日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年9月 1級 学科(基礎編)の概要
後期高齢者医療制度の被保険者・保険料・自己負担割合
ライフプランニングと資金計画 · 後期高齢者医療制度 / 窓口負担割合 / 保険料賦課限度額
後期高齢者医療制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
3
解説
後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者および65歳以上75歳未満の一定の障害認定を受けた者を対象とする医療保険制度です。運営は都道府県ごとの広域連合が行い、保険料率は2年ごとに改定されます。
解き方
- 各選択肢の被保険者要件、保険料計算と賦課限度額、窓口負担割合の規定を確認する。
- 保険料の年間賦課限度額が32万円ではなく64万円である誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 広域連合の区域内に住所を有する75歳以上の者、または65歳以上75歳未満で一定の障害認定を受けた者が被保険者となりますが、生活保護受給世帯に属する者は適用除外とされます。
- 選択肢 2不正解
- 後期高齢者医療制度の保険料は、被保険者が等しく負担する均等割額と所得に応じた所得割額の合算で決定され、その率は都道府県(広域連合)ごとに定められています。
- 選択肢 3正解
- 後期高齢者医療制度の年間保険料の賦課限度額は64万円(2020・2021年度基準)であり、記述の32万円は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 窓口の一部負担金は、現役並み所得者(課税所得145万円以上等)を除き、原則として1割負担となります(施行日基準)。
覚えるポイント
- 後期高齢者医療制度の保険料賦課限度額は64万円(年度により改定あり)である点。
間違えやすいところ
- 国民健康保険や介護保険の賦課限度額と数値を混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の高齢者の医療の確保に関する法律等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
労働者災害補償保険の業務災害および通勤災害の認定
ライフプランニングと資金計画 · 労災保険 / 業務災害 / 通勤災害
労働者災害補償保険に関する次の記述(a)〜(c)のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 労働者が、休憩時間中に昼食のために会社から外のレストランに向かい、入店する直前に道路上の段差で転倒して骨折した場合は、業務災害に該当しない。 (b) 単身赴任先で住居を借りて生活をしている労働者が、月2回程度の頻度で、週末に自宅に帰省し、週明けに自宅から単身赴任先の就業場所に出勤する途中、駅の階段で転倒して骨折した場合は、通勤災害に該当する。 (c) 取引先との商談のため、前日から出張して取引先の近くにあるビジネスホテルに宿泊した労働者が、翌朝、ビジネスホテルから取引先に向かう途中、道路上の段差で転倒して骨折した場合は、業務災害に該当する。
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解答
3
解説
労災保険の業務災害は業務起因性と業務遂行性により判断され、事業主の支配管理下を離れた私的行為中の事故は該当しません。出張中は原則として全体が支配管理下にあるとみなされます。通勤災害は合理的な経路および方法による移動中の災害が認定されます。
解き方
- 各事例(a)〜(c)における事業主の支配管理性や通勤の要件を照合する。
- (a)は私的行為で業務災害非該当、(b)は単身赴任者の帰省先からの通勤で通勤災害該当、(c)は出張過程中の事故で業務災害該当と判定する。
- 適切な記述が3つすべてであることを確認し選択肢3を選ぶ。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)(b)(c)の3つすべてであるため誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述は(a)(b)(c)の3つすべてであるため誤りです。
- 選択肢 3正解
- (a)昼食のため外食に向かう途中の事故は私的行為であり業務災害に非該当、(b)単身赴任者の住居と就業場所間の移動は通勤災害に該当、(c)出張中の宿泊先から訪問先への移動は事業主の支配下にあるため業務災害に該当し、3つすべて適切です。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述は(a)(b)(c)の3つすべてであるため誤りです。
覚えるポイント
- 出張中は通常の私的行為を除き包括的に業務遂行性が認められる点。
間違えやすいところ
- 休憩時間中の行動は施設利用上の欠陥による負傷を除き私的行為として業務災害にならない点に注意します。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の労働者災害補償保険法および関係通達
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の介護休業給付金および育児休業給付金の給付内容と延長要件
ライフプランニングと資金計画 · 介護休業給付金 / 育児休業給付金 / 雇用保険
雇用保険の介護休業給付金および育児休業給付金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
4
解説
雇用保険の継続給付には、家族の介護のための介護休業給付と、子の育児のための育児休業給付があります。支給要件、給付率、支給日数上限、延長期間などがそれぞれ法律で定められています。
解き方
- 介護休業給付金の給付率(67%)および分割要件(対象家族1人につき通算93日・3回まで)を確認する。
- 育児休業期間中の賃金支払による不支給要件(賃金が80%以上で不支給)を確認する。
- 育児休業給付金の保育所等に入所できない場合の延長上限(最長で2歳まで)を確認し、記述の「3歳」の誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 介護休業期間中に賃金が支払われない場合、1支給単位期間の支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」となります。
- 選択肢 2不正解
- 介護休業給付金は、対象家族1人について通算93日を限度として、最大3回まで分割して受給することができます。
- 選択肢 3不正解
- 育児休業給付金は、休業開始前賃金の80%以上の賃金が支払われている支給単位期間については支給されません。
- 選択肢 4正解
- 育児休業給付金の支給期間の延長は、保育所等に入れない等の特別の理由がある場合、最長で子が2歳に達するまでであり、3歳ではありません。
覚えるポイント
- 育児休業給付金の延長限度は最長で「子が2歳に達するまで」である点。
間違えやすいところ
- 企業の育児休業制度自体が3歳まで取得可能である場合と、雇用保険の給付金支給対象上限(最長2歳)を混同しないようにします。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の雇用保険法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国民年金の産前産後免除・振替加算・繰下げ支給等の仕組み
ライフプランニングと資金計画 · 国民年金 / 産前産後保険料免除 / 振替加算 / 年金の繰下げ
国民年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
3
解説
国民年金の各種規定において、産前産後免除期間は年金額に満額反映される納付済期間と扱われます。また、老齢基礎年金に加算される振替加算は妻自身の固有の権利となり、離婚しても消滅しません。
解き方
- 産前産後免除の期間区分(単胎:前月〜翌々月、多胎:3カ月前〜翌々月)と納付済期間扱いを確認する。
- 振替加算の性質を確認し、受給者本人の固有権利であるため離婚によっても加算が失われない点から誤りを判断する。
- 繰下げ未請求時の遡及請求(5年分の消滅時効内の一括受給)が可能であることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 国民年金第1号被保険者の産前産後免除期間は、出産予定日等の属する月の前月(多胎は3カ月前)から翌々月までの4カ月間(多胎は6カ月間)です。
- 選択肢 2不正解
- 産前産後期間として免除された期間は、全額保険料を納付したものとみなされ、将来の老齢基礎年金の満額計算に反映されます。
- 選択肢 3正解
- 一度老齢基礎年金に加算された振替加算は受給権者自身の固有の年金給付となるため、配偶者と離婚しても加算は継続されます。
- 選択肢 4不正解
- 65歳以降請求していなかった者は、繰下げ支給の申出をせず本来支給の年金を請求することで、時効にかからない直近5年分を一括受給することができます。
覚えるポイント
- 老齢基礎年金に一度ついた振替加算は離婚しても消滅しない(生涯支給)。
間違えやすいところ
- 加給年金(配偶者の死亡や離婚等で支給停止)と、振替加算(妻自身の年金として継続)の取扱いを取り違えやすいため注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の国民年金法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金の遺族給付の支給要件と65歳以上の併給調整
ライフプランニングと資金計画 · 遺族厚生年金 / 寡婦年金 / 中高齢寡婦加算 / 年金の併給調整
公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
4
解説
公的年金では原則「1人1年金」ですが、65歳以上になると例外として「障害基礎年金と遺族厚生年金」や「老齢基礎年金と遺族厚生年金」など異なる事由の年金の併給が認められています。
解き方
- 遺族厚生年金における中高齢寡婦加算(死亡時40歳以上65歳未満で子のない妻)の要件を確認する。
- 寡婦年金の要件(夫の第1号納付等要件10年以上、婚姻期間10年以上、妻60〜65歳の間支給)を確認する。
- 妻死亡時の遺族年金の受給権者順位(夫が55歳未満の場合、遺族厚生年金の受給権者は子)を確認する。
- 65歳以降の併給調整の例外規定(障害基礎年金+遺族厚生年金は併給可)を確認し、誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 被保険者の死亡時において40歳以上65歳未満で、生計を一にする子がいない妻が受給する遺族厚生年金には、中高齢寡婦加算が加算されます。
- 選択肢 2不正解
- 第1号被保険者としての期間が10年以上ある夫が死亡し、婚姻期間10年以上の生計維持された妻は、60歳から65歳に達するまで寡婦年金を受給できます。
- 選択肢 3不正解
- 遺族基礎年金は生計を同じくする子のある夫に支給されますが、遺族厚生年金の夫の受給要件は「55歳以上」であるため、52歳の夫には受給権がなく、次順位の子に支給されます。
- 選択肢 4正解
- 65歳以上である場合、一人一年金の原則の例外として「障害基礎年金」と「遺族厚生年金」の併給が認められており、選択する必要はありません。
覚えるポイント
- 65歳以上の者は「障害基礎年金」と「遺族厚生年金」を併給して受給できる。
間違えやすいところ
- 夫が遺族厚生年金を受給できるのは妻の死亡時に原則「55歳以上」である点に注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の国民年金法および厚生年金保険法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小企業退職金共済制度(中退共)の掛金助成・給付額・受取方法
ライフプランニングと資金計画 · 中退共 / 掛金納付月数 / 退職金の分割受取
中小企業退職金共済制度(中退共)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問において、事業主には同居の親族のみを使用する事業主等は含まないものとし、従業員には短時間労働者は含まないものとする。
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解答
2
解説
中退共制度は、単独で退職金制度を設けることが困難な中小企業のために国が設けた共済制度です。掛金は事業主が全額負担し、12月未満の短期退職では退職金は支給されず事業主へも返還されません。
解き方
- 中退共の掛金増額に対する国の助成制度要件(18,000円以下の掛金を増額する場合の1/3助成)を確認する。
- 掛金納付月数12月未満退職時の取扱い(退職金不支給かつ事業主への返還なし)を確認し、選択肢2の誤りを判定する。
- 基本退職金と付加退職金の構成、分割払いの要件(退職時60歳以上等)を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 掛金月額18,000円以下の従業員の掛金を増額した場合、増額分の3分の1(上限あり)を増額月から1年間国が助成する制度があります。
- 選択肢 2正解
- 掛金納付月数が12月未満で退職した場合は退職金が支給されませんが、掛金は事業主にも返還されず掛け捨てとなります。
- 選択肢 3不正解
- 中退共の退職金額は、法令で定められた基本退職金と、運用利回りに応じて上乗せされる付加退職金の合算で計算されます。
- 選択肢 4不正解
- 退職金の全部または一部を分割受取にするためには退職時に原則として満60歳以上である必要があり、60歳未満の退職では分割払を選択できません。
覚えるポイント
- 中退共で12月未満退職時は退職金不支給となり、掛金は事業主へ返還されない。
間違えやすいところ
- 退職金が不支給となった掛金が事業主に戻ると誤解しやすいですが、全額掛け捨てとなる点に注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の中小企業退職金共済法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
公的年金等に係る所得税の課税関係および未支給年金の取扱い
ライフプランニングと資金計画 · 社会保険料控除 / 公的年金等控除 / 年金受給者の確定申告不要制度 / 未支給年金
