・準耐火建築物である認定長期優良住宅の新築では、新築後7年度分にわたり、床面積120㎡相当部分までの固定資産税額が2分の1に減額されます。
- 選択肢 4不正解
- 高さ60mを超えるタワーマンション(居住用超高層建築物)の固定資産税は階層別補正率が導入されており、専有面積等が同じであれば階層が高くなるほど税額が高くなります。
覚えるポイント
- 住宅用地の特例:賃貸アパート・賃貸マンションの敷地にも適用可能(小規模住宅用地200㎡以下は1/6、超える部分は1/3)。
- 長期優良住宅の減額期間:一般住宅5年度分、中高層耐火住宅7年度分(120㎡分まで1/2軽減)。
間違えやすいところ
- 住宅用地特例を「自己居住用」に限定される住宅ローン控除や居住用財産の特例と混同しないこと。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の地方税法
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
不動産 · 譲渡所得 / 居住用財産の3000万円特別控除 / 特別関係者 / 家屋取り壊し後の敷地譲渡
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」(以下、「本特例」という)の適用に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。なお、各ケースにおいて、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。 (a) Aさんが、借地上にある自己の居住用家屋とともに、借地権を譲渡した場合、家屋の譲渡は本特例の対象となるが、借地権の譲渡は本特例の対象にならない。 (b) Bさんが、2020年2月に自己の居住用家屋を取り壊し、その家屋の敷地の用に供されていた土地を第三者に貸付けその他の用に供することなく、2020年12月にその土地の譲渡契約を締結して、2021年3月に引き渡した場合、本特例の適用を受けることができる。 (c) Cさんが、自己の居住用家屋とその敷地である宅地を、Cさんと生計を一にし、同居する長女の夫に譲渡し、譲渡後も引き続き長女の夫と生計を一にし同居している場合であっても、Cさんと長女の夫は直系血族ではないため、本特例の適用を受けることができる。
解答・解説を表示
解答
1
解説
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除は、居住用家屋やその敷地(借地権含む)の譲渡に適用されます。家屋取り壊し後の敷地譲渡要件や、配偶者・直系血族・生計を一にする親族等の特別関係者への譲渡除外規定を正確に把握する必要があります。
解き方
- 記述(a):家屋とともに譲渡する敷地の借地権が特例の対象に含まれるか判定する(対象となるため不適切)。
- 記述(b):家屋取壊し後の敷地譲渡の要件(取壊しから1年以内に契約、住まなくなった日から3年目の12月31日までに引渡し、他の用に供していない)を判定する(適切)。
- 記述(c):特別関係者(生計を一にする親族など)への譲渡に該当するか判定する(同居・生計一の親族への譲渡は対象外となるため不適切)。
- 適切な記述が(b)の1つであることを導く。
- 選択肢 1正解
- 適切なものは記述(b)の1つのみであるため、正解は「1」です。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述が2つあるとする選択肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述が3つあるとする選択肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述がない(0個)とする選択肢は誤りです。
覚えるポイント
- 敷地(借地権含む)も家屋とともに譲渡すれば3,000万円特別控除の対象となる。
- 家屋取壊し後の敷地譲渡:取壊しから1年以内に譲渡契約、住まなくなってから3年目の12月31日までに譲渡、貸付等に供していないこと。
- 特別関係者(配偶者、直系血族、生計を一にする親族等)への譲渡には適用できない。
間違えやすいところ
- 長女の夫(娘婿)は直系血族ではないが、「生計を一にする親族」に該当するため特別関係者として特例除外となる点に注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の租税特別措置法第35条
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産の投資分析(DCF法による収益価格の計算)
不動産運用設計 · 不動産投資分析 / DCF法 / 収益価格 / 現価係数
