日本FP協会・金融財政事情研究会の公式問題・模範解答を、級・学科/実技・公開年度に分けて収録しています。CBT公開問題は1セットの公表問題で、全受験者への出題を網羅するものではありません。
2021年5月 1級 学科(応用編)の概要
老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給額の計算
ライフプランニングと資金計画 · 老齢基礎年金 / 老齢厚生年金 / 経過的加算 / 配偶者加給年金額
Aさん(1965年11月5日生まれ)が定年退職後に再就職しない場合の、原則65歳到達時から受給できる公的年金の老齢給付額について、2020年度価額に基づき老齢基礎年金および老齢厚生年金(本来水準による価額)の年金額をそれぞれ求めなさい。なお、端数処理は円未満四捨五入とし、計算過程も示しなさい。 〈条件〉 (1) 厚生年金保険の被保険者期間:総報酬制導入前180月、総報酬制導入後331月(65歳到達時点) (2) 2020年度再評価率による平均標準報酬:総報酬制導入前(平均標準報酬月額)36万円、総報酬制導入後(平均標準報酬額)55万円 (3) 報酬比例部分の給付乗率:総報酬制導入前 7.125/1,000、総報酬制導入後 5.481/1,000 (4) 経過的加算額算出式:1,630円×被保険者期間の月数(上限480月)-781,700円×(1961年4月以後で20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者期間の月数/480月) (5) 加給年金額:390,900円(要件充足時加算)
解答・解説を表示
解答
① 734,472円 ② 1,898,344円
解説
老齢基礎年金は20歳から60歳までの保険料納付済月数等に応じて計算されます。老齢厚生年金は報酬比例部分、経過的加算、および一定の被保険者期間を満たし要件に該当する配偶者等がいる場合の加給年金額を合算して計算します。
解き方
- Aさんの20歳から60歳までの期間(480月)のうち、未加入月数(29月)を控除して老齢基礎年金の基礎となる保険料納付済月数(451月)を算出し、満額に乗じて老齢基礎年金を計算する。
- 厚生年金の報酬比例部分を総報酬制導入前後のそれぞれの計算式から算出し、経過的加算額(上限480月を適用)を算出する。
- 被保険者期間が20年以上あることおよび加給年金の要件(生計維持関係にある65歳未満の妻)を確認し、報酬比例部分、経過的加算、加給年金額を合算して老齢厚生年金の総額を求める。
答えの内訳
- ①:734,472(円)
- 老齢基礎年金の計算において、20歳以上60歳未満の480月のうち、未加入であった学生期間の29月を除く451月が保険料納付済月数(厚生年金被保険者期間)に該当します。満額781,700円×(451月/480月)=734,472.08…円となり、円未満を四捨五入して734,472円となります。
- ②:1,898,344(円)
- 老齢厚生年金の額は「報酬比例部分+経過的加算額+加給年金額」で算出します。 ・報酬比例部分:360,000円×(7.125/1,000)×180月+550,000円×(5.481/1,000)×331月=461,700円+997,816.5円=1,459,516.5円 ・経過的加算額:1,630円×480月-781,700円×(451月/480月)=782,400円-734,472.08…円=47,927.91…円 ・報酬比例部分+経過的加算額(端数処理後):1,459,516円+47,928円=1,507,444円 ・配偶者加給年金:被保険者期間が20年以上あるAさんに生計を維持される65歳未満の配偶者がいるため390,900円が加算されます。 ・合計:1,507,444円+390,900円=1,898,344円となります。
覚えるポイント
- 経過的加算の定額部分の上限月数は原則として480月であること
- 加給年金が加算されるには厚生年金保険の被保険者期間が原則として20年以上必要であること
間違えやすいところ
- 経過的加算の計算において、厚生年金の総月数(511月)を上限の480月に調整せずそのまま乗じてしまうミス
- 老齢基礎年金の月数に未加入の29月を含めて満額計算してしまうミス
出題の前提:2020年10月1日現在施行法令(2020年度価額:満額老齢基礎年金781,700円、加給年金額390,900円)
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
在職老齢年金および雇用保険の高年齢求職者給付金
ライフプランニングと資金計画 · 在職老齢年金 / 繰下げ支給 / 高年齢求職者給付金
65歳以後の在職老齢年金および雇用保険の高年齢求職者給付金に関する説明文の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 〈在職老齢年金〉 65歳以上の厚生年金保険被保険者に支給される老齢厚生年金は、基本月額と総報酬月額相当額との合計額が( ① )円(2020年度)を超える場合、支給停止が発生する。総報酬月額相当額は標準報酬月額とその月以前1年間の( ② )の総額を12で除した額の合算である。基本月額12万5,000円、総報酬月額相当額37万円の場合、支給される報酬比例部分の月額は( ③ )円となる。老齢厚生年金を70歳到達月に繰下げ支給した場合の増額率は( ④ )%である。 〈高年齢求職者給付金〉 高年齢求職者給付金の一時金の額は、原則として算定基礎期間1年未満なら基本手当日額の( ⑤ )日分、1年以上なら( ⑥ )日分となる。基本手当日額の基準となる賃金日額は被保険者期間として計算された最後の( ⑦ )カ月間の賃金総額から算出され、受給期限は離職の日の翌日から( ⑧ )年である。
解答・解説を表示
解答
① 470,000 ② 標準賞与額 ③ 112,500 ④ 42 ⑤ 30 ⑥ 50 ⑦ 6 ⑧ 1
解説
在職老齢年金は、給与等と年金月額の合計が基準額を超える場合に一部または全部が支給停止される仕組みです。また、65歳以上の離職者に対する雇用保険からの給付として一時金形式の高年齢求職者給付金が規定されています。
解き方
- 在職老齢年金の支給停止判定式(基本月額+総報酬月額相当額-支給停止調整額)に基づき、各用語の定義と数値を算出する。
- 繰下げ増額率を「0.7%×繰下げ月数」から算出する。
- 雇用保険法における高年齢求職者給付金の支給日数区分(1年未満30日・1年以上50日)および算定対象期間(直近6カ月)、受給期限(1年)の各規定を適用する。
答えの内訳
- ①:470,000(円)
- 65歳以上の在職老齢年金における支給停止調整額(2020年度価額)は47万円(470,000円)です。
- ②:標準賞与額
- 総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額とその月以前1年間の「標準賞与額」の合計を12で割った額を合算して求めます。
- ③:112,500(円)
- 基本月額(125,000円)と総報酬月額相当額(370,000円)の合計は495,000円です。支給停止基準額470,000円を超えるため、支給停止額(月額)=(495,000円-470,000円)×1/2=12,500円となります。支給される額は、125,000円-12,500円=112,500円です。
- ④:42(%)
- 年金の繰下げ増額率は月あたり0.7%です。65歳から70歳到達月までの繰下げ月数は60月であるため、増額率は0.7%×60月=42%となります。
- ⑤:30(日)
- 高年齢求職者給付金の支給日数は、被保険者であった算定基礎期間が1年未満の場合は30日分となります。
- ⑥:50(日)
- 高年齢求職者給付金の支給日数は、被保険者であった算定基礎期間が1年以上の場合は50日分となります。
- ⑦:6(カ月)
- 賃金日額は、原則として退職前(被保険者期間として計算された最後の)6カ月間に支払われた賃金の総額を180で除して算出します。