公的年金等に係る所得税等の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、納税者は居住者であるものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。
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解答
4
解説
未支給年金は年金法に基づき遺族が自己の固有の権利として請求・受給するものであり、被相続人の財産には属しません。したがって相続税ではなく、遺族の一時所得として所得税の対象となります。
解き方
- 国民年金の前納保険料の社会保険料控除の選択制(全額当年控除または各年按分)を確認する。
- 小規模企業共済の分割共済金が公的年金等控除の対象に含まれることを確認する。
- 公的年金等の確定申告不要制度(公的年金等400万円以下かつその他所得20万円以下)の要件を確認する。
- 未支給年金が遺族の一時所得となり相続税課税対象外であることを確認し、選択肢4を不適切と判断する。
- 選択肢 1不正解
- 2年分の国民年金保険料を前納した場合、支払った年分に全額を一括控除するか、各年分に按分して控除するかを選択できます。
- 選択肢 2不正解
- 小規模企業共済の共済金を分割受取(年金方式)にした場合、公的年金等に係る雑所得として公的年金等控除の適用対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ他の所得金額が20万円以下である場合、所得税の確定申告書を提出する必要はありません。
- 選択肢 4正解
- 未支給年金は受給した遺族の固有の権利に基づく一時所得となり、相続税の課税対象(みなし相続財産)には該当しません。
覚えるポイント
- 未支給年金は受け取った遺族の一時所得となり、相続税の課税対象ではない。
間違えやすいところ
- 被相続人が受け取るはずだった財産であるためみなし相続財産になると誤認しがちですが、遺族固有の一時所得となる点に注意します。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の所得税法および相続税法基本通達
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
国の教育ローンおよび教育資金準備制度の概要
ライフプランニングと資金計画 · 教育一般貸付 / 国の教育ローン / こども保険 / 高等教育修学支援新制度
教育資金の準備等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
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解答
2
解説
国の教育ローンは日本政策金融公庫が取り扱う固定金利の公的融資制度で、融資限度額は原則350万円(一定条件で450万円)です。ひとり親家庭や低所得世帯等に対する金利優遇措置が規定されています。
解き方
- 教育一般貸付の融資限度額(原則350万円、自宅外通学等は450万円)を確認する。
- 金利・保証料等の優遇措置の対象要件(ひとり親家庭、年収200万円以内などであり交通遺児家庭は含まれない)を確認する。
- 学資保険の保険料払込免除特則、高等教育の修学支援新制度の概要を確認する。
- 選択肢 1不正解
- 教育一般貸付の限度額は学生1人につき原則350万円ですが、自宅外通学や海外留学などの要件に該当する場合は450万円となります。
- 選択肢 2正解
- 教育一般貸付の優遇制度(金利低減等)の対象は、母子家庭・父子家庭、世帯年収200万円以内の世帯、子ども3人以上世帯等であり、「交通遺児家庭」に対する優遇措置はありません。
- 選択肢 3不正解
- 学資保険には契約者(親)が死亡等した際に以後の保険料払込が免除され、祝い金等は予定どおり満額受け取れる保険料払込免除特則が一般的についています。
- 選択肢 4不正解
- 高等教育の修学支援新制度は「給付型奨学金」と「授業料等減免」の2つの支援からなり、住民税非課税世帯および準ずる世帯を対象としています。
覚えるポイント
- 教育一般貸付の優遇対象は母子・父子家庭、世帯年収200万円以内、子ども3人以上の世帯等。
間違えやすいところ
- 交通遺児育英会等の奨学金制度と日本政策金融公庫の教育ローンの優遇要件を混同しないようにします。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の日本政策金融公庫法および関係諸制度
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
保険契約の申込みの撤回等(クーリング・オフ制度)
リスク管理 · クーリング・オフ制度 / 保険業法
保険業法に定める保険契約の申込みの撤回等(クーリング・オフ制度)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
1
解説
保険業法上のクーリング・オフ制度は、保険契約者が契約申込みの撤回等に関する書面を受領した日または申込日のいずれか遅い日から起算して8日以上(保険会社によりそれ以上)の期間内であれば書面または電磁的記録により無条件で申込みを撤回できる制度です。営業所等での申込み、医師の診査後、通信販売(郵送やネット等)、法人契約、団体保険などは適用除外とされています。
解き方
- 保険業法におけるクーリング・オフの適用対象者(個人)および対象契約の要件を確認します。
- 特定商取引法と異なり、申込者自らが自宅等の場所を指定して申込みを行った場合であってもクーリング・オフの対象外とはならない点を確認して正誤を判定します。
- 選択肢 1正解
- 保険業法におけるクーリング・オフ制度では、申込者が自ら居宅等を指定して申込みを行った場合であっても適用除外にはならず、申込みの撤回等が可能です。
- 選択肢 2不正解
- 団体信用生命保険などの団体保険契約は、保険業法に定めるクーリング・オフ制度の適用対象外とされています。
- 選択肢 3不正解
- 既に締結している生命保険契約の更新は新たな契約の申込みではないため、クーリング・オフ制度の適用対象外です。
- 選択肢 4不正解
- クーリング・オフ制度の対象は個人(自然人)に限られており、法人が契約者となる保険契約には適用されません。
覚えるポイント
- 保険業法のクーリング・オフは自ら居宅を指定した場合でも適用可能であり、法人は適用対象外となります。
間違えやすいところ
- 特定商取引法の訪問販売における住居呼び出し除外規定と混同しないように注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の保険業法に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
終身保険の一般的な特徴
リスク管理 · 終身保険 / 市場価格調整(MVA) / 低解約返戻金型終身保険
終身保険の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
4
解説
終身保険には保障が一生涯続く基本構造のほか、解約返戻金抑制による保険料引き下げ型、積立利率が見直される変動型、外貨建て、市場金利の動向に応じて解約返戻金が増減する市場価格調整(MVA)付きなど多様な商品設計が存在します。
解き方
- 各終身保険の派生タイプ(低解約返戻金型、積立利率変動型、外貨建て、市場価格調整機能付き)の仕組みを整理します。
- 市場価格調整機能では市場金利上昇時に運用資産の債券価格が下落し返戻金が減少する関係を確認します。
- 選択肢 1不正解
- 低解約返戻金型終身保険において抑制されるのは保険料払込期間中の解約返戻金額であり、死亡保険金額は通常の終身保険と同水準に設定されています。
- 選択肢 2不正解
- 積立利率は払込保険料そのものではなく、保険料から所定の費用等を控除した将来の給付のための積立金に付利されます。
- 選択肢 3不正解
- 外貨建て終身保険であっても、死亡保険金を米ドルで受領した際は支払時の為替レートで円換算した金額について相続税の死亡保険金非課税枠の適用を受けることができます。
- 選択肢 4正解
- MVAは運用対象資産である債券の市場価格を反映するため、解約時の市場金利が契約時より上昇すると解約返戻金が減少し、低下すると増加することがあります。
覚えるポイント
- 市場価格調整(MVA)は解約時の金利上昇で返戻金減少、金利低下で返戻金増加となる債券価格のメカニズムと同じです。
間違えやすいところ
- 低解約返戻金型終身保険では払込期間中の死亡保険金まで低く抑えられていると誤認しないように注意します。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令および保険実務基準に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の生命保険料控除の計算
リスク管理 · 生命保険料控除 / 新旧制度の適用区分 / 控除限度額
会社員のAさんが2021年中に払い込んだ生命保険の保険料が下記のとおりである場合、Aさんの2021年分の所得税における生命保険料控除の最大控除額として、最も適切なものはどれか。なお、定期保険特約付終身保険の定期保険特約は2020年8月1日に更新している。また、配当はないものとし、記載のない事項については考慮しないものとする。 ・定期保険特約付終身保険:契約年月日2010年8月1日、契約者A、被保険者A、死亡受取人配偶者、2021年払込保険料18万円、特約更新2020年8月1日 ・医療保険(10年更新型):契約年月日2012年2月1日、契約者A、被保険者A、死亡保障なし、2021年払込保険料10万円 ・個人年金保険(税制適格特約付加):契約年月日2011年8月1日、契約者A、被保険者A、年金受取人A、2021年払込保険料24万円
解答・解説を表示
解答
3
解説
所得税の生命保険料控除は2012年1月1日以降の契約(新契約)と2011年12月31日以前の契約(旧契約)に区分されます。2011年以前の契約でも特約を更新・中途付加した場合は契約全体が新契約扱いとなります。控除額の上限は新契約各枠4万円(合計最高12万円)、旧契約各枠5万円(合計最高10万円)、新旧併用の適用限度額全体では12万円です。
解き方
- 定期保険特約付終身保険は2020年に特約更新があるため新契約扱いとなり、払込18万円(8万円超)により一般生命保険料控除4万円が適用されます。
- 医療保険は2012年2月契約で新契約の介護医療保険料控除となり、払込10万円(8万円超)により控除額は4万円です。
- 個人年金保険は2011年8月契約で更新がないため旧契約となり、払込24万円(10万円超)により旧個人年金保険料控除5万円が適用されます。
- 3つの控除額の合計(4万円+4万円+5万円=13万円)を算出し、所得税の生命保険料控除の最高限度額12万円を適用します。
- 選択肢 1不正解
- 9万円は合計限度額や各枠の計算結果と合致しません。
- 選択肢 2不正解
- 10万円は旧制度のみを適用した場合の最高限度額であり、新旧併用時の最高限度額12万円と異なります。
- 選択肢 3正解
- 新一般4万円、新介護医療4万円、旧年金5万円の合計は13万円ですが、全体の適用限度額が12万円であるため12万円となります。
- 選択肢 4不正解
- 13万円は各控除枠の計算額の単純合計であり、所得税における全体の最高限度額12万円を超えています。
覚えるポイント
- 旧契約であっても2012年1月1日以降に特約の更新や中途付加を行うと契約全体が新契約扱いになります。
間違えやすいところ
- 各枠控除額の合算13万円をそのまま答えとせず、全体の限度額12万円で頭打ちになる点を見落とさないようにします。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の所得税法に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
各種生命保険の一般的な商品性
リスク管理 · 認知症保険 / 就業不能保険 / 特約組立型保険 / 医療保険
各種生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
現代の生命保険商品は多様化しており、認知症保険における軽度認知障害(MCI)一時金の導入、就業不能保険における精神疾患特約の追加、主契約を持たずに必要な特約のみを組み合わせる組立型保険、短期入院に対応した入院一時金型医療保険などが普及しています。
解き方
- 各生命保険(認知症保険、就業不能保険、特約組立型保険、医療保険)の近年の商品特性と給付要件を整理します。
- 認知症保険においてMCIを対象とした保障が存在するか否かを確認して不適切な記述を特定します。
- 選択肢 1正解
- 認知症保険には、軽度認知障害(MCI)と診断された場合に給付金や一時金が支払われる商品も実際に存在するため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 就業不能保険には、身体的疾患だけでなくうつ病等の精神疾患による所定の就業不能状態を対象とする商品もあります。
- 選択肢 3不正解
- 特約組立型保険は、主契約を持たず死亡・医療・介護等の各種保障を顧客の希望に応じて自在に組み合わせる仕組みです。
- 選択肢 4不正解
- 近年の医療保険では、入院の短期化傾向に対応して日帰り入院や1日目からまとまった入院一時金を支給するタイプが主流の一つとなっています。
覚えるポイント
- 近年の認知症保険にはMCI(軽度認知障害)を保障対象に含める商品が販売されています。
間違えやすいところ
- 就業不能保険は精神疾患を一切対象外としていると思い込みがちですが、保障対象とする商品も存在します。
出題の前提:2021年4月1日現在の生命保険実務および商品性に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
火災保険の一般的な商品性
リスク管理 · 火災保険 / 構造級別 / 風災補償 / 家財補償の範囲
住宅建物および家財を対象とする火災保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
住宅火災保険では、建物の柱や外壁等の構造に応じてM構造・T構造・H構造に区分され、耐火性能が低いH構造の料率が最も高くなります。損害保険金は実損填補が原則であり、自動車は家財に含まれません。また風災補償では建物開口部や屋根等の外側損壊を伴わない内部被害は免責事項とされています。
解き方
- 火災保険の構造級別(M・T・H構造)と保険料率の大小関係を確認します。
- 全損・大半損等の損害区分が地震保険の仕組みであること、および家財補償における自動車の除外ルールを検討します。
- 風災における外郭破損のない吹き込み損害の免責規定を確認して適切な記述を判定します。
- 選択肢 1不正解
- 構造級別の保険料率は耐火性能が最も低いH構造(非耐火木造等)が最も高く、M構造(マンション等耐火)は最も低くなります。