毎期末に1,000万円の純収益が得られる賃貸マンションを取得し、取得から3年経過後に1億5,000万円で売却するとした場合のDCF法による当該不動産の収益価格として、次のうち最も適切なものはどれか。なお、割引率は年5%とし、下記の年5%の各種係数を利用すること。また、記載のない事項については考慮しないものとする。 〈年5%の各種係数〉 期間(年)/現価係数/年金終価係数/資本回収係数 1年:0.952/1.000/1.050 2年:0.907/2.050/0.538 3年:0.864/3.153/0.367
解答・解説を表示
解答
2
解説
DCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法による収益価格は、投資期間中に得られる各期の純収益の現在価値の合計と、保有期間満了時における売却想定価格(復帰価格)の現在価値の合計によって算定されます。
解き方
- 各期(1年目〜3年目)の純収益1,000万円にそれぞれの現価係数を乗じて現在価値を算出し、3年分の合計を求めます(1,000万円×(0.952+0.907+0.864)=2,723万円)。
- 3年経過後の売却想定価格1億5,000万円に3年目の現価係数0.864を乗じて現在価値を求めます(1億5,000万円×0.864=1億2,960万円)。
- 純収益の現在価値合計と売却想定価格の現在価値を合算して収益価格を算出します(2,723万円+1億2,960万円=1億5,683万円)。
- 選択肢 1不正解
- 復帰価格の現在価値1億2,960万円と、3年目の純収益のみの現在価値または誤った係数計算による数値であり不適切です。
- 選択肢 2正解
- 純収益の現在価値合計2,723万円と売却価格の現在価値1億2,960万円の合算により、1億5,683万円となり適切です。
- 選択肢 3不正解
- 計算手順や使用する割引係数の選択を誤って算出された数値であり不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 割引計算を適切に行っていないか、別の係数を使用して導かれた数値であり不適切です。
覚えるポイント
- DCF法では保有期間の純収益現価合計と期末売却額の現価合計を合算する。
間違えやすいところ
- 3年目の純収益現価計算を忘れたり、売却価格に乗じる現価係数の年数を間違えるミスに注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
贈与税の課税財産等
相続・事業承継設計 · みなし贈与財産 / 生前贈与加算 / 離婚に伴う財産分与 / 共有持分の放棄
贈与税の課税財産等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、贈与者および受贈者はいずれも個人であるものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
相続開始前3年以内の贈与財産を相続税の課税価格に加算する生前贈与加算(相続税法第19条)は、相続や遺贈によって財産を取得した者のみに適用されます。財産を一切取得しない者への生前贈与は相続税に加算されず、贈与税が課されます。
解き方
- 相続または遺贈により財産を取得していない受贈者に対する生前贈与加算の適用の有無を確認します。
- 甥は財産を取得していないため加算対象外となり、贈与税が課されるため、選択肢2の記述が誤りであると判断します。
- 選択肢 1不正解
- 著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた場合、時価と支払対価との差額に相当する金額を贈与により取得したものとみなされます(みなし贈与)。
- 選択肢 2正解
- 相続や遺贈で財産を取得していない甥は生前贈与加算の対象外であり、相続税ではなく贈与税の課税対象となるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 離婚による財産分与は原則として受取側に贈与税は課されず、分与した側が時価で譲渡したものとして譲渡所得の課税対象となります。
- 選択肢 4不正解
- 共有者の1人が持分を放棄した場合、その持分は他の共有者に帰属し、他の共有者はその持分を贈与により取得したものとみなされます(みなし贈与)。
覚えるポイント
- 生前贈与加算が適用されるのは相続・遺贈により財産を取得した受贈者に限られる。
間違えやすいところ
- 相続開始前3年以内の贈与であっても、相続で財産をもらわない人への贈与は贈与税課税となる点を見落としやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税
相続・事業承継設計 · 教育資金一括贈与 / 契約終了事由 / 贈与者死亡時の管理残額 / 相続税額の2割加算