- ⑧:1(年)
- 高年齢求職者給付金の受給期限は、離職の日の翌日から起算して1年間となっています。
覚えるポイント
- 65歳以降の在職老齢年金の支給停止額は(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)×1/2で算出する(出題基準日時点)
- 高年齢求職者給付金の一時金日数は算定基礎期間1年未満が30日、1年以上が50日であること
間違えやすいところ
- 在職老齢年金の支給額を問われているのに、計算した支給停止額をそのまま答えてしまうミス
- 高年齢求職者給付金の支給日数(30日・50日)と介護休業給付金の日数などを混同してしまうミス
出題の前提:2020年10月1日現在施行法令(高年齢雇用継続給付・在職老齢年金・雇用保険法)
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
雇用保険の介護休業給付金制度の概要
ライフプランニングと資金計画 · 雇用保険 / 介護休業給付金 / 支給要件 / 給付率
雇用保険の介護休業給付金に関する次の文章の空欄①~⑥に入る最も適切な数値を求めなさい。 「介護休業給付金は、原則として、雇用保険の一般被保険者や高年齢被保険者が、配偶者や父母などの対象家族に係る所定の介護休業を取得し、かつ、介護休業開始日前2年間にみなし被保険者期間が通算して12カ月以上ある場合に支給されます。また、被保険者が同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、介護休業を開始した日から通算して( ① )日を限度に( ② )回までに限り支給されます。 介護休業給付金の額は、介護休業期間中に事業主から賃金の支払がない場合、一支給単位期間当たり『休業開始時賃金日額×支給日数×( ③ )%』の算式で算出されます。事業主から賃金の支払がある場合は、その支給単位期間における介護休業給付金は、賃金の額が『休業開始時賃金日額×支給日数』の13%相当額超( ④ )%相当額未満であるときは減額支給となり、( ④ )%相当額以上であるときは支給されません。なお、介護休業給付金には支給限度額があり、この額は毎年( ⑤ )月1日に改定されます。 介護休業給付金の支給申請は、原則として、1回の介護休業終了後、その終了日の翌日から( ⑥ )カ月を経過する日の属する月の末日までに行う必要があります」
解答・解説を表示
解答
① 93(日) ② 3(回) ③ 67(%) ④ 80(%) ⑤ 8(月) ⑥ 2(カ月)
解説
雇用保険の介護休業給付金は、家族の介護のために休業する被保険者の雇用の継続を支援する制度であり、支給対象日数(通算93日・3回まで)や給付率(67%)、賃金減額基準(80%基準)などの法定制限が設けられています。
解き方
- 介護休業の取得可能日数・回数の上限(通算93日、分割3回まで)を確認する。
- 休業期間中の給付率(67%)および賃金支払時の減額・不支給基準(13%超~80%未満で減額、80%以上で不支給)を確認する。
- 支給限度額の改定時期(毎年8月1日)および申請期限(休業終了翌日から2カ月経過月の末日)を特定する。
答えの内訳
- ①:93
- 同一の対象家族について支給される介護休業給付金の通算日数は、最大93日です。
- ②:3
- 同一の対象家族について介護休業を分割して取得する場合、最大3回までに限り支給対象となります。
- ③:67
- 介護休業給付金の給付率は、賃金の支払いがない場合、休業開始時賃金日額に支給日数を乗じた額の67%です。
- ④:80
- 休業期間中に事業主から賃金が支払われ、その額が賃金日額×支給日数の80%以上となる場合は給付金が支給されません。13%超80%未満の場合は差額相当分が減額支給されます。
- ⑤:8
- 雇用保険の基本手当日額や介護休業給付金の上限額等の基準となる額は、毎年の毎月勤労統計調査に基づき毎年8月1日に改定されます。
- ⑥:2
- 支給申請の手続きは、原則として各介護休業の終了日の翌日から起算して2カ月を経過する日の属する月の末日までに行う必要があります。
覚えるポイント
- 介護休業給付金は同一対象家族につき通算93日、最大3回まで分割取得可能
- 給付率は一律67%、就業時の不支給ラインは賃金80%以上
- 申請期限は休業終了日の翌日から2カ月を経過する日の属する月の末日
間違えやすいところ
- 育児休業給付金の給付率(当初6カ月67%、以降50%)と混同し、介護休業給付金も途中で給付率が下がると誤解しやすい
- 介護休業の日数限度(通算93日)を3カ月(約90日)や180日などと誤記しやすい
出題の前提:雇用保険法第61条の6、第61条の7(2020年10月1日施行基準)
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.2(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
デュポンシステムによるROE分解と株式指標の分析
金融資産運用 · 財務分析 / ROE / デュポン分析 / 財務レバレッジ / 配当性向 / 配当利回り
設例の財務データおよび株式データに基づき、文章中の空欄①~⑦に入る最も適切な語句または数値を求めなさい。計算結果は小数点以下第3位を四捨五入し、小数点以下第2位まで表示すること。 「X社とY社を自己資本当期純利益率で比較すると、X社の値が( ① )%、Y社の値が□□□%であり、X社の値のほうが上回っています。この結果について、両社の自己資本当期純利益率を売上高当期純利益率、使用総資本回転率、( ② )の3指標に分解して比較してみると、Y社の使用総資本回転率は( ③ )回、( ② )は( ④ )倍で、いずれもX社の値を上回っていますが、X社の売上高当期純利益率が( ⑤ )%でY社の値を大きく上回っており、X社の収益性の高さが主たる要因と分析することができます。 X社とY社を株主への利益還元の度合いを測る指標である配当性向で比較すると、X社の値が( ⑥ )%、Y社の値が□□□%であり、X社のほうが株主への利益還元の度合いが高いといえます。また、配当利回りは、X社株式が□□□%であるのに対してY社株式は( ⑦ )%となっています」
解答・解説を表示
解答
① 17.73(%) ② 財務レバレッジ ③ 0.87(回) ④ 1.55(倍) ⑤ 36.12(%) ⑥ 26.03(%) ⑦ 0.69(%)
解説
ROE(自己資本当期純利益率)は売上高当期純利益率(収益性)、総資本回転率(効率性)、財務レバレッジ(財務構成)の3つに分解して分析することができます。自己資本を算出する際は、純資産の部合計から新株予約権と非支配株主持分を控除します。
解き方
- 各社の自己資本額(純資産合計-新株予約権-非支配株主持分)を計算する。
- デュポン分解の3要素(売上高当期純利益率、使用総資本回転率、財務レバレッジ)を各社について算出し、ROEの決定要因を整理する。
- 株主還元指標である配当性向(配当金総額÷当期純利益)および配当利回り(1株当たり配当金÷株価)を計算し、四捨五入規定を適用する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:17.73
- X社の自己資本=純資産合計683,000百万円-新株予約権400百万円-非支配株主持分100百万円=682,500百万円。ROE=当期純利益121,000百万円÷自己資本682,500百万円×100≒17.7289%→四捨五入して17.73%です。
- 小問 ②:財務レバレッジ
- ROE(自己資本当期純利益率)はデュポンシステムにより「売上高当期純利益率×使用総資本回転率×財務レバレッジ(総資産÷自己資本)」に分解されます。
- 小問 ③:0.87
- Y社の使用総資本回転率=売上高188,000百万円÷総資産215,000百万円≒0.8744回→四捨五入して0.87回です。
- 小問 ④:1.55