- 選択肢 2不正解
- 損害の程度を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」に区分して支払うのは地震保険の計算方式であり、火災保険は実損額に基づき算出されます。
- 選択肢 3不正解
- 被保険者が所有する自動車は家財保険の対象に含まれないため、敷地内の車庫に収容されていても火災保険では補償されず自動車保険の車両保険の対象です。
- 選択肢 4正解
- 風災等により建物の外側部分が破損していない状況で生じた雨・雪・風等の内部への吹込みや浸込みによる損害は補償の対象外となります。
覚えるポイント
- 火災保険の家財に自動車は含まれず、外郭破損のない風雨の吹き込み損害は補償されません。
間違えやすいところ
- 「全損・大半損・小半損・一部損」という定型化された区分は地震保険特有のものである点に注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在の普通火災保険・住宅総合保険の約款基準に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
地震保険の制度と商品性
リスク管理 · 地震保険 / 割引制度 / 保険期間 / 損害認定基準
地震保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
地震保険は単独での加入はできず火災保険に付帯して契約します。保険期間は原則1年、または火災保険の保険期間と同一の長期(最長5年)と定められています。割引制度には建築年(10%)、耐震診断(10%)、耐震等級(10%〜50%)、免震(50%)があり重複適用は不可です。主要構造部の損害に基づき判定され、門や塀単独の損害は対象外です。
解き方
- 地震保険の割引制度(4種類、最大50%重複不可)の適否を確認します。
- 地震保険の保険期間のルール(火災保険が長期の場合、5年または1年となる実務上の制約)を確認します。
- 液状化による建物の傾斜認定、および主要構造部に限る損害認定基準の適否を検討します。
- 選択肢 1不正解
- 地震保険の割引制度には4種類があり、耐震等級3および免震建築物割引の50%が最大の割引率となります。
- 選択肢 2正解
- 主契約の火災保険が5年を超える場合、地震保険の保険期間は1年単位で任意に選べるのではなく、通常は「5年」または「1年(自動継続)」を選択します。
- 選択肢 3不正解
- 地震による地盤液状化で建物が傾斜・沈下した場合、傾斜角度や沈下量に応じた損害認定基準に基づいて保険金が支払われます。
- 選択肢 4不正解
- 地震保険は主要構造部の損害を基準に査定されるため、門・塀・給排水設備等の付属設備のみが単独で損害を受けた場合は対象外です。
覚えるポイント
- 地震保険は主要構造部の損害が基準であり、門や塀などの付属物単独損害は対象外となります。
間違えやすいところ
- 地震保険の割引制度(建築年・耐震等級・免震・耐震診断)は重複適用できず、いずれか1つの適用となります。
出題の前提:2021年4月1日現在の地震保険制度基準に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
事業活動に係る賠償責任保険等の特徴
リスク管理 · 労働災害総合保険 / 施設所有(管理)者賠償責任保険 / 生産物賠償責任保険(PL保険)
事業活動に係る各種損害保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、適切なものはいくつあるか。 (a) 労働災害総合保険は、労働者災害補償保険(政府労災保険)の上乗せ補償を目的とした「法定外補償保険」と、従業員の仕事の遂行が原因となり、第三者に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償する「使用者賠償責任保険」の2つの補償から構成されている。 (b) 飲食店の従業員が自転車で商品配達中に誤って通行人に衝突して負傷させた場合に、通行人に対して法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害は、施設所有(管理)者賠償責任保険の補償の対象となる。 (c) 飲食店が販売した弁当が原因で顧客が食中毒を起こし、顧客の身体に損害を与えたことにより、法律上の損害賠償責任を負うことによって被る損害を補償する保険として、生産物賠償責任保険(PL保険)がある。
解答・解説を表示
解答
2
解説
事業活動における賠償責任保険では、施設の欠陥や業務遂行に起因する対人・対物事故は施設所有(管理)者賠償責任保険、引き渡した製品や仕事の結果に起因する事故は生産物賠償責任保険(PL保険)の対象です。労働災害総合保険の使用者賠償責任部分は、被災従業員(または遺族)から企業が受ける損害賠償請求を補償します。
解き方
- (a)の使用者賠償責任保険の補償対象が被災従業員に対する賠償責任であり、第三者への損害ではないことを確認し不適切と判定します。
- (b)の配達中の自転車事故が業務遂行に起因する事故として施設所有(管理)者賠償責任保険の補償対象となることを確認し適切と判定します。
- (c)の販売した弁当による食中毒事故が引渡し後の生産物に起因する事故としてPL保険の対象となることを確認し適切と判定します。
- 適切な選択肢の個数を集計して該当する番号(2つ=肢2)を選択します。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(b)と(c)の2つあるため、1つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- (b)と(c)が適切で、(a)が不適切であるため、適切な記述は2つです。
- 選択肢 3不正解
- (a)に使用者賠償責任保険の補償対象に関する誤りがあるため、3つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- (b)および(c)の記述が適切であるため、0(なし)とする本選択肢は誤りです。
覚えるポイント
- 自転車での配達事故は施設所有(管理)者賠償責任保険、提供した飲食物の食中毒はPL保険の対象です。
間違えやすいところ
- 使用者賠償責任保険は「従業員が第三者に与えた損害」を補償するものと混同しないよう注意します。
出題の前提:2021年4月1日現在の各種法人向け損害保険商品の一般的な約款基準に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.10(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
景気動向指数(CI・DIと採用系列)
金融資産運用 · 景気動向指数 / コンポジット・インデックス(CI) / 消費者態度指数 / 一致系列・先行系列
景気動向指数に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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解答
2
解説
景気動向指数には、景気変動のテンポや量感を把握するCI(コンポジット・インデックス)と、波及の度合いを表すDI(ディフュージョン・インデックス)があります。50%を分岐点とするのはDIです。また、先行系列には新設住宅着工床面積や消費者態度指数など、一致系列には有効求人倍率(除学卒)や鉱工業生産指数などが採用されています。
解き方
- CI(水準と変化率で量感を測る)とDI(50%を景気の分岐点として方向性を測る)の定義の違いを確認します。
- 各系列の分類(消費者態度指数=先行、新設住宅着工床面積=先行、有効求人倍率=一致)を照合して適切な肢を選定します。
- 選択肢 1不正解
- 景気の拡張局面で50%を上回り後退局面で50%を下回る傾向を示すのはDI(ディフュージョン・インデックス)の説明です。
- 選択肢 2正解
- 消費者態度指数は内閣府の消費動向調査による指標であり、景気動向指数の先行系列に採用されています。
- 選択肢 3不正解
- 新設住宅着工床面積は景気動向指数における「先行系列」に採用されており、一致系列ではありません。
- 選択肢 4不正解
- 有効求人倍率(除学卒)は景気動向指数の「一致系列」に採用されている指標です。
覚えるポイント
- 消費者態度指数と新設住宅着工床面積は先行系列、有効求人倍率(除学卒)は一致系列に分類されます。
間違えやすいところ
- CIは量感(変化の大きさ)、DIは波及度(50%が景気転換の目安)という基本定義を混同しないようにします。
出題の前提:2021年4月1日現在の内閣府公表基準および景気動向指数の定義に基づきます。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式投資信託の運用スタイル
金融資産運用 · 投資信託 / マーケット・ニュートラル運用 / ESG投資 / スマートベータ
株式投資信託の運用手法・スタイルに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
マーケット・ニュートラル戦略は、相場全体の上下動による市場リスク(ベータ)を排除し、個別銘柄の価格差・適正評価による超過収益(アルファ)を獲得することを目指すオルタナティブ運用手法です。本質的に割安な資産をロング(買い)、割高な資産をショート(売り)します。
解き方
- 各運用スタイルの定義(マーケット・ニュートラル、ESG、バリュー、スマートベータ)を確認する。
- マーケット・ニュートラル運用において、割安銘柄をロング(買建て)、割高銘柄をショート(売建て)する組み合わせになっているか判別する。
- 選択肢 1正解
- マーケット・ニュートラル運用は、「割安銘柄を買建て(ロング)」し、「割高銘柄を売建て(ショート)」することで市場全体の変動リスクを排除するため、記述は買建てと売建てが逆で不適切です。
- 選択肢 2不正解
- ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の要素を考慮して投資先を選定する手法であり、記述は適切です。
- 選択肢 3不正解
- バリュー投資は、PERやPBRが低く、配当利回りが高いなど、企業の財務・業績面から見て本源的価値より割安と判断される銘柄へ投資する手法であり、記述は適切です。
- 選択肢 4不正解
- スマートベータ運用は、時価総額加重型とは異なり、財務指標(ファンダメンタルズ指標)や価格変動率(ボラティリティ)などの特定ファクターに基づいて構成・加重された指数への連動を目指す運用であり、記述は適切です。
覚えるポイント
- マーケット・ニュートラルは「割安銘柄のロング(買い)」+「割高銘柄のショート(売り)」で市場感応度を中立化する。
間違えやすいところ
- 割安銘柄を売り、割高銘柄を買うと損失が拡大するため、ロングとショートの対象を取り違えないように注意する。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等および一般的な金融理論・商品知識
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
債券の利回りおよび債券価格の計算
金融資産運用 · 債券投資 / 割引債の複利単価 / 利付債の最終利回り(単利)
以下の表に記載されている割引債券の1年複利計算による単価(空欄①)と固定利付債券の単利計算による最終利回り(空欄②)の組合せとして、最も適切なものはどれか。なお、税金や手数料等は考慮せず、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 〔条件〕 ・割引債券:償還価格100.00円、最終利回り0.50%、残存期間4年、単価(①)円 ・固定利付債券:単価100.90円、償還価格100.00円、表面利率0.75%、残存期間5年、最終利回り(②)%
解答・解説を表示
解答
1
解説
割引債券の1年複利計算による購入単価Pは「償還価格 ÷ (1 + 最終利回り)^残存年数」で求められます。固定利付債券の単利最終利回りは「[表面利率 + (償還価格 - 購入価格) ÷ 残存年数] ÷ 購入価格 × 100」で求められます。
解き方
- 割引債の単価①を計算:100 ÷ (1.005)^4 = 100 ÷ 1.0201505... ≒ 98.0247円。小数点第3位を四捨五入して98.02円。
- 固定利付債の最終利回り②を計算:年換算償還差損益は (100.00 - 100.90) ÷ 5 = -0.18円。分子(年間収益)は 0.75 - 0.18 = 0.57円。利回りは 0.57 ÷ 100.90 × 100 ≒ 0.5649%。小数点第3位を四捨五入して0.56%。
- 選択肢 1正解
- ①が98.02円、②が0.56%であり、計算結果と完全に一致しているため適切です。
- 選択肢 2不正解
- ②の計算において、分母を購入単価100.90円ではなく額面100円で除してしまうと0.57%になりますが、利回り計算の分母は購入価格であるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- ①が99.01円となっており誤りです(単利計算や年数計算の誤り)。
- 選択肢 4不正解
- ①が99.01円、②が0.57%となっており、いずれの計算も誤りです。
覚えるポイント
- 単利利回り計算の分母は常に「購入価格」であり、額面(償還価格)ではない。
間違えやすいところ
- 最終利回りの計算で、分子の「(償還価格 - 購入価格) ÷ 残存年数」を「購入価格 - 償還価格」と符号を逆にしてしまうミスに注意する。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等および一般的な債券計算公式
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
信用取引における新規売建て可能株数の計算
金融資産運用 · 株式の制度信用取引 / 委託保証金 / 代用有価証券 / 売建て可能額
株式の制度信用取引において、保有するA社株式4,000株(1株当たり時価1,250円)と金銭200万円を担保として差し入れ、B社株式(1株当たり時価4,000円)を新規に売建てする場合、売建てが可能な最大株数として、最も適切なものはどれか。なお、株式担保の代用掛目は80%、委託保証金率は30%であるものとし、手数料等は考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
信用取引で新規建てができる建玉上限額は「差し入れた委託保証金等の合計額 ÷ 委託保証金率」によって算出されます。株式担保(代用有価証券)は「時価 × 代用掛目」で評価され、金銭担保と合算されます。
解き方