「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問における教育資金管理契約は、2021年4月1日以後に締結したものである。
解答・解説を表示
解答
3
解説
教育資金一括贈与特例において、管理期間中に贈与者が死亡した際、一定の要件のもと管理残額が相続税の課税対象(みなし相続財産)となりますが、受贈者はその後も教育資金としての払い出しを継続して行うことができ、信託等の契約自体は終了しません。
解き方
- 教育資金管理契約における贈与者死亡時の管理残額の取扱い(みなし相続財産への加算)を確認します。
- 死亡時に契約自体が終了するのか、それとも受贈者が30歳等に達するまで存続するのかを照合し、契約は終了しないため選択肢3が不適切であると判定します。
- 選択肢 1不正解
- 受贈者が30歳に達して契約が終了した際、使い切れていない残額があるときは、その終了した年分の贈与税の課税価格に算入されます。
- 選択肢 2不正解
- 30歳に達した時点で学校等に在学中である場合や教育訓練給付の対象講座を受講している旨を届け出れば、最長40歳まで契約期間が延長されます。
- 選択肢 3正解
- 贈与者死亡時に管理残額が相続税の課税対象とされた場合であっても、教育資金管理契約そのものは終了せず存続するため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 2021年度税制改正により、受贈者が代襲相続人でない孫である場合、みなし相続等とされる管理残額に対応する相続税額は2割加算の対象とされます。
覚えるポイント
- 贈与者死亡時に管理残額が相続税課税されても教育資金管理契約は終了しない。
間違えやすいところ
- 税金が課税された時点で契約そのものも強制終了してしまうと勘違いしやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
贈与税の申告および納付
相続・事業承継設計 · 贈与税申告期限 / 受贈者死亡時の準確定申告 / 更正の請求期限 / 延納期間
贈与税の申告および納付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
贈与税の延納は、納期限までに金銭で納付することが困難な事由があること等の要件を満たした場合に認められますが、延納期間は財産構成によらず一律「最長5年」以内と定められています。
解き方
- 各選択肢の贈与税に関する手続(申告期間・死亡時の申告期限・更正の請求期限・延納期間)の規定を確認します。
- 延納期間について、最長20年となるのは相続税の延納特例であり、贈与税は最長5年であることから、選択肢4が不適切であると判定します。
- 選択肢 1不正解
- 贈与税の申告期間は、原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までであり適切です。
- 選択肢 2不正解
- 受贈者が申告前に死亡した場合、相続人は相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に被相続人の納税地の所轄税務署長に申告書を提出する必要があります。
- 選択肢 3不正解
- 贈与税に係る更正の請求は、原則として法定申告期限から6年以内に行うことができます(国税通則法第70条等の規定と平仄を合わせています)。
- 選択肢 4正解
- 不動産等の割合に応じて延納期間が最長20年になるのは相続税の規定であり、贈与税の延納期間は最長5年であるため不適切です。
覚えるポイント
- 贈与税の延納期間は財産構成にかかわらず最長5年である。
間違えやすいところ
- 相続税の延納(不動産等の割合が75%以上で最長20年)の規定と贈与税の延納を混同しないように注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
普通養子および特別養子制度
相続・事業承継設計 · 養子縁組の要件 / 年長者・尊属の養子禁止 / 養子の子の代襲相続 / 特別養子縁組
普通養子および特別養子に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、特別養子縁組以外の縁組による養子を普通養子という。
解答・解説を表示
解答
1
解説
養子縁組においては、親族秩序の維持の観点から尊属または年長者を養子とすることは絶対的に禁止されています(民法第793条)。例外として兄弟間であっても年長者を養子にすることは認められません。
解き方
- 民法上の養子縁組の適格要件(尊属・年長者禁止)を確認します。
- 兄弟姉妹間であっても年長者を養子にすることはできないため、選択肢1の例外記述が誤りであると判断します。
- 選択肢 1正解