- Y社の自己資本=純資産合計140,000百万円-新株予約権400百万円-非支配株主持分800百万円=138,800百万円。財務レバレッジ=総資産215,000百万円÷自己資本138,800百万円≒1.5489倍→四捨五入して1.55倍です。
- 小問 ⑤:36.12
- X社の売上高当期純利益率=当期純利益121,000百万円÷売上高335,000百万円×100≒36.1194%→四捨五入して36.12%です。
- 小問 ⑥:26.03
- X社の配当性向=配当金総額31,500百万円÷当期純利益121,000百万円×100≒26.033%→四捨五入して26.03%です。
- 小問 ⑦:0.69
- Y社の配当利回り=1株当たり年間配当金(3,000百万円÷125百万株=24円)÷株価3,500円×100≒0.6857%→四捨五入して0.69%です。
覚えるポイント
- デュポン分解:ROE = 売上高当期純利益率 × 総資本回転率 × 財務レバレッジ
- 自己資本 = 純資産の部合計 - 新株予約権 - 非支配株主持分(株主資本合計+その他の包括利益累計額)
- 配当性向 = 配当金総額 ÷ 当期純利益(または 1株当たり配当金 ÷ EPS)
間違えやすいところ
- 自己資本の計算において純資産合計から新株予約権や非支配株主持分を控除し忘れる
- 財務レバレッジ(総資産÷自己資本)と自己資本比率(自己資本÷総資産)を取り違える
- 配当利回りと配当性向の算式を混同する
出題の前提:企業会計基準および財務諸表分析の一般的基準(2020年10月1日現在施行基準)
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
使用総資本事業利益率とインタレスト・カバレッジ・レシオの計算
金融資産運用 · 財務分析 / 収益性分析 / 安全性分析
設例の〈X社とY社の財務データ〉に基づき、①X社の使用総資本事業利益率、②Y社のインタレスト・カバレッジ・レシオをそれぞれ計算しなさい。計算過程を示し、結果は%表示および倍率表示の小数点以下第3位を四捨五入して小数点以下第2位まで求めなさい。
解答・解説を表示
解答
① 20.09%、② 81.67倍
解説
事業利益は営業利益に金融収益(受取利息および受取配当金)を合算して求めます。使用総資本事業利益率は企業が投下した総資本からどれだけ本業および金融活動で利益を生み出したかを示す総合的収益性指標であり、インタレスト・カバレッジ・レシオは事業利益が支払利息等の金融費用の何倍あるかを表す財務健全性・債務返済能力の指標です。
解き方
- 各社の損益計算書から、事業利益(営業利益+受取利息+受取配当金)を正確に算出する。
- X社の使用総資本事業利益率は、事業利益を総資産合計で除して100を乗じ、小数点以下第3位を四捨五入する。
- Y社のインタレスト・カバレッジ・レシオは、事業利益を支払利息で除し、小数点以下第3位を四捨五入して倍率を求める。
答えの内訳
- ①:20.09(%)
- 事業利益=営業利益125,500百万円+受取利息2,800百万円+受取配当金27,000百万円=155,300百万円となります。使用総資本事業利益率=(事業利益155,300百万円÷使用総資本773,000百万円)×100=20.0905…%となり、小数点以下第3位を四捨五入して20.09%となります。
- ②:81.67(倍)
- 事業利益=営業利益23,300百万円+受取利息500百万円+受取配当金700百万円=24,500百万円となります。インタレスト・カバレッジ・レシオ=事業利益24,500百万円÷支払利息300百万円=81.666…倍となり、小数点以下第3位を四捨五入して81.67倍となります。
覚えるポイント
- 事業利益=営業利益+受取利息+受取配当金
- 使用総資本事業利益率=(事業利益÷使用総資本[総資産])×100
- インタレスト・カバレッジ・レシオ=事業利益÷金融費用(支払利息・割引料)
間違えやすいところ
- 事業利益の計算において受取配当金や受取利息を加算し忘れて営業利益のまま計算してしまうミス
- 使用総資本に純資産合計を誤って代入してしまうミス
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等および企業会計基準
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.7(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.8(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
株式の取引ルールおよび上場株式の配当課税
金融資産運用 · 株式売買ルール / 配当所得 / 配当控除 / 権利付最終日
上場株式の取引ルールおよび配当金受取時の課税上の取扱いに関する文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を記入しなさい。
解答・解説を表示
解答
① 100(株) ② 成行(注文) ③ 価格(優先) ④ 15.315(%) ⑤ 5(%) ⑥ 10,000(円) ⑦ 2,800(円) ⑧ 2(営業日前)
解説
上場株式の売買は単元株制度(100株単位)および競争売買の原則(価格優先・時間優先)に基づいて行われます。上場株式の配当金は支払時に20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。総合課税を選択して確定申告すると配当控除の適用を受けられ、課税総所得金額等が1,000万円以下の場合、所得税で配当所得の10%、住民税で2.8%の税額控除が可能です。また株券等の決済期間短縮に伴い、権利付最終日は権利確定日の2営業日前となっています。
解き方
- 取引所取引の基本ルール(売買単位100株、成行・指値注文、価格優先・時間優先の原則)を確認する。
- 配当所得に対する源泉徴収税率の内訳(所得税等15.315%、住民税5%)を特定する。
- 総合課税選択時の配当控除額を、課税総所得金額等1,000万円以下の控除率(所得税10%、住民税2.8%)を配当所得に乗じて算出する。
- 受渡日短縮(T+2)に伴う権利付最終日の日数(権利確定日の2営業日前)を確認する。
答えの内訳
- ①:100(株)
- 国内の証券取引所に上場する内国株式の単元株式数(売買単位)は、全国証券取引所の統一ルールにより100株単位となっています。
- ②:成行(注文)
- 価格を指定せずに銘柄・売買区分・数量のみを指定して発注する注文方法を成行注文といいます。
- ③:価格(優先)
- 取引所の競争売買の原則には「価格優先の原則」と「時間優先の原則」があり、成行注文や有利な価格の注文が優先して約定します。
- ④:15.315(%)
- 上場株式等の配当金から源泉徴収される所得税の税率は、基準税率15%に復興特別所得税(15%×2.1%=0.315%)を加えた15.315%です。
- ⑤:5(%)
- 上場株式等の配当金から特別徴収(源泉徴収)される住民税の税率は5%です(所得税と合わせて合計20.315%)。
- ⑥:10,000(円)
- 課税総所得金額等が1,000万円以下の場合、所得税における配当控除率は配当所得金額の10%であるため、10万円×10%=10,000円が税額から控除されます。
- ⑦:2,800(円)
- 課税総所得金額等が1,000万円以下の場合、住民税における配当控除率は配当所得金額の2.8%であるため、10万円×2.8%=2,800円が税額から控除されます。
- ⑧:2(営業日前)
- 株式の受渡期日が約定日から起算して3営業日目(T+2)とされているため、配当等の権利を得るための権利付最終日は権利確定日の2営業日前となります。
覚えるポイント
- 配当等の源泉徴収税率:所得税等15.315%+住民税5%=合計20.315%
- 課税総所得金額等1,000万円以下の配当控除率:所得税10%、住民税2.8%
- 権利付最終日は権利確定日の2営業日前(約定日から3営業日目受渡し)