- 差し入れた担保の総評価額を計算する。A社株式時価総額=4,000株 × 1,250円 = 500万円。代用掛目80%を乗じて400万円。現金200万円を加算して、委託保証金合計額は 400万円 + 200万円 = 600万円。
- 信用取引で建てられる上限金額を計算する。600万円 ÷ 30% = 2,000万円。
- B社株式の最大株数を算出する。2,000万円 ÷ 4,000円 = 5,000株。
- 選択肢 1不正解
- 建玉上限額の計算過程や計算方法が誤っており、450株は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 現金担保のみを基準にするなど、計算手法に誤りがあります。
- 選択肢 3不正解
- 委託保証金総額(600万円)をそのままB社株価で除した株数(1,500株)であり、委託保証金率30%のレバレッジ(3.33倍)を考慮していないため不適切です。
- 選択肢 4正解
- 差し入れ保証金総額600万円に基づき、建てられる約定代金上限2,000万円を株価4,000円で割ると5,000株となり、最も適切です。
覚えるポイント
- 信用取引の建玉可能額 = (現金 + 代用有価証券時価×掛目) ÷ 委託保証金率。
間違えやすいところ
- 保証金総額をそのまま買付け・売付け可能額と誤認して株価で割ってしまうミスに注意する。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の金融商品取引法および取引所規則
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
米国の主要株価指標等の特徴
金融資産運用 · 米国の株価指数 / NYダウ / S&P500 / ナスダック総合指数 / VIX指数
米国の株価指標等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
株価指数の算出方法には、主に「修正平均株価方式(ダウ方式)」と「時価総額加重平均方式」があります。NYダウや日経平均株価は修正平均型ですが、S&P500やTOPIX、ナスダック総合指数は時価総額加重型です。
解き方
- 各指数の算出方式(ダウ方式/修正平均型か、時価総額加重型か)を整理する。
- S&P500種株価指数の算出方式が「修正平均株価」と書かれている誤りを特定する。
- 選択肢 1不正解
- ニューヨーク・ダウは、代表的な優良株30銘柄を対象とした修正平均株価方式の指数であり、記述は適切です。
- 選択肢 2正解
- S&P500種株価指数は、修正平均株価ではなく「時価総額加重平均型」の指数であるため不適切です。
- 選択肢 3不正解
- ナスダック総合指数は、NASDAQ市場に上場する全銘柄(3,000銘柄以上)を対象とした時価総額加重平均型の指数であり、記述は適切です。
- 選択肢 4不正解
- VIX指数(ボラティリティ・インデックス)は、S&P500のオプション価格から算出される予想変動率であり、投資家の市場不安や警戒感を表す指標(恐怖指数)として適切です。
覚えるポイント
- S&P500およびナスダック総合指数は「時価総額加重型」、NYダウは「修正平均株価型」。
間違えやすいところ
- S&P500の「500銘柄」という数に注目しすぎて、算出方式が時価総額加重平均であることを見落とさないように注意する。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等および一般的な市場指標の定義
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
外貨定期預金の利回り計算
金融資産運用 · 外貨預金 / 為替レート(TTS・TTB) / 実質利回り計算(年換算)
以下の〈条件〉で、為替予約を付けずに円貨を外貨に交換して外貨預金に預け入れ、満期時に円貨で受け取る場合における利回り(単利による年換算)として、最も適切なものはどれか。なお、3カ月は0.25年として計算し、税金等は考慮せず、計算結果は表示単位の小数点以下第3位を四捨五入すること。 〈条件〉 ・外貨預金の通貨、期間、利率:米ドル建て定期預金、期間3カ月、利率2.00%(年率) ・預入時為替レート:TTS 110.00円、TTM 109.50円、TTB 109.00円 ・満期時為替レート:TTS 113.00円、TTM 112.50円、TTB 112.00円
解答・解説を表示
解答
3
解説
円から外貨へ預け入れる際は「TTS(対顧客電信売相場)」を適用し、満期時に外貨から円へ払い戻す際は「TTB(対顧客電信買相場)」を適用します。得られた期間利回りを年換算(年率換算)するために期間年数(本問では0.25年)で除します。
解き方
- 預入時(1米ドルあたり)の円貨額:TTS=110.00円。
- 満期時の元利合計(米ドル):1米ドル + (1米ドル × 2.00% × 0.25年) = 1.005米ドル。
- 満期時の円貨受取額:1.005米ドル × TTB 112.00円 = 112.56円。
- 3カ月の収益率:(112.56円 - 110.00円) ÷ 110.00円 = 2.56 ÷ 110.00 ≒ 0.0232727...(2.327%)。
- 単利による年換算利回りを計算:2.32727...% ÷ 0.25 ≒ 9.309%。小数点第3位を四捨五入して9.31%。
- 選択肢 1不正解
- 2.33%は3カ月間の期間利回り(年換算前)を四捨五入した数値であり、年換算を行っていないため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- TTSとTTBの適用レートを誤るなどの計算違いによる誤った数値です。
- 選択肢 3正解
- 預入時TTS(110円)と満期時TTB(112円)を適用し、年率換算した単利利回りは約9.31%となり適切です。
- 選択肢 4不正解
- 為替レートの選択(TTMやTTSの誤用)および利息計算の乗除の誤りによる数値です。
覚えるポイント
- 顧客から見て円を売って外貨を買うときはTTS、外貨を売って円を買うときはTTBを適用する。
間違えやすいところ
- 満期利回りを計算した後に、期間(3カ月=0.25年)で除して年換算することを忘れて2.33%を選んでしまうミス。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等および一般的な外貨預金利回り計算手法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2資産間の相関係数の計算
金融資産運用 · ポートフォリオ理論 / 相関係数 / 共分散 / 標準偏差
下記の〈A資産とB資産の期待収益率・標準偏差・共分散〉から算出されるA資産とB資産の相関係数として、最も適切なものはどれか。なお、計算結果は小数点以下第3位を四捨五入すること。 〈A資産とB資産の期待収益率・標準偏差・共分散〉 ・A資産:期待収益率 6.00%、標準偏差 12.00% ・B資産:期待収益率 8.00%、標準偏差 11.00% ・A資産とB資産の共分散:-70.00
解答・解説を表示
解答
2
解説
2資産A、Bの相関係数ρは、2資産間の共分散Cov(A, B)をそれぞれの標準偏差σA、σBの積で割ることによって求められます。相関係数の値は必ず-1以上+1以下の範囲をとります。
解き方
- 相関係数の計算式「相関係数 = 共分散 ÷ (標準偏差A × 標準偏差B)」を確認する。
- 数値を代入する:-70.00 ÷ (12.00 × 11.00) = -70.00 ÷ 132 ≒ -0.530303...。
- 小数点以下第3位を四捨五入して、-0.53を導出する。
- 選択肢 1不正解
- 共分散を期待収益率で割るなど、計算の分母に誤りがあります。
- 選択肢 2正解
- 共分散-70.00を標準偏差の積132で除すと約-0.53となり、最も適切です。
- 選択肢 3不正解
- 符号が正となっており、計算過程の分母も誤っています。
- 選択肢 4不正解
- 共分散がマイナス(-70.00)であるため相関係数も負となる必要がありますが、符号が正になっているため不適切です。
覚えるポイント
- 相関係数 ρ = 共分散 ÷ (標準偏差A × 標準偏差B)。共分散の符号と相関係数の符号は一致する。
間違えやすいところ
- 共分散のマイナス符号を見落としてプラスの値(+0.53)を選んでしまうミスに注意する。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等および一般的な現代ポートフォリオ理論
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
つみたてNISAの制度内容
金融資産運用 · つみたてNISA / 非課税期間 / ETFの分配金受取方式 / 特定口座からの移管
非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度(以下、「つみたてNISA」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
NISA(つみたてNISAを含む)における上場株式等の配当金・分配金を非課税で受け取るには、証券会社を通じて受取を行う「株式数比例配分方式」を事前に選択しておく必要があります。選択していない場合、分配金は課税されますが、口座内の譲渡益は非課税のままです。
解き方
- 各選択肢の制度要件(対象商品、非課税期間、分配金受取方式、移管可否)を検討する。
- 選択肢1:公募株式投資信託にはインデックス型だけでなく一定のアクティブ型も含まれるため不適切。
- 選択肢2:非課税期間は各年最長20年間であり、25年に延長された事実はないため不適切。
- 選択肢3:個別銘柄指定方式では分配金は課税されるが譲渡益は非課税となるため適切。
- 選択肢4:課税口座(特定口座等)からつみたてNISA勘定への移管は不可であるため不適切。
- 選択肢 1不正解
- 対象となる公募株式投資信託はインデックス型だけでなく、長期・積立・分散投資に適した一定の要件を満たすアクティブ型投信も含まれるため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 2020年度税制改正で投資可能期間が2042年まで5年間延長されましたが、各年の非課税期間自体は最長20年間のままであり不適切です。
- 選択肢 3正解
- ETFの分配金を非課税にするには「株式数比例配分方式」を選択する必要があり、個別銘柄指定方式では分配金は課税(20.315%)されますが、譲渡益は非課税となるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 特定口座や一般口座で保有している既存の公募株式投資信託をつみたてNISA勘定へ移管することは認められていないため不適切です。
覚えるポイント
- NISA口座のETF・株式の配当等を非課税にするには必ず「株式数比例配分方式」を選択する必要がある。
間違えやすいところ
- 「投資可能期間の5年延長」と「各投資年の非課税保有期間(最長20年)」を混同しないように注意する。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の租税特別措置法(少額投資非課税制度)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.14(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
預金保険制度の保護対象と保護範囲
金融資産運用 · 預金保険制度 / 決済用預金 / 一般預金等の保護限度額 / 預金と借入金の相殺
わが国の預金保険制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
預金保険制度の名寄せおよび保護限度額は、「預金者1人当たり、1金融機関(全店舗合算)につき」適用されます。同一金融機関の複数支店に預金があってもすべて合算されます。
解き方
- 預金保険制度の保護対象機関・店舗および預金種別(決済用預金・一般預金等)のルールを確認する。
- 保護限度額の単位が「支店ごと」ではなく「金融機関ごと(全支店合算)」である点を確認し、選択肢4の不適切さを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 国内銀行の海外支店、外国銀行の在日支店、政府系金融機関等に預け入れた預金は、預金保険制度の対象外であり適切です。
- 選択肢 2不正解
- 決済用預金(「無利息」「要求払い」「決済サービスを提供できること」の3要件を満たす預金)は、全額が保護の対象となるため適切です。
- 選択肢 3不正解
- 預金者は、特約により相殺が禁止されている場合等を除き、破綻金融機関に対して預金と借入金の相殺を申し出ることができるため適切です。
- 選択肢 4正解
- 預金保険制度の一般預金等の保護限度額は「支店ごと」ではなく「預金者1人当たり、1金融機関ごとに合算して元本1,000万円までとその利息等」であるため不適切です。
覚えるポイント
- 預金保険の保護限度額は「1金融機関につき預金者1人あたり元本1,000万円までとその利息」。支店単位ではない。
間違えやすいところ
- 同一銀行の別々の支店に預金を分散しても名寄せによって合算されることを見落としやすい点に注意する。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の預金保険法
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の非課税所得
タックスプランニング · 非課税所得 / 通勤手当 / 雇用保険給付 / ふるさと納税返礼品
所得税法における非課税所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
所得税法では社会政策的見地や二重課税防止の観点から非課税所得が規定されています。通勤手当は交通機関や交通用具の区分・距離に応じて非課税限度額が定められており、実質的な実費弁償的性格を有します。
解き方
- 各選択肢に挙げられた給付や受取金について、所得税法等の非課税規定に該当するかどうかを精査する。
- 交通用具使用の通勤手当が距離に応じた非課税限度額の定めがあることを確認し、適切な肢を特定する。
- 選択肢 1正解
- 自転車や自動車などの交通用具を使用して通勤している者に対する通勤手当は、片道の通勤距離に応じて非課税限度額が規定されています。
- 選択肢 2不正解
- 雇用保険法に基づき支給される失業等給付は、求職者給付だけでなく高年齢雇用継続給付などの雇用継続給付も含めて全額が非課税です。
- 選択肢 3不正解
- 年金受給権について相続税の課税対象となった部分に相当する年金額は非課税ですが、運用益等に相当する部分(課税部分)は雑所得として課税されます。