- 尊属または年長者を養子とすることは親族関係の如何にかかわらず禁止されており、兄弟間であっても年長者を養子にすることはできないため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 養子縁組の日以後に生まれた養子の子は養親の直系卑属となるため、養親の相続において代襲相続人となります。
- 選択肢 3不正解
- 未成年者を養子にするには原則として家庭裁判所の許可が必要ですが、自己または配偶者の直系卑属(連れ子等)を養子にする場合は許可が不要です。
- 選択肢 4不正解
- 特別養子縁組の養親は原則として配偶者のいる25歳以上の者であり、養子となる者は原則15歳未満であることが要件とされています。
覚えるポイント
- 尊属または年長者は、兄弟姉妹間であっても養子にすることはできない。
間違えやすいところ
- 1日でも早く生まれた年長者は養子にできない絶対禁止規定であり、兄弟関係での例外はない点に注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法上の特別寄与料制度
相続・事業承継設計 · 特別寄与料 / 特別寄与者の範囲 / 寄与の態様 / 請求期限
民法における特別寄与料に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
1
解説
民法の特別寄与料制度(民法第1050条)は、相続人以外の被相続人の親族(長男の妻など)が無償で療養看護等を行った場合に、相続人に対して金銭の支払を請求できる制度です。親族に限定されており、内縁の配偶者等は対象外です。
解き方
- 特別寄与者の定義(親族に限定され、相続人や内縁者は除外)を確認します。
- 選択肢1が特別寄与者の範囲を正しく規定しているため適切と判断します。
- 他の選択肢の寄与形態(労務提供に限定)、申立期間(知った時から6カ月以内等)、申告期限(処分確定の翌日から10カ月以内)の誤りを確認します。
- 選択肢 1正解
- 特別寄与料を請求できるのは被相続人の親族(相続人等を除く)に限られ、内縁の配偶者や親族以外の第三者は対象外であるため適切です。
- 選択肢 2不正解
- 特別寄与料の特別の寄与は「無償の療養看護その他の労務の提供」に限定されており、「財産上の給付」は含まれません。
- 選択肢 3不正解
- 家庭裁判所への処分の申立期間は、特別寄与者が「相続の開始及び相続人を知った時から6カ月以内」または「相続開始の時から1年以内」です。
- 選択肢 4不正解
- 特別寄与料の取得者は遺贈により取得したものとみなされますが、相続税の申告期限は「特別寄与料の額が確定した日の翌日から10カ月以内」です。
覚えるポイント
- 特別寄与料の請求権者は親族(相続人等除く)に限定され内縁関係は対象外。
間違えやすいところ
- 相続税申告期限は「相続開始を知った翌日から10カ月以内」ではなく「特別寄与料が確定した翌日から10カ月以内」となる点を見落としやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税法上の債務控除の範囲
相続・事業承継設計 · 債務控除 / 保証債務 / 相続登記の登録免許税 / 未払固定資産税 / 敷金返還債務
相続税法上の債務控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、相続人は日本国内に住所を有する個人であり、相続または遺贈により財産を取得したものとする。
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解答
2
解説
相続税法上の債務控除(第13条)の対象となるのは、被相続人の死亡の際現に存する債務で確実と認められるものに限られます。相続開始後に相続人が自己の負担で支払った登記費用等は控除対象外です。
解き方
- 債務控除の対象となる被相続人の債務(現に存し確実な債務)と、相続人の相続財産管理費用の違いを確認します。
- 相続登記に係る登録免許税は相続開始後の相続人自身の負担すべき費用であり、被相続人の債務ではないため、選択肢2が不適切であると判断します。
- 選択肢 1不正解
- 保証債務は原則として控除対象外ですが、主たる債務者が弁済不能で求償しても返還不能と認められる部分については債務控除の対象となります。
- 選択肢 2正解
- 相続登記のために支払った登録免許税は相続人自身の財産管理費用であり、被相続人の債務ではないため債務控除の対象外となり不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 賃借人から預かっている敷金は、将来返還を要する確実な債務であるため債務控除の対象となります。
- 選択肢 4不正解
- 固定資産税はその年の1月1日に1年分の納税義務が成立しているため、相続開始日時点で納期未到来の分についても債務控除の対象となります。