間違えやすいところ
- 配当控除の所得税控除率(10%)と住民税控除率(2.8%)の取り違え
- 受渡期日短縮前の「3営業日前」と混同して権利付最終日を誤答するミス
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.9(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.3(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
法人税別表四(所得の金額の計算に関する明細書)の作成
タックスプランニング · 法人税申告書別表四 / 減価償却費の損金算入限度額 / 交際費等の損金不算入 / 引当金の税務調整 / 納税充当金
小売業を営むX株式会社(期末資本金1,000万円、青色申告法人、中小企業者等)の2021年3月期の資料に基づき、〈略式別表四(所得の金額の計算に関する明細書)〉の空欄①~⑧に入る最も適切な数値を求めなさい。なお、所得の金額の計算上複数の方法がある場合は、所得金額が最も低くなる方法を選択すること。
解答・解説を表示
解答
① 9,700,000(円) ② 900,000(円) ③ 4,500,000(円) ④ 3,900,000(円) ⑤ 200,000(円) ⑥ 8,000,000(円) ⑦ 40,840(円) ⑧ 31,000,000(円)
解説
法人税法上の所得金額は、企業会計上の当期純利益を出発点として、税務上の益金算入・損金不算入(加算項目)および益金不算入・損金算入(減算項目)の申告調整を行って算出します。
解き方
- 資料の各項目について、税務上の加算(留保・社外流出)および減算(留保・社外流出)の要否と金額を判定する。
- 交際費等の損金不算入額については定額控除限度額方式と飲食費50%方式を比較し、所得が低くなる方を選択する。
- 当期純利益に加算項目を加え、減算項目を差し引いた上で税額控除対象の所得税額等を加算し、別表四の所得金額を算出する。
小問ごとの答え
- 小問 ①:9,700,000
- 当期に損金経理した納税充当金(法人税等の見積納税額)は、貸借対照表の未払法人税等に計上された9,700千円(9,700,000円)であり、加算(留保)します。
- 小問 ②:900,000
- 建物の減価償却費7,800千円から償却限度額6,900千円を差し引いた減価償却超過額900千円(900,000円)を加算(留保)します。
- 小問 ③:4,500,000
- 1人当たり5,000円以下の飲食費100千円を除外した交際費等は12,500千円です。中小法人の定額控除限度額(年800万円)を選択した場合の損金不算入額は12,500千円-8,000千円=4,500千円(4,500,000円)となり、飲食費50%損金算入方式(不算入額8,000千円)より所得が低くなるためこちらを選択して加算(社外流出)します。
- 小問 ④:3,900,000
- 税法上、退職給付引当金への繰入額は全額損金不算入となるため、損金経理した退職給付費用3,900千円(3,900,000円)を加算(留保)します。
- 小問 ⑤:200,000
- 器具備品の償却限度額3,200千円に対する償却不足額は200千円(3,200千円-3,000千円)です。前期繰越償却超過額300千円のうち償却不足額に達するまでの200千円(200,000円)が当期認容額として減算(留保)されます。
- 小問 ⑥:8,000,000
- 退職金の実際の支払時に退職給付引当金を取り崩した金額8,000千円(8,000,000円)は、税務上の損金として認容されるため減算(留保)します。
- 小問 ⑦:40,840
- 預金利子から源泉徴収された所得税額40,000円および復興特別所得税額840円の合計額40,840円について、法人税額から控除するため加算(社外流出)します。
- 小問 ⑧:31,000,000
- 当期利益21,189,160円+加算項目合計(①9,700,000+②900,000+③4,500,000+④3,900,000)=40,189,160円。ここから減算項目合計(⑤200,000+事業税等1,030,000+⑥8,000,000)=9,230,000円を引いて仮計30,959,160円を算出し、⑦40,840円を加算して合計31,000,000円(31,000,000円)となります。
覚えるポイント
- 1人当たり5,000円以下の一定の飲食費は税務上の交際費等から除外される。
- 中小法人の交際費等は「年間800万円までの全額損金算入」と「接待飲食費の50%損金算入」の有利選択が可能である。
間違えやすいところ
- 減価償却超過額の当期認容は、当期の償却不足額と前期繰越超過額のいずれか少ない金額が限度となることを見落とすミスが多い。
- 損金経理をした納税充当金に利子から源泉徴収された所得税額・復興特別所得税額を含めてしまう間違いに注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
中小法人の法人税額の計算
タックスプランニング · 法人税額の計算 / 中小法人の軽減税率 / 税額控除 / 所得税額控除
問57で算出した所得金額に基づき、X社が当期の確定申告により納付すべき法人税額を求めなさい。計算過程を示し、答は100円未満を切り捨てて円単位とすること。
解答・解説を表示
解答
6,215,100(円)
解説
資本金1億円以下の中小法人等の法人税額は、年800万円以下の所得金額部分に軽減税率(15%)、年800万円を超える部分に本則税率(23.2%)を乗じて計算した法人税額から各種税額控除を差し引いて算出します。
解き方
- 課税所得金額31,000,000円を年800万円以下の部分と年800万円超の部分に区分し、それぞれ15%と23.2%を乗じて合計税額6,536,000円を算出する。
- 算出税額から特別控除280,000円および控除対象所得税額等40,840円を差し引く。
- 差引税額の100円未満の端数を切り捨てて納付すべき確定法人税額を確定する。
覚えるポイント
- 中小法人の年800万円以下の所得金額に対する軽減税率は15%である。
- 法人税額の計算において、納付すべき税額の100円未満の端数は切り捨てる。
間違えやすいところ
- 所得税額控除(40,840円)や設備投資等の特別控除(280,000円)の控除を失念するミスが多い。
- 100円未満の端数切捨て処理を忘れて6,215,160円と解答してしまうミスに注意する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.11(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.12(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
オープンイノベーション促進税制および法人税の申告手続
タックスプランニング · オープンイノベーション促進税制 / 法人税の中間申告 / 電子申告義務化