- 選択肢 4不正解
- ふるさと納税の返礼品による経済的利益は一時所得として課税対象になり、寄附金額の3割以下であっても非課税扱いにはなりません。
覚えるポイント
- 雇用保険法に基づく失業等給付・育児休業給付などは全額が非課税所得です。
間違えやすいところ
- ふるさと納税の返礼品を非課税と誤解しやすいですが一時所得の収入金額となります。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の所得税法および関係法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
一時所得および雑所得の取扱い
タックスプランニング · 一時所得 / 雑所得 / 個人年金保険 / 公的年金等控除
居住者に係る所得税の一時所得および雑所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
所得区分はその所得の発生原因や反復継続性により決定されます。年金支払開始後の保証期間分の年金を一括受領する一時金は、本来雑所得として分割受取すべき年金を繰り上げて受け取る性質を有するため雑所得に区分されます。
解き方
- 各保険金の解約や一括受取、暗号資産、公的年金の所得区分と税務上の取扱いを確認する。
- 年金支払開始後の保証期間分年金の一括受取が一時所得ではなく雑所得に該当することを判断する。
- 選択肢 1不正解
- 一時払養老保険等で5年以内に解約した場合は源泉分離課税ですが、一時払終身保険は金融類似商品に該当しないため、5年以内の解約返戻金であっても一時所得として総合課税されます。
- 選択肢 2正解
- 年金支払開始後に保証期間分の年金を一括受給した場合の一時金は、一時所得ではなく雑所得の収入金額となります。
- 選択肢 3不正解
- 個人が暗号資産取引等により得た利益は、事業所得等の基因となる行為に付随するものなどを除き、原則として雑所得に区分されます。
- 選択肢 4不正解
- 65歳以上の者の公的年金等控除額の最低額は110万円であるため、受給額が78万円の場合は公的年金等に係る雑所得の金額は0円(算出されない)となります。
覚えるポイント
- 年金支払開始後の保証期間分の年金一括受領は雑所得として課税されます。
間違えやすいところ
- 一時払終身保険の早期解約を金融類似商品(源泉分離課税)と混同しないよう注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の所得税法および関係法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の所得控除
タックスプランニング · 医療費控除 / 社会保険料控除 / 小規模企業共済等掛金控除 / 地震保険料控除
居住者に係る所得税の所得控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要な要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
所得控除の多くは納税者が自己または「生計を一にする親族」の負担分を支払った場合に控除が認められますが、小規模企業共済等掛金控除は契約者本人の拠出のみが対象とされ、他人の掛金を支払っても控除を受けられない例外規定となっています。
解き方
- 各所得控除(医療費、社会保険料、小規模企業共済等掛金、地震保険料)において、生計を一にする親族分の支払いが対象となるかを確認する。
- 小規模企業共済等掛金控除は自己の掛金のみが対象であり、親族分は対象外であるルールを特定する。
- 選択肢 1不正解
- 自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費は、医療費控除の対象となります。
- 選択肢 2不正解
- 自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき国民年金保険料等を支払った場合、その支払額は社会保険料控除の対象となります。
- 選択肢 3正解
- 小規模企業共済等掛金控除は加入者本人の掛金のみが対象であり、生計を一にする配偶者名義の個人型年金加入者掛金を支払っても納税者本人の控除とは認められません。
- 選択肢 4不正解
- 自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族が所有し常時居住する家屋を対象とする地震保険料を支払った場合、地震保険料控除の対象となります。
覚えるポイント
- 小規模企業共済等掛金控除は加入者本人のみが対象で、親族分の代払いは控除不可です。
間違えやすいところ
- 社会保険料控除や生命保険料控除と同様に生計一親族分も控除できると混同しがちです。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の所得税法および関係法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
所得税の確定申告および納付・附帯税
タックスプランニング · 確定申告不要制度 / 更正の請求 / 過少申告加算税
居住者に係る所得税の確定申告および納付に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものはいくつあるか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。 (a) 年末調整の対象となる給与所得者が給与所得以外に一時所得を有する場合、一時所得の金額に2分の1を乗じた後の金額が20万円以下であるときは、原則として、確定申告書を提出する必要はない。 (b) 確定申告書を提出し、納付した税額が過大であったことが法定申告期限経過後に判明した場合、原則として法定申告期限から5年以内に限り、更正の請求書を提出して税金の還付を受けることができる。 (c) 所得税の確定申告書を申告期限内に提出した場合において、税務調査に基づく更正により納付すべき所得税額が生じたときは、原則として、納付すべき税額に応じた過少申告加算税が課される。
解答・解説を表示
解答
3
解説
給与所得者の確定申告不要制度における「給与所得以外の所得金額」は総所得金額に算入される金額(一時所得は1/2後)で判定します。また法定申告期限後の税額過大に対する更正の請求期限は5年間であり、期限内申告後の調査による修正・更正には原則として過少申告加算税が課されます。
解き方
- 記述(a)の一時所得に係る申告不要判定基準(総所得金額に算入される1/2後の金額が20万円以下)の適否を確認する。
- 記述(b)の更正の請求の原則的な請求可能期間(法定申告期限から5年以内)の適否を確認する。
- 記述(c)の調査による更正に伴う過少申告加算税の課税要件を確認し、適切な記述の個数を数える。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述が3つあるため、1つとする選択肢1は不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述が3つあるため、2つとする選択肢2は不適切です。
- 選択肢 3正解
- (a)一時所得は2分の1した後の金額で20万円以下を判定するため適切です。(b)更正の請求は原則として法定申告期限から5年以内に行うため適切です。(c)期限内申告後に税務調査により更正された場合、原則として過少申告加算税が課されるため適切です。したがって3つすべて適切です。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述が3つあるため、0(なし)とする選択肢4は不適切です。
覚えるポイント
- 給与所得者の申告不要判定における一時所得は「2分の1後」の金額で判定します。
間違えやすいところ
- 一時所得の2分の1をする前の金額で20万円判定を行うと誤認しないようにします。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の所得税法および国税通則法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ふるさと納税ワンストップ特例制度
タックスプランニング · ふるさと納税 / ワンストップ特例 / 寄附金控除 / 申告特例申請書
「ふるさと納税ワンストップ特例制度」に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
解答・解説を表示
解答
3
解説
ふるさと納税ワンストップ特例制度は確定申告を行わない給与所得者等を対象に、寄附先自治体が5団体以内の場合に申請書を各寄附先自治体へ提出することで住民税控除を受けられる特例制度です。
解き方
- ワンストップ特例制度の申請要件(団体数、確定申告の要否)および手続き・提出先を確認する。
- 申告特例申請書の提出先が「住所地の自治体」ではなく「寄附先の自治体」であることを確認する。
- 選択肢 1不正解
- ワンストップ特例の対象は1年間の寄附先自治体数が5団体以内の場合に限られ、5団体を超える場合は確定申告を行う必要があります。
- 選択肢 2不正解
- 住宅ローン控除の初年度適用などで確定申告を行う者は、ワンストップ特例の対象外となり、確定申告で寄附金控除を申告する必要があります。
- 選択肢 3正解
- 申告特例申請書の提出先は、寄附者本人の住所地市区町村ではなく、寄附先の各地方公共団体です。
- 選択肢 4不正解
- ワンストップ特例が適用された場合、所得税控除相当分も含めて翌年度の住民税から全額が税額控除(減額)されるため所得税の還付は発生しません。
覚えるポイント
- ワンストップ特例申請書の提出先は「寄附先の自治体」です。
間違えやすいところ
- 住民税の控除元である「自身の住所地の自治体」へ提出すると誤解しやすい点に注意します。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の地方税法および関連諸法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人の各種届出等
タックスプランニング · 法人設立届出書 / 青色申告承認申請書 / 中間申告・確定申告 / 更正の請求
法人の各種届出等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
法人の設立に伴い提出する書類にはそれぞれ厳格な提出期限が定められています。税務署への「法人設立届出書」は設立の日から2カ月以内、「青色申告承認申請書」は設立から3カ月経過日と第1期事業年度終了日とのいずれか早い日の前日等と定められています。
解き方
- 法人設立届出書の所轄税務署長への提出期限(2カ月以内)を確認する。
- 青色申告承認申請書、中間申告・確定申告、更正の請求の期限をそれぞれ確認して誤りを特定する。
- 選択肢 1正解
- 内国法人の法人設立届出書は、設立の日(設立登記の日)以後「2カ月以内」に所轄税務署長へ提出しなければなりません。3カ月以内ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 設立第1期目から青色申告を受ける場合、設立日以後3カ月を経過した日と設立第1期の事業年度終了日とのいずれか早い日の前日までに青色申告承認申請書を提出します。
- 選択肢 3不正解
- 普通法人の事業年度が6カ月を超える場合、中間申告書は事業年度開始後6カ月経過日から2カ月以内、確定申告書は事業年度終了日の翌日から2カ月以内に提出します。
- 選択肢 4不正解
- 申告税額が過大であった場合の更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内に行うことができます。
覚えるポイント
- 法人設立届出書の税務署への提出期限は「設立の日以後2カ月以内」です。
間違えやすいところ
- 青色申告の「3カ月を経過した日」と混同して設立届出書の期限を3カ月以内と誤解しがちです。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法人税法および国税通則法に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員給与および役員退職金
タックスプランニング · 役員給与 / 定期同額給与 / 事前確定届出給与 / 役員退職金
内国法人に係る法人税における役員給与および役員退職金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、給与等は隠蔽または仮装経理により支給されたものではないものとする。
解答・解説を表示
解答
2
解説
法人税法上の事前確定届出給与は、利益調整を防止するため「所定の時期に確定額を支給する」旨をあらかじめ届け出ることが要件です。実際に支給した金額が届出額と異なる場合、一部のみ損金算入することは認められず全額が損金不算入となります。
解き方
- 役員給与の損金算入ルール(定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与)を整理する。
- 事前確定届出給与において、届出額と異なる支給をした場合の損金算入制限(全額不算入)を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 役員に継続的に供与される経済的利益のうち毎月おおむね一定であるものは、定期同額給与に含まれ損金算入が認められます。
- 選択肢 2正解
- 事前確定届出給与として届け出た金額と異なる額を支給した場合、超過部分だけでなく支給額の全額が損金不算入となります。
- 選択肢 3不正解
- 役員の分掌変更に伴う退職金は、役員の地位や職務内容が激変し実質的に退職したと同様の事情が認められる場合、損金算入が認められます。
- 選択肢 4不正解
- 役員退職金の損金算入時期は、原則として株主総会等の決議によって支給額が具体的に確定した日の属する事業年度です。
覚えるポイント
- 事前確定届出給与は「届出どおり」の支給が必須で、金額が異なれば全額損金不算入です。
間違えやすいところ
- 届出額までは損金算入でき、増額分のみ損金不算入になると誤解しやすいです。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法人税法および関係法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
消費税の納税義務および簡易課税制度等
タックスプランニング · 消費税 / 納税義務免除 / 簡易課税制度 / 消費税確定申告
消費税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
2
解説