覚えるポイント
- 相続登記の登録免許税や司法書士報酬は相続人の費用であり債務控除できない。
間違えやすいところ
- 納期未到来の固定資産税はまだ納期限前であっても被相続人の確定債務として控除できる点と混同しないように注意する。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額・2割加算・法定相続分
相続・事業承継設計 · 遺産に係る基礎控除額 / 養子の数の算入制限 / 相続税額の2割加算 / 法定相続人の順位
下記は、2021年11月15日(月)に死亡したAさんの親族関係図である。Aさんの相続に関する次の記述(a)〜(c)のうち、適切なものはいくつあるか。なお、長男Bさん、二女Dさん、孫Eさん、孫Fさん、弟Gさんは、Aさんから相続または遺贈により財産を取得し、相続税額が算出されるものとする。また、長女Cさんは、相続の放棄をしており、財産を取得していない。 【親族関係図】 ・被相続人:Aさん(配偶者は既に死亡、父母は既に死亡) ・Aさんの子:長男Bさん、長女Cさん(相続放棄)、二女Dさん ・Aさんの養子:孫Eさん(Bの子・普通養子)、孫Fさん(Dの子・普通養子) ・Aさんの弟:弟Gさん (a) 遺産に係る基礎控除額は、4,800万円である。 (b) 相続税額の2割加算の対象となる者は、孫Eさん、孫Fさんの2人である。 (c) 弟Gさんの法定相続分は、4分の1である。
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解答
4
解説
基礎控除の法定相続人の数では、放棄があった場合でもその放棄がなかったものとし、実子がいる場合の養子は1人まで算入できます。また第1順位の血族相続人がいる場合、兄弟姉妹は法定相続人になりません。2割加算は一親等の血族(代襲相続人を含む)および配偶者以外の者に適用されます。
解き方
- 記述(a)を検討:実子3人(放棄した長女Cを含む)がいるため養子は1人のみ算入可能となり、法定相続人の数は4人、基礎控除額は3,000万+600万×4=5,400万円です(不適切)。
- 記述(b)を検討:代襲相続人でない孫養子E・Fに加え、兄弟姉妹である弟G(遺贈により財産取得)も2割加算の対象となるため、対象者は3人です(不適切)。
- 記述(c)を検討:被相続人に直系卑属(子・養子)がいるため、第3順位の弟Gは法定相続人になれず、法定相続分はありません(不適切)。
- すべて不適切であるため、適切なものは「0(なし)」と判定します。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は1つもないため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は1つもないため誤りです。
- 選択肢 3不正解
- 適切な記述は1つもないため誤りです。
- 選択肢 4正解
- 記述(a)、(b)、(c)はいずれも不適切であるため、「0(なし)」が正解です。
覚えるポイント
- 実子がいる場合の算入養子は1人まで。兄弟姉妹への遺贈も相続税額2割加算の対象。
間違えやすいところ
- 遺贈を受けた兄弟姉妹(弟G)が一親等血族ではないため2割加算対象となる点を見落としやすい。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
金融資産等の相続税評価
相続・事業承継 · 財産評価 / 投資信託の評価 / 個人向け国債の評価 / 外貨現金の換算
個人が相続により取得した金融資産等の相続税評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
金融資産の相続税評価は原則として課税時期における時価で行われます。上場株式には複数の月平均株価から最低値を選べる救済措置がありますが、公募証券投資信託や個人向け国債は中途換金・解約により受け取れる価額に基づいて評価します。
解き方
- 各金融資産(個人向け国債、投資信託、外貨、株式制ゴルフ会員権)の評価基準・換算ルールを確認する。
- 上場株式に認められている複数価格からの最低値選択の特例が、公募証券投資信託にも適用されるか否かを判別して誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 個人向け国債は、課税時期において中途換金した場合に取扱金融機関から支払を受けることができる価額(額面金額+経過利息相当額-中途換金調整額)により評価するため適切です。
- 選択肢 2正解
- 証券投資信託の評価は、課税時期において解約請求等により交付を受けることができる解約返戻金相当額により評価し、上場株式のような過去3カ月間の各月平均との比較による最低額選択はできません。
- 選択肢 3不正解