法人税に関する以下の文章ⅠおよびⅡの下線部①~③のうち、最も不適切なものをそれぞれ1つ選び、その適切な内容について簡潔に説明しなさい。 Ⅰ 「特別新事業開拓事業者に対し特定事業活動として出資をした場合の課税の特例」(オープンイノベーション促進税制。以下、「本特例」という)は、青色申告法人で一定の特定事業活動を行うものが、一定の特別新事業開拓事業者の株式を出資の払込みにより取得した場合に、所定の要件を満たせば、一定の金額を限度として、①その特定株式の取得価額の25%相当額以下の金額で特別勘定として経理した金額を法人税額から控除することができる特例である。 内国法人である特別新事業開拓事業者の株式を出資の払込みにより取得した中小企業者が本特例の適用を受けるためには、②その払込金額が1,000万円以上でなければならない。 なお、本特例の適用を受けた法人において、③その特定株式を取得した日から5年を経過する日までの間に、当該株式を譲渡した場合や当該株式に係る配当の支払を受けた場合には、特別勘定の金額のうちその対応する部分の金額を取り崩して益金の額に算入しなければならない。 Ⅱ 法人税の申告には中間申告と確定申告がある。事業年度が6カ月を超える普通法人は、所轄税務署長に対し、原則として、①事業年度開始の日から6カ月以内に中間申告書を提出し、事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に確定申告書を提出しなければならない。 中間申告には、納付税額を、前事業年度の確定法人税額を前事業年度の月数で除した値に6を乗じて算出する方法(予定申告)と、当該事業年度開始の日以後6カ月の期間を一事業年度とみなして仮決算を行い、それに基づいて算出する方法がある。ただし、原則として、仮決算による中間申告税額が予定申告税額を超える場合や、②予定申告税額が10万円以下である場合には、仮決算による中間申告をすることはできない。 なお、納付すべき法人税の額がない場合であっても、確定申告書の提出は必要である。また、③事業年度開始時における資本金の額が1億円を超える内国法人は、原則として、中間申告書および確定申告書をe-Tax(国税電子申告・納税システム)で提出しなければならない。
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解答
Ⅰ:① その特定株式の取得価額の25%相当額以下の金額で特別勘定として経理した金額を損金の額に算入することができる。/Ⅱ:① 中間申告書は、事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内に提出しなければならない。
解説
オープンイノベーション促進税制はスタートアップ企業への出資を促すための準備金方式(損金算入)の措置であり、法人税額の直接控除ではありません。また、法人税の中間申告制度では、事業年度開始後6カ月間の業績や前年度実績を把握・集計するために、開始から6カ月経過後2カ月以内の申告・納付期限が定められています。
解き方
- 文章Ⅰの各記述を確認し、オープンイノベーション促進税制の制度趣旨(所得控除/損金算入か税額控除か)の誤りを特定して正しく改める。
- 文章Ⅱの申告手続を確認し、中間申告の法定提出期限(開始後6カ月経過日から2カ月以内)に関する誤りを正しく改める。
答えの内訳
- Ⅰ:① (適切な内容:その特定株式の取得価額の25%相当額以下の金額で特別勘定として経理した金額を損金の額に算入することができる。)
- オープンイノベーション促進税制は税額控除ではなく所得控除(特別勘定経理による損金算入)の特例です。青色申告法人が一定の株式を取得して特別勘定を設けた場合、株式取得価額の25%相当額を損金の額に算入することができます。
- Ⅱ:① (適切な内容:中間申告書は、事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内に提出しなければならない。)
- 法人税の中間申告書の提出期限は「事業年度開始の日から6カ月以内」ではなく、「事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内」です。確定申告書と同様に2カ月の提出期間が設けられています。
覚えるポイント
- オープンイノベーション促進税制は取得価額の25%損金算入(税額控除ではない)
- 中間申告書の提出期限は「事業年度開始の日以後6カ月を経過した日から2カ月以内」
間違えやすいところ
- 税制優遇措置をすべて「税額控除」と思い込み、損金算入規定との区別を見落とす。
- 中間申告の期限を「事業年度開始から6カ月以内」と誤認し、経過後2カ月の猶予期間を忘れる。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の税法(租税特別措置法、法人税法)
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.13(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.4(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法の高さ制限および固定資産の交換特例の要件
不動産 · 斜線制限 / 日影規制 / 固定資産の交換の特例
建築基準法の規定および「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」に関する以下の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を、解答用紙に記入しなさい。 〈建築基準法の規定〉 Ⅰ 建築基準法では、都市計画区域と準都市計画区域内において、用途地域等に応じて、建築物の高さの制限を定めている。交換後の乙土地に建築する建築物に適用される高さの制限には道路斜線制限と( ① )斜線制限があり、さらに第一種中高層住居専用地域内においては、「日影による中高層の建築物の高さの制限」(以下、「日影規制」という)が適用される場合を除き、( ② )斜線制限がある。 なお、天空率により計算した採光、通風等が各斜線制限により高さが制限された場合と同程度以上である建築物については、各斜線制限は適用されない。 日影規制の対象区域は、( ③ )地域、工業地域、工業専用地域以外で、地方公共団体の条例で指定された区域となる。日影規制の対象区域である第一種中高層住居専用地域においては、原則として、高さが( ④ )mを超える建築物が日影規制による制限を受ける。 〈固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例〉 Ⅱ 「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」(以下、「本特例」という)の適用を受けるためには、交換譲渡資産および交換取得資産がいずれも( ⑤ )年以上所有されていたものであり、交換取得資産を交換譲渡資産の交換直前の( ⑥ )と同一の( ⑥ )に供する必要がある。また、交換時における交換譲渡資産の時価と交換取得資産の時価との差額が、これらの時価のうちいずれか高いほうの価額の( ⑦ )%以内でなければならない。 なお、本特例の適用を受けた場合、交換取得資産は交換譲渡資産の取得費や( ⑧ )を引き継ぐことになる。
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解答
① 隣地(斜線制限) ② 北側(斜線制限) ③ 商業(地域) ④ 10(m) ⑤ 1(年) ⑥ 用途 ⑦ 20(%) ⑧ 取得時期
解説
建築基準法の斜線制限および日影規制は周辺環境の通風・採光を確保するための形態制限です。一方、所得税法上の固定資産の交換特例は、同一用途の資産同士を実質的に等価(差額20%以内)で交換した際に、譲渡益への課税を将来に繰り延べる(取得費・取得時期を引き継ぐ)税制上の救済措置です。
解き方
- 建築基準法の斜線制限の種類と各用途地域における日影規制の対象(商業・工業・工専除外、高さ10m超基準)を整理して①~④を埋める。
- 所得税法第58条(固定資産の交換特例)の要件である所有期間(1年以上)、同一用途供用、時価差額基準(20%以内)、および引継項目(取得時期)を整理して⑤~⑧を埋める。
答えの内訳
- ①:隣地(斜線制限)
- 建築基準法に規定される斜線制限には、道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限の3種類があります。第一種低層・第二種低層住居専用地域を除くすべての用途地域で隣地斜線制限が適用されます。
- ②:北側(斜線制限)
- 第一種中高層住居専用地域においては、日影規制の対象区域外である場合、北側斜線制限が適用されます(日影規制が適用される場合は北側斜線制限は適用除外となります)。
- ③:商業(地域)