簡易課税制度はみなし仕入率(40%~90%)を用いて仕入税額控除を簡易に計算する制度であるため、構造上、課税売上に係る消費税額を仕入控除税額が上回ることはなく、還付を受けることはできません。還付を受けるには本則課税の適用が必要です。
解き方
- 簡易課税制度の仕組みとみなし仕入率の範囲(第1種90%~第6種40%)を確認する。
- 簡易課税制度のもとでは仕入控除税額が売上税額を超えることがなく、還付が発生しないことを判定する。
- 選択肢 1不正解
- 新規開業した個人事業者は基準期間(前々年)が存在しないため、開業した年分は原則として消費税の納税義務が免除されます。
- 選択肢 2正解
- 簡易課税制度ではみなし仕入率は最高でも90%であり、控除後の金額がマイナスになることはないため、消費税額の還付を受けることはできません。
- 選択肢 3不正解
- 複数事業を営む事業者が簡易課税を適用する場合、特定の1種類の事業の課税売上高が全体の75%以上を占めるときは、その事業のみなし仕入率を全体に適用することができます。
- 選択肢 4不正解
- 個人の消費税課税事業者の確定申告期限は、その年の翌年3月31日(所得税の3月15日とは異なる)と定められています。
覚えるポイント
- 簡易課税制度を選択している期間は消費税の還付を受けることができません。
間違えやすいところ
- 個人の消費税の確定申告期限は3月15日ではなく「3月31日」です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の消費税法および関係法令に基づく。
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.18(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
役員と法人の間の取引における税務上の取扱い
タックスプランニング · 役員と会社間の取引 / 低額譲渡 / 高額譲渡 / 役員社宅 / 借地権認定課税
X株式会社(以下「X社」という)とその役員の間で行われる資産の売買、社宅の賃貸、土地の無償返還等に関する法人税および所得税の取扱いとして、最も不適切な記述を1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
1
解説
役員と法人間の取引は恣意的な価格設定が行われやすいため、法人税法および所得税法において時価に基づく適正な課税関係への引き直しが行われます。役員が法人へ低額譲渡した場合はみなし譲渡所得課税の対象となり、高額譲渡した場合は時価超過額が役員給与と認定されます。
解き方
- 役員から法人への低額譲渡(時価の2分の1未満)における個人側の税務上の取扱い(みなし譲渡課税)を確認する。
- 時価と譲渡価額の差額が給与所得に該当するという記述の誤りを判別する。
- 選択肢 1正解
- 時価の2分の1未満の著しく低い価額で法人に譲渡した場合、譲渡所得の計算上、時価で譲渡があったものとみなされます(みなし譲渡所得課税)。差額が給与所得になるわけではないため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 役員が時価より高い価額で法人に譲渡した場合、時価を超える部分は法人から役員に対する実質的な経済的利益(給与)と扱われ、役員側では給与所得として課税されます。
- 選択肢 3不正解
- 役員社宅について、所定の算式により計算した通常の賃貸料(賃貸料相当額)よりも低い家賃で貸与した場合、その賃貸料相当額と実際に徴収した家賃との差額が役員の給与所得として課税されます。
- 選択肢 4不正解
- 権利金の授受の慣行がある地域で権利金や相当の地代の授受がなく、「土地の無償返還に関する届出書」の提出もない場合、法人が借地権の贈与を受けたものとして借地権の受贈益が認定課税されます。
覚えるポイント
- 個人から法人への時価2分の1未満の低額譲渡は「みなし譲渡所得課税」の対象。
間違えやすいところ
- 法人から個人への低額譲渡(差額が給与等)と、個人から法人への低額譲渡(みなし譲渡)の課税関係を取り違えやすい。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産登記の手続および登記事項
不動産 · 不動産登記法 / 合筆登記の制限 / 差押えの登記 / 仮登記の抹消 / 登記事項証明書
不動産登記に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
2
解説
不動産登記制度において、合筆登記は権利関係の錯綜を防ぐため厳格な制限(合筆制限)が設けられています。また、甲区には所有権に関する事項、乙区には所有権以外の権利に関する事項が記録され、仮登記の抹消等の手続要件が法令に規定されています。
解き方
- 合筆の制限事由(不動産登記法第41条)を確認し、1筆のみに抵当権がある場合の可否を検討する。
- 承諾書の添付によって合筆が可能となる例外(所有権登記名義人が同一で受付番号が同一の抵当権等)に該当しないことを確認する。
- 選択肢 1不正解
- 競売開始決定による差押の登記は、所有権の処分を制限する登記であるため、所有権に関する事項を記録する権利部甲区に記録されます。
- 選択肢 2正解
- 1筆のみに抵当権が設定されている場合、抵当権者の承諾があっても合筆の登記を申請することはできません(不動産登記法第41条)。したがって不適切です。
- 選択肢 3不正解
- 仮登記の抹消は、仮登記の登記名義人の承諾がある場合には、登記上の利害関係人が単独で申請することができます(不動産登記法第110条)。
- 選択肢 4不正解
- 登記事項証明書は、何人でも手数料を納付して登記官に対してその交付を請求することができます(不動産登記法第119条)。
覚えるポイント
- 1筆のみに抵当権がある土地は、抵当権者の承諾があっても合筆できない。
間違えやすいところ
- 担保権者の承諾書があれば何でも登記できると誤認しやすい。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.19(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
借地借家法(普通借家契約と定期借家契約)
不動産 · 借地借家法 / 普通借家 / 定期借家 / 解約申入れ / 事前説明 / 居住用建物の切り替え制限
借地借家法における定期建物賃貸借契約(定期借家契約)および普通借家契約に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
4
解説
借地借家法において定期借家制度は平成12年(2000年)3月1日に導入されましたが、それ以前に締結された居住用建物の普通借家契約について定期借家契約への切り替えを許すと借家人の居住権が脅かされるため、経過措置により切り替えが禁止されています。
解き方
- 2000年3月1日前に締結された居住用建物の普通借家契約の切り替え制限(附則)の規定を確認する。
- 合意解約を経た場合であっても同一建物の定期借家契約への切り替えが禁止されている点に照らして誤りを判断する。
- 選択肢 1不正解
- 期間の定めのない普通借家契約で、賃貸人からの正当事由に基づく解約申入れがあった場合、申入れの日から6カ月を経過することにより終了します(借地借家法第27条)。
- 選択肢 2不正解
- 定期借家契約を締結する際は、あらかじめ契約の更新がなく期間満了により終了する旨を記載した書面を交付して説明しなければなりません(借地借家法第38条第2項)。
- 選択肢 3不正解
- 定期借家契約は期間満了により終了しますが、当事者間の合意によって再契約を結ぶことは自由に行うことができます。
- 選択肢 4正解
- 2000年3月1日より前に締結された居住用建物の賃貸借については、賃借人の保護を図るため、当事者が合意解約しても同一建物を目的とする定期借家契約への切り替えは認められません。よって不適切です。
覚えるポイント
- 2000年3月1日前の居住用普通借家契約は、合意解約しても定期借家契約への切替え不可。
間違えやすいところ
- 当事者の合意解約があれば自由に切り替えられると誤認しやすい。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における容積率の制限および延べ面積の算入除外
不動産 · 建築基準法 / 容積率 / 前面道路の幅員 / 共同住宅の共用廊下・階段 / 住宅の地階の不算入特例
建築基準法における容積率の算定および制限に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
4
解説
建築物の容積率は、都市計画で定められた指定容積率と、前面道路の幅員に乗じる法定係数(住居系地域は原則4/10、準住居・その他住居等も含む)による制限のいずれか小さい方となります。また、住宅の地階部分や共同住宅等の共用廊下・階段については延べ面積不算入の特例があります。
解き方
- 準住居地域の前面道路幅員に乗じる法定乗数(原則4/10)を確認し、選択肢1を誤りと判定する。
- 特定道路による容積率緩和(加算されるのは道路幅員に応じた割増し値であり、指定容積率に前面道路幅員×係数を丸ごと加算するのではない)を確認し、選択肢2を誤りと判定する。
- 共用廊下・階段の容積率不算入規定を確認し、選択肢3を誤りと判定する。
- 地階住宅の容積率不算入(天井高1m以下、住宅部分床面積の3分の1限度)の要件を確認し、選択肢4が正しいと判断する。
- 選択肢 1不正解
- 準住居地域は住居系地域であるため、前面道路の幅員が12m未満の場合に乗じる法定乗数は原則「10分の4」(特定行政庁の指定区域内は10分の6)です。10分の6や10分の8ではありません。
- 選択肢 2不正解
- 特定道路による容積率の緩和では、特定道路からの距離に応じて前面道路の幅員に一定の数値(法定算式による幅員加算)を加えるものであり、指定容積率に「前面道路幅員×係数」を加算するわけではありません。
- 選択肢 3不正解
- 共同住宅または老人ホーム等の共用の廊下や階段の用に供する部分の床面積は、容積率の算定の基礎となる延べ面積に「算入しない」こととされています(建築基準法第52条第6項)。
- 選択肢 4正解
- 建築基準法第52条第3項に基づき、地階で天井が地盤面から1m以下にある住宅の用途に供する部分の床面積は、住宅用途部分の床面積の合計の3分の1を限度として延べ面積に算入されません。
覚えるポイント
- 住宅の地階(天井1m以下)は住宅用途床面積の1/3まで容積率延べ面積に不算入。
間違えやすいところ
- 準住居地域は名前に「住居」が付くため住居系(原則4/10)である点を見落としやすい。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
生産緑地法における生産緑地地区の指定および税制
不動産 · 生産緑地法 / 買取り申出 / 行為制限解除 / 固定資産税(農地評価・宅地並み課税) / 特定生産緑地
生産緑地法に規定する生産緑地に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
3
解説
三大都市圏特定市の市街化区域内農地は原則として宅地並み課税の対象ですが、生産緑地地区に指定された農地については行為制限が課される見返りとして、固定資産税・都市計画税の課税において「農地評価・農地課税」が適用され大幅に税負担が軽減されます。
解き方
- 生産緑地の固定資産税の課税方式が「農地評価・農地課税」であることを確認する。
- 選択肢3で「宅地並み課税により」と記載されている誤りを指摘する。
- 選択肢 1不正解
- 主たる従事者が死亡した場合、または農林漁業に従事することを不可能にさせる故障を有するに至ったときは、告示から30年経過前であっても買取り申出ができます(生産緑地法第10条)。
- 選択肢 2不正解
- 買取り申出の日から3カ月以内に市町村による買取りやあっせんによる所有権移転等が行われない場合、行為制限が解除され建築等の転用が可能となります(生産緑地法第14条)。
- 選択肢 3正解
- 生産緑地に対する固定資産税は「農地課税」により軽減されています。宅地並み課税されているわけではないため不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 告示から30年を経過する日までに所有者等の同意を得て「特定生産緑地」の指定を受けることができ、指定により買取り申出期日が10年延期され、税制上の優遇措置が継続します。
覚えるポイント
- 生産緑地の固定資産税は「農地評価・農地課税」(宅地並み課税ではない)。
間違えやすいところ
- 三大都市圏特定市街化区域農地=宅地並み課税という一般則に引きずられ、生産緑地の特例(農地課税)を混同しやすい。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)の規定
不動産 · 区分所有法 / 議決権割合 / 管理組合の法人化 / 共用部分の重大変更 / 建替え決議
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、最も不適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を表示
解答
3
解説
区分所有法では、集会の特別決議要件について規約で緩和できる対象が厳密に定められています。共用部分の重大変更(特別多数決議:区分所有者及び議決権の各4分の3以上)において、規約で過半数まで減ずることができるのは「区分所有者の定数(頭数)」のみであり、「議決権の割合」を減ずることはできません。
解き方
- 区分所有法第17条第1項の共用部分の変更要件(各4分の3以上)を確認する。
- 同項但書の規約による緩和対象が「区分所有者の定数」に限定されていることを確認し、議決権を過半数まで減ずることができるとする記述の誤りを判別する。
- 選択肢 1不正解
- 各区分所有者の議決権の割合は、原則として専有部分の床面積の割合によりますが、規約で別段の定めをすることも可能です(区分所有法第38条・第14条)。
- 選択肢 2不正解
- 管理組合を管理組合法人とするには、区分所有者および議決権の各4分の3以上の決議と登記が必要です(区分所有法第47条第1項)。
- 選択肢 3正解
- 共用部分の重大変更決議において規約で過半数まで減ずることができるのは「区分所有者の定数」のみであり、「議決権」は減ずることができません。よって不適切です。
- 選択肢 4不正解
- 建替え決議(各5分の4以上)がなされた場合、賛成者等は不参加の区分所有者に対して時価での売渡請求権(区分所有法第63条)を行使できます。
覚えるポイント
- 共用部分の重大変更で規約により過半数まで減らせるのは「区分所有者の定数」のみ(議決権は不可)。
間違えやすいところ
- 「区分所有者の頭数」と「議決権割合」のどちらを規約で減ずることができるかを混同しやすい。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例