- 外貨(現金)や邦貨換算を要する財産の評価は、原則として相続開始日における相続人の取引金融機関が公表する最終の対顧客直物電信買相場(TTB)により円換算するため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 取引相場のない株式制ゴルフ会員権(株主でなければ会員になれないもの)は、財産評価基本通達における「取引相場のない株式の評価」に準じて評価するため適切です。
覚えるポイント
- 投資信託の相続税評価は解約返戻金相当額であり、上場株式のような過去3カ月の月平均比較はできない。
- 外貨現金を邦貨に換算する際は、円転(外貨売却)を想定するためTTBを用いる。
間違えやすいところ
- 上場株式の評価方式(課税時期の終値、当月・前月・前々月の各月平均終値のうち最も低い額)を投資信託にも流用できると誤認しやすい。
- 外貨換算において、預金・現金等の資産評価にTTS(電信売相場)を誤って選択してしまう。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等(財産評価基本通達)
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.28(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業承継税制(特例措置)における贈与税の納税猶予
相続・事業承継 · 事業承継税制 / 特例承継計画 / 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例 / 担保提供要件
「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例(特例措置)」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
事業承継税制の特例措置は、後継者が取得した非上場株式等に係る贈与税・相続税の全額(100%)を猶予する制度です。贈与者は代表権を退通する必要がありますが役員残留は可能であり、担保要件としては対象株式の全株提供により担保充足とみなされます。先代経営者が死亡した際は贈与時の価額で相続税の課税価格に算入されます。
解き方
- 贈与者(先代経営者)の要件(代表権喪失は必須だが役員残留可能)および受贈者(後継者)の要件(役員就任後3年以上必須)を確認する。
- 納税猶予の担保提供要件と、贈与者死亡時の相続税課税価格への算入価額(贈与時価額か相続時価額か)を確認して正誤を判定する。
- 選択肢 1不正解
- 贈与者は贈与の時に代表権を有していない(代表取締役等を退任している)ことが必要ですが、有給の取締役や監査役等の役員として会社に残ることは認められています。
- 選択肢 2不正解
- 受贈者(後継者)は贈与の時において会社の代表権を有し、かつ役員等に就任してから3年以上経過している必要があります。贈与者の年齢によって役員要件が免除される例外規定はありません。
- 選択肢 3正解
- 特例の適用を受ける非上場株式等のすべてを担保として税務署に提供した場合には、納税猶予を受ける贈与税額および利子税の額に見合う担保が提供されたものとみなされるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 贈与者が死亡した場合、特例の適用を受けた非上場株式等は相続等により取得したものとみなされますが、その課税価格への算入は「相続時の価額」ではなく「贈与時の価額」によります。
覚えるポイント
- 事業承継税制の納税猶予では、対象株式の全部を担保提供すれば担保充足とみなされる。
- 贈与者死亡時の相続税課税価格への算入は「贈与時の価額」で行われる。
間違えやすいところ
- 先代経営者は代表権を返上しなければならないが、平取締役などの有給役員として残留することは可能である点を見落としやすい。
- 贈与者死亡時の相続税課税価格への算入を「相続時の価額」と誤って覚えてしまう。
出題の前提:2021年10月1日現在施行の法令等(租税特別措置法第70条の7の5等)
出典:金融財政事情研究会『2022年1月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.28(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2022年1月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2022年1月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
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