- 日影規制の対象外となる用途地域は、商業地域、工業地域、工業専用地域の3地域です。
- ④:10(m)
- 第一種・第二種中高層住居専用地域において日影規制の対象となる建築物は、原則として高さが10mを超える建築物です。
- ⑤:1(年)
- 固定資産の交換の特例の適用を受けるためには、譲渡資産および取得資産の双方が1年以上所有されていた固定資産である必要があります。
- ⑥:用途
- 交換取得資産は、交換譲渡資産が交換直前に供されていた用途と同一の用途(例えば宅地なら宅地など)に供する必要があります。
- ⑦:20(%)
- 交換差金の額(時価の差額)は、交換譲渡資産と交換取得資産のいずれか高いほうの時価の20%以内でなければなりません。
- ⑧:取得時期
- 本特例の適用を受けた場合、課税が繰り延べられるため、交換取得資産は交換譲渡資産の取得費および取得時期を引き継ぎます。
覚えるポイント
- 日影規制の適用対象外:商業地域・工業地域・工業専用地域
- 固定資産の交換特例:所有期間1年以上、同一用途、差額20%以内、取得費と取得時期を引き継ぐ
間違えやすいところ
- 日影規制の対象外地域に用途地域の「工業地域」だけでなく「商業地域」が含まれることを失念する。
- 交換特例の差額限度を20%ではなく「10%」や「25%」と混同する。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の建築基準法および所得税法第58条
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.16(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
建築基準法における建蔽率および容積率の上限面積の計算
不動産 · 建築基準法 / 建蔽率の緩和 / 容積率の制限 / 特定道路による容積率の緩和
甲土地(360㎡)を分割して取得した乙土地(地積180㎡)に準耐火建築物を建築する場合における、①建蔽率の上限となる建築面積、および②容積率の上限となる延べ面積を求めなさい。 【乙土地の条件】 ・地積:180㎡(第一種住居地域部分75㎡、第一種中高層住居専用地域部分105㎡) ・第一種住居地域:指定建蔽率60%、指定容積率300%、前面道路幅員制限乗数4/10、準防火地域 ・第一種中高層住居専用地域:指定建蔽率40%、指定容積率200%、前面道路幅員制限乗数4/10、準防火地域 ・前面道路:幅員6mの公道 ・特定道路:幅員15m公道(特定道路から乙土地までの延長距離は63m) ・特定行政庁が指定する角地である。
解答・解説を表示
解答
① 123㎡、② 408㎡
解説
複数の用途地域にまたがる敷地では、建蔽率・容積率ともに各地域の限度面積を算出して合計します。準防火地域内の耐火・準耐火建築物および特定行政庁指定の角地はそれぞれ10%の建蔽率緩和を受けられます。また特定道路(幅員12m以上)から70m以内にある幅員6m以上12m未満の道路に面する敷地では容積率算定の道路幅員が加算緩和されます。
解き方
- 建蔽率について、準防火地域内の準耐火建築物緩和(+10%)と指定角地緩和(+10%)を適用し、各用途地域の面積に乗じて建築面積の上限を合計する。
- 容積率について、特定道路緩和式により加算数値を求めてみなし道路幅員を算出し、道路幅員制限と指定容積率のいずれか小さい方を判定して各地域の延べ面積上限を計算・合算する。
答えの内訳
- ①:123㎡
- 乙土地は準防火地域内にあり、準耐火建築物を建築するため建蔽率が10%緩和されます。また特定行政庁が指定する角地であるためさらに10%緩和され、各地域とも指定建蔽率に合計20%が加算されます。第一種住居地域(75㎡)の適用建蔽率は60%+20%=80%となり、建築面積限度は75㎡×80%=60㎡です。第一種中高層住居専用地域(105㎡)の適用建蔽率は40%+20%=60%となり、建築面積限度は105㎡×60%=63㎡です。敷地全体の上限面積は60㎡+63㎡=123㎡となります。
- ②:408㎡
- 幅員15mの特定道路から70m以内(63m)にある幅員6m(6m以上12m未満)の道路に接しているため、特定道路による幅員緩和が適用されます。加算値は (12-6)×(70-63)/70 = 0.6mとなり、基準幅員は6m+0.6m=6.6mです。前面道路幅員制限による容積率は、両地域ともに 6.6m×4/10 = 264%となります。第一種住居地域(75㎡)は指定容積率300%と道路制限264%のうち小さい264%が適用され、延べ面積限度は75㎡×264%=198㎡です。第一種中高層住居専用地域(105㎡)は指定容積率200%と道路制限264%のうち小さい指定の200%が適用され、延べ面積限度は105㎡×200%=210㎡です。敷地全体の上限延べ面積は198㎡+210㎡=408㎡となります。
覚えるポイント
- 準防火地域内の耐火・準耐火建築物は建蔽率が10%緩和され、角地緩和と重複適用可能です。
- 特定道路の緩和加算式は (12-Wr)×(70-L)/70 です(Wrは前面道路幅員、Lは延長距離)。
間違えやすいところ
- 準防火地域内の準耐火建築物に対する建蔽率緩和(10%加算)を失念して角地分しか加算しないミス。
- 容積率計算において、道路幅員による制限値と指定容積率の比較を行わず、制限値のみで計算してしまうミス。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の建築基準法に基づく
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.15(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
固定資産の交換の特例を適用した借地権と底地の交換に伴う課税譲渡所得と税額の計算
不動産 · 固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例 / 交換差金 / 長期譲渡所得 / 所得税および復興特別所得税 / 個人住民税
Aさんが借地権(時価5,000万円、取得費不明、取得時期2015年10月相続、交換費用200万円で区分不明)を譲渡し、底地(時価4,500万円)を取得するとともに交換差金500万円を受領した。「固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例」の適用を受ける場合における、①課税長期譲渡所得金額、②所得税および復興特別所得税の合計額、③住民税額を求めなさい(100円未満切捨て)。
解答・解説を表示
解答
① 4,650,000円、② 712,100円、③ 232,500円
解説
固定資産の交換の特例において交換差金を受け取った場合、受け取った交換差金部分は資産を譲渡したものとして譲渡所得の課税対象となります。このとき控除できる取得費および譲渡費用は、譲渡資産全体の取得費・譲渡費用の合計額に「交換差金/(交換取得資産の時価+交換差金)」の割合を乗じて按分計算します。交換費用の区分が不明なときは原則として50%を譲渡費用とします。
解き方
- 概算取得費(時価の5%)および譲渡に要した費用(区分のない交換費用の50%)を算出し、交換差金に対応する按分取得費・譲渡費用を計算して課税長期譲渡所得金額を求める。
- 課税長期譲渡所得金額に所得税率(15%)を乗じ、さらに復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)を算出して合計し、100円未満を切り捨てる。
- 課税長期譲渡所得金額に住民税率(5%)を乗じて住民税額を算出する。
答えの内訳
- ①:4,650,000円
- 譲渡資産の時価は5,000万円で取得費不明のため概算取得費は5,000万円×5%=250万円です。交換費用200万円の区分が不明な場合はその50%である100万円を譲渡費用とします。受領した交換差金500万円に対応する取得費・譲渡費用は、(250万円+100万円)×500万円/(4,500万円+500万円)=35万円となります。したがって、課税長期譲渡所得金額は 500万円-35万円=4,650,000円 となります。