不動産 · 固定資産の交換の特例 / 所持期間要件 / 同一用途供用要件 / 交換差金 / 共有持分の交換
「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」(所得税法第58条)の適用に関する次の記述(a)~(c)のうち、適切なものの個数として最も適切なものを1つ選びなさい。なお、各ケースにおいて特殊関係はなく、記載のない要件等は満たしているものとする。 (a) Aさんが、所有する建物(時価200万円)とその敷地たるX土地(時価1,800万円)を、Bさん所有のY土地(時価2,000万円)と交換した場合、AさんとBさんはいずれも土地の部分については本特例の適用が受けられ、建物の部分(時価200万円)については交換差金となり、Aさんは建物を200万円で譲渡し、BさんはY土地のうち200万円相当額を譲渡したとして、それぞれ譲渡所得の課税対象となる。 (b) Aさんが、X土地(Aさんの持分3分の1、Bさんの持分3分の2)のうちのAさんの持分3分の1(時価1,000万円)を、Bさん所有のY土地(時価1,000万円)と交換して、X土地をBさんの単独所有、Y土地をAさんの単独所有とした場合、AさんとBさんはいずれも本特例の適用が受けられる。 (c) Aさん所有の土地(時価2,000万円)とBさん所有の土地(時価2,000万円)を交換した場合において、Aさんが、交換により取得した土地を取得後、同一の用途に供することなく、直ちに売却したときは、AさんとBさんの双方が本特例の適用を受けることができなくなる。
解答・解説を表示
解答
2
解説
固定資産の交換の特例(所得税法第58条)は、1年以上所有した固定資産を同種の固定資産と交換し、取得後同一の用途に供する場合等に適用されます。要件の充足判定は交換当事者ごとに個別に行われ、一方が要件を満たさない(直ちに売却等)場合でも、要件を満たす他方は特例の適用を受けられます。
解き方
- (a)の検討:土地同士は特例対象、建物部分(200万円)は交換差金として課税されるため適切である。
- (b)の検討:共有持分の交換による単独所有化も固定資産の交換に該当し、他の要件を満たせば双方適用可能であるため適切である。
- (c)の検討:同一用途供用要件等は各当事者ごとに判定されるため、Aが転売してもBが要件を満たしていればBは適用可能であり、「双方が適用を受けられなくなる」は不適切である。
- 適切なものは(a)と(b)の2つであると判断する。
- 選択肢 1不正解
- 適切な記述は(a)と(b)の2つ存在するため、1つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 2正解
- (a)と(b)が適切で、(c)が不適切であるため、適切なものは「2つ」であり正解です。
- 選択肢 3不正解
- (c)が不適切であるため、3つとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述が2つ存在するため、0(なし)とする本選択肢は誤りです。
覚えるポイント
- 交換の特例の要件(同一用途供用など)は、交換当事者ごとに個別に判定する。
間違えやすいところ
- 相手方が要件を満たさなくなると、自分自身も連座して適用できなくなると誤認しやすい。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
不動産投資分析(DSCR:借入金償還倍率の計算)
不動産 · 不動産投資指標 / DSCR / 純営業収益(NOI) / 年間元利返済額(ADS)
下記の〈条件〉に基づく不動産投資におけるDSCR(借入金償還倍率)として、最も適切なものを1つ選びなさい。なお、計算結果は小数点以下第3位を四捨五入すること。 〈条件〉 ・投資物件:賃貸マンション(RC造5階建て、築5年) ・投資額:2億円(自己資金1億円、借入金額1億円) ・賃貸収入:年間1,500万円 ・運営費用:年間500万円(借入金の支払利息は含まれていない) ・借入金返済額:年間620万円(元利均等返済・金利2.5%、返済期間20年)
解答・解説を表示
解答
3
解説
DSCR(Debt Service Coverage Ratio:借入金償還倍率)は、不動産から生じる純営業収益(NOI)が借入金の元利返済額(年間負債返済額)の何倍あるかを示す指標です。DSCRが1.0を超えて数値が大きいほど債務返済に対する安全性が高いことを示します。
解き方
- 純営業収益(NOI)を計算する:1,500万円 - 500万円 = 1,000万円。
- DSCRの算式「NOI ÷ 年間借入金返済額」に数値を当てはめる:1,000万円 ÷ 620万円 ≒ 1.6129。
- 小数点以下第3位を四捨五入して「1.61」を導出する。
- 選択肢 1不正解
- 借入金返済額620万円を賃貸収入1,500万円で除した値(約0.413)であり、DSCRの計算として誤りです。
- 選択肢 2不正解
- 借入金返済額620万円をNOI 1,000万円で除した値(0.62)であり、分子と分母が逆転しています。
- 選択肢 3正解
- NOI(1,500万円-500万円=1,000万円)÷ 借入金返済額620万円 = 1.6129... となり、小数点以下第3位を四捨五入すると1.61となるため適切です。
- 選択肢 4不正解
- 賃貸収入1,500万円を借入金返済額620万円で除した値(約2.419)であり、運営費用を控除していないため誤りです。
覚えるポイント
- DSCR = 純営業収益(NOI) ÷ 年間元利返済額(ADS)。1.0以上で返済余力あり。
間違えやすいところ
- 分子に総収入(1,500万円)を用いてしまうミスや、分子と分母を逆にしてしまうミスが多い。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.22(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
ファイナンシャル・プランニング技能士と専門家の協働
不動産 · 士業の独占業務 / 不動産関連業務と専門家
FP技能士が顧客のプランニングを実行する際における「不動産関連の業務」と「その業務に適した専門家」の組合せとして、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
士業法により各専門家の独占業務が定められています。登記手続のうち表示に関する登記(表題部)は土地家屋調査士、権利に関する登記(権利部・甲区乙区)は司法書士が担当します。
解き方
- 提示された業務内容が「表示に関する登記」か「権利に関する登記」か、あるいは官公署への提出書類作成か等を分類します。
- 地積更正登記は不動産の表示に関する登記であるため、適した専門家は司法書士ではなく土地家屋調査士であると判断します。
- 選択肢 1正解
- 地積更正登記は土地の表示に関する登記であり、土地家屋調査士の独占業務です。司法書士は所有権や抵当権等の権利に関する登記を専門とします。
- 選択肢 2不正解
- 筆界特定制度における申請代理手続は、土地家屋調査士(法務大臣の認定を受けた土地家屋調査士等)の業務として適しています。
- 選択肢 3不正解
- 不動産の鑑定評価に関する法律に基づき、不動産の経済価値を判定して鑑定評価を行うのは不動産鑑定士の独占業務です。
- 選択肢 4不正解
- 農地転用に関する農業委員会等への許可申請や届出等の書類作成および提出代理は、行政書士法に定める行政書士の業務です。
覚えるポイント
- 不動産の表示に関する登記は土地家屋調査士、権利に関する登記は司法書士が担当する。
間違えやすいところ
- 登記業務全般を司法書士が行えると誤認し、表示に関する登記(地積更正・分筆・合筆等)も司法書士の業務と混同しやすいです。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
贈与契約の法的性質と取扱い
相続・事業承継 · 民法上の贈与契約 / 負担付贈与 / 死因贈与
民法および税法における各種の贈与契約に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
贈与は当事者双方の合意によって成立する「契約」です。死因贈与は効力発生時期が贈与者の死亡時である点について遺贈の規定が準用されますが、契約であるため一方的な意思表示のみでは成立しません。
解き方
- 各選択肢の贈与契約(定期贈与・負担付贈与・死因贈与)の成立要件と効力を確認します。
- 死因贈与が単独行為ではなく契約であり、双方の合意が必要である点から選択肢4が不適切であると判断します。
- 選択肢 1不正解
- 民法552条の規定により、定期の給付を目的とする贈与は、贈与者または受贈者の死亡によって効力を失います。
- 選択肢 2不正解
- 負担付贈与により取得した財産の価額は、相続税評価額ではなく原則として通常の取引価額で評価し、そこから負担額を控除して贈与税額を計算します。
- 選択肢 3不正解
- 民法1045条1項に基づき、負担付贈与が遺留分の算定基礎に含まれる場合、その目的財産の価額から負担の価額を控除した額が算入されます。
- 選択肢 4正解
- 死因贈与は契約であるため、贈与者の一方的な意思表示ではなく、贈与者と受贈者の意思表示の合致(合意)によって成立します。
覚えるポイント
- 死因贈与は双方の合意に基づく契約、遺贈は遺言者の一方的な意思表示による単独行為である。
間違えやすいところ
- 死因贈与に遺贈の規定が一部準用されることから、成立要件まで遺贈と同じく単独行為で成立すると誤認しないように注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続時精算課税制度の要件と取扱い
相続・事業承継 · 相続時精算課税制度 / 特定贈与者 / 養子縁組の解消
相続時精算課税制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、記載のない要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
相続時精算課税制度は受贈者が特定贈与者ごとに選択する制度であり、一度選択するとその特定贈与者からの以後の贈与について暦年課税に戻ることはできず、親族関係が消滅した場合でも相続時精算課税が継続します。
解き方
- 相続時精算課税の特例要件、申告義務、相続税申告の要否、制度の継続性を順に検討します。
- 養親との離縁によって養子の地位を喪失しても、特定贈与者との関係における相続時精算課税の選択の効力は失われないため、選択肢4が不適切と判断します。
- 選択肢 1不正解
- 住宅取得等資金の贈与を受けて相続時精算課税を選択する場合、贈与者の年齢要件(60歳以上)が撤廃される特例があります。
- 選択肢 2不正解
- 相続時精算課税を選択した後は、特定贈与者から贈与を受けた財産の価額が少額であっても、原則として贈与税申告書の提出が必要です。
- 選択肢 3不正解
- 相続税の課税価格の合計額(精算課税適用財産の価額を加算した後の額)が遺産に係る基礎控除額以下である場合には、相続税の申告書の提出は不要です。
- 選択肢 4正解
- 養子縁組を解消して特定贈与者の子でなくなった後も、その特定贈与者からの贈与については引き続き相続時精算課税が適用され、暦年課税に変更することはできません。
覚えるポイント
- 相続時精算課税制度は一度選択すると同一贈与者からの贈与について暦年課税への変更は一切できない。
間違えやすいところ
- 養子縁組が解消されると推定相続人でなくなるため制度の対象外(暦年課税)に戻ると誤認しやすいです。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.23(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法務局における自筆証書遺言書保管制度
相続・事業承継 · 遺言書保管法 / 遺言書の閲覧 / 関係相続人等への通知
法務局における遺言書の保管等に関する法律(遺言書保管法)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
3
解説
自筆証書遺言書保管制度では、遺言者の生前は遺言の秘密を守るため、遺言者本人以外の者(推定相続人等を含む)は遺言書の閲覧や保管の有無の確認を行うことはできません。
解き方
- 遺言書保管制度における生前の閲覧権限者を確認します。
- 生前に推定相続人が閲覧を請求することは認められていないため、選択肢3が不適切であると判断します。
- 選択肢 1不正解
- 遺言書の保管申請は、遺言者の住所地・本籍地・所有不動産の所在地のいずれかを管轄する遺言書保管所に本人が出頭して行います。
- 選択肢 2不正解
- 遺言者はいつでも保管申請の撤回により原本の返還を求めることができますが、遺言書が保管されている遺言書保管所へ本人が出頭する必要があります。
- 選択肢 3正解
- 遺言者の生前は、遺言者本人以外に閲覧や交付を請求する権利はなく、推定相続人が閲覧することはできません。
- 選択肢 4不正解
- 相続開始後、いずれかの相続人等に遺言書情報証明書が交付された場合、保管官は他の相続人や受遺者等全員に遺言書が保管されている旨を通知します。
覚えるポイント
- 遺言者生存中は遺言者本人以外は保管事実の確認も閲覧も一切できない。
間違えやすいところ
- 公正証書遺言と同様に、相続開始前は推定相続人であっても閲覧請求ができない点を失念しやすいです。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
民法における遺留分の権利と侵害額請求
相続・事業承継 · 遺留分の放棄 / 遺留分算定の基礎財産 / 遺留分侵害額の支払い猶予
民法に規定する遺留分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
4
解説
遺留分の事前放棄は家庭裁判所の許可が必要ですが、放棄しても相続人の地位は失われず、他の相続人の遺留分にも影響を与えません。また、遺留分侵害額請求は金銭請求権であり、受遺者は裁判所に期限の猶予を請求することができます。
解き方
- 遺留分放棄の効果(相続人としての地位および他の共同相続人の遺留分への影響)を検討します。
- 遺留分算定基礎に加入される贈与の期間制限(原則1年、特別受益は10年)を確認します。
- 遺留分侵害額請求に対する裁判所による金銭債務の期限猶予規定(民法1047条5項)を確認し、選択肢4が適切であると判断します。
- 選択肢 1不正解
- 相続開始前の遺留分の放棄は遺留分を主張できなくなるだけであり、相続権そのものを失うわけではないため、初めから相続人とならなかったものとはみなされません。
- 選択肢 2不正解