- ②:712,100円
- 長期譲渡所得に係る所得税率は15%、復興特別所得税率は基準所得税額の2.1%です。所得税額は 4,650,000円×15%=697,500円、復興特別所得税額は 697,500円×2.1%=14,647.5円となり、合計額は 697,500円+14,647.5円=712,147.5円、100円未満を切り捨てて 712,100円 となります。
- ③:232,500円
- 長期譲渡所得に係る住民税率は5%です。住民税額は 4,650,000円×5%=232,500円 となります(100円未満の端数なし)。
覚えるポイント
- 交換差金を受け取った場合の課税対象額は、交換差金からその差金に対応する取得費・譲渡費用の按分額を控除して求めます。
- 長期譲渡所得の税率は所得税15%、復興特別所得税(所得税額の2.1%)、住民税5%です。
間違えやすいところ
- 交換差金500万円から取得費・譲渡費用全体(350万円)をそのまま全額差し引いてしまう按分忘れのミス。
- 復興特別所得税の計算を課税所得に2.1%掛けてしまうミス(基準所得税額に乗じるのが正解)。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の所得税法・租税特別措置法に基づく
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.17(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.5(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
小規模宅地等の減額特例を適用した課税価格の計算
相続・事業承継 · 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例 / 特定居住用宅地等 / 貸付事業用宅地等 / 特定事業用宅地等
Aさんが現時点において死亡した場合、提示された〈甲土地および乙土地に関する資料〉に基づき、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」適用後の相続税の課税価格に算入すべき①甲土地の価額と②乙土地の価額をそれぞれ求めなさい。なお、甲土地の自宅部分は特定居住用宅地等、賃貸アパート部分は貸付事業用宅地等、乙土地は特定事業用宅地等に該当するものとし、減額される金額の合計額が最大となるように計算すること。
解答・解説を表示
解答
① 1,716万円 ② 800万円
解説
小規模宅地等の特例では、特定居住用宅地等(限度面積330㎡、減額率80%)と特定事業用宅地等(限度面積400㎡、減額率80%)は完全併用が可能であり、最大730㎡まで併せて適用できます。一方、貸付事業用宅地等(限度面積200㎡、減額率50%)を併用する場合は「特定事業用×(200/400)+特定居住用×(200/330)+貸付事業用≦200㎡」の限度面積調整計算を行う必要があります。減額金額を最大化するためには、減額率が80%と高く完全併用が可能な特定事業用および特定居住用を優先して上限まで適用し、残った枠で貸付事業用を適用します。
解き方
- 甲土地の自用地部分(自宅)と貸家建付地部分(賃貸アパート)の面積・評価額をそれぞれ按分計算する。
- 乙土地(特定事業用)188㎡および甲土地自宅部分(特定居住用)66㎡について、それぞれの限度面積内であるため全額に80%減額を適用する。
- 併用限度調整算式を用いて貸付事業用宅地等の適用可能面積を求め、甲土地賃貸部分の減額額を計算して甲土地の適用後価額を算出する。
答えの内訳
- ①:1,716(万円)
- 甲土地の自宅部分(特定居住用)は自用地評価額1,200万円(3,600万円×100/300)、賃貸部分(貸付事業用)は貸家建付地評価額1,968万円(2,400万円×(1-0.6×0.3))で、合計評価額は3,168万円です。自宅部分66㎡全額に特定居住用(80%減額で960万円減)を適用し、残る限度面積枠66㎡(200㎡-66㎡×200/330-188㎡×200/400)に貸付事業用(50%減額で492万円減)を適用するため、適用後の価額は3,168万円-(960万円+492万円)=1,716万円となります。
- ②:800(万円)
- 乙土地は特定事業用宅地等に該当し、自用地評価額は4,000万円、面積188㎡です。特定事業用宅地等の限度面積400㎡の範囲内であるため188㎡全額に80%減額を適用でき、減額額は4,000万円×80%=3,200万円となります。したがって適用後の価額は4,000万円-3,200万円=800万円となります。
覚えるポイント
- 特定事業用宅地等(400㎡・80%)と特定居住用宅地等(330㎡・80%)は完全併用により最大730㎡まで適用可能
- 貸付事業用宅地等(200㎡・50%)を併用する場合は比例按分の調整算式を満たす必要がある
間違えやすいところ
- 貸家建付地の評価において借地権割合と借家権割合、賃貸割合の控除計算(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)を忘れて自用地価額のまま計算してしまうこと
- 特定事業用と特定居住用を併用する際に旧法の制限と混同して限度面積を縮小してしまうこと
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
相続税の総額および孫養子の納付すべき相続税額の計算
相続・事業承継 · 相続税の総額 / 法定相続人の数 / 養子の算入制限 / 代襲相続 / 相続税額の2割加算
Aさんが現時点において死亡し、孫Eさんに係る相続税の課税価格が600万円、相続税の課税価格の合計額が1億2,000万円である場合、提示された条件および〈相続税の速算表〉に基づき、①相続税の総額および②孫Eさんの納付すべき相続税額をそれぞれ求めなさい。なお、計算過程を示し、万円単位で解答すること。
解答・解説を表示
解答
① 700万円 ② 42万円
解説
相続税の基礎控除や総額計算における法定相続人の数について、被相続人に実子がいる場合は普通養子の算入制限は1人までとなります。また、養子縁組後に誕生した養子の子は直系卑属となり代襲相続権が認められます。相続税額の2割加算は、被相続人の配偶者および一親等の血族(代襲相続人となった孫を含む)以外の者が財産を取得した場合に適用され、代襲相続人ではない直系卑属である孫が養子となっている場合(孫養子)は2割加算の対象となります。
解き方
- 実子の有無と養子縁組後の出生による代襲相続関係を確認し、相続税法上の法定相続人の数(5人)を確定する。
- 遺産に係る基礎控除額を計算し、課税遺産総額を法定相続分で按分した上で各人の税額を速算表から求めて相続税の総額(700万円)を算出する。
- 課税価格の按分割合により孫Eさんの按分税額(35万円)を計算し、孫養子に伴う2割加算を適用して納付すべき税額(42万円)を求める。
答えの内訳
- ①:700(万円)
- 実子Cがいるため税法上の養子は1人のみ算入され、養子縁組後に生まれた子である代襲相続人G・Hは実子扱いとなり、法定相続人の数は妻B、長女C、養子1人、代襲相続人G・Hの計5人です。基礎控除額は3,000万円+600万円×5人=6,000万円となり、課税遺産総額は1億2,000万円-6,000万円=6,000万円です。各人の法定相続分に応ずる税額は、妻B(1/2):3,000万円×15%-50万円=400万円、長女C(1/6):1,000万円×10%=100万円、養子1人(1/6):1,000万円×10%=100万円、孫G(1/12):500万円×10%=50万円、孫H(1/12):500万円×10%=50万円となり、これらを合算した相続税の総額は400万円+100万円+100万円+50万円+50万円=700万円となります。