- 民法1049条2項により、相続人の一人がした遺留分の放棄は他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさないため、他の相続人の遺留分は増加しません。
- 選択肢 3不正解
- 遺留分算定の基礎となる贈与は、第三者に対するものは相続開始前1年間、共同相続人に対する特別受益に該当するものは相続開始前10年間にされたもの等が原則となります。
- 選択肢 4正解
- 民法1047条5項により、金銭の支払いを請求された受遺者等は、直ちに金銭を準備できないときは裁判所に対して支払期限の猶予を請求することができます。
覚えるポイント
- 遺留分の放棄は相続人の地位を失わせず、他の相続人の遺留分も増えない。支払困難時は裁判所に期限猶予を請求可能。
間違えやすいところ
- 遺留分の放棄と相続放棄を混同し、遺留分の放棄でも相続人から除外されると思い込まないよう注意が必要です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.24(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の基礎控除額の計算(養子の算入制限)
相続・事業承継 · 遺産に係る基礎控除額 / 法定相続人の数 / 養子の算入制限 / 代襲相続人である養子
死亡したAさんの親族関係図において、相続税における遺産に係る基礎控除額として最も適切なものはどれか。 【親族関係】 ・Aさん(被相続人):配偶者、父、母は既に死亡 ・実子:長男B、長女C、二女D(既に死亡) ・二女Dの子:孫F(Aさんの普通養子) ・長男Bの子:孫E(Aさんの普通養子) ・Aさんの弟:弟G(Aさんの普通養子)
解答・解説を表示
解答
3
解説
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。被相続人に実子がある場合、基礎控除の法定相続人に含められる養子は1人までですが、被相続人の直系卑属が被相続人の養子かつ代襲相続人である場合、その者は実子として扱われ養子の人数制限に含まれません。
解き方
- 法定相続人となる親族を整理します。実子(長男B、長女C)、死亡した二女Dの代襲相続人である孫F、普通養子である孫Eおよび弟Gです。
- 孫Fは被相続人の直系卑属(孫)であり死亡した実子Dの代襲相続人であるため、相続税法上は実子としてみなされ、養子の算入制限(実子がいる場合は1人まで)の対象外となります。
- 実子等としてB、C、Fの3人を算入し、その他の養子(孫E、弟G)から制限枠として1人を加えるため、法定相続人の数は合計4人となります。
- 基礎控除額を計算します:3,000万円 + 600万円 × 4人 = 5,400万円。
- 選択肢 1不正解
- 法定相続人を2人として計算した金額(3,000万円+600万円×2=4,200万円)であり不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 代襲相続人である孫Fを通常の養子制限内に含めて法定相続人を3人とした誤った計算(3,000万円+600万円×3=4,800万円)です。
- 選択肢 3正解
- 代襲相続人である孫Fは実子とみなされるため、実子等3人(B・C・F)に養子1人(EまたはG)を加えた4人が法定相続人の数となり、基礎控除額は5,400万円となります。
- 選択肢 4不正解
- 養子の算入制限を考慮せず法定相続人を5人全員として計算した金額(3,000万円+600万円×5=6,000万円)であり不適切です。
覚えるポイント
- 実子の代襲相続人である孫養子は、相続税法上「実子」とみなされ養子の人数制限(実子ありなら1人)を受けない。
間違えやすいところ
- 孫Fを代襲相続人ではなく通常の養子として扱い、養子枠1人分としてカウントしてしまうミスが多いです。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.25(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続分・相続税の2割加算・申告期限
相続・事業承継 · 二重の身分を有する者の法定相続分 / 相続税の2割加算 / 相続税申告書の提出期限
2021年4月15日(木)に死亡したAさんの親族関係図(問46と同一:長男B、長女C、養子孫E、代襲兼養子孫F、養子弟G)に基づく記述(a)~(c)のうち、適切なものの個数として正しいものはどれか。 (a) 孫Fさんの法定相続分は、5分の2である。 (b) 相続税額の計算上、相続税額の2割加算の対象となる者は、孫Eさん、弟Gさんの2人である。 (c) 相続税の申告書の提出期限は、原則として、2022年2月15日(火)である。
解答・解説を表示
解答
1
解説
民法上、養子と代襲相続人の二重の資格を有する場合、それぞれの相続分を併合して取得します。相続税の2割加算は「一親等の血族および配偶者」以外に課されますが、孫養子は一親等の血族であっても2割加算の対象です。一方、被相続人の兄弟姉妹が養子となった場合は一親等の法定血族となるため2割加算の対象外です。
解き方
- (a)の検証:民法上の子はB、C、E、G、F、および死亡したDの代襲Fで6人分(各1/6)。Fは養子分1/6と代襲分1/6を併せて1/3(2/6)となるため不適切です。
- (b)の検証:孫Eは代襲相続人でない孫養子のため2割加算対象です。弟Gは養子縁組により一親等の血族となり直系卑属の孫養子でもないため2割加算の対象外です。対象は孫Eの1人のみなので不適切です。
- (c)の検証:2021年4月15日の翌日から10カ月後は2022年2月15日(火・平日)であり適切です。
- 適切な記述は(c)の1つだけであるため、選択肢1が正解です。
- 選択肢 1正解
- 記述(a)と(b)が不適切で、記述(c)のみが適切であるため、「1つ」が正解です。
- 選択肢 2不正解
- 適切な記述が2つあるとする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 3不正解
- すべての記述が適切とする本選択肢は誤りです。
- 選択肢 4不正解
- 適切な記述がないとする本選択肢は誤りです。
覚えるポイント
- 被相続人の兄弟姉妹が養子となった場合、一親等の血族となるため相続税の2割加算の対象外となる。
間違えやすいところ
- 兄弟姉妹は2割加算対象という知識から、養子縁組をしていても2割加算になると勘違いしやすい論点です。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.26(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税法におけるみなし相続財産と非課税財産
相続・事業承継 · 死亡保険金の非課税限度額 / 前納保険料の払戻金 / 死亡退職金 / 弔慰金の非課税枠
相続税法上の相続財産等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
死亡保険金や死亡退職金の非課税限度額(500万円×法定相続人の数)の規定は、相続人(相続を放棄した者を除く)が取得した財産にのみ適用されます。相続を放棄した者が受け取った保険金は、みなし相続財産として全額が相続税の課税対象となります。
解き方
- 死亡保険金の非課税規定の適用対象者(相続人であること、放棄者は除外)を確認します。
- 選択肢1で「子が相続の放棄をした場合であっても非課税金額の規定の適用を受けることができる」としている点が誤りであると判断します。
- 選択肢 1正解
- 相続を放棄した者は相続税法上の「相続人」として扱われないため、死亡保険金の非課税金額の控除を適用することはできません。
- 選択肢 2不正解
- 死亡保険金とともに受け取った前納保険料の未経過分等の払戻金は、本来の相続財産またはみなし相続財産として相続税の課税対象となります。
- 選択肢 3不正解
- 被相続人の死亡後3年以内に支給額が確定した退職手当金等は、実際の支払いが3年を経過した後であっても相続税の課税対象(みなし相続財産)となります。
- 選択肢 4不正解
- 業務上の死亡によって支給される弔慰金等は、普通給与(賞与を除く月給)の3年分(36カ月分)に相当する額まで相続税が非課税とされます(業務外の場合は半年分)。
覚えるポイント
- 相続を放棄した者は、死亡保険金や死亡退職金の非課税枠の適用を受けられない(全額課税対象)。
間違えやすいところ
- 法定相続人の数の計算には相続放棄者もカウントされますが、放棄者本人が非課税の適用を受けられるわけではないという違いを混同しやすいです。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
相続・事業承継 · 小規模宅地等の特例 / 特定居住用宅地等 / 配偶者居住権
「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
解答・解説を表示
解答
4
解説
小規模宅地等の特例は、生活基盤・事業基盤となる宅地等の相続税評価額を減額する制度です。特定居住用宅地等は限度面積330㎡まで80%減額、特定事業用宅地等は限度面積400㎡まで80%減額され、両者は完全併用(最大730㎡)が可能です。配偶者居住権が設定された場合でも、取得者それぞれの敷地利用権・敷地所有権について要件を満たせば特例が適用されます。
解き方
- 特定居住用宅地等と特定事業用宅地等の限度面積と完全併用の個別上限ルールを確認する。
- 特定居住用宅地等の取得者要件(親族限定、同居親族と家なき子の要件差異)を整理する。
- 民法改正により新設された配偶者居住権および敷地利用権・敷地所有権に対する特例の適用関係を判断する。
- 選択肢 1不正解
- 特定居住用宅地等(限度面積330㎡)と特定事業用宅地等(限度面積400㎡)は完全併用が可能ですが、それぞれの限度面積を超える部分は適用できません。本肢の特定事業用宅地等は430㎡のうち400㎡までしか特例の適用を受けられず、全額適用はできません。
- 選択肢 2不正解
- 特定居住用宅地等の対象となる取得者は被相続人の「親族」に限られます。被相続人の親族に該当しない者が遺贈により取得した場合には、同居していたとしても本特例の適用を受けることはできません。
- 選択肢 3不正解
- 被相続人と同居していた親族については、相続開始前3年以内の持家要件(いわゆる家なき子要件)は適用されず、自己所有家屋に居住したことがあっても申告期限までの居住・所有継続要件等を満たせば特定居住用宅地等として適用を受けられます。
- 選択肢 4正解
- 被相続人の居住用宅地に配偶者居住権を設定した場合、配偶者が取得した「配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地を適正な対価を得ないで利用する権利(敷地利用権)」および同居親族である子が取得した敷地所有権の双方が特定居住用宅地等として本特例の対象となります。
覚えるポイント
- 特定居住用(330㎡)と特定事業用(400㎡)は完全併用可能だが、各区分の限度面積が上限となる。
- 同居親族には持家制限がなく、家なき子(別居親族)のみに3年以内自己等所有家屋なし等の要件がある。
間違えやすいところ
- 完全併用で最大730㎡まで可能だからといって、特定事業用宅地等で400㎡を超えて適用できると誤認しやすい。
- 配偶者居住権の設定によって敷地所有権側が特例を使えなくなると誤解しやすい。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令(租税特別措置法第69条の4)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.27(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除
相続・事業承継 · 個人版事業承継税制 / 特定事業用資産 / 納税猶予 / 受贈者要件
「個人の事業用資産についての贈与税の納税猶予及び免除」(個人版事業承継税制)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
解答・解説を表示
解答
1
解説
個人版事業承継税制(個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予及び免除制度)は、後継者が取得した特定事業用資産(宅地400㎡・建物800㎡まで等)に係る贈与税・相続税の100%の納税が猶予される特例措置です。先代事業者(贈与者)には年齢要件は課されておらず、青色申告承認要件等が定められています。
解き方
- 個人版事業承継税制における贈与者(先代事業者)の要件を確認する。
- 受贈者(後継者)の年齢・従事期間要件、対象となる特定事業用資産の限度面積要件を照合する。
- 事業廃止時等の猶予打ち切り事由および利子税の納付義務を検証する。
- 選択肢 1正解
- 本制度における贈与者(先代事業者)には「60歳以上であること」という年齢要件はありません。青色申告書(所得税法第143条)の承認等を受けていることなどの要件は必要ですが、年齢制限はないため不適切です。
- 選択肢 2不正解
- 受贈者は、贈与の日において20歳(民法成年年齢引き下げに伴い2022年4月1日以後は18歳)以上であり、贈与の日まで引き続き3年以上にわたり対象事業に従事していたこと等の要件を満たす必要があります。
- 選択肢 3不正解
- 特定事業用資産の対象限度面積は、宅地等については400㎡以下、建物については床面積800㎡以下の部分と定められています。
- 選択肢 4不正解
- 後継者が特例事業用資産に係る事業を廃止した場合など所定の猶予取消事由に該当したときは、やむを得ない事由がある場合を除き、猶予されていた贈与税の本税全額と利子税を併せて納付しなければなりません。
覚えるポイント
- 個人版事業承継税制の贈与者に年齢制限はない(受贈者は贈与時20歳以上、2022年4月以後は18歳以上)。
- 対象資産の上限面積は宅地等400㎡、建物床面積800㎡である。
間違えやすいところ
- 相続時精算課税制度などの「60歳以上」という贈与者の年齢制限と混同しやすい。
- 特定事業用宅地等の小規模宅地特例(400㎡)と個人版事業承継税制の宅地上限(400㎡)の混同には注意しつつ、数値が同じであることを整理して覚える。
出題の前提:2021年4月1日現在施行の法令(租税特別措置法第70条の6の8等)
出典:金融財政事情研究会『2021年9月 1級 学科(基礎編)』
公式問題 p.28(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2021年9月 1級 学科(基礎編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2021年9月 1級 学科(基礎編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