- ②:42(万円)
- 孫Eさんの課税価格に基づく算出税額は、相続税の総額700万円×(課税価格600万円 / 課税価格の合計額1億2,000万円)=35万円です。孫Eさんは被相続人の一親等の血族である代襲相続人には該当しない孫養子であるため、相続税額の2割加算の対象となります。したがって、孫Eさんの納付税額は35万円+(35万円×0.2)=42万円となります。
覚えるポイント
- 実子がいる場合の養子の算入上限は1人、実子がいない場合は2人まで
- 養子縁組後に生まれた養子の子は代襲相続人になれるが、養子縁組前に生まれていた子は代襲相続人になれない
- 代襲相続人ではない孫を養子にした場合(孫養子)は相続税額の2割加算の対象となる
間違えやすいところ
- 普通養子が複数いる場合に実子がいるにもかかわらず全員を法定相続人の数に算入してしまうこと
- 孫養子は一親等の法定血族であっても2割加算の対象となる例外ルールを見落として加算を忘れてしまうこと
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令等
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.20(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
配偶者居住権・配偶者短期居住権および自筆証書遺言書保管制度
相続・事業承継 · 配偶者居住権 / 配偶者短期居住権 / 自筆証書遺言保管制度
民法上の配偶者居住権・配偶者短期居住権および「法務局における遺言書の保管等に関する法律」に基づく自筆証書遺言の保管制度に関する次の文章の空欄①~⑧に入る最も適切な語句または数値を答えなさい。 〈配偶者居住権、配偶者短期居住権〉 Ⅰ 配偶者居住権は、相続開始後、被相続人の配偶者が対象となる居住建物について無償で使用および収益をすることができる権利であり、相続開始後の遺産分割によって取得する場合のほか、被相続人が( ① )または死因贈与によって取得させることもできる。民法上、配偶者居住権の存続期間は、遺産分割協議等において別段の定めがされた場合を除き、配偶者の( ② )の間とされている。また、配偶者居住権の取得は被相続人の配偶者に限られ、配偶者はこれを他者に対して( ③ )することはできないとされ、配偶者が死亡した場合に相続の対象にもならない。なお、配偶者が取得した配偶者居住権を第三者に対抗するためには、配偶者居住権の設定の( ④ )をしなければならない。 配偶者短期居住権は、被相続人の意思にかかわらず、配偶者の短期的な居住の権利を保護するためのものである。対象となる居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をする場合、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日または相続開始の時から( ⑤ )カ月を経過する日のいずれか遅い日までの間、配偶者は居住建物を無償で使用する権利を有する。なお、配偶者が相続の放棄をした場合であっても配偶者短期居住権は成立するが、配偶者が相続人の欠格事由に該当しまたは廃除によって相続人でなくなった場合には成立しないものとされている。 〈自筆証書遺言の保管制度〉 Ⅱ 自筆証書遺言については、2020年7月10日に施行された「法務局における遺言書の保管等に関する法律」により、法務局における保管制度が創設された。遺言者は、遺言者の住所地や本籍地または遺言者が所有する( ⑥ )の所在地を管轄する法務局において遺言書の保管を申請することができ、申請する際の手数料は1件につき( ⑦ )円とされる。 自筆証書遺言の遺言者が死亡した場合、その相続人等は、法務局に対し、遺言書の保管の有無を知ることができる遺言書保管事実証明書や、保管されている遺言書の内容を知ることができる遺言書情報証明書の交付を請求することができる。 なお、法務局で保管された自筆証書遺言については、遺言者の相続開始後、家庭裁判所における( ⑧ )の手続が不要とされる。
解答・解説を表示
解答
① 遺贈 ② 終身 ③ 譲渡 ④ 登記 ⑤ 6(カ月) ⑥ 不動産 ⑦ 3,900(円) ⑧ 検認
解説
民法改正により創設された配偶者居住権・配偶者短期居住権の要件や対抗要件、および法務局における自筆証書遺言書保管制度の利用手続・管轄・手数料・検認不要の特例に関する正確な規定の理解を問う問題です。
解き方
- 民法の配偶者居住権の取得原因(遺贈・死因贈与・遺産分割)、存続期間(原則終身)、譲渡禁止、対抗要件(設定登記)の規定を確認する。
- 配偶者短期居住権の権利保護期間(遺産分割確定日または相続開始時から6カ月を経過する日のいずれか遅い日)の要件を整理する。
- 自筆証書遺言書保管法における管轄法務局(住所地・本籍地・所有不動産の所在地)、申請手数料(1件3,900円)、家庭裁判所の検認不要のメリットを当てはめる。
答えの内訳
- ①:遺贈
- 配偶者居住権は、被相続人が遺贈または死因贈与により配偶者に取得させることができます。
- ②:終身
- 配偶者居住権の存続期間は、遺産分割協議や遺言等で別段の定めがない限り、配偶者の終身の間となります。
- ③:譲渡
- 配偶者居住権は一身専属権的性格を有するため、他人に譲渡することはできず、配偶者の死亡によって消滅し相続の対象にもなりません。
- ④:登記
- 居住建物の所有者は配偶者に対し配偶者居住権の設定登記を備えさせる義務を負い、登記を行うことで第三者に対抗できます。
- ⑤:6(カ月)
- 配偶者短期居住権の存続期間は、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日、または相続開始の時から6カ月を経過する日のいずれか遅い日までの間です。
- ⑥:不動産
- 自筆証書遺言の保管申請ができる遺言書保管所(法務局)は、遺言者の住所地、本籍地、または遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局です。
- ⑦:3,900(円)
- 遺言書保管所への自筆証書遺言の保管申請手続に係る政令上の手数料は、遺言書1通につき3,900円です。
- ⑧:検認
- 法務局(遺言書保管所)に保管されている自筆証書遺言については、相続開始後における家庭裁判所の検認が不要です。
覚えるポイント
- 配偶者居住権の存続期間は原則「終身」、対抗要件は「登記」、他者への「譲渡」は不可
- 配偶者短期居住権の最低保障期間は「6カ月」
- 自筆証書遺言保管の申請先は住所地・本籍地・「不動産」所在地で、手数料は「3,900円」、家庭裁判所の「検認」が不要
間違えやすいところ
- 配偶者居住権の存続期間を一定年数(20年など)と誤認しないように注意(別段の定めがない限り終身)。
- 自筆証書遺言保管制度の手数料の金額(3,900円)や、原本確認を行うため家庭裁判所の「検認」が不要になる点を他の公正証書遺言等の手続と混同しないこと。
出題の前提:2020年10月1日現在施行の法令(民法相続編改正、法務局における遺言書の保管等に関する法律)
出典:金融財政事情研究会『2021年5月 1級 学科(応用編)』
公式問題 p.21(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp) / 公式模範解答 p.6(公式掲載ページ) ↗(www.kinzai.or.jp)
2021年5月 1級 学科(応用編)
参照した公式資料
金融財政事情研究会が公開した2021年5月 1級 学科(応用編)の問題・解答資料です。
- 公式問題(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
- 公式模範解答(公式掲載ページ) ↗ — www.kinzai.or.jp(資料の掲載案内)
金財のPDFは公式掲載ページからご覧ください。古い資料は現在の一覧に掲載されていない場合があります。

